JP2003257723A - 複合磁性シートおよびその製造方法 - Google Patents

複合磁性シートおよびその製造方法

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Haruo Koyama
治雄 小山
Kiyoshi Suzuki
喜代志 鈴木
Shinichiro Yahagi
慎一郎 矢萩
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軟磁性材料の粉末をゴムまたはプラスチック
からなるマトリクス中に分散させてシート状に成形して
なり、電磁波吸収体として役立つ複合シート材料におい
て、高い透磁率を有し、従って性能がすぐれたものを提
供すること。 【解決手段】 透磁率が高い軟磁性材料の扁平粉末とゴ
ムまたはプラスチックとの混合物を、有機溶媒中の懸濁
液のような流動性のある状態で、回転円筒中に入れて薄
膜にし、乾燥させて塗膜を形成したのち塗膜を円筒から
引き剥がす。軟磁性材料に加わる応力を最小限に抑える
とともに、扁平粉末を遠心力で配向させ、高い透磁率を
もった複合磁性シートを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として電磁波吸
収体として有用な複合磁性シートの製造方法と、その方
法により製造された複合磁性シートに関する。
【0002】
【従来の技術】各種電子機器におけるノイズ抑制を目的
とする電磁波吸収体として、従来のフェライト焼結体に
加えて、軟磁性材料の粉末をゴムまたはプラスチックか
らなるマトリクス中に分散させてシート状に成形してな
る複合磁性シートが開発され、実用されている。ノイズ
電磁波は、他の電子機器に影響するだけでなく、その電
子機器自身の動作を不安定にさせるものでもあり、抑制
が必要である。
【0003】とくに近年の電子機器は、いわゆる高クロ
ック化、すなわち使用する周波数がより高周波の側に移
行する傾向にあり、それに伴って、外部へ放射されるノ
イズ電磁波の強度が増し、かつ、より広範囲の周波数成
分を含むようになっている。このような変化は、機器の
筐体にある隙間や短い配線からもノイズ電磁波が洩れる
という結果を招くから、対策が必要である。一方で、電
子機器は小型化・高密度化される傾向にあり、配線基板
間の干渉を防ぐことは容易でない。
【0004】ノイズ電磁波の抑制策としては、まず、設
計され組立てられた電子機器の筐体の内側に導電性塗料
を塗ったり、金属をメッキしたり、導体の蒸着を施した
りすることが行なわれる。しかし、導電性のある材料は
電磁波を反射するだけで吸収しないから、ノイズ電磁波
が発生源に舞い戻って悪影響を与えることがある。この
ような現象は、金属の板、箔、繊維を編んだシートなど
に共通にみられる。
【0005】いまひとつの対策は、軟磁性材料の粉末
を、ゴムまたはプラスチックのマトリクス中に分散させ
てシート状に成形した複合材料である、電磁波吸収シー
トを使用することである。この種の電磁波吸収シートは
ノイズ電磁波を反射せず、吸収して内部で熱に変換する
はたらきがあり、電磁波の反射に伴う問題がかなり解決
される。
【0006】このような複合磁性シートの電磁波吸収性
能に最も大きな影響を与えるのはシートの透磁率μの大
小である。透磁率μは、電磁波の抑制が大きな課題であ
る準マイクロ波帯では、実数部μ’と虚数部μ”とをも
つ。両者の値を高くすることが、高い電磁波吸収性能を
確保する上で必要であるが、一般に実数部μ’を高くす
ると虚数部μ”も高くなるから、材料の設計に当たって
は、実数部μ’を高くすることを考える。
【0007】複合磁性シートの透磁率を高くする方策
は、まず、軟磁性材料として高い透磁率を示す合金を選
択することである。具体的には、Fe−Si−Al合
金、Fe−Si合金およびFe−Ni合金が、そのよう
な材料である。これらの合金の粉末をアトライタ処理な
どにより扁平な形で得、加工に伴う歪みを焼鈍により除
去し、複合シートの内部で、扁平粉末を面に沿って配向
した形で存在させることによって、高い透磁率をもった
磁性シートを得ることができる。
【0008】しかし、もともと透磁率が高い軟磁性材料
の粉末を使用したにもかかわらず、シートとしたとき
に、透磁率が期待ほど高くないことが多い。この原因を
追及した発明者は、加工過程で軟磁性材料の粉末に応力
が加わることが原因であることを知った。すなわち、軟
磁性材料の粉末とマトリクス材料とをニーダーなどで混
練するときに、大きな応力が加わる。混合物をシートに
成形する手段としてロール圧延を行なえば、そこでも応
力が加わることが避けられない。
【0009】軟磁性材料の粉末に加わる応力が最も低い
加工法は、マトリクス材料との混練やシートへのロール
圧延を行なわない方法であることから、発明者は、粉末
とマトリクス材料とを溶媒に分散させた塗料の形にし
て、塗膜を形成するとよいことを確認した。このような
「湿式製膜」は、複合シートの経時変化による特性の変
化を防止するという観点から開発され、すでに開示され
ている(特開2000−243615)。発明者は、よ
り特性のすぐれた複合磁性シートを製造する手段とし
て、やはり塗工法による技術を確立し、これもすでに提
案した(特願2002−29027)。
【0010】しかし、塗工法の難点は、軟磁性材料の粉
末に対する歪みは最小限で済むものの、扁平粉末の配向
が十分に行なわれるとは限らないことである。塗工によ
って得たシートをプレスすることで、配向の度合いを高
めようという試みもあるが、いったん乾燥して塗膜が固
定した後は、あまり有効ではない。加熱して軟化させれ
ば、多少のプレス効果はあるが、あまり大きいものとは
言えない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、軟磁
性材料の粉末をゴムまたはプラスチックからなるマトリ
クス中に分散させてシート状に成形してなる複合磁性シ
ートの製造において、塗工法の利点である、軟磁性粉末
に生じる歪みが小さいことを活かしつつ、その欠点であ
る、扁平粉末の配向度合いの低さを補った、複合磁性シ
ートの製造方法を提供することにある。結果として得ら
れる、透磁率が高く、したがって電磁波吸収体としての
性能がすぐれた複合磁性シートを提供することもまた、
本発明の目的に含まれる。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の複合磁性シート
の製造方法は、軟磁性材料の扁平粉末をゴムまたはプラ
スチックのマトリクス中に分散させ、シート状にしてな
る複合磁性シートを製造する方法において、図1に示す
ように、扁平粉末(1)とゴムまたはプラスチック
(2)との流動性のある混合物を回転円筒(3)の内部
に置き、遠心力により扁平粉末が円周面に沿って配向し
た混合物の薄膜を形成し、流動性を失わせたのち、複合
磁性シートとして取得することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施形態】扁平粉末とゴムまたはプラスチック
との流動性のある混合物を回転円筒の内部に置くために
は、この混合物が加熱により流動性を生じるものであれ
ば、混合物を回転円筒の内部に置き、加熱して流動性を
与えたのち、円筒を回転させればよい。加熱は、円筒の
外側から電熱その他適宜の熱源を用いて行なってもよい
し、円筒の内部に加熱されたガスを通過させるなどの手
法によってもよい。
【0014】扁平粉末とゴムまたはプラスチックとの流
動性のある混合物をつくる、上記とは別の、通常は実施
がより容易であって推奨される方法は、まずゴムまたは
プラスチックを適宜の溶媒に溶解した溶液をつくり、そ
の中に扁平粉末を分散させて懸濁液とすることである。
この懸濁液を、回転している円筒の内部に注いで薄膜を
形成し、回転を続けたまま溶媒を除去して流動性を失わ
せれば、所望の複合磁性シートが得られる。
【0015】マトリクスを形成するゴムまたはプラスチ
ックが、加熱により流動性を持つ場合は、その性質を利
用して、扁平粉末の塗膜面に沿う配向を促進することが
できる。上記の溶媒を使用する態様に対しても適用可能
であって、複合磁性シートを形成する途中でも、またい
ったん形成した後でも、実施可能である。すなわち、溶
媒を不完全に、または完全に除去した薄膜を回転円筒内
に置いたまま加熱して軟化させ、さらに円筒の回転を続
けて扁平粉末の塗膜面に沿う配向を促進する工程を加え
た態様である。
【0016】容易に理解されるように、本発明は回転円
筒の内部に置かれた混合物に加わる遠心力を利用して、
マトリクスより重い物体である軟磁性合金の扁平粉末の
配向を助長するものであるから、その効果は、作用する
遠心力が強いほど大きい。遠心力利用の効果が顕著に得
られるのは、円筒を、その内面における周速が2m/秒
以上となる速度で回転たときである。効果は、薄膜形成
時の混合物の流動性ないし粘度により、また材料の比重
の差により異なるから、回転速度は、それらの条件に装
置の機械的な耐性を考慮に入れて決定すべきである。
【0017】上記のいずれかの態様に従って回転円筒の
内部において複合磁性シートを製造し、それを回収した
ものに対し、さらにシート面に垂直の方向に圧力を加
え、扁平粉末のシート面に沿う配向を促進するととも
に、厚さを調節することが好ましい。このような工程を
加えた複合磁性シートの製造方法もまた、本発明に含ま
れる。
【0018】使用する軟磁性材料の粉末としては、それ
自体の透磁率が高いものが好ましいことは、前述のとお
りである。そのような観点から好適な材料は、前記した
Fe−Si−Al合金、Fe−Si合金およびFe−N
i合金の粉末である。粉末の製造は、溶湯噴霧法が有利
である。粉末の酸素含有量が高まると、保磁力も高くな
ってしまうから、酸素の混入を極力防ぐことが必要であ
り、噴霧は窒素、アルゴンなどの酸素を含まないガスを
用いて行ない、粉末製造後も、空気を遮断しておくこと
が望ましい。軟磁性材料の粉末は、2種以上の合金の粉
末を配合して使用してもよいことは、いうまでもない。
【0019】上記したガス噴霧法により得た粉末は、ほ
ぼ球形の粉末であるから、これをアトライタまたはボー
ルミルにより処理して、扁平な粉末を得る。高い扁平度
を実現するには、ある長さの時間にわたって処理するこ
とが必要であるが、あまり長い時間処理しても、かえっ
て扁平度が低下する傾向がある。これは、扁平になった
粉末が切断され細分化されるためと考えられる。したが
って、扁平化処理にはある最適な時間が存在する。最適
時間は、合金の硬さなどの因子によって多少異なる。
【0020】本発明では、扁平度が10以上であるフレ
ーク状の粉末を使用することが好ましい。ここで、「扁
平度」の値は、つぎのように定義され、測定される。ま
ず、図2に示した形状の軟磁性材料の粉末を面方向から
SEM観察し、長軸Lと短軸Sとを測定して、その平均
値(L+S)/2を平均径Laとする。つぎに、粉末を
樹脂に埋め込んで研磨し、粉末の厚さ方向を光学顕微鏡
で観察して、最大厚さdmaxと最小厚さdminとを求め、
その平均値(dmax+dmin)/2を平均厚さdaとす
る。La/daの値が、そのフレーク状粉末の扁平度で
ある。
【0021】高い透磁率を実現するためには、粉末を焼
鈍処理することが効果的である。後記する実施例にみる
とおり、上記合金の粉末を少なくとも700℃、好まし
くは800℃ないしそれ以上の適切な条件で熱処理する
ことにより、容易にその軟磁性合金が本来もつ透磁率を
もった粉末が得られる。
【0022】軟磁性材料の粉末を分散させるマトリクス
の材料としては、従来からこの種の複合シートの製造に
用いられて来たものが任意に選択できるが、とくに、塩
素化ポリエチレン、アクリル系ゴムまたはエチレンアク
リルゴムが好適である。これらのマトリクス材料を溶液
の形で使用する場合、溶媒としては、水とあまり溶け合
わない有機溶媒であって、溶液の塗装が好適に行なわれ
るとともに、塗膜の乾燥が容易であるような、適切な沸
点をもったものを選択することが好ましい。具体的に
は、トルエン、キシレンなどである。溶液の濃度は、塗
膜の形成に好適な粘度が得られるように選択する。
【0023】製品である複合シートは、厚さ100μm
以下、できれば50μm以下の薄いものが、扁平粉末の
配向の度合いを高くする上で有利である。このような薄
いシートを得るには、軟磁性材料の粉末とマトリクス材
料との混合物、またはマトリクス材料の溶液に粉末を加
えた懸濁液を回転円筒内に入れ、円筒を回転させながら
混合物または懸濁液をドクターブレードでしごくという
手法が効果的である。ドクターブレードの使用は、軟磁
性材料の扁平な粉末が塗膜の面に沿って配向することを
助長する点でも、好ましいことである。
【0024】
【実施例】下記3種の軟磁性合金の溶湯を窒素ガスで噴
霧して、粉末を得た。それらの粉末をアトライタに入
れ、それぞれ記載した時間にわたって扁平化処理した。 Fe−Si−Al合金 24時間 Fe−Si合金 15時間 Fe−Ni合金 8時間 アトライタ処理における配合は、つぎのとおりである。 粉末量:1.8kg 媒 体:1.8L(トルエン) ボール:18kg(SUJ2 径4.8mm) 潤滑剤:18g(ステアリン酸亜鉛)
【0025】得られた扁平粉末を、アルゴンガス雰囲気
下に、600℃、700℃または800℃で各2時間、
焼鈍処理した。その扁平度を、前記の方法で測定した。
測定値を、表1に示す。
【0026】表 1
【0027】トルエン300部(重量部、以下同じ)に
塩素化ポリエチレン10部を溶解した溶液に、上記扁平
粉A〜Iを90部投入し、均一に混合して、懸濁液を用
意した。内径200mm、長さ300mmの鋼製円筒の内部
に、ポリエチレンテレフタレート樹脂のフィルムを貼り
付け、その上に上記の懸濁液を注いで、低速で円筒を回
転させながらドクターブレードでしごき、厚さが0.5
mmの塗膜を形成してから、円筒の回転数を100または
200rpmに増大した。円筒の外部から熱風を吹き付け
て、溶媒を蒸発させることにより乾燥した薄膜とし、こ
れを円筒内部から回収した。その厚さは0.15mmであ
る。ついで、薄膜を平坦なプレスに置き、130℃×3
分間、15MPaの圧力でプレスして、本発明の複合磁
性シートを得た。この製法を「回転円筒」法とする。
【0028】比較のため、ポリエチレンテレフタレート
樹脂のフィルムを貼った金属板の上に上記の懸濁液を注
ぎ、ドクターブレードでしごいて、厚さがやはり0.5
mmの塗膜を形成した。この塗膜を自然に乾燥させて、厚
さ0.15mmの乾燥した薄膜を得た。この薄膜に対して
も、上記と同じ熱プレス加工を施して、比較例の複合磁
性シートとした。この薄膜製法を「平板塗工」法とす
る。
【0029】得られた複合磁性シートについて、シート
の密度、扁平粉末の配向度、ならびに透磁率の実数項
(実部)および損失項(虚部)を、つぎの方法で測定し
た。
【0030】[扁平粉末の配向度] 複合磁性シートを
適宜の大きさ(たとえば5mm×5mm)に切り、VSM
(振動試料型磁力計)を用いて、磁化容易軸方向(磁性
粉末の配向方向)と磁化困難軸方向(配向方向と直角な
方向)とに関してM−H曲線(磁化曲線)を描く。曲線
の直線部分に平行に、原点を通る直線を引き、この直線
とMs線(飽和磁化線)との交点に対応する磁界の値を
「反磁界」Hdとする。磁化容易軸方向の反磁界をHd
e、磁化困難軸方向の反磁界をHddとし、Hdd/Hdeの値
をもって「配向度」とする。測定時の印加磁場は、20
000[Oe]であった。
【0031】[透磁率の実数項] 複合磁性シートを外
径7mm×内径3mmのリングに打ち、抜いて12ターンの
巻き線を施した試験装置をつくり、アジレントテクノロ
ジー社製のインピーダンス測定器「プレシジョンインピ
ーダンスアナライザーHP4294A」を用い、1MH
zにおけるインピーダンスにより算出した。 [透磁率の損失項] 上記の試験装置を対象に、やはり
アジレントテクノロジー社製の高周波インピーダンス測
定器「RFインピーダンス/マテリアルアナライザーH
P4291B」を用いて10MHz〜1GHzの範囲に
おいて損失項を測定し、その最大値を採用した。
【0032】以上の結果を、表2にまとめて示す。表2
のデータにみるように、回転円筒を使用せず平板上に塗
膜を形成した場合(比較例1,3および5)は、複合磁
性シートの密度および扁平粉末の配向度が低く、透磁率
が十分に高くない。焼鈍処理が不十分であった扁平粉
(A,E)を用いた例(比較例2,3)も、透磁率の値
が低くて不満足である。それ以外の、本発明の条件を満
たした実施例においては、高い透磁率が実現しているか
ら、これらの複合磁性シートは、電磁波吸収体として、
高い性能を示す。
【0033】表 2
【0034】
【発明の効果】本発明の複合磁性シートの製造方法は、
軟磁性材料の粉末をゴムまたはプラスチックからなるマ
トリクス中に分散させてシート状に成形するに当り、も
ともと保磁力の低い軟磁性合金の粉末を高い扁平度に扁
平化した上で焼鈍処理を施して使用し、かつ、粉末とマ
トリクス材料との混合物を、熱可塑化の状態または溶媒
を用いた懸濁液という、流動性のある状態で回転円筒内
に入れ、遠心力を利用して薄膜を形成することにより、
混練やロール圧延のような応力が加わる工程を避け、同
時に扁平粉末を配向させることに成功したものである。
【0035】遠心力の適用は、扁平粉末を配向させるだ
けでなく、懸濁液を薄膜にした場合に、塗膜が乾燥する
過程で生じる溶媒の蒸気が気泡となって、薄膜中に残存
することを実質上なくすことができる。実施例における
高いシート密度は、このような機構で実現するものと解
される。高い粉末の充填密度がシートの透磁率を高くす
る上で有用なことは、いうまでもない。
【0036】このようにして得られる本発明の複合磁性
シートは、選択した軟磁性材料が本来もつ高い透磁率を
保持しているから、シートとしても透磁率が高く、した
がって電磁波吸収体として、高性能なものである。その
用途は、携帯電話、デジタルカメラ、CD−RWなどの
電子機器において、筐体やケーブル、またICその他の
部品からの輻射ノイズの抑制、ケーブルや基板における
伝導ノイズの防止、発振される電波の乱反射の防止な
ど、広い範囲にわたる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の複合磁性シートの製造方法を説明す
る、装置の断面図。
【図2】 本発明で使用する軟磁性材料の粉末がもつべ
き「扁平度」の定義を説明するための、概念的な粉末の
図面。
【図3】 本発明の実施例で測定した扁平粉末の「配向
度」の定義を説明するための、M−H曲線。
【符号の説明】
1 扁平粉末 2 マトリクス(ゴムまたはプラスチック) 3 回転円筒 L 長軸 S 短軸 dmin 最小厚さ dmax 最大厚さ Hd 反磁界
フロントページの続き (72)発明者 矢萩 慎一郎 愛知県名古屋市港区竜宮町10番地 大同特 殊鋼株式会社築地工場内 Fターム(参考) 5E040 CA13 5E041 AA04 AA17 NN01 NN18 5E321 BB25 BB51 BB53 BB57 GG01 GG05

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軟磁性材料の扁平粉末をゴムまたはプラ
    スチックのマトリクス中に分散させ、シート状にしてな
    る複合磁性シートを製造する方法において、扁平粉末と
    ゴムまたはプラスチックとの流動性のある混合物を回転
    円筒の内部に置き、遠心力により扁平粉末が円周面に沿
    って配向した混合物の薄膜を形成し、流動性を失わせた
    のち、複合磁性シートとして取得することを特徴とする
    製造方法。
  2. 【請求項2】 扁平粉末とゴムまたはプラスチックとの
    混合物を回転円筒の内部に置き、加熱することにより流
    動性を与えて実施する請求項1の複合磁性シートの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 扁平粉末とゴムまたはプラスチックとの
    流動性のある混合物として、扁平粉末をゴムまたはプラ
    スチックの溶液中に分散させて用意した懸濁液を使用
    し、この懸濁液を回転している円筒の内部に注いで薄膜
    を形成し、回転を続けたまま溶媒を除去して流動性を失
    わせて実施する、請求項1の複合磁性シートの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 溶媒を不完全に、または完全に除去した
    薄膜を回転円筒内に置いたまま加熱して軟化させ、さら
    に円筒の回転を続けて扁平粉末の塗膜面に沿う配向を促
    進する工程を加えた請求項3の複合磁性シートの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 円筒を、その内面における周速が2m/
    秒以上となる速度で回転させて実施する請求項1の複合
    磁性シートの製造方法。
  6. 【請求項6】 回転円筒の内部から回収した複合磁性シ
    ートに対し、さらにシート面に垂直の方向に圧力を加
    え、扁平粉末のシート面に沿う配向を促進するととも
    に、厚さを調節する工程を加えた請求項1の複合磁性シ
    ートの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに記載の方
    法により製造された複合磁性シート。
  8. 【請求項8】 軟磁性材料の扁平粉末として、Fe−S
    i−Al合金、Fe−Si合金またはFe−Ni合金の
    アトマイズ粉末をアトライタ処理して扁平にしたのち、
    700℃以上の温度で焼鈍して歪みを除去したものを使
    用した請求項7の複合磁性シート。
  9. 【請求項9】 軟磁性材料の扁平粉末の扁平度が10以
    上であるものを使用した請求項8の複合磁性シート。
  10. 【請求項10】 マトリクスの材料として、塩素化ポリ
    エチレン、アクリル系ゴムまたはエチレンアクリルゴム
    を使用した請求項7の複合磁性シート。
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