JP2003254429A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

自動変速機の制御装置

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JP2003254429A JP2002058882A JP2002058882A JP2003254429A JP 2003254429 A JP2003254429 A JP 2003254429A JP 2002058882 A JP2002058882 A JP 2002058882A JP 2002058882 A JP2002058882 A JP 2002058882A JP 2003254429 A JP2003254429 A JP 2003254429A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転数検出装置の読取り誤差が大きい低回転
数領域においてもギヤエラーを正確、且つ確実に判定で
きるようにする。 【解決手段】 入力軸の回転を変速して出力軸に出力す
る変速機構と、該変速機構の各変速段を成立するために
係脱される複数の係合要素と、ソレノイド弁に供給され
る電気信号に応じた出力油圧を給排して係合要素を夫々
係脱させる複数の油圧サーボ装置と、入力軸及び出力軸
の回転数を夫々検出する入力軸回転数検出装置及び出力
軸回転数検出装置とを備えた自動変速機の制御装置にお
いて、一の変速段を成立する指令に対して、出力軸回転
数検出装置によって検出された出力軸の回転数に対する
入力軸回転数検出装置によって検出された入力軸の回転
数の比と、他の変速段のギヤ比とのズレが所定割合以内
に所定時間継続して入った場合、ギヤエラーと判定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動変速機が指令
された変速段と異なる変速段を成立するギヤエラーを判
定する自動変速機の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、エンジンの回転が流体伝動装置を
介して入力される入力軸の回転を変速して出力軸に出力
する変速機構と、該変速機構の変速段を切り換える複数
の係合要素と、ソレノイド弁に印加される電気信号に応
じた出力油圧を給排して各係合要素を係脱させる油圧サ
ーボ装置を備えた自動変速機において、指令通りの変速
段と異なる変速段が成立するギヤエラーの判定は、走行
レンジが選択され、変速制御中でなく、出力軸の回転数
が所定回転数以上である等の条件下で、変速機構の出力
軸の回転数に対する入力軸の回転数の比が、現在指令さ
れている変速段のギヤ比に対して所定割合以上ズレた状
態(図12参照)が所定時間継続したか否かチェックし
て行なわれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来装置では、特に、発進直後の入出力軸の回転数が小さ
く、入力軸回転数センサ及び出力軸回転センサの読取り
誤差が大きい領域では、ギヤエラーの誤判定を行なう可
能性があり、出力軸の回転数がかなり高くなるまでギヤ
エラーを判定できない問題があった。
【0004】本発明は係る従来の問題点を解消するため
になされたもので、回転数検出装置の読取り誤差が大き
い低回転数領域においてもギヤエラーを正確、且つ確実
に判定できるようにすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、入力軸の回
転を変速して出力軸に出力する変速機構と、該変速機構
の各変速段を成立するために係脱される複数の係合要素
と、ソレノイド弁に供給される電気信号に応じた出力油
圧を給排して前記係合要素を夫々係脱させる複数の油圧
サーボ装置と、前記入力軸及び出力軸の回転数を夫々検
出する入力軸回転数検出装置及び出力軸回転数検出装置
とを備えた自動変速機の制御装置において、一の変速段
を成立する指令に対して、検出された入力軸の回転数Ni
と出力軸の回転数から実際のギヤ比を求める手段と、該
実際のギヤ比が、他の変速段のギヤ比を基準に設定され
たギヤエラー判定領域に、所定時間以上入ったか否かを
検出する手段と、所定時間以上入ったことを検出する
と、ギヤエラーと判定する手段を備えることである。
【0006】請求項2に係る発明の構成上の特徴は、入
力軸の回転を変速して出力軸に出力する変速機構と、該
変速機構の各変速段を成立するために係脱される複数の
係合要素と、ソレノイド弁に供給される電気信号に応じ
た出力油圧を給排して前記係合要素を夫々係脱させる複
数の油圧サーボ装置と、前記入力軸及び出力軸の回転数
を夫々検出する入力軸回転数検出装置及び出力軸回転数
検出装置とを備えた自動変速機の制御装置において、一
の変速段を成立する指令に対して、検出された入力軸の
回転数と出力軸の回転数から実際のギヤ比を求める手段
と、該実際のギヤ比が、他の変速段のギヤ比を基準に設
定されたギヤエラー判定領域に、所定時間継続して入っ
たか否かを検出する手段と、所定時間継続して入ったこ
とを検出したことをカウントする手段と、該カウントの
累積値が所定値以上になると、ギヤエラーと判定する手
段を備えることである。
【0007】請求項3に係る発明の構成上の特徴は、入
力軸の回転を変速して出力軸に出力する変速機構と、該
変速機構の各変速段を成立するために係脱される複数の
係合要素と、ソレノイド弁に供給される電気信号に応じ
た出力油圧を給排して前記係合要素を夫々係脱させる複
数の油圧サーボ装置と、前記入力軸及び出力軸の回転数
を夫々検出する入力軸回転数検出装置及び出力軸回転数
検出装置とを備えた自動変速機の制御装置において、一
の変速段を成立する指令に対して、検出された入力軸の
回転数と出力軸の回転数から実際のギヤ比を求める手段
と、該実際のギヤ比が、他の変速段のギヤ比を基準に設
定されたギヤエラー判定領域に、所定時間継続して入っ
たか否かを検出する手段と、所定時間継続して入ったこ
とを検出したことをカウントする手段と、所定回数以上
連続してカウントした場合、前記一の変速段からの変速
を禁止する手段を備えることである。
【0008】請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請
求項1乃至3のいずれかに記載の自動変速機の制御装置
において、他の変速段のギヤ比を基準に設定されたギヤ
エラー判定領域は、他の変速段のギヤ比±L%以内の領
域であることである。
【0009】請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請
求項1乃至4のいずれかに記載の自動変速機の制御装置
において、前記他の変速段が、前記一の変速段を成立す
る指令に対して前記複数の係合要素の中の1個の係合要
素の誤作動により成立され得る全ての変速段のいずれか
であること前記他の変速段が、前記一の変速段を成立す
る指令に対して前記複数の係合要素の中の1個の係合要
素の誤作動により成立され得る全ての変速段のいずれか
であることである。請求項6に係る発明の構成上の特徴
は、入力軸の回転を変速して出力軸に出力する変速機構
と、該変速機構の各変速段を成立するために係脱される
複数の係合要素と、ソレノイド弁に供給される電気信号
に応じた出力油圧を給排して前記係合要素を夫々係脱さ
せる複数の油圧サーボ装置と、前記入力軸及び出力軸の
回転数を夫々検出する入力軸回転数検出装置及び出力軸
回転数検出装置とを備えた自動変速機の制御装置におい
て、一の変速段を成立する指令に対して、検出された入
力軸の回転数が、検出された出力軸の回転数と他の変速
段のギヤ比とから求められた値を基準に設定されたギヤ
エラー判定領域に、所定時間以上入ったか否かを検出す
る手段と、所定時間以上入ったことを検出すると、ギヤ
エラーと判定する手段を備えることである。
【0010】
【発明の作用・効果】上記のように構成した請求項1に
係る発明においては、一の変速段の成立のために係合さ
れるべき係合要素が係合されて変速機構の一の変速段が
成立する。ところが、係合すべき係合要素が係合せず、
或いは係合すべきでない係合要素が係合すると他の変速
段が成立してギヤエラーが生じる。本発明では、一の変
速段を成立する指令が送出されているとき、入力軸回転
数検出装置によって検出された入力軸の回転数と出力軸
回転数検出装置によって検出された出力軸の回転数から
実際のギヤ比を求め、実際のギヤ比が、他の変速段のギ
ヤ比を基準に設定されたギヤエラー判定領域に、所定時
間以上入った場合、ギヤエラーと判定する。このよう
に、実際の入力軸と出力軸との回転数比が、指定変速段
と異なる変速段のギヤ比に収束していることを検出した
場合にギヤエラーと判定するので、特に回転数センサの
読取り誤差が大きい低回転数領域においてもギヤエラー
を正確、且つ確実に判定することができる。上記のよう
に構成した請求項2に係る発明においては、一の変速段
を成立する指令に対して、検出された入力軸の回転数と
出力軸の回転数から実際のギヤ比を求め、実際のギヤ比
が、他の変速段のギヤ比を基準に設定されたギヤエラー
判定領域に、所定時間継続して入ったか否かを検出し、
所定時間継続して入ったことをカウントし、このカウン
トの累積値が所定値以上になると、ギヤエラーと判定す
るので、回転数センサの読取り誤差が大きい低回転数領
域においてもギヤエラーを正確、且つ確実に判定するこ
とができるとともに、ギヤエラーと誤判定することを確
実に防止することができる。上記のように構成した請求
項3に係る発明においては、一の変速段を成立する指令
に対して、検出された入力軸の回転数と出力軸の回転数
から実際のギヤ比を求め、実際のギヤ比が、他の変速段
のギヤ比を基準に設定されたギヤエラー判定領域に、所
定時間継続して入ったことをカウントし、このカウント
を所定回数以上連続して行った場合、一の変速段からの
変速を禁止するようにしたので、変速指令に対して、早
い段階でギヤエラーの可能性を検出してその変速段から
の変速を禁止するため、異常変速することを防止でき
る。上記のように構成した請求項4に係る発明において
は、ギヤエラー判定領域を他の変速段のギヤ比±L%以
内の領域としたので、車速が小さくなるに従い、判定領
域も小さくなるため、誤判定が少なくなる。
【0011】上記のように構成した請求項5に係る発明
においては、一の変速段を成立する指令に対して複数の
係合要素の中の1個の係合要素の誤作動によって成立し
てしまう変速段のギヤ比を基準にギヤエラー判定領域を
設定するので、ギヤエラーが起きる確立の高いエリアを
判定領域として設定でき、効率よく高精度にギヤエラー
を検出できる。上記のように構成した請求項6に係る発
明においては、一の変速段を成立する指令が送出されて
いるとき、検出された入力軸の回転数が、検出された出
力軸の回転数と他の変速段のギヤ比とから求められた値
を基準に設定されたギヤエラー判定領域に、所定時間以
上入った場合、ギヤエラーと判定するので、特に回転数
センサの読取り誤差が大きい低回転数領域においてもギ
ヤエラーを正確、且つ確実に判定することができる。
【0012】
【実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実施形態
を説明する。図1は本発明に係る自動変速機の制御装置
により制御される自動変速機10の一例を示すスケルト
ン図で、自動変速機10は、図略のエンジンが回転連結
された流体伝動装置としてのトルクコンバータ11及び
トルクコンバータ11から入力軸20に入力された入力
回転を変速して出力軸21に出力する前進6速、後進1
速の変速機構12から構成されている。トルクコンバー
タ11は、ポンプインペラ13、タービンランナ14、
ステータ15、ステータ15を変速機構12のケース1
6に一方向の回転のみ許容して支承するワンウェイクラ
ッチ17、ワンウェイクラッチ17のインナレースをケ
ース16に固定するステータシャフト18を備えてい
る。19はポンプインペラ13とタービンランナ14と
を直結するロックアップクラッチである。
【0013】変速機構12の減速プラネタリギヤG1
は、シングルピニオン型で、第1リングギヤR1が入力
軸20に連結され、第1サンギヤS1がケース16に固
定されて反力を受け、第1キャリヤC1に支承されたピ
ニオンが第1リングギヤR1と第1サンギヤS1とに噛
合されている。変速機構12の主要部である変速プラネ
タリギヤGは、ダブルピニオン型で、大径の第2サンギ
ヤS2、小径の第3サンギヤS3、第2サンギヤS2に
直接噛合するとともに第3サンギヤS3にピニオンP3
を介して噛合するロングピニオンP2、ロングピニオン
P2及びピニオンP3を支持する第2キャリヤC2(C
3)及びロングピニオンP2と噛合し出力軸21に連結
された第2リングギヤR2(R3)から構成されてい
る。
【0014】減速プラネタリギヤG1の第1キャリヤC
1が第1クラッチC-1を介して変速プラネタリギヤGの
第3サンギヤS3に連結されるとともに、第3クラッチ
C-3を介して第2サンギヤS2に連結されている。変速
プラネタリギヤGの第2サンギヤS2は第1ブレーキB-
1に連結され、第2キャリヤC2(C3)は第2クラッ
チC-2を介して入力軸20に連結されるとともに、ケー
ス16に支持されたワンウェイクラッチF-1及び第2ブ
レーキB-2に並列に連結されている。第1ブレーキB-1
は、第2サンギヤS2の回転を選択的に規制する第1回
転規制手段を構成し、ワンウェイクラッチF-1及び第2
ブレーキB-2は、第2キャリヤC2(C3)の回転を選
択的に規制する第2回転規制手段を構成する。
【0015】自動変速機10の各クラッチ、ブレーキ及
びワンウェイクラッチの係合、解放と各変速段との関係
は図2の係合表に示すようになる。係合表における○印
は係合、無印は解放、△印はエンジンブレーキ時のみの
係合を示す。図3は各クラッチ、ブレーキ及びワンウェ
イクラッチの係合により成立される変速段と、そのとき
のプラネタリギヤG,G1の各要素の回転数比との関係
を示す速度線図である。
【0016】図2,3から明らかなように、第1速段
(1st)は、第1クラッチC-1の係合とワンウェイク
ラッチF-1の自動係合によって達成される。入力軸20
の回転が減速プラネタリギヤG1によって減速された第
1キャリヤC1の回転が、第1クラッチC-1により変速
プラネタリギヤGの第3サンギヤS3に入力され、ワン
ウェイクラッチF-1によって逆転を阻止された第2キャ
リヤC2(C3)が反力を受け、第2リングギヤR2
(R3)が、最大ギヤ比で減速回転されて出力軸21に
出力する。
【0017】第2速段(2nd)は、第1クラッチC-1
と第1ブレーキB-1の係合によって達成される。入力軸
20の回転が減速プラネタリギヤG1によって減速され
た第1キャリヤC1の回転が、第1クラッチC-1経由で
変速プラネタリギヤGの第3サンギヤS3に入力され、
第1ブレーキB-1の係合によって回転を阻止された第2
サンギヤS2が反力を受け、第2リングギヤR2(R
3)が第2速段に減速回転されて出力軸21に出力す
る。このときのギヤ比は、図3に示すように、第1速段
(1st)より小さくなる。
【0018】第3速段(3rd)は、第1及び第3クラ
ッチC-1,C-3の係合によって達成される。入力軸20の
回転が減速プラネタリギヤG1によって減速された第1
キャリヤC1の回転が、第1及び第3クラッチC-1,C-3
により第3及び第2サンギヤS3,S2に同時に入力さ
れて変速プラネタリギヤGが直結状態となり、第2リン
グギヤR2(R3)が第1キャリヤC1と同一回転数で回
転されて出力軸21に出力する。
【0019】第4速段(4th)は、第1及び第2クラ
ッチC-1,C-2の係合によって達成される。入力軸20の
回転が、第2クラッチC-2により変速プラネタリギヤG
の第2キャリヤC2(C3)に直接入力され、入力軸2
0の回転が減速プラネタリギヤG1によって減速された
第1キャリヤC1の回転が、第1クラッチC-1により変
速プラネタリギヤGの第3サンギヤS3に入力され、第
2リングギヤR2(R3)が入力軸20と第1キャリヤ
C1との中間の回転数に減速されて出力軸21に出力す
る。
【0020】第5速段(5th)は、第2及び第3クラ
ッチC-2,C-3の係合により達成される。入力軸20の回
転が第2クラッチC-2により変速プラネタリギヤGの第
2キャリヤC2(C3)に直接入力され、入力軸20の
回転が減速プラネタリギヤG1によって減速された第1
キャリヤC1の回転が、第3クラッチC-3により変速プ
ラネタリギヤGの第2サンギヤS2に入力され、第2リ
ングギヤR2(R3)が第5速段に増速回転されて出力
軸21に出力する。
【0021】第6速段(6th)は、第2クラッチC-2
と第1ブレーキB-1との係合により達成される。入力軸
20の回転が第2クラッチC-2により変速プラネタリギ
ヤGの第2キャリヤC2(C3)に直接入力され、第1
ブレーキB-1の係合によって回転を阻止された第2サン
ギヤS2が反力を受け、第2リングギヤR2(R3)が
第6速段に増速回転されて出力軸21に出力する。
【0022】後進段(R)は、第3クラッチC-3と第2
ブレーキB-2との係合によって達成される。入力軸20
の回転が減速プラネタリG1によって減速された第1キ
ャリヤC1の回転が、第3クラッチC-3経由で変速プラ
ネタリギヤGの第2サンギヤS2に入力され、第2ブレ
ーキB-2の係合によって回転を阻止された第2キャリヤ
C2(C3)が反力を受け、第2リングギヤR2(R
3)が逆転されて出力軸21に出力する。
【0023】上記自動変速機10においては、第1乃至
第3クラッチC-1〜C-3及び第1ブレーキB-1が係合要素
である。また、走行レンジが選択された状態でブレーキ
の制動力によって車両が第1速段状態で停止し、ニュー
トラル制御されて第1クラッチC-1が解放された状態に
なると第1速段から第2速段が選択されるため発進時に
ブレーキが離された場合、登り坂で車両に後退方向の力
が作用しても第1ブレーキB-1が出力軸21の逆転を阻
止するので、車両は後退することがなく、第1クラッチ
C-1が係合し始めて駆動力を伝達すると第1速段に切り
換えられて車両は円滑に発進する。なお、エンジンブレ
ーキが必要な時には第2ブレーキB-2が係合され、第2
キャリヤC2(C3)が正回転を阻止されて、出力軸2
1からの回転が第3サンギヤS3、第1クラッチC-1、
減速プラネタリG1、トルクコンバータ11を経由して
エンジンに伝達され、エンジンブレーキがかかる。
【0024】次に、第1クラッチC-1の油圧駆動部に給
排される出力油圧を送出する油圧サーボ装置26を図4
に基づいて説明する。25は運転者がシフトレバーを操
作してニュートラルN、前進走行レンジD、後進走行レ
ンジRに手動で切り換えるマニュアルバルブで、ポート
PLにオイルポンプからのライン圧が供給されている。
マニュアルバルブ25が走行レンジにシフトされたとき
ポートPLと連通されるポートDには、第1クラッチC-
1の油圧駆動部に供給される出力油圧を出力する油圧サ
ーボ装置26の増幅弁27の入力ポート28及び切換弁
29のライン圧ポート30が夫々接続されている。31
はオイルポンプからのライン圧が減圧弁を介して供給さ
れるソレノイドモジュレータバルブで、所定圧に制御し
た出力油圧を油圧サーボ装置26のリニアソレノイド調
圧弁32の入力ポート33及び切換弁29のポート34
に供給する。リニアソレノイド調圧弁32は、リニアソ
レノイドSLC-1が後述する制御装置から供給される制御
電流に応じて作動して弁体36を圧縮バネ37のバネ力
とバランスする位置まで移動し、入力ポート33から流
入する所定圧に制御された油圧を絞って制御装置からの
制御電流の増大につれて減少する制御油圧を出力ポート
38に生成する。リニアソレノイド調圧弁32の出力ポ
ート38は、増幅弁27の制御ポート39に接続される
とともに、切換弁29の切替ポート40に接続されてい
る。増幅弁27は、弁体49が制御ポート39から供給
されて弁体49の大径端面に作用するリニアソレノイド
調圧弁32の制御油圧による軸力が弁体49の小径端面
に作用する圧縮バネ41のバネ力とフィードバック油圧
による軸力とが釣り合う位置に移動され、入力ポート2
8に供給されたライン圧を制御電流の増大につれて減少
するリニアソレノイド調圧弁32の制御油圧に応じた出
力油圧Pcを出力し、出力ポート42から切換弁29の入
力ポート43に供給する。切換弁29は、弁体45が図
示右半分位置にシフトされると、入力ポート43を出力
ポート44に連通し、増幅弁27からの出力油圧Pcを第
1クラッチC-1の油圧駆動部に供給し、弁体45が図示
左半分位置にシフトされると、ライン圧ポート30を出
力ポート44に連通し、マニュアルバルブ25のポート
Dからのライン圧を第1クラッチC-1の油圧駆動部に供
給し、第1クラッチC-1をライン圧によって係合状態に
維持する。前進6段の各変速段を成立するために係脱さ
れる第1乃至第3クラッチC-1〜C-3及び第1ブレーキB-
1の各油圧駆動部に油圧を給排する油圧サーボ装置26
の中、第1クラッチC-1以外の係合要素用の油圧サーボ
装置26も第1クラッチC-1用のものと同様の構成であ
るので、図7〜10に示すこれら係合要素を係脱する油
圧回路においては、各係合要素に油圧を給排する油圧サ
ーボ装置26、増幅弁27、切換弁29及びリニアソレ
ノイド調圧弁32に同一参照番号を付して表示し、リニ
アソレノイドについては、SLの後に各係合要素を示す参
照符号を付加してSLC-1,SLC-2,SLC-3,SLB-1と表示し
た。
【0025】自動変速機の制御装置を図5に示すブロッ
ク図に基づいて説明する。CPUを内蔵した制御装置50
は、エンジンの回転が伝達されるトルクコンバータ11
のエンジン側回転数Neを検出するエンジン側回転数セン
サ51、入力軸20の回転数Niを検出する入力軸回転数
センサ52、出力軸21の回転数Nvを検出する出力軸
回転数センサ53、マニュアルバルブ25が走行レンジ
Dにシフトされているか否かを示す信号Drを送出するレ
ンジ位置センサ54、アクセルの踏み込み量Ssを検出す
るスロットル開度センサ55、ブレーキの踏み込み有無
信号Bsを送出するフットブレーキセンサ56及び係合要
素の油圧駆動部に給排される油圧の温度Tを検出する油
温センサ57等から各検出信号が入力され、これら検出
信号に基づいて一の変速段を成立する指令として制御電
流を各油圧サーボ装置26のリニアソレノイド調圧弁3
2のリニアソレノイドに出力するとともに、図6に示す
制御プログラムを実行してギヤエラーを判定するように
なっている。
【0026】次に、本発明に係る実施形態の自動変速機
の制御装置の作動を説明する。フットブレーキが踏まれ
て、マニュアルバルブ25がシフトレバーによりニュー
トラルNにシフトされると、制御装置50は、全ての係
合要素、即ちクラッチC-1〜C-3及びブレーキB-1,B-2を
解放するために、各係合要素に対応する油圧サーボ装置
26の出力油圧Pcを0にする最大制御電流Imaxを各油圧
サーボ装置50のリニアソレノイドSLC-1〜SLC-3,SLB-
1に供給する。これにより、各リニアソレノイド調圧弁
32の弁体36及び増幅弁27の弁体49が図4の左半
分位置にシフトされ、出力ポート38及び出力ポート4
2がタンクに連通されて各出力油圧Pcが0になる。各切
換弁29は、調圧弁32から切替ポート40に供給され
る制御油圧が0になるので、制御油圧と圧縮バネ46の
バネ力との和がソレノイドモジュレータバルブ31から
ポート34に供給される所定圧より小さくなり、弁体4
5が図示右半分位置にシフトされ、油圧駆動部がタンク
に連通されて各係合要素が解放される。運転者はこの状
態でエンジンを始動し、マニュアルバルブ25を走行レ
ンジDにシフトし、ブレーキペダルを離してアクセルを
踏んで発進する。制御装置50は、ND制御を行なってク
ラッチC-1を係合ショックが発生しないように係合し、
第1速段を成立する。即ち、クラッチC-1のクラッチ板
間の隙間を早くつめるために、クラッチC-1用の油圧サ
ーボ装置のリニアソレノイドSLC-1に供給する制御電流
Iをパルス状に低下してクラッチC-1の油圧駆動部にパ
ルス状の初期油圧を供給した後に、制御電流を若干増加
してクラッチC-1がクラッチ板の接触によりスリップを
開始する位置まで油圧駆動部のピストンを移動させるた
めに必要なストローク圧を供給し、次に制御電流Iを漸
減して出力油圧Pcを漸増し、クラッチC-1をショックが
発生しないように係合する。その後に制御電流は0に低
下され、第1クラッチC-1はライン圧によって係合状態
に維持される。ND制御が完了すると、制御装置10は、
車速を示す出力軸21の回転数Nv及びアクセルの踏み
込み量Ss等に応じて変速機構12の変速段を自動的に選
択し、各係合要素を図2に示すように係合、解放して適
切な変速段を成立する。
【0027】このとき一の変速段に切り換える指令に対
して、他の変速段が成立するギヤエラーを検出する制御
プログラムが実行される。第3速段に切り換える指令に
対して1速段、4速段、5速段が成立したか否かチェッ
クしてギヤエラーを判定する図6の第3速段ギヤエラー
制御プログラムに基づいて本発明に係る実施形態の作動
を説明する。走行レンジDが選択されており、ガレージ
制御中でなく、変速制御中でなく、係合要素の油圧駆動
部に給排される油圧の温度が所定温度M℃より高く、出
力軸21の回転数Nvが所定回転数Erpm以上であることが
確認されると(ステップ61〜65)、ギヤエラーの判
定が行なわれる。ガレージ制御中及び変速制御中の場
合、制御中にニュートラル状態になり、油温が所定温度
M℃より低い場合、粘性が高く、制御装置50が出力す
る制御電流Iに応じた出力油圧Pcが油圧サーボ装置26
から各係合要素の油圧制御部に供給されるのに時間遅れ
が生じ、出力軸21の回転数Nvが極めて低速の所定回転
数Erpm以下の場合、出力軸回転数検出センサ53の読取
り誤差が大きくなり、いずれの場合もギヤエラーを誤判
定する可能性があるのでプログラムを終了する(ステッ
プ80)。ギヤエラーの判定は、一の変速段を成立する
指令が送出されているとき、入力軸回転数センサ52に
よって検出された入力軸20の回転数Niと出力軸回転数
センサ53によって検出された出力軸21の回転数Nvか
ら実際のギヤ比Grが、式Gr=Ni/Nvによってステップ6
6で算出される。実際のギヤ比Ni/Nvが、他の変速段で
ある第1、第4又は第5変速段のギヤ比を基準に設定さ
れたギヤエラー判定領域に、所定時間以上入ったか否か
がステップ67〜69で検出される。本実施形態では、
ギヤエラー判定領域は、図11に示すように、第1、第
4及び第5変速段の各ギヤ比に対して±L%以内の領域
に設定されている。ここでギヤ比±L%以内の領域と
は、出力軸回転数Nvに応じたギヤ比Grに所定の割合L%
を乗じた値を、該ギヤ比Grに加算及び減算して、該ギヤ
比Grを中心とした所定幅を持った範囲が設定されること
により決まる領域である。より具体的には、出力軸回転
数Nvに応じた入力軸回転数Niに所定の割合L%を乗じた
値を、該入力軸回転数Niに加算及び減算して、該入力軸
回転数Niを中心とした所定幅をもった範囲が設定される
ことにより決まる領域である。このようにギヤエラー判
定領域を各ギヤ比±L%に設定したので、車速が小さく
なるに従い、判定領域も小さくなるため、誤判定が少な
くすることができる。しかしながら、ギヤエラー判定領
域の設定は、例えば車速が高くなると判定領域を広くす
るために、出力軸21の回転数Nvが一定値以上になると
割合をL%から(L+α)%にしてもよく、また各変速段
毎に回転数Nvに対応してギヤ比の判定領域をマップにし
て登録しておいてもよい。ステップ67〜69のいずれ
かで実際のギヤ比Grが、ギヤエラー判定領域に、所定時
間以上入ったことが検出されると、以降のステップでギ
ヤエラーの有無が判定される。
【0028】実際のギヤ比Grが、第1、第4及び第5変
速段の各ギヤ比を基準に設定されたギヤエラー判定領域
に入っているか否かチェックする理由は、2個の係合要
素が指令された第3速段に対して同時に誤作動すること
は少ないと考えられるので、実際のギヤ比Grと、1個の
係合要素の誤作動により成立し得る全ての変速段である
の第1、第4及び第5変速段の各ギヤ比とのズレをチェ
ックしてギヤエラーの有無を判断している。第3速段を
成立する指令が送出されたとき、第3速段を成立するた
めに係脱される第1乃至第3クラッチC-1〜C-3及び第1
ブレーキB-1の中の1個の係合要素が指令された状態と
異なる状態に誤作動したことにより成立し得る全ての変
速段は、ニュートラルから第3速段に入れるときに係合
すべき第3クラッチの誤解放により成立される第1速
段、第4速段から第3速段に切り換えるときに解放され
るべき第2クラッチC-2の誤係合により成立が継続され
る第4速段、及び第5速段から第3速段に切り換えると
きに解放されるべき第2クラッチC-2の誤係合により成
立が継続される第5速段である。
【0029】即ち、第3速段を成立する指令が送出され
ると、ギヤエラーがない正常時は、図7に示すように、
第1及び第3クラッチC-1,C-3用の油圧サーボ装置26
のリニアソレノイドSLC-1,SLC-3が無勢され、他のリニ
アソレノイドSLC-2,SLB-1は付勢されるので、第1クラ
ッチC-1は、マニュアルバルブ25のポートDからの油
圧がカットオフ弁75及び切換弁29を通って油圧駆動
部に供給されて係合され、第3クラッチC-3は、ポートP
Lからの油圧がカットオフ弁76、第1ブレーキB-1用の
切換弁29の弁部77及び第3クラッチC-3用の切換弁
29を通って油圧駆動部に供給されて係合される。カッ
トオフ弁75は、第2クラッチC-2用の油圧サーボ装置
26の出力油圧Pcが高く、且つ第3クラッチC-3用の油
圧サーボ装置26の出力油圧Pc又は第1ブレーキB-1用
の油圧サーボ装置26の出力油圧Pcが高い条件が成立す
ると油路を遮断し、成立しないと油路を連通する。カッ
トオフ弁76は、第1及び第2クラッチC-1,C-2用の油
圧サーボ装置26の出力油圧Pcが共に高い条件が成立す
ると油路を遮断し、成立しないと油路を連通する。第1
ブレーキB-1及び第3クラッチC-3用の切換弁29は、リ
ニアソレノイド調圧弁32の制御圧力が高いときに互い
に連通されるライン圧ポート30と出力ポート44の他
に、リニアソレノイドが付勢されて制御圧力が低下した
ときに弁体45のシフトにより連通される弁部77,7
8が並設されている。ニュートラルから第3速段を成立
する指令に対してリニアソレノイドSLC-3が誤って付勢
されると、図8のようにリニアソレノイド調圧弁32の
制御油圧が低下し、切換弁29が切り換わって油圧サー
ボ装置26の出力油圧Pcが0になり、第3クラッチC-3
が解放されて第1速段が成立する。
【0030】第3速段を成立する指令に対して第1速段
が成立するのは、上述のように制御装置50が、第3速
段を成立するための指令としてリニアソレノイドSLC-3
に制御電流0を送出するのに対し、誤って最大制御電流
Imaxを送出した場合の他に、第3クラッチC-3用の油圧
サーボ装置26のリニアソレノイド調圧弁32、切換弁
29等の弁体36,45が異物などによりスティック
し、制御電流がゼロであるにも拘わらず油圧サーボ装置
26から出力油圧Pcが送出されず第3クラッチC-3が正
常に係合されない場合にも発生する。
【0031】第4速段から第3速段への変換が指令され
たとき、付勢されるべきリニアソレノイドSLC-2が付勢
されずに第2クラッチC-2用の油圧サーボ装置26の出
力油圧Pcが低下されないと、第4速段が成立していると
きにカットオフ弁76は、図9に示すように、第1及び
第2クラッチC-1,C-2用の油圧サーボ装置26の出力油
圧Pcが共に高くなって油路を遮断する状態に切り換えら
れているので、切替え指令によりリニアソレノイドSLC-
3が無勢されて切換弁29がライン圧ポート30と出力
ポート44とを連通しても、カットオフ弁76がマニュ
アルバルブ26のポートPLとライン圧ポート30との連
通を遮断する。これにより第3クラッチC-3は、油圧サ
ーボ装置26から出力油圧Pcが供給されなくて係合せ
ず、第4速段の成立が維持される。
【0032】第5速段から第3速段への切換えが指令さ
れたとき、付勢されるべきリニアソレノイドSLC-2が付
勢されずに第2クラッチC-2用の油圧サーボ装置26の
出力油圧Pcが低下されないと、第5速段が成立している
ときにカットオフ弁75は、図10に示すように、第2
及び第3クラッチC-2,C-3用の油圧サーボ装置26の出
力油圧Pcが共に高くなって油路を遮断する状態に切り換
えられているので、切換え指令によりリニアソレノイド
SLC-1が無勢されて切換弁29がライン圧ポート30と
出力ポート44とを連通しても、カットオフ弁75がマ
ニュアルバルブ26ポートDとライン圧ポート30との
連通を遮断する。これにより第1クラッチC-1は、油圧
サーボ装置26から出力油圧Pcが供給されなくて係合せ
ず、第5速段の成立が維持される。
【0033】制御装置50は、実際のギヤ比Grが、図1
1に示すような第1変速段のギヤ比±L%以内のギヤエ
ラー判定領域に、所定時間T秒以上継続して入ったか否
かステップ67で検出する。所定時間以上入ったことが
検出されると、それがステップ70でカウントされて第
3速段カウンタが+1される。所定時間以上入らない場
合、実際のギヤ比Grが第4速段のギヤ比±L%以内のギ
ヤエラー判定領域に所定時間以上継続して入ったか否か
ステップ68で検出され、入るとステップ70でカウン
トされて第3速段カウンタが+1される。所定時間以上
入らないと、ステップ69で第5速段のギヤ比±L%以
内のギヤエラー判定領域に所定時間以上継続して入った
か否か検出され、、入るとステップ70でカウントされ
て第3速段カウンタが+1される。所定時間以上入らな
いと、実際のギヤ比が第3速段のギヤエラー判定領域に
所定時間以上入ったことが所定回数Q以上連続して検出
されたか否か判定するためのカウンタJがステップ71
でリセットされ、ステップ80で制御プログラムを終了
する。
【0034】ステップ70で、実際のギヤ比Grがいずれ
かのギヤエラー判定領域に所定時間以上入ったことがカ
ウントされると、ステップ72でカウンタJの内容が+
1され、ステップ73でカウンタJの内容がQ以上か否か
チェックされる。Q以上の場合、第3速段ギヤエラー制
御プログラムの所定回数Q以上の連続した実行において
ステップ70でカウントしたことを意味し、第3速段の
ギヤエラーの可能性が高いことを示す。ステップ70で
のカウントが所定回数Q以上連続して行われた場合、ス
テップ74において第3速段からの変速が禁止される。
このように、変速指令に対して、早い段階でギヤエラー
の可能性を検出してその変速段からの変速を禁止するた
め、異常変速することを防止できる。
【0035】変速禁止を行った後、又はカウンタJの内
容がQ以下の場合、ステップ75で第3速段カウンタの
累積値が所定値K以上か否かチェックされる。所定値K
以上の場合は、実際のギヤ比Grが、他の変速段のギヤ比
±L%のギヤエラー判定領域に、所定時間以上入ったこ
とをカウントされた累積値が所定値K以上となり、ステ
ップ76でギヤエラーと判定される。このように、実際
のギヤ比Grがギヤエラー判定領域に所定時間以上継続し
て入ったことをカウントした累積値が、所定値以上にな
ったことを検出することによってギヤエラーと判定する
ので、回転数センサの読取り誤差が大きい低回転数領域
において、出力軸21の回転数Nvの読取り誤差が大きく
実際のギヤ比Grがふらついて他の変速段のギヤ比を基準
にして設定されたギヤエラー判定領域に入るが、ギヤエ
ラーでない場合は所定時間以上継続して入ることはない
ので、ギヤエラーを正確、且つ確実に判定することがで
きる。さらに、所定時間以上継続して入ったことをカウ
ントした累積値が、所定値以上になるとギヤエラーと判
定するので、ギヤエラーと誤判定することを確実に防止
することができる。
【0036】累積値が所定値を超えない場合、ステップ
77で出力軸21の回転数Nvが所定回転数Frpm以上か
否かチェックされ、以上の場合はステップ61に戻さ
れ、未満の場合はステップ78で変速禁止が解除され、
ステップ79でカウンタJがリセットされてステップ6
1に戻される。第3速段ギヤエラー制御プログラムは、
第3速段から他の変速段に切り換える指令が送出される
と終了するが、第3速段カウンタは変速が起きてもリセ
ットされず、イグニション電源が切られるまで累積値は
保持され、走行中に第3速段が再び成立されて第3速段
ギヤエラー制御プログラムが実行されると累積値は加算
されていく。他の変速段のギヤエラー制御プログラムも
同様であるので説明は省略する。
【0037】上記実施形態では、実際のギヤ比Grが、他
の変速段のギヤ比を基準に設定されたギヤエラー判定領
域に、所定時間継続して入ったことをカウントした累積
値が所定値以上になったことを検出することによって、
実際のギヤ比Grがギヤエラー判定領域に、所定時間以上
入ったことを検出しているが、実際のギヤ比Grがギヤエ
ラー判定領域に入っている時間をタイマで計測すること
によって、所定時間以上入ったか否かを検出するように
してもよい。
【0038】また、実際のギヤ比Grがギヤエラー判定領
域に、所定時間以上入ったことを検出する際に、継続的
に所定時間以上入ったことを検出するようにしてもよい
し、実際のギヤ比Grが一時的に判定領域から外れて再び
判定領域に入った場合のように、断続的に判定領域に入
った場合には、判定領域に入った各時間の合計値によ
り、所定時間以上入ったことを検出するようにしてもよ
い。
【0039】上記実施形態においては、入力軸20の回
転数Niと出力軸21の回転数Nvから実際のギヤ比を求
め、実際のギヤ比が、他の変速段のギヤ比を基準に設定
されたギヤエラー判定領域に、所定時間以上入った場
合、ギヤエラーと判定しているが、一の変速段を成立す
る指令に対して、入力軸回転数センサ52によって検出
された入力軸20の回転数Niが、出力軸回転数センサ5
3によって検出された出力軸21の回転数Nvと他の変速
段のギヤ比とから求められた値を基準に設定されたギヤ
エラー判定領域に、所定時間以上入ったか否かを検出す
る手段と、所定時間以上入ったことを検出すると、ギヤ
エラーと判定する手段を設けるようにしてもよい。
【0040】入力軸20の回転数Niが、出力軸21の回
転数Nvに指令された第5速段のギヤ比Gr5を乗じた理想
回転数より大きいか否か判定しているが、入力軸回転数
センサ62、出力軸回転数センサ63によって検出され
た入力軸20の回転数Niと出力軸21の回転数Nvとの比
を実際のギヤ比として演算し、この実際のギヤ比が指令
された第5速段のギヤ比Gr5より大きいか否か判定する
ようにしてもよい。
【0041】さらに、上記実施形態では、実際のギヤ比
Grが、一の変速段を成立するために係脱される複数の係
合要素の中の1個の係合要素が誤作動したことにより成
立し得る各変速段のギヤ比を基準に設定されたギヤエラ
ー判定領域のいずれかの判定領域に所定時間入ることを
検出してギヤエラーを判定しているが、実際のギヤ比Gr
が、一の変速段以外の全ての変速段のいずれかの変速段
のギヤ比を基準に設定されたギヤエラー判定領域に所定
時間入ったか否かチェックしてギヤエラーを判定するよ
うにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る自動変速機の制御装置により制
御される自動変速機のスケルトン図。
【図2】 自動変速機の各変速段におけるクラッチ、ブ
レーキの係合表。
【図3】 自動変速機の各変速段におけるプラネタリギ
ヤの各要素の回転数比を示す速度線図。
【図4】 第1クラッチC-1を係脱する油圧サーボ装置
を示す図。
【図5】 自動変速機の制御装置を示すブロック図。
【図6】 制御プログラムのフロー図。
【図7】 第3速段が正常に成立している状態の油圧回
路図。
【図8】 第3速段の指令に対して第1速段が成立した
状態を示す油圧回路図。
【図9】 第3速段の指令に対して第4速段が成立した
状態を示す油圧回路図。
【図10】第3速段の指令に対して第5速段が成立した
状態を示す油圧回路図。
【図11】第3速段の指令に対して第1、第4、第5速
段の成立によるギヤエラーの判定を説明する図。
【図12】従来のギヤエラーの判定を説明する図。
【符号の説明】
10・・・自動変速機、11・・・トルクコンバータ
(流体伝動装置)、12・・・変速機構、20・・・入
力軸、21・・・出力軸、25・・・マニュアルバル
ブ、26・・・油圧サーボ装置、27・・・増幅弁、2
9・・・切換弁、32・・・リニアソレノイド調圧弁、
SLC-1〜SLC-3,SLB-1・・・リニアソレノイド、36,
49・・・弁体、50・・・制御装置、51・・・エン
ジン側回転数センサ、52・・・入力軸回転数センサ、
53・・・出力軸回転数センサ、54・・・レンジ位置
センサ、55・・・スロットル開度センサ、56・・・
フットブレーキセンサ、57・・・油温センサ、C-1・
・・第1クラッチ、C-2・・・第2クラッチ、C-3・・・
第3クラッチ、B-1・・・第1ブレーキ、B-2・・・第2
ブレーキ、75,76・・・カットオフ弁。
フロントページの続き (72)発明者 早渕 正宏 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 (72)発明者 西田 正明 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 (72)発明者 筒井 洋 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 Fターム(参考) 3J552 MA01 MA02 MA12 NA01 NB01 PB02 PB05 PB06 SA01 SB12 VA32W VA37W VA74W

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力軸の回転を変速して出力軸に出力す
    る変速機構と、該変速機構の各変速段を成立するために
    係脱される複数の係合要素と、ソレノイド弁に供給され
    る電気信号に応じた出力油圧を給排して前記係合要素を
    夫々係脱させる複数の油圧サーボ装置と、前記入力軸及
    び出力軸の回転数を夫々検出する入力軸回転数検出装置
    及び出力軸回転数検出装置とを備えた自動変速機の制御
    装置において、一の変速段を成立する指令に対して、検
    出された入力軸の回転数と出力軸の回転数から実際のギ
    ヤ比を求める手段と、該実際のギヤ比が、他の変速段の
    ギヤ比を基準に設定されたギヤエラー判定領域に、所定
    時間以上入ったか否かを検出する手段と、所定時間以上
    入ったことを検出すると、ギヤエラーと判定する手段を
    備えることを特徴とする自動変速機の制御装置。
  2. 【請求項2】 入力軸の回転を変速して出力軸に出力す
    る変速機構と、該変速機構の各変速段を成立するために
    係脱される複数の係合要素と、ソレノイド弁に供給され
    る電気信号に応じた出力油圧を給排して前記係合要素を
    夫々係脱させる複数の油圧サーボ装置と、前記入力軸及
    び出力軸の回転数を夫々検出する入力軸回転数検出装置
    及び出力軸回転数検出装置とを備えた自動変速機の制御
    装置において、一の変速段を成立する指令に対して、検
    出された入力軸の回転数と出力軸の回転数から実際のギ
    ヤ比を求める手段と、該実際のギヤ比が、他の変速段の
    ギヤ比を基準に設定されたギヤエラー判定領域に、所定
    時間継続して入ったか否かを検出する手段と、所定時間
    継続して入ったことをカウントする手段と、該カウント
    の累積値が所定値以上になると、ギヤエラーと判定する
    手段を備えることを特徴とする自動変速機の制御装置。
  3. 【請求項3】 入力軸の回転を変速して出力軸に出力す
    る変速機構と、該変速機構の各変速段を成立するために
    係脱される複数の係合要素と、ソレノイド弁に供給され
    る電気信号に応じた出力油圧を給排して前記係合要素を
    夫々係脱させる複数の油圧サーボ装置と、前記入力軸及
    び出力軸の回転数を夫々検出する入力軸回転数検出装置
    及び出力軸回転数検出装置とを備えた自動変速機の制御
    装置において、一の変速段を成立する指令に対して、検
    出された入力軸の回転数と出力軸の回転数から実際のギ
    ヤ比を求める手段と、該実際のギヤ比が、他の変速段の
    ギヤ比を基準に設定されたギヤエラー判定領域に、所定
    時間継続して入ったか否かを検出する手段と、所定時間
    継続して入ったことをカウントする手段と、所定回数以
    上連続してカウントした場合、前記一の変速段からの変
    速を禁止する手段を備えることを特徴とする自動変速機
    の制御装置。
  4. 【請求項4】 他の変速段のギヤ比を基準に設定された
    ギヤエラー判定領域は、他の変速段のギヤ比±L%以内
    の領域であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれ
    かに記載の自動変速機の制御装置。
  5. 【請求項5】 前記他の変速段が、前記一の変速段を成
    立する指令に対して前記複数の係合要素の中の1個の係
    合要素の誤作動により成立され得る全ての変速段のいず
    れかであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか
    に記載の自動変速機の制御装置。
  6. 【請求項6】 入力軸の回転を変速して出力軸に出力す
    る変速機構と、該変速機構の各変速段を成立するために
    係脱される複数の係合要素と、ソレノイド弁に供給され
    る電気信号に応じた出力油圧を給排して前記係合要素を
    夫々係脱させる複数の油圧サーボ装置と、前記入力軸及
    び出力軸の回転数を夫々検出する入力軸回転数検出装置
    及び出力軸回転数検出装置とを備えた自動変速機の制御
    装置において、一の変速段を成立する指令に対して、検
    出された入力軸の回転数が、検出された出力軸の回転数
    と他の変速段のギヤ比とから求められた値を基準に設定
    されたギヤエラー判定領域に、所定時間以上入ったか否
    かを検出する手段と、所定時間以上入ったことを検出す
    ると、ギヤエラーと判定する手段を備えることを特徴と
    する自動変速機の制御装置。
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