JP2003254264A - スクロ−ル圧縮機 - Google Patents

スクロ−ル圧縮機

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JP2003254264A
JP2003254264A JP2002059927A JP2002059927A JP2003254264A JP 2003254264 A JP2003254264 A JP 2003254264A JP 2002059927 A JP2002059927 A JP 2002059927A JP 2002059927 A JP2002059927 A JP 2002059927A JP 2003254264 A JP2003254264 A JP 2003254264A
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scroll component
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JP2002059927A
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English (en)
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裕文 ▲よし▼田
Hirofumi Yoshiden
Masahiro Tsubokawa
正浩 坪川
Atsushi Sakuta
作田  淳
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固定スクロ−ル部品の外周部の凹部で摺動損
失低減を図っているが中心部付近での潤滑が不十分であ
った。 【解決手段】 固定スクロ−ル部品のラップ上面にも凹
部を設け、固定スクロ−ル部品中心部付近の摺動面での
オイルの保持力を高めることによってさらなる摺動損失
低減を実現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空調機、冷凍機等
に使用されるスクロ−ル圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図1に示すように鏡板上に渦巻きラップ
を形成した固定スクロ−ル部品と旋回スクロ−ル部品を
かみ合わせ複数の圧縮室を形成し、旋回スクロ−ル部品
背面に一定圧を印加することで両スクロ−ル部品の鏡板
部を接触させ、旋回スクロ−ル部品に偏心部を有するク
ランクシャフトを連結させ、オルダムリングを用いて自
転を防止し旋回運動をさせることで、中心に向かって容
積を減少させながら圧縮を行っていくスクロ−ル圧縮機
において、固定スクロ−ル部品と旋回スクロ−ル部品は
運転中常に接触摺動しているためその接触面で摩擦が生
じ摺動損失となって駆動力増大の原因となっている。
【0003】このような問題を解決するために、例えば
特公平1−34313では図10のように固定スクロ−
ル部品101の摺動面102を、固定スクロ−ル部品の
縁101aに沿ったリング状に形成し、その外側に凹部
103を設けることで、旋回スクロ−ル部品との接触面
積が小さくなり、摺動損失を低減できる。また凹部を設
けることで、オイルで充満した環状空間が形成され、運
転中において、旋回スクロ−ル部品外周部がその環状空
間内に出入りし、オイルが常に付着するため、摺動面へ
の給油が可能となる。また同時に旋回スクロ−ル部品の
外周に溜まったオイルの攪拌損失を低減できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術では、固定
スクロ−ル部品の外周部に凹部が設けられているため、
固定スクロ−ル部品中心部付近の摺動面への給油が困難
であり、十分な摺動損失低減を行うことができなかっ
た。本発明は、固定スクロ−ル部品のラップ上面にも凹
部を設け、固定スクロ−ル部品中心部付近の摺動面での
オイルの保持力を高めることによってさらなる摺動損失
低減を実現できるスクロ−ル圧縮機の提供を目的とした
ものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本願請求項1記載の発明は、固定スクロ−ル部品のラ
ップ上面にラップ曲線に沿うようにして凹部を設けるも
のである。請求項2記載の発明は、固定スクロ−ル部品
のラップ上面にラップ曲線に沿うようにして2本以上の
凹部を設けるものである。請求項3記載の発明は、固定
スクロ−ル部品のラップ上面にラップ曲線に沿うように
してラップ巻き始め部から巻き終わり部まで複数個の凹
部を断続的に形成したものである。請求項4記載の発明
は、固定スクロ−ル部品のラップ上面に円形状の凹部を
複数個配設したものである。 請求項5記載の発明は、
固定スクロ−ル部品のラップ上面の表面粗さをRa0.
1以上に仕上げたものである。請求項6記載の発明は、
請求項1乃至5記載の発明において、固定スクロ−ル部
品の凹部または表面粗さをRa0.1以上に仕上げた部
分の幅を固定スクロ−ル部品のラップ厚みの2/3以下
としたものである。
【0006】請求項7記載の本発明は、請求項1乃至5
記載の発明において、固定スクロ−ル部品の凹部または
表面粗さをRa0.1以上に仕上げた部分の両端部と前
記固定スクロ−ル部品のラップ両端部との間にラップ厚
みの1/6以上のシ−ル部を設けたものである。請求項
8記載の発明は、請求項1乃至4記載の発明において、
固定スクロ−ル部品のラップ溝深さをHとすると、前記
固定スクロ−ル部品の凹部の深さを 0.01mm以上か
つH/5以下としたものである。
【0007】請求項9記載の発明は、請求項1乃至4記
載の発明において、固定スクロ−ル部品凹部の深さ方向
断面形状を円弧状としたものである。請求項10記載の
発明は、請求項1乃至4記載の発明において、固定スク
ロ−ル部品凹部の深さ方向断面形状を矩形状としたもの
である。請求項11記載の発明は、請求項5記載の発明
において、固定スクロ−ル部品のラップ上面に表面処理
を施したものである。
【0008】請求項12記載の発明は、請求項5記載の
発明において、固定スクロ−ル部品のラップ上面にタ−
レット加工を施したものである。請求項13記載の発明
は、請求項5記載の発明において、固定スクロ−ル部品
のラップ上面にエンボス加工を施したものである。請求
項14記載の発明は、請求項5記載の発明において、固
定スクロ−ル部品のラップ上面を多孔質体にて構成した
ものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本願請求項1記載の発明は、固定
スクロ−ル部品のラップ上面に、前記ラップ曲線に沿う
ようにして凹部を設けるものである。そしてこの構成に
よれば、固定スクロ−ル部品中心部付近の摺動面でのオ
イルの保持力を高めることができ、外周部付近と比較し
てスラスト力のより大きな中心部付近における摺動損失
の低減による性能向上が図れると同時に金属接触による
旋回スクロ−ル部品および固定スクロ−ル部品の摩耗を
低減し、信頼性の向上を図ることができる。さらに、オ
イルシ−ル性の向上により圧縮室間の冷媒漏れを少なく
することにより漏れ損失の低減を図ることもできる。
【0010】請求項2記載の発明は、固定スクロ−ル部
品のラップ上面に、前記ラップ曲線に沿うようにして2
本以上の凹部を設けるものである。そしてこの構成によ
れば、固定スクロ−ル部品ラップ上面での保持オイル量
をより多くすることができ、一層の性能・信頼性向上を
実現することができる。
【0011】請求項3記載の発明は、固定スクロ−ル部
品のラップ上面に、前記ラップ曲線に沿うようにしてラ
ップ巻き始め部から巻き終わり部まで複数個の凹部で断
続的に形成されたものである。そしてこの構成によれ
ば、凹部の加工時間を短縮できるためコスト低減を図る
ことができる。また、スラスト力の大きな位置付近にの
み凹部を設けることにより無駄な保持オイルを無くし、
オイルによる粘性損失を低減することができる。
【0012】請求項4記載の発明は、固定スクロ−ル部
品のラップ上面に、円形状の前記凹部を複数個配設した
ものである。そしてこの構成によれば、円形状凹部の密
度を変化させることによりラップの巻き始め部から巻き
終わり部まで局所的にオイルの保持量を最適化すること
ができる。また、ポンチなどの加工方法によると凹部の
加工時間を短縮できコスト低減を図ることができる。
【0013】請求項5記載の発明は、固定スクロ−ル部
品のラップ上面の表面粗さをRa0.1以上に仕上げた
ものである。そしてこの構成によれば、切削による凹部
の加工では困難な凹部形状・深さなどを実現することが
できオイル保持量の詳細な最適化が可能である。また、
固定スクロ−ル部品のスラスト面加工時に表面粗さをR
a0.1以上に仕上げることにより凹部を切削加工する
場合と比較して加工時間を短縮することができる。
【0014】請求項6記載の発明は、請求項1から5記
載の発明において、固定スクロ−ル部品の凹部または表
面粗さをRa0.1以上に仕上げた部分の幅を前記固定
スクロ−ル部品のラップ厚みの2/3以下としたもので
ある。そしてこの構成によれば、固定スクロ−ル部品ラ
ップ上面の凹部以外の部分での油膜形成を十分確保する
ことができ圧力室間の冷媒漏れによる漏れ損失低減が可
能である。
【0015】請求項7記載の発明は、請求項1から5記
載の発明において、固定スクロ−ル部品の凹部または表
面粗さをRa0.1以上に仕上げた部分の両端部と前記
固定スクロ−ル部品のラップ両端部との間にラップ厚み
の1/6以上のシ−ル部を設けたものである。そしてこ
の構成によれば、固定スクロ−ル部品ラップ巻き始め部
および巻き終わり部上面の平面部での油膜形成を十分確
保することができ圧力室間の冷媒漏れによる漏れ損失低
減が可能である。
【0016】請求項8記載の発明は、請求項1から4記
載の発明において、固定スクロ−ル部品のラップ溝深さ
をHとすると、前記固定スクロ−ル部品の凹部の深さを
0.01mm以上かつHの5分の1以下としたものであ
る。そしてこの構成によれば、凹部深さが浅すぎること
によるオイル保持力の低下を防ぐことができると同時
に、凹部深さが深すぎることによるラップ高さ方向の真
直度の悪化を避けることができ、圧力室間の冷媒漏れに
よるさらなる漏れ損失の発生を防止することができる。
【0017】請求項9記載の発明は、請求項1から4記
載の発明において、固定スクロ−ル部品の凹部の深さ方
向断面形状を円弧状としたものである。そしてこの構成
によれば、固定スクロ−ル部品の凹部と平面部との境界
線部が鈍角になり、加工後のバリの発生を抑制すること
ができる。
【0018】請求項10記載の発明は、請求項1から4
記載の発明において、固定スクロ−ル部品の凹部の深さ
方向断面形状を矩形状としたものである。そしてこの構
成によれば、凹部の深さおよび幅を高精度に管理するこ
とができるため、オイル保持量のより詳細な最適化が可
能である。
【0019】請求項11記載の発明は、請求項5記載の
発明において、固定スクロ−ル部品のラップ上面に表面
処理を施したものである。そしてこの構成によれば、オ
イルの保持力を向上させるとともに材料硬度の向上も可
能となり、圧縮機の信頼性をより高めることができる。
【0020】請求項12記載の発明は、請求項5記載の
発明において、固定スクロ−ル部品のラップ上面にタ−
レット加工を施したものである。そしてこの構成によれ
ば、固定スクロ−ル部品のラップ上面の表面粗さが切削
加工や表面処理などでは実現困難な場合に適用が可能で
ある。
【0021】請求項13記載の発明は、請求項5記載の
発明において、固定スクロ−ル部品のラップ上面にエン
ボス加工を施したものである。そしてこの構成によれ
ば、固定スクロ−ル部品のラップ上面の表面粗さが切削
加工や表面処理などでは実現困難な場合に適用が可能で
ある。
【0022】請求項14記載の発明は、請求項5記載の
発明において、固定スクロ−ル部品のラップ上面を多孔
質体にて構成したものである。そしてこの構成によれ
ば、固定スクロ−ル部品のラップ上面へ定常的に適量の
オイルを供給できるため、オイル保持量は十分に確保し
ながらオイルの過剰供給による圧縮効率の低下を防ぐこ
とができる。
【0023】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて
説明する。
【0024】(実施の形態1)図1は本願発明の実施の
形態1におけるスクロ−ル圧縮機の断面図である。吸入
管1より吸い込まれた冷媒ガスは固定スクロ−ル部品2
の吸入室3を経て、旋回スクロ−ル部品4とかみ合わさ
れてできる圧縮室5に閉じ込められ、中心に向かって容
積を減少させながら圧縮され、吐出ポ−ト6より吐出さ
れる。固定スクロ−ル部品2と軸受7に囲まれて形成さ
れる背圧室8は高低圧の中間の圧力となっており、背圧
調整機構9によりこの中間圧を一定圧となるよう制御す
る。背圧調整機構9は、背圧室8から固定スクロ−ル部
品2の内部を通って吸入室3へと連通している通路10
に、バルブ11を設けたもので、背圧室8の圧力が設定
圧力より高くなるとバルブ11が開き、背圧室8のオイ
ルが吸入室3へと供給され、背圧室内を一定の中間圧に
維持している。
【0025】そして吸入室3へと供給されたオイルは旋
回運動とともに圧縮室5へと移動しながらラップ全体へ
と供給され、オイルシ−ルによって圧縮室間の冷媒漏れ
を防止している。さらに旋回スクロ−ル部品4の背面に
前述の中間力が印加されることによって、運転中に固定
スクロ−ル部品2と旋回スクロ−ル部品4が離れる転覆
現象を抑え、圧縮室間の冷媒漏れを防止している。旋回
スクロ−ル部品4は固定スクロ−ル部品2に押さえつけ
られて旋回運動を行うため、固定スクロ−ル部品2と旋
回スクロ−ル部品4の摺動面のオイル潤滑が重要とな
り、オイルによる潤滑性およびシ−ル性を向上させるこ
とによって入力の低減を図ることができる。
【0026】図2は固定スクロ−ル部品2の平面図であ
る。固定スクロ−ル部品2の摺動面であるラップ上面1
2にラップ曲線13に沿うように凹部14を設ける。た
だしラップ上面12にはラップ外壁側15およびラップ
内壁側16の両側に平面部17を確保し、圧縮室間の冷
媒のシ−ル部を設けなければならない。この構成によ
り、面圧の高い固定スクロ−ル部品2中心部付近におけ
るスラスト摺動損失を低減すると同時に金属接触回避に
よる信頼性の向上および圧縮室間のシ−ル性向上による
漏れ損失の低減を実現することができ、圧縮機の高効率
化、長寿命化が可能である。
【0027】(実施の形態2)本発明実施の形態1では
固定スクロールラップ上面にラップ曲線に沿って1本の
凹部を形成したが、実施の形態2ではラップ上面にラッ
プ曲線に沿って複数本の凹部を形成する。この構成にお
いても実施の形態1と同様にラップ上面12に平面部を
確保しなければならない。これにより固定スクロ−ル部
品のラップ上面におけるオイル保持量が増加し、性能お
よび信頼性の一層の向上が実現できる。
【0028】(実施の形態3)本発明実施の形態3につ
いて図面に基づいて説明する。図3に示す固定スクロ−
ル部品2のラップ曲線13に沿ってラップ巻き始め部か
ら巻き終わり部まで複数個の凹部14で断続的に形成さ
れたものである。凹部14の加工時間短縮によるコスト
低減のほか、ラップ上面12の摺動損失の大きな位置に
のみ凹部14を設けることにより無駄な保持オイルを無
くし、オイルによる粘性損失を低減することができ、簡
単な構成および手法で最適化を行うことが可能である。
【0029】(実施の形態4)本発明実施の形態4につ
いて図面に基づいて説明する。図4に示す固定スクロ−
ル部品2のラップ上面12に、ディンプル状の微小な凹
部14を複数個配設する。このディンプルの密度を変化
させることによりラップの巻き始め部18から巻き終わ
り部19まで局所的にオイルの保持量を変化させること
ができ、摺動損失および粘性損失の最適化を行うことが
できる。また、ポンチなどの加工方法によると凹部の加
工時間を短縮できコスト低減を図ることができる。
【0030】(実施の形態5)本発明実施の形態5につ
いて図面に基づいて説明する。図5に示す固定スクロ−
ル部品2のラップ上面12の表面粗さをRa0.1以上
に仕上げることにより、オイル保持量をできる限り少な
くすることができるとともに、切削による凹部の加工で
は困難な凹部形状・深さなどが実現可能である。また、
固定スクロ−ル部品2のスラスト面20加工にて表面粗
さをRa0.1以上確保すれば凹部のみを加工する時間
を省略可能であり、時間短縮による量産効果が見込め
る。
【0031】(実施の形態6)本発明実施の形態6につ
いて図面に基づいて説明する。図2に示す固定スクロ−
ル部品2の凹部14の幅をラップ厚みの2/3以下とす
ることにより、ラップ平面部17での油膜形成を十分確
保することができ圧力室間の冷媒漏れによる漏れ損失の
防止ならびに低減が可能である。したがってラップ外壁
15とラップ内壁16とを横断するような凹部は冷媒漏
れの原因となるため不可である。
【0032】(実施の形態7)本発明実施の形態7につ
いて図面に基づいて説明する。図2に示す固定スクロ−
ル部品2の凹部14の両端部と前記固定スクロ−ル部品
のラップ両端部との間にラップ厚みの1/6以上のシ−
ル部18t、19tを設ける。これらのシ−ル部18t、
19tでの油膜形成を十分確保することができ圧力室間
の冷媒漏れによる漏れ損失低減が可能である。また、シ
−ル部18t、19tは冷媒の漏れ込みが大きいいずれか
一方のみに設けても問題ない。
【0033】(実施の形態8)本発明実施の形態8につ
いて図面に基づいて説明する。図6に示す固定スクロ−
ル部品のラップ溝深さをHmmとすると、凹部の深さ14h
を 0.01mm以上H/5mm以下とする。凹部深さ14h
が浅すぎた場合、オイルの保持量が低下し、摺動損失が
増大する原因となる。一方、凹部深さ14hが深すぎた
場合、加工時のスプリングバックなどによってラップ高
さ方向の真直度が悪化し、圧力室間の冷媒漏れが大きく
なる。そこで凹部深さ14hを適度に設定することによ
ってさらなる漏れ損失の発生を防止することができる。
【0034】(実施の形態9)本発明実施の形態9につ
いて図面に基づいて説明する。図6に示す固定スクロ−
ル部品の凹部14の断面形状を円弧状とすることで、凹
部14と平面部17との境界が鈍角になり、加工後のバ
リの発生を抑制することができる。
【0035】(実施の形態10)本発明実施の形態10
について図面に基づいて説明する。図7に示す固定スク
ロ−ル部品の凹部14の断面形状を矩形状とすること
で、凹部14の深さ14hおよび幅14tを高精度に管理
することができ、オイル保持量のより詳細な最適化が可
能である。
【0036】(実施の形態11)本発明実施の形態11
について図面に基づいて説明する。図5に示す固定スク
ロ−ル部品2のラップ上面12に表面処理を施してオイ
ルの保持力を向上させ、同時に材料硬度の向上も可能と
なる。表面処理はスラスト面20全体に施してもよい。
なお、表面処理の種類としては母材がアルミニウムであ
ればアルマイト処理等の表面硬質化処理、鉄係材料であ
れば焼入れ、窒化処理、浸炭処理、ショットピーニング
処理等の表面を硬化させる処理であればいずれの種類で
も可能である。
【0037】(実施の形態12)本発明実施の形態12
について図面に基づいて説明する。図8に示す固定スク
ロ−ル部品2のラップ上面12にタ−レット加工を施す
ことで、切削加工や表面処理などでは実現困難なラップ
上面12の表面粗さを実現できる。この場合、凹部14
がラップ外壁15からラップ内壁16まで幅方向に跨ぐ
構成となるが、凹部14の深さを微小とすることにより
圧縮室間の冷媒漏れ込みを最小限にとどめることができ
る。
【0038】(実施の形態13)本発明実施の形態13
について図面に基づいて説明する。図9に示す固定スク
ロ−ル部品2のラップ上面12にエンボス加工を施すこ
とで、切削加工や表面処理などでは実現困難なラップ上
面12の表面粗さを実現できると同時に、凹部14がラ
ップ外壁15からラップ内壁16まで幅方向に跨ぐこと
はないため圧縮室間の冷媒漏れ込みを防止することがで
きる。
【0039】(実施の形態14)本発明実施の形態14
について図面に基づいて説明する。図5に示す固定スク
ロ−ル部品2のラップ上面12を多孔質体にて構成し、
多孔質体の含油特性を利用する。ラップ上面12へ定常
的に適量のオイルを供給できるため、オイル保持量は十
分に確保しながらオイルの過剰供給による圧縮効率の低
下を防ぐことができる。多孔質体には焼結材料が好適で
あるがセラミックなどの焼き物材料も利用可能である。
また、多孔質体を使用する部位はラップ上面12のみで
ある必要はなく、スラスト面20または固定スクロ−ル
部品2全体を多孔質体とすることにより、加工時間の短
縮ならびにスラスト面20全体における摺動損失の低減
を図ることができる。
【0040】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本願請
求項1記載の発明は、固定スクロ−ル部品のラップ上面
に、前記ラップ曲線に沿うようにして凹部を設けるもの
であり、この構成によれば固定スクロ−ル部品中心部付
近の摺動面でのオイルの保持力を高めることができ、外
周部付近と比較してスラスト力のより大きな中心部付近
における摺動損失の低減による性能向上が図れると同時
に金属接触による旋回スクロ−ル部品および固定スクロ
−ル部品の摩耗を低減し、信頼性の向上を図ることがで
きる。さらに、オイルシ−ル性の向上により圧縮室間の
冷媒漏れを少なくすることにより漏れ損失の低減を図る
こともできる。
【0041】請求項2記載の発明は、固定スクロ−ル部
品のラップ上面に、ラップ曲線に沿うようにして2本以
上の凹部を設けるものであり、この構成によれば固定ス
クロ−ル部品ラップ上面での保持オイル量をより多くす
ることができ、一層の性能・信頼性向上を実現すること
ができる。
【0042】請求項3記載の発明は、固定スクロ−ル部
品のラップ上面に、ラップ曲線に沿うようにしてラップ
巻き始め部から巻き終わり部まで複数個の凹部を断続的
に形成したものであり、この構成によれば凹部の加工時
間を短縮できるためコスト低減を図ることができる。ま
た、スラスト力の大きな位置付近にのみ凹部を設けるこ
とにより無駄な保持オイルを無くし、オイルによる粘性
損失を低減することができる。
【0043】請求項4記載の発明は、固定スクロ−ル部
品のラップ上面に、円形状の凹部を複数個配設したもの
であり、この構成によれば、円形状凹部の密度を変化さ
せることによりラップの巻き始め部から巻き終わり部ま
で局所的にオイルの保持量を最適化することができる。
また、ポンチなどの加工方法によると凹部の加工時間を
短縮できコスト低減を図ることができる。
【0044】請求項5記載の発明は、固定スクロ−ル部
品のラップ上面の表面粗さをRa0.1以上に仕上げた
ものであり、この構成によれば、切削による凹部の加工
では困難な凹部形状・深さなどを実現することができオ
イル保持量の詳細な最適化が可能である。また、固定ス
クロ−ル部品のスラスト面加工時に表面粗さをRa0.
1以上に仕上げることにより凹部を切削加工する場合と
比較して加工時間を短縮することができる。
【0045】請求項6記載の発明は、請求項1から5記
載の発明において、固定スクロ−ル部品の凹部の幅を前
記固定スクロ−ル部品のラップ厚みの2/3以下とした
ものであり、この構成によれば、固定スクロ−ル部品ラ
ップ上面の凹部以外の部分での油膜形成を十分確保する
ことができ圧力室間の冷媒漏れによる漏れ損失低減が可
能である。
【0046】請求項7記載の発明は、請求項1から5記
載の発明において、固定スクロ−ル部品の凹部の両端部
と前記固定スクロ−ル部品のラップ両端部との間にラッ
プ厚みの1/6以上のシ−ル部を設けたものであり、こ
の構成によれば、固定スクロ−ル部品ラップ巻き始め部
および巻き終わり部上面の平面部での油膜形成を十分確
保することができ圧力室間の冷媒漏れによる漏れ損失低
減が可能である。
【0047】請求項8記載の発明は、請求項1から4記
載の発明において、固定スクロ−ル部品のラップ溝深さ
をHとすると、前記固定スクロ−ル部品の凹部の深さを
0.01mm以上かつHの5分の1以下としたものであ
り、この構成によれば、凹部深さが浅すぎることによる
オイル保持力の低下を防ぐことができると同時に、凹部
深さが深すぎることによるラップ高さ方向の真直度の悪
化を避けることができ、圧力室間の冷媒漏れによるさら
なる漏れ損失の発生を防止することができる。
【0048】請求項9記載の発明は、請求項1から4記
載の発明において、固定スクロ−ル部品の凹部の断面形
状を円弧状としたものであり、この構成によれば、固定
スクロ−ル部品の凹部と平面部との境界線部が鈍角にな
り、加工後のバリの発生を抑制することができる。
【0049】請求項10記載の発明は、請求項1から4
記載の発明において、固定スクロ−ル部品の凹部の断面
形状を矩形状としたものであり、この構成によれば、凹
部の深さおよび幅を高精度に管理することができるた
め、オイル保持量のより精度の良い最適化が可能であ
る。
【0050】請求項11記載の発明は、請求項5記載の
発明において、固定スクロ−ル部品のラップ上面に表面
処理を施したものであり、この構成によれば、オイルの
保持力向上による摺動損失低減とともに材料硬度の向上
も可能となり、圧縮機の信頼性をより高めることができ
る。
【0051】請求項12記載の発明は、請求項5記載の
発明において、固定スクロ−ル部品のラップ上面にタ−
レット加工を施したものであり、この構成によれば、固
定スクロ−ル部品のラップ上面の表面粗さが切削加工や
表面処理などでは実現困難な場合に適用が可能である。
【0052】請求項13記載の発明は、請求項5記載の
発明において、固定スクロ−ル部品のラップ上面にエン
ボス加工を施したものであり、この構成によれば、固定
スクロ−ル部品のラップ上面の表面粗さが切削加工や表
面処理などでは実現困難な場合に適用が可能である。ま
た、請求項12記載のタ−レット加工に対してこの構成
ではラップ外壁側とラップ内壁側との間の冷媒漏れ込み
を抑制することができる。
【0053】請求項14記載の発明は、請求項5記載の
発明において、固定スクロ−ル部品のラップ上面を多孔
質体にて構成したものであり、この構成によれば、固定
スクロ−ル部品のラップ上面へ定常的に適量のオイルを
供給できるため、オイル保持量は十分に確保しながらオ
イルの過剰供給による圧縮効率の低下を防ぐことができ
る。また、使用部位によっては加工時間短縮およびスラ
スト面摺動損失の更なる低減が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すスクロ−ル圧縮機の断
面図
【図2】本発明の実施形態を示す固定スクロ−ル部品の
平面図
【図3】本発明の他の実施形態を示す固定スクロ−ル部
品の平面図
【図4】本発明のさらに他の実施形態を示す固定スクロ
−ル部品の平面図
【図5】本発明のさらに他の実施形態を示す固定スクロ
−ル部品の平面図
【図6】本発明のさらに他の実施形態を示す固定スクロ
−ル部品ラップ部の断面図
【図7】本発明のさらに他の実施形態を示す固定スクロ
−ル部品ラップ部の断面図
【図8】本発明のさらに他の実施形態を示す固定スクロ
−ル部品の平面図
【図9】本発明のさらに他の実施形態を示す固定スクロ
−ル部品の平面図
【図10】従来例を示す固定スクロ−ル部品の平面図
【符号の説明】 1 吸入管 2 固定スクロ−ル部品 3 吸入室 4 旋回スクロ−ル部品 5 圧縮室 6 吐出ポ−ト 7 軸受 8 背圧室 9 背圧調整機構 10 連通路 11 バルブ 12 ラップ上面 13 ラップ曲線 14 凹部 14h 凹部深さ 14t 凹部幅 15 ラップ外壁 16 ラップ内壁 17 平面部 18 ラップ巻き始め部 18t 巻き始め側シ−ル部 19 ラップ巻き終わり部 19t 巻き終わり側シ−ル部 20 スラスト面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 作田 淳 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 3H039 AA03 AA06 AA12 BB04 BB11 BB15 BB28 CC03 CC07

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鏡板上に渦巻きラップを形成した固定ス
    クロ−ル部品と旋回スクロ−ル部品をかみ合わせて複数
    の圧縮室を形成し、前記旋回スクロ−ル部品背面に一定
    圧を印加することで両スクロ−ル部品の鏡板部を接触さ
    せ、かつ前記旋回スクロ−ル部品背面に自転拘束部品を
    配して旋回スクロ−ル部品の自転を防いで旋回運動をさ
    せ、前記圧縮室を中心に向かって容積を減少させながら
    圧縮を行うスクロ−ル圧縮機であって、前記固定スクロ
    −ル部品のラップ上面に、ラップ曲線に沿うようにして
    凹部を設けてなるスクロ−ル圧縮機。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のスクロ−ル圧縮機であっ
    て、ラップ上面に2本以上の凹部を設けたことを特徴と
    するスクロ−ル圧縮機。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のスクロ−ル圧縮機であっ
    て、固定スクロ−ル部品のラップ上面に、ラップ巻き始
    め部から巻き終わり部まで複数個の凹部を断続的に形成
    してなることを特徴とするスクロ−ル圧縮機。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のスクロ−ル圧縮機であっ
    て、凹部の開口部形状が略円形であることを特徴とする
    スクロ−ル圧縮機。
  5. 【請求項5】 鏡板上に渦巻きラップを形成した固定ス
    クロ−ル部品と旋回スクロ−ル部品をかみ合わせて複数
    の圧縮室を形成し、前記旋回スクロ−ル部品背面に一定
    圧を印加することで両スクロ−ル部品の鏡板部を接触さ
    せ、かつ前記旋回スクロ−ル部品背面に自転拘束部品を
    配して旋回スクロ−ル部品の自転を防いで旋回運動をさ
    せ、前記圧縮室を中心に向かって容積を減少させながら
    圧縮を行うスクロ−ル圧縮機であって、前記固定スクロ
    −ル部品のラップ上面の表面粗さをRa0.1以上に仕
    上げてなることを特徴とするスクロ−ル圧縮機。
  6. 【請求項6】 凹部または表面粗さがRa0.1以上の
    部分の幅が固定スクロ−ル部品のラップ厚みの2/3以
    下としたことを特徴とする請求項1乃至5記載のスクロ
    −ル圧縮機。
  7. 【請求項7】 凹部または表面粗さがRa0.1以上の
    部分の両端部と固定スクロ−ル部品のラップ巻き方向両
    端部との間にラップ厚みの1/6以上のシ−ル部を設け
    たことを特徴とする請求項1乃至5記載のスクロ−ル圧
    縮機。
  8. 【請求項8】 固定スクロ−ル部品のラップ溝深さをH
    としたとき、凹部の深さを0.01mm以上かつH/5以
    下としたことを特徴とする請求項1乃至4記載のスクロ
    −ル圧縮機。
  9. 【請求項9】 凹部の深さ方向断面形状が円弧状である
    ことを特徴とする請求項1乃至4記載のスクロ−ル圧縮
    機。
  10. 【請求項10】 凹部の深さ方向断面形状が矩形状であ
    ることを特徴とする請求項1乃至4記載のスクロ−ル圧
    縮機。
  11. 【請求項11】 固定スクロ−ル部品のラップ上面に表
    面処理を施したことを特徴とする請求項5記載のスクロ
    −ル圧縮機。
  12. 【請求項12】 固定スクロ−ル部品のラップ上面にタ
    −レット加工を施したことを特徴とする請求項5記載の
    スクロ−ル圧縮機。
  13. 【請求項13】 前記固定スクロ−ル部品のラップ上面
    にエンボス加工を施したことを特徴とする請求項5記載
    のスクロ−ル圧縮機。
  14. 【請求項14】 前記固定スクロ−ル部品のラップ上面
    を多孔質体にて構成したことを特徴とする請求項5記載
    のスクロ−ル圧縮機。
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