JP2003253304A - 磁芯用部材およびその製造方法 - Google Patents
磁芯用部材およびその製造方法Info
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Abstract
する磁芯用部材およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 鉄基粉末に所定量の潤滑剤とあるいはさ
らに所定量の黒鉛粉を配合し混合した混合粉を、予備成
形して予備成形体とし、該予備成形体に800 ℃以上好ま
しくは1000℃超の温度での焼結処理と、あるいはさらに
400 〜700 ℃の温度で焼鈍処理を施して焼結体とし、つ
いで該焼結体に冷間鍛造を施したのち、さらに600 ℃以
下、 好ましくは300 ℃以上の温度で熱処理する。
Description
エータ、 磁気センサ等の電気機器に用いて好適な磁芯用
部材およびその製造方法に関する。
に用いられる小型で複雑な形状を有する磁芯には、高磁
束密度や高寸法精度を有すること、および他部品との摺
動耐久性が高いことが要求される。このような用途に
は、従来から、純鉄粉等の金属磁性粉末を所定形状に成
形、焼結して製造された焼結磁芯が用いられてきた。し
かし、この焼結磁芯は、複雑な形状を比較的容易に製造
できるが、高々7.4Mg/m3程度の低い密度しか得られず、
溶製材に比べ磁束密度が格段に低いという問題があっ
た。
公報には、鉄粉粒子表面にFe−P合金粉およびSn粉を拡
散結合し、P:0.3 〜1.0 %、Sn:1〜4%、残部実質
的にFeである組成とした軟磁性焼結材用複合鉄粉が提案
されている。特公平6-80161号公報に記載された複合鉄
粉を用いて焼結体を製造することにより、鉄粉の焼結時
の収縮性が増大し、焼結体の密度が最大7.49Mg/m3 まで
増加し、磁束密度が向上するとしている。しかし、得ら
れた焼結体の磁束密度B50は、たかだか1.5 T程度まで
であるうえ、焼結時の寸法収縮が大きく高寸法精度が得
にくいという問題があった。
塑性加工シンポジウム論文集(1972),p.49〜59)によれ
ば、純鉄粉焼結体に冷間鍛造を施す焼結冷鍛により、7.
8Mg/m3とほぼ真密度に近い製品が得られ、磁気特性も一
般の鉄粉焼結体に比べて向上することが知られている。
しかし、本発明者らの測定によれば、このような焼結冷
鍛を施された製品の10kA/mにおける磁束密度(B10k )
は1.74T程度であり、最近の磁芯への磁束密度要求値に
対しては十分であるとはいえない。また、焼結冷鍛を施
された製品にさらに850 ℃で再焼結処理を施すと磁束密
度は高くなるが、表面硬さが40HRB 程度と低くなり、他
部品との摺動耐久性が劣るという問題がある。さらに、
この再焼結を行う方法では製造工程中に焼結処理を2回
行う必要があり、製造コストの高騰を招くという問題も
ある。
来技術の問題を有利に解決し、高密度、高表面硬さで、
かつ高磁束密度を有する磁芯用部材およびその製造方法
を提供することを目的とする。
課題を達成するために、鉄基焼結体の密度および磁束密
度をともに向上させることができる安価な方策につい
て、 鋭意検討した。その結果、鉄基粉末に予備成形、焼
結処理を施して鉄基焼結体としたのち、該鉄基焼結体に
圧縮成形と600 ℃以下の温度で熱処理を施すという処理
により、表面硬さを低下させることなく、高密度でかつ
高磁束密度の製品が得られることを新規に見出した。
いて説明する。鉄基粉末として純鉄を用い、予備成形、
焼結処理を施して焼結体とした純鉄粉焼結体にさらに、
圧縮成形として冷間鍛造を施し、ついで300 〜700 ℃の
温度で保持する熱処理を施して、 磁束密度および表面硬
さを測定した。得られた結果を図2、図3に示す。図2
から、焼結体に(冷鍛+熱処理)を施すことにより、B
10k :1.75T以上と磁束密度の顕著な向上が認められ
る。また、図3から、熱処理温度が600 ℃以下であれ
ば、表面硬さの顕著な低下はなく、70HRB 以上の表面硬
さを確保できることがわかる。
に検討を加えて完成されたものである。すなわち、 本発
明は、鉄基粉末を、好ましくは鉄基粉末に所定量の潤滑
剤とあるいはさらに所定量の黒鉛粉を配合し混合した混
合粉を、予備成形して予備成形体とし、該予備成形体に
焼結処理、あるいはさらに焼鈍処理を施して焼結体と
し、ついで該焼結体に圧縮成形を施したのち、さらに60
0 ℃以下、 好ましくは300℃以上の温度で熱処理するこ
とを特徴とする高磁束密度を有する磁芯用部材の製造方
法であり、また、本発明では、前記焼結処理が、800 ℃
以上好ましくは1000℃超の温度で行うことが好ましく、
また、本発明では、前記圧縮成形が、冷間鍛造であるこ
とが好ましい。
してなる磁芯用部材であって、密度が7.7Mg/m3以上、10
kA/mにおける直流磁束密度が1.75T以上、表面硬さが65
HRB以上であることを特徴とする磁芯用部材である。
方法について説明する。本発明の磁芯用部材の製造方法
の一例を図1に示す。以下、 工程順に詳細に説明する。
本発明では、原料粉末として、鉄基粉末を使用する。本
発明では、使用する鉄基粉末の粒度、粒子形状は特に限
定する必要はない。本発明では、通常、工業的に圧縮成
形に供せられる鉄基粉末であればいずれも問題なく使用
できる。使用する鉄基粉末は、純鉄粉とすることが好ま
しい。純鉄粉は、磁束密度が高く圧縮性に優れ、高密度
の成形品が得られやすい。なお、純鉄粉としては、アト
マイズ粉、還元鉄粉いずれも好適である 鉄基粉末は、必要に応じて所定量の潤滑剤、あるいはさ
らに所定量の黒鉛粉とともに混合され混合粉とされたの
ち、予備成形されて予備成形体とされる。
アリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム等の金属石
鹸、あるいは脂肪酸アミドなどのワックスが例示でき
る。潤滑剤は、これら単体を用いても、あるいは2種以
上を複合して配合して用いてもいずれでもよい。潤滑剤
の配合量は、鉄基粉末100 質量部に対し1質量部以下と
することが好ましい。潤滑剤の配合量が1質量部を超え
ると、成形密度が低下する。
要に応じ配合できる。黒鉛粉としては、天然黒鉛粉、人
造黒鉛粉が例示できる。黒鉛粉の配合量は、鉄基粉末10
0 質量部に対し0.5 質量部以下とすることが好ましい。
黒鉛粉の配合量が0.5 質量%を超えると、 磁気特性が低
下する。鉄基粉末に、潤滑剤粉あるいはさらに黒鉛粉を
配合、混合して混合粉とするに際しては、ヘンシェルミ
キサー、コーン型ミキサー等の通常公知の混合装置がい
ずれも適用できる。また、混合は、室温混合、あるいは
潤滑剤の融点温度以上に加熱し、潤滑剤および/または
黒鉛を鉄基粉末粒子に付着させる加熱混合としてもよ
い。また、加熱混合した後にさらに潤滑剤を追加添加し
て遊離潤滑剤とし、原料混合粉中に粒子に付着した付着
潤滑剤と遊離潤滑剤とを共存させてもよい。
し、プレス等により予備成形して予備成形体とする。予
備成形では、予備成形の成形圧を適宜選択し、理論密度
の90%以上の密度(例えば、純鉄粉の場合には、7.1 Mg
/m3 以上)を有する成形体とすることが好ましい。さら
に好ましくは理論密度の93%以上の密度(純鉄粉の場合
には7.3 Mg/m3 以上)である。予備成形方法としては、
常温で圧縮成形する常温圧縮成形法、温間に加熱しつつ
圧縮成形する温間圧縮成形法、金型を潤滑して成形する
金型潤滑成形法、あるいはこれらの組合せ等、が挙げら
れるが、 これらに限定されないことはいうまでもない。
なお、予備成形体の密度は、7.3 Mg/m3 以上が好まし
い。密度が低すぎると、後方押し出し法で圧縮成形を施
した場合、クラックが生じる場合がある。
結体とする。本発明では、焼結処理は、800 ℃以上、 好
ましくは1000℃超えの温度で行うことが好ましい。焼結
処理の温度が800 ℃未満では焼結が進行し難く、また、
1000℃以下では、焼結の進行が不十分な場合がある。焼
結処理は、予備成形体の酸化を防止するため、真空、あ
るいは窒素、 アルゴン等の不活性雰囲気中、あるいは窒
素ー水素混合ガス等の還元性雰囲気とすることが好まし
い。なお、焼結処理に引き続いて、400 〜700℃の温度
で保持する焼鈍処理を施してもよい。焼鈍処理を施すこ
とにより焼結体の硬さが低下し、その後の圧縮成形にお
ける変形抵抗が低下するという効果がある。焼結処理、
焼鈍処理の保持時間は10〜120minとすることが好まし
い。保持時間が10min 未満では、効果が期待できない。
一方、120minを超えて保持しても、効果が飽和するうえ
生産性が低下し、経済的に不利となる。
状の圧縮成形体とする。焼結体に圧縮成形を施すことに
より、理論密度の99%以上の密度とすることができ、そ
れにともない磁束密度が格段に向上する。圧縮成形は、
形状の任意性、寸法精度、コストの面から冷間鍛造法と
することが好ましい。冷間鍛造法としては、通常公知の
方法がいずれも適用でき、焼結体の形状と製品形状 (所
定形状)に応じ、例えば、前方押し出し法、後方押し出
し法、据え込み法等から適宜選択し、適用することがで
きる。また、冷間鍛造法に代えて、ロールホーミング法
等の他の圧縮成形方法を適用してもよい。
に熱処理を施し、製品(磁芯用部材)とする。熱処理を
施すことにより、圧縮成形により生じた機械的歪が除去
され、磁束密度が向上する。熱処理は、600 ℃以下、 好
ましくは300 ℃以上の温度で保持する処理とする。熱処
理温度が600 ℃を超えて高くなると、製品の表面硬さが
低下し摺動耐久性が低下し、また、磁束密度の向上効果
が少ない。また、熱処理温度が300 ℃未満では、磁束密
度向上の効果が期待できにくい。熱処理は、製品の酸化
を防止するため、真空、あるいは窒素、 アルゴン等の不
活性雰囲気中、あるいは窒素ー水素混合ガス等の還元性
雰囲気とすることが好ましい。また、熱処理の保持時間
は10〜120minとすることが好ましい。保持時間が10min
未満では、上記した効果が認められない。一方、120min
を超えて保持しても、 効果が飽和するうえ生産性が低下
し、経済的に不利となる。
(磁芯)は、鉄基粉末を、成形、焼結してなる磁芯用部
材であって、密度が7.7Mg/m3以上、10kA/mにおける直流
磁束密度が1.75T以上、表面硬さが65HRB 以上の、磁芯
用部材である。
説明する。原料粉末として、鉄基粉末としてのアトマイ
ズ純鉄粉(川崎製鉄製KIP 304AS;平均粒径75μm )
に、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛粉末を鉄基粉末100
質量部に対し0.5 質量部、黒鉛粉末として天然黒鉛粉末
を表1に示す量(鉄基粉末と黒鉛粉との合計量に対する
質量%)配合し、ヘンシェルミキサーにより混合して、
混合粉とした。なお、ここで用いた鉄基粉末は、0.03質
量%Mnー0.06質量%O−0.001 質量%Cを含有するアト
マイズ純鉄粉である。
により予備成形して、リング状の予備成形体(外径37mm
×内径25mm)とした。なお、予備成形体の密度は、プレ
ス圧力を調整することにより変化させた。これら予備成
形体に、 表1に示す条件で焼結処理を施し焼結体とし、
該焼結処理に続いて、室温に冷却することなく連続して
表1に示す条件で焼鈍処理を施した。なお、一部の試料
(試料No. 16)では、焼鈍処理を行わなかった。
(外径38mm×内径26mm)1に装入し、上パンチ2、下パ
ンチ3とを利用した後方押し出し法による冷間鍛造で圧
縮成形し、異形断面リング5を製造した。なお、冷間鍛
造を行わず厚さ6.5mm の方形異形断面リングとしたもの
を比較例(試料No. 9)として準備した。得られた異形
断面リング5を、図4(c)に示すように厚さ6.5mm に
研磨し、方形断面リング7とした。なお、一部の試料
(試料No. 15〜No. 19)では、後方押し出し法に代え
て、図5に示す閉塞鍛造法による冷間鍛造法によって、
外径38mm、厚さ6.5mm の方形断面リングとを形成した。
熱処理を施し、磁気測定用リング試料とした。なお、熱
処理を行わない試料(試料No. 1、No. 6、No. 8)も
準備した。これらリング試料に、一次側100 巻、二次側
20巻して作製したコイルを用い、横河電機製3257型直流
磁化測定装置にて直流磁場10kA/mにおける磁束密度B
10kを測定した。
クウェルBスケールで測定した。なお、測定位置はリン
グの両端部である。また、これらリング試料について、
アルキメデス法で密度を測定した。なお、従来例とし
て、溶製材(快削鋼SUS 24L )から同型形状のリング試
料を切り出し従来例として、同様の測定を行った。
い密度を有し、それに伴ってB10k・1.75Tを超える高
い磁束密度と、70HRB 以上の高い表面硬さとを兼備する
磁芯用部材となっている。これに対し、本発明の範囲を
外れる比較例は、磁束密度が低いか、および/または表
面硬さが低く、高磁束密度ー高表面硬さの所望の特性が
得られていない。
に、冷間鍛造等の圧縮成形を施して製品形状の磁芯にす
るため、従来の焼結磁芯や、溶製材加工による磁芯に比
べて、高寸法精度の製品を低コストで製造できる。ま
た、本発明の磁芯用部材は、成形密度が理論密度に近い
密度を有するため、磁束密度が従来の焼結磁芯に比べて
格段に高く、溶製材より高いレベルとなる。さらに、焼
結体に圧縮成形による加工歪が適度に残留するため、純
鉄系材料に比し硬さが高くなり、従来の焼結磁芯に比べ
て、他部品との摺動耐久性が向上するという効果もあ
る。
高密度、高表面硬さで、かつ高磁束密度を有する磁芯用
部材が容易に、しかも安価に製造でき、産業上格段の効
果を奏する。しかも、本発明の磁芯用部材は、冷間鍛造
等の圧縮成形により製品形状に成形されるため、複雑形
状であっても高寸法精度の製品となり、電磁弁、アクチ
ュエータ、磁気センサ等の磁芯用として好適である。
明図である。
フである。
フである。
方法の概略を示す説明図である。
の概略を示す説明図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 鉄基粉末を予備成形して予備成形体と
し、該予備成形体に焼結処理を施して焼結体とし、つい
で該焼結体に圧縮成形を施したのち、さらに600 ℃以下
の温度で熱処理することを特徴とする磁芯用部材の製造
方法。 - 【請求項2】 鉄基粉末を成形、焼結してなる磁芯用部
材であって、密度が7.7Mg/m3以上、10kA/mにおける直流
磁束密度が1.75T以上、表面硬さが65HRB 以上であるこ
とを特徴とする磁芯用部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002053852A JP2003253304A (ja) | 2002-02-28 | 2002-02-28 | 磁芯用部材およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002053852A JP2003253304A (ja) | 2002-02-28 | 2002-02-28 | 磁芯用部材およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003253304A true JP2003253304A (ja) | 2003-09-10 |
Family
ID=28665168
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002053852A Pending JP2003253304A (ja) | 2002-02-28 | 2002-02-28 | 磁芯用部材およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003253304A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008117839A (ja) * | 2006-11-01 | 2008-05-22 | Oya Giken:Kk | 磁芯部材およびその製造方法 |
US8092615B2 (en) | 2003-12-29 | 2012-01-10 | Höganäs Ab | Composition for producing soft magnetic composites by powder metallurgy |
-
2002
- 2002-02-28 JP JP2002053852A patent/JP2003253304A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8092615B2 (en) | 2003-12-29 | 2012-01-10 | Höganäs Ab | Composition for producing soft magnetic composites by powder metallurgy |
JP2008117839A (ja) * | 2006-11-01 | 2008-05-22 | Oya Giken:Kk | 磁芯部材およびその製造方法 |
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