JP2003251692A - 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂フィルムの製造方法

Info

Publication number
JP2003251692A
JP2003251692A JP2002053127A JP2002053127A JP2003251692A JP 2003251692 A JP2003251692 A JP 2003251692A JP 2002053127 A JP2002053127 A JP 2002053127A JP 2002053127 A JP2002053127 A JP 2002053127A JP 2003251692 A JP2003251692 A JP 2003251692A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
roll
thermoplastic resin
contact
resin film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002053127A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinji Numazawa
伸二 沼澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Film Solutions Ltd
Original Assignee
Teijin DuPont Films Japan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin DuPont Films Japan Ltd filed Critical Teijin DuPont Films Japan Ltd
Priority to JP2002053127A priority Critical patent/JP2003251692A/ja
Publication of JP2003251692A publication Critical patent/JP2003251692A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製品フィルムに擦り傷、転写等の表面欠点が
無く、光学的特性に優れた熱可塑性樹脂フィルムを効率
良く製造する方法を提供する。 【解決手段】 延伸工程、搬送工程、加熱工程、冷却工
程及び巻取り工程より群から選ばれる少なくとも一つの
工程の中でフィルムとロールとが接触する工程を含む熱
可塑性樹脂フィルムの製造方法において、フィルムと接
触する少なくとも一つのロールが積極的に駆動されない
ロールであって、該ロールの表面における回転抵抗が、
0.1〜100Nの範囲であり、該ロールとフィルムの
静摩擦係数が、0.2〜0.7の範囲であることを特徴
とする熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性樹脂フィル
ムの製造方法に関し、更に詳しくは、製品フィルムに擦
り傷、転写等の表面欠点が無く、光学的特性に優れた熱
可塑性樹脂フィルムを効率良く製造する方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法
は、通常、ロール表面に接しながら加熱・延伸・搬送・
冷却・成形などを行う工程(プロセス)により構成され
ている。しかしながら、このようにフィルムとロールと
が接するときの最大の問題点は、ロールの表面速度(周
速度)とフィルムの線速度とが完全には一致せず、フィ
ルムはロール上で微小に滑りながら走行していくため
に、フィルム表面に擦り傷、転写などの表面欠点の多い
フィルムしか得られないということである。特に、透明
性等高度の光学的特性を要求される光学用途のフィルム
においては、擦り傷や転写跡が致命的な欠陥となる。
【0003】これらの欠陥を低減するため、従来はロー
ルの上にニップロールを設置したり、粘着性・把持力の
大きなゴム材質のロールを用いたり、或いは、サクショ
ンロールを用いてロール上でのフィルムの滑りを止める
等の方法が試みられている。また、他の方法としてフィ
ルムの上から空気を介して静電気を印加させてフィルム
とロールとの密着力を大きくすることが行われてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな方法を用いてもロール上でのフィルムへの傷入り等
の問題が生じ、その解決が望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
問題に鑑み、鋭意検討した結果、本発明に到達したもの
である。
【0006】本発明の課題は、本発明によれば、延伸工
程、搬送工程、加熱工程、冷却工程及び巻取り工程より
なる群から選ばれる少なくとも一つの工程の中で、フィ
ルムとロールとが接触する工程を含む熱可塑性樹脂フィ
ルムの製造方法において、フィルムと接触する少なくと
も一つのロールが積極的に駆動されないロールであっ
て、該ロールの表面における回転抵抗が、0.1〜10
0Nの範囲であり、該ロールとフィルムの静摩擦係数
が、0.2〜0.7の範囲であることを特徴とする熱可
塑性樹脂フィルムの製造方法により解決できる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】本発明における熱可塑性樹脂フィルムの製
造方法は、延伸工程、搬送工程、加熱工程、冷却工程及
び巻取り工程より群から選ばれる少なくとも一つの工程
においてフィルムとロールとが接触する工程を含む方法
であって、フィルムと接触する積極的に駆動されないロ
ール(以下『非駆動ロール』と略記することがある)が
少なくとも一つ存在する方法である。
【0009】本発明における延伸工程とは、フィルムを
縦方向に延伸する工程であるが、フィルムを横方向に延
伸する工程であっても良い。
【0010】また、本発明における加熱工程とは、フィ
ルムを接触的(例えば加熱用ロールによる加熱)或いは
非接触的(例えば赤外線による加熱)に加熱する工程で
あり、延伸工程内或いは延伸工程直前でのフィルム加
熱、塗液を乾燥するための加熱、フィルムを熱固定する
ための加熱、フィルムを熱弛緩処理ための加熱を行う工
程である。
【0011】本発明における冷却工程とは、フィルムを
接触的(例えば冷却用ロールによる冷却)或いは非接触
的(例えば冷風の吹付による冷却)に冷却する工程であ
り、押出した溶融フィルムの冷却、縦方向に延伸したフ
ィルムの冷却、横方向に延伸したフィルム或いは熱固定
や熱弛緩処理を行った後のフィルムを巻取る前に冷却す
る工程である。
【0012】本発明における巻取り工程とは、フィルム
を製品としてロール状に巻取る工程であり、巻取る前に
フィルムをスリットする工程が在っても良い。
【0013】本発明における搬送工程とは、上記の各工
程の間にフィルムを搬送する工程であり、フィルムの弛
みを防止するためのロールやフィルムの搬送方向を変更
するためのロールが在っても良い。
【0014】本発明において熱可塑性樹脂フィルムとし
ては、ポリオレフィンフィルム(例えばポリエチレン
(PE)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム
等)、ポリエステルフィルム(例えばポリエチレンテレ
フタレート(PET)フィルム、ポリエチレン−2、6
−ナフタレート(PEN)フィルム等)、ポリアミドフ
ィルム(例えばナイロン6フィルム、ナイロン66フィ
ルム等)、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリ
カーボネートフィルム等を挙げることができる。この中
でもポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタ
レートフィルム、ポリエチレン−2、6−ナフタレート
フィルムが好ましい。
【0015】本発明において、熱可塑性樹脂フィルムの
厚みは5〜800μmであることが好ましく、特に10
〜200μmであることが好ましい。また、フィルムの
製造工程において、フィルムの走行速度は5〜1000
m/minであることが好ましく、特に10〜350m
/minであることが最適である。
【0016】本発明にいて、積極的に駆動されないロー
ル(非駆動ロール)とは、モーター等の動力源により駆
動されず、走行フィルムに接触することで従属的に回転
する、いわゆるフリーロールのことである。また回転抵
抗をより減らすため、シャフト部分のみが積極的に駆動
され、シャフトとロール外筒間にベアリングを配したい
わゆるテンデンシーロールも含む。
【0017】本発明において、非駆動ロールの回転抵抗
はより低いほうが良く、非駆動ロールの少なくとも一つ
のロールの表面での回転抵抗が0.1〜100Nの範囲
であることが必要であり、0.1〜50Nの範囲である
ことがより好ましい。回転抵抗はテンデンシーロールの
場合、シャフトの駆動がなされない場合の値である。回
転抵抗はベアリングの種類によって大きく影響を受け
る。摺動部のある滑り軸受けは抵抗が大きいため適さ
ず、転がり軸受けが良い。転がり軸受けの中でも、プリ
ロードをかけて使用するテーパーローラーベアリングは
好ましくなく、点接触で回転抵抗の小さい玉軸受けが好
ましい。玉軸受けの中でも内部隙間の大きく、回転抵抗
の小さいC3〜C5タイプを使用するのがより好まし
い。また、加熱・冷却を伴うロールの場合、ロール内部
に熱媒や冷却水を通す必要があり、液シールの方法も回
転抵抗に影響が大きい。オイルシールやO−リング等は
使わず、隙間のある液漏れを見込んだシール方式が好ま
しい。
【0018】本発明においては、非駆動ロールの少なく
とも一つはロール表面での回転抵抗が0.1〜100N
の範囲であることが必要であるが、熱可塑性樹脂フィル
ムの製造工程で使用される非駆動ロールの半分以上のロ
ールの回転抵抗が上記の範囲であることが好ましく、非
駆動ロールの全ての回転抵抗が上記の範囲であることが
特に好ましい。 ロールの慣性モーメントはロール径、
長さと外側円筒部材の重さによって決まり、本発明にお
ける非駆動ロールの慣性モーメントはより小さいことが
好ましいが、円筒部が薄肉になると強度が低下し、撓み
や振動増加の原因となるので適正な範囲がある。強度を
保ったまま軽量化するために、外側円筒部材をFRPで
構成するのは良い手段である。FRP円筒はフィラメン
トワインディング法やシートラッピング法、射出成形法
等の周知の成形法により形成されたものが利用可能であ
る。また、強度が許せば、アルミニウムで構成すること
も可能である。
【0019】本発明において、非駆動ロールの少なくと
も一つのロールとフィルムの間の静摩擦係数は、滑りが
起きにくいことから高いほうが好ましいが、静摩擦係数
が高すぎるとかえって微小な滑りによっても擦り傷が入
りやすいため、0.2〜0.7の範囲であることが必要
である。
【0020】本発明における非駆動ロールの表面は、ロ
ール自体への傷入り防止、異物の付着防止の目的から、
硬度が高く剥離性の良い材質が望まれる。一般的にはハ
ードクロームメッキが良く用いられる。硬度、剥離性向
上のため酸化クロムやアルミナ等のセラミック溶射皮膜
や、タングテンカーバイトを代表とする超硬合金の溶射
皮膜を表面に設けたロールも有効である。
【0021】次に、本発明における熱可塑性樹脂フィル
ムの製造方法をポリエチレンテレフタレート(PET)
フィルムの製造を例としてより具体的に示す。
【0022】原料としてポリエチレンテレフタレート
(PET)樹脂、または必要に応じて他の化合物を添加
ブレンドした原料、例えば、液晶ポリマーや他のポリエ
ステル樹脂、さらに酸化珪素、酸化マグネシウム、炭酸
カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、マイカ、
タルク、カオリンなどの無機化合物、架橋ポリエステ
ル、架橋ポリスチレン、エチレンビスステアリルアミ
ド、イオン性高分子化合物アイオノマー等の有機化合物
等を添加した原料をいったん溶融させた回収原料などを
混合した原料などを準備し、これを乾燥・脱水した後、
一軸押出機、二軸押出機、ベント押出機、タンデム押出
機などの溶融押出機に供給し、分子量、例えば固有粘度
[η]を極力低下させないように窒素気流下、あるいは
真空下で溶融押出する。
【0023】次に、原料中の異物を除去するために、溶
融樹脂を適宜なフィルター、例えば、焼結金属、多孔性
セラミック、サンド、金網等で濾過しながら押出する。
かくして溶融されたポリエステル樹脂を成型用のTダ
イ、Lダイ、リングダイなどの任意の口金から押出し成
形する。このとき、口金から溶融樹脂フィルムを鉛直方
向へ押出されるようにするのが口金スジ解消や安定キャ
ストには好ましい。さらに好ましくは、口金ランド方向
も鉛直方向に向いていることがよい。なお、口金から溶
融フィルムを押出すときのドラフト比(ドラフト比=口
金リップ間隔/押出されたフィルム厚み)は、3以上、
好ましくは5〜20の範囲とすることにより、厚みむら
の小さい、平面性の良いフィルムが得られやすい。溶融
されたポリエステル樹脂を口金から押出し、該溶融フィ
ルムに10kV程度に印加したワイヤ電極で負極に帯電
させた後、冷却媒体を内部に循環したキャスティングド
ラムに密着させて急冷する。
【0024】得られたキャストフィルムは、加熱工程・
延伸工程・冷却工程・搬送工程などの各工程で後処理を
行い最後は巻取り工程でロール状に巻取り製品とする。
具体的には、キャストフィルムを加熱工程で予熱ロール
によってポリエステルのガラス転移温度(Tg:DSC
にて10℃/分の昇温速度で測定したもの)以上に加熱
し、延伸工程で周速度の異なるロール間によって長手方
向へ2〜8倍延伸し、冷却工程で冷却ロールによってフ
ィルムを冷却する。更に、搬送工程でフィルムを巻取り
工程まで搬送し、巻取り工程でロール状に巻取る。これ
らの工程で、非駆動ロールが少なくとも一つ存在すれ
ば、他のロールは全て駆動してもよく、また延伸張力を
与えるのに必要なロールだけ駆動してもよい。駆動ロー
ルに関してはニップロールでフィルムをロールに押し付
け、確実に延伸が行われるようにするのが好ましい。
【0025】本発明におけるフィルムの製造工程で、フ
ィルムに機能特性例えば、接着性(易接着性、ヒートシ
ール性を含む)、易滑性(走行性)、帯電防止性、導電
性、耐摩耗性、耐削れ性、耐候性、離型性、耐薬品性
(耐水性、耐溶剤性を含む)、易印刷性、流滴性、防汚
性、筆記性、遮光性、防水性、ガスバリアー性等を付与
するために、長手方向へ延伸されたフィルムにコーティ
ングを施すこともできる。この場合、縦延伸(縦方向の
延伸工程)後のフィルムにインライン・コーティングす
るとテンターの熱風予熱部で塗膜を乾燥させることがで
きるので、設備投資を抑えることができ好ましい。次い
で一軸フィルムをテンター式横延伸機に導き、フィルム
両端をクリップによって把持し熱風によってフィルムを
Tg〜Tg+100℃に加熱し、両端クリップの幅を広
げることでフィルムを横方向へ2〜8倍延伸する(横方
向の延伸工程)。次いで、フィルム温度をTg+130
℃〜Tg+180℃に加熱し熱固定を行う(熱処理工
程)。
【0026】熱に対する寸法安定性の高いフィルムにす
るためには、熱固定後両端のクリップ幅を0.5〜10
%狭め、横方向に弛緩させ、また、その後テンターオー
ブン内でフィルムの両端部を切り離し、テンター出口の
引き取りロールの速度をテンターより遅くすることで縦
方向に弛緩させる。両端部を切り離した後のフィルムは
縦皺の固着を防止するために、数対のエッジニップロー
ルで横方向に張力を与えるのが良い。
【0027】かくして得られたフィルムは、磁気記録媒
体用、電気絶縁用、光学用、一般工業用などに広く利用
できる。
【0028】
【実施例】以下実施例により、本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものでは
ない。尚、実施例における各特性は下記の方法で測定し
た。
【0029】(1)ロール表面における回転抵抗 ロール表面に端部を固定し2〜3周まきつけた薄手のフ
ィルムを、概略一定の速度で引き、その時の力をフォー
スゲージ(イマダ株式会社製 PS−20N型機)によ
り計測した値とした。ただし測定は同一ロールにつき3
回以上実施し、その平均値をとった。
【0030】(2)ロールとフィルムの静摩擦係数 ロールにフィルムを1/4周以上巻きつけ、一端を重力
方向に垂らし荷重が明確な重りを吊るす。ロールを回転
させ、回転を始めた時のフィルム保持力をフォースゲー
ジによって計測する。このデータを下記式(1)に代入
し静摩擦係数を求めた。
【0031】
【数1】 μs=1/{θ・ln(F/W)}……(1) 式(1)で、μsは静摩擦係数、Fはフィルム保持力
(N)、Wは荷重(N)、θはロールへのフィルム巻き
つけ角(rad)である。
【0032】フィルムの縦方向応力は、フリーロールの
両端部に設けたロードセル(ABB株式会社製 Pre
ssductor PFRL101C 2.0kN 型
機)によってフィルムから受ける反力を計測し、下記式
(2)、式(3)により求めた。
【0033】
【数2】 σ=T/A……(2) T=(R1+R2)/(sinθ1+sinθ2)……(3) 式(2)、式(3)で、σはフィルムの縦方向応力(k
Pa)、Tはフィルムの張力(kN)、Aはフィルム断
面積(m2 )、R1、R2は反力(kN)、θ1はロー
ドセル付ロールへのフィルム抱き角のうち、フィルム入
側からロードセル反力検出方向までの角度、θ2はロー
ドセル付ロールへのフィルム抱き角のうち、フィルム出
側からロードセル反力検出方向までの角度である。
【0034】(3)ポリエステル固有粘度[η] オルソクロロフェノール溶媒による溶液の粘度を35℃
にて測定し求めた。
【0035】(4)ガラス転移温度(Tg) 試料10mgをDSC装置(デュポン社製 Therm
al Analyst2000型 示差熱量計)にセッ
トし、300℃の温度で5分間溶融した後、液体窒素中
で急冷する。この急冷試料を10℃/分で昇温し、ガラ
ス転移点Tgを検知する。
【0036】(5)融点(Tm) 試料10mgをDSC装置(デュポン社製 Therm
al Analyst2000型 示差熱量計)にセッ
トし、300℃の温度で5分間溶融した後、液体窒素中
で急冷する。この急冷試料を10℃/分で昇温し、融点
ピーク温度を検知する。
【0037】(6)昇温結晶化温度(Tcc) 試料10mgをDSC装置(デュポン社製 Therm
al Analyst2000型 示差熱量計)にセッ
トし、300℃の温度で5分間溶融した後、液体窒素中
で急冷する。この急冷試料を10℃/分で昇温し、昇温
結晶化温度(ピーク温度)を検知する。
【0038】(7)冷却結晶化温度(Tdc) 試料10mgをDSC装置(デュポン社製 Therm
al Analyst2000型 示差熱量計)にセッ
トし、300℃の温度で5分間溶融した後、10℃/分
で降温し、冷却結晶化温度(ピーク温度)を検知する。
【0039】[実施例1]熱可塑性樹脂として、ポリエ
チレンテレフタレート(PET)(固有粘度が0.65
dl/g(o−クロロフェノール溶液にて35℃で測
定)、Tgは70℃、冷結晶化温度Tccは128℃、
融点Tmは265℃、Tdcは215℃、添加剤として
相当平均粒径0.8μmの板状粒子を0.1wt含有)
を用いた。このPETペレットを含水率が20ppm以
下になるように乾燥した後、スクリュー径250mmの
押出機に供給して285℃で溶融した後、ギアポンプで
吐出量を整え、平均目開き20μmの繊維燒結金属フィ
ルターを通過させて濾過し、タイプの幅1200mmの
Tダイに導入し、溶融体フィルムを鉛直方向(重力の方
向)に押出し、この溶融フィルムを、直径1200mm
のクロムメッキされた表面粗度0.1Sのキャスティン
グドラムで10m/分の速度でキャスティングした。
【0040】このときの溶融樹脂フィルムのドラムに着
地する直前のフィルム幅は1050mmであり、帯電ロ
ールは該フィルムの中央部に接触させた。帯電ロールに
は電圧6kVの直流負極電荷を印加し、60mAの電流
を流した。さらに、冷却ドラムは接地し冷却水を通水
し、表面温度を25℃とした。得られたキャストフィル
ムは厚さ1.3mm、幅1050mmであり、厚みむら
の小さい、平面性の優れた、表面欠点のないフィルムで
あった。
【0041】続いて、該押出フィルムをロール式縦方向
延伸機の予熱ロールで75℃まで加熱し、延伸ロール間
に設置したIRヒーターによって加熱し、延伸温度95
℃で3.2倍延伸後、ガラス転移温度Tg以下に冷却し
た。該縦延伸機に使用されている予熱ロールおよび冷却
ロールは、直径300mmのフリーロールであり、ロー
ル表面での回転抵抗が10N、該ロールとフィルム間の
静摩擦係数は0.5であった。また、予熱ロール入り側
でのフィルム張力が2MPaであった。
【0042】続いて該縦方向延伸フィルムの両面にグラ
ビアコーターを用いて水性の塗剤を片面5g/m2ずつ
塗布した。その後フィルムの両端をクリップで把持しな
がらテンターに導き、120℃に加熱された熱風雰囲気
中で塗布膜を乾燥、および加熱し、140℃の熱風雰囲
気中で幅方向に3.5倍延伸後、220℃の熱風雰囲気
中でクリップによりフィルム両端部を把持したまま熱固
定し、続けてクリップの幅を2%狭くすることで横方向
に弛緩させた。さらに、熱風のない180℃の雰囲気下
でフィルムの両端部を切り離し、続く120℃の熱風雰
囲気中で、徐々に冷却しつつテンター直後の引き取りロ
ールの速度を遅くすることで、縦方向に1.5%の弛緩
を与えた。なお、両端部を切り離した後のフィルムに、
3対のエッジニップロールで横方向に張力を与え、縦皺
の固着を防止した。
【0043】続いて、ロールからなる引き取り装置によ
りフィルムを搬送し、巻取り機で巻きとった。延伸機後
から巻取り機間のロール10本のうち、延伸機直後のロ
ールは駆動ロールであり、該ロールとニップロールによ
りフィルムを挟み込んで、速度を精密に制御した。該駆
動ロールより下流のロールのうち、5本がフリーロー
ル、3本がテンデンシーロールであり、フリーロール、
テンデンシーロールとも、直径が200mm、ロール表
面での回転抵抗が2N、ロールとフィルム間の静摩擦係
数が0.3であった。また、最初の積極的に駆動されな
いロールの入り側のフィルム張力は、0.8MPaであ
った。
【0044】このように予熱・延伸・搬送ロールのロー
ル表面での回転抵抗およびロールとフィルム間の静摩擦
係数を本発明の範囲内としたことにより、該ロール上で
のフィルムの滑りはなく、フィルム表面にも擦り傷、掻
き傷などは皆無であり、厚さ125μmの二軸配向ポリ
エステルフィルムを安定に製膜した。
【0045】かくして得られたフィルムは、表面欠点が
全くない平面性の優れたフィルムであった。
【0046】[比較例1]ロール式縦方向延伸機におけ
るフリーロールの、ロール表面での回転抵抗が200
N、該ロールとフィルム間の静摩擦係数は0.1であ
り、また、延伸機後から巻取り機間のロールにおける、
フリーロールおよびテンデンシーロールのロール表面で
の回転抵抗が120N、ロールとフィルム間の静摩擦係
数が0.1であることを除き、実施例1と同様にしてP
ETフィルムを製膜した。得られたフィルムは縦方向の
擦り傷、斜め方向の擦り傷が多く存在し、製品にできな
い品質であった。
【0047】
【発明の効果】熱可塑性樹脂フィルムをロールに接しな
がら延伸、搬送、加熱、冷却する熱可塑性樹脂フィルム
の製造方法において、該ロールのうち、積極的に駆動さ
れないロールのロール表面における回転抵抗、該ロール
とフィルムの静摩擦係数を、本発明の範囲内としたこと
により、該ロール上でのフィルムの滑りをなくすことが
でき、擦り傷、転写等の表面欠点のない、生産性の良好
な、光学的特性に優れた二軸配向ポリエステルフィルム
を安定に製膜することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F210 AA25 AF16 AG01 AH54 AJ02 AJ04 AJ06 AJ14 AM32 AR04 QA02 QA03 QC06 QD08 QD13 QD50 QG01 QG18 QL02 QM02 QM03 QM06 QM07 QM13 QW11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 延伸工程、搬送工程、加熱工程、冷却工
    程及び巻取り工程よりなる群から選ばれる少なくとも一
    つの工程の中で、フィルムとロールとが接触する工程を
    含む熱可塑性樹脂フィルムの製造方法において、フィル
    ムと接触する少なくとも一つのロールが積極的に駆動さ
    れないロールであって、該ロールの表面における回転抵
    抗が、0.1〜100Nの範囲であり、該ロールとフィ
    ルムの静摩擦係数が、0.2〜0.7の範囲であること
    を特徴とする熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 フィルムと接触し積極的に駆動されない
    少なくとも一つのロールのフィルムと接触する表面が、
    ハードクロームメッキ皮膜、金属皮膜及びセラミックス
    の溶射皮膜よりなる群から選ばれる少なくとも一つの皮
    膜により被覆されている請求項1に記載の熱可塑性樹脂
    フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 フィルムと接触し積極的に駆動されない
    ロールのうち、ロールの内部に加熱用または冷却用の媒
    体を通さないロールの円筒部の材質がFRPである請求
    項1に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 延伸工程で用いるフィルムと接触し積極
    的に駆動されないロールにおいて、該ロールに入る側の
    フィルム縦方向応力が、1〜10MPaの範囲である請
    求項1ないし3の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂フィ
    ルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 延伸工程から巻取り工程までの間の搬送
    工程におけるフィルムと接触し積極的に駆動されないロ
    ールにおいて、該ロールに入る側のフィルム縦方向応力
    が、0.1〜5MPaの範囲である請求項1ないし3の
    何れか1項に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
JP2002053127A 2002-02-28 2002-02-28 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法 Pending JP2003251692A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002053127A JP2003251692A (ja) 2002-02-28 2002-02-28 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002053127A JP2003251692A (ja) 2002-02-28 2002-02-28 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003251692A true JP2003251692A (ja) 2003-09-09

Family

ID=28664637

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002053127A Pending JP2003251692A (ja) 2002-02-28 2002-02-28 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003251692A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20150035568A (ko) * 2012-07-12 2015-04-06 스미또모 가가꾸 가부시키가이샤 편광판의 제조 방법
JP2018154035A (ja) * 2017-03-17 2018-10-04 三井化学株式会社 ポリエステルフィルムの製造方法及びフィルム成形用加熱ロール

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20150035568A (ko) * 2012-07-12 2015-04-06 스미또모 가가꾸 가부시키가이샤 편광판의 제조 방법
KR102034327B1 (ko) 2012-07-12 2019-10-18 스미또모 가가꾸 가부시키가이샤 편광판의 제조 방법
JP2018154035A (ja) * 2017-03-17 2018-10-04 三井化学株式会社 ポリエステルフィルムの製造方法及びフィルム成形用加熱ロール

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0748273B1 (en) Method of making biaxially oriented thermoplastic films
JP4020283B2 (ja) 二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法
JP2007185898A (ja) 二軸延伸ポリエステルフィルムおよびその製造方法
JPS58153616A (ja) ナイロン・フイルムを機械方向に延伸する方法
CN114207029B (zh) 双轴取向聚酯薄膜
JP2005297544A (ja) ポリプロピレン系積層フィルム及びそれを用いた包装体
JP2007289809A (ja) シート状物の製造方法および装置
JP2003251692A (ja) 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法
JPWO2004048071A1 (ja) ポリブチレンテレフタレートフィルムの製造方法
JP2018047593A (ja) フィルムの製造方法
JP2020121555A (ja) フィルムの製造方法
JP4273827B2 (ja) 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法および熱可塑性樹脂フィルム
JP2003251693A (ja) 二軸延伸ポリエステルフィルムの弛緩熱処理方法
JP2003211534A (ja) フイルム製造方法
JPH11216759A (ja) 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法
JP2000263572A (ja) 熱可塑性樹脂シートの製造方法
JPH11320671A (ja) 延伸フィルムの製造方法およびその装置
JP3692758B2 (ja) インラインコーティング法
JP2007021772A (ja) ポリアミド系樹脂積層フィルムロール、およびその製造方法
JP2000080186A (ja) 機能性プラスティックフィルムの製造方法
JP2009292116A (ja) 光学フィルムロール、及びその製造方法
JP2001038801A (ja) 熱可塑性樹脂フィルムの長手方向延伸方法
JP2000153202A (ja) プラスチックフィルムの製造方法及びその装置
JPH09300456A (ja) ポリアミドシートおよびその製造方法
CN115335437A (zh) 聚合物薄膜及通信用基板