JP2003246746A - リパーゼ阻害剤およびリパーゼ阻害作用を有する加工食品 - Google Patents

リパーゼ阻害剤およびリパーゼ阻害作用を有する加工食品

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JP2003246746A
JP2003246746A JP2002047669A JP2002047669A JP2003246746A JP 2003246746 A JP2003246746 A JP 2003246746A JP 2002047669 A JP2002047669 A JP 2002047669A JP 2002047669 A JP2002047669 A JP 2002047669A JP 2003246746 A JP2003246746 A JP 2003246746A
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JP
Japan
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lipase
processed food
inhibitory activity
plant
plant sterol
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JP2002047669A
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Naoya Kasai
尚哉 笠井
Yukitoshi Maeda
幸俊 前田
Hiroki Moriya
宏毅 守屋
Ryohei Yamamoto
良平 山本
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Kurabo Industries Ltd
Kurashiki Spinning Co Ltd
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Kurabo Industries Ltd
Kurashiki Spinning Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リパーゼ阻害剤およびリパーゼ阻害作用を有
する加工食品を提供する。 【解決手段】 植物ステロールおよびそのエステルから
なる群から選択される物質を1種以上含有するリパーゼ
阻害剤を提供する。さらに植物ステロールおよびそのエ
ステルからなる群から選択される物質を1種以上、その
合計量が(摂取時の加工食品に含まれるトリグリセライ
ド成分に対して0.5重量%以上となるよう含有する、
リパーゼ阻害活性を有する加工食品を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリパーゼ阻害剤を提
供する。本発明はさらに肥満等に伴う生活習慣病を予
防、または改善するのに有用な、加工食品を提供する。
【0002】
【従来の技術】脂肪の過剰摂取は血中の脂質濃度を上昇
させ、肥満の原因となり、高脂血症、動脈硬化症、高血
圧などの生活習慣病を引き起こすことが知られている。
また、肝臓に脂肪が蓄積されると脂肪肝となり、これは
肝硬変の原因ともなる。このような生活習慣病の改善に
は食事制限や運動などに加えて、各症状に対応した医薬
品の投与が行われている。しかしながら、これらは患者
の肉体的あるいは精神的な負担を強いるものである。
【0003】生活習慣病のリスクを下げるためには適正
な食習慣と適度の運動が必要であると言われているが、
各個人で体格や体質が相違し、また嗜好や生活環境も相
違することから、一律に基準を作成することは難しく、
また基準を作成したとしても、各個人に遵守させること
はさらに困難である。
【0004】そこで、体内に吸収されにくい脂質が開発
され、食品に利用されている。例えば1,3−ジアシル
グリセライドがその代表である。グリセロールの二位に
脂肪酸を持たない1,3−ジアシルグリセロールは消化
吸収されても体内でトリグリセライドに再合成されにく
いため、体脂肪として蓄積されにくく、また血中脂質濃
度も上昇しにくい。この点に着目して、1,3−ジアシ
ルグリセライドはマヨネーズやパン等の加工食品に添加
されている。しかしながら技術的観点から全ての食品の
トリグリセライド成分をジアシルグリセライドに置きか
えることは不可能であり、その効果には限界がある。
【0005】リパーゼの活性を抑制することによって、
血中トリグリセライド量が抑えられ、さらには体重の増
加を抑制することができることがインビボで確認されて
いる(K. Tsutsumi et al., Journal of agricultural a
nd food chemistry 48, 1653-1656, 2000)。したがっ
て、リパーゼ活性抑制作用を有する物質は、上記のごと
き生活習慣病の予防または症状の改善、肥満予防および
改善に有用である。
【0006】植物ステロールに血中コレステロール濃度
低下作用があることは、以前から良く知られており、高
脂血症の予防もしくは治療のために広く用いられてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、リパーゼ阻
害剤を提供することを目的とする。また本発明は、医薬
品を用いず、通常の食生活を維持しながら体内での脂質
の蓄積を抑制し、生活習慣病の予防または症状を軽減す
るための食品原料、または食品を提供することを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは植物ステロ
ールに従来知られていなかったリパーゼ阻害作用がある
ことを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は植
物ステロールおよびそのエステルからなる群から選択さ
れる物質1種以上を含有する、リパーゼ阻害剤を提供す
る。
【0009】本発明はさらに、植物ステロールおよびそ
のエステルからなる群から選択される物質1種以上を、
摂取時の含有量が加工食品に含まれるトリグリセリド成
分の合計量に対して0.5重量%以上となるよう含有す
る、リパーゼ阻害活性を有する加工食品を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において、植物ステロール
としては、スティグマステロール、エルゴステロール、
5,6−ジヒドロステロール、ブラシカステロール、カン
ペステロール、α−スピナステロール、β−スピナステ
ロール、γ−スピナステロール、δ−スピナステロー
ル、β−シトステロール、γ−シトステロール、フコス
テロール、ジモステロール、アスコステロール、セレビ
ステロール、エピステロール、γ−シトスタノール、フ
ェコステロール、アナステロール、ヒポステロール、コ
ンドリラステロール、スティグマスタノール等が例示さ
れるが、特にカンペステロール、β−シトステロールお
よびスティグマステロールが好適に用いられる。
【0011】植物ステロールは脂肪酸エステルとして含
まれていてもよい。植物ステロールとエステルを形成し
ていてよい脂肪酸としては、オレイン酸、パルミチン
酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸などの長鎖
脂肪酸、および酢酸、酪酸などの短鎖、中鎖脂肪酸が例
示されるが、これらに限定されるわけではない。植物ス
テロールまたはそのエステルは、単独であっても、1種
以上を組み合わせて含んでいてもよい。
【0012】植物ステロールは、幅広い植物に配当体、
遊離型あるいは脂肪酸とのエステルとして広く含まれて
いる。例えば大豆、ヤシ、綿実、ヒマワリ、穀類、例え
ばトウモロコシ、小麦などから、カンペステロール、β
−シトステロールおよびスティグマステロール等を得る
ことができる。また、β−シトステロールはタマネギか
らも抽出することができる。
【0013】各種植物材料から植物ステロールの抽出、
精製する方法は当業者によく知られており、公知の方法
のいずれを用いてもよい。また、通常の植物油製造工程
では、植物ステロールが除去されているが、この廃棄成
分から植物ステロールを抽出してもよい。
【0014】本発明のリパーゼ阻害剤に用いられる植物
ステロールとしては必ずしも精製された物質を用いる必
要はなく、粗抽出物、あるいは植物中に含まれる植物ス
テロール量を公知のいずれかの方法により濃縮したもの
を用いてもよい。
【0015】本発明のリパーゼ阻害剤は、植物ステロー
ルおよびそのエステルから成る群から選択される1種以
上の物質を含有する。本発明のリパーゼ阻害剤として
は、植物ステロールまたはそのエステルを適当な担体と
共に、粉剤、錠剤、顆粒剤等の形状に調製しても、ある
いは適当な希釈剤で希釈したものを含んだカプセル剤と
してもよい。植物ステロールを含有する製剤について
は、コレステロール吸収抑制剤として数多くの製剤が知
られており、いずれも本発明のリパーゼ阻害剤として好
適に用いることができる。
【0016】本発明において「加工食品」とは天然由来
の食物へ何らかの加工を施した食品およびさらに加工さ
れて摂取される食品原料全般を含むものとする。加工食
品に一定量の植物ステロールを添加することにより、通
常の食生活を維持しながら、日常的な植物ステロールの
摂取が容易となる。かかる加工食品あるいは加工食品を
用いた食品を日常的に摂取することによって、肥満の防
止および改善、あるいは生活習慣病の予防を患者の肉体
的、精神的負担なく行うことができる。
【0017】本発明において提供される加工食品として
は、特に限定的ではない。周知のようにトリグリセライ
ドは日常的に様々な食品から摂取されており、本発明の
加工食品はこれらトリグリセライドを含む食品と共に摂
取することによってその効果が発揮されるものだからで
ある。本発明において特に好ましい加工食品としては、
トリグリセライドを豊富に含む食品が例示され、これら
に限定されるわけではないがケーキやクッキーなどの焼
き菓子、パン、スナック菓子等、ハム、ソーセージなど
の畜産加工品、チーズ、バター等の乳製品、植物油、マ
ヨネーズ、ドレッシング等あるいはカレー、シチュー、
グラタンの素などのインスタント食品や、カレー、シチ
ュー、グラタンなどを調理し、レトルトパウチに封入し
た惣菜製品などが挙げられる。
【0018】植物ステロールを加工食品に添加するに
は、植物ステロールそのままを加工食品の原料と適当な
段階で混合しても、あるいは風味をマスクするためにこ
れを常套の方法にてマイクロカプセル化したものを添加
してもよい。また、例えばタマネギは植物ステロールを
比較的多く含んでおり、リパーゼ阻害作用を示すことか
ら、例えば乾燥タマネギを食品の味付けに用いることに
よって加工食品に含まれる植物ステロールを強化しても
よい。さらに、本発明の加工食品が植物油製品である場
合には、精製工程において従来除去されていた植物ステ
ロール成分を除去せず、これを残すよう調製しても、従
来の方法で抽出、精製して得られる植物油に後から適当
な量の植物ステロールを添加してもよい。
【0019】加工食品に含まれる植物ステロールの量の
上限としては特に限定的ではない。周知の通り、トリグ
リセライドは様々な食品に含まれており、これらの合計
量をの量が当該加工食品の組成や態様に応じて、植物ス
テロールの添加によって摂取時の風味が損なわれない量
とすべきである。植物ステロールの添加の形態、食品の
種類に応じて、植物ステロールの添加量を好ましい風味
が維持される範囲とすることは、当業者の日常業務の範
囲内である。典型的には植物ステロールの添加量を、加
工食品中に含まれるトリグリセライドの50重量%程度
までとする。
【0020】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。実施例はいかなる意味においても本発明を限定す
るものではない。 タマネギに含まれるリパーゼ阻害物質の同定 タマネギの乾燥粉末200gを酢酸エチルおよびヘキサ
ンで抽出し、抽出画分を集め、シリカゲルクロマトグラ
フィーによって分画した。得られた各画分のリパーゼ阻
害活性を以下の実施例1記載の方法により調べ、リパー
ゼ阻害活性の強い画分をさらにシリカゲルクロマトグラ
フィーにて分画した。このクロマトグラフィー分画によ
ってリパーゼ阻害作用を有するのが、β−シトステロー
ルであることを確認した。
【0021】実施例1 植物ステロールによるリパーゼの阻害作用 試験管に各植物ステロール1mgを投入し、0.2mlのエ
タノールで溶かした後0.02Mトリス塩酸緩衝液(pH8)0.7
mlを加え、酵素溶液(パンクレアチン1mg/緩衝液0.05
ml)を混合して30℃にした。コントロールとしては、
0.2mlエタノール、0.02Mトリス塩酸緩衝液0.7mlお
よび酵素溶液0.5mlを混合した溶液を用いた。
【0022】別の試験管にリパーゼの基質であるトリブ
チリン(トリブチリン3.125mlと緩衝液11.875mlを
混合)を2.8ml入れスターラーで撹拌しながら、湯浴
で30℃とした。これに、上記の植物ステロール/酵素溶
液を加えて反応を開始させた。反応開始後、1分ごとに
12分までpHを測定し、pH変化の初速度を求め、コン
トロールの初速度と比較してリパーゼ阻害%を算出し
た。
【0023】表1にカンペステロール、β−シトステロ
ールおよびスティグマステロールによる膵臓リパーゼの
阻害活性(リパーゼ阻害%)を示す。いずれの植物ステ
ロールも強いリパーゼ阻害作用を示した。
【0024】
【表1】
【0025】実施例2 植物ステロールエステルによるリパーゼの阻害 実施例1と同じ方法でβ-シトステロールのオレイン酸
エステルのリパーゼ阻害活性を調べた。本実施例におい
ては、リパーゼの基質としてトリブチンではなくトリカ
プリリンを用いた。実施例1と同じ濃度で添加したβ−
シストステロールのオレイン酸エステルによってリパー
ゼ活性が76.5%阻害された。
【0026】実施例3 植物ステロール濃度とリパーゼ活性抑制作用の関係 実施例1と同様の方法を用い、植物ステロールの基質に
対する濃度を0.2〜0.75重量%として各濃度におけるリ
パーゼ阻害活性を調べた。植物ステロールとしては、β
―シトステロールを、基質としては食用脂質として代表
的なトリオレインを用いた。表2に結果を示す。
【0027】
【表2】
【0028】表2に示されるように、植物ステロールは
濃度依存的にリパーゼ阻害活性を示した。上記と同様の
試験をカンペステロールを用いて行い、トリオレインに
対して0.50重量%のカンペステロールを添加することに
よって、リパーゼ活性が約70%阻害されるという結果
を得た。
【0029】実施例4 タマネギによるリパーゼの阻害 実施例1と同じ方法でタマネギ抽出液のリパーゼの阻害
活性を調べた。乾燥タマネギ1gに100mlの水を加
えて抽出した液のリパーゼ阻害活性は63%であった。
また、同じく乾燥タマネギ1gに100mlの水を加
え、10分間煮沸して得られた抽出液のリパーゼ阻害活
性は39%であった。さらに、生タマネギ1gに水10
mlを加え、10分間煮沸して得られた抽出液のリパー
ゼ阻害活性は43%であった。各抽出液を濃縮し、リパ
ーゼ阻害活性を調べたところ、濃縮の程度に応じて単位
液量当たりの活性が上昇した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 3/04 A61P 3/04 3/06 3/06 9/10 101 9/10 101 9/12 9/12 43/00 111 43/00 111 C12N 9/99 C12N 9/99 (72)発明者 守屋 宏毅 大阪府寝屋川市下木田町14番5号 倉敷紡 績株式会社技術研究所内 (72)発明者 山本 良平 大阪府寝屋川市下木田町14番5号 倉敷紡 績株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4B018 MD15 MD53 ME14 MF01 4C076 BB01 CC11 CC21 CC29 DD46A 4C086 AA01 AA02 DA11 GA17 MA03 MA05 MA52 NA14 ZA42 ZA45 ZA70 ZA75 ZC33 4C088 AB87 BA08 CA03 MA52 NA14 ZA42 ZA45 ZA70 ZA75 ZC33

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物ステロールおよびそのエステルから
    なる群から選択される物質を1種以上含有する、リパー
    ゼ阻害剤。
  2. 【請求項2】 植物ステロールおよびそのエステルが、
    カンペステロール、β−シトステロール、およびスティ
    グマステロールおよびこれらのエステルからなる群から
    選択される、請求項1記載のリパーゼ阻害剤。
  3. 【請求項3】 植物ステロールまたはそのエステルから
    なる群から選択される物質を1種以上、その合計量が摂
    取時に加工食品に含まれるトリグリセライド成分に対し
    て0.5重量%以上となるよう含有する、リパーゼ阻害作
    用を有する加工食品。
  4. 【請求項4】 植物ステロールまたはそのエステルから
    なる群から選択される1種以上の物質が、タマネギ抽出
    物である、請求項3記載の加工食品。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006199678A (ja) * 2004-12-24 2006-08-03 Maruzen Pharmaceut Co Ltd 皮膚化粧料及び美容用飲食品
JP2007504254A (ja) * 2003-09-05 2007-03-01 ユニバーシティ オブ ネブラスカ−リンカーン 植物ステロールおよびスタノールエステルのコレステロール低下性を強化するための化合物および方法
JP2007246429A (ja) * 2006-03-15 2007-09-27 Shiratori Pharmaceutical Co Ltd リパーゼ阻害剤及び飲食品
JP2007314475A (ja) * 2006-05-26 2007-12-06 Kao Corp トリアシルグリセロール合成抑制剤
JP2011006347A (ja) * 2009-06-25 2011-01-13 Univ Of Tsukuba 脂肪細胞分化抑制剤、およびその利用

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