JP2003246689A - 易清掃性衛生陶器及びその製造方法 - Google Patents
易清掃性衛生陶器及びその製造方法Info
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- JP2003246689A JP2003246689A JP2002048614A JP2002048614A JP2003246689A JP 2003246689 A JP2003246689 A JP 2003246689A JP 2002048614 A JP2002048614 A JP 2002048614A JP 2002048614 A JP2002048614 A JP 2002048614A JP 2003246689 A JP2003246689 A JP 2003246689A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 一度の釉薬層を設ける工程によって汚れの付
着しにくく、また汚れを容易に除去可能な衛生陶器を製
造すること。 【解決手段】 分相組織を有するガラス構造物を粉砕す
ることにより得られる釉薬原料を衛生陶器成形素地に適
用することにより釉薬被覆物を形成する工程と、その釉
薬被覆物を800〜1300℃の温度で焼成する工程
と、を具備することを特徴とする易清掃性衛生陶器の製
造方法、好ましくは前記分相組織を有するガラス中の分
相を形成している2つの相のうち融点が低い方の相の融
点が前記釉薬被覆物を焼成する温度より10℃以上低
く、前記分相組織を有するガラス中の分相を形成してい
る2つの相のうち融点が高い方の相の融点が前記釉薬被
覆物を焼成する温度より10℃以上高いようにする。
着しにくく、また汚れを容易に除去可能な衛生陶器を製
造すること。 【解決手段】 分相組織を有するガラス構造物を粉砕す
ることにより得られる釉薬原料を衛生陶器成形素地に適
用することにより釉薬被覆物を形成する工程と、その釉
薬被覆物を800〜1300℃の温度で焼成する工程
と、を具備することを特徴とする易清掃性衛生陶器の製
造方法、好ましくは前記分相組織を有するガラス中の分
相を形成している2つの相のうち融点が低い方の相の融
点が前記釉薬被覆物を焼成する温度より10℃以上低
く、前記分相組織を有するガラス中の分相を形成してい
る2つの相のうち融点が高い方の相の融点が前記釉薬被
覆物を焼成する温度より10℃以上高いようにする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、汚れの付着しにく
い表面を有する衛生陶器の製造方法に関する。
い表面を有する衛生陶器の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】衛生陶器の表面を清浄に保つこと、及び
長期に亘って美観を保つことは、衛生陶器が一般的に生
活用品として広く使用されていることから必要とされる
特性である。古くより一般家庭において、衛生陶器表面
を衛生的に清浄に保ち、美観を高く保つための方法とし
て、界面活性剤、酸、アルカリ等の洗剤をタワシやブラ
シにつけてこする方法が採られてきた。
長期に亘って美観を保つことは、衛生陶器が一般的に生
活用品として広く使用されていることから必要とされる
特性である。古くより一般家庭において、衛生陶器表面
を衛生的に清浄に保ち、美観を高く保つための方法とし
て、界面活性剤、酸、アルカリ等の洗剤をタワシやブラ
シにつけてこする方法が採られてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法によれば汚れが付着する度にタワシやブラシでこする
という労働が要求される。この問題を解決するために、
本出願人は、衛生陶器素地上に第一の釉薬層と第二の釉
薬層を設け、第二の釉薬層には予め溶融された非晶質釉
薬を用いることおよび微粒化により焼成後の残留石英量
を極力低減させる方法(特願平10−164177
号)、及び第二の釉薬層にはジルコンと顔料の添加を行
わない方法等(特願平10−371599号)を提案
し、陶器表面の表面粗さRaが触針式表面粗さ測定装置
(JIS−B0651)により0.07μm未満にする
ことで、釉薬層表面に石英粒子が完全にガラス化されず
に残存する凹部をなくし、ジルコン粒子および顔料粒子
が表面に露出することによる凸部をなくすことで汚れの
付着しにくく、また汚れを容易に除去可能な衛生陶器を
完成させるに至った。しかし、この表面が非晶質釉薬か
らなる二層構造を作製するための製造方法としては、ま
ず素地乾燥体に素地の色の隠蔽や望みの色を得るための
着色層である釉薬層を形成後、その上に透明な釉薬層を
設けるという方法を用いるため、製造工程が増えるとい
う問題や焼成後も二層構造を維持するために各々の釉薬
層の諸条件を制御する必要があった。
法によれば汚れが付着する度にタワシやブラシでこする
という労働が要求される。この問題を解決するために、
本出願人は、衛生陶器素地上に第一の釉薬層と第二の釉
薬層を設け、第二の釉薬層には予め溶融された非晶質釉
薬を用いることおよび微粒化により焼成後の残留石英量
を極力低減させる方法(特願平10−164177
号)、及び第二の釉薬層にはジルコンと顔料の添加を行
わない方法等(特願平10−371599号)を提案
し、陶器表面の表面粗さRaが触針式表面粗さ測定装置
(JIS−B0651)により0.07μm未満にする
ことで、釉薬層表面に石英粒子が完全にガラス化されず
に残存する凹部をなくし、ジルコン粒子および顔料粒子
が表面に露出することによる凸部をなくすことで汚れの
付着しにくく、また汚れを容易に除去可能な衛生陶器を
完成させるに至った。しかし、この表面が非晶質釉薬か
らなる二層構造を作製するための製造方法としては、ま
ず素地乾燥体に素地の色の隠蔽や望みの色を得るための
着色層である釉薬層を形成後、その上に透明な釉薬層を
設けるという方法を用いるため、製造工程が増えるとい
う問題や焼成後も二層構造を維持するために各々の釉薬
層の諸条件を制御する必要があった。
【0004】本発明では、一度の釉薬層を設ける工程に
よって衛生陶器表面の汚れを容易に除去できる衛生陶器
の製造方法を提供することを目的とする。
よって衛生陶器表面の汚れを容易に除去できる衛生陶器
の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明では、分相組織を
有するガラス構造物を粉砕することにより得られる釉薬
原料を衛生陶器成形素地に適用することにより釉薬被覆
物を形成する工程と、その釉薬被覆物を800〜130
0℃の温度で焼成する工程と、具備することを特徴とす
る易清掃性衛生陶器の製造方法を提供する。こうするこ
とにより、一度の施釉工程で着色層としての第一釉薬層
と易清掃性を可能とする非晶質からなる第二釉薬層を形
成することができる。
有するガラス構造物を粉砕することにより得られる釉薬
原料を衛生陶器成形素地に適用することにより釉薬被覆
物を形成する工程と、その釉薬被覆物を800〜130
0℃の温度で焼成する工程と、具備することを特徴とす
る易清掃性衛生陶器の製造方法を提供する。こうするこ
とにより、一度の施釉工程で着色層としての第一釉薬層
と易清掃性を可能とする非晶質からなる第二釉薬層を形
成することができる。
【0006】ここで、分相組織を有するガラスとは特定
の組成領域内において、高温で均質な状態にある融液が
液相線以下の温度まで過冷却された際、準安定不混和領
域において熱力学的要求に応じて2つの相に分かれたも
のである。本発明では、組成Xが不混和領域内で組成A
と組成Bに分かれた分相ガラスにおいて再度昇温した。
その結果、請求項1乃至3に記載の製造方法により作製
される易清掃性衛生陶器であって、陶器素地表面に、非
晶質体中に結晶物を含有する着色性の第一釉薬層が形成
されており、前記第一釉薬層表面に非晶質からなる透明
性の第二釉薬層が形成されていることを特徴とする易清
掃性衛生陶器を作製できることを見出した。
の組成領域内において、高温で均質な状態にある融液が
液相線以下の温度まで過冷却された際、準安定不混和領
域において熱力学的要求に応じて2つの相に分かれたも
のである。本発明では、組成Xが不混和領域内で組成A
と組成Bに分かれた分相ガラスにおいて再度昇温した。
その結果、請求項1乃至3に記載の製造方法により作製
される易清掃性衛生陶器であって、陶器素地表面に、非
晶質体中に結晶物を含有する着色性の第一釉薬層が形成
されており、前記第一釉薬層表面に非晶質からなる透明
性の第二釉薬層が形成されていることを特徴とする易清
掃性衛生陶器を作製できることを見出した。
【0007】以下に、そのメカニズムを説明する。組成
Aの結晶化温度をTx(A)、融点をTm(A)、組成
Bの結晶化温度をTx(B)、融点をTm(B)とし、
組成Aが組成Bより低融点としたとき、一般的にTx
(A)<Tx(B)<Tm(A)<Tm(B)という関
係となる。このとき、この分相ガラスはTm(A)以下
の温度では組成A、Bともに固相、Tm(A)とTm
(B)の間の温度では組成Aは液相、組成Bは固相の固
液共存相、Tm(B)以上では組成A,Bともに液相の
状態になることがわかる。
Aの結晶化温度をTx(A)、融点をTm(A)、組成
Bの結晶化温度をTx(B)、融点をTm(B)とし、
組成Aが組成Bより低融点としたとき、一般的にTx
(A)<Tx(B)<Tm(A)<Tm(B)という関
係となる。このとき、この分相ガラスはTm(A)以下
の温度では組成A、Bともに固相、Tm(A)とTm
(B)の間の温度では組成Aは液相、組成Bは固相の固
液共存相、Tm(B)以上では組成A,Bともに液相の
状態になることがわかる。
【0008】今、分相組織を有するガラスを粉砕するこ
とにより得られる釉薬原料を衛生陶器成形素地に適用す
ることにより釉薬被覆物を形成し、昇温してTm(A)
以上になったとき、釉薬層中の分相ガラスによる組成A
は固相から液相となり、一方組成Bは固相のままであ
る。この状態において、液相が適度な粘性が得られかつ
移動に十分な時間が得られたとき、釉薬被覆物の表面エ
ネルギーを小さくする作用から、組成Aによる液相が表
面に移動する。これが表面に広がることで層を形成し、
適した冷却速度を与えることで釉薬最表面に組成Aから
なる非晶質の膜を形成することができる。Tm(B)以
上に昇温した場合では、分相ガラス体内は組成A、組成
Bともに液相となるが、その融液の粘性差により同様に
組成Aからなる層を上層として形成することができる。
このとき得られる層の厚みは表面に移動する液相量に依
存し、それは各分相ガラスの組成に対して焼成条件(温
度、時間)、分相ガラスの分相形状、大きさなどにより
制御できる。
とにより得られる釉薬原料を衛生陶器成形素地に適用す
ることにより釉薬被覆物を形成し、昇温してTm(A)
以上になったとき、釉薬層中の分相ガラスによる組成A
は固相から液相となり、一方組成Bは固相のままであ
る。この状態において、液相が適度な粘性が得られかつ
移動に十分な時間が得られたとき、釉薬被覆物の表面エ
ネルギーを小さくする作用から、組成Aによる液相が表
面に移動する。これが表面に広がることで層を形成し、
適した冷却速度を与えることで釉薬最表面に組成Aから
なる非晶質の膜を形成することができる。Tm(B)以
上に昇温した場合では、分相ガラス体内は組成A、組成
Bともに液相となるが、その融液の粘性差により同様に
組成Aからなる層を上層として形成することができる。
このとき得られる層の厚みは表面に移動する液相量に依
存し、それは各分相ガラスの組成に対して焼成条件(温
度、時間)、分相ガラスの分相形状、大きさなどにより
制御できる。
【0009】またこのとき得られる着色性の第一釉薬層
は、取り残された組成Aからなる液相と、移動が起こら
ない組成Bからなる固相もしくは液相の混合体から形成
され、結果として表面に形成される層と同じ組成Aから
なる非晶質体と組成Bからなる非晶物もしく結晶物の混
合体となる。ここで、熱処理時に組成Bが固相の場合、
そのまま冷却した場合においても結晶物を第一釉薬層に
含ませることができるが、組成Bが液相の場合は冷却速
度を遅くすることで、これを結晶物にする必要がある。
は、取り残された組成Aからなる液相と、移動が起こら
ない組成Bからなる固相もしくは液相の混合体から形成
され、結果として表面に形成される層と同じ組成Aから
なる非晶質体と組成Bからなる非晶物もしく結晶物の混
合体となる。ここで、熱処理時に組成Bが固相の場合、
そのまま冷却した場合においても結晶物を第一釉薬層に
含ませることができるが、組成Bが液相の場合は冷却速
度を遅くすることで、これを結晶物にする必要がある。
【0010】本発明の好ましい態様においては、釉薬原
料として用いる分相を形成しているガラス中の分相を形
成している2種類のガラスのうち、融点が低い方のガラ
スの融点が前記釉薬被覆物を焼成する温度より10℃以
上低いようにする。そうすることで、確実に分相を形成
しているガラス中の分相を形成している2種類のガラス
のうち、融点が低い方のガラスを液相となりかつ表面に
移動が可能な粘性とすることができ、最表層に非晶質か
らなる第二釉薬層を形成することができる。。
料として用いる分相を形成しているガラス中の分相を形
成している2種類のガラスのうち、融点が低い方のガラ
スの融点が前記釉薬被覆物を焼成する温度より10℃以
上低いようにする。そうすることで、確実に分相を形成
しているガラス中の分相を形成している2種類のガラス
のうち、融点が低い方のガラスを液相となりかつ表面に
移動が可能な粘性とすることができ、最表層に非晶質か
らなる第二釉薬層を形成することができる。。
【0011】本発明の好ましい態様においては、前記分
相組織を有するガラス中の分相を形成している2つの相
のうち融点が高い方の相の融点が前記釉薬被覆物を焼成
する温度より10℃以上高いようにする。そうすること
で、分相を形成している2種類のガラスのうち、融点が
高い方のガラスを容易に結晶質にすることができ、素地
の色を隠蔽し白色の衛生陶器を容易に得ることができ
る。
相組織を有するガラス中の分相を形成している2つの相
のうち融点が高い方の相の融点が前記釉薬被覆物を焼成
する温度より10℃以上高いようにする。そうすること
で、分相を形成している2種類のガラスのうち、融点が
高い方のガラスを容易に結晶質にすることができ、素地
の色を隠蔽し白色の衛生陶器を容易に得ることができ
る。
【0012】本発明の好ましい態様においては、第二釉
薬層の釉薬層厚みが0.01mm以上であるようにす
る。そうすることで、高い表面平滑性を得ることがで
き、かつその機能を長期に渡り維持することが可能とな
る。
薬層の釉薬層厚みが0.01mm以上であるようにす
る。そうすることで、高い表面平滑性を得ることがで
き、かつその機能を長期に渡り維持することが可能とな
る。
【0013】本発明の好ましい態様においては、第一釉
薬層の釉薬層厚みが0.1mm以上であるようにする。
そうすることで、素地の色をほぼ隠蔽することが可能と
なる。
薬層の釉薬層厚みが0.1mm以上であるようにする。
そうすることで、素地の色をほぼ隠蔽することが可能と
なる。
【0014】本発明の好ましい態様においては、上記構
成において、前記第二の釉薬層表面の表面粗さRaが触
針式表面粗さ測定装置(JIS−B0651)により、
0.07μm未満、好ましくは0.05μm以下、好ま
しくは0.03μm以下であるようにする。そうするこ
とにより、顕著な防汚効果が発現される。
成において、前記第二の釉薬層表面の表面粗さRaが触
針式表面粗さ測定装置(JIS−B0651)により、
0.07μm未満、好ましくは0.05μm以下、好ま
しくは0.03μm以下であるようにする。そうするこ
とにより、顕著な防汚効果が発現される。
【0015】本発明の好ましい態様においては、第二釉
薬層の組成にNa、K、Liなどの1価のアルカリ金属
を含むようにする。こうすることで、表面に存在するN
a、K、Liなどの1価のアルカリ金属による効果によ
り、自浄作用を与えることができる。
薬層の組成にNa、K、Liなどの1価のアルカリ金属
を含むようにする。こうすることで、表面に存在するN
a、K、Liなどの1価のアルカリ金属による効果によ
り、自浄作用を与えることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の一実施態様においては、
図1に示すように、陶器素地表面に非晶質体中に結晶物
を含有する着色性の第一釉薬層が形成されており、前記
第一釉薬層表面に透明性の第二釉薬層が形成されている
ことを特徴とする易清掃性衛生陶器である。ここで、第
一釉薬層の結晶物は1個あたりの大きさが100ナノメ
ートルよりも大きい方が望ましい。そうすることで効果
的に素地の色を隠蔽できる。
図1に示すように、陶器素地表面に非晶質体中に結晶物
を含有する着色性の第一釉薬層が形成されており、前記
第一釉薬層表面に透明性の第二釉薬層が形成されている
ことを特徴とする易清掃性衛生陶器である。ここで、第
一釉薬層の結晶物は1個あたりの大きさが100ナノメ
ートルよりも大きい方が望ましい。そうすることで効果
的に素地の色を隠蔽できる。
【0017】図1の実施態様の衛生陶器を製造する1つ
の方法は、例えば、分相を形成しているガラスを得るた
めの組成になるように天然原料を用意し、それを140
0〜1650℃で溶解、目的の分相が生成する冷却速度
で冷却して得たガラスを所定の粒径に粉砕したものを、
衛生陶器成形素地にスプレーコーティング法等を用いて
0.2〜0.8mmに成膜し、その釉薬被覆物を800
〜1300℃の温度で焼成する。分相を形成させる他の
方法として、ガラス原料を溶解し均一化した後急冷し、
再度液相線以下の温度にて熱処理する工程を用いてもよ
い。また、目的とする分相の大きさ、不混和領域での冷
却速度を変えるもしくは液相線以下での熱処理時間を制
御することで得ることができる。ここで、第二釉薬層が
結晶化しないように、釉薬被覆物を焼成する際は冷却速
度を制御することが望ましい。
の方法は、例えば、分相を形成しているガラスを得るた
めの組成になるように天然原料を用意し、それを140
0〜1650℃で溶解、目的の分相が生成する冷却速度
で冷却して得たガラスを所定の粒径に粉砕したものを、
衛生陶器成形素地にスプレーコーティング法等を用いて
0.2〜0.8mmに成膜し、その釉薬被覆物を800
〜1300℃の温度で焼成する。分相を形成させる他の
方法として、ガラス原料を溶解し均一化した後急冷し、
再度液相線以下の温度にて熱処理する工程を用いてもよ
い。また、目的とする分相の大きさ、不混和領域での冷
却速度を変えるもしくは液相線以下での熱処理時間を制
御することで得ることができる。ここで、第二釉薬層が
結晶化しないように、釉薬被覆物を焼成する際は冷却速
度を制御することが望ましい。
【0018】前記の方法で作製することで、表面粗さ
(Ra)が触針式表面粗さ測定装置(JIS−B065
1)により0.07μm未満、好ましくは0.05μm
未満、より好ましくは0.03μm未満の優れた表面平
滑性を有する衛生陶器となる。
(Ra)が触針式表面粗さ測定装置(JIS−B065
1)により0.07μm未満、好ましくは0.05μm
未満、より好ましくは0.03μm未満の優れた表面平
滑性を有する衛生陶器となる。
【0019】図1に示す非晶質層は釉薬原料となる分相
ガラスの分相を形成している2種類のガラスのうち、融
点が低い方のガラスからなるが、この組成として1価の
アルカリ金属を含むことが望ましい。そうすることで、
油汚れ、水垢汚れ等の付着汚れを一層除去しやすい衛生
陶器表面を得ることができる。
ガラスの分相を形成している2種類のガラスのうち、融
点が低い方のガラスからなるが、この組成として1価の
アルカリ金属を含むことが望ましい。そうすることで、
油汚れ、水垢汚れ等の付着汚れを一層除去しやすい衛生
陶器表面を得ることができる。
【0020】
【表1】
【0021】(比較例)表1の組成からなる釉薬原料2
kgと水1kg及び球石4kgを、容積6リットルの陶
器製ポットに入れ、ボールミルにより約24時間粉砕し
た。ここで得られた釉薬スラリーを釉薬Aとする。レー
ザー回折式粒度分布計を用いて、粉砕後に得られた釉薬
Aの粒径を測定したところ、10μm以下が65%、5
0%粒径が5.8μmであった。また、表1から乳濁剤
であるZrO2と顔料をのぞいた組成からなる釉薬基材
を、電気炉を用いて1300〜1500℃にて溶融し、
水中で急冷してガラスフリットを得た。これをスタンプ
ミルにより粉砕し、得られた粉末2kgと水1.2kg
及び球石4kgを容積6リットルの陶器製ポット中に入
れ、ボールミルにより約36時間粉砕した。ここで得ら
れた釉薬スラリーを釉薬Bとする。レーザー回折式粒度
分布計を用いて、粉砕後に得られた釉薬Bの粒径を測定
したところ、10μm以下が68%、50%粒径が6.
0μmであった。次に、ケイ砂、長石、粘土等を原料と
して調整した衛生陶器素地泥しょうを用いて、70×1
50mmの板状試験片を作製した。この板状試験片上
に、釉薬Aを焼成後の厚みが0.4mmになるようにス
プレーコーティングした後、1100〜1200℃で焼
成することで試料Aを得た。さらにこの板状試験片上
に、下層として釉薬Aを焼成後の厚みが0.4mmにな
るようにスプレーコーティングし、続いて上層として釉
薬Bを焼成後の厚みが0.2mmになるようスプレーコ
ーティングした後、1100〜1200℃で焼成するこ
とで試料Bを得た。得られた試料A,Bについて、目視
による釉薬層の外観評価、また釉薬層表面の表面粗さR
aを測定した。釉薬の外観は、いずれも目視においてク
ラック等の欠陥はみられず、衛生陶器として全く問題な
かった。釉薬層表面の表面粗さRaは触針式表面粗さ測
定装置(JIS−B0651)を用いて測定した。その
結果、試料Aの釉薬層表面の表面粗さRaは0.102
μmであり、試料Bの釉薬層表面の表面粗さRaは0.
041μmであった。
kgと水1kg及び球石4kgを、容積6リットルの陶
器製ポットに入れ、ボールミルにより約24時間粉砕し
た。ここで得られた釉薬スラリーを釉薬Aとする。レー
ザー回折式粒度分布計を用いて、粉砕後に得られた釉薬
Aの粒径を測定したところ、10μm以下が65%、5
0%粒径が5.8μmであった。また、表1から乳濁剤
であるZrO2と顔料をのぞいた組成からなる釉薬基材
を、電気炉を用いて1300〜1500℃にて溶融し、
水中で急冷してガラスフリットを得た。これをスタンプ
ミルにより粉砕し、得られた粉末2kgと水1.2kg
及び球石4kgを容積6リットルの陶器製ポット中に入
れ、ボールミルにより約36時間粉砕した。ここで得ら
れた釉薬スラリーを釉薬Bとする。レーザー回折式粒度
分布計を用いて、粉砕後に得られた釉薬Bの粒径を測定
したところ、10μm以下が68%、50%粒径が6.
0μmであった。次に、ケイ砂、長石、粘土等を原料と
して調整した衛生陶器素地泥しょうを用いて、70×1
50mmの板状試験片を作製した。この板状試験片上
に、釉薬Aを焼成後の厚みが0.4mmになるようにス
プレーコーティングした後、1100〜1200℃で焼
成することで試料Aを得た。さらにこの板状試験片上
に、下層として釉薬Aを焼成後の厚みが0.4mmにな
るようにスプレーコーティングし、続いて上層として釉
薬Bを焼成後の厚みが0.2mmになるようスプレーコ
ーティングした後、1100〜1200℃で焼成するこ
とで試料Bを得た。得られた試料A,Bについて、目視
による釉薬層の外観評価、また釉薬層表面の表面粗さR
aを測定した。釉薬の外観は、いずれも目視においてク
ラック等の欠陥はみられず、衛生陶器として全く問題な
かった。釉薬層表面の表面粗さRaは触針式表面粗さ測
定装置(JIS−B0651)を用いて測定した。その
結果、試料Aの釉薬層表面の表面粗さRaは0.102
μmであり、試料Bの釉薬層表面の表面粗さRaは0.
041μmであった。
【0022】(実施例)金属酸化物のモル比でSiO
2:Li2O=86:14になるように、SiO2粉、
LiCO3粉を秤量し、よく混合したものを電気炉にて
1500〜1650℃で溶融し、水中で急冷してガラス
フリットを得た。これをスタンプミルにより粉砕し、得
られた粉末2kgと水1kg及び球石4kgを容積6リ
ットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約3
6時間粉砕した。ここで得られた釉薬スラリーを釉薬C
とする。レーザー回折式粒度分布計を用いて、粉砕後に
得られた釉薬Cの粒径を測定したところ、10μm以下
が72%、50%粒径が5.2μmであった。次に、ケ
イ砂、長石、粘土等を原料として調整した衛生陶器素地
泥しょうを用いて、70×150mmの板状試験片を作
製した。この板状試験片上に、釉薬Cを焼成後の厚みが
0.4mmになるようにスプレーコーティングした後、
1100〜1200℃で焼成することで試料Cを得た。
得られた試料Cについて、目視による釉薬層の外観評
価、また釉薬層表面の表面粗さRaを測定した。釉薬の
外観は、目視においてクラック等の欠陥はみられず、衛
生陶器として全く問題なかった。釉薬層表面の表面粗さ
Raは触針式表面粗さ測定装置(JIS−B0651)
を用いて測定した。その結果、この試料Cの釉薬層表面
の表面粗さRaは0.028μmであった。また、この
ようにして得られた試料Cの断面の最表面近傍を実体顕
微鏡(Nikon、SMZ1500)にて観察をおこな
った結果を図2に示す。表面に約30μmのガラス膜が
形成し、下層が結晶質と非晶質の混合した構造を持つも
のであることが観察された。また、表面の色は白色であ
った。
2:Li2O=86:14になるように、SiO2粉、
LiCO3粉を秤量し、よく混合したものを電気炉にて
1500〜1650℃で溶融し、水中で急冷してガラス
フリットを得た。これをスタンプミルにより粉砕し、得
られた粉末2kgと水1kg及び球石4kgを容積6リ
ットルの陶器製ポット中に入れ、ボールミルにより約3
6時間粉砕した。ここで得られた釉薬スラリーを釉薬C
とする。レーザー回折式粒度分布計を用いて、粉砕後に
得られた釉薬Cの粒径を測定したところ、10μm以下
が72%、50%粒径が5.2μmであった。次に、ケ
イ砂、長石、粘土等を原料として調整した衛生陶器素地
泥しょうを用いて、70×150mmの板状試験片を作
製した。この板状試験片上に、釉薬Cを焼成後の厚みが
0.4mmになるようにスプレーコーティングした後、
1100〜1200℃で焼成することで試料Cを得た。
得られた試料Cについて、目視による釉薬層の外観評
価、また釉薬層表面の表面粗さRaを測定した。釉薬の
外観は、目視においてクラック等の欠陥はみられず、衛
生陶器として全く問題なかった。釉薬層表面の表面粗さ
Raは触針式表面粗さ測定装置(JIS−B0651)
を用いて測定した。その結果、この試料Cの釉薬層表面
の表面粗さRaは0.028μmであった。また、この
ようにして得られた試料Cの断面の最表面近傍を実体顕
微鏡(Nikon、SMZ1500)にて観察をおこな
った結果を図2に示す。表面に約30μmのガラス膜が
形成し、下層が結晶質と非晶質の混合した構造を持つも
のであることが観察された。また、表面の色は白色であ
った。
【0023】
【表2】
【0024】各々の結果は表2に示す。このように、本
発明の実施例においては表面粗さRaが小さくなること
で付着汚れが残存しにくい釉薬層表面になっており、そ
のため衛生陶器としての実使用においても汚物が除去し
やすくなっているものと推測される。
発明の実施例においては表面粗さRaが小さくなること
で付着汚れが残存しにくい釉薬層表面になっており、そ
のため衛生陶器としての実使用においても汚物が除去し
やすくなっているものと推測される。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、一度の釉薬層を設ける
工程によって汚れの付着しにくく、また汚れを容易に除
去可能な衛生陶器を製造することが可能となる。
工程によって汚れの付着しにくく、また汚れを容易に除
去可能な衛生陶器を製造することが可能となる。
【図1】 本発明の実施例を示す図である。
【図2】 本発明の実施例において作製された試料Cの
実体顕微鏡写真である。
実体顕微鏡写真である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 須田 稔光
福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1
号 東陶機器株式会社内
(72)発明者 長谷川 義之
福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1
号 東陶機器株式会社内
(72)発明者 早川 信
福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1
号 東陶機器株式会社内
Claims (10)
- 【請求項1】 分相組織を有するガラス構造物を粉砕す
ることにより得られる釉薬原料を衛生陶器成形素地に適
用することにより釉薬被覆物を形成する工程と、その釉
薬被覆物を800〜1300℃の温度で焼成する工程
と、を具備することを特徴とする易清掃性衛生陶器の製
造方法。 - 【請求項2】 前記分相組織を有するガラス中の分相を
形成している2つの相のうち融点が低い方の相の融点が
前記釉薬被覆物を焼成する温度より10℃以上低いこと
を特徴とする請求項1に記載の易清掃性衛生陶器の製造
方法。 - 【請求項3】 前記分相組織を有するガラス中の分相を
形成している2つの相のうち融点が高い方の相の融点が
前記釉薬被覆物を焼成する温度より10℃以上高いこと
を特徴とする請求項1又は2に記載の易清掃性衛生陶器
の製造方法。 - 【請求項4】 請求項1乃至3に記載の製造方法により
作製される易清掃性衛生陶器であって、陶器素地表面
に、非晶質体中に結晶物を含有する着色性の第一釉薬層
が形成されており、前記第一釉薬層表面に非晶質からな
る透明性の第二釉薬層が形成されていることを特徴とす
る易清掃性衛生陶器。 - 【請求項5】 前記第二釉薬層の釉薬層厚みが0.01
mm以上であることを特徴とする請求項1乃至4に記載
の易清掃性衛生陶器。 - 【請求項6】 前記第一釉薬層の釉薬層厚みが0.1m
m以上であることを特徴とする請求項1乃至5に記載の
易清掃性衛生陶器。 - 【請求項7】 前記第二の釉薬層表面の表面粗さRaが
触針式表面粗さ測定装置(JIS−B0651)によ
り、0.07μm未満であることを特徴とする請求項1
乃至6に記載の易清掃性衛生陶器。 - 【請求項8】 前記第二の釉薬層表面の表面粗さRaが
触針式表面粗さ測定装置(JIS−B0651)によ
り、0.05μm以下であることを特徴とする請求項1
乃至6に記載の易清掃性衛生陶器。 - 【請求項9】 前記第二の釉薬層表面の表面粗さRaが
触針式表面粗さ測定装置(JIS−B0651)によ
り、0.03μm以下であることを特徴とする請求項1
乃至6に記載の易清掃性衛生陶器。 - 【請求項10】 前記第二の釉薬層の組成にNa、K、
Liなどの1価のアルカリ金属を含むことを特徴とする
請求項1乃至6に記載の易清掃性衛生陶器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002048614A JP2003246689A (ja) | 2002-02-25 | 2002-02-25 | 易清掃性衛生陶器及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002048614A JP2003246689A (ja) | 2002-02-25 | 2002-02-25 | 易清掃性衛生陶器及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003246689A true JP2003246689A (ja) | 2003-09-02 |
Family
ID=28661366
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002048614A Pending JP2003246689A (ja) | 2002-02-25 | 2002-02-25 | 易清掃性衛生陶器及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003246689A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012043848A1 (ja) | 2010-09-29 | 2012-04-05 | Toto株式会社 | 素地隠蔽性に優れた釉薬層を有する衛生陶器 |
JP2019218243A (ja) * | 2018-06-20 | 2019-12-26 | 株式会社Lixil | 衛生陶器及び衛生陶器の製造方法 |
CN110615664A (zh) * | 2018-06-20 | 2019-12-27 | 骊住株式会社 | 卫生陶器以及卫生陶器的制造方法 |
CN115477531A (zh) * | 2021-05-31 | 2022-12-16 | Toto株式会社 | 卫生陶器 |
-
2002
- 2002-02-25 JP JP2002048614A patent/JP2003246689A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012043848A1 (ja) | 2010-09-29 | 2012-04-05 | Toto株式会社 | 素地隠蔽性に優れた釉薬層を有する衛生陶器 |
JP2012091998A (ja) * | 2010-09-29 | 2012-05-17 | Toto Ltd | 素地隠蔽性に優れた釉薬層を有する衛生陶器 |
US9242891B2 (en) | 2010-09-29 | 2016-01-26 | Toto Ltd. | Sanitary ware having glaze layer having excellent base-covering properties |
JP2019218243A (ja) * | 2018-06-20 | 2019-12-26 | 株式会社Lixil | 衛生陶器及び衛生陶器の製造方法 |
CN110615664A (zh) * | 2018-06-20 | 2019-12-27 | 骊住株式会社 | 卫生陶器以及卫生陶器的制造方法 |
JP7085912B2 (ja) | 2018-06-20 | 2022-06-17 | 株式会社Lixil | 衛生陶器及び衛生陶器の製造方法 |
CN115477531A (zh) * | 2021-05-31 | 2022-12-16 | Toto株式会社 | 卫生陶器 |
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