JP2003246682A - 炭化珪素含有不定形耐火物 - Google Patents

炭化珪素含有不定形耐火物

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龍夫 山崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】不定形耐火物に含まれる炭化珪素原料の耐酸化
性を向上させることにより、耐蝕性及び耐スポーリング
性に優れ、長期間割れや剥離が生じない炭化珪素含有不
定形耐火物を提供する。 【解決手段】本発明の炭化珪素含有不定形耐火物は、金
属鉄の含有量が、炭化珪素原料全体を100質量%として
0.5質量%未満である炭化珪素原料を含有することを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐蝕性及び耐スポ
ーリング性に優れ、長期間割れや剥離が発生しない炭化
珪素含有不定形耐火物に関し、特に高炉の出銑樋等の溶
融金属容器に内張り等として好適に使用できる炭化珪素
含有不定形耐火物に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融金属容器、例えば高炉の出銑樋の内
張り用不定形耐火物は出銑時に高温に曝され、熱的及び
構造的スポーリングを受けるとともに、スラグや溶銑等
の飛散による侵食や磨耗を受ける。そのため、耐蝕性及
び耐スポーリング性に優れているアルミナ−炭化珪素質
やスピネル−炭化珪素質といった炭化珪素含有不定形耐
火物が使用されている。炭化珪素は優れた耐火性を有す
るため溶損され難く、さらに容積安定性が高い等の特徴
を有しているので、耐火物に適した材料である。そのた
め特に高炉の出銑樋の内張りには、炭化珪素を多量に含
有する高炭化珪素質材が使用されている。しかしなが
ら、炭化珪素は高温において酸化されやすい性質を持つ
ので、大気中では850℃前後から酸化され始め、1200℃
を超えると酸化が顕著になる。炭化珪素の酸化速度は、
耐火物の使用温度や酸素濃度等の使用条件以外にも、炭
化珪素原料の性質やその他の使用原料の特性、施工体の
緻密さ等種々の要因に影響されることが知られている。
【0003】炭化珪素の酸化が進行すると、耐火物施工
体に割れや耐蝕性低下などの悪影響が生じ、耐火物の寿
命が短くなる。また耐火物を出銑樋に用いた場合、局部
的な損傷が進行して湯漏れ等の重大な事故につながる危
険性もある。高炉の出銑樋に使用した炭化珪素含有不定
形耐火物中の炭化珪素が酸化され、耐火物中の炭化珪素
の有効含有量が初期の添加量に対して1/4程度となっ
た結果、施工体の表面に亀裂や局部損傷が生じて湯漏れ
したという事例がある。この他にも、炭化珪素含有量の
低下が原因となり、耐火物の耐蝕性が低下し、亀裂やわ
れが発生したという事例が数多く報告されている。
【0004】このように、炭化珪素の酸化は耐火物施工
体の耐用性に大きく影響するため、酸化を抑制すること
は極めて重要な課題である。また炭化珪素の酸化速度は
施工体の補修頻度を左右するので、経済的な観点からも
酸化の抑制が望まれている。そこで特公平6-8223号、特
公昭57-38554号等に記載されているように、耐火物中に
酸化防止剤を添加したり、耐火物組織を緻密化して酸素
の侵入を防止することにより、炭化珪素の酸化抑制が試
みられてきた。しかしいずれの方法も炭化珪素の酸化を
充分に抑制することはできなかった。
【0005】また特開昭58-125668号は、炭化珪素含有
不定形耐火物(流し込み樋材)に使用する炭化珪素原料
微粉を陰イオン界面活性剤により表面処理し、親水化す
ることを記載している。このように炭化珪素原料自体を
改質することにより、流し込み時の水量を少なくでき、
緻密で高強度な耐火物を得られるが、炭化珪素の酸化防
止に充分な効果を発揮するとは言えない。以上の通り、
従来の技術による酸化防止の効果は不充分で、使用にと
もなう酸化劣化が依然として耐火物の品質を低下させ、
寿命を短くする要因となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、不定形耐火物に含まれる炭化珪素原料の耐酸化性を
向上させることにより、耐蝕性及び耐スポーリング性に
優れ、長期間割れや剥離が生じ難い炭化珪素含有不定形
耐火物を提供することである。
【0007】
【問題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は、炭化珪素原料に含まれる不純物の
うち特に酸化作用の大きい金属鉄の含有量を制限した炭
化珪素含有不定形耐火物は耐蝕性及び耐スポーリング性
に優れ、長寿命であることを発見し、本発明に想到し
た。
【0008】すなわち、本発明の炭化珪素含有不定形耐
火物は、金属鉄の含有量が、炭化珪素原料全体を100質
量%として0.5質量%未満である炭化珪素原料を含有す
ることを特徴とする。これにより、金属鉄による炭化珪
素の酸化が抑えられ、不定形耐火物の炭化珪素の有効含
有量を長期間高く維持することができる。
【0009】本発明の炭化珪素含有不定形耐火物におい
て、炭化珪素原料は微粉であり、粒径が45μm以下の粒
子の割合は前記炭化珪素原料微粉全体を100質量%とし
て70質量%以下であるのが好ましい。このように、炭化
珪素原料微粉のうち粒径の小さい粒子の割合を少なくす
ることにより、酸化をより効果的に防止することができ
る。また本発明の炭化珪素含有不定形耐火物は、耐火物
全体を100質量%として5〜30質量%の割合で炭化珪素
原料を含有しているのが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の炭化珪素含有不定形耐火
物について、高炉の出銑樋に用いる流し込み樋材を例と
して、以下詳細に説明する。 [1] 流し込み樋材 流し込み樋材は炭化珪素原料、その他の耐火性骨材、そ
の他の耐火性微粉、アルミナセメント、分散剤及びその
他の添加剤からなり、低セメントキャスタブルに分類さ
れる耐火物である。炭化珪素原料は、粒径に応じて耐火
性骨材及び耐火性微粉のいずれとしても用いることがで
きる。流し込み樋材の材質はアルミナ−炭化珪素又はア
ルミナ−スピネル−炭化珪素を主体にしており、一部の
特殊用途を除外すればいずれも炭化珪素を含有するの
で、炭化珪素含有不定形耐火物の代表的なものと言え
る。アルミナ−炭化珪素質材は高炉樋における広範囲の
内張り材に使用され、アルミナ−スピネル−炭化珪素質
材は主樋のメタル部の内張り材に使われる。
【0011】(A) 炭化珪素原料 本発明において「炭化珪素原料」とは、不定形耐火物の
原料のうち、炭化珪素を主成分とする原料をいう。炭化
珪素原料は炭化珪素以外に金属、セラミックス、有機物
等の不純物を含有していてもよい。また「炭化珪素原料
微粉」とは、粒径が0.3 mm以下である炭化珪素原料をい
う。
【0012】図1は、金属鉄の含有量と炭化珪素の酸化
率との関係を示すグラフである。ここで使用した炭化珪
素原料は純度(SiC含有量)が98.23質量%、F.C.(固定
炭素)含有量が0.11質量%の炭化珪素原料微粉であり、
粒径が45μm以下の粒子の割合が炭化珪素原料微粉全体
を100質量%として40質量%及び80質量%の2種類であ
る。これらの炭化珪素原料微粉が、炭化珪素原料微粉全
体を100質量%として0.1〜1.5質量%の範囲で金属鉄を
含有するように粒径75μm以下の金属鉄粉末を添加して
混合し、磁製ボートに入れて大気下1450℃で5時間焼成
した。焼成前後における炭化珪素原料微粉の炭化珪素含
有量を化学分析によりそれぞれ調べた。焼成後の炭化珪
素の減少量を焼成前の炭化珪素含有量で除した値(百分
率)により、炭化珪素の酸化率を表す。
【0013】図1から明らかなように、粒径が45μm以
下の粒子の割合が40質量%及び80質量%のいずれの炭化
珪素原料微粉においても、金属鉄の含有量の増加にとも
なって炭化珪素の酸化率が上昇している。粒径が45μm
以下の粒子が40質量%である炭化珪素原料微粉の場合、
金属鉄の含有量が炭化珪素原料微粉全体を100質量%と
して0.5質量%未満では酸化率の上昇が比較的緩やかで
ある。しかし金属鉄の含有量が0.5質量%以上になる
と、金属鉄の含有量の増加にともない酸化率が急に上昇
し、金属鉄含有量が1質量%を超えると上昇が再び緩や
かになる。粒径が45μm以下の粒子が全体の80質量%で
ある炭化珪素原料微粉の場合も、45μm以下の粒子が40
質量%である炭化珪素原料微粉と同じ酸化率の傾向を示
している。金属鉄含有量が0.1〜1.5質量%の範囲では、
45μm以下の粒子が80質量%である炭化珪素原料微粉の
方が、40質量%である炭化珪素原料微粉よりも常に酸化
率が大きい。
【0014】金属鉄を含有する炭化珪素原料が加熱され
ると、低温域において金属鉄から生成した鉄酸化物FeO
が酸素の中間媒体となり、炭化珪素の活性酸化を助長す
ると考えられる。金属鉄による炭化珪素の酸化が進行す
ると、炭化珪素の有効含有量が大きく低下するのみなら
ず、炭化珪素の酸化により生成した活性シリカと酸化鉄
及び耐火物マトリックスとが反応してガラス物質を生成
してしまう。このように、炭化珪素原料を含有する耐火
物の耐蝕性、耐スポーリング性等の耐火物性能は金属鉄
により著しく悪影響を受ける。従って、金属鉄の含有量
が0.5質量%以上になると、炭化珪素原料微粉の酸化率
が急に大きくなり、耐火物性能も著しく損なわれてしま
う。
【0015】本発明においては、金属鉄の含有量を0.5
質量%未満とすることにより、流し込み樋材の材料性能
を飛躍的に向上させている。金属鉄の含有量は好ましく
は0.2質量%以下である。炭化珪素原料は骨材及び微粉
のいずれにも使用可能である。ただ、炭化珪素原料微粉
については、粒径が45μm以下である粒子の割合は炭化
珪素原料微粉全体を100質量%として70質量%以下であ
るのが好ましい。粒径が45μm以下である粒子の割合が7
0質量%を超えると炭化珪素の反応面積が増大し、酸化
率が上昇するので好ましくない。
【0016】炭化珪素原料微粉の使用量は用途に応じて
調節するが、流し込み樋材全体を100質量%として5〜3
0質量%の範囲で使用するのが好ましい。炭化珪素原料
微粉の含有量が5質量%未満では流し込み樋材の耐蝕性
や耐スポーリング性の向上効果が充分とならないので好
ましくない。また炭化珪素原料微粉の含有量が流し込み
樋材の30質量%を超えると、炭化珪素の酸化量が増加し
て施工体の寿命が低下するだけでなく、流し込み樋材全
体の粒度バランスが崩れて施工時の流動性が低下するの
で好ましくない。
【0017】(B) その他の耐火性骨材 本発明に使用するその他の耐火性骨材は、アルミナ、ス
ピネル、ムライト、黒鉛、ピッチ、ボーキサイト、ダイ
アスポア、礬土頁岩、シャモット、ケイ石、パイロフィ
ライト、シリマナイト、アンダリュサイト、クロム鉄
鉱、マグネシア、ジルコニア、ジルコン、クロミア、窒
化珪素、窒化アルミニウム、炭化ホウ素、ホウ化チタン
及びホウ化ジルコニウム等から選ばれた少なくとも1種
であって、必要に応じて2種以上を併用することができ
る。耐火性骨材の粒径は30 mm以下であるのが好まし
く、0.1〜30 mmであるのがより好ましい。耐火性骨材の
含有量は、耐火物の内部組織の緻密化及び流動性を良好
にする観点から、不定形耐火物全体を100質量%とし
て、60〜80質量%であるのが好ましい。
【0018】(C) その他の耐火性微粉 その他の耐火性微粉は、アルミナ、スピネル、ムライ
ト、非晶質シリカ、シリカ、チタニア、カーボン、粘
土、ボーキサイト、ダイアスポア、礬土頁岩、シャモッ
ト、パイロフィライト、シリマナイト、アンダリュサイ
ト、ケイ石、クロム鉄鉱、マグネシア、ジルコニア、ジ
ルコン、クロミア、窒化珪素、窒化アルミニウム、炭化
ホウ素、ホウ化ジルコニウム及びホウ化チタン等から選
ばれた少なくとも1種であって、必要に応じて2種以上
を併用することができる。本発明において耐火性微粉は
耐火性超微粉を含むのが好ましく、耐火性超微粉の含有
量は、不定形耐火物全体を100質量%として2〜25質量
%であるのが好ましい。耐火性超微粉の含有量が2質量
%未満では分散剤との併用により混練水量を減少する効
果(減水効果)が小さく、25質量%を超えるとかえって
混練水量が増加して焼成後の収縮が大きくなるので好ま
しくない。減水効果を顕著にするため、耐火性超微粉の
粒径は10μm以下であるのが好ましく、1μm以下である
のがより好ましい。
【0019】(D) アルミナセメント アルミナセメントは、施工体の強度を向上させるだけで
なく、金属アルミニウム粉末等と混練水との反応を促進
させる水酸化物イオンを供給する。使用するアルミナセ
メントは、通常不定形耐火物に用いられているものであ
れば特に限定する必要はないが、中でもJIS の1種、2
種及び3種クラスが適している。アルミナセメントの配
合量は不定形耐火物全体を100質量%として0.5〜8質量
%とするのが好ましく、1〜6質量%とするのがより好
ましい。アルミナセメントの配合量が0.5質量%未満で
は強度が充分ではなく、8質量%を超えると耐食性が低
下するので好ましくない。
【0020】(E) 分散剤 分散剤としては、ヘキサメタリン酸ソーダ、トリポリリ
ン酸ソーダ等の縮合リン酸塩、β−ナフタレンスルホン
酸塩ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸塩ホルマリ
ン縮合物、アミノスルホン酸及びその塩、リグニンスル
ホン酸及びその塩、ポリアクリル酸及びその塩、ポリカ
ルボン酸及びその塩、オキシカルボン酸及びその塩等が
好ましく、これらを1種又は2種以上配合して使用する
ことができる。分散剤の添加量は、不定形耐火物全体を
100質量%として0.01〜1質量%(外掛け)であるのが
好ましい。分散剤の添加量が0.01質量%未満では耐火性
粉末に対する充分な分散効果が得られず、また1質量%
超では最適な分散状態とならない。
【0021】(F) その他の添加剤 炭化珪素含有不定形耐火物に配合できるその他の添加物
としては、硼酸、リン酸、オキシカルボン酸、炭酸アル
カリ塩等の硬化時間調整材、無機又は金属等の繊維、金
属アルミニウム、オキシカルボン酸塩、有機繊維等の爆
裂防止材等が挙げられる。さらに金属シリコン等の粉末
状焼結助材、炭化ホウ素等の酸化防止材も使用できる。
【0022】[2] 炭化珪素原料の製造方法 耐火物に用いる炭化珪素原料は、例えば電気抵抗炉法等
により作製したインゴットを適当な粒度に粉砕して得ら
れる。金属等の不純物は、インゴットの製造時に酸化物
が還元されることにより生成して混入する。また金属鉄
はインゴットの製造時以外にも、粉砕に使用する粉砕機
及び粉砕媒体から混入することがあり、特に鉄製のボー
ルミルや振動ミル等により粉砕を行った場合には多量に
混入してしまうことが多い。
【0023】炭化珪素原料から不純物を除去する方法と
しては、酸、アルカリ等の薬品処理や磁気分離等が有効
である。磁気分離は磁気的引力により不純物を分離する
方法である。磁気分離は処理効率が高く、除鉄方法とし
て一般的に使用されているが、歩留まりや残留分の観点
から磁気分離のみでは充分でない場合もある。磁気分離
のみでは充分に鉄を除去できない場合、さらに薬品処理
を施すとよい。薬品処理を施す場合は、炭化珪素原料の
懸濁液のpHが中性付近になるよう酸処理とアルカリ処理
の両方を行うのが好ましい。懸濁液のpHを中性付近とす
ることにより、炭化珪素原料を含有する低セメントキャ
スタブル耐火物の硬化が異常に遅延したり進行するのを
抑止することができる。アルカリによる薬品処理はさら
に金属アルミニウム、金属シリコン等を除去する効果も
有する。炭化珪素原料に含まれる金属アルミニウム、金
属シリコン等は、養生中に水と反応して予期せぬ水素ガ
スを発生させ、施工体に膨れや亀裂を生じさせることが
あるので、アルカリ処理により除去するのが好ましい。
【0024】またインゴットの粉砕時に金属鉄が混入す
ることを避けるため、鉄以外の粉砕媒体を用いるのも有
効である。しかし鉄以外の粉砕媒体には、経済的不利及
び新たな粉砕媒体物質の混入という問題が生じやすいの
で、安価で炭化珪素原料に混入しにくい粉砕媒体を用い
るのがよい。炭化珪素のインゴットを製造する方法とし
ては、電気抵抗炉法の他に昇華再結晶法、気相反応法、
溶液からの析出法等が挙げられる。電気抵抗炉法以外の
方法は比較的コスト高であるが、高純度の炭化珪素原料
を得ることができる。
【0025】
【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】実施例1〜4、比較例1及び2 下記表1に示す配合組成物(流し込み樋材)に、配合組
成物を100質量%として4.5質量%(外掛け)の水を添加
し、混練したものを以下の試験毎に所定の型枠に流し込
み、24時間養生した。脱枠後、110℃で24時間乾燥させ
て試験片を作製し、以下の試験を行った。
【0027】
【表1】
【0028】(1) 酸化率 試験片を大気中1300℃において24時間焼成し、焼成前後
の試験片に含有される炭化珪素の量を測定した。酸化率
は、焼成前後の炭化珪素含有量の差を焼成前における炭
化珪素含有量で除した値(百分率)で表される。結果を
表2に示す。
【0029】表2から明らかなように、実施例1〜4の
試験片は比較例1及び2に比べて酸化率が低い。特に実
施例1〜3の試験片の酸化率は10%以下に抑えられてい
た。実施例1〜3の試験片は金属鉄の含有量が少ないこ
とに加えて、小さい炭化珪素粒子の割合が少ないため、
酸化率を著しく低減できたと考えられる。実施例4の試
験片が実施例1〜3の試験片に比べて高い酸化率を示し
たのは、用いた炭化珪素原料微粉のうち粒径45μm以下
の粒子が80質量%と多いので、反応面積が大きいためだ
と考えられる。比較例1及び2の試験片は酸化率がいず
れも20%を超えた。これらのことから、(a) 炭化珪素原
料微粉に含有される金属鉄の量が少ないことが必要であ
り、また(b) 粒径45μm以下の炭化珪素粒子の割合が少
ないと、炭化珪素原料微粉の酸化がさらに抑制されるこ
とが分かった。
【0030】(2) 耐蝕性 大気中1300℃において24時間焼成した各試験片の耐蝕性
を回転侵蝕試験法により測定した。侵蝕試験は約1550℃
の温度で10時間行った。試験前後の試験片の寸法変化を
測定し、時間当たりの溶損量(mm/h)によって耐蝕性
を評価した。結果を表2に示す。表2における実施例1
〜4と比較例1及び2との差から明らかなように、耐蝕
性の向上には金属鉄の含有量を少なくした炭化珪素原料
微粉を用いることが有効であり、粒径45μm以下の炭化
珪素粒子の割合が少ないと、さらに耐蝕性が良好にな
る。
【0031】また本発明の実施例1による炭化珪素含有
不定形耐火物を製鉄所の出銑樋に用いたところ、従来の
材料を使用した炭化珪素含有不定形耐火物に比べて、稼
働面の溶損速度が27%小さかった。さらに出銑樋の裏面
部分については、一年以上経過しても支障なく使用する
ことができた。
【0032】(3) スポーリング試験による弾性率の低下
率 大気中1450℃において5時間事前焼成した各試験片をス
ポーリング試験に供した。スポーリング試験は、試験片
を1450℃の炉中に投入後30分間加熱し、次いで強制空冷
を30分間行うサイクルを5回繰り返すことにより行っ
た。スポーリング試験前後における弾性率の差をスポー
リング試験前における弾性率で除した値(百分率)によ
り、弾性率の低下率を表した。結果を表2に示す。比較
例1及び2は実施例1〜4の試験片に比べて、スポーリ
ング試験により弾性率が大きく低下している。特に実施
例1〜3は良好な耐スポーリング性を示した。炭化珪素
原料微粉の金属鉄含有量、及び粒径45μm以下の粒子の
割合を少なくすることにより、耐火物の耐スポーリング
性を向上できることが分かった。
【0033】
【表2】
【0034】
【発明の効果】以上詳述した通り、不定形耐火物の炭化
珪素中に不純物として混入する金属鉄は、高温において
炭化珪素の酸化を促進するだけでなくガラス物質を生成
するため、不定形耐火物に多大な悪影響をもたらす。本
発明の炭化珪素含有不定形耐火物は、金属鉄の含有量が
少ないため、優れた耐蝕性及び耐スポーリング性を有し
ており、樋材等の溶湯容器の内張り等に好適に使用する
ことができる。また粒径の小さい粒子の割合を制限した
炭化珪素原料微粉を用いることにより、さらに耐酸化性
が良好な不定形耐火物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 金属鉄の含有量と炭化珪素の酸化率との関係
を示すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属鉄の含有量が、炭化珪素原料全体を
    100質量%として0.5質量%未満である炭化珪素原料を含
    有することを特徴とする炭化珪素含有不定形耐火物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の炭化珪素含有不定形耐
    火物において、前記炭化珪素原料は微粉であり、粒径が
    45μm以下の粒子の割合が前記炭化珪素原料微粉全体を1
    00質量%として70質量%以下であることを特徴とする炭
    化珪素含有不定形耐火物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の炭化珪素含有不
    定形耐火物において、前記炭化珪素原料を、前記不定形
    耐火物全体を100質量%として5〜30質量%含有するこ
    とを特徴とする炭化珪素含有不定形耐火物。
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US20110003089A1 (en) * 2009-07-03 2011-01-06 Noriyuki Meguriya Silicone rubber composition for highly heat conductive thermal fixing roll or thermal fixing belt, fixing roll, and fixing belt
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