JP2003243208A - 電圧非直線抵抗体の製造方法 - Google Patents

電圧非直線抵抗体の製造方法

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JP2003243208A
JP2003243208A JP2002034909A JP2002034909A JP2003243208A JP 2003243208 A JP2003243208 A JP 2003243208A JP 2002034909 A JP2002034909 A JP 2002034909A JP 2002034909 A JP2002034909 A JP 2002034909A JP 2003243208 A JP2003243208 A JP 2003243208A
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JP2002034909A
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Zenichi Tanno
善一 丹野
Toshiya Imai
俊哉 今井
Hiroyoshi Narita
広好 成田
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Toshiba Corp
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TM HENDEN KIKI TECHNOLOGY KK
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】開閉サージ、雷インバルスや過電圧等のサージ
に対するサージ吸収能力を向上させた電圧非直線抵抗体
の製造方法を提供する。 【解決手段】主成分の酸化亜鉛と添加物とを分散剤、結
合剤及び潤滑剤と共に水中で混合する混合工程において
消泡剤として、リン酸トリブチル、オクチルアルコー
ル、ポリオキシアルキレングリコール誘導体のいずれか
一つを添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化亜鉛を主成分
とし、過電圧保護装置の内部要素として使用される電圧
非直線抵抗体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電力系統においては、送電線路に設けた
遮断器などの開閉時に発生する開閉サージや、雷放電に
よる雷インパルスなどによる過電圧がある限度を超えた
時、これを放電し、続流を短時間のうちに遮断すること
によって系統の電気機器を過電圧から保護し、系統を早
期に正常状態に復帰させるための避雷器やサージアブソ
ーバといった過電圧保護装置が用いられている。この過
電圧保護装置の内部要素には、電圧非直線抵抗体が主に
使用されている。ここで、電圧非直線抵抗体とは、正常
な電圧ではほぼ絶縁特性を示し、過電圧が印加された時
には比較的低抵抗となって過電圧を放電させるような電
圧―電流非直線特性を有する抵抗体である。このような
電圧非直線抵抗体は一般にセラミックス、すなわち焼結
体から構成されている。
【0003】従来、この種の焼結体は主成分である酸化
亜鉛(ZnO)に、非直線抵抗特性を得るための添加物
としてビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、コバルト
(Co)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、ニッケ
ル(Ni)、ケイ素(Si)などの金属酸化物を添加し
たものを混合し、造粒し、成形し、焼結して円板状に形
成し、この円板の端面を研磨後電極を付与することによ
り焼結体素子が形成される。また、焼結体の側面には過
電圧が印加した場合の閃絡防止の目的で高抵抗材料が被
覆されている。このように形成された円板状の焼結体素
子を放電容量に応じて複数枚電極が接するように積み重
ねて過電圧保護装置を構成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年の電力
系統は、送電ロスを低減し、コストパフォマンスを高め
るため、大容量化、高電圧化が進み、これに伴い500
kVもの高電圧送電が実用化している。一方では、都市
部の地価高騰に伴う用地不足による受変電設備の設置ス
ペース不足から送変電機器の小型化、コストダウン化が
より一層要求されている。
【0005】従って、大容量、高電圧送変電系統で発生
する大きい各種サージエネルギーを処理するために、単
純に大型で容量の増大した電圧非直線抵抗体を用いれば
良いということではなく、さらに小型で大きなサージエ
ネルギーを処理することのできる電圧非直線抵抗体が要
求されている。換言すれば、単位体積あたりの処理エネ
ルギー量の飛躍的な改善が求められている。サージエネ
ルギー吸収能力は焼結体の微細構造の均一性に大きく影
響されることが従来よりよく知られている。
【0006】ところで、焼結体の微細構造は構成成分原
料の混合分散度合いが大きく影響する。一般に、電圧非
直線抵抗体の構成成分原料は、その粒子径、粒度分布、
密度等の物性値がそれぞれの成分毎、製造メーカ毎、さ
らには同じメーカでも製品毎に異なっている。一例を示
すと、主成分の酸化亜鉛原料の粒子径の〜0.5μmに
対し、酸化ビスマスは4〜8μm、酸化クロムは0.6
μm以下である。また、あるメーカの酸化ケイ素は個々
の粒子径は小さいが二次凝集粒子を構成し、100μm
もの巨大粒子になっているものもある。これらの粒径の
大きく異なる原料を均一に混合分散させることは非常に
難しい。さらに、これらの混合工程では、構成成分原料
を水と共に混合すると大量の気泡が発生し、微細構造均
一化の大きな阻害要因となっていた。従って、効果的な
消泡剤の開発が待ち望まれていた。
【0007】構成成分原料の混合法については例えば、
特許第1399905号には混合安定剤を使用した例
が、特許第1477053号には分散剤を使用した例
が、特許第2836893号には、結合剤、分散剤と共
に有機物樹脂内張の媒体攪拌式ミルで混合する手段など
が記載されている。
【0008】このように、従来技術の構成成分原料の混
合法では、分散剤、結合剤、潤滑剤等、個々についての
改良はなされているものの、混合システムを含む製造方
法全体としては完成していないため、これらの多様な電
圧非直線抵抗体の構成成分原料物性に対応できず、電圧
非直線抵抗体としてのサージエネルギー吸収能力は十分
とは言えなかった。
【0009】本発明はこうした課題に対して成されたも
ので、その目的は開閉サージ、雷インバルス、過電圧等
のサージに対するサージエネルギー吸収能力を向上させ
た電圧非直線抵抗体の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の電圧非直
線抵抗体の製造方法は、酸化亜鉛と添加物を分散剤、結
合剤、潤滑剤及び消泡剤と共に水中で混合、粉砕する混
合工程と、前記混合工程で作られた混合物を造粒する造
粒工程と、前記造粒工程で作られた造粒粉を金型に入れ
成形する成形工程と、前記成形工程で作られた成形体を
焼成して焼結体素子を形成する工程とより成ることを特
徴とする。
【0011】この発明によれば、主成分の酸化亜鉛と添
加物とを分散剤、結合剤及び潤滑剤と共に水中で混合、
粉砕する混合工程において消泡剤を加えることにより電
圧非直線抵抗体のサージエネルギー吸収能力を向上させ
ることができる。
【0012】請求項2記載の電圧非直線抵抗体の製造方
法は、添加物を水中で予備粉砕する予備粉砕工程と、予
備粉砕した添加物を酸化亜鉛と分散剤、結合剤、潤滑剤
及び消泡剤と共に水中で混合、粉砕する混合工程と、前
記混合工程で作られた混合物を造粒する造粒工程と、前
記造粒工程で作られた造粒粉を金型に入れ成形する成形
工程と、前記成形工程で作られた成形体を焼成して焼結
体素子を形成する工程とより成ることを特徴とする。
【0013】この発明によれば、主原料の酸化亜鉛に対
して添加物の量が少ないことから、添加物のみを先に予
備混合することによりさらに構成成分原料の分散性を向
上させ、電圧非直線抵抗体のサージエネルギー吸収能力
を向上させることができる。
【0014】請求項3記載の電圧非直線抵抗体の製造方
法は、消泡剤としてリン酸トリブチル、オクチルアルコ
ール、ポリオキシアルキレングリコール誘導体のうちの
少なくともいずれか一つを用いることを特徴とする。こ
れらの消泡剤は酸化亜鉛を主成分とした混合物との相性
が良く、効果的に気泡を消滅させることができる。
【0015】請求項4記載の電圧非直線抵抗体の製造方
法は、消泡剤をそれぞれ酸化亜鉛と複数の添加物とを合
わせた粉体の総重量に対し、10〜1000ppm添加
したことを特徴とする。これらの添加範囲で良好なサー
ジエネルギー吸収能力を示す。
【0016】請求項5記載の電圧非直線抵抗体の製造方
法は、混合物の中の酸化亜鉛及び添加物の割合が20〜
80wt%の範囲であることを特徴とする。これらの添
加範囲で良好なサージエネルギー吸収能力を示す。
【0017】請求項6記載の電圧非直線抵抗体の製造方
法は、予備粉砕工程または混合工程において、前記添加
物または混合物をアームを備えたシャフトを回転させ、
混合機中に充填された直径1〜10mmのほぼ球状の粉
砕メディアをかき混ぜることにより混合、粉砕する混合
機により混合することを特徴とする。これらの粉砕メデ
ィアの直径範囲で良好なサージエネルギー吸収能力を示
す。
【0018】請求項7記載の電圧非直線抵抗体の製造方
法は、粉砕メディアとしてステアタイト、マグネシア安
定化ジルコニア、もしくはイットリア安定化ジルコニア
のうち少なくともいずれか一つを用いることを特徴とす
る。これらの粉砕メディアを用いることにより良好なサ
ージエネルギー吸収能力を示す。
【0019】請求項8記載の電圧非直線抵抗体の製造方
法は、アームを備えた混合機のシャフトの回転数が50
〜1000rpmであることを特徴とする。これらの混
合機の回転数範囲で良好なサージエネルギー吸収能力を
示す。
【0020】請求項9記載の電圧非直線抵抗体の製造方
法は、混合工程での混合時間が1〜50時間であること
を特徴とする。これらの混合時間範囲で良好なサージエ
ネルギー吸収能力を示す。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て具体的に説明する。図1は電圧非直線抵抗体を示す断
面図である。この電圧非直線抵抗体1は、円板状の焼結
体素子2、焼結体素子2の両端面に形成された電極3
a、3b、及び焼結体素子2の周囲側面に被覆形成され
た側面高抵抗層4とから成り、放電容量に応じて複数枚
の焼結体素子2を電極3a、3bを介して直列に積み重
ねて図示しない容器内に収納して過電圧保護装置、ある
いは避雷器を構成する。製造の方法としては,焼結体2
の側面部に側面高抵抗層4を形成した後、焼結体素子2
の両端面を所定の厚みに研磨し、その研磨面に電極3
a、3bを溶射などの方法で形成することにより製造さ
れている。
【0022】電圧非直線抵抗体のサージエネルギー吸収
能力を向上させたるためには通常焼結体素子を均一な微
細構造とすることが必要である。均一な微細構造の焼結
体を得るためには適度の密度を有する均一な成形体が、
均一な成形体を得るためには造粒粉が金形に均一に充填
されることが、金形に均一に充填されるには流動性に優
れた造粒粉が、そして、その造粒粉を得るには構成成分
原料が均一に分散され、かつ、適度な密度を有している
ことが必要条件である。
【0023】従って、多彩な物性値を有する各種構成成
分原料を均一に混合分散する目的で分散剤を、造粒粉に
流動性を付与する目的で潤滑剤を、焼結まで成形体の状
態を保持する目的で結合剤を添加するが、これらのいず
れが不具合でも微細構造の均一な焼結体を得ることは難
しい。
【0024】ところで、これらの主原料、添加物原料を
分散剤、結合剤、潤滑剤の各材料と共に混合機に入れ混
合すると混合したスラリーに大量の気泡が発生する。こ
れらの気泡は電圧非直線抵抗体のサージエネルギー吸収
能力を低下させる要因となるためこの気泡を消滅させる
ことがサージエネルギー吸収能力の大きい電圧非直線抵
抗体を得る大きなポイントとなる。
【0025】避雷器用素子の混合スラリーを乾燥、造粒
する手段として、品質、コストの両面からスプレードラ
イヤー(噴霧乾燥機)を用いるのが一般的である。スプ
レードライヤーは噴霧方式により、回転ディスク方式、
高圧ノズル方式がある。さらに、高圧ノズル方式には、
一流体方式、二流体方式がある。噴霧方式の違いにより
得られる造粒粉の物性値が異なる。従って、望む造粒粉
の性状により噴霧方式を選択することが必要である。回
転ディスク方式は造粒粉が小さめで、かつ、密度が低く
民生用電圧非直線抵抗体素子のように小さい素子用に適
する。それに対して、高圧ノズル方式は、大きい造粒粉
が得られ易く、かつ、密度の大きい造粒粉が得られるこ
とから大径素子に適する。造粒粉の粒度分布は一流体方
式がシャープで、二流体方式はブロードな分布を示すこ
とから、避雷器用素子には一流体方式が適している。
【0026】均一な微細構造の焼結体素子を得るために
は、構成成分原料が均一に分布し、かつ、密度の大きな
造粒粉が必須である。たとえ構成成分原料が均一に分布
した造粒粉でも密度が小さいと、成形時の圧力を高くし
て成形体密度を上げるか、もしくは、通常の圧力で成形
し、焼成時の収縮率が大きくなることを容認しなければ
ならない。しかし、均一な微細構造を有する焼結体素子
を得る手段としてどちらも望ましくない。すなわち、成
形時の圧力を高くするほど圧力の伝播は不均一になり易
く、成形体の中心部の密度が低く、外周部が高い成形体
になる。従って、均一な焼結体にはなり難い。また、成
形体密度が低いものを焼成すると、収縮率が大きくなり
焼結体ひずみが発生し変形が大きくなり、不均一な微細
構造となる。造粒粉の密度は、噴霧圧力を高くすること
により大きくできる。噴霧乾燥する時、スラリーに気泡
が存在すると、この気泡のため圧力が吸収されて噴霧圧
力が上がらず、高い噴霧圧力での乾燥造粒はできない。
従って、たとえ噴霧乾燥ができたとしても極端に低い噴
霧圧力となるため、密度が大きく、均一な造粒粉は望め
ない。
【0027】このように、スラリー中の気泡を消さない
と、構成成分原料が均一に分散され、かつ、適度の密度
を有する造粒粉が得られないため、その他の条件が万全
でもサージエネルギー吸収能力の大きい電圧非直線抵抗
体を得ることはできない。
【0028】まず、本発明の第1の実施の形態は、酸化
亜鉛(ZnO)に対して添加物として酸化ビスマス(B
23)、酸化マンガン(MnO2)をそれぞれ0.5
モル%、酸化アンチモン(Sb23)、酸化コバルト
(Co23)、酸化ニッケル(NiO)をそれぞれ1.
0モル%、分散剤として、無水マレイン酸部分エステル
化合物を0.3wt、結合剤としてヒドロキシプロピル
セルロースを0.5wt%、潤滑剤としてグリセリンを
2.0wt%、消泡剤としてリン酸トリブチルを200
ppmを混合機に入れ、水の量を調整し固形分濃度を4
0%とした。混合機中に充填された直径1〜10mm程
度のほぼ球状の粉砕メディアとしてはφ8mmのイット
リア安定化ジルコニアを用い、混合機の回転数を200
rpmの条件で混合時間を変えて混合した。
【0029】次いで、前記混合工程で作られた混合物を
スプレードライヤーで、粒径が約100ミクロンになる
ように噴霧造粒した。この造粒工程で作られた造粒粉を
金形に入れ加圧し、直径81mm、厚さ〜30mmの円
板状に成形し、この成形体から添加した分散剤、結合
剤、潤滑剤、消泡剤を除くため空気中で800Kを上限
として焼成し、さらに、空気中で1450Kを上限とし
て焼成したことにより焼結体素体2が得られた。焼結体
素体2の側面に無機質の側面高抵抗層4を塗布し、75
0K以下の温度で熱処理した後、両端面を研磨し溶射法
で電極3a、3bを形成し、電圧非直線抵抗体1を得
た。
【0030】以上のように製造した試料に対して特性を
評価した。その手段として微細構造の均一性、不均一性
を如実に反映する開閉サージ波形での耐量特性で評価し
た。所定のエネルギーを有する2ms波形の開閉サージ
を100J/cm3を開始エネルギーとし、試料が室温
に戻る時間間隔で印加エネルギーを50J/cm3ずつ
増加させながら印加していき、試料が破壊するエネルギ
ーJ/cm3により試料のサージエネルギー吸収能力の
評価を行った。
【0031】図2に、第1の実施の形態で製造した試料
の混合時間hと破壊エネルギーJ/cm3との関係を示
す。この結果、1〜65時間の混合時間範囲で600J
/cm3以上の良好なサージエネルギー吸収能力を示し
た。
【0032】次に本発明の第2の実施の形態では、酸化
亜鉛(ZnO)に対する添加物として酸化ビスマス(B
23)、酸化マンガン(MnO2)をそれぞれ0.5
モル%、酸化アンチモン(Sb23)、酸化コバルト
(Co23)、酸化ニッケル(NiO)をそれぞれ1.
0モル%秤量し、添加物全量と水とを小型予備混合機と
しての第1の実施の形態で示した混合機の小型機に入
れ、1時間予備混合、粉砕処理をした。次に前記混合工
程で作られた添加物だけの混合物を酸化亜鉛(ZnO)
と分散剤として無水マレイン酸とイソブチレンの共重合
体を0.2wt%、結合剤としてメチルセルロースを
0.5wt%、潤滑剤としてポリエチレングリコールを
2.0wt%と共に第1の実施の形態で示した混合機に
入れ、水の量を調節し固形分濃度を38%とし、第1の
実施の形態の条件で20時間混合した。そして、消泡剤
としてオクチルアルコール300ppmを混合終了1時
間前に添加した。次いで、第1の実施の形態に示した工
程と同様の工程で焼結体素子2を製造した。
【0033】図3に、第2の実施の形態で製造した試料
の混合機のシャフトの回転数rpmと破壊エネルギーJ
/cm3との関係を示す。この結果、シャフト回転数が
40〜1250rpmの範囲で600J/cm3以上の
良好なサージエネルギー吸収能力を示した。
【0034】次に本発明の第3の実施の形態では、酸化
亜鉛(ZnO)に対して、添加物として酸化ビスマス
(Bi23)、酸化マンガン(MnO2)をそれぞれ
0.5モル%、酸化アンチモン(Sb23)、酸化コバ
ルト(Co23)、酸化ニッケル(NiO)をそれぞれ
1.0モル%秤量し、まず、添加物全量と、水、分散剤
として無水マレイン酸とイソブチレンの共重合体を0.
2wt%、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース
を1.0wt%、潤滑剤としてグリセリンを1.0wt
%を小形予備混合機に入れ、1時間予備混合した。その
後、第1の実施の形態で示した混合機に移し、水の量を
調節し固形分濃度を40%とし、消泡剤の種類、添加量
を変えて第1の実施の形態の条件で混合、粉砕した。粉
砕メディア材料の効果を示す実施例における消泡剤はポ
リオキシアルキレングリコール誘導体を200ppm添
加し、粉砕メディアを変えた。次いで、第1の実施の形
態に示した工程で焼結体素子2を製造した。
【0035】表1に、第3の実施形態で実施した混合法
で混合した焼結体素子の消泡剤種類、消泡剤の添加量、
表2に、粉砕メディア材質の効果を現す評価結果を示
す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】この結果、表1において試料1は消泡剤の
添加なしの場合のサージエネルギー吸収能力を示したも
のであるが、250J/cm3の低いエネルギー印加で
破壊した。これに対して、試料2〜7に消泡剤としてリ
ン酸トリブチルを添加した場合の結果を、試料8〜13
に消泡剤としてオクチルアルコールを添加した場合の結
果を、試料17〜22に消泡剤としてポリオキシアルキ
レングリコール誘導体を添加した場合の結果をそれぞれ
示す。この結果、それぞれ10〜1000ppmの添加
量の範囲で良好なサージエネルギー吸収能力を示してい
る。
【0039】参考例として、試料14〜16に本発明外
の消泡剤としてトリエチルアミンを添加した場合の評価
を示した。試料1の消泡剤の添加なしと比較して、サー
ジエネルギー吸収能力は改善されており、そこそこの消
泡効果があることがわかる。しかし、本発明例は参考例
と比較にならないほどサージエネルギー吸収能力が向上
していることがわかる。
【0040】このように、主成分の酸化亜鉛と複数の添
加物とを分散剤、結合剤及び潤滑剤と共に水中で混合す
る混合工程に消泡剤を加えることにより、サージエネル
ギー吸収能力は飛躍的に改善される。さらに、消泡剤の
中でも、リン酸トリブチル、オクチルアルコール、ポリ
オキシアルキレングリコール誘導体の添加効果が著しい
ことがわかる。
【0041】本発明の第4の実施の形態は、分散剤とし
て無水マレイン酸とイソブチレンの共重合体を0.2w
t%、結合剤として酢酸ビニルとビニルアルコールの共
重合体を2.0wt%、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛
1.0wt%、消泡剤としてオクチルアルコール350
ppmとし、固形分濃度は40wt%、粉砕メディア材
質はφ8mmのイットリア安定化ジルコニア、混合機の
シャフトの回転数は200rpm、混合時間は15時間
とした。図4、5に、第2の実施形態に示した混合法、
第1の実施形態に示した混合以後の工程で製造した試料
の評価結果を示した。図4に固形分濃度%と破壊エネル
ギーJ/cm3との関係、図5に粉砕メディア径mmと
破壊エネルギーJ/cm3との関係を示す。
【0042】この結果、図4において、固形分濃度%は
18〜80%の範囲で良好な特性を示した。また、図5
において、曲線Aは粉砕メディアとしてステアタイト、
曲線Bはマグネシア安定化ジルコニアを用いた場合の特
性を示す。粉砕メディア径18mmでは所望の特性が得
られないが粉砕メディア径が1〜10mmの範囲では良
好な特性を示した。
【0043】なお、本発明は前記各実施の形態に限られ
るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜
変更して実施することができる。例えば、前記説明にお
いては、φ81mmの成形体を用いたが、他の寸法の焼
結体素子にも実施し得るものである。
【0044】また、非直線抵抗体の添加物として酸化物
原料を用いたがこれにこだわることはなく焼成して酸化
物になるものであれば良い。さらに、前記実施の形態で
示した以外の添加物を添加しても良い。例えば、非直線
特性を向上させる目的で他の成分を加えても良い。
【0045】さらに、前記分散剤、結合剤、潤滑剤にこ
だわるものではなく、適性な効果を示すものに変えても
良いこは言うまでもない。消泡剤の添加時期について
は、実施の形態1〜4では成分全体混合開始時、混合終
了1時間前での添加効果を示したが、この他に、全体混
合終了2分前に添加しても同じ効果が得られることを確
認している。
【0046】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、酸
化亜鉛を主成分とする電圧非直線抵抗体の製造方法にお
いて、主成分の酸化亜鉛と添加物とを分散剤、結合剤及
び潤滑剤と共に水中で混合する混合工程において、消泡
剤を加えるようにしたので、優れたサージエネルギー吸
収能力を有する信頼性の高い電圧非直線抵抗体を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電圧非直線抵抗体の焼結体素子の
断面図。
【図2】本発明の実施の形態における混合時間とサージ
エネルギー吸収能力の関係を表す特性図。
【図3】本発明の実施の形態における混合機のシャフト
の回転数とサージエネルギー吸収能力の関係を表す特性
図。
【図4】本発明の実施の形態における酸化亜鉛と添加物
を合わせた固形分濃度とサージエネルギー吸収能力の関
係を表す特性図。
【図5】本発明の実施の形態における粉砕メディア径と
サージエネルギー吸収能力の関係を表す特性図。
【符号の説明】
1…電圧非直線抵抗体、2…焼結体素子、3a,3b…
電極、4…側面高抵抗層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今井 俊哉 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内 (72)発明者 成田 広好 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 東 芝変電機器テクノロジー株式会社内 Fターム(参考) 4G030 AA25 AA28 AA29 AA32 AA42 AA43 BA04 GA03 GA04 GA05 GA14 GA16 GA22 5E034 CA08 CB01 DA02 DC01 DE01 DE02 DE05 DE07 EA07 GA01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化亜鉛と添加物を分散剤、結合剤、潤
    滑剤及び消泡剤と共に水中で混合、粉砕する混合工程
    と、前記混合工程で作られた混合物を造粒する造粒工程
    と、前記造粒工程で作られた造粒粉を金型に入れ成形す
    る成形工程と、前記成形工程で作られた成形体を焼成し
    て焼結体素子を形成する工程とより成る電圧非直線抵抗
    体の製造方法。
  2. 【請求項2】 添加物を水中で予備粉砕する予備粉砕工
    程と、予備粉砕した添加物を酸化亜鉛と分散剤、結合
    剤、潤滑剤及び消泡剤と共に水中で混合、粉砕する混合
    工程と、前記混合工程で作られた混合物を造粒する造粒
    工程と、前記造粒工程で作られた造粒粉を金型に入れ成
    形する成形工程と、前記成形工程で作られた成形体を焼
    成して焼結体素子を形成する工程とより成る電圧非直線
    抵抗体の製造方法。
  3. 【請求項3】 消泡剤としてリン酸トリブチル、オクチ
    ルアルコール、ポリオキシアルキレングリコール誘導体
    のうちの少なくともいずれか一つを用いることを特徴と
    する請求項1または請求項2記載の電圧非直線抵抗体の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 酸化亜鉛と添加物とを合わせた粉体の総
    重量に対し、消泡剤を10〜1000ppm添加したこ
    とを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の電圧非
    直線抵抗体の製造方法。
  5. 【請求項5】 混合物の中の酸化亜鉛及び添加物の割合
    が20〜80wt%の範囲であることを特徴とする請求
    項1及至4のいずれか記載の電圧非直線抵抗体の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 予備粉砕工程または混合工程において、
    前記添加物または混合物をアームを備えたシャフトを回
    転させ、直径1〜10mmのほぼ球状の粉砕メディアで
    かき混ぜることにより混合、粉砕することを特徴とする
    請求項1及至5のいずれか記載の電圧非直線抵抗体の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 前記粉砕メディアとしてステアタイト、
    マグネシア安定化ジルコナイト、もしくはイットリア安
    定化ジルコニアのうちの少なくともいずれか一つを用い
    ることを特徴とする請求項6記載の電圧非直線抵抗体の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 前記アームを備えた混合機のシャフトの
    回転数が50〜1000rpmであることを特徴とする
    請求項6または7記載の電圧非直線抵抗体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記混合工程での混合時間が1〜50時
    間であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに
    記載の電圧非直線抵抗体の製造方法。
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