JP2003240902A - 反射防止光学物品 - Google Patents

反射防止光学物品

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JP2003240902A
JP2003240902A JP2002035977A JP2002035977A JP2003240902A JP 2003240902 A JP2003240902 A JP 2003240902A JP 2002035977 A JP2002035977 A JP 2002035977A JP 2002035977 A JP2002035977 A JP 2002035977A JP 2003240902 A JP2003240902 A JP 2003240902A
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antireflection
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JP2002035977A
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Hideo Ukuta
秀雄 宇久田
Hideyuki Hatakeyama
英之 畠山
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学基材との密着性が良好で、環境耐久性に
優れ、ひび割れやしわのない反射防止膜を有する反射防
止光学物品、及び上記光学物品を備えた光学機器を提供
すること。 【解決手段】 真空プロセスにより光学基材上に少なく
とも1層の反射防止膜を形成する際に、前記光学基材と
接する層の膜質充填率が40%以上60%以下の無機酸
化物で成膜することにより上記反射防止光学物品を得
る。特に、成膜において不活性ガスを用いて真空度を調
整し、低真空度で成膜することにより、好適な本発明の
反射防止光学物品を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レンズ、フィルタ
ー、ミラー、スクリーン等の光学基材上に反射防止膜を
有する反射防止光学物品、及びこれらを備えた光学機器
に関する。特に、光学基材との密着性が良好で、環境耐
久性に優れた反射防止光学物品と、該反射防止光学物品
を備えた光学機器とに関する。
【0002】
【従来の技術】光学物品においてはプラスチック成形物
等を光学基材として用いるが、該光学物品に反射防止機
能を付する場合、蒸着法、EB法、またはスパッタ法等
の真空プロセスを用いて、光学基材上に単層もしくは多
層の反射防止膜を形成するのが一般的である。その際、
膜強度を向上するために、一般には高真空(1×10-6
〜5×10-5torr)で成膜することにより、膜質充
填率を高くするのが一般的である。また、成膜温度また
は成膜時の基板温度を高くことにより膜質充填率を高め
ることができ、基材と反射防止膜との密着性を向上させ
ることもできる。
【0003】しかしながら、高真空下、高い成膜温度で
光学基材上に反射防止膜を成膜した場合、基材の面精度
が悪くなったり、成膜後に常温(室温)に戻したときに
反射防止膜と光学基材との熱収縮差により歪みにより反
射防止膜にひび、しわが生じるという欠陥が生じる。
【0004】最近では、このような反射防止膜のひび割
れやしわを少なくするために室温で反射防止膜を成膜す
る場合もある。さらに、光学基材上にケイ素酸化物やT
iO等を高真空下でコートして反射防止膜を形成するこ
とにより、光学基材と反射防止膜との密着性等を向上さ
せることもでき、該反射防止膜も厳しい環境下に置かな
い限りは光学基材に強固に成膜される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようにして得られる従来の反射光学物品はいずれも、反
射防止膜の光学基材との密着性や強度等の経時変化が加
速される環境、例えば厳しい温度条件の環境にさらされ
たり、温度や湿度が激しく変化する環境にさらした場合
には、光学基材と反射防止膜との良好な密着性、耐磨耗
性、環境耐久性が得られないという問題を有する。
【0006】本発明の目的は、上記課題を解決し、光学
基材の熱収縮差によるひび割れやしわの発生を防止する
とともに、光学基材との密着性が良好で、耐磨耗性、環
境耐久性に優れた反射防止膜を有する反射防止光学物
品、及び該反射防止光学物品を備えた光学機器を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、反射防止光学物品において、光学基材に接す
る層を膜質充填率が40%以上60%以下の無機酸化物
で成膜した場合に、上記課題を解決できることを見出し
た。
【0008】すなわち、本発明の第1の実施態様は、光
学基材上に該光学基材に接する少なくとも1層から成る
反射防止膜を有する反射防止光学物品であって、光学基
材に接する層が膜質充填率が40%以上60%以下の無
機酸化物から成ることを特徴とする反射防止光学物品を
提供する。
【0009】上記の本発明の反射防止光学物品におい
て、光学基材の材料はポリメチルメタクリレート、ポリ
カーボネート、ポリスチレン、非晶性ポリオレフィン、
およびこれらの誘導体からなる群から選択されてもよ
い。
【0010】上記の本発明の反射防止光学物品におい
て、無機酸化物が金属酸化物であってもよい。
【0011】上記の本発明の反射防止光学物品におい
て、金属酸化物がZrO2、TiO2、TiO、Si
2、SiO、CeO2、およびTa23からなる群から
選択されてもよい。
【0012】上記の本発明の反射防止光学物品におい
て、光学基材に接する層は真空プロセスにより形成され
てもよい。
【0013】上記の本発明の反射防止光学物品におい
て、真空プロセスが蒸着法、EB法、およびスパッタ法
からなる群から選択されてもよい。
【0014】上記の本発明の反射防止光学物品におい
て、真空プロセスは1×10-3〜2×10-4torrの
真空度で行れたものであってもよい。
【0015】上記の本発明の反射防止光学物品におい
て、光学基材がポリメチルメタクリレートおよびその誘
導体であり、真空プロセスは成膜温度60〜80℃で行
れたものであってもよい。
【0016】上記の本発明の反射防止光学物品におい
て、光学基材がポリカーボネートおよびその誘導体であ
り、真空プロセスが成膜温度60〜110℃で行れたも
のであってもよい。
【0017】上記の本発明の反射防止光学物品におい
て、光学基材がポリスチレンおよびその誘導体であり、
真空プロセスは成膜温度60〜80℃で行れたものであ
ってもよい。
【0018】上記の本発明の反射防止光学物品におい
て、光学基材が非晶性ポリオレフィンおよびその誘導体
であり、真空プロセスは成膜温度60〜110℃で行れ
たものであってもよい。
【0019】本発明の第2の実施態において、上記の反
射防止光学物品を具えることを特徴とする光学機器を提
供する。
【0020】上記本発明の光学機器において、光学機器
は表示機器および電子写真機器からなる群から選択され
てもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る反射防止光
学物品の基本的な概略構成図を例示したものである。図
1(a)は、光学基材に接する単層の反射防止膜が形成
された反射防止光学物品である。図1(a)中、11は
光学基材、12は光学基材に接する単層の反射防止膜
(光学基材11に接する層)である。図1(b)は、光
学基材に接する2層構造の反射防止膜を有する反射防止
光学物品を示している。図1(b)中、11は光学基
材、13は光学基材11と接する層、14は層12上に
形成された反射防止層、15は多層構造の反射防止膜で
ある。以下に、上記図面に基づいて本発明に係る反射防
止光学物品の実施の形態を説明するが、これらは例示で
あり、本発明に係る反射防止光学物品はこれらに限定さ
れるものではない。
【0022】本発明に係る反射防止光学物品光学物品に
おいて用いられる光学基材11は、ポリメチルメタクリ
レート、ポリカーボネート、ポリスチレン、非晶性ポリ
オレフィン、およびこれらの誘導体等などの透明高分子
樹脂やガラス基板などを好適に用いることができる。上
記光学基材11は、撮影レンズや投影レンズなどのレン
ズ、フィルター、ミラー、プリズム、カバーガラス、お
よびスクリーンなどとして好適に用いることができる。
該光学基材11は、コロナ処理等により表面処理してあ
ることが望ましい。
【0023】本発明に係る光学物品の光学基材11に接
して形成される反射防止膜は少なくとも1層から成り、
単層膜として成膜されてもよいし、2層以上の多層膜と
して成膜されていてもよい。反射防止膜が単層膜12と
して形成される場合(図1(a)参照)、光学基材に接
する上記単層膜12が膜質充填率40%以上60%以下
の無機酸化から成る反射防止膜である必要がある。一
方、反射防止膜が多層膜15として形成される場合(図
1(b)参照)、多層膜のうち光学基材に接する膜であ
る層13が膜質充填率40%以上60%以下の無機酸化
物から成り、かつ多層膜15が反射防止特性を有する必
要がある。光学基材に接する層13は反射防止機能を有
する反射防止層として形成できるが、多層膜15が反射
防止特性を有する限り、光学基材に接する層13による
膜15への反射防止特性の寄与が非常に少ない場合また
は寄与がない場合でもあっても、層13を反射防止膜の
一部とみなすことができる。例えば、ZrO2等の高屈
折材料とSiO2等の低屈折材料を交互に形成すること
により多層膜15に反射防止特性を付与することができ
るが、層13による膜15への反射防止特性の寄与が少
ない場合等であっても、層13上に形成される層14と
の組み合わせにより多層膜15は反射防止特性を有する
ことができ、このような構成は当業者であれば実施可能
である。なお、単層膜12または多層膜15に反射防止
機能を持たせるには用いる材料の屈折率、膜厚、多層膜
の組み合わせ等を適宜採用することにより達成でき、当
業者であれば実施可能である。反射防止膜15を多層膜
として形成する利点としては、光学基材11と接する層
13を設けることによって反射防止膜15の光学基材1
1への密着性、耐磨耗性、環境耐久性等が向上する一方
で、光学基材11と接する層13上に形成される反射防
止層14の構成や材料を工夫することにより、より良好
な反射防止機能を分離して持たせることができることで
あり、そのような構成や材料の選択は当業者が適宜行う
ことができる。
【0024】上記の通り、本発明に係る反射防止光学物
品において、反射防止膜が単層膜12の場合には該単層
膜12の膜質充填率が40%以上60%以下でなければ
ならず、反射防止膜が多層膜15の場合には前記光学基
材11と接する層13の膜質充填率が40%以上60%
以下でなければならない。膜質充填率が40%未満であ
ると反射防止膜の強度が低下してしまう一方、膜質充填
率が60%を超えると反射防止膜の光学基材への接着
性、耐磨耗性、環境耐久性が悪くなり、また成膜温度か
ら室温に戻した際に熱歪みによるひび割れやしわなどの
欠陥が生じやすくなる。多層の反射防止膜15を形成す
る場合には、光学基材11と接する層13が上記の膜質
充填率を具えていればよく、該反射防止層13上に形成
される反射防止層14の膜質充填率は適宜選択すること
ができる。
【0025】上記の「膜質充填率」とは、(実測定膜
厚)/(充填率1の理論的な膜厚)(ここで、「充填率
1の理論的な膜厚」は(単位体積当りの膜質量)/(バ
ルク密度)で求められる。)で定義される。実際の成膜
された膜厚である「実測定膜厚」は、例えばエリプソメ
ーターによる測定や透過型電子顕微鏡を用いることによ
り測定することができ、「充填率1の理論的な膜厚」
は、例えば水晶振動子膜厚計で測定することができる。
膜質充填率が高いほど、膜の組成が緻密で膜強度が大き
く、屈折率が高くなる。膜質充填率は、真空プロセスを
行う際の真空度および成膜温度により調節可能である。
真空度が低い程または成膜温度が低い程、膜質充填率は
低下し、また、反射防止膜に用いられる無機材料によっ
ても異なる。
【0026】本発明に係る反射防止光学物品において、
光学基材11と接する層12または層13は、無機酸化
物で成膜する。より好ましい無機酸化物は金属酸化物で
あり、好適な金属酸化物として、ZrO2、TiO2、T
iO、SiO2、SiO、CeO2、およびTa23を用
いることができる。多層の反射防止膜を形成する場合、
反射防止層14は膜15の反射防止特性等の機能を向上
させる材料で成膜することが好ましく、金属フッ化物
(例えば、MgF2)や金属酸化物(例えば、ZrO2
TiO2、TiO、SiO2、SiO、CeO2、および
Ta23)等を用いることができる。無機酸化物(金属
酸化物等)の代わりに無機フッ化物(MgF2等の金属
フッ化物等)を用いて光学基材11と接する層12また
は層13を成膜した場合には、反射防止膜の光学基材1
1への良好な密着性等は得られない。これは、無機酸化
物(金属酸化物等)の表面エネルギーは無機フッ化物
(金属フッ化物等)の表面エネルギーよりも高いため、
光学基材表面との物理的な相互作用が大きいためである
ことや、無機酸化物(金属酸化物等)の方が無機フッ化
物(金属フッ化物等)よりも結合エネルギーが小さいた
め、蒸着法、EB法、スパッタ法等の真空プロセスによ
りエネルギーを与えて物質をとばす際にその一部が化学
結合がとれた状態で基材上にたどり着き基材表面とより
強固な化学結合を作るためであると考えられる。
【0027】本発明に係る反射防止光学物品において、
上記の反射防止膜の成膜は以下の条件により行うことが
できる。
【0028】光学基材11と接する層12または層13
は、真空度を1×10-3〜2×10 -4torrの低真空
度として真空プロセスにより成膜することができる。真
空度は膜質充填率や膜強度に影響を及ぼす。上記の通
り、真空度が高いほど膜質充填率および膜強度は大きく
なり、逆に、真空度が低いほど膜質充填率および膜強度
は低くなる。多層の反射防止膜15を形成する場合、反
射防止層14の成膜における真空度は、膜強度を高める
ために2×10-4〜5×10-4torrとすることが好
ましいが、これに限定するものではない。
【0029】さらに上記の真空プロセスにおける光学基
材11と接する層12または層13の成膜温度(または
成膜時の基板温度)は、使用される光学基材11により
好適な温度が異なる。反射防止膜の光学基材への良好な
密着性を得るためにはできるだけ成膜温度を高くするこ
とが望ましいが、上記の通り、成膜温度が高いほど膜質
充填率は高くなる。好ましい成膜温度は、光学基材11
としてポリメチルメタクリレートおよびその誘導体を用
いる場合には60℃〜80℃、より好ましくは75℃〜
80℃、ポリカーボネートおよびその誘導体を用いる場
合には60℃〜110℃、より好ましくは100℃〜1
10℃、ポリスチレンおよびその誘導体を用いる場合に
は60℃〜80℃、より好ましくは75℃〜80℃、非
晶性ポリオレフィンおよびその誘導体を用いる場合には
60℃〜110℃、より好ましくは100℃〜110℃
とすることが好ましい。上記温度範囲において成膜する
ことにより、反射防止膜の光学基材へのより良好な密着
性が得られて耐磨耗性や環境耐久性が向上するほか、光
学基材の変形も少なく、光学基材の面密度も良好で、室
温に戻した際に光学基材と反射防止膜との間に生じる熱
収縮差による歪みにより反射防止膜にひび割れやしわが
発生することを効果的に防止することもできる。多層の
反射防止膜15を形成する場合、反射防止層14を成膜
する場合も同様に、上記の温度範囲において成膜するこ
とが好ましい。
【0030】上記光学基材11と接する層12または層
13の真空プロセスにおいて、真空度を調整するために
用いる気体として、ヘリウム(He)、アルゴン(A
r)、ネオン(Ne)、またはキセノン(Xe)等の不
活性気体を用いることが好ましい。不活性気体を用いる
ことにより反射防止膜の光学基材11との密着性はさら
に強固となり、耐磨耗性や環境耐久性が向上する。これ
は化学結合がとれた状態の成膜物質がそのままの状態で
光学基材上にたどり着く割合が多くなることに一因があ
るものと考えられる。多層の反射防止膜15を形成する
場合も同様に、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、
ネオン(Ne)、またはキセノン(Xe)等の不活性気
体を用いて反射防止層14を成膜することが好ましい。
【0031】また、上記の本発明に係る反射防止光学物
品において、光学基材11と接する層12または層13
の膜厚は上記反射防止膜の構成等により適宜選択するこ
とができるが、典型的には10〜100nmであるがこ
れに限定するものではない。多層の反射防止膜15を形
成する場合にも適宜選択することができるが、反射防止
膜15の膜厚を合計で80〜500nmとすることがで
きるが、これに限定されるものではない。
【0032】さらに、本発明は、別の実施態様におい
て、上記のようにして得られる反射防止光学物品を備え
た光学機器をも意図する。光学機器にはディスプレーな
どの表示機器および電子写真機器などが含まれるが、こ
れらに限定されるものではない。
【0033】
【実施例】次に、下記の非限定的な実施例および比較例
により、該各実施例および比較例における図を参照し
て、本発明をより詳細に説明する。
【0034】なお、下記の実施例と比較例において、次
のように耐摩耗性および環境耐久性の評価を行った。
【0035】耐摩耗性は、実施例または比較例で得られ
た反射防止光学物品について、下記試験1および試験2
により評価を行った。なお、反射防止光学物品を製造
後、室温で放置された該反射防止光学物品について下記
耐磨耗性試験を施すことにより、初期の耐磨耗性の評価
とした。 試験1.反射防止光学物品の表面を拭き取り紙(ダスパ
ー:OZUCo−Ltd.Tokyo製)で加重300
g重において30回拭き、該表面の変化を観察する; 試験2.反射防止光学物品の表面をレンズ拭き溶剤(E
E−6310:OLYMPUS製)を含ませた拭き取り
紙(ダスパー:OZUCo−Ltd.Tokyo製)で
加重300g重において30回拭き、該表面の変化を観
察する。
【0036】環境耐久性は、実施例または比較例で得ら
れた反射防止光学物品に下記環境条件を適宜組み合わせ
て施した後、上記の耐磨耗性試験1および試験2を施す
ことにより評価した: 1.高温高湿条件(60℃−90%RHで500時間、
700時間、または1000時間、恒温層内に放置)、 2.低温条件(−30℃で1000時間、恒温層内に放
置)、 3.温度サイクル(−30℃/60℃で各2時間を20
回サイクル実施、以下「−30℃/60℃、各2時間、
20回」として記載する)、および 4.UV耐久試験(照射条件:UV波長300〜400
nm、5mw/cm2、60℃−90%RH、200時
間)。
【0037】反射防止性能は、反射率が最低となる波長
付近の光に対する反射率を測定した。
【0038】(実施例1)以下の方法により、図2に示
す本発明に係る反射防止光学物品を作製した。該反射防
止光学物品は2層構成の反射防止膜を有する。図2中、
21は光学基材、22および23はともに反射防止膜2
4を構成する反射防止層(22は光学基材に接する
層)、24は反射防止膜である。
【0039】形状φ49mm×2mmのポリメチルメタ
クリレート基材21をコロナ処理装置で表面処理した
後、EB法によりZrO2膜22を成膜した。成膜条件
は、成膜温度(基板温度)80℃、酸素(O2)ガス雰
囲気中で真空度3×10-4torrとした。水晶振動子
膜厚計において、ZrO2膜22の充填率を1とみなし
たとき、膜厚はバルク換算で10nmであった。さら
に、EB法によって、該ZrO2膜22上にMgF2膜2
3を成膜した。この際、光学モニターにおいて530n
mの光で反射率が最低になるまで成膜した。成膜条件と
して、成膜温度(基板温度)80℃、酸素(O2)ガス
中で真空度2×10-5torrに調整した。水晶振動子
膜厚計において、MgF2膜23の充填率を1.0とみ
なしたとき、MgF2膜23の膜厚はバルク換算で90
nmであった。
【0040】上記成膜条件で成膜したZrO2膜22を
電子顕微鏡で観察したところ、膜厚は約19nmであっ
た。膜質充填率を1.0とみなしたときのZrO2膜2
2の膜厚10nmを実際の観察された膜厚19nmで除
することによりZrO2膜22の膜質充填率を求めたと
ころ、約52%であった。
【0041】上記で得られた反射防止光学物品について
初期の耐摩耗性の評価を行った結果、試験1では変化は
なく、試験2においても変化がなかった。
【0042】また、環境耐久性の評価として、上記で得
られた反射防止光学物品に高温高湿条件(60℃−90
%RHで500時間)、高温高湿条件(60℃−90%
RHで700時間)、低温条件(−30℃で1000時
間)、温度サイクル(−30℃/60℃、各2時間、2
0回)、およびUV耐久試験(UV波長300〜400
nm、5mw/cm2、60℃−90%RH、200時
間)を施した後に耐磨耗性試験を行った結果、試験1で
は変化はなく、試験2においても変化がなかった。別の
環境耐久性の評価として、上記で得られた本発明に係る
反射防止光学物品を高温高湿条件(60℃−90%RH
で1000時間)を施した後に耐磨耗性試験を行った結
果、試験1では傷がつき、試験2では膜の一部が剥げ
た。
【0043】反射防止性能は、反射率が最低となる53
0nmの波長付近の光に対し、反射率が約0.007で
あった。
【0044】(実施例2)以下の方法により、図3に示
す本発明に係る反射防止光学物品を作製した。該反射防
止光学物品は2層構成の反射防止膜を有する。図3中、
31は光学基材、32および33はともに反射防止膜3
4を構成する反射防止層(32は光学基材に接する
層)、34は反射防止膜である。
【0045】該反射防止光学物品は、反射防止膜の成膜
の際に真空度を調整する気体を酸素ガスからアルゴン
(Ar)ガスに変更したことを除いて、実施例1と同様
にして製造した。
【0046】まず、形状φ49mm×2mmポリメチル
メタクリレート基材31をコロナ処理装置で表面処理し
た後、EB法によりZrO2膜32を形成した。このと
きの成膜条件は成膜温度(基板温度)80℃とし、真空
度をアルゴン(Ar)ガス雰囲気中で3×10-4tor
rとした。水晶振動子膜厚計において、ZrO2膜の充
填率を1.0とみなしたとき、ZrO2膜厚はバルク換
算で10nmであった。さらに、EB法によって、該Z
rO2膜32にMgF2膜33を成膜した。この際、光学
モニターにおいて530nmの光で反射率が最低になる
まで成膜した。成膜条件として、成膜温度(基板温度)
80℃とし、アルゴン(Ar)ガスにより真空度を2×
10-5torrに調整した。水晶振動子膜厚計におい
て、MgF 2膜33の充填率を1.0とみなしたとき、
MgF2膜厚はバルク換算で90nmであった。
【0047】上記成膜条件で成膜したZrO2膜32を
電子顕微鏡で観察したところ、膜厚は約19nmであっ
た。膜質充填率を1.0とみなしたときのZrO2膜3
2の膜厚10nmを実際の観察される膜厚約19nmで
除することにより膜質充填率を求めたところ、ZrO2
膜32の膜質充填率は約53%であった。
【0048】上記で得られた反射防止光学物品について
初期の耐摩耗性の評価を行った結果、試験1では変化は
なく、試験2に対しても変化がなかった。
【0049】また、環境耐久性の評価として、上記で得
られた反射防止光学物品に高温高湿条件(60℃−90
%RHで500時間)、高温高湿条件(60℃−90%
RHで700時間)、高温高湿条件(60℃−90%R
Hで1000時間)、低温条件(−30℃で1000時
間)、温度サイクル(−30℃/60℃、各2時間、2
0回)、およびUV耐久試験(UV波長300〜400
nm、5mw/cm2、60℃−90%RH、200時
間)を施した後に耐磨耗性試験を行った結果、試験1で
は変化はなく、試験2においても変化がなかった。
【0050】反射防止性能については、反射率が最低と
なる530nmの波長付近の光に対し反射率が約0.0
07になった。
【0051】(実施例3)以下の方法により、図4に示
す本発明に係る反射防止光学物品を作製した。該反射防
止光学物品は2層構成の反射防止膜を有する。図4中、
41は光学基材、42および43はともに反射防止膜4
4を構成する反射防止層(42は光学基材に接する
層)、44は反射防止膜である。
【0052】該反射防止光学物品は、基材41に接する
反射防止膜をZrO2膜42からTiO2膜42に変更し
たことを除いて、実施例2と同様にして製造した。
【0053】まず、形状φ49mm×2mmポリメチル
メタクリレート基材41をコロナ処理装置で表面処理し
た後、EB法によりTiO2膜42を形成した。成膜条
件は、成膜温度(基板温度)を80℃とし、アルゴン
(Ar)ガス雰囲気中で真空度を3×10-4torrと
した。水晶振動子膜厚計において、TiO2膜42の充
填率を1.0とみなしたとき、TiO2膜42の膜厚は
バルク換算で10nmであった。さらに、EB法によ
り、該TiO2膜42上にMgF2膜43の成膜を行っ
た。この際、光学モニターで530nmの光で反射率が
最低になるまで成膜した。成膜条件として、成膜温度
(基板温度)80℃とし、アルゴン(Ar)ガスにより
真空度を2×10-5torrに調整した。水晶振動子膜
厚計において、MgF2膜の充填率を1.0とみなした
とき、MgF2膜厚はバルク換算で約90mであった。
【0054】上記成膜条件で成膜したTiO2膜42を
電子顕微鏡で観察したところ、膜厚は約18mであっ
た。膜質充填率を1.0とみなしたときの膜厚10nm
を実際の観察される膜厚約18nmで除することにより
TiO2膜42の膜質充填率を求めたところ、TiO2
42の膜質充填率は約56%であった。
【0055】上記で得られた反射防止光学物品について
初期の耐摩耗性の評価を行った結果、試験1では変化は
なく、試験2に対しても変化がなかった。
【0056】また、環境耐久性の評価として、実施例2
と同様に、上記で得られた反射防止光学物品に高温高湿
条件(60℃−90%RHで500時間)、高温高湿条
件(60℃−90%RHで700時間)、高温高湿条件
(60℃−90%RHで1000時間)、低温条件(−
30℃で1000時間)、温度サイクル(−30℃/6
0℃、各2時間、20回)、およびUV耐久試験(UV
波長300〜400nm、5mw/cm2、60℃−9
0%RH、200時間)を施した後に耐磨耗性試験を行
った結果、試験1では変化はなく、試験2においても変
化がなかった。
【0057】反射防止性能については、反射率が最低と
なる530nmの波長付近の光に対し反射率が約0.0
07であった。
【0058】(実施例4)以下の方法により、図5に示
す本発明に係る反射防止光学物品を作製した。該反射防
止光学物品は2層構成の反射防止膜を有する。図5中、
51は光学基材、52および53はともに反射防止膜5
4を構成する反射防止層(52は光学基材に接する
層)、54は反射防止膜である。
【0059】該反射防止光学物品は、基材51に接する
反射防止膜をZrO2膜42からTa25膜52に変更
したことを除いて、実施例2と同様にして製造した。
【0060】まず、形状φ49mm×2mmポリメチル
メタクリレート基材51をコロナ処理装置で表面処理し
た後、EB法によりTa25膜52を形成した。成膜条
件は、成膜温度(基板温度)80℃とし、真空度をアル
ゴン(Ar)ガス雰囲気中で3×10-4torrとし
た。水晶振動子膜厚計において、Ta25膜52の充填
率を1.0とみなしたとき、Ta25膜52の膜厚はバ
ルク換算で10nmであった。さらに、EB法により、
該Ta25膜52の上にMgF2膜53の成膜を行っ
た。この際、光学モニターで530nmの光で反射率が
最低になるまで成膜した。成膜条件として、成膜温度
(基板温度)80℃とし、アルゴン(Ar)ガスにより
真空度を2×10-5torrに調整した。水晶振動子膜
厚計において、MgF2膜53の充填率を1.0とみな
したとき、MgF2膜厚53はバルク換算で90mmで
あった。構成を表1に示す。
【0061】上記のように成膜されたTa25膜52を
電子顕微鏡で観察したところ、膜厚は約17nmであっ
た。膜質充填率を1.0とみなしたときのTa25膜5
2の膜厚10nmを実際の観察される膜厚約17nmで
除することによりTa25膜52の膜質充填率を求めた
ところ、約59%であった。
【0062】上記で得られた反射防止光学物品について
初期の耐摩耗性の評価を行った結果、試験1では変化は
なく、試験2に対しても変化がなかった。
【0063】また、環境耐久性の評価として、実施例2
と同様に、上記で得られた反射防止光学物品に高温高湿
条件(60℃−90%RHで500時間)、高温高湿条
件(60℃−90%RHで700時間)、高温高湿条件
(60℃−90%RHで1000時間)、低温条件(−
30℃で1000時間)、温度サイクル(−30℃/6
0℃、各2時間、20回)、およびUV耐久試験(UV
波長300〜400nm、5mw/cm2、60℃−9
0%RH、200時間)を施した後に耐磨耗性試験を行
った結果、試験1では変化はなく、試験2においても変
化がなかった。
【0064】反射防止性能については、反射率が最低と
なる530nmの波長付近の光に対し反射率が約0.0
07であった。
【0065】(実施例5)以下の方法により、図6に示
す本発明に係る反射防止光学物品を作製した。該反射防
止光学物品は2層構成の反射防止膜を有する。図6中、
61は光学基材、62および63はともに反射防止膜6
4を構成する反射防止層(62は光学基材に接する
層)、64は反射防止膜である。
【0066】該反射防止光学物品は、ポリメチルメタク
リレート基材41の代わりにポリカーボネート基材61
を用いたことを除いて、実施例2と同様にして製造し
た。
【0067】まず、形状φ49mm×2mmポリカーボ
ネート基材61をコロナ処理装置で表面処理した後、E
B法によりZrO2膜62を形成した。条件は成膜温度
(基板温度)110℃、真空度をアルゴン(Ar)ガス
雰囲気中で3.0×10-4torrに調整した。水晶振
動子膜厚計において、ZrO2膜62の充填率を1.0
とみなしたとき、ZrO2膜62の膜厚はバルク換算で
10nmであった。さらに、EB法により、該ZrO2
膜62上にMgF2膜63の成膜を行った。この際、光
学モニターで530mの光で反射率が最低になるまで成
膜した。成膜条件として、成膜温度(基板温度)110
℃、アルゴン(Ar)ガスにより真空度を2×10-5
orrに調整した。水晶振動子膜厚計において、MgF
2膜の充填率を1.0とみなしたとき、MgF2膜63の
膜厚はバルク換算で90mであった。
【0068】上記のように成膜されたZrO2膜62を
電子顕微鏡で観察したところ、膜厚は約19nmであっ
た。膜質充填率を1.0とみなしたときのZrO2膜6
2の膜厚10nmを実際の観察される膜厚約19nmで
除することによりZrO2膜62の膜質充填率を求めた
ところ、約52%であった。
【0069】上記で得られた反射防止光学物品について
初期の耐摩耗性の評価を行った結果、試験1では変化は
なく、試験2に対しても変化がなかった。
【0070】また、環境耐久性の評価として、実施例2
と同様に、上記で得られた反射防止光学物品に高温高湿
条件(60℃−90%RHで500時間)、高温高湿条
件(60℃−90%RHで700時間)、高温高湿条件
(60℃−90%RHで1000時間)、低温条件(−
30℃で1000時間)、温度サイクル(−30℃/6
0℃、各2時間、20回)、およびUV耐久試験(UV
波長300〜400nm、5mw/cm2、60℃−9
0%RH、200時間)を施した後に耐磨耗性試験を行
った結果、試験1では変化はなく、試験2においても変
化がなかった。
【0071】反射防止性能については、反射率が最低と
なる530nmの波長付近の光に対し反射率が約0.0
07であった。
【0072】(実施例6)以下の方法により、図7に示
す本発明に係る反射防止光学物品を作製した。該反射防
止光学物品は2層構成の反射防止膜を有する。図7中、
71は光学基材、72および73はともに反射防止膜7
4を構成する反射防止層(72は光学基材に接する
層)、74は反射防止膜である。
【0073】該反射防止光学物品は、ポリメチルメタク
リレート基材41の代わりにポリスチレン基材71を用
いたことを除いて、実施例2と同様にして製造した。
【0074】まず、形状φ49mm×2mmポリスチレ
ン基材71をコロナ処理装置で表面処理した後、EB法
によりZrO2膜72を形成した。このときの成膜条件
は成膜温度(基板温度)80℃とし、真空度をアルゴン
(Ar)ガス雰囲気中で3×10-4torrとした。水
晶振動子膜厚計において、ZrO2膜の充填率を1.0
とみなしたとき、ZrO2膜厚はバルク換算で10nm
であった。さらに、EB法により、上記ZrO2膜72
の上にMgF2膜73の成膜を行った。この際、光学モ
ニターで530nmの光で反射率が最低になるまで成膜
した。成膜条件として、成膜温度(基板温度)80℃と
し、アルゴン(Ar)ガスにより真空度を2×10-5
orrに調整した。水晶振動子膜厚計において、MgF
2膜73の充填率を1.0とみなしたとき、MgF2膜厚
は90nmであった。
【0075】上記成膜したZrO2膜72を電子顕微鏡
で観察したところ、膜厚は約19nmであった。膜質充
填率を1.0とみなしたときのZrO2膜72の膜厚1
0nmを実際の観察される膜厚約19nmで除すること
によりZrO2膜102の膜質充填率を求めたところ、
ZrO2膜102の膜質充填率は約52%であった。
【0076】上記で得られた反射防止光学物品について
初期の耐摩耗性の評価を行った結果、試験1では変化は
なく、試験2に対しても変化がなかった。
【0077】また、環境耐久性の評価として、実施例2
と同様に、上記で得られた反射防止光学物品に高温高湿
条件(60℃−90%RHで500時間)、高温高湿条
件(60℃−90%RHで700時間)、高温高湿条件
(60℃−90%RHで1000時間)、低温条件(−
30℃で1000時間)、温度サイクル(−30℃/6
0℃、各2時間、20回)、およびUV耐久試験(UV
波長300〜400nm、5mw/cm2、60℃−9
0%RH、200時間)を施した後に耐磨耗性試験を行
った結果、試験1では変化はなく、試験2においても変
化がなかった。
【0078】反射防止性能については、反射率が最低と
なる530nmの波長付近の光に対し反射率が約0.0
07であった。
【0079】(実施例7)以下の方法により、図8に示
す本発明に係る反射防止光学物品を作製した。該反射防
止光学物品は2層構成の反射防止膜を有する。図8中、
81は光学基材、82および83はともに反射防止膜8
4を構成する反射防止層(82は光学基材に接する
層)、84は反射防止膜である。
【0080】該反射防止光学物品は、ポリメチルメタク
リレート基材41の代わりに非晶性ポリオレフィン基材
81を用いたことを除いて、実施例2と同様にして製造
した。
【0081】まず、形状φ49mm×2mmポリスチレ
ン基材81をコロナ処理装置で表面処理した後、EB法
によりZrO2膜82を形成した。このときの成膜条件
は成膜温度(基板温度)80℃とし、真空度をアルゴン
(Ar)ガス雰囲気中で3.5×10-4torrとし
た。水晶振動子膜厚計において、ZrO2膜82の充填
率を1.0とみなしたとき、ZrO2膜厚はバルク換算
で10nmであった。さらに、EB法により、上記Zr
2膜82の上にMgF2膜83の成膜を行った。この
際、光学モニターで530nmの光で反射率が最低にな
るまで成膜した。成膜条件として、成膜温度(基板温
度)80℃とし、アルゴン(Ar)ガスにより真空度を
2×10-5torrに調整した。水晶振動子膜厚計にお
いて、MgF2膜83の充填率を1.0とみなしたと
き、MgF2膜厚は90nmであった。
【0082】上記成膜したZrO2膜82を電子顕微鏡
で観察したところ、膜厚は約19nmであった。膜質充
填率を1.0とみなしたときのZrO2膜82の膜厚1
0nmを実際の観察される膜厚約19nmで除すること
によりZrO2膜82の膜質充填率を求めたところ、充
填率は約52%であった。
【0083】上記で得られた反射防止光学物品について
初期の耐摩耗性の評価を行った結果、試験1では変化は
なく、試験2に対しても変化がなかった。
【0084】また、環境耐久性の評価として、実施例2
と同様に、上記で得られた反射防止光学物品に高温高湿
条件(60℃−90%RHで500時間)、高温高湿条
件(60℃−90%RHで700時間)、高温高湿条件
(60℃−90%RHで1000時間)、低温条件(−
30℃で1000時間)、温度サイクル(−30℃/6
0℃、各2時間、20回)、およびUV耐久試験(UV
波長300〜400nm、5mw/cm2、60℃−9
0%RH、200時間)を施した後に耐磨耗性試験を行
った結果、試験1では変化はなく、試験2においても変
化がなかった。
【0085】反射防止性能については、反射率が最低と
なる530nmの波長付近の光に対し反射率が約0.0
07であった。
【0086】(比較例1)本発明に係る反射防止光学物
品との比較のため、以下の方法により、図9に示す反射
防止光学物品を作製した。該反射防止光学物品は2層構
成の反射防止膜を有する。図9中、91は光学基材、9
2および93はともに反射防止膜94を構成する反射防
止層(92は光学基材に接する層)、94は反射防止膜
である。
【0087】まず、形状φ49mm×2mmのポリメチ
ルメタクリレート基材91をコロナ処理装置で表面処理
した後、EB法によりZrO2膜92を成膜した。成膜
条件は、成膜温度(基板温度)80℃、真空度を酸素
(O2)ガス雰囲気中で2×10-5torrに調整し
た。実施例1の場合と異なる点は、ZrO2膜92の成
膜時の真空度を2×10-5torrに調整したことであ
る。水晶振動子膜厚計において、充填率を1.0とみな
したとき、ZrO2膜92の膜厚はバルク換算で10n
mであった。さらに、EB法によって、該ZrO2膜上
にMgF2膜93を成膜した。この際、光学モニターに
おいて530nmの光で反射率が最低になるまで成膜し
た。成膜条件として、成膜温度(基板温度)80℃、酸
素(O2)ガスにより真空度を2×10-5torrに調
整した。水晶振動子膜厚計において、MgF2膜93の
充填率を1.0とみなしたとき、MgF2膜厚はバルク
換算で90nmであった。
【0088】上記ZrO2膜92を電子顕微鏡で観察し
たところ、膜厚は約11nmであった。膜質充填率を
1.0とみなしたときのZrO2膜92の膜厚10nm
を実際の観察される膜厚約11nmで除することにより
ZrO2膜92の膜質充填率を求めたところ、充填率は
約90%であった。
【0089】上記で得られた反射防止光学物品について
初期の耐摩耗性の評価を行った結果、試験1では変化は
なく、試験2に対しても変化がなかった。
【0090】また、環境耐久性評価として、上記で得ら
れた反射防止光学物品に、高温高湿条件(60℃−90
%RHで500時間)、低温条件(−30℃で1000
時間)、およびUV耐久試験(UV波長300〜400
nm、5mw/cm2、60℃−90%RH、200時
間)を施した後に耐摩耗試験を行った結果、試験1では
変化はなく、試験2でも変化がなかった。さらに、別の
環境耐久性評価として、上記で得られた反射防止光学物
品に温度サイクル(−30℃/60℃、各2時間、20
回)、高温高湿条件(60℃−90%RHで700時
間)、高温高湿条件(60℃−90%RHで1000時
間)を施した後に耐摩耗試験を行った結果、試験1では
傷がつき、試験2では膜の一部が剥げた。
【0091】反射防止性能については、反射率が最低と
なる530nmの波長付近の光に対し反射率が約0.0
07であった。
【0092】(比較例2)本発明に係る反射防止光学物
品との比較のため、以下の方法により、図9に示す反射
防止光学物品を作製した。該反射防止光学物品は単層構
成の反射防止膜を有する。図10中、101は光学基
材、102は反射防止膜(光学基材に接する層)であ
る。
【0093】形状φ49mm×2mmポリメチルメタク
リレート基材101をコロナ処理装置で表面処理した
後、EB法により、光学モニターで530nmの光で反
射率が最低になるまでMgF2膜102の成膜を行って
単層の反射防止膜を形成した。実施例1とは異なり、Z
rO2膜の成膜は行わなかった。このときの成膜条件
は、成膜温度(基板温度)80℃とし、酸素(O2)ガ
スにより真空度を2×10- 5torrに調整した。水晶
振動子膜厚計において、MgF2膜102の充填率を
1.0とみなしたとき、MgF2膜厚はバルク換算で9
0nmであった。
【0094】上記MgF2膜102を電子顕微鏡で観察
したところ、膜厚は約98nmであった。膜質充填率を
1.0とみなしたときの上記MgF2膜102の膜厚9
0nmを実際の観察される膜厚約98nmで除すること
によりMgF2膜102の膜質充填率を求めたところ、
充填率は約92%であった。
【0095】上記で得られた反射防止光学物品について
初期の耐摩耗性の評価を行った結果、試験1では変化は
なく、試験2に対しても変化がなかった。
【0096】また、環境耐久性評価として、上記で得ら
れた反射防止光学物品に低温条件(−30℃で1000
時間)、温度サイクル(−30℃/60℃、各2時間、
20回)、およびUV耐久試験(UV波長300〜40
0nm、5mw/cm2、60℃−90%RH、200
時間)を施した後の耐摩耗試験の結果では、試験1では
変化はなく、試験2においても変化がなかった。別の環
境耐久性評価として、上記で得られた反射防止光学物品
に高温高湿条件(60℃−90%RHで500時間)、
高温高湿条件(60℃−90%RHで700時間)、高
温高湿条件(60℃−90%RHで1000時間)を施
した後の耐摩耗試験の結果では、試験1では傷がつき、
試験2では膜の一部が剥げた。
【0097】反射防止性能については、反射率が最低と
なる530nmの波長付近の光に対し反射率が約0.0
07であった。
【0098】(比較例3)本発明に係る反射防止光学物
品との比較のため、以下の方法により、図10に示す反
射防止光学物品を作製した。該反射防止光学物品は単層
構成の反射防止膜を有する。図11中、111は光学基
材、112は反射防止膜(光学基材に接する層)であ
る。
【0099】実施例1と異なり、ZrO2膜の成膜は行
わずに、形状φ49mm×2mmポリメチルメタクリレ
ート基材111をコロナ処理装置で表面処理した後、E
B法により、光学モニターで530nmの光で反射率が
最低になるまでMgF2膜112の成膜を行った。この
ときの成膜条件は、成膜温度(基板温度)80℃とし、
さらに実施例1での真空度とは異なり、酸素(O2)ガ
スにより真空度を3×10-4torrに調整した。水晶
振動子膜厚計において、MgF2膜112の充填率を
1.0とみなしたとき、膜厚が70nmの成膜であっ
た。
【0100】上記成膜条件で成膜したMgF2膜112
を電子顕微鏡で観察したところ、膜厚は約100nmで
あった。膜質充填率を1.0とみなしたときのMgF2
膜112の膜厚70nmを実際の観察される膜厚約10
0nmで除することによりMgF2膜112の膜質充填
率を求めたところ、約70%であった。
【0101】上記で得られた反射防止光学物品について
初期の耐摩耗性の評価を行った結果、試験1では傷がつ
き、試験2でも膜の一部が剥げた。なお、良好な初期の
耐摩耗性が得られなかったため、環境耐久性の評価につ
いては行わなかった。
【0102】反射防止性能については、反射率が最低と
なる530nmの波長付近の光に対し反射率は約0.0
07であった。
【0103】以上の結果を次の表1にまとめた。
【0104】
【表1】
【0105】
【発明の効果】上記のように光学基材上に該光学基材に
接する少なくとも1層から成る反射防止膜を有する反射
防止光学物品において、光学基材に接する層が膜質充填
率が40%以上60%以下の無機酸化物、好ましくは金
属酸化物から成り、好ましくは低真空度かつ不活性ガス
で真空度を調節して真空プロセスにより成膜することに
より、光学基材との密着性が良好で、かつ光学基材の熱
収縮差によるひび割れやしわがなく、耐磨耗性、環境耐
久性に優れた反射防止特性を有する本発明に係る光学物
品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る反射防止光学物品の構成を示す断
面図である。
【図2】本発明に係る反射防止光学物品の構成を示す断
面図である。
【図3】本発明に係る反射防止光学物品の構成を示す断
面図である。
【図4】本発明に係る反射防止光学物品の構成を示す断
面図である。
【図5】本発明に係る反射防止光学物品の構成を示す断
面図である。
【図6】本発明に係る反射防止光学物品の構成を示す断
面図である。
【図7】本発明に係る反射防止光学物品の構成を示す断
面図である。
【図8】本発明に係る反射防止光学物品の構成を示す断
面図である。
【図9】比較例の反射防止光学物品の構成を示す断面図
である。
【図10】比較例の反射防止光学物品の構成を示す断面
図である。
【図11】比較例の反射防止光学物品の構成を示す断面
図である。
【符号の説明】
11 光学基板 12 反射防止膜 13 光学基材に接する層 14 反射防止層 15 反射防止膜 21 光学基板 22 反射防止層(光学基材に接する層) 23 反射防止層 24 反射防止膜 31 光学基板 32 反射防止層(光学基材に接する層) 33 反射防止層 34 反射防止膜 41 光学基板 42 反射防止層(光学基材に接する層) 43 反射防止層 44 反射防止膜 51 光学基板 52 反射防止層(光学基材に接する層) 53 反射防止層 54 反射防止膜 61 光学基板 62 反射防止層(光学基材に接する層) 63 反射防止層 64 反射防止膜 71 光学基板 72 反射防止層(光学基材に接する層) 73 反射防止層 74 反射防止膜 81 光学基板 82 反射防止層(光学基材に接する層) 83 反射防止層 84 反射防止膜 91 光学基板 92 反射防止層(光学基材に接する層) 93 反射防止層 94 反射防止膜 101 光学基板 102 反射防止膜(光学基材に接する層) 111 光学基板 112 反射防止膜(光学基材に接する層)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 14/10 G02B 1/10 A Fターム(参考) 2K009 AA04 AA05 BB11 BB13 BB14 CC03 CC06 DD03 DD04 4F100 AA06 AA17B AA20B AA21B AA27B AK03A AK12A AK25A AK45A AT00A BA02 BA03 EH66B EJ59B EJ60B GB51 JA12A JK06 JK09 JK14 JN06B YY00B 4K029 AA11 BA43 BA46 BA48 BC08 CA01 CA05 DB21 EA03

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学基材上に該光学基材に接する少なく
    とも1層から成る反射防止膜を有する反射防止光学物品
    であって、前記光学基材に接する層が膜質充填率が40
    %以上60%以下の無機酸化物から成ることを特徴とす
    る反射防止光学物品。
  2. 【請求項2】 前記光学基材の材料がポリメチルメタク
    リレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、非晶性ポ
    リオレフィン、およびこれらの誘導体からなる群から選
    択されることを特徴とする請求項1に記載の反射防止光
    学物品。
  3. 【請求項3】 前記無機酸化物が金属酸化物であること
    を特徴とする請求項1または2に記載の反射防止光学物
    品。
  4. 【請求項4】 前記金属酸化物がZrO2、TiO2、T
    iO、SiO2、SiO、CeO2、およびTa23から
    なる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載
    の反射防止光学物品。
  5. 【請求項5】 前記光学基材に接する層が真空プロセス
    により形成されたことを特徴とする請求項1から4のい
    ずれか1項に記載の反射防止光学物品。
  6. 【請求項6】 前記真空プロセスが蒸着法、EB法、お
    よびスパッタ法からなる群から選択されることを特徴と
    する請求項1から5のいずれか1項に記載の反射防止光
    学物品。
  7. 【請求項7】 前記真空プロセスが1×10-3〜2×1
    -4torrの真空度で行われたことを特徴とする請求
    項1から6のいずれか1項に記載の反射防止光学物品。
  8. 【請求項8】 前記光学基材がポリメチルメタクリレー
    トおよびその誘導体であり、前記真空プロセスが成膜温
    度60〜80℃で行われたことを特徴とする請求項1か
    ら7のいずれか1項に記載の反射防止光学物品。
  9. 【請求項9】 前記光学基材がポリカーボネートおよび
    その誘導体であり、前記真空プロセスが成膜温度60〜
    110℃で行われたことを特徴とする請求項1から7の
    いずれか1項に記載の反射防止光学物品。
  10. 【請求項10】 前記光学基材がポリスチレンおよびそ
    の誘導体であり、前記真空プロセスが成膜温度60〜8
    0℃で行われたことを特徴とする請求項1から7のいず
    れか1項に記載の反射防止光学物品。
  11. 【請求項11】 前記光学基材が非晶性ポリオレフィン
    およびその誘導体であり、前記真空プロセスが成膜温度
    60〜110℃で行われたことを特徴とする請求項1か
    ら7のいずれか1項に記載の反射防止光学物品。
  12. 【請求項12】 前記真空度を不活性気体で調整して前
    記真空プロセスを行ったことを特徴とする請求項1から
    11のいずれか1項に記載の反射防止光学物品。
  13. 【請求項13】 前記光学基材がレンズ、フィルター、
    ミラー、プリズム、カバーガラス、およびスクリーンか
    らなる群から選択される光学基材であることを特徴とす
    る請求項1から12のいずれか1項に記載の反射防止光
    学物品。
  14. 【請求項14】 請求項1から13のいずれか1項に記
    載の反射防止光学物品を具えることを特徴とする光学機
    器。
  15. 【請求項15】 前記光学機器が表示機器および電子写
    真機器からなる群から選択されることを特徴とする請求
    項14に記載の光学機器。
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