JP2003240827A - 測定誤差の補正方法、電子部品の良否判定方法および電子部品特性測定装置 - Google Patents

測定誤差の補正方法、電子部品の良否判定方法および電子部品特性測定装置

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JP2003240827A
JP2003240827A JP2002277393A JP2002277393A JP2003240827A JP 2003240827 A JP2003240827 A JP 2003240827A JP 2002277393 A JP2002277393 A JP 2002277393A JP 2002277393 A JP2002277393 A JP 2002277393A JP 2003240827 A JP2003240827 A JP 2003240827A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基準測定装置に対して測定結果が完全に一致
しない実測測定の測定結果を、基準測定装置の測定結果
と同等に補正する。 【解決手段】補正用データ取得試料11Bの電気特性
を、基準測定装置1と実測測定装置2とによりそれぞれ
測定したうえで、実測測定装置に2よる測定結果と基準
測定装置2による測定結果との間の相互関係式を求め
る。そして、実測測定装置2により測定した測定対象電
気部品11Aの電気特性を相互関係式に代入して計算す
ることで、測定対象電気部品11Aの電気特性を、基準
測定装置1により測定した場合に得られると推定される
電気特性に補正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、測定結果が基準測
定装置に一致しない実測測定装置により測定した電子部
品の電気特性を、前記基準測定装置を用いて測定した場
合に得られると推定される電気特性へ補正する測定誤差
の補正方法、その補正方法を用いた電子部品の良否判定
方法、およびその補正方法を実施する電子部品特性測定
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子部品の電気特性の測定においては、
電子部品のメーカー側に設置された測定装置と、ユーザ
ー側に設置された測定装置といったように、同一ないし
同種の電子部品に対して複数の測定装置でその電気特性
を測定する場合がある。
【0003】このような場合、測定装置によってその測
定誤差が互いに異なるために、測定の再現性が低く、同
一ないし同種の電子部品に対して異なる測定装置で行っ
た測定結果が同等にならない、という不具合が生じる。
【0004】低周波域における電気特性の測定において
は、このような測定誤差は比較的小さなものであってそ
れほど問題とはならない。しかしながら、100MHz
以上の高周波域における電気特性を測定する場合におい
ては、各測定装置間の測定誤差が顕著なものとなり、特
に数GHz以上といった高周波域においては、測定の再
現性を高めるために、以下に説明する絶対補正法を用い
たキャリブレーションが実施されている。
【0005】予め、標準器(対象となる電気特性が正確
に特定できている器具;例えば、オープン/ショート/
ロード/スルー等があり、これの例としてはAgilent Te
chnologies社製の85052Bが挙げられる)が用意さ
れる。そして、この標準器の電気特性が各測定装置によ
り種々測定されることで、測定装置それぞれの誤差要因
が同定され、例えば、フル2ポート補正法といった精度
の高いキャリブレーションが実施されて同定された誤差
要因が取り除かれ、測定の再現性が高められる(以下、
このような補正方法を絶対補正法とする)。
【0006】このように、測定装置においては、上述し
た標準器を用いた精度の高いキャリブレーション(絶対
補正法)を実施して測定の再現性を高めることができ
る。しかしながら、このようなキャリブレーションは、
同軸形状をした電子部品(以下、同軸形状電子部品とい
う)に対する測定においてのみ確実に実施することがで
きる。
【0007】これに対して同軸形状でない電子部品(以
下、非同軸形状電子部品という)に対する上記キャリブ
レーションを実施することは困難であった。以下、その
理由を説明する。
【0008】非同軸形状電子部品の標準器を、非同軸形
状電子部品と同等性能に作製するのは極めて困難であっ
て、同軸形状電子部品の標準器に比べても極めて高価な
ものとなってしまう。そのうえ、そのような標準器を作
製したとしてもその電気特性を精度高く特定することは
困難である。
【0009】さらには、非同軸形状電子部品の標準器を
用意するにしても、精度の高いキャリブレーション(例
えばフル2ポート補正法)を実施できる測定装置におい
ては、その装置の構造上、上記キャリブレーションを実
施可能な標準器は同軸形状でなければ実現が困難な値
(典型的には、オープン/ショート/ロード/スルー)
のものに限られるという条件がある。このような理由に
より、非同軸形状電子部品に対して上記キャリブレーシ
ョンを実施することは困難となる。
【0010】なお、キャリブレーションの一つであるT
RL補正法等を実施する場合においては、導波管やマイ
クロストリップライン等の非同軸形状電子部品の標準器
(典型的にはスルー/リフレクション/ラインの標準
器)を作製しやすい。しかしながら、TRL補正法等に
適した標準器においても、その電気特性を精度高く特定
することが困難であるのは同様である。
【0011】このように、非同軸形状電子部品の電気特
性の測定に際して絶対補正法に基づくキャリブレーショ
ンを実施してその測定精度を高めることは困難である。
そのため、従来では、非同軸形状電子部品の電気特性の
測定においては、電子部品の接続点におけるキャリブレ
ーションが行われることなく、次のような測定治具に取
り付けた状態での測定が実施される。
【0012】測定器に対しては同軸形状の入出力端を有
する一方、非同軸形状電子部品に対しては非同軸形状の
入出力端を有する測定治具が用意される。この測定治具
が測定器の入出力端に接続された同軸ケーブルに電気的
に接続される。そうしたうえで、測定治具に非同軸形状
電子部品が装着されてその電気特性が測定される。な
お、測定器の入出力端に接続された同軸ケーブルの先端
までは上述したフル2ポート補正法等のキャリブレーシ
ョンを実施するのが好ましい。
【0013】測定治具を用いたこのような非同軸形状電
子部品の電気特性測定方法においては、測定治具を含め
てキャリブレーションを行うことができない。そのた
め、測定結果の再現性は低いものとなる。そこで、測定
結果の再現性を高めるために、次のような測定装置の調
整が実施される。
【0014】この調整は、一方の測定装置を、基準測定
治具を備えた基準測定装置とみなし、他方の測定装置
を、実測測定治具を備えた実測測定装置とみなしたうえ
で、測定結果において、実測測定装置が基準測定装置に
一致するように、実測測定装置の実測測定治具が調整さ
れる。具体的には、基準測定装置において、任意の試料
(電子部品)に対して電気特性が測定されたうえで、同
一試料の電気特性が実測測定装置で測定され、両者の電
気特性が同等となるように、実測測定治具が調整され
る。調整は具体的には次のように実施される。
【0015】実測測定治具は、基板表面上の配線端部に
試料接続用の入出力端子を設けたプリント配線基板に、
測定器接続用の同軸コネクタが取り付けられて構成され
ている。このように構成された実測測定治具では、上記
調整が次のように実施される。プリント配線基板上のプ
リント配線の一部を削り取る、ないしはプリント配線上
に半田を盛る等の処理を施しながら測定結果の変化を測
定し、基準測定装置における測定結果と同等の電気特性
が得られたところで上記処理を終了する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上述した電子部品の電
気特性の測定方法には、同軸形状電子部品に対する測
定、非同軸形状に対する測定とも、次のような課題があ
る。
【0017】同軸形状電子部品の測定方法においては、
キャリブレーションを実施するために必要となる標準器
は入手可能であるものの高価であるため、そのような高
価な標準器を用意しなければならない分、キャリブレー
ションに要するコスト、延いては、電子部品の電気特性
の測定に要するコストが嵩んでしまうという課題があ
る。
【0018】また、非同軸形状電子部品の測定方法にお
いては、上述した実測測定治具の調整方法は、理論的に
解明された方法ではなく、熟練と勘に頼った非常に手間
のかかるものであるうえ、熟練者であっても、調整を精
度高く再現することが困難である。
【0019】さらには、このような実測測定治具の調整
方法は、調整時に用いた試料を測定した場合に再現性を
保証できる調整方法にすぎず、他の試料を測定した場合
に再現性を保証できるとは限らず、その再現性は不安定
と言わざるを得ない。
【0020】したがって、本発明の主たる目的は、基準
測定装置に対して測定結果が完全に一致しない実測測定
の測定結果を、基準測定装置の測定結果と同等に補正す
る測定誤差の補正方法を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ためには、本発明では、測定対象電子部品の電気特性
を、測定結果が基準測定装置に一致しない実測測定装置
により測定したうえで、その測定値を、前記基準測定装
置を用いて測定した場合に得られると推定される電気特
性に補正する測定誤差の補正方法であって、予め、補正
用データ取得試料として、測定操作により前記測定対象
電子部品の任意の電気特性と同等の電気特性を発生させ
る補正用データ取得試料を用意する工程と、前記補正用
データ取得試料の電気特性を、前記基準測定装置と前記
実測測定装置とによりそれぞれ測定する工程と、前記実
測測定装置による測定結果と前記基準測定装置による測
定結果との間の相互関係式を求める工程と、前記実測測
定装置により測定した前記測定対象電気部品の電気特性
を前記相互関係式に代入したうえで当該相互関係式を計
算することで、前記測定対象電気部品の電気特性を、前
記基準測定装置により測定した場合に得られると推定さ
れる電気特性に補正する工程と、を含むことに特徴を有
している。これにより、次のような作用を有する。
【0022】電気特性が同定されていない補正用データ
取得試料を用いた測定結果に基づいて実測測定装置と基
準測定装置との間の相互関係式を求め、この相互関係式
に基づいて、測定対象電気部品の電気特性を、前記基準
測定装置により測定した場合に得られると推定される電
気特性に補正しているので、高価な標準器を用いたキャ
リブレーションが必要なくなるうえ、実測測定装置に用
いる実測測定治具等の調整も必要なくなる。さらには、
理論計算により電気特性の補正を行うために、電子部品
の形状(同軸形状/非同軸形状)によらず、その電気特
性の測定の再現性を高めることが可能となる。
【0023】なお、前記相互関係式を用いた補正法とし
て本発明は、解析式相対補正法と近似式相対補正法とを
提案している。
【0024】解析式相対補正法による相互関係式の求め
方として本発明は、測定時における前記両測定装置の信
号伝達形態を、測定誤差要因を含んで想定する手順と、
前記信号伝達形態における前記実測測定装置の測定値真
値を求める理論数式と、前記信号伝達形態における前記
基準測定装置の測定値真値を求める理論数式とを、それ
ぞれ作成する手順と、未定係数を含み前記基準測定装置
の測定値真値と前記実測測定装置の測定値真値との間の
関係を一義的に示す数式からなる前記相互関係式を、前
記両理論数式に基づいて作成する手順と、前記補正用デ
ータ取得試料の電気特性を、前記基準測定装置と前記実
測測定装置とによりそれぞれ測定する手順と、前記両測
定装置で測定した前記補正用データ取得試料の電気特性
の測定値を、前記相互関係式に代入することで、前記未
定係数を特定する手順と、を含むことに特徴を有してい
る。
【0025】近似式相対補正法による相互関係式の求め
方として本発明は、未定係数を含み前記基準測定装置の
測定値と前記実測測定装置の測定値との間の関係を近似
的に示すn次式(nは自然数)からなる前記相互関係式
を作成する手順と、前記補正用データ取得試料の電気特
性を、前記基準測定装置と前記実測測定装置とによりそ
れぞれ測定する手順と、前記相互関係式に基づいて未定
係数算定式を作成したうえで前記両測定装置で測定した
前記補正用データ取得試料の電気特性の測定値を、前記
未定係数算定式に代入することで、前記未定係数を特定
する手順と、を含むことに特徴を有している。
【0026】なお、誤差補正の対象は前記測定対象電子
部品が有する複数の電気特性であり、前記補正用データ
取得試料として、測定装置による測定操作により互いに
異なる電気特性を発生させる複数の試料を用いるのが好
ましく、そうすれば、相互関係式による補正精度がさら
に向上することになる。さらには、任意の電気特性を発
生させる補正用データ取得試料を用意すればよく、その
特性の物理的真値を同定する必要もないので、その作製
・入手が比較的簡単になる。
【0027】なお、前記誤差補正の対象は、前記測定対
象電子部品のSパラメータであり、各測定装置を構成す
る測定器は、ネットワークアナライザであるのが好まし
い。
【0028】また、前記Sパラメータの一例としては、
それぞれ、順方向反射係数、順方向伝達係数、逆方向反
射係数、および逆方向伝達係数を挙げることができる。
【0029】近似式相対補正法によって前記相互関係式
を作成する手順の具体例として、次の手順が挙げられ
る。
【0030】前記相互関係式を作成する手順は、前記相
互関係式として、一次式からなる次の(B2)式を、前
記未定数算定式として、次の(B1a)〜(B1d)式
をそれぞれ作成するステップと、前記補正用データ取得
試料として、測定操作により互いに異なる電気特性を発
生させる5個の補正用データ取得試料を準備したうえ
で、これら補正用データ取得試料のSパラメータ(S11
n,S21 n,S12 n,S22 n:nは1から5の自然数)を、前
記基準測定装置と前記実測測定装置とで測定するステッ
プと、測定したSパラメータ(S11 n,S21 n,S12 n,S22
n)を、前記前記未定係数算定式(B1a)〜(B1
d)に代入することで、未定係数(am,bm,cm,dm
mは0から4の整数)を確定し、特定した未定係数(a
m,bm,cm,dm)を前記相互関係式(B2)に挿入する
ステップとを含んでいる。
【0031】
【数1】 11 n*,S21 n*,S12 n*,S22 n*:基準測定装置で測定し
た補正用データ取得試料のSパラメータ S11 nM,S21 nM,S12 nM,S22 nM:実測測定装置で測定し
た補正用データ取得試料のSパラメータ
【0032】
【数2】 11 *,S21 *,S12 *,S22 *:基準測定装置で測定した場
合に得られると推定可能な測定対象電子部品のSパラメ
ータ S11 M,S21 M,S12 M,S22 M:実測測定装置で測定する測
定対象電子部品のSパラメータ 近似式相対補正法によって前記相互関係式を作成する手
順のさらに他の具体例として、次の手順が挙げられる。
【0033】前記相互関係式を作成する手順は、前記相
互関係式として二次式からなる次の(C2a)〜(C2
d)式を、前記未定数算定式として次の(C1a)〜
(C1d)式を、それぞれ作成するステップと、前記補
正用データ取得試料として、測定操作により互いに異な
る電気特性を発生させる15個の補正用データ取得試料
を準備したうえで、これら補正用データ取得試料のSパ
ラメータ(S11 p,S21 p,S12 p,S22 p:pは1から15
の自然数)を、前記基準測定装置と前記実測測定装置と
で測定するステップと、測定したSパラメータ(S11 p,
21 p,S12 p,S22 p)を、前記未定係数算定式(C1
a)〜(C1d)に代入することで、未定係数(aq,b
q,cq,dq:qは0から14の整数)を確定するステッ
プと、特定した未定係数(aq,bq,cq,dq)を前記相
互関係式(C2a)〜(C2d)に挿入するステップと
を含んでいる。
【0034】
【数3】
【0035】
【数4】
【0036】
【数5】
【0037】
【数6】 11 p*,S21 p*,S12 p*,S22 p*:基準測定装置で測定し
た補正用データ取得試料のSパラメータ S11 pM,S21 pM,S12 pM,S22 pM:実測測定装置で測定し
た補正用データ取得試料のSパラメータ
【0038】
【数7】
【0039】
【数8】
【0040】
【数9】
【0041】
【数10】 11 *,S21 *,S12 *,S22 *:基準測定装置で測定した場
合に得られると推定可能な測定対象電子部品のSパラメ
ータ S11 M,S21 M,S12 M,S22 M:実測測定装置で測定する測
定対象電子部品のSパラメータ 本発明の測定誤差の補正方法は電子部品の良否判定方法
において、最適に実施することができる。この場合、電
子部品の良否判定方法は、基準測定装置によって測定し
た場合の電気特性を要求特性とされる測定対象電子部品
を、測定結果が前記基準測定装置に一致しない実測測定
装置により測定し、その測定結果に基づいて良否判定を
行うことにより構成される。
【0042】このような判定方法において、本発明を実
施する場合には、前記実測測定装置によって測定した前
記測定対象電子部品の電気特性を、本発明の測定誤差の
補正方法によって補正し、この補正後の電気特性と前記
要求特性とを比較して前記測定対象電子部品の良否を判
定すればよい。そうすれば、測定対象電子部品の良否を
精度高く判定することができる。
【0043】本発明は、上述した測定誤差の補正方法を
実施できる測定装置としては、次の電子部品特性測定装
置を提案する。
【0044】この測定装置は、測定対象電子部品の電気
特性を測定する測定手段を有するものの、その測定結果
が基準測定装置と一致しない測定装置であって、前記測
定対象電子部品の任意の電気特性と同等の電気特性を発
生させる補正用データ取得試料の電気特性を前記基準測
定装置で測定した測定結果を記憶する記憶手段と、前記
測定手段により測定する前記補正用データ取得試料の電
気特性と、前記記憶手段で記憶している基準測定装置に
よる前記補正用データ取得試料の電気特性との間の相互
関係式を算定する相互関係式算定手段と、前記測定手段
により測定する前記測定対象電気部品の電気特性を前記
相互関係式に代入したうえで当該相互関係式を計算する
ことで、前記測定対象電気部品の電気特性を、前記基準
測定装置により測定した場合に得られると推定される電
気特性に補正する補正手段と、を有している。
【0045】本発明の測定装置を、解析式相対補正法に
基づいて構成する場合、前記相互関係式算定手段は、測
定時における前記両測定装置の信号伝達形態を、測定誤
差要因を含んで想定する手段と、前記信号伝達形態にお
ける前記実測測定装置の測定値真値を求める理論数式
と、前記信号伝達形態における前記基準測定装置の測定
値真値を求める理論数式とを、それぞれ作成する手段
と、未定係数を含み前記基準測定装置の測定値真値と前
記実測測定装置の測定値真値との間の関係を一義的に示
す数式からなる前記相互関係式を、前記両理論数式に基
づいて作成する手段と、前記補正用データ取得試料の電
気特性を、前記基準測定装置と前記実測測定装置とによ
りそれぞれ測定する手段と、前記両測定装置で測定した
前記補正用データ取得試料の電気特性の測定値を、前記
相互関係式に代入することで、前記未定係数を特定する
手段と、を備えるのが好ましい。
【0046】本発明の測定装置を近似式相対補正法に基
づいて構成する場合、前記相互関係式算定手段は、未定
係数を含み前記基準測定装置の測定値と前記実測測定装
置の測定値との間の関係を近似的に示すn次式(nは自
然数)からなる前記相互関係式を作成する手段と、前記
補正用データ取得試料の電気特性を、前記基準測定装置
と前記実測測定装置とによりそれぞれ測定する手段と、
前記両測定装置で測定した前記補正用データ取得試料の
電気特性の測定値を、前記相互関係式に代入すること
で、前記未定係数を特定する手段と、を備えるのが好ま
しい。
【0047】本発明は、実測測定装置の測定結果を基準
測定装置の測定結果に補正する際に、従来例で説明した
絶対補正法ではなく相対補正法に基づいて補正操作を実
施している。相対補正法とは次のような補正法である。
【0048】相対補正法は、実測測定装置(実測測定治
具を含む)で測定した測定対象電子部品の電気特性(試
料真値+実測測定装置の測定誤差)に基づいて、基準測
定装置(基準測定治具を含む)で測定した場合に得られ
ると推定される電気特性(試料真値+基準測定装置の測
定誤差)に補正する補正方法である。相対補正法は、測
定対象電子部品の試料真値が既知に限らず未知のもので
もよい点に特徴がある。
【0049】本発明は、相対補正法として、解析式相対
補正法と近似式相対補正法とを提案している。解析式相
対補正法により補正する場合には、両測定装置の測定誤
差要因を含んだ信号伝達形態を想定する必要がある。こ
の場合、信号伝達形態は、測定誤差要因に対応すればよ
く、任意のものとして想定される。このような信号伝達
形態としては、絶対補正法において従来から用いられて
いるものを用いることができる。解析式相対補正法は、
原理的にみて線形的な全ての誤差を精度高く補正するこ
とができる。しかしながら、解析式相対補正法は、非線
形的な誤差を補正することができない。このような解析
式相対補正法の特徴は絶対補正法と同様である。
【0050】近似式相対補正法は、解析式相対補正法で
用いる解析式が複雑になり過ぎる場合等において、解析
式を近似式で代用した補正法である。近似式相対補正法
には、近似式の近似精度にどうしても限界が存在するた
めに追加誤差が発生するのは避けられない。しかしなが
ら、近似式相対補正法には、補正用データ取得試料の数
が少なくできる。また、非線形的な誤差を補正すること
ができる。
【0051】
【発明の実施の形態】第1の実施の形態 本実施形態では、表面実装型のSAWフィルタを測定対
象電子部品として、このSAWフィルタの電気特性を、
ネットワークアナライザを有する測定装置で測定する際
の測定誤差の補正方法において本発明が実施されてい
る。
【0052】図1は本実施形態の測定装置の構成を示す
平面図であり、図2は測定治具の構成を示す平面図であ
り、図3は実測測定装置のネットワークアナライザの構
成を示すブロック図であり、図4は測定対象試料である
電子部品や補正データ取得試料の構成を示す裏面図であ
り、図5は補正データ取得試料の構成を示す平面図であ
り、図6は補正データ取得試料の等価回路図である。
【0053】基準測定装置1および実測測定装置2を構
成する測定装置は、図1に示すように、ネットワークア
ナライザ3A,3Bと、同軸ケーブル4A,4Bと、測定
治具5A,5Bとを備えている。なお、ネットワークア
ナライザ3Aと測定治具5Aとは基準測定装置1に設け
られており、ネットワークアナライザ3Bと測定治具5
Bとは実測測定装置2に設けられている。
【0054】ネットワークアナライザ3A,3Bは、高
周波に用いられる電子部品の電気特性を測定する測定器
であって、2ポートの入出力部(ポート1,ポート2)
を有している。これらのポート1,2それぞれに同軸ケ
ーブル4A,4Bが接続されている。同軸ケーブル4A,
4Bの遊端には、同軸ケーブルコネクタ6が設けられて
いる。
【0055】測定治具5A,5Bは、図2に示すよう
に、絶縁基板7と、接続用配線部8と、同軸コネクタ9
A,9Bとを備えている。接続用配線部8は、絶縁基板
7の基板表面7aに形成されており、信号伝送路8a,
8bと、接地線路8c〜8fとを備えている。信号伝送
路8a,8bは、絶縁基板7の基板表面7aにおいて、
基板両端それぞれから基板中央に向かって延出配置され
ており、その延出端部それぞれは、基板表面7aの中央
部において所定の離間間隔を空けて対向配置されてい
る。接地線路8c〜8fは、基板表面7aの中央部にお
いて、信号伝送路8a,8bの両側それぞれに設けられ
ている。伝送路8a側に位置する線路8c,8dと、伝
送路8b側に位置する伝送路8e,8fとは、基板表面
7aの中央部において所定の離間間隔(信号伝送路8
a,8bと同等)を空けて対向配置されている。
【0056】信号伝送路8a,8bは、基板端部におい
て、同軸コネクタ9A,9Bの内部導体コンタクト(図
示省略)に接続されている。接地線路8c〜8fは、ス
ルーホール接続部10を介して基板裏面のグランドパタ
ーン(図示省略)に接続されており、さらには、グラン
ドパターンを介して、同軸コネクタ9A,9Bの外部導
体コンタクト(図示省略)に接続されている。
【0057】なお、図2においては、基準測定装置1の
測定治具(以下、基準測定治具という)5Aと、実測測
定装置2の測定治具(以下、実測測定治具という)5B
とを、同じ形状を有するものとしているが、これらは、
特に同じ形状のものとする必要はない。特に、実測測定
治具5Bの形状は、自動選別測定機等に適した形状にす
るなどにより、基準測定治具5Aと異なる形状にしても
よい。
【0058】実測測定装置2を構成するネットワークア
ナライザ3Bは、図3に示すように、ネットワークアナ
ライザ本体20と、制御部21とを備えている。制御部
21は、制御部本体22と、メモリ23と、相互関係式
算定手段24と、補正手段25とを備えている。
【0059】測定対象電子部品11Aや補正データ取得
試料11Bは、図4に示すように、その裏面11aに、
伝送路端子12a,12bまたは擬似伝送路端子14a,
14bと、接地端子12c〜12fまたは擬似接地端子
14c〜14fとを備えている。測定対象試料11A,
補正データ取得試料11Bの裏面11aを測定治具5の
基板表面7aに当接させることで、伝送路端子12a,
12b(または擬似伝送路端子14a,14b),接地端
子12c〜12f(または擬似接地端子14c〜14
f)を、信号伝送路8a,8b,接地線路8c〜8fに圧
着させる。これにより測定対象電子部品11A,補正デ
ータ取得試料11Bは、測定治具5A,5Bに測定実装
される。
【0060】本実施形態では、補正データ取得試料11
Bとして、測定装置1,2による測定操作により測定対
象電子部品11Aの任意の電気特性と同等の電気特性を
発生させる試料を用意する。さらには、本実施形態で
は、補正データ取得試料11Bとして、測定装置により
発生させる前記電気特性が互いに異なる複数(例えば6
個)の試料11B1〜6を用意する。
【0061】補正データ取得試料11B1〜6は、図5に
示すように、測定対象電子部品11Aと同等の形状を有
する枠体13を有している。枠体13には、測定対象電
子部品11Aの伝送路端子12a,12bや接地端子1
2c〜12fと同等の構造を有する擬似伝送路端子14
a,14b、および擬似接地端子14c〜14fが設け
られている。これら擬似伝送路端子14a,14b,擬似
接地端子14c〜14fは、枠体13の下面から側面を
介して上面13aまで延出した形状に形成されている。
これら擬似伝送路端子14a,14b,擬似接地端子14
c〜14fの枠体上面側延出端は、それぞれ実装端子1
5a〜15fを構成している。
【0062】互いに隣り合う実装端子(15aと15
b),(15aと15d),(15aと15c),(15
bと15e),(15bと15f)の間には、抵抗素子
等からなる電気特性調整用素子16a〜16eが実装さ
れている。
【0063】このようにして電気特性調整用素子16a
〜16eが実装された補正データ取素子11B1〜6
は、図6の等価回路図に示すように、信号入出力端17
A,17Bの間に抵抗成分R1が設けられている。信号
入出端17A,17Bと接地電位との間に、抵抗成分R
2,R3が設けられている。電気特性調整用素子16a
〜16eの電気特性(抵抗素子である場合には抵抗値)
を任意に設定することで、補正データ取得試料11B
1〜6の特性(測定装置により測定される電気特性)をラ
ンダムに設定することが可能である。本実施形態では、
測定装置による測定操作で生じさせる電気特性の正確な
値を補正データ取得試料11B1〜6に予め設定しておく
必要はない。そのため、その分だけ補正データ取得試料
11B1〜6の作製コストを低く抑えることができる。
【0064】以下、本実施形態の測定装置による測定誤
差の補正方法(解析式相対補正方法)を説明する。
【0065】まず、その概要を説明する。非同軸形状試
料の高周波特性の測定における共通な課題として、その
特性(散乱係数等)の測定結果が測定装置によって異なっ
た値となってしまうというものがある。具体的には、ユ
ーザー保証を行う治具(基準測定治具5A)を含んだ測定
装置(基準測定装置1)による補正データ取得試料11
Bの測定結果と、出荷検査時に使用する治具(実測測定
治具5B)を含んだ測定装置(実測測定装置2)による
補正データ取得試料11Bの測定結果とが異なってしま
うという課題である。このような測定結果の不一致は、
出荷検査時におけるユーザー保証を不可能にしてしま
う。
【0066】そこで、本実施形態では、このような課題
に対して、実測測定装置2による測定結果から基準測定
装置1による測定結果を相対補正法に基づいた計算によ
って推定している。
【0067】以下、不平衡2ポートの測定系に対応した
本実施形態の補正方法(解析式相対補正法)の理論を説
明する。
【0068】まず、各測定系(基準測定装置1および実
測測定装置2)の誤差要因を図7に示される信号伝達形
態によってモデル化する。なお、図7に示す信号伝達形
態は、一般的に用いられている2ポート誤差モデルと同
様である。
【0069】図7の信号伝達形態(誤差モデル)は同軸
測定系においては非常に正確なモデルであるが、測定治
具を用いた非同軸測定系等に対しては厳密にいえば正確
ではない。これは漏洩の取り扱いについて現実の物理現
象と乖離した部分があることに起因している。
【0070】本実施形態ではこの信号伝達形態(誤差モ
デル)が長年にわたって世界的に用いられてきている実
績を尊重し、非同軸測定系等に対しては厳密にいえば不
正確であることを知りつつこの信号伝達形態を採用する
ことにする。ただし、必要に応じてさらに正確な信号伝
達形態を作成し、その信号伝達形態を用いて相対補正法
の式を誘導しても良い。なお、図7の信号伝達形態は、
測定治具に漏洩が多い場合には誤差が大きくなりやすい
という特性があるものの、測定治具に漏洩が少ない(い
わゆるアイソレーションの良い)場合では誤差はさほど
大きくならない。
【0071】この信号伝達形態において、誤差要因が全
て同定されていたとすると、補正データ取得試料11B
1〜6の測定値(S11M,S21M,S12M,S22M)からその散乱
係数の真値(S11A,S21A,S12A,S22A)は次の理論数式
(A1a)〜(A1d)によって求められる。なお、理
論数式(A1a)〜(A1d)は、図7の信号伝達形態
を基に式を組み立てれば導き出すことができる。
【0072】
【数11】 散乱係数の真値が(S11A,S21A,S12A,S22A)である補
正データ取得試料11B1〜6を測定としたとき、基準測
定装置1では散乱係数(S11D,S21D,S12D,S 22D)が、
実測測定装置2では散乱係数(S11M,S21M,S12M,
22M)がそれぞれ測定されるとする。
【0073】なお、以下の説明では、基準測定装置1
(基準測定冶具5A)の誤差要因をE DF1のように誤差
要因名に添え字1を付して、実測測定装置2(実測測定
冶具5B)の誤差要因をEXR2のように誤差要因名に添
え字2を付して表すことにする。誤差要因名は図7中の
ものに準じる。
【0074】ここで、補正データ取得試料11Bの散乱
係数の真値 (S11A,S21A,S12A,S22A)および、基準
測定装置1(基準測定冶具5A)・実測測定装置2(実
測測定冶具5B)の誤差要因の値を具体的に知ることは
実際には不可能である。一方、基準測定装置1における
測定値(S11D,S21D,S12D,S22D) や実測測定装置2
におけ測定値(S11M,S21M,S12M,S22M)は実測によっ
て知ることのできる値である。
【0075】本実施形態における相対補正法の目的は、
実測測定装置2の測定値から基準測定装置1の測定値を
求めることである。
【0076】仮に基準測定装置1(基準測定冶具5A)
・実測測定装置2(実測測定冶具5B)の誤差要因が同
定されているとする。このとき、基準測定装置1や実測
測定装置2の測定値の各々と試料散乱係数とに間の関係
を示す理論数式を、上記理論数式(A1a)〜(A1
d)を基にして考察すると、次に示す理論数式(A2
a)〜(A2d)と理論数式(A3a)〜(A3d)と
が成立する。これらの理論数式は、各測定装置1,2
(測定冶具5A,5B)の誤差要因が同定されていれば
その測定装置1,2(測定冶具5A,5B)での測定値か
ら試料散乱係数を計算で求めることができるということ
を示している。
【0077】
【数12】
【0078】
【数13】 ところで、基準測定装置1・実測測定装置2の双方で同
じ試料を測定したとすれば試料散乱係数は理論数式(A
2a)〜(A2d)と,理論数式(A3a)〜(A3
d)との間で等しくなる。そこで、理論数式(A2a)
〜(A2d)と理論数式(A3a)〜(A3d)の各々
から試料散乱係数(S11A,S21A,S12A,S 22A)を消去す
ると次の相互関係式(A4a)〜(A4d)が得られ
る。相互関係式(A4a)〜(A4d)は、実測測定装
置2による測定結果と基準測定装置1による測定結果と
の間の関係を示す式である。
【0079】
【数14】
【0080】
【数15】
【0081】
【数16】
【0082】
【数17】 このようにして得られる相互関係式(A4a)〜(A4
d)を実測測定装置2(実測測定治具5B)での測定値
(S11M,S21M,S12M,S22M)について整理する。さら
に、整理した式を簡略化する為に適当に誤差要因を変数
で置き換える。すると次の相互関係式(A5a)〜(A
5d)が得られる。相互関係式OLE_LINK1(A5a)〜
(A5d)OLE_LINK1中、a0,a1,a3,b0,b1,b3,
0,c1,c3,d0,d1,e0,e1,e3,f0,f1,k,mの計
18個とEXF1,EXR1,EXF2,EXR2の4つがこの相互関
係式に含まれる未定係数である。なお、S11Dについて
の式とS2 1Dについての式、および、S22Dについての式
とS12Dについての式の右辺分数部の分母に用いている
未定係数は同じ記号を用いているが、これは各々の係数
が全く等しいことを示している。
【0083】
【数18】 このようにして作製した相互関係式(A5a)〜(A5
d)では、上述した22個の未定係数を決定すれば良
い。これら相互関係式(A5a)〜(A5d)は有理式
であって、 ・2変数(例えばa0とb0)は基準として1とおける、 ・漏洩は無視し得ることがほとんどである、 と見なすことができる。
【0084】以上のことから、相互関係式(A5a)〜
(A5d)の未定係数は、事実上、16個となる。
【0085】また、1つの試料を測定すれば4つの式が
得られる。
【0086】このことから、理論上は補正用データ取得
試料11Bを4個測定すれば相互関係式(A5a)〜
(A5d)に含まれる未定係数を決定することができ
る。
【0087】しかしながら、未定係数k,mは他の係数
との積として現れており、相互関係式(A5a)〜(A
5d)に現れる未定係数を同定することは容易ではな
い。そこで、必要な補正用データ取得試料11Bの数は
多少増えてしまうが、k,mと他の未定係数の積を独立
変数と扱うことにより方程式を線形化し未定係数の計算
を容易にすることができる。この置き換えを行った結果
を次の相互関係式(A6a)〜(A6d)式に示す。こ
れらの相互関係式中、a0〜a4,b0〜b4,c0〜c4,
0,d1,e0〜e4,f0,f1の計22個とEXF1,EXR1,E
XF2,EXR2の4つが未定係数である。
【0088】
【数19】 相互関係式(A6a)〜(A6d)で、EXF1,EXR1,E
XF2,EXR2の4つはいわゆるポート間漏洩(リーク)であ
り、アイソレーションの良い測定装置1,2(測定冶具
5A,5B)では無視し得ることが多い。この場合、こ
れらの未定係数は単に0とおけば良い。また、無視し得
ない場合においても、これらのポート間漏洩(リーク)は
簡単に見積もることができる。例えば、測定装置1,2
(測定冶具5A,5B)に補正データ取得試料11B等
を取り付けない状態で測定を行ったときの散乱係数の測
定値をそのままこれらの値[ポート間漏洩(リーク)]と
することもできる。このような適当な方法によりこれら
漏洩誤差を同定したとして変数の置き換えを行うと、相
互関係式(A6a)〜(A6d)は、次の(A7a)〜
(A7d)式で整理される。このような変数の置き換え
を行うと数式が簡単になるので以後この置き換えを行っ
たうえで説明する。
【0089】
【数20】 さて、残りの24個の未定係数は各式の右辺の分数部を
作っているわけであるが、相互関係式(A6a)〜(A
6d)の各式とも基本的には有理式であり明らかに分子
と分母に含まれる係数のうち1つは任意に決めることが
できる。どの未定係数を選ぶかは任意であるが、ここで
は一例としてa0とb0がいずれも1であるとする。ここ
で式を整理してベクトル式にすると、相互関係式(A6
a)〜(A6d)は、さらに次の相互関係式(A8a)
〜(A8d)として整理される。なお、相互関係式(A
8a)〜(A8d)中のtは行と列を入れ替えたベクト
ルを示している。
【0090】
【数21】 ここで注目すべきは、相互関係式(A8a)〜(A8
d)には試料散乱係数(S11A,S21A,S12A,S22A)が含
まれておらず、また未定係数が22個しか含まれていな
いことである。すなわち、1つの補正データ取得試料1
1Bを基準測定装置1(基準測定冶具5A)と実測測定
装置2(実測測定冶具5B)の両方で測定すれば相互関
係式(A8a)〜(A8d)が得られる。
【0091】したがって、この相互関係式(A8a)〜
(A8d)を用いれば、5.5個(=22/4:実際に
は6個となる)の補正データ取得試料11B1〜6を基準
測定装置1(基準測定冶具5A)と実測測定装置2(実
測測定治具5B)の両方で測定すれば全ての未定係数を
決定することができる。
【0092】なお、先に述べたとおり、漏洩誤差
(EXF1,EXR1,EXF2,EXR2)を無視しない場合は、これ
を測定するために1個余分に補正データ取得試料11B
が必要なので計7個の補正データ取得試料11B1〜7
必要になる。
【0093】いったん未定係数が同定されれば、任意の
測定対象電子部品11Aの実測測定装置2(実測測定治
具5B)の測定値から上述した相互関係式(A6a)〜
(A6d)を用いて基準測定装置(基準測定冶具)での
測定値を計算で求めることができる。
【0094】相互関係式(A8a)〜(A8d)を用い
て未定係数を決定する具体的な方法は、どのような方法
であっても良いのだが、実際には計算機を用いて計算を
行わないと非常に手間がかかる。そのため、計算機を用
いた未定係数の決定方法の一例を説明する。
【0095】まず、各測定装置1,2の測定冶具5A,5
Bに補正データ取得試料11B1〜6を取り付けない状態
で散乱係数を測定することで、各測定装置1,2(測定
治具5A,5B)固有の漏洩誤差(EXF1,EXR1,EXF2,E
XR2)を決定する。つづけて、適当に製作した6個の補正
データ取得試料11B1〜6の特性(散乱係数)を、基準
測定装置1(基準測定治具5A)・実測測定装置2(実
測測定治具5B)の両方で測定する。これにより、基準
測定装置1の測定値と実測測定装置2の測定値とをそれ
ぞれ6つ得る。ここに、おのおのの補正データ取得試料
11B1〜6の測定値をそれぞれS11D1,S11D2,…,S
11D6,S11M1,…,S11M6というように末尾の添え字で区
別する。
【0096】次に、補正データ取得試料11B1〜6の測
定値を相互関係式(A8a),(A8b)に代入し、補
正データ取得試料11B6の測定値を相互関係式(A8
a)に代入する。これらの測定値代入式を行列式に整理
すると次の(A9)式になる。
【0097】
【数22】 (A9)式の係数行列および右辺定数項ベクトルの要素
は全て既知量であるから、(A9)式は未定係数(a1
4,c0〜c4,d0,d1)についての単なる11元連立一
次方程式である。これを解いて未定係数を求めることは
計算機によって一般に知られたLU分解法やガウス消去
法といったアルゴリズムを用いればきわめて容易であ
る。同様に、相互関係式(A8c)と相互関係式(A8
d)から、未定係数(b1〜b4,e0〜e4,f0,f1)を求
めることができる。
【0098】漏洩誤差は比較的簡単に同定できる場合が
多いので、上述した本実施形態の説明においては、漏洩
誤差をまず個別に同定しておき、残りの誤差の影響で生
じる基準測定装置1(基準測定冶具5A)の測定値と実
測測定装置2(実測測定治具5B)の測定値との間の差
異を、補正用データ取得試料11B1〜6を用いて補正す
るという手順を用いた。しかしながら、漏洩誤差も含め
て基準測定装置1(基準測定冶具5A)の測定値と実測
測定装置2(実測測定治具5B)の測定値との間の差異
を、補正用データ取得試料11B1〜6を用いて補正して
もよい。
【0099】また、上述した本発明の説明では、2ポー
ト測定系について本発明を説明したしたが、1ポート測
定系についても、あるいは3ポート以上の測定系につい
ても本発明は全く同様に実施できるのはいうまでもな
い。
【0100】上述した本実施形態の説明では2ポート測
定系の誤差モデル(信号伝達形態)として一般に用いら
れている2ポート誤差モデルを用いて説明を行ったが、
測定冶具などの測定系にあわせてこれとは異なる誤差モ
デル(信号伝達形態)に基づいて本発明を実施しても良
いのもいうまでもない。
【0101】相互関係式(A4a)〜(A4d)におい
て、基準測定装置1(基準測定冶具5A)の誤差要因を
全く誤差の無い測定系の場合の値とする、つまり、EXF
=0,EXR=0,EDF=0,EDR=0,ERF=1,ERR=1,
SF=0,ESR=0,ETF=1,ETR=1,ELF=0,ELR
=0にすると、相互関係式(A4a)〜(A4d)は、
理論数式(A1a)〜(A1d)に一致する。このこと
から、一般に行われている2ポート補正法等の補正方法
は本実施形態における相対補正法の特殊な場合(基準冶
具が理想的である場合)に相当することが理解される。
【0102】以上の本実施形態の説明では、基準測定装
置1(基準測定冶具5A)や実測測定装置2(実測測定
治具5B)の誤差要因に着目して本発明の詳細を説明し
たが、測定冶具5A,5Bの誤差要因、測定装置1,2,
測定ケーブル等の誤差要因とが複合したものを、1つの
誤差要因としてとらえることもできる。この場合でも、
信号伝達形態(誤差モデル)は理論数式(A1a)〜
(A1d)に基づくものがそのまま成立する。
【0103】そのため、例えば校正していない実測測定
装置に実測測定冶具を取り付けた状態で得た測定値か
ら、校正している基準測定装置に基準測定冶具を取り付
けた状態で測定されるであろう測定値を相対補正法によ
って正確に得ることもできる。
【0104】以上説明した本実施形態の説明における未
定係数の決定法以外にも、余分にいくつかの補正データ
取得試料11Bを測定しておき、これらの測定値を用い
て最小自乗法に代表される何らかの最尤法によって未知
係数を決定することも可能である。このようにすれば、
試料測定時の測定誤差の影響を緩和することができる。
【0105】漏洩を除けば、本来は4個の補正用データ
取得試料11Bによって解析式相対補正法の補正式の係
数を決定できるはずであるところ、上述した説明では、
5.5個の補正用データ取得試料(実際は無論6個)11
1〜6を用いて未定係数を決定している。これは、方程
式を単純化するために便宜的に採用した方策である。
【0106】しかしながら、5.5個の補正用データ取
得試料11B1〜6で係数を決定する場合には、補正用デ
ータ取得試料の測定誤差の影響などによって係数が相互
に満たすべき関係を満たさない場合がある。例えば、相
互関係式(A5a)〜(A5d)と相互関係式(A6
a)〜(A6d)とを比較すると、a4/a3=c4/c3
なる関係が成立しなければならないが、測定によっては
このような関係を満たすことができない係数が得られる
場合がある。
【0107】このような場合、4個の補正用データ取得
試料11B1〜4の測定結果を評価関数として、5.5個
の補正用データ取得試料11B1〜6で得た係数を初期値
として反復演算を行うことによって係数をより正確なも
のに修正することができる。これは、仮の解の初期値が
真の解に近ければ、Newton法等で容易に解を真値
に収束させることができることによっている。
【0108】以上が2ポート測定系の場合の相対補正法
の理論である。次に補正用データ取得試料11Bの設計
について説明する。相対補正法の実施において補正用デ
ータ取得試料11Bをどのように作るかは補正精度上非
常に重要な問題となる。補正用データ取得試料11Bを
基準測定装置1(基準測定治具5A)と実測測定装置2
(実測測定治具5B)とのそれぞれで全く測定誤差無く
測定する事が出来れば、解析式相対補正法における補正
式の係数は一義的に定まる。ただしこの場合、上述した
(A9)式の左辺の行列が特異にならない限りという条
件は付く。
【0109】しかしながら、実際上は、補正用データ取
得試料11Bの測定において必ず何かしらの誤差(系統
誤差・偶然誤差の両者を含む)が発生する。そうする
と、(A9)式によって求まる解析式相対補正法におけ
る補正式の係数に誤差が生じてしまう。
【0110】このようにして生じる係数の誤差において
は、補正用データ取得試料11Bがどの様な散乱係数を
有しているかによってその影響の大きさが異なる。例え
ば、最も補正用データ取得試料11Bの測定誤差の影響
を受け難くなると予想される条件の1つは、(A9)式
の左辺の行列が単位行列に近くなる場合である。なお、
実際には(A9)式をそのまま用いるのではなく、最小
自乗法といった考え方を取り入れて(A9)式は運用さ
れるがこの場合にも同様である。
【0111】以下、どの様に補正用データ取得試料11
Bの特性を設計すれば測定誤差に影響され難い解析式相
対補正法の補正式を作成出来るかについて説明する。こ
こでは、主として抵抗器を組み合わせて補正用データ取
得試料11Bを作製する事を前提とする。抵抗器の組み
合せにより補正用データ取得試料11Bを作成するの
は、補正用データ取得試料11Bの製作を簡単にするた
めである。
【0112】解析式相対補正法の補正式を精度高く作成
するうえでは、 ・補正式の係数の算定の確実性、 ・複数用意する補正用データ取得試料11B間における
特性の接近度、 ・複数用意する補正用データ取得試料11B間における
特性の従属性、 が重要となる。
【0113】はじめに解析式相対補正法における補正式
中の係数を確実に算定出来る条件について説明する。全
く同じ特性を有する補正用データ取得試料11Bを2個
用いることは、実質上、補正用データ取得試料11Bの
数が1個少ないことと同じことを意味する。したがっ
て、このことが補正係数を算定出来ない条件の一つであ
る事は容易に理解される。数学的にもこの要件は簡単に
表現できる。すなわち、(A9)式の左辺の行列の行列
式の値が0になることである。そうすれば、補正係数が
算定出来なくなる。したがって、この条件の逆の条件
[(A9)式の左辺の行列の行列式の値が0にならな
い]ことさえ満たせば、(A9)式は解を有することに
なる。
【0114】しかしながら、(A9)式の行列式の値が
0でないという条件は、補正用データ取得試料11Bを
どう設計すべきかを判断するうえではあまりに抽象的で
ある。そのため、本実施形態では、次のような目安を用
いている。以下の目安を用いることは若干ながら不正確
ではあるものの、そもそも、行列式の値が0になるとい
うのは余程の偶然がない限り起こらないものであり、こ
の様な簡易的な方法(目安を用いる方法)であっても実
用上は全く問題無い。
【0115】第1の目安は、補正用データ取得試料11
Bの設計散乱係数によって決まる次の各計算値S11, S
21,S12,S22,S11*S22,S21*S12,S21*S22,S12
*S 11,S11*S21*S12,S22*S21*S12がそれぞ
れ、全ての補正用データ取得試料11Bで非常に小さな
値となったり、同じような値とならないことである。こ
のような目安は、これらの計算値は各係数に対応する行
列要素の値を作るものであってこのような第1の目安を
満たすと行列式が0に近づく恐れがある、という理由に
基づいている。
【0116】第2の目安は、上述の計算値の補正用デー
タ取得試料11B毎の大小関係が出来るだけ共通しない
ようにすることである。このような目安は、計算値の大
小関係が異なれば行列式が0に近づくことはまず起こり
得ない、という理由に基づいている。
【0117】以上の条件・目安を満足させることで、解
析式相対補正法における補正式中の係数を確実に算定出
来るようになる。
【0118】次に、複数用意する補正用データ取得試料
11B間における特性の接近度について説明する。本発
明の解析式相対補正法においては、測定誤差の影響を受
けるのは避けられない。このような測定誤差の影響を最
小限に抑えるためには、複数用意する補正用データ取得
試料11B間における特性の接近度をできるだけ離すこ
とが重要となる。以下、説明する。
【0119】補正用データ取得試料11Bの測定時に如
何に注意深く測定を行なっても何らかの誤差は必ず生じ
てしまう。この場合の誤差には補正用データ取得試料1
1Bを測定治具5A,5Bに取り付けた際の位置決め誤
差のようなものや、測定装置1,2のドリフト、または
測定バラツキのようなものが全て含まれる。
【0120】これらの誤差の影響を大きく受ける条件
は、2個以上の補正用データ取得試料11Bが非常に近
い特性を有している場合である。これは、補正用データ
取得試料11Bが有する特性近辺における微係数とは、
最も単純には隣接する補正用データ取得試料11Bとの
特性差を補正用データ取得試料11Bの特性の距離(ノ
ルム)で除したもので与えられる事から容易に理解でき
る。つまり、除数が小さければ非除数の僅かな誤差が拡
大してしまう。
【0121】したがって、測定誤差の影響を受けにくく
するには補正用データ取得試料11Bの特性相互間のノ
ルムを出来るだけ大きく保つことが有効である。ノルム
には、例えば単純幾何距離(S11〜S22の各パラメータ
の差の自乗和の平方根)を用いる事が出来る。
【0122】ここで、補正用データ取得試料11Bを抵
抗器だけで製作すると必然的にその特性は実軸に貼り付
き、虚軸成分をほとんど有しないことに着目する。測定
誤差さえなければ原理的にはたとえ補正用データ取得試
料11Bの特性に虚数成分は無くとも、測定治具5A,
5Bの誤差要因の虚数成分は重畳されるので結果的には
正しい補正係数(補正式の未定係数)が推定出来る。し
かしながら、測定誤差によって一部の補正用データ取得
試料11Bの特性のみが虚数成分を持つ場合がある。そ
の場合、位相回転を有する補正用データ取得試料11B
の補正結果に大きな誤差を生じさせるような補正係数
(未定係数)が得られてしまう懸念がある。これは特に
順方向と逆方向で移相角が異なる散乱係数を有するデバ
イス(アイソレータ等が該当する)の場合とくに顕在化
しやすい。
【0123】補正用データ取得試料11Bの測定誤差を
十分小さくすることが困難な場合(例えば、測定装置1,
2のドリフトのように平均化で除去出来ない誤差が生じ
る場合など)には、移相角が異なる補正用データ取得試
料11Bを用いることが最も効果的な対策である。具体
的には、補正用データ取得試料11Bにディレイライン
または、コンデンサやインダクタなどのリアクタンス素
子を組込むことによって前記対策を実現できる。
【0124】また、測定対象電子部品11Aが補正用デ
ータ取得試料11Bと異なる移相角を有する時には測定
対象電子部品11Aそのものを補正用データ取得試料1
1Bの1つとして使用することも有効である。ただし、
いずれの方法においても補正用データ取得試料11Bに
対して測定可能な周波数帯域幅は制限を受けてしまう。
以上のようにすることで測定誤差の影響を最小限に抑え
ることができる。
【0125】次に、複数用意する補正用データ取得試料
11B間における特性の従属性について説明する。前述
した相互関係式(A6a)〜(A6d)は、実測測定装
置2(実測測定治具5B)における測定値から基準測定
装置1(基準測定治具5A)のおける測定値を推定する
式である。これらの式は単純な有理式であって、分子・
分母とも、測定治具5A,5Bで補正用データ取得試料
11Bを測定した散乱係数およびその積の一次結合であ
る。そのため、各項の間で一次従属が生じてしまう可能
性がある。以下、説明する。
【0126】例えば、S11Dの推定式である相互関係式
(A6a)式では、分子にc2*S11 M+c3*S22Mとい
う部分がある。ここで、補正用データ取得試料11Bの
測定結果に基づいて正しい値がc2,c3として推定され
ていればどの様な補正用データ取得試料11Bの特性を
相対補正しても正しい補正が行なわれる。しかしなが
ら、c2が極端に大きな値であったり、逆にc3がこれの
符号を反転した値であったとすると、補正用データ取得
試料11Bについてはたまたまc2*S11M+c3*S22M
の各項がお互いに打ち消しあってそれらしいS11Dの補
正結果が得られる可能性がある。そうすると、補正用デ
ータ取得試料11B以外の試料(測定対象電子部品11
A)では極端に大きなまたは小さな誤った値としてS
11Dが推定されてしまう。
【0127】このような不都合を回避するためには、補
正用データ取得試料11Bの特性に一次従属で表現不可
能な組合せのものを含めれば良い。S11とS22の例でい
えば、一次従属はS11増加,S22増加という場合と、S
11増加,S22減少という場合が考えられ、一次従属はこ
れらのいずれかの場合となる。そのため、一次従属を回
避するためには、補正用データ取得試料11Bとして、 (1)S11増加,S22増加、 (2)S11増加,S22減少、 の両方の場合が生じる様に組み合わせておけば良い。
【0128】同様に、 (3)S11減少,S22増加、 (4)S11減少,S22減少、 を含めればS22側から考えても一次従属は起こり得な
い。
【0129】相互関係式(A6a)〜(A6d)式か
ら、一次従属が起こる特性の組合せとして、S11とS22
以外に、S11*S22とS21*S12の組合せがある。その
ため、これらの組合せについても、上述したのと同様の
点に注意して補正用データ取得試料11Bの特性設計を
すればよい。
【0130】以下、本実施形態の測定誤差補正方法によ
り補正方法を具体的に説明する。
【0131】用意した6個の補正データ取得試料11B
1〜6が、基準測定装置1に搭載される。そして、各試料
11B1〜6の電気特性が各周波数ポイント毎に測定され
る。ここで、補正データ取得試料11B1〜6に対応する
SAWフィルタは高周波用の電子部品であり、ここで測
定する電気特性は、順方向散乱係数S11,順方向散乱係
数S21,逆方向散乱係数S12,逆方向散乱係数S22からな
るSパラメータとなる。
【0132】これら基準測定装置1における補正データ
取得試料11B1〜5のSパラメータを測定した結果(S
11 n*,S21 n*,S12 n*,S22 n*:nは1から6の自然数)
が、実測測定装置2の図示しないデータ入力部を介して
実測測定装置2に予め入力されている。入力された基準
測定装置1の測定結果(S11 n*,S21 n*,S12 n*,
22 n *)は、制御部本体22を介してメモリ23に記憶
されている。
【0133】一方、実測測定装置2においても、同様
に、補正データ取得試料11B1〜6が基準測定装置2に
搭載される。そして、各試料11B1〜6の電気特性が各
周波数ポイント毎に測定される。
【0134】実測測定装置2による補正データ取得試料
11B1〜6のSパラメータの測定結果(S11 nM,S21 nM,
12 nM,S22 nM:nは1から6の自然数)は、制御部本
体2を介して相互関係式算定手段24に入力される。
【0135】相互関係式算定手段24は、実測測定装置
2による補正データ取得試料11B 1〜6の測定結果(S
11 nM,S21 nM,S12 nM,S22 nM)が入力されると、制御部
本体22を介してメモリ23から、基準測定装置1で測
定した補正データ取得試料11B1〜6の測定結果(S11
n*,S21 n*,S12 n*,S22 n*)を読み出す。
【0136】相互関係式算定手段24は、測定結果(S
11 nM,S21 nM,S12 nM,S22 nM)と測定結果(S11 n*,S21
n*,S12 n*,S22 n*)とに基づいて、実測測定装置2によ
る測定結果と基準測定装置1による測定結果との間の相
互関係式を算定する。算定方法の詳細については、理論
数式(A1a〜A1d),(A2a〜A2d),(A3a
〜A3d)と、相互関係式(A4a〜A4d),(A5
a〜A5d),(A6a〜A6d),(A7a〜A7
d),(A8a〜A8d),(A9)とを参照して上述し
たのでここではその説明は省略する。
【0137】以上の準備工程を経たのち、実測測定装置
2のネットワークアナライザ本体20により測定対象電
気部品11Aの電気特性(SパラメータS11 M,S21 M,S
12 M,S22 M)を測定する。測定対象電気部品11Aの測
定結果は、制御部本体22を介して補正手段25に入力
される。
【0138】補正手段25は、測定対象電気部品11A
の測定結果が入力されると、制御部本体22を介してメ
モリ23から相互関係式を読み出す。補正手段25は、
読み出した相互関係式に測定対象電気部品11Aの測定
結果である電気特性(SパラメータS11 M,S21 M,S12 M,
22 M)を代入して計算する。これにより、補正手段2
5は、実測測定装置2における測定対象電気部品11A
の測定結果(電気特性)を、基準測定装置1により測定
した場合に得られると推定される電気特性(S 11 *,S21
*,S12 *,S22 *)に補正する。補正手段25は、算定し
た補正値を制御部本体22を介して外部に出力する。出
力は、図示しない表示部により表示出力してもよいし、
図示しないデータ出力部によりデータとして出力しても
よい。
【0139】なお、このような計算処理は、上述したよ
うに、ネットワークアナライザ3Bに内蔵された制御部
21により行ってもよいし、ネットワークアナライザ3
に接続された外部コンピュータに対して測定結果を出力
してこの外部コンピュータにより行ってもよい。
【0140】実測測定装置2(実測測定治具5B)で測
定した測定対象電子部品11A(2ポート)の電気特性
を、本実施形態の2ポート相対補正法により補正した結
果の具体例を図8〜図10を参照して説明する。
【0141】ここでは、基準測定治具5Aとして、いわ
ゆるユーザー保証基板に導電ゴムを敷いたものを用い
た。実測測定治具5Bとして、基準測定治具5Aに2p
Fのコンデンサを取り付けて故意に大きな誤差要因を生
じさせたものを用いた。補正用データ取得試料11Bに
はアイソレータのパッケージにチップ抵抗を取り付けた
ものを用いた。図8は、順方向の散乱係数の補正結果を
示し、図9は、順方向の散乱係数の補正結果の部分拡大
図を示し、図10は逆方向の散乱係数の補正結果を示し
ている。
【0142】これらの図で明らかなように、本実施形態
の補正方法を実施すれば、実測測定装置2(実測測定治
具5B)と基準測定装置1(基準測定治具5A)との間
の大きな測定値差異をほぼ正確に補正している事が理解
される。つまり、グラフ中の「実測測定治具測定値」を
もとに相対補正法によって「補正結果」を得たわけであ
るが、これが「基準測定治具測定値」に一致すれば補正
は正常に行なわれていることを示しており、事実この様
になっている。さらには、部分拡大である図9を参照し
ても、ほぼ正確に補正できているものの明らかである。
【0143】また、この測定データによれば、次の点も
注目できる。すなわち、補正用データ取得試料11Bは
全て抵抗器で構成されているので明らかに非方向性デバ
イスなのであるにも関わらず、アイソレータのような明
らかな方向性を有する測定対象電子部品11Aの相対補
正も精度高く実施することができる点である。これは、
次のような理由によっている。すなわち、上述した(A
9)式中でS21とS12とが一時結合の関係に無いために
方向性デバイスを補正用データ取得試料11Bとするま
でも無く相対補正係数を全て同定することが可能であ
る。これにより、非方向性デバイスからなる測定対象電
子11Aの相対補正も精度高く実施することができる。
【0144】このことは次のような利点を生む。すなわ
ち、広帯域な方向性デバイスからなる補正データ取得試
料11Bを製作する事は非常に困難であり、この様な補
正用データ取得試料を必要としないことは相対補正法を
実際に実施する上で非常に重要となる。もっとも、前述
したように、測定誤差に弱くなる傾向があるので、実際
には測定対象電子部品11Aがアイソレータのように強
い方向性を有する場合は、当該デバイス自体の1つを補
正データ取得試料11Bとして使用することができる。
【0145】以上は、不平衡2ポートの測定系において
本実施形態を実施した場合における説明である。次に、
不平衡1ポートの測定系において本実施形態を実施した
場合の説明を行う。
【0146】まず、各測定系(基準測定装置1および実
測測定装置2)の誤差要因を図11に示される信号伝達
形態によってモデル化する。なお、図11に示す信号伝
達形態は、一般的に用いられている1ポート誤差モデル
と同様である。
【0147】この信号伝達形態において、誤差要因が全
て同定されていたとすると、補正データ取得試料11B
の測定値S11Mからその散乱係数の真値S11Aは次の理論
数式(A10a),(A10b)によって求められる。
なお、理論数式(A10a),(A10b)は、図11
の信号伝達形態を基に式を組み立てれば導き出すことが
できる。
【0148】
【数23】 さて、散乱係数の真値が(S11A)である補正データ取得
試料11Bを測定したとしたとき、基準測定装置1では
散乱係数S11Dが、実測測定装置2では散乱係数S11M
それぞれ測定されるとする。
【0149】ここで、補正データ取得試料11Bの散乱
係数の真値S11Aおよび、基準測定装置1(基準測定冶
具5A)・実測測定装置2(実測測定冶具5B)の誤差
要因の値を具体的に知ることは実際には不可能である。
一方、基準測定装置1における測定値S11Dや実測測定
装置2におけ測定値S11Mは実測によって知ることので
きる値である。
【0150】本実施形態における相対補正法の目的は、
実測測定装置2の測定値から基準測定装置1の測定値を
求めることである。
【0151】理論数式(A10a)と理論数式(A10
b)とを比較すると、左辺は、同じ散乱係数の真値S
11Aである。そのため、これらの理論数式(A10a),
(A10b)から次の式(A11)式が導き出せる
【0152】
【数24】 さらに、(A11)式を、S11Dに関して整理すること
で、次の相互関係式(A12)を導き出せる。相互関係
式(A12)は、実測測定装置2による測定結果と基準
測定装置1による測定結果との間の関係を示す式であ
る。
【0153】
【数25】 相互関係式(A12)において、基準測定装置1(基準
測定冶具5A)の誤差要因を全く誤差の無い測定系の場
合の値とする、つまり、a'=0,b'=0,c'=0にす
ると、相互関係式(A12)は、次の式(A13)とな
る。この式(A13)は、理論数式(A10a),(A
10b)に一致する。このことから、一般に行われてい
る1ポート補正法等の補正方法は本実施形態における相
対補正法の特殊な場合(基準冶具が理想的である場合)に
相当することが理解される。
【0154】
【数26】 相互関係式(A12)を詳細に見てみると、相互関係式
(A12)を構成する(−aa'c'+aa'c+ab'+
a'b), (c−c'),(−ac'+ac−b)等は、そ
れぞれ一つの未定係数として置き換えることができる。
そこで、これらを、それぞれ未定係数α,β,γに置き換
えると、相互関係式(A12)は、次の相互関係式(A
14)に整理することができる。
【0155】
【数27】 さらに、この相互関係式(A14)には、α,β,γの3
つの未知数が存在していることから、3個の補正データ
取得試料を準備してそれぞれの特性を測定すれば、これ
らを特定できる。そして、2ポートの場合の場合と同様
の符号を用いれば、次の相互関係式(A15a〜A15
c)を導き出すことができる。
【0156】
【数28】 相互関係式(A15a〜A15c)に基づけば、3個の
補正データ取得試料11B1〜3を準備してそれぞれの特
性を測定すれば、相互関係式(A14)の未定係数(相
対補正係数)α,β,γを特定することができる。
【0157】以上のようにして未定係数を特定したのち
に行う実際の測定値補正操作は、2ポート測定系におけ
る補正操作と同様であるので、その説明は省略する。
【0158】実測測定装置2(実測測定治具5B)で測
定した測定対象電子部品11A(1ポート)の電気特性
を、本実施形態の2ポート相対補正法により補正した結
果の具体例を図12を参照して説明する。
【0159】図12により明らかなように、本実施形態
の補正方法を実施すれば、1ポートの電子部品であって
も、実測測定装置2(実測測定治具5B)と基準測定装
置1(基準測定治具5A)との間の大きな測定値差異を
ほぼ正確に補正している事が理解される。つまり、グラ
フ中の「実測測定治具測定値」をもとに相対補正法によ
って「補正結果」を得たわけであるが、これが「基準測
定治具測定値」に一致すれば補正は正常に行なわれてい
ることを示しており、事実この様になっている。
【0160】以上説明した本実施形態の測定結果の補正
方法によれば、次のような効果がある。すなわち、電子
部品メーカーでその電子部品の特性を保証する場合にお
いては、メーカー側に設けられた測定装置で測定した結
果に基づいて、その電気特性が保証される。しかしなが
ら、その電子部品を購入したユーザー側に設けられた測
定装置において、その電子部品の特性を測定したとして
も同等の測定結果が出るとは限らない。そのため、これ
では、メーカーが保証している特性を確認することがで
きず、その保証は再現性がなく不確実なものとなってし
まう。
【0161】これに対して、メーカー側の測定装置を基
準測定装置とし、ユーザー側の測定装置を実測測定装置
としたうえで本実施形態の測定誤差の補正方法を実施す
れば、メーカー側の測定結果と同等であると推定される
電気特性を、ユーザー側の実測測定装置における測定結
果に基づいてユーザー側で算出することができる。これ
により、メーカー側の実施する電子部品の保証を再現す
ることができて、十分に確実なものとなり、したがっ
て、ユーザーに受け入れられることが可能となる。
【0162】しかも、実測測定装置2の状態を厳密に検
査管理する(例えば、実測測定装置2の測定治具5の特
性を、基準測定装置1の測定治具5の特性と同等となる
ように調整管理する)ことなく上記補正が行えるので、
その分、測定に要するコストを抑えることができる。
【0163】さらには、ユーザー側においては、量産工
程中に多数設置される自動測定選別機を前記実測測定装
置として選定することも可能になるので、その分、さら
に測定に要するコスト(この場合には不良部品選別コス
ト)を抑えることができるうえに測定時間の短縮化を図
ることができる。
【0164】しかも、測定治具5A,5Bに起因する測
定誤差の補正のみならず、実測測定装置2全体の測定誤
差を同時に補正することができるので、実測測定装置2
においてフル2ポート補正法等のキャリブレーションを
実施する必要もなくなり、その分、さらに測定コストを
抑えることができる。
【0165】さらには、本実施形態の測定装置では、自
動測定選別機に対する組み込み性能や長寿命化を測定特
性の安定化より優先させた実測測定治具5Bを用いて
も、その測定結果に何ら影響は出ない。そのため、その
分、さらに測定に有するコストを抑えることができるう
えに、測定時間の短縮化を図ることができる。
【0166】第2の実施の形態 本実施形態では、表面実装型のSAWフィルタを測定対
象電子部品として、このSAWフィルタの電気特性を、
ネットワークアナライザを有する測定装置で測定する際
の測定誤差の補正方法において本発明を実施している。
本実施形態では、近似式相対補正方法によって測定値を
補正しており、この点だけが第1の実施の形態と異なっ
ている。したがって、測定装置1,2の構成や測定治具
5A,5Bの構成等については第1の実施の形態と同様
となっている。そのため、装置構成等については、第1
の実施の形態のものを準用することし、それらのついて
の説明は省略する。
【0167】以下、本実施形態の補正方法の詳細を説明
する。まず、複数(例えば5個)の補正データ取得試料
11B1〜5が用意される。そして、用意された補正デー
タ取得試料11B1〜5が、基準測定装置1に搭載され
る。そして、各試料11B1〜5の電気特性が各周波数ポ
イント毎に測定される。ここで、補正データ取得試料1
1B1〜5に対応するSAWフィルタは高周波用の電子部
品であり、ここで測定する電気特性は、順方向散乱係数
11,順方向散乱係数S21,逆方向散乱係数S12,逆方向
散乱係数S22からなるSパラメータとなる。
【0168】これら基準測定装置1における補正データ
取得試料11B1〜5のSパラメータを測定した結果(S
11 n*,S21 n*,S12 n*,S22 n*:nは1から5の自然数)
が、実測測定装置2の図示しないデータ入力部を介して
実測測定装置2に予め入力されている。入力された基準
測定装置1の測定結果(S11 n*,S21 n*,S12 n*,
22 n *)は、制御部本体22を介してメモリ23に記憶
されている。
【0169】一方、実測測定装置2においても、同様
に、補正データ取得試料11B1〜5を、基準測定装置2
に搭載する。そして、各試料11B1〜5の電気特性が、
各周波数ポイント毎に測定される。
【0170】実測測定装置2による補正データ取得試料
11B1〜5のSパラメータの測定結果(S11 nM,S21 nM,
12 nM,S22 nM:nは1から5の自然数)は、制御部本
体2を介して相互関係式算定手段24に入力される。
【0171】相互関係式算定手段24は、実測測定装置
2による補正データ取得試料11B 1〜5の測定結果(S
11 nM,S21 nM,S12 nM,S22 nM)が入力されると、制御部
本体22を介してメモリ23から、基準測定装置1で測
定した補正データ取得試料11B1〜5の測定結果(S11
n*,S21 n*,S12 n*,S22 n*)を読み出す。
【0172】相互関係式算定手段24は、基準測定装置
の測定値と前記実測測定装置の測定値との間の関係を近
似的に示す相互関係式と、未定係数算定式とを記憶して
いる。相互関係式は、次の一次式(B2)式から構成さ
れている。相互関係式(B2)は、未定係数(am,bm,
m,dm:mは0から4の整数)を有している。未定係
数算定式は次の(B1a)〜(B4d)式から構成され
ている。未定数算定式(B1a)〜(B4d)は、未定
係数(am,bm,cm,dm:mは0から4の整数)を算定
する式であって相互算定式(B2)に基づいて作成され
ている。
【0173】
【数1】
【0174】
【数2】 11 *,S21 *,S12 *,S22 *:基準測定装置1で測定した
場合に得られると推定可能な測定対象電子部品11Aの
Sパラメータ S11 M,S21 M,S12 M,S22 M:実測測定装置2で測定する
測定対象電子部品11AのSパラメータ 相互関係式算定手段24は、両者の測定結果であるSパ
ラメータ(S11 nM,S2 1 nM,S12 nM,S22 nM)とSパラメ
ータ(S11 n*,S21 n*,S12 n*,S22 n*)とを、未定係数
算定式(B1a)〜(B4d)式に代入することで、未
定係数(am,bm,cm,dm:mは0から4の整数)を確
定する。
【0175】相互関係式算定手段24は、確定したこれ
ら未定係数(am,bm,cm,dm)を相互関係式(B2)
に挿入することで、実測測定装置2による測定結果と基
準測定装置1による測定結果との間の相互関係式を確定
する。相互関係式は各周波数ポイント毎に確定される。
相互関係式算定手段24は、確定した相互関係式を、制
御部本体22を介してメモリ23に入力してここに記録
させる。
【0176】以上の準備工程を経たのち、実測測定装置
2のネットワークアナライザ本体20により測定対象電
気部品11Aの電気特性(SパラメータS11 M,S21 M,S
12 M,S22 M)を測定する。測定対象電気部品11Aの測
定結果は、制御部本体22を介して補正手段25に入力
される。
【0177】補正手段25は、測定対象電気部品11A
の測定結果が入力されると、制御部本体22を介してメ
モリ23から相互関係式を読み出す。補正手段25は、
読み出した相互関係式に測定対象電気部品11Aの測定
結果である電気特性(SパラメータS11 M,S21 M,S12 M,
22 M)を代入して計算する。これにより、補正手段2
5は、実測測定装置2における測定対象電気部品11A
の測定結果(電気特性)を、基準測定装置1により測定
した場合に得られると推定される電気特性(S 11 *,S21
*,S12 *,S22 *)に補正する。補正手段25は、算定し
た補正値を制御部本体22を介して外部に出力する。出
力は、図示しない表示部により表示出力してもよいし、
図示しないデータ出力部によりデータとして出力しても
よい。
【0178】なお、このような計算処理は、上述したよ
うに、ネットワークアナライザ3Bに内蔵された制御部
21により行ってもよいし、ネットワークアナライザ3
に接続された外部コンピュータに対して測定結果を出力
してこの外部コンピュータにより行ってもよい。
【0179】本実施形態の測定結果の補正方法によれ
ば、次のような効果がある。すなわち、電子部品メーカ
ーにおいて、その電子部品の特性を保証する場合におい
ては、メーカー側に設けられた測定装置で測定した結果
に基づいて、その電気特性が保証される。しかしなが
ら、その電子部品を購入したユーザー側に設けられた測
定装置において、その電子部品の特性を測定したとして
も同等の測定結果が出るとは限らない。そのため、これ
では、メーカーが保証している特性を確認することがで
きず、その保証は再現性がなく不確実なものとなってし
まう。
【0180】これに対して、メーカー側の測定装置を基
準測定装置とし、ユーザー側の測定装置を実測測定装置
としたうえで本実施形態の測定誤差の補正方法を実施す
れば、メーカー側の測定結果と同等であると推定される
電気特性を、ユーザー側の実測測定装置における測定結
果に基づいてユーザー側で算出することができる。これ
により、メーカー側の実施する電子部品の保証を再現す
ることができて、十分に確実なものとなり、したがっ
て、ユーザーに受け入れられることが可能となる。
【0181】しかも、実測測定装置2の状態を厳密に検
査管理する(例えば、実測測定装置2の測定治具5の特
性を、基準測定装置1の測定治具5の特性と同等となる
ように調整管理する)ことなく上記補正が行えるので、
その分、測定に要するコストを抑えることができる。
【0182】さらには、ユーザー側においては、量産工
程中に多数設置される自動測定選別機を前記実測測定装
置として選定することも可能になるので、その分、さら
に測定に要するコスト(この場合には不良部品選別コス
ト)を抑えることができるうえに測定時間の短縮化を図
ることができる。
【0183】しかも、測定治具5A,5Bに起因する測
定誤差の補正のみならず、実測測定装置2全体の測定誤
差を同時に補正することができるので、実測測定装置2
においてフル2ポート補正法等のキャリブレーションを
実施する必要もなくなり、その分、さらに測定コストを
抑えることができる。
【0184】さらには、本実施形態の測定装置では、自
動測定選別機に対する組み込み性能や長寿命化を測定特
性の安定化より優先させた測定治具を用いても、その測
定結果に何ら影響は出ない。そのため、その分、さらに
測定に有するコストを抑えることができるうえに、測定
時間の短縮化を図ることができる。
【0185】さらには、本実施形態の測定装置(近似式
相対補正法)では、非線形的な誤差を補正することがで
きる。
【0186】第3の実施の形態 本実施形態の測定誤差の補正方法を実施する装置構成
は、基本的には上述した第1,2の実施の形態と同様で
あり、同一ないし同様の部分には同一の符号を付し、そ
れらについての説明は省略する。
【0187】本実施形態では、第2の実施の形態と同様
の補正方法を実施するものの、補正を行う計算方法が若
干、第2の実施の形態と異なっている。本実施形態で
は、補正データ取得試料11Bとして、測定装置の測定
操作で発生する電気特性が互いに異なる15個の試料1
1B1〜15が用意される。
【0188】用意された15個の補正データ取得試料1
1B1〜15が、基準測定装置1と、実測測定装置2とに
搭載されてそのSパラメータが測定される。
【0189】相互関係式算定手段24は、基準測定装置
の測定値と前記実測測定装置の測定値との間の関係を近
似的に示す相互関係式と、未定係数算定式とを記憶して
いる。相互関係式は、次の二次式(C2a)〜(C2
d)式から構成されている。相互関係式(C2a)〜
(C2d)は、未定係数(aq,bq,cq,dq:qは0か
ら14の整数)を有している。未定係数算定式は、次の
(C1a)〜(C1d)式から構成されている。未定係
数算定式(C1a)〜(C1d)は、未定係数(a q,b
q,cq,dq:qは0から4の整数)を算定する式であっ
て、前記相互関係式(C2a)〜(C2d)に基づいて
作成されている。
【0190】
【数3】
【0191】
【数4】
【0192】
【数5】
【0193】
【数6】 11 p*,S21 p*,S12 p*,S22 p*:基準測定装置1で測定
した補正用データ取得試料11B1〜15のSパラメータ S11 pM,S21 pM,S12 pM,S22 pM:実測測定装置2で測定
した補正用データ取得試料11B1〜5のSパラメータ
【0194】
【数7】
【0195】
【数8】
【0196】
【数9】
【0197】
【数10】 11 *,S21 *,S12 *,S22 *:基準測定装置1で測定した
場合に得られると推定可能な測定対象電子部品11Aの
Sパラメータ S11 M,S21 M,S12 M,S22 M:実測測定装置2で測定する
測定対象電子部品11AのSパラメータ 相互関係式算定手段24は、測定結果(S11 p,S21 p,S
12 p,S22 p:pは1から15の自然数)を、未定係数算
定式(C1a)〜(C1d)に代入することで、未定係
数(aq,bq,cq,dq:qは0から14の整数)を確定
する。
【0198】相互関係式算定手段24は、確定したこれ
ら未定係数(aq,bq,cq,dq)を相互関係式(C2
a)〜(C2d)に挿入することで、実測測定装置2に
よる測定結果と基準測定装置1による測定結果との間の
相互関係式を確定する。相互関係式は各周波数ポイント
毎に確定される。相互関係式算定手段24は、確定した
相互関係式を、制御部本体22を介してメモリ23に入
力してここに記録させる。
【0199】以上の準備工程を経たのち、実測測定装置
2により測定対象電気部品11Aの電気特性が測定され
る。そして、その測定結果である電気特性(Sパラメー
タ)を上記相互関係式(C2a)〜(C2d)に代入し
て計算することで、実測測定装置2における測定対象電
気部品11Aの測定結果(電気特性)を、基準測定装置
1により測定した場合に得られると推定される電気特性
に補正する。
【0200】本実施形態においては、第2の実施の形態
と同様の効果を発揮するうえに、さらに次のような効果
を発揮する。すなわち、実測測定装置2がより複雑な誤
差を含むものであっても、精度高く補正することができ
る。これは、本実施形態では、2つの4次元空間の各点
を二次式で対応付けたものであるので、より複雑な対応
関係を正確に表現することが可能となることに起因して
いる。
【0201】第2の実施の形態においては、1次式の近
似式を用いた相対補正法により本発明を実施しており、
第3の実施の形態においては、二次式の近似式を用いた
相対補正法により本発明を実施している。しかしなが
ら、本発明はこのような実施態様に限定されるものでは
なく、任意のn次式の近似式を用いた相対補正法により
本発明を実施することができるのはいうまでもない。そ
して、高次式になればなるほど、算出に要する構成等が
複雑になるうえに算出時間も長時間化するものの、補正
精度は可及的に向上する。
【0202】さらには、任意のn次式の近似式を用いず
とも、推定精度の低下が許容できる範囲において式の項
を任意に省略してもよい。例えば、S21≒S12となる場
合には、S21とS12とのどちらかを含む項を省略しても
推定精度に与える影響は小さい。ちなみに、電気特性に
おいて信号伝播方向における方向性のない電子部品では
21=S12となる。このようにすれば、補正に必要なデ
ータ取得試料数を少なくすることができる。
【0203】なお、実際には、例え試料が対称的な電気
特性を有していたとしても、測定器の測定誤差によりと
は多少異なった値が測定される。そのため、S21やS12
としては、これらの平均値を用いることが望ましい。
【0204】このようにして式を簡略化した補正式は、
次の(D1)式と、(D2)式となる。(D1)式は、
上述した(B1a)式,(C1a)式に対応する式であ
る。なお、(B1b)〜(B1d)式,(C1b)〜
(C1d)式においても同様となるので、(B1b)〜
(B1d)式,(C1b)〜(C1d)式における簡略
化式は省略する。(D2)式は、上述した(B2)式,
(C2a)〜(C2d)に対応する式である。なお、
(D1),(D2)式における未定係数SA nMは、S 21 nM
とS12 nMとの平均値を示している(nは1から5の自然
数)。
【0205】
【数29】
【0206】
【数30】 本発明の第2,第3の実施の形態の測定誤差の補正方法
により、実測測定装置2の測定結果を実際に補正したデ
ータを図13,図14に示す。図13は、本発明の第2
の実施の形態の補正方法により実測測定装置2の測定結
果を補正したデータであり、図14は第3の実施の形態
の補正方法により実測測定装置2の測定結果を補正した
データである。これらのデータによれば、本発明の測定
誤差の補正方法により測定結果を補正すると、補正値が
その電気部品の電気特性の真値に可及的に近似すること
が確認できた。
【0207】また、図15,図16とは、Sパラメータ
の一つである順方向散乱係数S21の補正結果と実際にS
21を測定した測定結果とを示すグラフである。図15
は、第2の実施の形態の補正方法で補正した結果と実際
の測定結果とを示し、図16は第3の実施の形態の補正
方法で補正した結果と実際の測定結果とを示している。
【0208】図15に示すように、一次式を用いた第1
の実施の形態の補正方法で補正した結果は、実際の測定
結果とほとんど一致していることがわかる。さらには、
2次式を用いた第3の実施の形態の補正方法で補正した
結果は、実際の測定結果に対してさらに一致度が向上し
ていることがわかる。
【0209】第1〜第3の実施の形態の測定誤差の補正
方法は、次のような電子部品の良否判定方法において最
適に実施することができる。
【0210】判定対象とされる電子部品に設定された要
求特性が、基準測定装置によって測定した電気特性であ
ることがある。このような電子部品を、測定結果が基準
測定装置に一致しない実測測定装置により測定したうえ
で、その測定結果に基づいて良否判定を行う場合、判定
精度を高めることは容易ではない。
【0211】このような電子部品の判定方法において、
第1〜第3の測定誤差の補正方法を実施すれば、精度の
高い判定結果を得ることができる。
【0212】具体的には、実測測定装置によって測定し
た測定対象電子部品の電気特性を、第1〜第3の実施の
形態の測定誤差の補正方法によって補正し、この補正後
の電気特性と要求特性との比較結果に基づいて測定対象
電子部品の良否を判定する。そうすれば、補正後の電気
特性は、要求特性に対して一義的に比較できうる比較対
照となり、その比較結果に基づいた判定は、測定対象電
子部品の良否を精度高く判定したものとなる。
【0213】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
基準測定装置に対して測定結果が完全に一致しない実測
測定の測定結果を、基準測定装置の測定結果と同等に補
正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の測定誤差の補正方法を実施する測定
装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】 本発明の測定誤差の補正方法を実施する測定
装置を構成する測定治具の構成を示す平面図である。
【図3】本発明の測定誤差の補正方法を実施する測定装
置の構成を示すブロック図である
【図4】本発明の測定誤差の補正方法を実施する測定装
置を構成する補正データ取得試料および測定対象電気部
品の構成を示す裏面図である。
【図5】本発明の測定誤差の補正方法を実施する測定装
置を構成する補正データ取得試料の構成を示す平面図で
ある。
【図6】本発明の測定誤差の補正方法を実施する測定装
置を構成する補正データ取得試料の等価回路図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態の測定誤差の補正方
法を実施する際に用いる信号伝達形態(誤差モデル)の
一例である。
【図8】本発明の第1の実施の形態の測定誤差の補正方
法を実施して得られる補正データを示す表である。
【図9】本発明の第1の実施の形態の測定誤差の補正方
法を実施して得られる補正データを示す表である。
【図10】本発明の第1の実施の形態の測定誤差の補正
方法を実施して得られる補正データを示す表である。
【図11】本発明の第2の実施の形態の測定誤差の補正
方法を実施する際に用いる信号伝達形態(誤差モデル)
の一例である。
【図12】本発明の第1の実施の形態の測定誤差の補正
方法を実施して得られる補正データを示す表である。
【図13】本発明の第2の実施の形態の測定誤差の補正
方法を実施して得られる補正データを示す表である。
【図14】本発明の第3の実施の形態の測定誤差の補正
方法を実施して得られる補正データを示す表である。
【図15】本発明の第2の実施の形態の測定誤差の補正
方法を実施して得られる補正データと実際の測定結果と
を示すグラフである。
【図16】本発明の第3の実施の形態の測定誤差の補正
方法を実施して得られる補正データと実際の測定結果と
を示すグラフである。
【符号の説明】
1 基準測定装置 2 実測測定装置 3A,3B ネットワークアナライザ 4A,4B 同軸ケーブル 5A,5B 測定治具 6 同軸ケーブルコネクタ 7 絶縁基板 8a,8b 信号伝送路 8c〜8f 接地線路 9A,9B 同軸コネクタ 10 スルーホール接続部 11A 測定対象電子部品 11B 補正データ取得試料 12a,12b 伝送路端子 12c〜12f 接地端子 13 枠体 14a,14b 擬似伝送路端子 14c〜14f 擬似接地端子 15a〜15f 実装端子 16a〜16e 電気特性調整用素子 17A,17B 信号入出力端 20 ネットワークアナライザ本体 21 制御部 22 制御部本体 23 メモリ 24 相互関係式算定手段 25 補正手段

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測定対象電子部品の電気特性を、測定結
    果が基準測定装置に一致しない実測測定装置により測定
    したうえで、その測定値を、前記基準測定装置を用いて
    測定した場合に得られると推定される電気特性に補正す
    る測定誤差の補正方法であって、 予め、補正用データ取得試料として、測定操作により前
    記測定対象電子部品の任意の電気特性と同等の電気特性
    を発生させる補正用データ取得試料を用意する工程と、 前記補正用データ取得試料の電気特性を、前記基準測定
    装置と前記実測測定装置とによりそれぞれ測定する工程
    と、 前記実測測定装置による測定結果と前記基準測定装置に
    よる測定結果との間の相互関係式を求める工程と、 前記実測測定装置により測定した前記測定対象電気部品
    の電気特性を前記相互関係式に代入したうえで当該相互
    関係式を計算することで、前記測定対象電気部品の電気
    特性を、前記基準測定装置により測定した場合に得られ
    ると推定される電気特性に補正する工程と、 を含むことを特徴とする測定誤差の補正方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の測定誤差の補正方法に
    おいて、 前記相互関係式を求める工程は、 測定時における前記両測定装置の信号伝達形態を、測定
    誤差要因を含んで想定する手順と、 前記信号伝達形態における前記実測測定装置の測定値真
    値を求める理論数式と、前記信号伝達形態における前記
    基準測定装置の測定値真値を求める理論数式とを、それ
    ぞれ作成する手順と、 未定係数を含み前記基準測定装置の測定値真値と前記実
    測測定装置の測定値真値との間の関係を一義的に示す数
    式からなる前記相互関係式を、前記両理論数式に基づい
    て作成する手順と、 前記補正用データ取得試料の電気特性を、前記基準測定
    装置と前記実測測定装置とによりそれぞれ測定する手順
    と、 前記両測定装置で測定した前記補正用データ取得試料の
    電気特性の測定値を、前記相互関係式に代入すること
    で、前記未定係数を特定する手順と、 を含むことを特徴とする測定誤差の補正方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の測定誤差の補正方法に
    おいて、 前記相互関係式を求める工程は、 未定係数を含み前記基準測定装置の測定値と前記実測測
    定装置の測定値との間の関係を近似的に示すn次式(n
    は自然数)からなる前記相互関係式を作成する手順と、 前記補正用データ取得試料の電気特性を、前記基準測定
    装置と前記実測測定装置とによりそれぞれ測定する手順
    と、 前記相互関係式に基づいて未定係数算定式を作成したう
    えで前記両測定装置で測定した前記補正用データ取得試
    料の電気特性の測定値を、前記未定係数算定式に代入す
    ることで、前記未定係数を特定する手順と、 を含むことを特徴とする測定誤差の補正方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の測
    定誤差の補正方法において、 誤差補正の対象は前記測定対象電子部品が有する複数の
    電気特性であり、 前記補正用データ取得試料として、測定装置による測定
    操作により互いに異なる電気特性を発生させる複数の試
    料を用いる、 ことを特徴とする測定誤差の補正方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の測定誤差の補正方法に
    おいて、 前記誤差補正の対象となる電気特性は、前記測定対象電
    子部品のSパラメータであり、 各測定装置を構成する測定器は、ネットワークアナライ
    ザである、 ことを特徴とする測定誤差の補正方法。
  6. 【請求項6】 基準測定装置によって測定した場合の電
    気特性を要求特性とされる測定対象電子部品を、測定結
    果が前記基準測定装置に一致しない実測測定装置により
    測定し、その測定結果に基づいて良否判定を行う電子部
    品の良否判定方法であって、 前記実測測定装置によって測定した前記測定対象電子部
    品の電気特性を、請求項1ないし5のいずれかに記載の
    測定誤差の補正方法によって補正し、この補正後の電気
    特性と前記要求特性とを比較して前記測定対象電子部品
    の良否を判定する、 ことを特徴とする電子部品の良否判定方法。
  7. 【請求項7】 測定対象電子部品の電気特性を測定する
    測定手段を有するものの、その測定結果が基準測定装置
    と一致しない電子部品特性測定装置であって、 前記測定対象電子部品の任意の電気特性と同等の電気特
    性を発生させる補正用データ取得試料の電気特性を前記
    基準測定装置で測定した測定結果を記憶する記憶手段
    と、 前記測定手段により測定する前記補正用データ取得試料
    の電気特性と、前記記憶手段で記憶している基準測定装
    置による前記補正用データ取得試料の電気特性との間の
    相互関係式を算定する相互関係式算定手段と、 前記測定手段により測定する前記測定対象電気部品の電
    気特性を前記相互関係式に代入したうえで当該相互関係
    式を計算することで、前記測定対象電気部品の電気特性
    を、前記基準測定装置により測定した場合に得られると
    推定される電気特性に補正する補正手段と、 を有することを特徴とする電子部品特性測定装置。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の電子部品特性測定装置
    において、 前記相互関係式算定手段は、 測定時における前記両測定装置の信号伝達形態を、測定
    誤差要因を含んで想定する手段と、 前記信号伝達形態における前記実測測定装置の測定値真
    値を求める理論数式と、前記信号伝達形態における前記
    基準測定装置の測定値真値を求める理論数式とを、それ
    ぞれ作成する手段と、 未定係数を含み前記基準測定装置の測定値真値と前記実
    測測定装置の測定値真値との間の関係を一義的に示す数
    式からなる前記相互関係式を、前記両理論数式に基づい
    て作成する手段と、 前記補正用データ取得試料の電気特性を、前記基準測定
    装置と前記実測測定装置とによりそれぞれ測定する手段
    と、 前記両測定装置で測定した前記補正用データ取得試料の
    電気特性の測定値を、前記相互関係式に代入すること
    で、前記未定係数を特定する手段と、 を備えることを特徴とする電子部品特性測定装置。
  9. 【請求項9】 請求項7に記載の電子部品特性測定装置
    において、 前記相互関係式を求める手段は、 未定係数を含み前記基準測定装置の測定値と前記実測測
    定装置の測定値との間の関係を近似的に示すn次式(n
    は自然数)からなる前記相互関係式を作成する手段と、 前記補正用データ取得試料の電気特性を、前記基準測定
    装置と前記実測測定装置とによりそれぞれ測定する手段
    と、 前記両測定装置で測定した前記補正用データ取得試料の
    電気特性の測定値を、前記相互関係式に代入すること
    で、前記未定係数を特定する手段と、 を備えることを特徴とする電子部品特性測定装置。
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