JP2003240091A - ボールねじ装置 - Google Patents

ボールねじ装置

Info

Publication number
JP2003240091A
JP2003240091A JP2002042173A JP2002042173A JP2003240091A JP 2003240091 A JP2003240091 A JP 2003240091A JP 2002042173 A JP2002042173 A JP 2002042173A JP 2002042173 A JP2002042173 A JP 2002042173A JP 2003240091 A JP2003240091 A JP 2003240091A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ball
hardness
nut
ball screw
path
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002042173A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeru Okita
滋 沖田
Kazuo Miyaguchi
和男 宮口
Hiroaki Sekiya
礼明 関矢
Masahito Kato
将人 加藤
Yasumi Watanabe
靖巳 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2002042173A priority Critical patent/JP2003240091A/ja
Publication of JP2003240091A publication Critical patent/JP2003240091A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Transmission Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高回転速度で、耐久性が高いボールねじ装置
を提供する。 【解決手段】 ボールねじ装置1Aは、ねじ軸1と、ナ
ット2と、複数のボール8を含んでいる。互いに対向す
るねじ軸1のボールねじ溝1aと、ナット2のボールね
じ溝2aとによって、ボール転動路3が構成されてい
る。ナット2に、ボール転動路3の一部と他の一部とを
連通させる接続路6が設けられている。接続路6とボー
ル転動路3とによって、無端状に連通するボール循環路
7が構成されている。各ボール8は、ボール循環路7内
において無端状に配列されている。ボール転動路3を構
成するナット2のねじ溝2aと接続路6との接続部分に
ナット軌道面硬さの50%以上80%以下の硬さの低硬
度加工部11が形成されている。この低硬度加工部11
の粗さは0.2μmRa以下が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種の機器の送り
機構等に用いられるボールねじ装置に係り、特に高速回
転駆動されるボールねじ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のボールねじ装置は回転運動を直
線運動に変換する機械要素で、外周面にボールねじ溝が
形成されたねじ軸と、このねじ軸の外周に嵌合し、内周
面にねじ軸のボールねじ溝に対向するボールねじ溝が形
成されたナットとを備えている。
【0003】互いに対向するねじ軸のボールねじ溝とナ
ットのボールねじ溝とで螺旋状のボール転動路が構成さ
れ、このボール転動路の互いに離間した一部と他の一部
とがナットに設けられた接続路により接続されて互いに
連通し、これらボール転動路と接続路とで無端状のボー
ル循環路が構成され、このボール循環路内に鋼、セラミ
ック、樹脂等の材料で形成された多数のボールが無端状
に連続して配列するように収容されている。
【0004】そして、ねじ軸の回転動作時にその動力が
ねじ軸とナットとの間のボールを介してナットに伝達さ
れてナットがねじ軸の軸方向に移動し、この移動に応じ
て各ボールがボール循環路内を無限循環し、このような
ボールの無限循環によりねじ軸の回転に応じるナットの
軸方向の移動が円滑に精度よく行なわれるようになって
いる。
【0005】さらに図面を挙げて具体的に説明すると、
図7に従来のチューブ方式のボールねじ装置100の断
面が模式的に示されており、ねじ軸1の外周にナット2
が装着されている。ねじ軸1の外周面にはボールねじ溝
1aが形成され、ナット2の内周面にはねじ軸1のボー
ルねじ溝1aに対向する螺旋状のボールねじ溝2aが形
成されている。そして互いに対向するねじ軸1のボール
ねじ溝1aとナット2のボールねじ溝2aとで螺旋状の
ボール転動路3が構成されている。
【0006】ナット2の周壁には透孔4a,4bが形成
され、これら透孔4a,4bがチューブ5で接続されて
いる。このチューブ5はナット2の外周部に配置され、
その両端部が透孔4a,4b内に挿入されている。そし
てこれら透孔4a,4bとチューブ5とでボール転動路
3の互いに離れた一部と他の一部とを接続して連通させ
る接続路6が構成されている。
【0007】これによりボール転動路3が接続路6を介
して無端状に連通し、この無端状に連通する通路がボー
ル循環路7であり、このボール循環路7内に無端状に連
続して配列するように鋼、セラミック、樹脂等の材料で
形成された多数のボール8が収容され、これらボール8
がねじ軸1の回転時にボール循環路7内を転動して無限
循環するようになっている。
【0008】このボールねじ装置100において、ねじ
軸1に対してナット2が例えば矢印Rで示す方向に回転
すると、各ボール8は、ねじ溝1aに沿って矢印R方向
に転動する。ここでボール8の移動速度がナット2の回
転速度よりも遅いため、ナット2に対して各ボール8
は、チューブ5から一方の透孔4aを通ってナット2の
ねじ溝2aに向かって移動する。
【0009】このような、従来のボールねじ装置100
においては、ボール転動路3と接続路6との接続部分、
すなわちナット2のボールねじ溝2aと接続路6との境
界の部分が図7に示すように角部10となっており、こ
のためボール循環路7を循環するボール8のスムーズな
循環運動がその角部10により妨げられ、作動性や耐久
性が低下するという問題がある。
【0010】ボールねじ装置100に外部荷重が作用し
たとき、ねじ軸1のボールねじ溝1aとボール8との
間、及びナット2のボールねじ溝2aとボール8との間
のhertz接触と、ボール8自体の弾性変形により、
ねじ溝1a,2a間の距離が狭まった状態となる。この
状態を、この明細書では弾性接近と称し、この状態で、
無負荷圏であるチューブ5内から、負荷圏であるねじ溝
1a,2a間にボール8が入ることになる。ここで、ね
じ溝1a,2aの距離が狭まっていると、そのままでは
ボール8がねじ溝1a,2a間に入ることができないた
め、先行するボール8は、後続のボール8によって、無
理やり、押されることにより、ねじ溝1a,1b間に入
ることになり、ボール8が急激に圧縮される。
【0011】ボールに応力が集中したり、円滑に循環せ
ず詰まり易くなったり、場合によってはボールが損傷し
たり、摩耗し、ボールねじ装置の耐久性を低下させる原
因となっている。そこで、本発明者らは、特開平13−
141019号公報(以下、単に従来例と称す)に開示
したように、ボール転動路と接続路との接続部分の角部
を削り取ることによって、なめらかな形状に加工するこ
とを提案している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例では、ポール転動路と接続路との接続部分の角部を
削り取ることによって、なめらかな形状の加工処理部を
形成しているので、ボールをスムーズに循環させること
が容易となるが、加工処理部へのボールの衝突を完全に
防ぐことはできず、耐久性の向上効果が少ないという未
解決の課題がある。
【0013】そこで、本発明は、上記従来例の未解決の
課題に着目してなされたものであり、ボールをよりスム
ーズに循環運動させて作動性を良好に保ちながら高速で
の耐久性を向上させることができるボールねじ装置を提
供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、外周面にボールねじ溝を有するねじ軸と、
このねじ軸の外周に嵌合され、内周面にねじ軸のボール
ねじ溝に対向するボールねじ溝を有するナットと、互い
に対向するねじ軸のボールねじ溝とナットのボールねじ
溝とで構成されたボール転動路と、ナットに設けられ、
前記ボール転動路の一部と他の一部とを連通させた接続
路と、この接続路と前記ボール転動路とで構成された無
端状に連通するボール循環路と、このボール循環路内に
無端状に配列するように収容された複数のボールとを備
えるボールねじ装置において、前記ボール転動路と接続
路との接続部分に、前記ボール転動路の軌道面硬さの5
0%以上80%以下に設定した低硬度領域を形成するこ
とで、この低硬度領域でボールの衝突荷重を吸収する。
【0015】ここで、低硬度領域のボール接触面硬さが
ボール転動路の起動面硬さの50%未満であると、ナッ
トの寿命が低下し、80%を超えると同様にナットの寿
命が低下し、50%以上80%以下でナット寿命を長寿
命化することができる。また、低硬度領域の粗さが0.
2μmRaを超えると同様にナットの寿命が低下し、
0.2μmRa以下であるとナット寿命を長寿命化する
ことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施形態に
ついて、図1と図2を参照して説明する。図1は、本発
明の第1の実施形態に係るチューブ方式のボールねじ装
置1Aの要部を示し、図2はボールねじ装置1aの全体
斜視図を示している。図1及び図2に示すように、ねじ
軸1の外周にナット2が装着されている。ねじ軸1の外
周面にボールねじ溝1aが形成されている。ナット2の
内周面には、ねじ軸1のボールねじ溝1aに対向する螺
旋状のボールねじ溝2aが形成されている。そして互い
に対向するねじ軸1のボールねじ溝1aとナット2のボ
ールねじ溝2aとで、螺旋状のボール転動路3が構成さ
れている。
【0017】ナット2の周壁には透孔4a,4bが形成
され、これら透孔4a,4bがチューブ5で接続されて
いる。このチューブ5はナット2の外周部に配置され、
その両端部が透孔4a,4b内に挿入されている。そし
てこれら透孔4a,4bとチューブ5とでボール転動路
3の互いに離れた一部と他の一部とを接続して連通させ
る接続路6が構成されている。
【0018】これによりボール転動路3が接続路6を介
して無端状に連通し、この無端状に連通する通路がボー
ル循環路7である。このボール循環路7内に、無端状に
連続して配列するように鋼、セラミック、樹脂等の材料
で形成された多数のボール8が収容され、これらボール
8がねじ軸1の回転時にボール循環路7内を転動して無
限循環するようになっている。
【0019】このボールねじ装置1Aにおいて、ねじ軸
1に対してナット2が例えば矢印Rで示す方向に回転す
ると、各ボール8は、ねじ溝1aに沿って矢印R方向に
転動する。ここでボール8の移動速度がナット2の回転
速度よりも遅いため、ナット2に対して各ボール8は、
チューブ5から一方の透孔4aを通ってナット2のねじ
溝2aに向かって移動する。
【0020】ボール転動路3と接続路6との接続部分
は、通常のドリル加工では、図1で一点鎖線図示のよう
に、角部10が生じるが、本実施形態では、図1で実線
図示のように、その製作段階において角部10を削り取
る切削加工を行うことにより、平坦でかつ滑らかな形状
で、さらに硬度低下処理を行って硬さがナット2のねじ
溝2aのボール8が転動する軌道面硬さの50%以上8
0%以下に設定された低硬度加工部11を形成してい
る。
【0021】この低硬度加工部11は、切削加工として
はナット2のボールねじ溝2aと接続路6との境界の部
分に、ナット2の周方向に長さLにわたり、砥石等を用
いた面取り加工が施されると共に、硬度低下処理として
は焼入れ処理時の焼入れ硬さを低下させる焼入れ時硬度
低下処理と、焼入れ処理後に硬度を低下させる焼入れ後
硬度低下処理との何れかが行われる。
【0022】焼入れ時硬度低下処理は、例えばナット2
を浸炭や浸炭窒化処理により軌道面硬さを転がり疲労に
対して十分な硬さ(例えばビッカース硬度でHv680
〜800程度)を得る場合は、硬さを低下させたい低硬
度加工部11に防炭処理等を施し、浸炭や浸炭窒化によ
る炭素や窒素の固溶量を軌道面に比較して減らすこと
で、低硬度加工部11の硬さのみを低下させる。また、
ナット2を高周波焼入れで硬さを得る場合には、高周波
コイルや冷却方法を工夫することで、低硬度加工部11
の硬さのみを低下させることができる。
【0023】焼入れ後硬度低下処理は、予め低硬度加工
部11に多めの削り代を設けた状態で浸炭又は浸炭窒化
焼入れ処理を行った後に、削り代を削ることにより浸炭
層を削り取って低硬度加工部11を形成したり、専用の
高周波コイルを使うか、火炎等の加熱によって、任意の
焼入れ処理後の低硬度加工部11を焼き戻処理して硬度
を低下させる。
【0024】このように、低硬度加工部11の硬度を軌
道面硬度より低下させることにより、ボール8の衝突に
よる衝撃エネルギを現象させ、特に、衝突荷重が高くな
る高速回転域での耐久性を高めることができる。すなわ
ち、本発明者等は、高速回転速度域で使用されるボール
ねじ装置では、ボールが破損してしまう事例が多く、ボ
ールに剥離が発生し、剥離片噛込みにより、ボールねじ
装置の摩耗、破損に至ることに着目し、ボール剥離現象
を追求すべく、高速回転域で使用されるボールねじ装置
のボールに関して、残留応力が使用前後で変化した量を
測定した。この測定結果を図3に示す。
【0025】この図3から明らかなように、ボールは新
品時であってもピーニング処理や研削加工によって、表
面から深さ50μmの範囲で700〜900Mpa程度
の圧縮残留応力が存在する。さらに、ボールねじ装置で
使用後のボールはナット出入口にボールが衝突して、ボ
ールに加工応力が加わることで、新品時に加えさらに残
留圧縮応力が高くなる。
【0026】残留圧縮応力は、一般的に疲労強度等の機
械的性質や寿命に有効とされている。しかし、圧縮応力
が発生すると、バランスを取るための引張応力場が必ず
存在する。すると、「残留応力の発生と対策」(米谷茂
著、養賢堂、1981)第267頁に記載されているよ
うに「脆性破壊においては塑性変形が生じにくく残留応
力が緩和しにくい時、引張残留応力が存在していれば僅
かな外部応力で容易に降伏応力に達する」ことが知られ
ている。
【0027】つまり、脆性材料である焼入れした軸受鋼
ボールは衝突エネルギによりショットピーニングのよう
な効果で表面に残留圧縮応力が発生するが、応力バラン
スから引張応力場が存在し、材料が微視的に降伏応力に
達し、微細な亀裂(マイクロクラック)が発生してしま
うのである。さらに、図3から最表面から深さ30μm
の範囲では使用後の残留応力変化量が小さいことが分か
る。これは表面部に微細な亀裂が発生し、使用による残
留応力が開放されているためである。したがって、ボー
ルねじ装置の使用による残留応力の増加を少なくするた
めに、ボール転動路と接続路との接続部分の硬さを後述
するようにナット軌道面硬さの50%以上80%以下に
設定することが必要となる。
【0028】また、低硬度加工部11には、ボール8が
衝突するため、金属接触を起こすことになる。このた
め、場合によっては、滑りによるビーリングや凝着現象
が発生し、ボールねじの損傷を早めてしまう。そこで、
潤滑油膜により低硬度加工部11での金属接触を緩和す
るため、低硬度加工部11の粗さを良好にする必要があ
る。このためには、低硬度加工部11の粗さを後述する
ように0.2μmRa以下に設定する必要がある。 [実施例]本発明の効果を寿命試験によって確認した実
施例を示し、実施例の結果から、数値限定範囲の意義を
説明する。
【0029】本実施例で使用した寿命試験TPはJIS
1192に示されるボールねじで、予備番は25×10
×500−C5を用いた。試験機は日本精工株式会社製
のボールねじ耐久寿命試験機を用い、摩耗やはくり等の
破損が出るまでの試験時間を記録した。そして、ワイブ
ル関数分布により、10個の試験TPの内、短寿命側か
ら10%のボールねじ装置が寿命に達する時間を求め、
これを試験寿命とした。試験は通常の使用条件に対して
加速要因として、モーメント荷重と加速度による荷重が
加わっている。また、回転速度による影響を確認するた
めに種々の回転速度で実験を行った。
【0030】なお、試験結果は試験条件による基本動ラ
ジアル(又はアキシアル)定格荷重Cを動等価ラジアル
(又はアキシアル)荷重Pで除して算出されるL10計算
寿命(L10=(C/P)p p:指数)を算出し、この
計算寿命時間に対する試験時間の比であるL10寿命比で
示している。 試験条件 呼び番:日本精工株式会社ボールねじ25×10×500−C5(ボール径3 /16インチ) 試験機名:日本精工株式会社製ボールねじ耐久寿命試験機 試験荷重:アキシャル荷重=1960N モーメント荷重=2940N 加速度荷重=490〜1470N 最高回転数:300〜2000min-1 ストローク:300mm 潤滑グリース:アルバニアNo. 2(昭和シェル石油株式会社製) 上記耐久寿命試験結果を下記表1及び図4〜6に示す。
【0031】
【表1】
【0032】この表1において、低硬度加工部硬さ率と
は、低硬度加工部11を切断し、断面を磨き上げ、ビッ
カース硬さ計で硬さを計測し、ナット軌道面との硬さを
比較したもので、下記(1)式で表される。 低硬度加工部硬さ率=(軌道面硬さ[Hv]/接続部硬さ[Hv]×100[%] …………(1) 図4は、同一試験条件で低硬度加工部11の硬さ率の違
いによる寿命試験結果を示す。低硬度加工部硬さ率が5
0%未満であるときにはL10寿命比が1未満となり、硬
さが低すぎて衝撃荷重に対して十分な寿命が得られず、
低硬度加工部11が破損してしまう。また、低硬度加工
部硬さ率が80%を超えると、同様にL 10寿命比が1未
満に低下し、硬さが高すぎて衝撃荷重によりボールに必
要以上の残留応力が発生し、ボールが破損してしまう。
【0033】したがって、低硬度加工部11の硬さ率は
10寿命比が“2”を超える50%以上80%以下が長
寿命となる。また、低硬度加工部11の硬さ率が55%
以上70%以下で長寿命が安定して得られることから、
55%以上70%以下がより好ましい。しかも、L10寿
命比は回転速度が500min-1である場合より100
0min-1の方が大きな値となる。
【0034】図5は低硬度加工部11の硬さ率が59〜
61%の条件で、加工精度(粗さ)の違いを比較した結
果である。同じ低硬度加工部11の硬さ率でも粗さが悪
くなると、長寿命効果が減少することが分かる。したが
って、低硬度加工部11の粗さは0.2μmRa以下で
あることがより好ましい。図6に低硬度加工部11の硬
さ率が59〜61%の条件で且つ低硬度加工部11の粗
さが0.2μmRa以下の条件で試験を行った場合の試
験回転数とL10寿命比との関係を示す。この図6から、
低硬度加工部11の硬さ率を下げる効果は衝突荷重が高
くなる高回転速度域で、その効果が高いことが分かる。
したがって、望ましくは本実施形態のボールねじ装置を
1000min-1以上の高回転速度で適用し、1500
min-1以上での適用がより好ましい。
【0035】このような構成においては、ボール転動路
3と接続路6とが低硬度加工部11を介して滑らかに連
続すると共に、この低硬度加工部11の硬さがナット軌
道面硬さに対して50%以上80%以下に設定されてい
るので、製作されたボールねじ装置1Aの作動初期段階
からボール8がボール循環路7をスムーズに循環すると
共に、ボール8が低硬度加工部11に衝突しても、低硬
度加工部11やボール8の破損を防止して、両者の長寿
命化を図ることができる。このため、ボールねじ装置1
Aの作動初期段階からボール8やボール循環路7の摩耗
がほとんど生じることがなく、作動性が良好に保たれ、
耐久性も高めることができる。
【0036】なお、上記実施形態においては、ボール転
動路3と接続路6との間に角部に面取り加工を施して平
坦な低硬度加工部11を形成する場合について説明した
が、これに限定されるものではなく、低硬度加工部11
を円弧状に形成したり、図1で一点鎖線図示のように、
ボール転動路3と接続路との間に角部を残し、この角部
を低硬度化することにより、低硬度加工部とするように
してもよい。要するに、本発明のボールねじ装置は、ナ
ット2に設ける接続路とボールねじ溝との間にナット軌
道面硬さより低い硬さの低硬度加工部を形成するように
すればよいものである。
【0037】また、上記実施形態においては、本発明を
チューブ5によって接続路6を構成するチューブ方式の
ボールねじ装置に適用した場合について説明したが、こ
れに限定されるものではなく、接続路用のこまを用いる
内部循環式のボールねじ装置や、エンドキャップに接続
路を形成したボールねじ装置にも同様に適用することが
可能である。
【0038】さらに、上記実施形態においては、ボール
8同士が接触しながら転動する場合について説明した
が、これに限定されるものではなく、隣接するボール8
間にセパレータを介装する場合にも本発明を適用するこ
とができ、この場合にはセパレータを介装することで、
ボールねじ装置の耐久性に加え、作動性や音響特性を改
善することができる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ボール転動路と接続路との接続部分に軌道面硬さの50
%以上80%以下の硬さの低硬度領域を形成したので、
この低硬度領域に高速でボールが衝突したときの衝突エ
ネルギを吸収し、ボールに生じる残留応力を低下させる
と共に、低硬度領域の耐久性を向上させて、高回転速度
で使用されるボールねじ装置を長寿命化することができ
るという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るボールねじ装置
の一部を示す断面図である。
【図2】本発明のボールねじ装置の全体の外観を示す斜
視図である。
【図3】ボールの表面からの深さと残留応力変化量との
関係を示すグラフである。
【図4】低硬度処理部硬さ比とL10寿命比との関係を示
すグラフである。
【図5】低硬度処理部粗さとL10寿命比との関係を示す
グラフである。
【図6】回転速度とL10寿命比との関係を示すグラフで
ある。
【図7】従来のボールねじ装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1A…ボールねじ装置 1…ねじ軸 1a…ねじ溝 2…ナット 2a…ねじ溝 3…ボール転動路 5…チューブ 6…接続路 7…ボール循環路 8…ボール 10…角部 11…低硬度加工部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 関矢 礼明 群馬県前橋市鳥羽町78番地 日本精工株式 会社内 (72)発明者 加藤 将人 群馬県前橋市鳥羽町78番地 日本精工株式 会社内 (72)発明者 渡辺 靖巳 群馬県前橋市鳥羽町78番地 日本精工株式 会社内 Fターム(参考) 3J062 AB22 AC07 BA16 BA17 BA25 BA26 CD06 CD43

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周面にボールねじ溝を有するねじ軸
    と、このねじ軸の外周に嵌合され、内周面にねじ軸のボ
    ールねじ溝に対向するボールねじ溝を有するナットと、
    互いに対向するねじ軸のボールねじ溝とナットのボール
    ねじ溝とで構成されたボール転動路と、ナットに設けら
    れ、前記ボール転動路の一部と他の一部とを連通させた
    接続路と、この接続路と前記ボール転動路とで構成され
    た無端状に連通するボール循環路と、このボール循環路
    内に無端状に配列するように収容された複数のボールと
    を備えるボールねじ装置において、 前記ボール転動路と接続路との接続部分に、前記ボール
    転動路の軌道面硬さの50%以上80%以下に設定した
    低硬度領域を形成したことを特徴とするボールねじ装
    置。
  2. 【請求項2】 前記低硬度領域は、粗さが0.2μmR
    a以下に設定されていることを特徴とする請求項1記載
    のボールねじ装置。
JP2002042173A 2002-02-19 2002-02-19 ボールねじ装置 Pending JP2003240091A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002042173A JP2003240091A (ja) 2002-02-19 2002-02-19 ボールねじ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002042173A JP2003240091A (ja) 2002-02-19 2002-02-19 ボールねじ装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003240091A true JP2003240091A (ja) 2003-08-27

Family

ID=27782374

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002042173A Pending JP2003240091A (ja) 2002-02-19 2002-02-19 ボールねじ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003240091A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006132638A (ja) * 2004-11-04 2006-05-25 Tsubaki Emerson Co ボールねじ及びそれを用いた電動シリンダ
CN109421793A (zh) * 2017-08-28 2019-03-05 株式会社捷太格特 滚珠丝杠装置及其制造方法、具备该装置的转向装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006132638A (ja) * 2004-11-04 2006-05-25 Tsubaki Emerson Co ボールねじ及びそれを用いた電動シリンダ
CN109421793A (zh) * 2017-08-28 2019-03-05 株式会社捷太格特 滚珠丝杠装置及其制造方法、具备该装置的转向装置
JP2019039519A (ja) * 2017-08-28 2019-03-14 株式会社ジェイテクト ボールねじ装置、ボールねじ装置の製造方法及びボールねじ装置を備えたステアリング装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7685717B2 (en) Method for manufacturing a bearing raceway member
US8210754B2 (en) Radial roller bearing having hollow rollers
US20130220047A1 (en) Ball Screw
JP5130886B2 (ja) 転がりねじ装置及びその製造方法
JPH05157146A (ja) 車両用ベルト式無段変速機
KR20010082238A (ko) 베어링 부품 소재
JP3752577B2 (ja) 機械部品の製造方法
JP4186568B2 (ja) 転がり軸受及び転がり軸受の内輪の製造方法
JP2003240091A (ja) ボールねじ装置
WO2006126452A1 (ja) ボールねじ、運動案内装置
JP2003329048A (ja) 軸受軌道部材の製造方法
JP2008298237A (ja) ボールねじ
JP2007239072A (ja) 転動部材の製造方法および転がり軸受の製造方法
JP2013113423A (ja) ボールねじ、射出成形機
JP2003269567A (ja) ボールねじ装置
JP2005090570A (ja) ボールねじナットおよびその製造方法
JP3506853B2 (ja) ボールねじ
JP3997743B2 (ja) ボールねじ装置
JP2007284723A (ja) 自動車電装・補機用転動部材および自動車電装・補機用転がり軸受
JP2006111971A (ja) 機械部品
JPH03173714A (ja) グリース封入軸受用鋼球
JPH04203549A (ja) ボールねじ
JP2003329034A (ja) 回転支持装置
JP2004044787A (ja) 軸受軌道部材の製造方法
JP5741536B2 (ja) ボールねじ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20050216

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Effective date: 20080225

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20080318

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080708