JP2003240043A - 粘性流体封入ダンパ - Google Patents

粘性流体封入ダンパ

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JP2003240043A
JP2003240043A JP2003052048A JP2003052048A JP2003240043A JP 2003240043 A JP2003240043 A JP 2003240043A JP 2003052048 A JP2003052048 A JP 2003052048A JP 2003052048 A JP2003052048 A JP 2003052048A JP 2003240043 A JP2003240043 A JP 2003240043A
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film
damper
viscous fluid
flexible film
resin film
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Application number
JP2003052048A
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English (en)
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Takeaki Yoshikawa
武明 吉川
Shigenori Daimaru
重徳 大丸
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Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】構造が簡単で薄型且つコンパクトであり、減衰
特性にも優れた粘性流体封入ダンパを提供する。 【解決手段】可撓性フィルム18を袋状に閉じて容器2
0となし内部に粘性流体22を封入するとともに、可撓
性フィルム18に取付部材24を設けて本体機構部ユニ
ット10と支持プレート12とに固定し、そしてそれら
が相対変位したとき全体的に形状変化して内部の粘性流
体22を流動させることにより振動減衰するフィルムダ
ンパ16を、粘性流体を充填した状態より可撓性フィル
ムの面に対し直角方向に引張って厚みを厚くした状態で
支持部材及び被支持部材間に取り付ける。また可撓性フ
ィルム18を異なる材質の樹脂フィルム18A,18
B,18Aを3層積層して構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は粘性流体を内部に
封入して成る粘性流体封入ダンパに関し、詳しくは可撓
性フィルムを袋状に閉じて容器となした形態の粘性流体
封入ダンパに関する。
【0002】
【従来の技術】車両等にCDプレーヤ等のディスクプレ
ーヤを搭載する場合、車両等の振動がそのままディスク
プレーヤの本体機構部ユニットに伝達されて音飛び等が
生ずるのを防止すべく、従来図12(A)に示している
ように、スプリング200を介して支持したディスクプ
レーヤの本体機構部ユニット202と支持部材(支持フ
レーム)204との間に、粘性流体封入ダンパ206を
介在させることが行われている。
【0003】図12(B)は、かかる粘性流体封入ダン
パ206として従来用いられているものの具体的な構造
を示したもので、図示のようにこの粘性流体封入ダンパ
206は、容器208とその内部に封入されたシリコー
ンオイル等の高粘性の粘性流体210とを有している。
【0004】ここで容器208は、底部212(厚みは
1.0mm)と、円筒形状の周壁部214(厚みは1.
0mm)と、薄肉の可撓部216(厚みは0.3mm)
と、その可撓部216の中心部において容器208内
部、即ち粘性流体210内部に突入する撹拌部218と
を有している。この撹拌部218には軸方向に挿入孔2
20が形成されており、そこに図12(A)に示してい
るように被支持部材としての本体機構部ユニット202
から突き出した金属等から成る剛性の軸体222が挿入
され、かかる軸体222を介して撹拌部218が被支持
部材(又は支持部材)に結合される。
【0005】この粘性流体封入ダンパ206は、粘性流
体210内部に突入した撹拌部218が支持部材と被支
持部材との相対変位に基づいて内部で遊動し、その際の
撹拌作用により即ち粘性流体210の粘性流動によりエ
ネルギー吸収し、振動伝達を遮断ないし抑制する。
【0006】この粘性流体封入ダンパ206の場合、撹
拌部218の変位に伴う粘性流体210の撹拌作用によ
り、つまりその粘性流動に基づいて振動吸収を行う関係
上、底部212,周壁部214等については変形をでき
るだけ抑制する必要がある。
【0007】そこで例えば図示の粘性流体封入ダンパ2
06の場合、底部212を硬質樹脂(例えばポリプロピ
レン樹脂)で構成し、また周壁部214については、外
周壁部214Aを例えばポリプロピレン樹脂等の硬質樹
脂で、また内周壁部214Bを可撓部216とともにゴ
ム,軟質樹脂等のエラストマにて且つそれらを厚肉に構
成している。
【0008】しかしながらこのような構造の粘性流体封
入ダンパ206は、可撓部216の中心部に撹拌部21
8を設けた上で、更にその撹拌部218に挿入孔220
を設けなければならないことと相俟って全体の形状が複
雑であり、製造コストが高くなるといった問題があっ
た。
【0009】加えてこの粘性流体封入ダンパ206は、
高減衰を得るために底部212,周壁部214等から成
る容器208の深さを深くする必要があり、このため必
然的に容器208の高さ、即ち粘性流体封入ダンパ20
6の高さ(図12(A)中h)が高くなってしまう上、
撹拌部218の自由な運動を確保するために軸体222
を一定寸法(図12(A)中l)に亘って外部に露出さ
せておかなければならず、この結果粘性流体封入ダンパ
206の取付スペースHの寸法が大きくなってしまう問
題があった。
【0010】近年、車載用ディスクプレーヤ,AV機器
等においては装置の小型化,薄型化が進んでおり、これ
に伴ってその防振支持をなす粘性流体封入ダンパ206
にも小型化,薄型化の要求が強まって来ているが、これ
に対して従来の粘性流体封入ダンパ206では対応する
のが難しくなって来ているのが実情である。
【0011】更に図12に示すような従来の粘性流体封
入ダンパ206は、撹拌部218が図中左右方向(又は
紙面に直角方向)に変位したときに特に減衰効果が高
く、図中上下方向に変位したときの減衰効果が相対的に
低いなど、減衰特性に方向性がある問題があり、また取
付けに際して軸体222を必要とするなどの問題があっ
た。
【0012】更に加えて従来の粘性流体封入ダンパ20
6の場合、剛性の底部212と周壁部214とで囲まれ
た定形の容器208内部での、撹拌部218の変位に基
づく粘性流体210の撹拌作用で減衰作用をなすため、
粘性流体210の有する減衰機能を十分に引き出すこと
が難しく、必然的に所要の減衰特性を持たせるために粘
性流体封入ダンパ206を大型化せざるを得ない問題が
あった。
【0013】このようなことから、本発明者は下記特許
文献1において可撓性フィルムを袋状に閉じて容器とな
し、粘性流体を内部に封入して成る形態の、実質的に不
定形をなす粘性流体封入ダンパ(フィルムダンパ)を提
案している。
【0014】このフィルムダンパによれば、図12に示
す従来の粘性流体封入ダンパ206の有する上記様々な
問題点を解決することができる。即ちこのフィルムダン
パの場合、従来のように撹拌部218の撹拌作用に基づ
いて粘性流体210を粘性流動させるものではなく、支
持部材及び被支持部材の相対変位に基づいて可撓性フィ
ルムを袋状に閉じてなる容器全体を変形させ、その容器
の変形により内部の粘性流体を強制的に粘性流動させる
ことで振動減衰を行うものであるため、従来のように撹
拌部218を設けたり、またその撹拌部218を長くし
たり、或いは容器208内部を深くしたりする必要がな
く、形状が簡単且つコンパクトであって粘性流体封入ダ
ンパ(フィルムダンパ)の取付スペースHの寸法が小さ
くてすみ、また取付用の剛性の軸体222も必要としな
い。
【0015】この結果ダンパを著しく小型化且つ薄型化
することができる。即ちこのようなフィルムダンパを用
いることで、従来小型化,薄型化の阻害要因であった撹
拌部218或いは軸体222を不要化でき、これによっ
て車載用ディスクプレーヤやAV機器等の装置の小型
化,薄型化に対し十分に対応することが可能となる。
【0016】
【特許文献1】特開平6−117473号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら本発明者
らがこの種形態のフィルムダンパ、即ち可撓性フィルム
を袋状に閉じてなる容器の内部に粘性流体を封入した形
態のダンパについて研究を行う中で、この形態のダンパ
にあっては、減衰特性や強度等が温度等の条件によって
変化し易い問題点のあることが判明した。
【0018】このダンパにあっては容器の変形に伴っ
て、即ち可撓性フィルムの可撓変形に伴って内部の粘性
流体を強制的に粘性流動させるものであるため、使用温
度が低くなれば相対的に可撓性フィルムの柔軟性が低下
してしまい、これに伴ってダンパの減衰特性が変化して
しまうなどダンパの減衰特性が温度等の条件で大きく左
右されてしまう。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の粘性流体封入ダ
ンパ(フィルムダンパ)はこのような課題を解決するた
めに案出されたものである。而して請求項1のものは、
可撓性フィルムを袋状に閉じて容器となし、内部に粘性
流体を封入するとともに該可撓性フィルムに支持部材及
び被支持部材への固定部を設けて成り、それら支持部材
と被支持部材とが相対変位したとき全体的に形状変化し
て内部の粘性流体を流動させることにより振動減衰する
粘性流体封入ダンパであって、該粘性流体封入ダンパ
は、前記粘性流体を充填した状態より前記可撓性フィル
ムの面に対して直角方向に引張って厚みを厚くした状態
で前記支持部材及び被支持部材間に取り付けてあること
を特徴とする。
【0020】請求項2のものは、請求項1において、前
記可撓性フィルムを異なる材質の樹脂フィルムを複数積
層して構成してあることを特徴とする。
【0021】請求項3のものは、請求項2において、柔
軟性に富んだ第1樹脂フィルムと、該第1樹脂フィルム
に対して相対的に柔軟性が劣る一方強度の強い第2樹脂
フィルムとを積層して前記可撓性フィルムを構成してあ
ることを特徴とする。
【0022】
【作用及び発明の効果】上記のように本発明は、粘性流
体封入ダンパを、粘性流体を充填した状態より可撓性フ
ィルムの面に対し直角方向に引張って厚みを厚くした状
態で支持部材及び被支持部材間に取り付けたもので、こ
れによりフィルムダンパの減衰特性を良好となすことが
できる。加えて可撓性フィルムを袋状に閉じて容器とな
し、その内部に粘性流体を封入して成るフィルムダンパ
にあって、その可撓性フィルムを異なる材質の樹脂フィ
ルムを複数積層して構成(請求項2)しておくことで次
の効果が得られる。
【0023】可撓性フィルムを樹脂フィルムの単層構造
となした場合、その樹脂フィルムとして柔軟性の高い材
料を用いることで低温領域、即ち常温よりも温度の低い
領域においても減衰特性を高く保持するといったことは
可能である。しかしながらそのような柔軟性に富んだ材
料は、逆に高温領域即ち常温よりも温度の高い領域にな
ると必然的に強度が弱くなり、耐久寿命の短いものとな
ってしまう。即ち実用に耐えないものとなってしまう。
一方強度の強い樹脂フィルムを用いて単層構造となした
場合、強度的には要求基準を満たすことができたとして
も、低温領域において良好な減衰特性を得ることが難し
い。
【0024】しかるに本発明に従って可撓性フィルムを
異なる材質の樹脂フィルムを複数積層した構造となして
おけば、それぞれ性質の異なる樹脂フィルムを用いるこ
とで、具体的には柔軟性に富んだ樹脂フィルムと、これ
に対して相対的に柔軟性が劣るものの強度の強い樹脂フ
ィルムとを併用することで(請求項3)、低温領域での
必要な柔軟性と、高温領域での可撓性フィルムの必要な
強度の相反する2つの特性をともに満たすことが可能と
なる。これによりフィルムダンパの有する固有の問題点
を上手く解決することができる。即ちこのような構成と
することによってフィルムダンパを車載用ディスクプレ
ーヤ,AV機器等のダンパ等として実用的に用い得るよ
うになる。
【0025】而してこのような薄型且つコンパクトなフ
ィルムダンパを実用に耐え得るものとなすことによっ
て、この種粘性流体封入ダンパの使用用途が大きく広が
るといった利点も得られる。具体的には、例えばパソコ
ン(パーソナルコンピュータ)のHDD装置(ハードデ
ィスクドライブ装置)等では、従来振動防止のために単
にゴムの薄肉シートを使用したりしているに過ぎず、或
いはディスク使用のデジタルビデオカメラ等では単にゴ
ムの塊を用いて防振支持しているに過ぎないが、本発明
のフィルムダンパはその全体形状が極めてコンパクトで
あり且つ極めて薄く構成できるため、これら装置用のダ
ンパとしても使用することが可能となる。或いはまた従
来の粘性流体封入ダンパでは対応することのできなかっ
た各種の小型精密機器のダンパとして適用することも可
能となる。
【0026】本発明においては、上記第1樹脂フィルム
としてL−LDPE樹脂(リニア低密度ポリエチレン樹
脂)フィルムを、また第2樹脂フィルムとしてCPP樹
脂(未延伸ポリプロピレン樹脂)フィルムを用いること
ができる。これらL−LDPE樹脂フィルム,CPP樹
脂フィルムは何れも延伸処理していない樹脂フィルムで
あって腰が弱く、柔軟性に富んでいる。
【0027】通常のプラスチック材料として用いられて
いる樹脂は一般的に延伸処理したものであって、本発明
のフィルムダンパ用の樹脂フィルムとしては腰が強過
ぎ、即ち柔軟性が乏しく、従って本発明のフィルムダン
パ用の樹脂フィルムとしては実際上使用することは困難
である。これに対してL−LDPE樹脂フィルム,CP
P樹脂フィルムは未延伸のものであって柔軟性に富んで
おり、フィルムダンパにおける可撓性フィルムの構成材
として好適なものである。
【0028】本発明では、樹脂フィルムを3層積層して
可撓性フィルムを構成することができる。或いはまた3
層以上の複数層を積層して可撓性フィルムを構成するこ
とができる。而してこれらの場合において断面の互いに
反対側の両面を形成する樹脂フィルムとして同材質の樹
脂フィルムを用いることができる。
【0029】樹脂フィルムから成る可撓性フィルムを袋
状に閉じ合せる際、ヒートシールを用いることができれ
ば容易に可撓性フィルムを袋状に閉じ合せることができ
て好都合であるが、この場合断面の反対側の両面を同じ
樹脂フィルムで構成しておくことで、ヒートシールによ
る熱融着を良好に行うことができる。尚このようなヒー
トシール以外の方法で閉じ合せるに際しても、互いに固
着すべき面が同材質から成っていることで良好に固着を
行うことができる。
【0030】本発明においては、上記可撓性フィルムの
厚みを0.01〜0.15mmの範囲内にしておくこと
が望ましい。その理由は、可撓性フィルムの厚みが0.
01mmよりも薄くなると可撓性は良好であるものの耐
久性が低くなり、また逆に0.15mmよりも厚みが厚
くなると、可撓性フィルム自体の柔軟性,可撓性が低下
し、ひいてはフィルムダンパの振動減衰特性が低下する
ことによる。
【0031】
【実施例】次に本発明を車載用ディスクプレーヤの防振
支持に適用した場合の実施例を図面に基づいて詳しく説
明する。図1において10はディスクプレーヤにおける
本体機構部ユニット(被支持部材)で、12は支持フレ
ーム(支持部材)である。本体機構部ユニット10は支
持フレーム12によりスプリング14を介して弾性支持
されている。
【0032】これら本体機構部ユニット10と支持フレ
ーム12との間には、本例の粘性流体封入ダンパ(以下
フィルムダンパとする)16が介挿されており、本体機
構部ユニット10と支持フレーム12とがフィルムダン
パ16を介して結合されている。尚この例では本体機構
部ユニット10の側面と支持フレーム12との間にフィ
ルムダンパ16が介挿されている。
【0033】図2にフィルムダンパ16の構成が具体的
に示してある。同図に示しているように本例のフィルム
ダンパ16は、可撓性フィルム18を袋状に閉じて容器
20となし、その内部に粘性流体22を封入した形態の
ものであって、相対する面に剛性(ここでは硬質樹脂
製)の取付部材(固定部)24が固着してある。尚この
例では可撓性フィルム18をヒートシールにて互いに接
合し袋状の容器20となしている。また一対の取付部材
24は熱溶着により可撓性フィルム18に固着してあ
る。
【0034】図2はフィルムダンパ16を車載用ディス
クプレーヤへの組付け前の状態で示しており、この状態
において本例のフィルムダンパ16はその形状が次のよ
うな形状、即ち図2(B)において一辺の長さLが1
5mmの正方形状をなしており、また容器20内部の形
状も同様の正方形状をなしている。上記取付部材24
は、可撓性フィルム18への固着部26と、径の細い首
部28と、これよりも径の大きな係合部30とを有して
おり、本例においては図2(A)に示しているようにそ
の固着部26の寸法φAが7.5mm、係合部30の寸
法φBが3mmとされている。
【0035】また可撓性フィルム18は、その厚み(図
2(A)中t)が30μmの極めて薄いものである。
即ち本例のフィルムダンパ16は極めて小さなものであ
り且つその厚みも極めて薄いものである。
【0036】本例のフィルムダンパ16は、可撓性フィ
ルム18を袋状に閉じてなる容器20内部に粘性流体2
2を充填した状態で厚さ2mmのものを、図2中上下方
向に引っ張って形状変形させ、その厚みを約4.5mm
(図1(B)中H)として図1に示す状態で本体機構部
ユニット10と支持フレーム12との間に介挿される。
具体的には、一対の取付部材24の一方を本体機構部ユ
ニット10に固定し、他方を支持フレーム12に固定し
て、それら本体機構部ユニット10と支持フレーム12
とをフィルムダンパ16を介して結合する。
【0037】本例のフィルムダンパ16の場合、実質的
に不定形のものであって3次元方向に均等に変形可能で
あり、本体機構部ユニット10と支持フレーム12とが
相対変位したとき、その変位方向にフィルムダンパ16
自身が全体的に変形する。厳密には、内部の粘性流体2
2を強制的に粘性流動させながら可撓性フィルム18か
ら成る容器20が、本体機構部ユニット10と支持フレ
ーム12との相対変位方向に追従して変形し、その際に
粘性流体22の粘性流動によるエネルギー吸収によって
振動を減衰する。
【0038】図3及び図4はこのフィルムダンパ16の
作用を模式的に表したものである。先ず図3は、本体機
構部ユニット10と支持フレーム12とが互いに離れる
方向(図中左右方向)に相対変位したときのフィルムダ
ンパ16の作用を表している。
【0039】図3(I)に示しているように、フィルム
ダンパ16に対しこれを左右に開く方向に本体機構部ユ
ニット10と支持フレーム12とが相対変位したとき、
容器20内部の粘性流体22が矢印で示しているように
図中上下の中心部に集まるように流動し、その流動を伴
ってフィルムダンパ16が左右に開く方向に変形を起こ
す。図3(II)はこのようにしてフィルムダンパ16が
図中左右方向に最も開いたときの状態を表している。
【0040】次にこの状態で本体機構部ユニット10と
支持フレーム12とが互いに接近すする方向(図中左右
方向)に相対変位すると、容器20内部の粘性流体22
が今度は逆に中心部から上方向又は下方向に向って流動
し、その流動を伴ってフィルムダンパ16が左右に閉じ
る方向に変形を起こし、最終的に図3(IV)の状態とな
る。これらの動きを通じて粘性流体22が自身の粘性流
動に基づいて効果的に外部から加わったエネルギーを吸
収し、振動減衰をなす。
【0041】一方図4はフィルムダンパ16に対し剪断
方向に力が加わったとき、即ち本体機構部ユニット10
と支持フレーム12とが図4中上下方向に相対変位した
ときのフィルムダンパ16の作用を表している。同図に
示しているようにこのときには容器20内部の粘性流体
22は、図中矢印で示しているように主として剪断方向
に流動して容器20の変形、即ちフィルムダンパ16の
変形を許容し、本体機構部ユニット10と支持フレーム
12との相対変位を吸収する。そしてその際に粘性流体
22の粘性流動に基づいて外部から加わったエネルギー
を吸収し振動を減衰する。
【0042】以上は本体機構部ユニット10と支持フレ
ーム12とが左右方向又は上下方向に相対変位した場合
を代表として示したもので、その他3次元的にあらゆる
方向に本体機構部ユニット10と支持フレーム12とが
相対変位した場合にも、粘性流体22の粘性流動を伴っ
て容器20、即ちフィルムダンパ16の変形が許容さ
れ、それら本体機構部ユニット10と支持フレーム12
との相対変位に追従変形する際のエネルギー吸収によっ
て振動減衰作用をなす。
【0043】図1(B),図2(A)の拡大図に示して
いるように、本例においては可撓性フィルム18が、C
PP樹脂フィルム18A(第2樹脂フィルム),L−L
DPE樹脂フィルム18B(第1樹脂フィルム),CP
P樹脂フィルム18Aの3層の積層構造を成している。
これらCPP樹脂フィルム18AとL−LDPE樹脂フ
ィルム18Bとは共押出成形により一体に成形されてい
る。
【0044】ここでCPP樹脂フィルム18Aは未延伸
のポリプロピレン樹脂フィルムであり、L−LDPE樹
脂フィルム18Bはリニヤ低密度ポリエチレン樹脂フィ
ルムで、高圧法低密度ポリエチレン樹脂フィルムに比べ
ポリマー分子の分枝の少ない未延伸樹脂フィルムであ
る。尚各樹脂フィルム18A,18B,18Aの厚みは
1:2:1(図2(A)中t:t:t)の比率で
あり、全体を合せた可撓性フィルム18の厚みtが前
述のように30μmである。
【0045】図6は可撓性フィルム18(CPP/L−
LDPE/CPP樹脂フィルムの積層体),単層のCP
P樹脂フィルム及び単層のL−LDPE樹脂フィルムに
ついて、温度を変化させたときの動的なヤング率(縦弾
性係数)の変化の程度を表したものである。尚フィルム
の厚みは何れも30μmである。図中aが可撓性フィル
ム18(積層体)を、bが単層のCPP樹脂フィルム
を、cが単層のL−LDPE樹脂フィルムをそれぞれ表
している。
【0046】図示のように単層のL−LDPE樹脂フィ
ルムは、−20℃から70℃までの温度範囲に亘って動
的なヤング率が低い値を示している。即ち高い柔軟性の
値を示している。従って単に減衰特性だけを考えるので
あれば、可撓性フィルム18を単層のL−LDPE樹脂
フィルムにて構成するのが良いことになる。しかしなが
ら単層のL−LDPE樹脂フィルムは、常温よりも高い
温度領域において動的なヤング率の低下とともに強度が
大きく低下してしまう。
【0047】一方単層のCPP樹脂フィルムは、常温よ
りも低い温度領域において単層のL−LDPE樹脂フィ
ルム対し相対的に動的なヤング率の値が大きく且つその
変化の程度も大きなものとなっている。一方でこのCP
P樹脂フィルムは、常温よりも高い温度領域において優
れた強度を保持する。
【0048】
【表1】
【0049】表1はこれら可撓性フィルム18(積層
体),CPP樹脂フィルム及びL−LDPE樹脂フィル
ム等について、温度を−20℃から70℃まで変化させ
たときの引張強度を示している。この表1から、CPP
樹脂フィルムの場合常温より高い温度領域で優れた引張
強度を示している。一方L−LDPE樹脂フィルムの場
合、常温よりも高い温度領域において引張強度が大きく
低下している。即ち可撓性フィルム18を単層のCPP
樹脂フィルム、或いは単層のL−LDPE樹脂フィルム
の何れで構成しても、フィルムダンパ16として必要な
特性を充足することができない。
【0050】これに対してCPP樹脂フィルム18Aと
L−LDPE樹脂フィルム18Bとの積層体から成る本
例の可撓性フィルム18の場合、それらCPP樹脂フィ
ルム18A及びL−LDPE樹脂フィルム18Bの欠点
を是正し長所を生かすことができる。即ちそれらを積層
して可撓性フィルム18を構成した場合、フィルムダン
パ16として必要な減衰特性,高温領域における強度の
何れの特性も満たすことができる。
【0051】因みに図6においてd,eはそれぞれHD
PE(高密度ポリエチレン)樹脂フィルム及びOPP
(延伸ポリプロピレン)樹脂フィルムにおける動的な柔
軟性の温度依存性を表している(尚図6中・・・2.E
+10,3.E+10,・・・は・・・1×10,1
×10,・・・を表している)。これらd,eとa,
b,cとの比較から明らかなように、CPP樹脂フィル
ム18AとL−LDPE樹脂フィルム18Bとを積層し
たものは、HDPE樹脂フィルム,OPP樹脂フィルム
単層に比べて柔軟性が大幅に高いものであることが理解
できる。
【0052】
【表2】
【0053】表2は、CPP樹脂フィルム18A,L−
LDPE樹脂フィルム18Bを積層して成る可撓性フィ
ルム18を用いて構成した本例のフィルムダンパ16の
振動特性を、単層のL−LDPE樹脂フィルムから成る
可撓性シート18を用いて構成したフィルムダンパ及び
図12に示す従来の形態の粘性流体封入ダンパ(2色ダ
ンパ)206との比較において示している。この表2に
示しているように、本例のフィルムダンパ16は振動特
性において図12に示す従来の形態の粘性流体封入ダン
パ206とほぼ同程度の特性を有している。
【0054】以上のような本例のフィルムダンパ16は
可撓性フィルム18として柔軟性に富んだL−LDPE
樹脂フィルム18B及びこれに対して相対的に柔軟性が
劣るものの強度の強いCPP樹脂フィルム18Aを積層
したものを用いることで、低温領域での必要な柔軟性と
高温領域での必要な強度の相反する2つの特性をともに
満たすことができる。
【0055】また本例のフィルムダンパ16はその全体
形状が極めてコンパクトであり且つ極めて薄く構成して
あるので、図5に従来の粘性流体封入ダンパ206と比
較して示しているようにその取付スペースHの寸法が小
さくてすみ、従来の粘性流体封入ダンパ206では対応
することのできなかった各種の小型精密機器のフィルム
ダンパ16として適用することができる。
【0056】また本例では3層の積層構造とした可撓性
フィルム18を、断面の反対側の両面を同じ材質の樹脂
フィルム、即ちCPP樹脂フィルム18Aで構成してい
るので、可撓性フィルム18を袋状に閉じ合せる際ヒー
トシールによる熱融着を良好に行うことができる。
【0057】尚、上例ではフィルムダンパ16における
容器20内部の形状を正方形状としているが、図7に示
しているようにこれを円形状とすること、或いはその他
の形状となすこともできる。
【0058】上記実施例では容器20に樹脂の取付部材
24を固着してこれを固定部となし、その取付部材24
にてフィルムダンパ16を本体機構部ユニット10又は
支持フレーム12に固定するようになしているが、図8
及び図9に示しているようにフィルムダンパ16に上記
取付部材24に代えて粘着剤層32を設け、その粘着剤
層32を固定部として、フィルムダンパ16を本体機構
部ユニット10又は支持フレーム12に固定するように
なすこともできる。尚粘着剤層32に代えて接着剤層を
用いることも可能である。
【0059】図8及び図9の実施例では、本体機構部ユ
ニット10の下面と支持フレーム12との間にフィルム
ダンパ16を介挿している。図10はこの場合において
フィルムダンパ16のための必要な取付スペースHの寸
法が小さくてすむことを、従来の形態の粘性封入ダンパ
206との比較において示したものである。
【0060】また図11に示しているように粘着剤層3
2にてフィルムダンパ16を本体機構部ユニット10又
は支持フレーム12に固定する場合において、容器20
内部の形状を図7の実施例と同様にこれを円形状となす
こと、或いはその他の形状となすことも可能である。
【0061】以上本発明の実施例を詳述したがこれはあ
くまで一例示である。例えば上例では車載用ディスクプ
レーヤの防振支持に適用した場合を例として説明した
が、本発明のフィルムダンパ16は様々な小型精密機器
への適用が可能であって、例えばパソコンのHDD装置
用のフィルムダンパとして、或いは小型ビデオカメラ用
のフィルムダンパ等として適用することができるなど、
様々なものへの用途を有するものである。
【0062】また上記L−LDPE樹脂フィルム18B
に代えて、場合によりEVA(エチレン・酢酸ビニル共
重合体)樹脂フィルムを用いたり、或いは他の様々な樹
脂フィルムを組み合せて可撓性フィルム18を構成する
といったことも可能である。尚、EVA樹脂フィルムは
上記L−LDPE樹脂フィルム18Bとほぼ同等の柔軟
性を有するものである。
【0063】また上例では、CPP/L−LDPE/C
PP樹脂フィルムの組合せにて積層体、つまり可撓性フ
ィルム18を構成しているが、場合によってL−LDP
E/CPP/L−LDPE樹脂フィルムの積層体にて可
撓性フィルム18を構成することも可能であるし、また
CPP/EVA/CPP樹脂フィルム,EVA/CPP
/EVA樹脂フィルムの組合せによる積層体にて可撓性
フィルム18を構成することも可能であるなど、本発明
はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた
形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のフィルムダンパをディスク
プレーヤの防振支持に用いた状態で示す図である。
【図2】図1のフィルムダンパの構成を具体的に示す図
である。
【図3】同じ実施例のフィルムダンパの作用説明図であ
る。
【図4】同じ実施例のフィルムダンパの図3とは異なる
作用説明図である。
【図5】同じ実施例のフィルムダンパの利点の説明図で
ある。
【図6】同じ実施例のフィルムダンパにおける可撓性フ
ィルムを構成する樹脂フィルムについての柔軟性の温度
依存性を表す図である。
【図7】本発明の他の実施例のフィルムダンパを示す図
である。
【図8】本発明の更に他の実施例のフィルムダンパをデ
ィスクプレーヤへの装着状態で示す図である。
【図9】同じ実施例のフィルムダンパの構成を具体的に
示す図である。
【図10】図8及び図9のフィルムダンパの利点の説明
図である。
【図11】本発明の更に他の実施例のフィルムダンパを
示す図である。
【図12】従来の粘性流体封入ダンパを示す図である。
【符号の説明】
10 本体機構部ユニット(被支持部材) 12 支持フレーム(支持部材) 16 フィルムダンパ(粘性流体封入ダンパ) 18 可撓性フィルム 18A CPP樹脂フィルム 18B L−LDPE樹脂フィルム 20 容器 22 粘性流体 24 取付部材(固定部) 32 粘着剤層(固定部)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可撓性フィルムを袋状に閉じて容器とな
    し、内部に粘性流体を封入するとともに該可撓性フィル
    ムに支持部材及び被支持部材への固定部を設けて成り、
    それら支持部材と被支持部材とが相対変位したとき全体
    的に形状変化して内部の粘性流体を流動させることによ
    り振動減衰する粘性流体封入ダンパであって、 該粘性流体封入ダンパは、前記粘性流体を充填した状態
    より前記可撓性フィルムの面に対して直角方向に引張っ
    て厚みを厚くした状態で前記支持部材及び被支持部材間
    に取り付けてあることを特徴とする粘性流体封入ダン
    パ。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記可撓性フィルム
    を異なる材質の樹脂フィルムを複数積層して構成してあ
    ることを特徴とする粘性流体封入ダンパ。
  3. 【請求項3】 請求項2において、柔軟性に富んだ第1
    樹脂フィルムと、該第1樹脂フィルムに対して相対的に
    柔軟性が劣る一方強度の強い第2樹脂フィルムとを積層
    して前記可撓性フィルムを構成してあることを特徴とす
    る粘性流体封入ダンパ。
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