JP2003238734A - ガスバリア性組成物及びそれを用いて形成したフィルム - Google Patents

ガスバリア性組成物及びそれを用いて形成したフィルム

Info

Publication number
JP2003238734A
JP2003238734A JP2002035847A JP2002035847A JP2003238734A JP 2003238734 A JP2003238734 A JP 2003238734A JP 2002035847 A JP2002035847 A JP 2002035847A JP 2002035847 A JP2002035847 A JP 2002035847A JP 2003238734 A JP2003238734 A JP 2003238734A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas barrier
composition
barrier layer
saccharide
starch
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002035847A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Matsumura
裕之 松村
Toshihide Maruyama
俊秀 丸山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daicel Chemical Industries Ltd filed Critical Daicel Chemical Industries Ltd
Priority to JP2002035847A priority Critical patent/JP2003238734A/ja
Publication of JP2003238734A publication Critical patent/JP2003238734A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高湿度条件下でも高い酸素ガスバリア性を有
するガスバリア性組成物、この組成物を用いたガスバリ
ア性フィルムや積層体を提供する。 【解決手段】 糖類とホルミル基を有する化合物と酸性
触媒とを含んだガスバリア性組成物を調製する。このよ
うな糖類は、多糖類(水溶性多糖類など)、例えば、相
対湿度50%以下での酸素透過度が塗布量1.5g/m
2換算で30mL/m2・day・atm以下の多糖類であって
もよい。前記ホルミル基を有する化合物は、複数のホル
ミル基を有していてもよい。前記組成物を用いると、相
対湿度70%以上での酸素透過度が塗布量1.5g/m
2換算で30mL/m2・day・atm以下のガスバリア層を
形成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐水性が高く、高
湿度下においてもガスバリア性の高いガスバリア性組成
物(コーティング剤など)、この組成物を用いて形成し
たフィルムや積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】酸素などに対して高いガスバリア性を示
すコーティング剤やフィルムとして、塩化ビニリデン共
重合体(PVDC)が知られており、各種包装材として
広く普及している。しかし、近年、環境問題から、非塩
素系のガスバリア性コーティング剤やガスバリア性フィ
ルムが求められている。非塩素系の酸素バリア性素材と
しては、ポリビニルアルコール(PVA)や水溶性セル
ロース誘導体、水溶性澱粉、キトサンが知られている。
これらの素材には、絶乾時での酸素バリア性は、PVD
Cの同性能(2〜10mL/m2・day・atm[5
g/m2厚換算値]これは、6.7〜33mL/m2・d
ay・atm[1.5g/m2厚換算値]に相当する)
を越える素材もあるが、通常の温湿度条件(例えば、2
0℃、50〜65RH%)あるいはそれ以上の湿度条件
下では、素材自体の吸湿によって、極端に酸素バリア性
が劣化する。そのため、実用的には、通常の温湿度から
高湿度下では酸素バリア性素材として使用できない。
【0003】エチレン−ビニルアルコールの共重合体
(EVOH)は、PVAに対し疎水性のエチレンを共重
合させることによって、湿度依存性を低減でき、エチレ
ンの導入量が多くなる程、耐湿性は向上するものの、酸
素バリア性が低下する。そのため、耐湿性と酸素ガスバ
リア性とを両立できない。
【0004】一方、セルロース誘導体などの水溶性多糖
類に対して、通常の温湿度から高湿度条件下での酸素バ
リア性を改善するため、次のような方法が提案されてい
る。特開平6−93133号公報には、粒径が5μm以
下、アスペクト比が50〜5000の無機層状化合物と
樹脂(PVAや多糖類など)とを含む樹脂組成物又はそ
のフィルムが開示されている。しかし、この樹脂組成物
では、無機化合物を使用するため、透明性が低下する。
【0005】特開平7−165942号公報には、ポリ
(メタ)アクリル酸又はその部分中和物と糖類とを、9
5/5〜20/80(重量比)の割合で含む混合物から
形成されたフィルム、前記混合物を特定の温度で加熱処
理し、ガスバリア性フィルムを製造する方法が開示され
ている。しかし、この方法では、非常に高温(約200
℃)で架橋させる必要がある。そのため、生産性が低下
するとともに、積層体の製造においては基材が大きく制
約される。
【0006】特開昭51−117785号公報には、プ
ルランにエポキシ化合物および触媒を作用させ、ガスバ
リア性などの特性を有する耐水性プルランを製造する方
法が開示され、特開昭51−117786号公報には、
プルランにグルタルアルデヒドまたは2−ヒドロキシア
ジプアルデヒド及び触媒を作用させ、ガスバリア性など
の特性を有する耐水性プルランを製造する方法が提案さ
れている。しかし、これらの方法では、高価なプルラン
を必要とするとともに、耐水性プルランの酸素ガスバリ
ア性はさほど高くない。
【0007】特表2000−502620号公報には、
紙などのコア層と、このコア層の片側に塗布されたポリ
ビニルアルコールのバリア層とで構成され、このバリア
層が、キトサンなどの多糖類と、ジアルデヒド化合物な
どの橋架け剤とを含む積層包装材料が開示されている。
この文献には、ポリビニルアルコールと多糖類との割合
が、90/10〜50/50(重量比)であることも記
載されている。しかし、この積層体のガスバリア性はポ
リビニルアルコールの含有量に依存するため、高湿度下
での酸素ガスバリア性を改善することが困難である。
【0008】特開2000−95993号公報には、全
置換度0.1〜0.7のセルロースエーテル(メチルセ
ルロースなど)又はセルロースエステル誘導体(アセチ
ルセルロースやメチルカーボネートセルロースなど)を
含むコーティング剤や、さらに架橋剤を含むコーティン
グ剤が開示されている。この文献には、架橋剤として、
比較的低温で、かつアルカリ条件下で開環架橋するエポ
キシ系架橋剤が記載されている。特開2000−959
94号公報には、数平均分子量Mn=0.5〜10万で
あるα化澱粉を用いたコーティング剤や、さらに架橋剤
を含むコーティング剤が開示されている。この文献に
は、架橋剤として、「架橋剤ハンドブック」(大成社、
p421〜474、昭和56年)に記載の架橋剤(ジメ
チルジヒドロキシエチレン尿素樹脂、ジグリシジルエー
テルなどのエポキシ系架橋剤など)が記載されている。
しかし、これらの方法では、通常の温湿度下(20℃、
相対湿度50〜65%)で酸素ガスバリア性を向上でき
たとしても、高湿度下での酸素ガスバリア性を向上させ
ることが困難である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、高湿度条件下でも高い酸素ガスバリア性を有するガ
スバリア性組成物(又はコーティング剤)、この組成物
を用いたガスバリア性フィルムや積層体を提供すること
にある。
【0010】本発明の他の目的は、環境に優しく、しか
も塩化ビニリデン系共重合体と同等若しくはそれ以上の
酸素ガスバリア性を有する安価なガスバリア性組成物
(又はコーティング剤)、この組成物を用いたガスバリ
ア性フィルムや積層体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を達成するため鋭意検討した結果、糖類をホルミル基
(アルデヒド基)を有する化合物及び触媒の存在下で架
橋させると、高湿度環境下でも塩化ビニリデン系共重合
体と同等若しくはそれ以上のガスバリア性が発現するこ
とを見いだし、本発明を完成した。
【0012】すなわち、本発明のガスバリア性組成物
(又はコーティング剤)は、糖類とホルミル基を有する
化合物(以下、単にホルミル基含有化合物という場合が
ある)と酸性触媒とを含んでいる。前記糖類は、多糖類
(水溶性デンプンなどの水溶性多糖類など)、例えば、
相対湿度50%以下での酸素透過度が塗布量1.5g/
2換算で30mL/m2・day・atm以下の多糖類であっ
てもよい。前記ホルミル基含有化合物は、糖類の架橋性
を高めるため、複数のホルミル基を有していてもよい。
ホルミル基を有する化合物の割合は、糖類100重量部
に対して0.5〜100重量部程度である。酸素ガスバ
リア性の高い前記組成物は、例えば、ヒドロキシル基を
有する水溶性多糖類と、C2-8アルカンジアルデヒド
と、酸性触媒とで構成された架橋可能な組成物であって
もよい。前記組成物は、さらに、ポリビニルアルコール
系樹脂を含んでいてもよい。糖類とポリビニルアルコー
ル系樹脂との割合は、糖類/ポリビニルアルコール系樹
脂=95/5〜60/40程度である。前記組成物を用
いると、相対湿度70%以上での酸素透過度が塗布量
1.5g/m2換算で30mL/m2・day・atm以下のガ
スバリア層を形成できる。
【0013】そのため、本発明は、少なくともガスバリ
ア層で構成されたフィルムであって、前記ガスバリア層
が前記組成物で形成されているフィルム、バリア層の酸
素透過度が、相対湿度70%以上において塗布量1.5
g/m2換算で30mL/m2・day・atm以下であるフィ
ルムや、前記ガスバリア層と、このガスバリア層に積層
された樹脂層とで構成されているフィルム(又は積層
体)も包含する。
【0014】また、本発明には、少なくともガスバリア
層で構成されたフィルムであって、前記ガスバリア層
が、糖類が少なくとも部分的にアセタール架橋された組
成物で形成されているフィルムも含まれる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明のガスバリア性組成物又は
コーティング剤は、糖類と、ホルミル基を有する化合物
(ホルミル基含有化合物)と、酸性触媒とで構成されて
いる。
【0016】[糖類]糖類には、単糖類、オリゴ糖類
(又は少糖類)および多糖類が含まれる。なお、糖アル
コール(キシリトール、エリスリトール、ソルビトー
ル、マンニトールなど)やアセチル体などの誘導体も糖
類に包含される。糖類としては、ヒドロキシル基を有す
る糖類が好ましく、これらの糖類は、通常、ヒドロキシ
ル基を有しており、ホルミル基を有していてもよい。
【0017】単糖類としては、トリオース、テトロー
ス、ペントース、ヘキソース、ヘプトース、オクトー
ス、ノノース、デコースなどであってもよく、これらの
単糖類はヒドロキシル基及び/又はカルボニル基(アル
デヒド基やケトン基)などを有していてもよい。このよ
うな単糖類としては、例えば、テトロース(エリトロー
ス、トレオロース等)、ペントース(アラビノース、リ
ボース、リキソース、デオキシリボース、キシロース
等)、ヘキソース(アロース、アルトロース、グルコー
ス、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、
フルクトース、ソルボース、フコース、ラムノース、タ
ロース、ガラクチュロン酸、グルクロン酸、マンヌロン
酸、グルコサミン、ソルビトール、マンニトール、ガラ
クチトール等)などが例示できる。これらの単糖類は、
アルドースやケトースであってもよく、前記単糖類に対
応するアルドースやケトースの他、ジアルドース(糖の
誘導体であって炭素鎖両末端がアルデヒド基である化合
物、例えば、テトラアセチルガラクトヘキソジアルドー
ス、イドヘキソジアルドース、キシロペントドアルドー
スなど)、複数のカルボニル基を有する単糖類(オソ
ン、オノース等のアルドアルコケトースなど)、メチル
基を有する単糖類(アルトロメチロースなどのメチル
糖)、アシル基(特にアセチル基などのC2-4アシル
基)を有する単糖類(前記アルドースのアセチル体、例
えば、アルデヒドグルコースペンタアセチル化合物など
のアセチル体など)などが例示できる。単糖類は、ヘミ
アセタール結合により環状構造を形成した環状異性体、
カルボキシル基が導入された糖類、チオ糖、アミノ糖、
デオキシ糖などであってもよい。単糖類は、旋光性を有
している必要はないが、D形,L形,DL形のいずれで
あってもよい。さらに、分子内でヘミアセタール結合を
形成し、環を形成してもよい。
【0018】オリゴ糖類(又は少糖類)には、二糖類
(マルトース、イソマルトース、パラチノース、セロビ
オース、ラクトース、スクロース、トレハロース、ゲン
チオビオース、コージービオース、ラミナリビオース、
メリビオース、ニゲロース、ソホロース等)、三糖類
(マルトトリオース、メレチトース、ラフィノース
等)、四糖類(スタキオース、セロテトラオース等)、
五糖類や六糖類などが例示できる。オリゴ糖は還元型で
あっても非還元型であってもよい。
【0019】多糖類にはデンプン類も包含される。デン
プン類は、未変性澱粉[小麦デンプン、トウモロコシデ
ンプン、馬鈴薯デンプン、米デンプン、甘藷デンプンな
ど]、加工デンプンであってもよく、加工デンプンに
は、物理的変性澱粉[α化デンプン、湿熱処理デンプン
など]、酵素処理デンプン[加水分解デキストリン、酵
素変性デンプンなど]、エステル化デンプン[アセチル
化デンプン、コハク酸エステル化デンプン、リン酸エス
テル化デンプンなど]、エーテル化デンプン[メチルエ
ーテル化デンプン、エチルエーテル化デンプン、ヒドロ
キシエチル化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプ
ン、カルボキシメチル化デンプンなど]、カチオン化デ
ンプン、グラフトデンプンなどが例示できる。多糖類と
しては、セルロース又はその誘導体[セルロースエーテ
ル類(メチルセルロースなどのアルキルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロ
ースなどのヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロー
ス等)、セルロースエステル類(アセチルセルロースな
ど)、セルロースエーテルエステル類(メチルセルロー
スアセテートなど)等]、プルラン、デキストラン、キ
チン類、キトサン類などが例示できる。なお、セルロー
ス誘導体において、平均置換度は0.1〜1(好ましく
は0.2〜0.7程度)であってもよい。多糖類にはム
コ多糖類なども含まれ、多糖類はホモグリカンに限らず
ヘテログリカンであってもよい。
【0020】多糖類の数平均分子量は、500以上(特
に1000以上)であればよく、例えば、0.1×10
4〜50×104、好ましくは0.2×104〜40×1
4、さらに好ましくは0.3×104〜20×104
度である。分子量が低すぎると成膜性及びバリア性が低
下しやすく、分子量が高すぎると溶液粘度が高くなり過
ぎ、成膜性も低下しやすい。
【0021】これらのうち、糖類としては、低湿度下
(相対湿度50%以下)で、酸素透過度30mL/m2
・day・atm[1.5g/m2厚換算値]以下を有
する糖類であれば、特に制限はない。但し、組成物にお
ける高湿度下(相対湿度70%以上)でのガスバリア性
は、原料である糖類の低湿度下でのガスバリア性に大き
く依存するため、低湿度下(相対湿度50%以下)での
酸素透過度が低い糖類が好ましく、例えば、30mL/
2・day・atm[1.5g/m2厚換算値]以下、
好ましくは10mL/m2・day・atm[1.5g
/m2厚換算値]以下、さらに好ましくは1mL/m2
day・atm[1.5g/m2厚換算値]以下の糖類
が好ましい。
【0022】ガスバリア性の高い糖類としては、具体的
には、水溶性澱粉類[例えば、α化デンプン又は酸処理
澱粉、軽度にエステル化された澱粉(平均置換度0.1
〜1程度のC2-4アシル化デンプン(特にアセチル化デ
ンプン)など)、軽度にエーテル化された澱粉(平均置
換度0.1〜1程度のC1-4アルキルエーテル化デンプ
ン(特にメチルエーテル化デンプン)など)等]、水溶
性セルロース誘導体[例えば、低置換のセルロースエー
テル(例えば、平均置換度が0.1〜1程度のセルロー
スエーテル類(特にメチルセルロースなどのC1-4アル
キルエーテル類)、低置換度のセルロースエステル(例
えば、平均置換度が0.3〜1.2程度のセルロースア
セテートなど)等]、水溶性のキトサン塩類、水溶性の
酸性多糖類又はその塩類などが例示できる。これらの糖
類は、いずれも水溶性であり、水溶液でコーティングで
きる点でも水溶性であるのが好ましい。水溶性澱粉類
は、安価であると共に、非常に高いガスバリア性を有す
るため、特に好ましい。セルロースやキトサン等の非水
溶性糖類は、適当な溶媒を選択して使用できる。
【0023】糖類の他に、ヒドロキシル基やアミノ基等
の種々の基を有する低分子から高分子までの架橋性成分
を用いてもよい。ヒドロキシル基を有する架橋性成分に
は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂(ポリビニル
アルコールやエチレン−ビニルアルコール共重合体な
ど)などが含まれ、アミノ基を有する架橋性成分には、
例えば、アミノ基含有水溶性樹脂又はその塩(ポリアリ
ルアミン塩酸塩など)などが含まれる。架橋性成分とし
ては、ガスバリア性を発現させるために、ヒドロキシル
基を有する架橋性成分(特に、ポリビニルアルコール系
樹脂)が好ましい。
【0024】糖類に対する架橋性成分(ポリビニルアル
コール系樹脂など)の割合(重量比)は、糖類/架橋性
成分=100/0〜50/50、好ましくは95/5〜
60/40、さらに好ましくは90/10〜70/30
(特に90/10〜80/20)程度である。
【0025】[ホルミル基含有化合物]ホルミル基(ア
ルデヒド基)を有する化合物としては、前記糖類を架橋
できる化合物であれば、特に制限されず、複数のホルミ
ル基を有する化合物、例えば、脂肪族ジアルデヒド(グ
リオキサール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデ
ヒド、グルタルアルデヒド、アジピンジアルデヒド、マ
レインジアルデヒド等のC2-10アルカンジアルデヒドな
ど)、芳香族ジアルデヒド(フタルアルデヒド、イソフ
タルアルデヒド、テレフタルアルデヒド等のC8-14芳香
族アルデヒドなど)等が例示できる。
【0026】ホルミル基を有する化合物は、ホルミル基
を有する高分子であってもよい。ホルミル基含有高分子
には、ホルミル基を有する多糖類やアクロレイン系重合
体、ビニル重合体等等が含まれる。
【0027】ホルミル基を有する多糖類としては、例え
ば、酸化デンプン(ジアルデヒドデンプンなどのアルデ
ヒドデンプン)、酸化セルロース又はその誘導体(ジア
ルデヒドセルロース、ジアルデヒドヘミセルロース等の
アルデヒドセルロースなど)等が例示できる。多糖類へ
のホルミル基の導入方法は、例えば、過ヨウ素酸又は過
ヨウ素酸塩による多糖類の酸化(C.LMehltretterら、In
dustrial and Engineering Chemistry,vol.49,p.350,19
57年、特開昭60−137902号公報など参照)、特
開昭63−35603号公報に記載の方法に準じて、ア
リル基を有するセルロースを酸化してアルデヒド基を導
入する方法、D.Solarekら(Paper Chemistry Symposium
1988にて発表)の方法によりN−(2,2−ジメトキ
シエチル)−N−メチル−クロロアセトアミドでデンプ
ンを誘導体化し、酸処理してアルデヒド基を導入する方
法等が挙げられる。なお、酸化剤(過ヨウ素酸又はこれ
らの塩など)による酸化方法を利用すると、ジアルデヒ
ドデンプンやジアルデヒドセルロースに代表される多糖
類の製造が容易でかつ高いガスバリア性を発現できる。
【0028】アクロレイン系重合体としては、アクロレ
インを重合し活性化した重合体、アクロレインの単独重
合体又は共重合性単量体との共重合体も例示できる。こ
のような高分子は、例えば、多賀ら(繊維学会誌、27
巻、p.439、1971年)の方法により調製できる。
【0029】ビニル重合体は、ホルミル基とヒドロキシ
ル基とを同一分子内に有する高分子であり、ビニルエス
テル系樹脂などが例示できる。ビニル重合体は、例え
ば、E.F.lzard(Industrial and Engineering Chemistr
y,vol42,p.2108,1950年)の方法により、アリリデンジ
アセテートと酢酸ビニルの共重合体を加水分解する方法
などにより調製できる。
【0030】さらに、ホルミル基含有化合物としては、
酸の作用により容易にアルデヒド基に変換又は生成され
る誘導体、実質的にアルデヒド基と同様の反応性を有す
るアルデヒドの誘導体、例えば、アセタール化物やヘミ
アセタール化物、亜硫酸処理物(すなわち、−CH(O
H)SO3H基を有する化合物)も含まれる。
【0031】これらのホルミル基含有化合物のうち、架
橋効率の点から、1分子中に複数のアルデヒド基を有す
る化合物(特に水溶性化合物)、例えば、グリオキサー
ルやグルタルアルデヒド等のC2-8アルカンジアルデヒ
ド(特にC2-6アルカンジアルデヒド)や、ホルミル基
含有化合物等が好ましい。
【0032】好ましい化合物は、水溶性糖類[単糖類や
多糖類(例えば、ジアルデヒドデンプンなどの酸化デン
プン)など]である。特に、ジアルデヒドデンプンなど
の多糖類は、架橋度が低くても耐水性を大きく向上でき
る。
【0033】ホルミル基含有化合物の使用量は、要求す
る性能(製品が使用される環境下での相対湿度)、使用
するホルミル基含有化合物の種類、反応条件(反応温
度、時間、触媒種と触媒量)等によって異なるが、例え
ば、糖類100重量部に対して、0.5〜100重量
部、好ましくは1〜75重量部(1〜50重量部)、さ
らに好ましくは5〜50重量部(5〜30重量部)程度
である。ホルミル基含有化合物の割合が少なすぎると耐
湿度効果が小さくなり、多すぎると、耐水性は向上して
もガスバリア性が低下する場合がある。
【0034】[酸性触媒]糖類の架橋反応を促進するた
めには、触媒を添加することが好ましい。特に、ホルミ
ル基とヒドロキシル基との架橋反応では、アセタール結
合あるいはヘミアセタール結合が生成するが、ヘミアセ
タール結合は耐水性が低い。そのため、高湿度下で利用
する場合には、アセタール結合がなるべく多く生成する
ような反応条件を選択することが好ましい。アセタール
結合を生成させるためには、酸性触媒(又は酸触媒)を
使用する必要がある。また、高温での反応あるいは長時
間の反応もアセタール結合の増加に有効である。しか
し、塗布基材の性質あるいはプロセス上の制限等から、
反応温度や反応時間が制限を受けることが多いため、触
媒の選択が特に重要である。
【0035】ヒドロキシル基との反応を触媒する酸性触
媒はプロトン酸であってもよくルイス酸であってもよ
い。酸性触媒としては、無機酸(塩酸、臭化水素酸、硝
酸、硫酸、リン酸等の強酸類など)、無機酸塩(強酸と
弱塩基との塩類、例えば、硫酸アルミニウム、硫酸アン
モニウム等の硫酸塩、リン酸二水素マグネシウム、リン
酸水素カルシウム、オルソリン酸アルミニウム等のリン
酸塩、塩化アンモニウム、塩化マグネシウム、塩化アル
ミニウム、塩化スズ等の金属塩化物など)、有機酸(ベ
ンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレ
ンスルホン酸等のスルホン酸類、トリクロロ酢酸、トリ
フルオロ酢酸等のハロ酢酸類など)などが挙げられる。
これらの酸性触媒は単独で又は二種以上組み合わせて使
用できる。なお、前記糖類や架橋性成分が前記触媒成分
を塩の形態(例えば、塩酸塩や硫酸塩などの無機酸塩な
どの形態)で含んでいるとき、これらの触媒成分が架橋
反応又は縮合反応を触媒する場合があるため、必ずしも
酸性触媒を添加する必要はない。
【0036】触媒の使用量は、要求する性能(製品が使
用される環境下での相対湿度)、使用するホルミル基含
有化合物の種類、反応条件(反応温度、時間、触媒種)
などに応じて選択でき、例えば、糖類100重量部に対
して、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重
量部、さらに好ましくは0.1〜3重量部程度である場
合が多い。触媒量が少なすぎるとガスバリア性や耐湿性
が低下する場合があり、触媒量が多すぎると、耐水性は
向上してもガスバリア性が低下する場合がある。
【0037】なお、触媒は、架橋度やアセタール化度を
高める点で有用であるが、例えば、強酸触媒がバリア層
内に多く残存すると、架橋物の分解触媒になったり、糖
類を分解する可能性がある。そのため、必要最少量に使
用を制限するか、必要に応じて、架橋反応後に中和、分
解、あるいは除去することが好ましい。このような観点
から、揮発性の触媒の使用や、アルカリ性溶液への浸漬
処理、アルカリ性物質のコーティングなどを利用しても
よい。また、塩型触媒は、架橋後にバリア層内に残存し
ても架橋結合や糖類の分解を抑制できる点で好ましい。
【0038】架橋可能な本発明の組成物は、溶媒を含ん
でいてもよい。溶媒としては、例えば、水、水混和性溶
媒(エタノール、イソプロパノールなどのアルコール
類、アセトンなどのケトン類、ジオキサンなどのエーテ
ル類、セロソルブ類、カルビトール類など)が例示で
き、必要であれば、水非混和性溶媒(炭化水素類、ハロ
ゲン化炭化水素類、アルコール類、酢酸エチルなどのエ
ステル類、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチ
ルエーテルなどのエーテル類など)を用いてもよい。溶
媒は混合溶媒であってもよい。好ましい溶媒は水又は水
性溶媒である。
【0039】なお、本発明の組成物は、必要であれば、
種々の添加剤、例えば、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸
収剤など)、防腐剤、殺菌剤、粘度調整剤、レベリング
剤、界面活性剤、帯電防止剤などを含んでいてもよい。
【0040】前記ガスバリア性組成物を用いると、湿度
依存性を大きく改善でき、相対湿度70%以上の高湿度
下でも、塗布量1.5g/m2換算での酸素透過度(単
位:mL/m2・day・atm)が30以下(例えば、0.
1〜25程度)、好ましくは10以下(例えば、0.1
〜7程度)、さらに好ましくは5以下(例えば、0.1
〜4程度)のガスバリア層を形成できる。
【0041】なお、通常のガスバリア性化合物(特に、
前記PVAや糖類)のガスバリア性は、相対湿度が高く
なるほど低下する傾向があり、高湿度下では実用的なガ
スバリア性が得られない。これに対して、本発明では、
相対湿度70%以上(さらには90%以上、特に100
%)の高湿度下でも、塗布量1.5g/m2換算での酸
素透過度(単位:mL/m2・day・atm)が、30以
下、好ましくは10以下(例えば、0.1〜5程度)、
さらに好ましくは5以下(例えば、0.1〜3程度)、
特に1以下(例えば、0.1〜0.7程度)の超高ガス
バリア性を有するバリア層を形成することも可能であ
る。
【0042】そのため、本発明のガスバリア性組成物
(又はコーティング剤)は、ガスバリア性フィルムを調
製するのに有用である。このガスバリア性フィルムは、
少なくとも前記ガスバリア性組成物で形成されたガスバ
リア層で構成されていればよく、ガスバリア層単独のフ
ィルムであってもよく、ガスバリア層とこのガスバリア
層が積層された樹脂層とを備えた積層フィルム(又は積
層体)であってもよい。
【0043】なお、ガスバリア層には、揮発や除去によ
って酸性触媒が含有されていない場合もあり、本発明の
ガスバリア層には、糖類とホルミル基を有する化合物と
酸性触媒とを含む組成物から得られた層であって、酸性
触媒を含まず、糖類が少なくとも部分的にアセタール架
橋された組成物で形成されている層も含まれる。
【0044】ガスバリア層の厚さは、特に制限なく、必
要とするガスバリア性能に応じて選択できる。本発明の
特色の1つには、ガスバリア層の厚みが小さくても、前
記のような高いガスバリア性が得られる点にある。その
ため、ガスバリア層の厚みは、例えば、0.1〜5g/
2、0.3〜3g/m2、0.5〜2.5g/m2程度
であってもよく、1〜2g/m2程度の塗布量で高いガ
スバリア性が発現するため、コスト的にも有利である。
【0045】ガスバリア層(換言すれば、前記組成物の
固形分)中のホルミル基含有化合物で架橋した糖類の割
合は、高いバリア性を発現するため、通常、50重量%
以上、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは8
5重量%以上である。
【0046】ガスバリア性フィルムをガスバリア層単独
で形成する場合、前記ガスバリア性組成物(又はコーテ
ィング剤)を剥離可能な支持体に流延又は塗布して乾燥
し、支持体から塗布層を剥離することによりガスバリア
性フィルムを調製できる。積層フィルム又は積層体は、
基材に前記組成物(又はコーティング剤)を塗布し、乾
燥することにより得ることができる。
【0047】基材の種類は特に制限はなく、例えば、紙
類、プラスチックフィルム類が例示でき、フィルム類を
構成するプラスチックとしては、例えば、オレフィン系
樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−(メ
タ)アクリル酸エステル共重合体、アイオノマーな
ど)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレー
ト(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ
エチレンナフタレートなどのホモ又はコポリアルキレン
アリレート、液晶性ポリエステルなど)、ポリアミド系
樹脂(ナイロン6,ナイロン66,ナイロン610,ナ
イロン612など)、スチレン系樹脂(ポリスチレン、
アクリロニトリル−スチレン共重合体など)、塩化ビニ
ル系樹脂(ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体など)、ポリカーボネート系樹脂(ビスフェノー
ルA型ポリカーボネートなど)、セルロースエステル系
樹脂(セルロースアセテート、セルロースアセテートプ
ロピオネート、セルロースアセテートブチレートなど)
などが例示できる。基材は単一の基材であってもよく、
複数の層で構成された複合基材(例えば、紙とプラスチ
ックとのラミネート紙、プラスチックフィルムとアルミ
ニウム箔との積層体など)であってもよい。
【0048】基材は、必要により一軸又は二軸延伸され
ていてもよい。また、基材(特に被塗布面)には、必要
に応じて、コーティング性を向上するために、コロナ放
電処理やアンカーコート処理などの表面処理を施しても
よい。基材の厚みは特に制限されず、包装用フィルムで
は、通常、5〜100μm、好ましくは15〜50μm
程度である。
【0049】なお、積層体の構造は、特に制限はなく前
記ガスバリア層を含む限り前記二層構造に限らず、少な
くともガスバリア層と複数の層で構成された多層構造
(例えば、基材層/ガスバリア層/ヒートシール層、ヒ
ートシール層/基材層/ガスバリア層などの三層構造な
ど)であってもよい。さらに、高湿度下でのガスバリア
性をさらに高めるため、バリア層の隣接層又は非隣接層
に、耐湿性フィルム又は層(ポリエチレンフィルム、ポ
リプロピレンフィルムなど)をラミネートしてもよい。
【0050】前記組成物で構成されたコーティング剤
は、各成分と溶媒とを混合することにより調製でき、コ
ーティング剤を塗布した後、乾燥することにより糖類を
架橋させることができる。なお、主に乾燥工程での加熱
及び脱水により架橋が達成される。
【0051】乾燥温度及び乾燥時間に特に制限はない
が、本発明の特色の1つは、乾燥温度が低く、短時間で
もガスバリア層を形成できる点にある。乾燥温度は、例
えば、150℃以下(例えば、50〜150℃)、好ま
しくは120℃以下(例えば、70〜120℃)、さら
に好ましくは80〜120℃程度の低温(特に100℃
や80℃程度の低温)でも、架橋反応を円滑に行うこと
ができる。また、乾燥時間は、例えば、15分以下(例
えば、10秒〜15分)、好ましくは5分以下(例え
ば、20秒〜5分)、さらに好ましくは1分以下(例え
ば、20〜45秒)でも架橋反応を行うことができる。
そのため、特別な製造設備が必要なく、製造速度が速
く、低コストであるばかりでなく、基材も、耐熱性の低
い素材まで広く利用することができる。なお、乾燥工程
とは別に又は乾燥工程とともに、適当な温度(通常、乾
燥温度より低温)で、適当な時間エージングする工程を
設けることも有効である。このエージング工程では、揮
発成分をさらに除去できる他、架橋度の向上も可能であ
る。
【0052】本発明のコーティング剤及び積層体は、種
々の包装用フィルム、特に酸素による品質劣化が生じや
すい食品などの包装材料として有用である。
【0053】
【発明の効果】本発明では、糖類とホルミル基含有化合
物と触媒とを組み合わせているため、高湿度条件下でも
高い酸素ガスバリア性が得られる。さらに、水溶性デン
プンなどの水溶性多糖類を用いる場合には、安価で環境
に優しく、しかも塩化ビニリデン系共重合体と同等若し
くはそれ以上の酸素ガスバリア性を実現できる。
【0054】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定さ
れるものではない。なお、実施例中、特に記載がなけれ
ば、%は重量%を、部は重量部を表す。
【0055】実施例1〜16及び比較例1〜5 表1に示す各種デンプン類の10重量%水溶液を調製し
た。なお、使用したデンプンは次の通りである。 (A1)溶性デンプン(和光純薬工業(株)製、酸処理
デンプン) (A2)アセチル化デンプン(日澱化学(株)製、ZP
8) (A3)ヒドロキシプロピル化デンプン(日澱化学
(株)製、ペノンJE66) (A4)ヒドロキシプロピル化デンプン(日澱化学
(株)製、バイオスターチKY)。
【0056】この水溶液に、表1に示すホルミル基含有
化合物及び触媒を添加し、コーティング剤を調製した。
なお、添加したホルミル基含有化合物及び触媒は次の通
りである。 (B1)グリオキサール(和光純薬工業(株)製) (B2)グルタルアルデヒド(和光純薬工業(株)製) (B3)ジアルデヒドデンプン(シグマケミカル製)。 (C1)塩酸 (C2)p−トルエンスルホン酸 (C3)硫酸アルミニウム (C4)リン酸二水素マグネシウム (C5)オルソリン酸アルミニウム (C6)硫酸アンモニウム。
【0057】これらのコーティング剤を、コロナ放電処
理した厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(P
ET)フィルム上に、バーコーターを用いて、乾燥後の
塗布量が約1.5g/m2になるように塗布した。な
お、塗布時に塗布液がPET上ではじくような現象が見
られた場合には、界面活性剤(日華化学(株)製、DB
120)を塗布液に対して0.1重量%添加した。この
フィルムを送風乾燥機を用い、100℃で2分間乾燥し
た。得られたコートフィルムは、更に50℃で20時間
エージングした後に重量測定し、重量増加から塗布量a
(g/m2)を求めた。また、モダンコントロール社
(モコン社)製、OXTRAN100を用いて、温度2
0℃において、相対湿度相対湿度90%での酸素透過度
(Pt)を測定した。得られた値から、以下の計算式に
より、コート層の酸素透過度(Pc)を計算した。
【0058】1/Pt=1/Pc+1/PP [式中、PtはコートされたPETフィルムの酸素透過
度(mL/m2・day・atm)、Pcはコート層の酸素透過
度(mL/m2・day・atm)、PPはPET層の酸素透過
度(mL/m2・day・atm)を示す]。
【0059】さらに、下記式に基づいて、厚み1.5g
/m2でのコート層の酸素透過度(Pc1.5)を計算し
た。
【0060】Pc1.5=Pc×a/1.5 [式中、Pc1.5はコート層の酸素透過度1.5g/m2
厚換算値(mL/m2・day・atm)、Pcはコート
層の酸素透過度(mL/m2・day・atm)、aは
実測塗布量(g/m2)を示す]
【0061】
【表1】
【0062】酸処理デンプン(溶性デンプン)、アセチ
ル化デンプン(ZP8)、ヒドロキシプロピル化デンプ
ン(ペノンJE66)、ヒドロキシプロピル化デンプン
(パイオスターチKY)は、いずれも低湿度下(20
℃、10RH%)で測定すると、酸素透過度が、30m
L/m2・day・atm[1.5g/m2厚換算値]以
下であり、高ガスバリア性が達成されている。しかし、
高湿度下(20℃、90RH%)では、表1中の比較例
1〜4の通り、ガスバリア性が消失した。これに対し
て、実施例1〜16では、ホルミル基含有化合物を用い
て触媒存在下で多糖類を架橋しているので、高湿度下で
もPVDC相当(PVDCの性能は、6.7〜33mL
/m2・day・atm[1.5g/m2厚換算値])あ
るいはそれ以上の優れた酸素ガスバリア性が達成されて
いる。特に、実施例2〜3及び5で顕著なように、これ
らの中には、高湿度下でも10mL/m2・day・a
tm[1.5g/m2厚換算値]以下の高バリア性や1
mL/m2・day・atm[1.5g/m2厚換算値]
以下の超高バリア性が達成されているものもある。ホル
ミル基含有化合物を使用しても、比較例5のように、触
媒を使用しないと、高湿度下でのガスバリア性は充分で
ない。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA08 AA29 AC07 AE02 AE03 AF08Y AH04 BC01 4F100 AH02A AJ07A AK01B AK21A AK42 AL05A BA02 CA18 EH46 EH462 EJ55 EJ552 EJ86 EJ862 GB15 JB07 JB09A JD02 JD02A JD03A JL08A YY00A 4J002 AB021 AB031 AB041 AB051 BE022 BE053 DD017 DD067 DD077 DF007 DF037 DG047 DH027 DH037 DH047 ED086 EE016 EF037 EV236 EV237 FD143 FD146 FD157 GF00 GG02 GH00

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 糖類とホルミル基を有する化合物と酸性
    触媒とを含むガスバリア性組成物。
  2. 【請求項2】 糖類が多糖類である請求項1記載の組成
    物。
  3. 【請求項3】 糖類が水溶性多糖類である請求項1記載
    の組成物。
  4. 【請求項4】 糖類が水溶性デンプンである請求項1記
    載の組成物。
  5. 【請求項5】 糖類が、相対湿度50%以下での酸素透
    過度が塗布量1.5g/m2換算で30mL/m2・day
    ・atm以下の多糖類である請求項1記載の組成物。
  6. 【請求項6】 ホルミル基を有する化合物が、複数のホ
    ルミル基を有する請求項1記載の組成物。
  7. 【請求項7】 ホルミル基を有する化合物の割合が、糖
    類100重量部に対して0.5〜100重量部である請
    求項1記載の組成物。
  8. 【請求項8】 さらに、ポリビニルアルコール系樹脂を
    含む請求項1記載の組成物。
  9. 【請求項9】 糖類とポリビニルアルコール系樹脂との
    割合が、糖類/ポリビニルアルコール系樹脂=95/5
    〜60/40である請求項1記載の組成物。
  10. 【請求項10】 ヒドロキシル基を有する水溶性多糖類
    と、C2-8アルカンジアルデヒドと、酸性触媒とを含
    み、架橋可能な組成物であって、相対湿度70%以上で
    の酸素透過度が塗布量1.5g/m2換算で30mL/
    2・day・atm以下のガスバリア層を形成可能な請求項
    1記載の組成物。
  11. 【請求項11】 少なくともガスバリア層で構成された
    フィルムであって、前記ガスバリア層が請求項1記載の
    組成物で形成されているフィルム。
  12. 【請求項12】 バリア層の酸素透過度が、相対湿度7
    0%以上において塗布量1.5g/m2換算で30mL
    /m2・day・atm以下である請求項11記載のフィル
    ム。
  13. 【請求項13】 ガスバリア層と、このガスバリア層に
    積層された樹脂層とで構成されている請求項11記載の
    フィルム。
  14. 【請求項14】 少なくともガスバリア層で構成された
    フィルムであって、前記ガスバリア層が、糖類が少なく
    とも部分的にアセタール架橋された組成物で形成されて
    いるフィルム。
JP2002035847A 2002-02-13 2002-02-13 ガスバリア性組成物及びそれを用いて形成したフィルム Pending JP2003238734A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002035847A JP2003238734A (ja) 2002-02-13 2002-02-13 ガスバリア性組成物及びそれを用いて形成したフィルム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002035847A JP2003238734A (ja) 2002-02-13 2002-02-13 ガスバリア性組成物及びそれを用いて形成したフィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003238734A true JP2003238734A (ja) 2003-08-27

Family

ID=27777921

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002035847A Pending JP2003238734A (ja) 2002-02-13 2002-02-13 ガスバリア性組成物及びそれを用いて形成したフィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003238734A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015059190A (ja) * 2013-09-20 2015-03-30 三菱樹脂株式会社 積層ポリエステルフィルム
JP2015066794A (ja) * 2013-09-28 2015-04-13 三菱樹脂株式会社 積層ポリエステルフィルム
CN105111477A (zh) * 2015-09-29 2015-12-02 浙江工业大学 一种抗菌性可食性膜的制备方法
US20160183544A1 (en) * 2014-12-31 2016-06-30 Toray Plastics (America), Inc. Starch coated polyester film for release of canned meat products
EP2982509A4 (en) * 2013-04-06 2016-11-09 Mitsubishi Plastics Inc SUPPLIED FOIL
JP2020519481A (ja) * 2017-04-25 2020-07-02 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニーE.I.Du Pont De Nemours And Company 酸素バリア性を有する多糖コーティング

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2982509A4 (en) * 2013-04-06 2016-11-09 Mitsubishi Plastics Inc SUPPLIED FOIL
JP2015059190A (ja) * 2013-09-20 2015-03-30 三菱樹脂株式会社 積層ポリエステルフィルム
JP2015066794A (ja) * 2013-09-28 2015-04-13 三菱樹脂株式会社 積層ポリエステルフィルム
US20160183544A1 (en) * 2014-12-31 2016-06-30 Toray Plastics (America), Inc. Starch coated polyester film for release of canned meat products
US10674738B2 (en) * 2014-12-31 2020-06-09 Toray Plastics (America), Inc. Starch coated polyester film for release of canned meat products
CN105111477A (zh) * 2015-09-29 2015-12-02 浙江工业大学 一种抗菌性可食性膜的制备方法
JP2020519481A (ja) * 2017-04-25 2020-07-02 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニーE.I.Du Pont De Nemours And Company 酸素バリア性を有する多糖コーティング
JP7136810B2 (ja) 2017-04-25 2022-09-13 ニュートリション・アンド・バイオサイエンシーズ・ユーエスエー・フォー,インコーポレイテッド 酸素バリア性を有する多糖コーティング

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0649870B1 (en) Gas barrier film and production thereof
EP3135479A1 (en) Gas barrier multilayer film and method for producing same
JP3007012B2 (ja) 積層体及びその製造方法
JP2886457B2 (ja) ガスバリヤー性フィルム及びその製造方法
Vartiainen et al. Biopolymer films and coatings in packaging applications—a review of recent developments
Ribba et al. Disadvantages of starch-based materials, feasible alternatives in order to overcome these limitations
Gotlieb et al. Starch derivatization: Fascinating and unique industrial opportunitiesFascinating and unique industrial opportunities
JP2003238734A (ja) ガスバリア性組成物及びそれを用いて形成したフィルム
JP2003238827A (ja) ガスバリア性組成物及びそれを用いて形成したフィルム
EP2110131A1 (en) Anti-tumor composition comprising tissue-accumulating chitosan gel
ter Haar et al. TEMPO oxidation of gelatinized potato starch results in acid resistant blocks of glucuronic acid moieties
EP0698635B1 (en) Composite deposited film and production process thereof
WO1993023127A1 (en) Gas barrier coating and coated elastomeric toy balloons
JPH09193307A (ja) 積層フィルム及び電子部品用包装袋
JPH08142256A (ja) 防湿複合蒸着フィルム
JP3577135B2 (ja) 多層チューブ容器
JP2000095993A (ja) ガスバリア性コーティング剤
Gulati et al. Starch-Based Bio-Nanocomposites: Modern and Benign Materials in Food Packaging Industry
JPH08230858A (ja) プラスチック製中空容器
JPH08208934A (ja) 合成樹脂用充填材およびその製造方法
JP2003128802A (ja) ガスバリア性フィルム及び該フィルムの製造方法
JP2000095994A (ja) ガスバリア性のコーティング剤
WO2015163064A1 (ja) 可食性フィルム及びその製造方法
JP2002241667A (ja) ガスバリア性コート剤およびガスバリア性フィルム
JP3879481B2 (ja) ガスバリア性フィルム及び該フィルムの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041014

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060814

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20060822

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20061226