JP2000095994A - ガスバリア性のコーティング剤 - Google Patents

ガスバリア性のコーティング剤

Info

Publication number
JP2000095994A
JP2000095994A JP10271658A JP27165898A JP2000095994A JP 2000095994 A JP2000095994 A JP 2000095994A JP 10271658 A JP10271658 A JP 10271658A JP 27165898 A JP27165898 A JP 27165898A JP 2000095994 A JP2000095994 A JP 2000095994A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
starch
coating agent
oxygen barrier
number average
coating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10271658A
Other languages
English (en)
Inventor
Norikazu Miyashita
憲和 宮下
Terumasa Okabe
輝勝 岡部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP10271658A priority Critical patent/JP2000095994A/ja
Publication of JP2000095994A publication Critical patent/JP2000095994A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、環境的にも優しく、コスト的に安
く且つ通常温湿度条件下でも塩化ビニリデンラテックス
と同等以上の酸素バリア性を持つ水系コーティング剤を
提供するものである。 【解決手段】 (A)平均数分子量Mn=0.5〜10
万である加水分解α化澱粉または(B)架橋剤とを含有
することを特徴とするガスバリア性コーティング剤

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸素バリア性コー
ティング剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】酸素及び水蒸気ガスバリア性コーティン
グ剤として、塩化ビニリデン共重合体(PVDC)を用
いたコーティング剤が食品をはじめとする各種包装材と
して広く普及している。しかし、最近、環境問題に関す
る高まりから、非塩素系のガスバリア性コーティング剤
が求められている。非塩素系の酸素バリア性コーティン
グ剤としては、ポリビニルアルコール(PVA)やエチ
レン−ビニルアルコールの共重合体(EVOH)や水溶
性澱粉や水溶性セルロース誘導体、例えばメチルセルロ
ース(MC)やカルボキシルメチルセルロース(CM
C)がある。これらの非塩素系の酸素バリア性コーティ
ング剤の多くは、EVOHを除けば、絶乾時の酸素バリ
ア性はPVDCの同性能を越えるものもあるが、通常温
湿度条件(20℃、湿度50〜65RH%の条件)では
コーティング剤自体の吸湿によって極端に酸素バリア性
が劣化するため、酸素バリア性コーティング剤としては
使えないのが現状である。従って、これらの非塩素系の
酸素バリア性コーティング剤を通常温湿度条件下で用い
る為には、耐湿度対策が必然的に必要となる。EVOH
は、PVAに対し耐湿度対策を行った1つの例であり、
疎水性であるエチレンをPVAに共重合させた構造を持
ち、対湿度対策を行ったものである。しかし、EVOH
の通常温湿度条件下での酸素バリア性は、PVDCラテ
ックスの同性能約2〜10cc/(m2・atm・24
hr)[5g塗工換算値]以下であるだけでなく、コー
ティング剤として用いる際に、アルコール等の有機溶媒
を用いる必要がある点で問題が残っている。
【0003】一方、水溶性澱粉や水溶性セルロース誘導
体は、絶乾時の酸素バリア性はPVAには及ばないが、
PVDCよりも優れており、更に天然物由来ということ
で環境的にも安全上の観点からもPVAをはじめとする
合成高分子由来の水溶性コーティング剤に比べ好まし
い。特に、水溶性澱粉や水溶性セルロース誘導体をはじ
めとする糖類の通常温湿度条件下での酸素バリア性対策
技術には次の様なものがある。特開平6−93133号
公報の様に粒径が5μm以下、アスペクト比が50〜5
000の無機層状化合物をPVAや多糖類に添加する方
法、特開平7−165942号公報の様に糖類にポリア
クリル酸を加熱処理によって架橋する方法、特開昭51
−117785号公報、特開昭51−117786号公
報の様にプルランにエポキシ化合物またはグルタルアル
デヒドまたは2−オキシアンジプアルデヒド及びそれら
の触媒をさせて架橋する方法等を行って通常温湿度条件
下での酸素バリア性対策を行っている。これらは、前者
特開平6−93133号公報では無機添加物を使うこと
で透明性の点で問題が残り、後者特開平7−16594
2号公報では架橋の温度条件が約200℃〜300℃程
度が必要になる等の問題があり、特開昭51−1177
85号公報、特開昭51−117786号公報では高価
なプルランに限定された技術である。本発明は、以下に
示す新たな着眼点のもと、環境的にも優しく、コスト的
にも安く、且つ通常温湿度条件下でもPVDCラテック
スと同等以上の酸素バリア性能を持つコーティング剤及
び同コーティング剤を用いたガスバリア性コートフィル
ムを提供するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、環境的にも
優しく、コスト的にも安く且つ通常温湿度条件下でもP
VDCラテックスと同等以上の酸素バリア性を持つ水系
コーティング剤及び同コーティング剤を用いたガスバリ
ア性コートフィルムを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意研究を重
ねた結果、価格が安く、且つ天然物由来の物質として、
コーンスターチ等の澱粉に着目し、これを改良すること
で上記課題を解決し、本発明に至った。具体的には、以
下の〜の要件が、更に長期間にわたる酸素バリア性
が必要な場合には、それらに加えての要件が必要であ
ることを突き止め、本発明に至った。本発明の要件と
は、原料価格が安く、天然物由来の物質としてコーン
スターチ等の澱粉であること、酸素バリア性と水への
溶解性を兼備するために、澱粉の数平均分子量を加水分
解によって調整すると共に、煮沸によって水溶性澱粉化
(α化澱粉)すること、通常温湿度条件下の耐湿度対
策や耐水性対策として、架橋剤を用いること、の3つで
ある。本発明は無機添加物を添加をすることなく、環境
的にも優しく、コスト的にも安く且つ通常温湿度条件下
でもPVDCラテックスと同等以上の酸素バリア性を持
つ水系コーティング剤を提供するものである。以下に本
発明が与えるコーティング剤の構成及び構造とその製造
方法の例を順次述べる。 1.本発明が与えるコーティング剤の構成及び構造 上記課題を解決するコーティング剤は、(A)酸素バリ
ア性の主体として、数平均分子量が0.5万〜10万の
α化澱粉、好ましくは数平均分子量が0.6万〜3万の
α化澱粉と、通常温湿度条件下で長期間にわたって酸素
バリア性と耐水性を必要とする場合には、(A)に加え
て(B)耐湿度剤として、架橋剤とその反応触媒とを含
有することを特徴とするガスバリア性コーティング剤で
ある。
【0006】先ず、加水分解α化澱粉について説明す
る。コンスターチに代表される澱粉はコストが安い原料
の1つである。しかし、コンスターチそのものはβ澱粉
と呼ばれ、水には溶けず、それをコーティング剤として
用いても十分な酸素バリア性は発現しない(比較例1参
照)。酸素バリア性を発現するには、β澱粉を水溶化す
る必要がある(水溶性部分が多いほど、酸素バリア性は
良くなる)。β澱粉を水溶化するには、水に分散させた
後煮沸したり、酸または酵素(アミラーゼ等)を用いて
β澱粉を加水分解した後煮沸してβ澱粉をα化澱粉とす
れば良いことが知られており、また工業的に生産されて
いる。しかし、β澱粉を単に加水分解して得られる水分
散溶液や、コンスターチを煮沸して単にβ澱粉をα化し
て得られる水溶液をコーティング剤としても、分散粒子
の成膜性不良や水溶性が不十分なことによると考えられ
る塗膜欠陥の為に、通常温湿度条件下で十分な酸素バリ
ア性が得られない(比較例1)。また、加水分解と煮沸
によって、α化澱粉を得たとしても、数平均分子量Mn
が10万より大きいと、水単独では均一溶解は極めて難
しく、水に分散した状態でコーティング剤として用いて
も、分散粒子の成膜不良のために十分な酸素バリア性は
発現しない。逆に、数平均分子量が0.5万未満では、
通常温湿度条件下での酸素バリア性が、架橋剤を用いて
も不十分となりやすくなる(比較例1、2)。なお、β
化澱粉の水への溶解性を高めるために、NaOH、KO
H等のアルカリを添加しても良い。しかし、あまりβ化
澱粉の分子量が高いと溶解に必要なアルカリが多くな
り、後工程で十分な洗浄工程が必要となり、コストアッ
プにつながったり、残存するアルカリによる吸湿の為に
酸素バリア性自体も低下する。この様な少量の溶解助剤
を用いる方法も、本発明に属するものである。本発明に
従えば、通常温湿度条件下でPDVCラテックスと同等
以上の酸素バリア性コーティング剤が得られる。
【0007】次に、長期間にわたる通常温湿度条件下で
の酸素バリア性や耐水性を要求する場合に必要な架橋剤
について説明する。架橋剤としては、澱粉の−OH基
(水酸基)と架橋することが出来るものならば特に限定
はない。例えば、綿織物の樹脂加工法として用いられて
いる架橋剤(架橋剤ハンドブック、大成社、p.421
〜p.474、昭和56参照)、具体的にはジメチロー
ル尿素樹脂、メチル化トリメチロールメラミン樹脂やジ
メチロールエチレン尿素樹脂、ヘキサメチロールメラミ
ン樹脂、ジメチロールアルキルトリアゾン樹脂、メチル
化メチロールウロン樹脂、ジメチロールヒドロキシエチ
レン尿素樹脂、ジメチルジヒドロキシエチレン尿素樹
脂、ジメチロールプロピレン尿素樹脂、ジグリシジルエ
ーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グ
リセリンジグリシジルエーテル、ブタンジオールグリシ
ジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエー
テル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、
ビニルシクロヘキセンジオキシド等とそれらの反応触媒
を用いれば良い。好ましくは遊離ホルムアルデヒド対策
が可能で、且つ比較的低温で架橋するジメチルジヒドロ
キシエチレン尿素樹脂等や比較的低温でアルカリ下で開
環架橋するエチレングリコールジグリシジルエーテル等
のエポキシ系架橋剤が好ましい。架橋剤濃度は、加水分
解α化澱粉100部に対し、4〜60部、特に好ましく
は8〜20部である。架橋剤濃度が4部未満では十分な
耐湿度効果が得られない。また、60部を越えると、架
橋剤自体が高価である為、コスト的に実用性がないだけ
でなく、架橋自体が無秩序に起こるため、澱粉の分子鎖
間の自由体積が広がり、酸素バリア性も架橋剤の量から
期待される程の効果が出ない。なお、本発明のコーティ
ング剤に、基材フィルムへの塗布性を改善する為に乳化
剤を添加する場合も本発明に含まれるものである。添加
する乳化剤の種類に特に限定はないが、酸素ガスバリア
性の劣化を抑えるために必要最小限にすることが望まし
い。 2.本発明が与えるコーティング剤の製造方法の例 [α化澱粉溶液の製造方法の例]本発明に用いる数平均
分子量Mnが0.5〜10万のα澱粉を得る1つの代表
的な製法としては、以下の様にすれば良い。先ず、コン
スターチで代表されるβ澱粉をpH=2〜6の塩酸に浸
せきし、10分〜4時間(Hr)の煮沸によって、β澱
粉の数平均分子量を数平均分子量Mnを0.5万〜10
万に調整し、それを濾過して得られる濾液がα化澱粉溶
液であり、本発明のコーティング剤である。pHが1以
下ではβ澱粉の加水分解は短時間で起こるが、後工程と
して中和をする必要が生じ、またpHが6より大きけれ
ば、加水分解は出来ないかあるいは出来ても長い時間が
かかり、現実的ではなくなる。煮沸によって、加水分解
により分子量の低くなったβ澱粉が水に溶解(α化澱粉
溶液)し、それを急速乾燥することでα化澱粉が出来
る。勿論、加水分解はアミラーゼ酵素を用いても良い。
その場合、後工程として煮沸する必要がある。α化澱粉
溶液の澱粉濃度は、加水分解α化澱粉の分子量とコーテ
ィング条件(コーティング温度、コーティング速度等)
に応じて適当に調整することが出来る。通常、数平均分
子量Mnが0.5〜10万のα化澱粉では、0.1wt
%〜40wt%で良い。0.1wt%未満ではα化澱粉
溶液をコーティング剤として用いても十分な酸素バリア
性が出ない。一方、40wt%より高い濃度では、溶液
粘度が高すぎて、コーティング速度が上げられなかった
り、均一なコーティング塗膜が出来にくい。なお、コー
ティングフィルムに長期間にわたっての通常温湿度条件
下での酸素バリア性や耐水性を要求しない場合は、この
α化澱粉溶液自体を酸素バリア性コーティング剤と用い
ることが出来る。また、基材フィルムへの塗布性を改善
する為に必要に応じて必要最小限、乳化剤を添加しても
良い。 [架橋剤入りα化澱粉溶液の作製方法の例]長期間にわ
たっての通常温湿度条件下での酸素バリア性や耐水性を
要求する場合には、このα化澱粉溶液に架橋剤とそれら
の反応触媒を適当な濃度となる様に添加すれば良い。た
だし、添加にあたっては、基材フィルムに塗布する前に
架橋剤の反応が進むことを抑制する為に、α化澱粉溶液
の温度を60℃以下にしておくことが望ましい。また、
架橋剤をα化澱粉溶液と均一に混合するために、予め架
橋剤及びその反応触媒は水溶液にしておき、α化澱粉溶
液と混合することが望ましい。この様にして作製した架
橋剤入りα化澱粉溶液は、通常温湿度条件下での耐湿度
性及び耐水性を持つ酸素バリア性コーティング剤とな
る。この様にして、本発明の環境的にも優しく、コスト
的にも安く且つ通常温湿度条件下でPVDC同等以上の
酸素バリア性を有する水系コーティング剤が製造され
る。 [本発明のコーティング剤を用いたコーティングフィル
ムの製造方法の例]本発明のコーティング剤を用いたコ
ーティングフィルムの製造方法は、本発明のα化澱粉溶
液をコーティング剤として用いる場合は、通常のコータ
を用いて基材、例えばポリエチレンテレフタレート(P
ET)、ナイロン等の基材フィルムに塗布した後、乾燥
すれば良い。また、架橋剤入りα化澱粉溶液をコーティ
ング剤として用いる場合も同様に基材フィルムに塗布し
乾燥すれば良いが、架橋剤の反応温度以上で乾燥を行う
必要がある。架橋剤として、ジメチルジヒドロキシエチ
レン尿素、反応触媒としてMgCl及びMg(BF4)
を用いた場合、100〜200℃、好ましくは110〜
180℃で乾燥を行うことで、耐水溶性のコーティング
フィルムが製造される。なお、通常温湿度条件下での酸
素バリア性を更に強めるために、本発明で得られるコー
トフィルムをポリエチレンフィルムやポリプロピレンフ
ィルム等の耐湿性のある汎用性フィルムを用いてラミネ
ートしたものも、本発明に含まれるものである。 3.本発明が与えるコーティング剤の同定法 次に、本発明が与えるコーティング剤の同定法を示す。
本発明が与えるコーティング剤で用いる、α化澱粉、架
橋剤及び乳化剤については、通常の分析法(化学分析
法、赤外吸収法、核磁気共鳴法、熱分解ガスクロマトグ
ラフィー、GPC等の分子量及び分子量分布測定法)に
従えば良い。例えば、分子量及び分子量分布の測定は、
水系のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)装置(東ソー(株)製、8010シリーズ)を使用
して測定する。カラムとして東ソー(株)製TSKge
l、7.8mm[ID]×30cm[L]、G5000
PW、G4000、PWG3000を各1本を直列に接
続し、移動相としてH2Oを1.0ml/minnの速
度で流し、0.3%の濃度の試料水溶液を500μl注入
し、25℃でRI検出器を用いて測定した。なお、数平
均分子量の算出は、東ソー(株)製TSKstanda
rd0.3万、2.6万、4.6万、9.5万、17
万、34万、88.5万の異なる数平均分子量を持つポ
リエチレングリコール(PEG)の標準物質水溶液(各
濃度0.03wt%)を使用し、上記試料と同一条件に
て測定し、その値から最小2乗法にて検量線を作成し求
める試料の数平均分子量を算出した。 4.酸素バリア測定法及び塗膜外観状態の検査 次に、本発明のコーティング剤を用いたコーティングフ
ィルムの性能を示す、酸素バリア測定法及び塗膜外観状
態の検査方法を示す。先ず、酸素バリア測定法は、本発
明のコーティング剤を基材フィルム(ユニチカ製、12
μmPETフィルム)にメーヤバーを用いて乾燥後の塗
膜厚みが約3〜6μmになる様に塗布し、熱風乾燥機を
用いて150℃の温度で3分間乾燥する。出来たコーテ
ィングフィルムをOXTRAN−100(Morder
Control製)を用いて、直ちに20℃、相対湿
度10%以下で測定する場合(絶乾測定)と、20℃で
相対湿度約50%の条件下に保った恒温恒湿容器中で2
日間放置した後、20℃で相対湿度50%の条件下で測
定する場合(通常温湿度測定)とで酸素透過率を測定し
た。なお、実施例及び比較例に示した測定値は、測定開
始から約3Hr後の値を用いた。更に、その値は基材フ
ィルム補正を行うと共に、本発明によって得られたコー
ティング剤の乾燥重量測定から、コーティング剤の乾燥
重量5gあたりの酸素透過率に換算して、cc/(m2
・atm・24hr)の単位で表示した。 次に、本発
明のコーティング剤を塗布したコーティングフィルムの
塗膜外観状態の検査方法は、コーティングフィルムを水
洗し、塗膜表面を手でこっすった時、表面に剥がれ等の
欠陥が生じるか否かを目視により観察した。表面に欠陥
の発生がない場合を○、欠陥の発生がある場合を×と表
記した。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に実施例により本発明を更に
具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定され
るものではない。実施例1、2及び比較例1、2の結果
を表1にまとめて示す。
【0009】
【実施例1】先ず、α化澱粉溶液を以下の方法にて作製
した。pH=2.5の塩酸にコンスターチ(三和澱粉
製)を分散させ、10wt%の分散溶液を作る。続い
て、その分散溶液を0.5Hr、1.5Hr、3.5H
r煮沸し、加水分解した。更にそれを濾過して、α化澱
粉溶液を作製した(夫々試料1、試料2、試料3)。出
来たα化澱粉溶液の試料1、試料2、試料3の夫々の数
平均分子量Mnは10万、2.4万、0.5万であっ
た。更に、各試料にジメチルジヒドロキシエチレン尿素
(NF−168、ユニカ技研製)の水溶液、反応触媒と
してMgCl及びMg(BF4)(MS−8、ユニカ技
研製)の水溶液をNF−168/MS−8=3/1の割
合で、α化澱粉100部に対して、10部となる様に加
えて架橋剤入りα化澱粉溶液を作製した。これらの溶液
をコーティング剤として上記の[酸素バリア測定法及び
外観検査]に示した方法でPETフィルムに塗布し、酸
素バリア性、塗膜外観状態の検査を行った。この結果よ
り、通常温湿度条件下での酸素バリア性は、絶乾時の酸
素バリア性に対し悪くはなるものの、通常のPVDCラ
テックスで得られる通常温湿度条件下で得られる酸素バ
リア性の値(5g/m2換算値)、約2〜10cc/m
2と比べ、ほぼ同等であることが分かる。また、架橋剤
入りα化澱粉溶液では、架橋剤の入っていないα化澱粉
溶液では得られない、耐水性を示し、長期間に亘る酸素
バリア性が付与される。
【0010】
【比較例1】pHと煮沸時間だけを変え、実施例1と同
様にして2種類のコーティング溶液を作製した。即ち、
単純に純水を用いて0.5Hr煮沸し、濾過して得られ
たα化澱粉溶液を試料4。またpH=2.5の塩酸を用
いて5Hr煮沸して加水分解し、濾過して得られたα化
澱粉溶液を試料5とする。得られた試料4及び試料5の
数平均分子量は夫々15万、0.4万であった。これら
の試料について実施例1と同様にして、PETフィルム
に塗布し、酸素バリア性、塗膜外観状態の検査を行っ
た。この結果より、加水分解の程度により、出来た試料
の数平均分子量が大きく変化し、特に数平均分子量が大
きければ酸素バリア性自体が悪くなることが、また、数
平均分子量が0.5万未満では絶乾時の酸素バリア性は
悪くないものの、架橋剤を用いても架橋剤の効果が効き
にくくなり、通常温湿度下における酸素バリア性が特に
悪くなることがわかる。従って、通常温湿度条件下で酸
素バリア性を発現する為には、α化澱粉の数平均分子量
を0.5万〜10万にする必要があることが分かる。
【0011】
【実施例2】α化澱粉として、市販の酸化デンプン(ス
タビローズBM、松谷化学製)、市販のデキストリン
(パインデックス#100、松谷化学製)、市販のα化
デンプン(溶性バレイショ澱粉、和光製)を用い、夫々
濃度10%、30%、10%の水溶液を煮沸して、α化
澱粉溶液を作製した(夫々を試料6、試料7、試料8と
する)。試料6、試料7、試料8の数平均分子量は夫々
2万、1.1万、0.6万であった。更に、架橋剤入り
α化澱粉溶液は、試料6、試料7、試料8の溶液に実施
例1と同様に澱粉100部に対し10部の同架橋剤を加
えて作製した。これらの試料を実施例1と同様にして、
PETフィルムに塗布し、酸素バリア性、塗膜外観状態
の検査を行った。この結果より、加水分解の方法が異な
ると考えられる市販の澱粉を用いた場合でも、特にその
数平均分子量Mnが0.5〜10万の範囲にあるなら
ば、通常温湿度条件下で十分な酸素バリア性が得られる
ことが分かる。また、架橋剤を添加することによって耐
水性が得られ、長期間に亘る酸素バリア性が付与され
る。
【0012】
【比較例2】α化澱粉として、市販のデキストリン(パ
インデックス#3、#6、共に松谷化学製)を用い、濃
度70%の水溶液を煮沸して、α化澱粉溶液を作製した
(夫々を試料9、試料10とする)。更に、架橋剤入り
α化澱粉溶液は、試料9、試料10の溶液に実施例1と
同様に澱粉100部に対し10部の同架橋剤を加えて作
製した。これらの試料を実施例1と同様にして、PET
フィルムに塗布し、酸素バリア性、塗膜外観状態の検査
を行った。この結果より、加水分解の方法が異なると考
えられる市販の澱粉を用いた場合でも、特にその数平均
分子量Mnが0.5〜10万の範囲を外れるならば、通
常温湿度条件下で十分な酸素バリア性が得られないこ
と、特に低分子量では架橋剤の効果が得られるないこと
が分かる。
【0013】
【表1】
【0014】
【発明の効果】本発明は、環境的にも優しく、コスト的
にも安く且つ通常温湿度条件下でもPVDC同等以上の
酸素バリア性を持つ水系コーティング剤を提供するもの
である。特に、架橋剤をも含む場合は、上記に加え、耐
水性にも優れ、長期間に亘る酸素バリア性を付与するこ
とができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F006 AA35 AB03 AB55 BA05 CA07 4F100 AJ07B AK01A AK42 AT00A BA02 CA02B EH462 GB15 GB23 JA07B JD02B JD03 YY00B 4J038 BA121 DA122 DA162 DB032 DB262 KA03 MA14 NA08 NA27 PC08

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)数平均分子量Mn=0.5〜10万
    であるα化澱粉を用いることを特徴とするガスバリア性
    コーティング剤
  2. 【請求項2】(A)数平均分子量Mn=0.5〜10万
    であるα化澱粉と、(B)架橋剤とを含有することを特
    徴とするガスバリア性コーティング剤
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2に記載のコーティ
    ング剤を塗布して得られるガスバリア性フィルム
JP10271658A 1998-09-25 1998-09-25 ガスバリア性のコーティング剤 Pending JP2000095994A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10271658A JP2000095994A (ja) 1998-09-25 1998-09-25 ガスバリア性のコーティング剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10271658A JP2000095994A (ja) 1998-09-25 1998-09-25 ガスバリア性のコーティング剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000095994A true JP2000095994A (ja) 2000-04-04

Family

ID=17503106

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10271658A Pending JP2000095994A (ja) 1998-09-25 1998-09-25 ガスバリア性のコーティング剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000095994A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006526064A (ja) * 2003-06-06 2006-11-16 ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー ヒドロキシル・ポリマーのための架橋系
JP2010519429A (ja) * 2007-02-27 2010-06-03 カーギル インコーポレイテッド 塗工用組成物

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006526064A (ja) * 2003-06-06 2006-11-16 ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー ヒドロキシル・ポリマーのための架橋系
US7947766B2 (en) 2003-06-06 2011-05-24 The Procter & Gamble Company Crosslinking systems for hydroxyl polymers
US7960453B2 (en) 2003-06-06 2011-06-14 The Procter & Gamble Company Crosslinking systems for hydroxyl polymers
US8088843B2 (en) 2003-06-06 2012-01-03 The Procter & Gamble Company Crosslinking systems for hydroxyl polymers
US9340657B2 (en) 2003-06-06 2016-05-17 The Procter & Gamble Company Crosslinking systems for hydroxyl polymers
JP2010519429A (ja) * 2007-02-27 2010-06-03 カーギル インコーポレイテッド 塗工用組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6444750B1 (en) PVOH-based coating solutions
KR0155405B1 (ko) 기체 차단 필름 및 그의 제조방법
EP2855609B1 (en) A fiber-based substrate provided with a coating based on biopolymer material and a method of producing it
JP3452934B2 (ja) 高められた特性を有するポリビニルアルコール被覆
EP0771372B1 (en) Cross-linked pvoh coatings having enhanced barrier characteristics
CN100335532C (zh) 包含半纤维素的聚合物膜或涂层
CA2675268A1 (en) Polymeric film or coating comprising hemicellulose
KR0146846B1 (ko) 적층체 및 이의 제조방법
JP2003513133A (ja) 生体高分子およびポリマー樹脂を含む水性ポリマー組成物
EP1176155B1 (en) Process for producing vinyl alcohol polymer compositions
JP2019023317A (ja) アセタール化したポリビニルアルコールのバリアコーティング材
CN104861402A (zh) 一种可完全生物降解农用地膜及其制备方法
Ni et al. Glyoxal improved functionalization of starch with AZC enhances the hydrophobicity, strength and UV blocking capacities of co-crosslinked polymer
Rogovina et al. Biodegradable polymer composites based on polylactide and cellulose
US8633254B2 (en) Preparation of gels derived from carboxymethyl cellulose alkali metal salt
JP2000095994A (ja) ガスバリア性のコーティング剤
JP2002138109A (ja) ビニルアルコール系重合体組成物の製造方法
Menzel et al. Impact of the coating process on the molecular structure of starch‐based barrier coatings
WO2018053625A1 (en) Chitosan-reinforced urea-formaldehyde adhesives for wood composite manufacturing
JP5060063B2 (ja) 接着剤組成物
JP2000095993A (ja) ガスバリア性コーティング剤
JP2021021063A (ja) 機能性膜状体、およびその製造方法
KR20190092877A (ko) 셀룰로오스 나노파이버를 포함하는 코팅액 조성물
US3649334A (en) Nonblocking adherent cellulose film
Shulga et al. Influence of organic plasticizers on sensory, physical-mechanical properties and chemical changes of biodegradable films