JP2003236382A - 水性ガスシフト反応用触媒 - Google Patents

水性ガスシフト反応用触媒

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JP2003236382A
JP2003236382A JP2002036845A JP2002036845A JP2003236382A JP 2003236382 A JP2003236382 A JP 2003236382A JP 2002036845 A JP2002036845 A JP 2002036845A JP 2002036845 A JP2002036845 A JP 2002036845A JP 2003236382 A JP2003236382 A JP 2003236382A
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catalyst
gas shift
water gas
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Tomoaki Adachi
倫明 足立
Yasushi Sato
康司 佐藤
Tadao Miyama
忠夫 深山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水素製造プロセスにおける水性ガスシフト反
応工程において用いられる従来の水性ガスシフト反応用
触媒である銅亜鉛系触媒は、触媒活性が未だ満足できる
レベルにないため、容量の大きな反応器が必要となり、
水素製造装置のコンパクト化や起動性の向上に対してネ
ックとなっている。本発明では、触媒重量当たりのBE
T表面積が大きく良好な触媒活性を有する水性ガスシフ
ト反応用触媒を提供する。 【解決手段】 少なくとも銅、酸化亜鉛およびアルミナ
を含む水性ガスシフト反応用触媒であって、アルミナを
主骨格とし、該アルミナを核として銅および亜鉛を含む
成分を共沈法により形成したことを特徴とする水性ガス
シフト反応用触媒。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性ガスシフト用
触媒およびその製造方法に関し、さらには該水性ガスシ
フト反応用触媒を用いた水素製造装置並びに該水素製造
装置で製造された水素を用いた固体高分子形燃料電池シ
ステムに関する。
【0002】
【従来の技術】水素製造、とりわけ高純度な水素製造に
対するニーズは、近年の燃料電池をはじめとするクリー
ンエネルギー開発の加速により従来にも増して高まりつ
つある。その中でも、従来の大規模プラントにおける水
素製造装置(HPU)とは異なる、自動車等の移動体に
おける水素製造、いわゆるオンボード水素製造技術や、
中〜小規模のコジェネレーションシステムでの水素製造
技術など、小型で簡便に水素を取り出す技術が強く要請
されている。また、システムの起動時間短縮や負荷応答
性などの観点からは、触媒の容量減や熱容量の軽減化が
求められている。しかしながら、そのようなコンパクト
性やシステムの簡便さの一方で、得られる水素の純度に
対する要求は緩まる方向にはなく、システム上の制約を
満たしつつも高純度な水素を供給出来ることが必須とな
っている。ことさら、近年著しい進歩をとげつつある固
体高分子型燃料電池などに供給するための水素製造装置
においては、その低い動作温度ゆえの電極被毒による起
電力低下の問題が厳しく、該燃料電池に導入される水素
の化学的純度はより一層高いことが要求されている。
【0003】水素製造のプロセスは灯油、軽油などの石
油系燃料やメタノール、ジメチルエーテルなどの含酸素
系燃料を水蒸気により改質し、得られた水素を主成分と
する混合ガス中に含まれるCOを、さらに水蒸気と反応
させて水素収率を上げ、かつ燃料電池にとっての被毒物
質であるCO濃度を低減する、いわゆる水性ガスシフト
反応工程を経、さらに必要に応じてCO選択酸化などの
CO除去工程を設けるのが一般的である。これらの工程
の中で、水性ガスシフト反応工程部分は水素製造プロセ
ス全体としての水素収率に大きく影響し、また現在のと
ころ水素製造の他の工程に比べ触媒活性が低いことが原
因で容量の大きな反応器が必要とされ、コンパクト化や
起動性の向上に対してネックになっているのが実状であ
る。
【0004】水性ガスシフト反応用触媒としては、銅亜
鉛系触媒が最も広く用いられている。この触媒は、貴金
属等の高価な材料を使わない点でコスト的に有利である
ことから、燃料電池用に限らず水素製造の場で広く用い
られている。しかしながら、単位体積当たりの触媒活性
としては未だ満足できるレベルにはないため、用いる触
媒量が水素製造プロセス中で最も多くなる傾向にある。
【0005】銅亜鉛系触媒は、通常共沈法により製造さ
れる。この方法では、銅および亜鉛の塩をアルカリ炭酸
塩やアンモニアなどの塩基を用いて塩基性炭酸塩の形で
共沈殿させ、洗浄、乾燥後空気焼成により混合酸化物と
し、使用前に水素気流等で還元して用いるのが一般的で
ある。銅亜鉛系触媒の活性種は還元された金属銅である
が、この金属銅の触媒重量当たりの表面積が触媒活性を
大きく左右し、該表面積を向上させることが銅亜鉛系触
媒改良の指針の一つとなっている。この銅表面積は、触
媒の元素組成(銅/亜鉛比など)や様々な添加剤によっ
てもある程度は制御可能であるが、触媒自体の持つ細孔
による比表面積(BET表面積)と、さらにその中での
銅の分散性との2つの要素が重要であり、これらの要因
はいずれも主として触媒調製の中で沈殿形成の段階に強
く依存しており、調製法の最適化が組成検討に増して重
要であると言われている。
【0006】しかしながら、高表面積の触媒を目的とし
て沈殿形成時の条件、例えば銅および亜鉛塩や塩基の濃
度、pH、滴下速度、滴下順序、滴下温度、攪拌方法お
よび速度など様々な要因の検討がなされて来たにもかか
わらず、それらはいずれも昨今の水性ガスシフト反応装
置に対する厳しい要請に応えうるような触媒提供には至
らず、何らかの画期的な調製手段が求められていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、アルミナ
が発達した細孔を有する高表面積な形状を取っている、
あるいはアルミナの前駆体である各種アルミナゲルを焼
成することにより発達した細孔を有する高表面積な形状
を取り得ることに着目し、鋭意研究した結果、アルミナ
あるいはアルミナの前駆体を予め反応系に導入し、該ア
ルミナあるいはアルミナの前駆体を核として、銅および
亜鉛の沈殿を形成することにより、前記課題が達成でき
ることを見いだし、本発明を完成するに至ったものであ
る。
【0008】すなわち本発明の第1は、少なくとも銅、
酸化亜鉛およびアルミナを含む水性ガスシフト反応用触
媒であって、アルミナを主骨格とし、該アルミナを核と
して銅および亜鉛を含む成分を共沈法により形成したこ
とを特徴とする水性ガスシフト反応用触媒に関する。
【0009】本発明の第2は、前記本発明の第1の水性
ガスシフト反応用触媒において、平均粒子径が1μm以
上のアルミナ粒子を少なくとも5質量%含むことを特徴
とする水性ガスシフト反応用触媒に関する。
【0010】本発明の第3は、前記本発明の第1〜第2
の水性ガスシフト反応用触媒において、アルミナ源とし
てアルミナ前駆体を用い、該アルミナ前駆体を沈殿形成
に先立って反応系に導入し、次いで銅および亜鉛を含む
プリカーサーと沈殿剤により沈殿を形成して得たもので
あることを特徴とする水性ガスシフト反応用触媒に関す
る。
【0011】本発明の第4は、前記本発明の第1〜第2
の水性ガスシフト反応用触媒において、アルミナ源とし
てγ−アルミナを用い、該γ−アルミナを沈殿形成に先
立って反応系に導入し、次いで銅および亜鉛を含むプリ
カーサーと沈殿剤により沈殿を形成して得たものである
ことを特徴とする水性ガスシフト反応用触媒に関する。
【0012】本発明の第5は、前記本発明の第1〜第4
の水性ガスシフト反応用触媒において、アルミナ成分の
触媒重量に占める割合が5〜60質量%であることを特
徴とする水性ガスシフト反応用触媒に関する。
【0013】本発明の第6は、アルミナ前駆体、あるい
はγ−アルミナを微粉末状にして水中に懸濁し、少なく
とも銅および亜鉛を含むプリカーサーの混合物を加え、
次いで沈殿剤を用いて該混合物から共沈法により沈殿形
成を行うことを特徴とする水性ガスシフト反応用触媒の
製造方法に関する。
【0014】本発明の第7は、前記本発明の第1〜第5
の水性ガスシフト反応用触媒を1種以上充填して成る水
性ガスシフト反応装置に関する。
【0015】本発明の第8は、前記本発明の第7の水性
ガスシフト反応装置を含む水素製造装置に関する。
【0016】本発明の第9は、前記本発明の第8の水素
製造装置で製造された水素を用いることを特徴とする固
体高分子形燃料電池システムに関する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に本発明についてさらに詳し
く説明する。本発明における水性ガスシフト用触媒は、
少なくとも銅、酸化亜鉛およびアルミナを含む水性ガス
シフト反応用触媒であり、アルミナを主骨格とし、該ア
ルミナを核として銅および亜鉛を含む成分を共沈法によ
り形成することにより得られる銅亜鉛系触媒である。
【0018】本発明に用いられるアルミナとしてはγ−
アルミナが好ましい。またアルミナ前駆体としては、ベ
ーマイト、ギブサイト、バイアライト等のアルミナ前駆
体ゲルが挙げられる。これらアルミナあるいはその前駆
体の製造方法としては特に制限されず一般的な製法を用
いることが出来る。例えば、原料であるボーキサイトを
一度水酸化アルカリに溶解して水酸化アルミニウムと
し、これを乾燥・焼成してアルミナ前駆体とする方法、
あるいは該アルミナ前駆体さらに高温での焼成を行うこ
とによりγ−アルミナとする方法を挙げることが出来
る。あるいはまた途中で得られる水酸化アルミニウムを
アルカリに溶解させアルミン酸アルカリとし、これと水
酸化アルミニウムを硫酸に溶解した硫酸アルミニウムと
の反応によりアルミナゾルを得た後、これを乾燥・焼成
してγ−アルミナを得る方法もある。これらアルミナ製
造段階での合成方法や乾燥・焼成条件、精製方法などに
よって得られるアルミナの化学的・物理的性質は大きく
異なる。
【0019】本発明においては、通常工業的に汎用とし
て用いられているアルミナをそのまま用いることが出来
るが、本発明において好ましく用いられるアルミナにつ
いて以下に示す。アルミナは前述のように水酸化アルミ
ニウムの熱転移体として様々な結晶状態として存在する
が、本発明において好ましく用いられるアルミナはγ−
アルミナであり、またアルミナ前駆体としては焼成後に
γ−アルミナとなる前駆体が好ましい。具体的にはギブ
サイト、バイヤライト、ベーマイト、擬ベーマイト、ノ
ルストランダイトなどのアルミナ前駆体を例示すること
が出来る。またこれらに帰属しない無定型の前駆体であ
っても、適当な焼成条件下で最終的にγ−アルミナとな
り得るものは用いることが出来る。これらの前駆体の中
で特に好ましいものはベーマイト、擬ベーマイトおよび
ギブサイトである。
【0020】アルミナの純度については特に限定される
ものではないが、主成分である酸化アルミニウム、ない
しはアルミナ前駆体の場合は酸化アルミニウムの部分水
和物を合わせた純度が通常90質量%以上であるものが
好ましく、より好ましくは95質量%以上、さらに好ま
しくは98質量%以上である。アルミナに含まれる不純
物としては、アルミナ生成過程のアルミン酸塩、硫酸ア
ルミニウム等のアルミニウム塩、水酸化アルカリ、その
他アルミニウム以外の金属塩や水酸化物、酸化物などが
含まれる場合があり、これらの濃度が10質量%以上で
は、不純物により後の共沈工程で沈殿形成の条件に再現
性がとれなかったり、あるいは不純物自体のもつ被毒作
用などが起こる場合があるため本発明に好ましくない。
【0021】次にアルミナの細孔分布等の表面性状につ
いて説明する。アルミナの細孔分布等の表面性状に関し
ては、γ−アルミナとその前駆体では大きく異なるた
め、前駆体の場合には焼成後にγ−アルミナとなった場
合について説明する。γ−アルミナは焼成後に発達した
細孔を有し、その比表面積は通常50m2/g以上、好
ましくは100m2/g以上、さらに好ましくは150
2/g以上の範囲である。また細孔容積は通常0.2
〜0.8cm3/g、好ましくは0.25〜0.75c
3/g、さらに好ましくは0.3〜0.7cm3/gの
範囲である。
【0022】アルミナの形状については、本発明では共
沈反応に際してアルミナをサスペンド(懸濁)の状態で
用いるため、例えば粒状などに成形した状態でも用いる
ことが出来るが、水などの溶媒に対する分散性から微粉
末状のアルミナが好ましく用いられる。その場合、アル
ミナの粒径は通常平均粒径として1〜200μm、好ま
しくは3〜100μm、さらに好ましくは5〜50μm
の範囲である。200μmよりも粒子径が大きい場合に
は、反応系中にアルミナ粒子を均一にサスペンドする事
が困難になるため好ましくなく、またアルミナ粒径が1
μmよりも小さい場合には、アルミナの外表面の割合が
相対的に増え、触媒骨格としてアルミナ粒子が存在する
という本発明の特徴が薄れ、触媒重量あたりの活性が低
下する傾向にあるために好ましくない。また上記の範囲
内の粒径を有するアルミナを用いた場合、最終的に得ら
れる触媒を例えば透過型電子顕微鏡などで観察すると、
元素マッピング等の手法により用いた粒径に近いアルミ
ナの粒子が触媒の核として存在することを確認すること
が出来る。
【0023】以上のようなアルミナもしくはアルミナ前
駆体を用いて、本発明の水性ガスシフト反応用触媒であ
る銅亜鉛系触媒を製造する方法を以下に示す。一般に、
銅亜鉛系触媒は共沈法により製造される。具体的には、
銅および亜鉛の硝酸塩、硫酸塩、塩化物、酢酸塩等の可
溶性塩、あるいはそれらの混合物の水、あるいはエタノ
ール等アルコール類、あるいはアセトンなどの溶液に、
炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、
炭酸水素カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモ
ニウムなどの塩基性塩の溶液を添加し、銅および亜鉛を
水酸化物、炭酸塩、あるいはドーザサイト等これらの複
塩の形で共沈させる方法が一般的である。
【0024】本発明の水性ガスシフト反応用触媒の製造
方法においては、前述の共沈操作に先立って、アルミナ
またはアルミナ前駆体を系に先に導入しておくのが好ま
しい。すなわち、アルミナゲルまたはアルミナ粉末を水
あるいは有機溶媒に予めサスペンドしておき、ここに銅
および亜鉛の塩の溶液を添加し、次いで共沈操作を行わ
せる。サスペンドに用いる分散媒は、その後の沈殿形成
に用いる溶媒と一致していることが好ましいが、異なっ
ている場合でも銅および亜鉛の塩がその溶媒と分散媒の
両方に可溶であるなら分散媒として用いることが出来
る。例えば、銅および亜鉛の塩として硝酸銅と硝酸亜鉛
を用いる場合に、予めアルミナをサスペンドした水に該
塩混合物のエタノール溶液を加えても良い。しかしなが
ら、工業的な使用や反応後処理の容易さから、水溶液を
用いるのが好ましい。また、銅および亜鉛の塩をサスペ
ンド用分散媒に予め溶解させておくことも可能である。
即ち、銅および亜鉛の溶液を作っておき、ここにアルミ
ナを加えてサスペンド状態にしても良い。また銅および
亜鉛は同時に加える必要はなく、例えば一方を先にアル
ミナ懸濁液に接触させ、一定時間後にもう一方を加える
などの方法を採っても良い。
【0025】分散状態のアルミナに銅および亜鉛の塩が
加えられると、あるいは銅および亜鉛の塩の溶液にアル
ミナが加えられると、アルミナの細孔内に銅および亜鉛
の塩が吸着される。この吸着は、用いるアルミナの性
状、銅および亜鉛の塩の種類、各々の濃度、接触時間、
温度、攪拌速度などによりその度合いが異なる。銅およ
び亜鉛の塩種としては、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、燐酸
塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、クエン酸塩、乳酸
塩、グルコン酸塩などを用いることが出来、このなかで
は硝酸塩、酢酸塩が特に好ましい。またこれら塩は1種
単独あるいは2種以上の混合物としても用いることが出
来、例えば銅塩、亜鉛塩それぞれの2種類混合や、ある
いは銅塩と亜鉛塩の種類を変えて混合塩として用いても
良い。
【0026】本発明において触媒重量あたりのアルミナ
の含有量は、銅および亜鉛の分散/凝集の状態を決める
上で重要な要素であり、該触媒が還元反応後に実際に触
媒として機能している状態での各元素の状態、即ち銅は
金属銅、亜鉛は酸化亜鉛、アルミニウムはアルミナの状
態での触媒重量当たりの含有率にして、通常5〜60質
量%、好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは
15〜40質量%の範囲である。5質量%より小さいと
得られる触媒のBET表面積が減少し十分な触媒性能を
発揮できないため好ましくなく、60質量%より大きい
と、銅および酸化亜鉛の割合が減少し十分な触媒性能を
発揮できないため好ましくない。また銅および酸化亜鉛
の重量比、あるいは銅および酸化亜鉛各々の含有率に関
しては特に制限されないが、銅および酸化亜鉛ともに通
常10〜70質量%、好ましくは20〜50質量%の範
囲である。
【0027】銅および亜鉛以外に共沈時に沈殿させる添
加物を加えても良く、その場合には銅および亜鉛の塩を
加える段階で加えても良いし、あるいは銅および亜鉛よ
りも含浸時間を長くとりたいときには銅および亜鉛より
前に、逆に含浸時間を短くしたいときには後で加えても
良い。銅および亜鉛以外に加える金属種としては、ベリ
リウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、
バリウムなどのアルカリ土類金属、スカンジウム、イッ
トリウム、ランタノイドなどの希土類金属、バナジウ
ム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル等の遷
移金属、ガリウム、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウ
ム、錫、鉛、ビスマス等を例示することが出来る。この
中で、ジルコニウム、マグネシウム、カルシウム、イッ
トリウム、マンガン、鉄が特に好ましい。これら元素を
加える場合には、触媒重量あたりの含有率にして20質
量%以下、好ましくは10質量%以下、さらに好ましく
は7質量%以下の範囲が望ましい。
【0028】次に、アルミナが銅および亜鉛の塩溶液に
接してから一定時間経過後に塩基等の沈殿剤を滴下して
沈殿を形成するが、この沈殿剤滴下までの時間は、金属
塩がアルミナ細孔内に入り吸着される度合いを決定する
意味で重要であり、本発明においては用いるアルミナや
金属塩にもよるが、通常15秒〜12時間、好ましくは
30秒〜4時間、より好ましくは1分〜2時間、最も好
ましくは2分〜1時間の範囲である。15秒よりも短い
時間では、アルミナ細孔内への金属塩吸着が十分に起こ
らないおそれがあり、また12時間を超える時間では生
産性が低く工業生産に適さない。
【0029】またこのときの液温は、用いるアルミナや
金属塩種類、溶媒などにより最適値が異なるため一概に
は言えないが、通常−5℃〜80℃、好ましくは0℃〜
70℃、より好ましくは5℃〜60℃の範囲である。液
温が−5℃よりも低いと水溶液の場合凝固や析出が起こ
るおそれがあり、また80℃よりも高い場合には塩の種
類によってはアルミナが加水分解等の反応により変質す
るおそれがあり、どちらの場合にも好ましくない。
【0030】また分散するアルミナを除き、銅および亜
鉛を含む金属塩混合物の濃度は、用いるアルミナ種類や
金属塩種、沈殿剤、反応器、製造スケールなどにより最
適値が異なるため一概には言えないが、通常0.01〜
5mol/L、好ましくは0.05〜3mol/L、さ
らに好ましくは0.1〜2mol/Lの範囲である。銅
および亜鉛を含む金属塩混合物がアルミナに含浸された
状態から、沈殿剤を加えて共沈により沈殿を形成する。
このときに用いる沈殿剤としては、水酸化カリウム、水
酸化ナトリウムなどの苛性アルカリ、炭酸カリウム、炭
酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムなどの炭
酸(水素)塩、シュウ酸あるいはシュウ酸ナトリウム、
シュウ酸カリウム等のシュウ酸塩、アンモニア水、炭酸
水などが好ましく用いられる。またアンモニアや炭酸ガ
スはガスとして系内に直接吹き込んでも良い。また反応
系内でこれらの物質を生成出来る化合物、例えば尿素な
どを用い、系中で加熱などの操作により沈殿剤を発生さ
せるいわゆる均一沈殿法を用いても良い。
【0031】これら沈殿剤は、沈殿形成後に銅および亜
鉛を含む金属塩混合物が対応する水酸化物、炭酸塩、塩
基性炭酸塩、シュウ酸塩などの形を形成するのに要する
化学量論量の通常0.8〜5倍、好ましくは0.9〜3
倍、さらに好ましくは1.0〜2倍量を用いる。沈殿剤
の濃度は用いる沈殿剤種により著しく異なり、例えばガ
スを直接吹き込むような場合には濃度が実質的に定義出
来ないが、例えば炭酸アルカリなどの固体沈殿剤を溶液
にして用いる場合には、通常0.01〜10mol/
L、好ましくは0.05〜5mol/L、さらに好まし
くは0.1〜3mol/Lの範囲である。
【0032】沈殿剤の滴下速度に関しては、同様に用い
る沈殿剤の種類により著しく異なるため一概には言えな
いが、上記の量の沈殿剤を通常5秒〜12時間、好まし
くは10秒〜6時間、さらに好ましくは30秒〜3時
間、最も好ましくは1分〜1時間かけて滴下する。ただ
し尿素などを用いる均一沈殿法の場合にはこの限りでは
なく、沈殿剤としては短時間に加えても良く、その後加
熱等により化学反応により沈殿形成に実際に寄与する成
分の生成が律速となる。
【0033】以上説明した沈殿剤を、アルミナをサスペ
ンドした銅および亜鉛を含む金属塩溶液中に加えて沈殿
を形成する方法について以下に説明する。本発明におい
ては、サスペンドしたアルミナを核として沈殿形成を行
う目的上、不均一下で十分な攪拌を行いながら沈殿形成
を行うことが好ましい。この目的で、例えばメカニカル
攪拌機やホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル
などといった攪拌能力の高い反応系を用いることが好ま
しい。また沈殿剤を滴下する際、あるいは沈殿剤がガス
の場合にはガスを吹き込む際にも、十分な攪拌下で沈殿
剤を加えることが望ましい。
【0034】沈殿剤の滴下終了後、すぐに沈殿の濾過等
の後処理に移っても良いが、滴下後系が完全に均一にな
るまでさらに攪拌を継続する方が好ましい場合もある。
例えば10秒〜2時間、好ましくは30秒〜1時間攪拌
を継続する方が好ましい。また、攪拌終了後、一定の時
間得られた沈殿を懸濁状態で放置するいわゆる熟成工程
を設けることが好ましい場合が多い。熟成は、滴下終了
後のそのままの温度あるいは濃度で行っても良く、また
加温や冷却など温度を変化させても良く、また適当に溶
媒で希釈してから熟成させても良い。
【0035】その後得られた沈殿を濾過、遠心分離等の
手段により単離する。得られた粗沈殿は、多くの場合沈
殿形成反応の副生成分である塩や過剰分の沈殿剤などが
含まれており、これらを洗浄により除去することが望ま
しい場合が多い。特に水酸化アルカリや炭酸アルカリ等
のアルカリ金属を含む沈殿剤を用いた場合には、アルカ
リ金属が最終的に触媒上に残留すると銅や亜鉛成分の結
晶化が促進されて比表面積の縮小等好ましくない変化が
生じやすくなるために、これら金属成分を除去すること
が特に好ましい場合が多い。その場合、例えば得られた
粗沈殿を水中にサスペンドした後に濾過する工程などを
繰り返すことによって、目的とする濃度にまで不純物を
低減させることが出来る。
【0036】このようにして得られた金属混合物を含む
沈殿は、通常加熱炉や熱風炉などで乾燥される。乾燥の
温度としては通常40〜200℃、好ましくは60〜1
50℃の範囲である。40℃よりも低い温度では乾燥が
十分に行えないおそれがあり、また200℃を越える温
度では乾燥だけでなく脱炭酸等塩の化学変化を起こすお
それがあるため、乾燥の段階では200℃以上にしない
方が好ましい。乾燥時間は乾燥方法との兼ね合いであ
り、沈殿を十分に細かく粉砕した状態で乾燥する場合
や、あるいは風量の多い乾燥炉を用いる場合などは短時
間で良く、沈殿を堆積したまま乾燥する場合などには数
時間から場合によっては数日間乾燥を行う場合もある。
【0037】乾燥により水や有機溶媒等をあらかた除去
した沈殿分は、焼成により酸化物の混合物にされる。該
焼成の温度は通常200〜1000℃、好ましくは25
0〜800℃、より好ましくは300〜600℃の範囲
である。200℃を下回る場合には焼成の目的である水
和水や炭酸の除去が十分に行えないおそれがあり、また
γ−アルミナでなく、バイヤライト、ギブサイト、ベー
マイト等のアルミナ前駆体を用いる場合には、これら前
駆体のγ−アルミナへの転移温度に達しないとγ−アル
ミナへの転移が十分に起こらない場合がある。一方、焼
成温度が1000℃を越える場合には分散状態にある酸
化物混合物の表面積が減少するおそれがあるためどちら
の場合も好ましくない。また焼成温度を経時的に変化さ
せるいわゆるタイムプログラム法を用いても良く、例え
ばある温度勾配で一定温度まで昇温し、一定時間温度を
保持した後にさらに昇温するなどの方法もしばしば採ら
れる。
【0038】焼成の時間としては、通常15分〜48時
間、好ましくは30分〜24時間、さらに好ましくは1
〜12時間の範囲である。15分以下では十分な焼成が
行えず、炭酸塩や水酸化物などの残基が残るおそれがあ
り、また48時間を超える場合には、反応的には特に支
障がない場合が多いが、工業的には生産性が低く好まし
くない。
【0039】このようにして得られた銅および亜鉛を含
む混合酸化物を触媒として用いるのに際しては、適当な
方法によりペレットや球などの形状に成型するのが一般
的である。成型の方法としては、押し出し成形や錠剤成
形などを用いることが出来る。また、成形性を向上させ
る目的でカーボンブラック(グラファイト)等を添加し
ても良い。グラファイトを添加する場合には、通常15
質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲で加え
る。カーボン量が15質量%を越えると相対的に銅など
の活性成分の重量比率が下がることになり、見かけの活
性が低下することになり好ましくない。また成形に当た
っては焼成後の混合酸化物を粉砕器や微粒化装置、また
は乳鉢などを用いて微粉末にし、さらにふるいなどによ
り粒度(メッシュ)をそろえるなどの工程を用いる場合
もある。こうして得られた粉末を、通常は押し出し成形
や加圧成形を用いて球や円柱、角柱、その他異型に加工
して用いる。
【0040】また、本発明の水性ガスシフト反応用触媒
は、使用前に水素気流等により還元して用いることが好
ましい。還元方法としては、触媒を反応器に充填した状
態で還元する方法、あるいは別のリアクターで還元を行
った後に、CO2やO2を徐々に加えることにより表面だ
けを酸化させて不活性化(パッシベート)させる方法な
どが挙げられる。
【0041】本発明の水性ガスシフト反応用触媒を水素
ガスにより還元する場合の反応条件としては、用いるガ
ス種や還元すべき触媒のスケールなどによるために一概
には言えないが、以下に示す条件にて行うのが好まし
い。まず還元に用いるガスとしては、純水素あるいは水
素を含む水素/窒素、水素/ヘリウム、水素/アルゴン
等の希釈ガス、その他COあるいはCOの希釈ガス等を
用いることもできる。これらガス中に含まれる還元性ガ
ス、すなわち水素あるいはCOの濃度は、通常0.01
容量%以上、好ましくは0.02容量%以上の範囲であ
る。0.01容量%未満の還元性ガス濃度では、触媒が
全て還元されるまでに多くのガス量が必要となり、工業
的に好ましくない。これらのガスは、還元反応を通して
同一の組成で用いる場合もあるが、適当な昇温条件と組
み合わせて組成を変化させることが好ましい。例えば、
典型的な銅亜鉛系触媒の場合、その還元反応は一般に1
50℃〜180℃付近の温度を下限として反応が進行す
ると言われており、この温度領域を徐々に昇温させなが
ら通過する方法や、あるいは反応が進行する温度領域で
昇温を一時的に中止し、ガス中の還元性ガスの濃度を徐
々に上げるなどの方法が好ましく用いられる。
【0042】以上説明してきた工程を経て得られる銅亜
鉛系触媒は、既存のアルミナないしはアルミナ前駆体を
沈殿形成操作に先だって加えているため、得られた触媒
の物理・化学的な特徴として以下の2点が挙げられる。
【0043】第一に、アルミナを加えない触媒系、ある
いはアルミニウム成分を加える系であっても従来の方法
のように銅および亜鉛の成分と同時にアルミニウム成分
を加える方法では、銅および亜鉛を含まないアルミナの
みの成分が単独で凝集することはほとんどあり得ない
が、本発明の触媒においては、銅および亜鉛を含まない
骨格としてアルミナ単体成分が残っており、例えば高倍
率の電子顕微鏡などでは元素マッピングなどによりアル
ミナ骨格の存在を確認することが出来る。
【0044】第二に、発達した細孔を有するγ−アルミ
ナ、あるいは前駆体を用いた場合には触媒の焼成により
最終的に生成されるγ−アルミナに由来する細孔が、例
えばBET細孔分布などを測定することにより明らかに
なる。具体的には、触媒調製中に細孔の閉塞などが起き
ない限り、通常のγ−アルミナに由来する2〜5nmの
細孔分布におけるピークが観察され、多くの場合通常の
銅亜鉛系のみの触媒で観察される細孔分布とは異なるピ
ークとして独立に存在し、細孔分布全体での極大点が2
つ以上あるバイモーダルになる場合が多い。また用いる
アルミナの重量比にもよるが、高比表面積のアルミナを
添加した効果により、触媒自体の比表面積も増大するこ
とが多い。以上のような特徴により、本発明の触媒は既
存のアルミナ細孔を利用することにより、活性種である
銅をより効率的に分散させ、触媒単位重量あたりのCO
転化率を向上させることが出来る。
【0045】次に、本発明の水性ガスシフト反応用触媒
を用いて水素を製造する方法について説明する。本発明
における水素製造とは、炭化水素やアルコール、エーテ
ル類などの含酸素炭素化合物を水蒸気改質、部分酸化、
あるいはそれらを組み合わせた自己熱改質等の改質反応
により水素を多く含むガス混合物を得た後、水性ガスシ
フト反応により水素濃度を高めた後、必要に応じてCO
除去工程を設ける水素製造を意味する。
【0046】一般に水素製造の原料としては、メタン、
エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シク
ロペンタン、シクロヘキサン、ドデカンなどの飽和脂肪
族炭化水素あるいは飽和脂環式炭化水素、エチレン、プ
ロピレン、ブテンなどの不飽和脂肪族炭化水素、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの芳香族炭化
水素を挙げることができる。また、これらの混合物も好
適に使用できる。具体的には、天然ガス、LPG、ナフ
サ、ガソリン、灯油、軽油、メタンハイドレートなど工
業的に安価に入手できる材料を挙げることができる。ま
た酸素などのヘテロ原子を含む置換基を有する炭化水素
化合物類も使用することができる。これらの具体例とし
ては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノ
ール、ジメチルエーテル、フェノール、アニソール、ア
セトアルデヒド、酢酸などを挙げることができる。な
お、原料が上記した化石燃料系炭化水素化合物の場合
は、改質に要する温度条件が含酸素炭化水素化合物に比
べてより高温が必要である場合が多く、改質後のガス組
成中にCOがより多く含まれる傾向にあるため、本発明
の水性ガスシフト反応用触媒によるシフト反応がより一
層重要な意味を持つ。すなわち、本発明の水性ガスシフ
ト反応用触媒は、化石燃料系の水素製造用原料を用いた
場合により有効性を発揮できると言い換えられる。
【0047】このような水素製造用原料を、必要に応じ
て脱硫等の前処理工程を経た後に水蒸気改質、自己熱改
質、あるいは部分酸化により改質する。改質の方法とし
ては、一般に固定床式触媒を用いた反応器に水素製造用
原料と水を、原料の相状態のまま、あるいはナフサや灯
油、水等は気化器等により気化させた後、あるいはメタ
ンハイドレートなど固体原料の場合には融解または昇華
したのち導入し、適当な温度、圧力条件下で反応を行
う。
【0048】改質反応の具体的な条件として、灯油を水
素製造用原料として用いる場合の水蒸気改質、自己熱改
質反応の場合を例にしてそれぞれについて以下説明す
る。まず水蒸気改質の場合には、改質触媒体積当たりの
空間速度LHSVに換算して毎時0.01〜40h-1
好ましくは0.05〜20h-1、さらに好ましくは0.
1〜10h-1の灯油を導入する。LHSVが毎時40h
-1を越える流量では、現段階の改質触媒の活性からして
十分な改質反応が得られないおそれがあり、また毎時
0.01h-1下回る場合には改質能力的には十分である
が水素製造能が低く実用的ではない。
【0049】該改質反応は原料と水(スチーム)との反
応であるため、反応系に必須の成分としてスチームを導
入する必要がある。スチームの量は、原料炭化水素化合
物に含まれる炭素原子モル数に対する水分子モル数の比
(スチーム/カーボン比)として定義され、通常この値
は0.3〜10であることが好ましく、より好ましくは
0.5〜5、さらに好ましくは1〜3であることが望ま
しい。この値が上記範囲より小さい場合には触媒上にコ
ークが析出しやすく、また水素分率を上げることが出来
なくなり、一方、大きい場合には改質反応は進むがスチ
ーム発生設備、スチーム回収設備の肥大化を招く恐れが
ある。
【0050】次に、自己熱改質の場合について説明す
る。自己熱改質の場合には、上記水蒸気改質反応系に水
蒸気改質の吸熱反応をバランスできる熱量を発生し得る
程度の酸素を添加するが、熱のロスや必要に応じて設置
する外部加熱と関係において適宜添加量は決定される。
その量は通常、原料炭化水素化合物に含まれる炭素原子
モル数に対する酸素分子モル数の比(酸素/カーボン
比)として0.05〜1であることが好ましく、より好
ましくは0.1〜0.75、さらに好ましくは0.2〜
0.6であることが望ましい。酸素/カーボン比が上記
範囲より小さい場合発熱が少ないため外部から多量の熱
供給が必要となり、水蒸気改質と実質的に変わらないも
のとなる。一方、酸素/カーボン比が上記範囲より大き
い場合には過剰の発熱のため熱バランスが取り難く、酸
素により水素あるいは一酸化炭素が燃焼によって消費さ
れ変成ガス得率が減少する、酸素源として空気を用いた
場合不活性成分である窒素の分圧が高くなる、などの弊
害がある。
【0051】酸素は純粋な酸素でも良いが、他のガスで
希釈されている状態のものも好適に使用でき、水蒸気、
二酸化炭素、一酸化炭素、アルゴン、窒素などを含んで
いても良く、例えば空気が好適に使用される。
【0052】上記水蒸気改質、自己熱改質ともに反応温
度としては200〜1000℃、好ましくは300〜9
00℃、さらに好ましくは500〜800℃の範囲であ
る。前述のように水蒸気改質の場合には反応が吸熱反応
であることから、上記温度を保つために外部加熱が必要
であるが、自己熱改質の場合には反応熱の収支が0に近
いため、原理的には熱の出入りがないことになるが、反
応装置の形状や断熱性によっては、上記温度範囲を保つ
ために補佐的に加熱や冷却を施す必要がある場合もあ
る。
【0053】上記水蒸気改質、自己熱改質ともに、圧力
条件に関しては特に制限されないが、通常常圧〜1MP
a、好ましくは常圧〜0.2MPaの範囲で行われる。
このようにして得られた改質ガスは、水素を主成分とす
るが、他の成分としてCOやCO2が含まれ、また自己
熱改質のように酸素や空気を系に導入する場合には空気
中のN2や未反応のO2も含まれる。COがスチームを除
くガス成分中に占める組成比はガス中CO分子のモル比
率にして、メタノール改質のように低温、穏和な条件下
での反応の場合には1〜数%であるが、炭化水素の改質
の場合などではそれより多い場合が多く、10%から時
には数10%にのぼる場合もある。このCOを次に水
(スチーム)と反応させ、目的とする水素に変換し、同
時にCO濃度を下げるために以下に述べる水性ガスシフ
ト反応を行う。
【0054】水性ガスシフト反応の反応条件は、用いる
触媒の種類や改質ガス(シフト入り口ガス)の組成によ
り異なるため一概には言えないが、反応温度としては通
常120℃〜500℃、好ましくは140℃から450
℃の範囲で行われる。反応温度が120℃を下回ると活
性が著しく低下し、COを目的とする濃度にまで変換す
ることが困難な場合が多く、また500℃を越える場合
は、平衡組成的にCO濃度が高い状態が有利になり、こ
の場合にもCO濃度を下げることが困難となり、どちら
の場合も好ましくない。ただし、本発明の水性ガスシフ
ト反応用触媒を用いる場合の反応温度は、通常120℃
〜350℃であることが好ましく、140〜300℃で
あることが特に好ましい。本発明の水性ガスシフト反応
用触媒を用いて350℃以上の反応温度を長期に継続す
ると、シンターリング等の熱劣化が促進されるおそれが
あるために好ましくない。
【0055】またGHSV値(空間速度)に関しては、
通常100〜50000h-1、好ましくは200〜20
000h-1、さらに好ましくは300〜10000h-1
の範囲である。GHSV値が100h-1を下回る場合に
は、CO低減の観点からは有利であるが、触媒量の増大
や、ひいては装置容積の増大につながり、工業的観点か
ら好ましくない。GHSV値が50000h-1を越える
場合には、現在の水性ガスシフト用触媒の活性では満足
な転化率でCOを変換することは困難であり、この場合
も反応工学的見地から好ましくない。
【0056】ところで、水性ガスシフト反応の工程にお
いては、以上のような理由から反応を一段で完結させる
代わりに、反応器を2段以上に分割する、いわゆる多段
反応の形態も好ましく用いられる。本発明において多段
反応とは、水性ガスシフト反応を複数の温度条件下で逐
次的に行うことを総称し、具体的には触媒種及び/また
は反応温度帯の異なる複数の反応器を直列に接続した反
応器形態や、あるいは単一の反応器であっても内部を複
数の触媒層及び/または反応温度領域に分割できる反応
器形態を例示することが出来る。また1つの反応器内で
複数の触媒を粒子同士で混合してその組成比を段階的あ
るいは連続的に変化させる場合や、あるいは反応器の入
り口側と出口側で温度差を付けるいわゆる温度勾配型反
応器なども、分割段数の多い多段反応器としてこの範疇
に含まれる。
【0057】以下、水性ガスシフト反応工程を2段に分
割する場合について説明する。水性ガスシフト反応を2
段で行う際の各工程はHTS(高温シフト反応)、LT
S(低温シフト反応)と称され、前段HTSを前述の反
応条件中比較的高温条件で、後段LTSを比較的低温条
件で行う場合が多い。本発明の銅亜鉛系触媒は、主とし
てLTSに適しており、この場合貴金属系や鉄クロム系
などのHTSの後段用として好ましく用いられる。HT
Sを用いる際の温度条件としては、用いる触媒系や目的
とするHTS出口ガス組成にもよるが、通常200℃〜
500℃、好ましくは250℃〜450℃の範囲であ
る。またHTSの後段にLTSを配置する場合でも、L
TSの温度条件としては、通常120℃〜350℃、好
ましくは150℃〜300℃の範囲で行われる。
【0058】水性ガスシフト反応工程を経て得られた水
素を含む混合ガスは、必要に応じてさらにCO選択酸化
工程などのさらなるCO除去工程を設けることにより、
CO濃度の低い高純度な水素が要求される用途に利用で
きる。特に、近年進歩が著しい固体高分子形燃料電池な
ど、COによる電極被毒が起こりやすく導入ガスへのC
O濃度上限が厳しい用途に於いて本発明はことさら利用
価値が高い。
【0059】本発明は、前記水性ガスシフト反応用触媒
を1種以上充填して成る水性ガスシフト反応装置を提供
するものでもあり、さらに該水性ガスシフト反応装置を
含む水素製造装置を提供するものでもある。さらに該水
素製造装置で製造された水素を用いた固体高分子形燃料
電池システムを提供する。
【0060】
【実施例】以下に実施例を挙げ本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0061】[実施例1]市販のγ−アルミナ(住友化
学工業社製BK−105)5.0gをホモミキサー攪拌
下純水1.0L中にサスペンドし、次いでここに市販の
硝酸銅水和物(ナカライ試薬社製)31.7gおよび硝
酸亜鉛水和物(ナカライ試薬社製)38.1gの混合物
水溶液300mLを室温で素早く加えて、室温で1時間
攪拌を続けた。その後、炭酸ナトリウム(和光純薬試薬
社製)35.0gの水溶液300mLを、ローラーポン
プによりホモミキサー攪拌下室温にて5mL/分の滴下
速度で滴下した。滴下後生成した沈殿を35℃で24時
間放置して熟成させ、その後、デキャント操作により上
澄みを除去し、再び水で希釈した。このデキャント/希
釈の操作を4回繰り返し、その後吸引濾過で固形分のみ
を得た後、該固形分を再び純水中にサスペンドして吸引
濾過する作業を4回繰り返して、沈殿を十分に水洗し
た。
【0062】得られた沈殿を120℃で24時間乾燥さ
せた後、150℃で1時間、200℃で1時間、250
℃で1時間、300℃で1時間、350℃で1時間、4
00℃で4時間、空気流通下で焼成した。得られた黒色
粉体に2質量%のグラファイト(日本黒鉛社製SP−1
0)を添加し、粉体を乳鉢で微粉化し、100μmメッ
シュの金網ふるいによりスクリーンした。この微粉体を
40MPaの圧力で直径2mm、高さ2mmの円筒形状
に成形することにより、銅亜鉛系触媒(触媒1)を得
た。
【0063】触媒1を直径1.27cmの固定床式反応
管に3mL充填し、1容量%H2/N2ガスを150mL
/分の流量で流通しながら室温から1時間かけて150
℃まで昇温し、150℃に保ったまま流通ガス組成を2
容量%H2/N2に徐々に切り替え、この組成のガスを1
時間流通した後に、180℃まで1時間かけて昇温し
た。次いで180℃で流通ガス組成を5容量%H2/N2
に徐々に切り替え、この組成のガスを1時間流通した。
さらに流通ガスを10容量%H2/N2に徐々に切り替え
たのちに、反応管温度を200℃まで30分かけて昇温
し、200℃に達した後に流通ガスを100%H2に切
り替えてさらに1時間還元を行った。ここに、モル比の
ガス組成がCO2/CO/H2/H2O=10/10/4
9/31の組成の水性ガスを、水蒸気を含むウェット流
量で500mL/分で加え、触媒層温度を140℃〜2
80℃まで変化させながらCO転化率を測定したとこ
ろ、触媒層温度が192℃でCO転化率が最大となり、
その時のCO濃度は水蒸気を除くドライガス組成で0.
58容量%であった。
【0064】[実施例2]市販のγ−アルミナ(コンデ
ア社製PURALOX SCF a−230)2.5g
を、ホモミキサー攪拌下市販の酢酸銅水和物(ナカライ
試薬社製)9.33gおよび酢酸亜鉛水和物(ナカライ
試薬社製)12.01gの混合物を溶解して40℃に保
温した水溶液600mLに室温で加えサスペンドさせ、
そのまま40℃で15分攪拌を続けた。その後、アルミ
ナをサスペンドした溶液を室温まで冷却し、炭酸ナトリ
ウム(和光純薬試薬社製)11.83gの水溶液200
mLを、ローラーポンプによりホモミキサー攪拌下室温
にて5mL/分の滴下速度で滴下した。滴下後生成した
沈殿を15℃で24時間放置して熟成させ、そののちデ
キャント操作により上澄みを除去し、再び水で希釈し
た。このデキャント/希釈の操作を実施例1と同様に4
回繰り返し、その後吸引濾過で固形分のみを得た後、該
固形分を再び純水中にサスペンドして吸引濾過する作業
を4回繰り返して、沈殿を十分に水洗した。得られた沈
殿を130℃で12時間乾燥させた後、室温から250
℃まで1時間かけて昇温、次いで250℃で1時間、さ
らに250℃から350℃まで2時間かけて昇温、35
0℃で2時間空気流通下で焼成した。得られた黒色粉体
に2質量%のグラファイト(日本黒鉛社製SP−10)
を添加し、粉体を乳鉢で微粉化し、100μmメッシュ
の金網ふるいによりスクリーンした。この微粉体を40
MPaの圧力で直径2mm、高さ2mmの円筒形状に成
形することにより、銅亜鉛系触媒(触媒2)を得た。
【0065】触媒2を実施例1と同様に直径1.27c
mの固定床式反応管に3mL充填し、実施例1と同じ条
件で還元を行った。ここに、実施例1で用いたモル比の
ガス組成がCO2/CO/H2/H2O=10/10/4
9/31の組成の水性ガスを、水蒸気を含むウェット流
量で500mL/分で加え、触媒層温度を140℃〜2
80℃まで変化させながらCO転化率を測定したとこ
ろ、触媒層温度が208℃でCO転化率が最大となり、
その時のCO濃度は水蒸気を除くドライガス組成で0.
62容量%であった。
【0066】[比較例1]市販の硝酸銅水和物(ナカラ
イ試薬社製)31.7g、硝酸亜鉛水和物(ナカライ試
薬社製)38.1g、および硝酸アルミニウム(ナカラ
イ試薬社製)15.32gの混合物水溶液300mL
と、炭酸ナトリウム(和光純薬試薬社製)37.4gの
水溶液300mLを、ローラーポンプによりそれぞれ同
時にホモミキサー攪拌下室温にて1L純水中に1mL/
分の滴下速度で滴下した。滴下後生成した沈殿を35℃
24時間放置して熟成させ、そののちデキャント操作に
より上澄みを除去し、再び水で希釈した。このデキャン
ト/希釈の操作を4回繰り返し、その後吸引濾過で固形
分のみを得た後、該固形分を再び純水中にサスペンドし
て吸引濾過する作業を4回繰り返して、沈殿を十分に水
洗した。得られた沈殿を120℃24時間乾燥させた
後、150℃で1時間、200℃で1時間、250℃で
1時間、300℃で1時間、350℃で1時間、400
℃で4時間、空気流通下で焼成した。得られた黒色粉体
に2質量%のグラファイト(日本黒鉛社製SP−10)
を添加し、粉体を乳鉢で微粉化し、100μmメッシュ
の金網ふるいによりスクリーンした。この微粉体を40
MPaの圧力で直径2mm、高さ2mmの円筒形状に成
形することにより、銅亜鉛系触媒(触媒3)を得た。
【0067】触媒3を実施例1と全く同様の手段を用い
て還元し、実施例1と同様に固定床式反応管に混合ガス
を流通し、触媒層温度を140℃〜280℃まで変化さ
せながらCO転化率を測定したところ、触媒層温度が2
25℃でCO転化率が最大となり、その時のCO濃度は
水蒸気を除くドライガス組成で0.84容量%であっ
た。
【0068】[比較例2]実施例1において、用いる硝
酸銅の量を35.02g、硝酸亜鉛を42.09g、お
よびγ−アルミナ(住友化学工業社製BK−105)を
1.38gにする以外は実施例1と同様の操作を行い銅
亜鉛系触媒(触媒4)を得た。触媒4を原子吸光分析法
により元素分析したところ、触媒中のアルミニウム量は
酸化アルミニウムの質量%として2.8%であった。触
媒4を直径1/2インチの固定床式反応管に3mL充填
し、実施例1と同様の手段により還元処理を行った。こ
こに、モル比のガス組成がCO2/CO/H2/H2O=
10/10/49/31の組成の水性ガスを、水蒸気を
含むウェット流量で500mL/分で加え、触媒層温度
を140℃〜280℃まで変化させながらCO転化率を
測定したところ、触媒層温度が232℃でCO転化率が
最大となり、その時のCO濃度は水蒸気を除くドライガ
ス組成で1.34容量%であった。
【0069】[実施例3]市販の1号灯油を、超深度脱
硫処理により硫黄分0.05ppmまで低減した超深度
脱硫灯油を、2.5質量%ルテニウム/アルミナ系触媒
により改質温度700℃、スチーム/カーボン比3.0
の条件で水蒸気改質して改質ガスを得た。該改質ガス
は、水素が49.0容量%、水蒸気が31.0容量%、
COが10.5容量%、CO2が9.5容量%含まれる
組成であった。これを水蒸気を除くドライガスの組成比
として表すと、水素が71.0容量%、COが15.2
容量%、CO2が13.8容量%含まれる。この改質ガ
スを、シェル/チューブ型水冷式リアクターに導入して
水性ガスシフト反応を行った。該リアクターに実施例2
で製造した銅亜鉛系触媒2を20L充填し、ほぼ常圧条
件下で、触媒層温度が190±20℃になるよう温度コ
ントロールしながら反応を行った。流通ガスの空間速度
は、水蒸気を除いた混合ガスの流量を基準にして240
0h-1であった。このときの出口ガス組成は水素が7
4.1容量%、COが0.4容量%、CO2が25.5
容量%であった。
【0070】[比較例3]水性ガスシフト反応用触媒と
して比較例1で製造した銅亜鉛系触媒3を用いる以外は
実施例3と同様の操作を行ったところ、シフト反応器出
口ガス組成は水素が73.9容量%、COが0.9容量
%、CO2が25.2容量%であった。
【0071】[実施例4]実施例3で用いた超深度脱硫
灯油の改質ガスを、シェル/チューブ型水冷式2段反応
型リアクターに導入して水性ガスシフト反応を行った。
該リアクターの1段目HTS部分に市販の鉄クロム系触
媒(ズードケミー社製C12−4)を8L、2段目LT
Sに実施例2で製造した銅亜鉛系触媒2を20Lそれぞ
れ充填し、ほぼ常圧条件下で、1段目の触媒層温度が3
40±20℃、2段目の触媒層温度が190±20℃に
なるよう温度コントロールしながら反応を行った。流通
ガスの空間速度は、水蒸気を除いた混合ガスの流量を基
準にして1段目で6000h -1、2段目で2400h-1
であった。このときのHTS出口ガス組成は、水蒸気を
除くドライガスの組成比として水素が73.2容量%、
COが3.6容量%、CO2が23.2容量%であっ
た。また、LTSの出口ガス組成は同様に水素が74.
6容量%、COが0.4容量%、CO2が25.9容量
%であった。このシフト反応出口ガスに0.8容量%の
酸素を添加し、α−アルミナ担持Ru触媒層、α−アル
ミナ担持Ru/Pt触媒層、γ−アルミナ担持Ru/R
e/Pt触媒層を通じてCO選択酸化を行い、ドライガ
ス組成でH2が73.8容量%、CO2が26.2容量
%、COが7.5容量ppmのガスを得た。なお選択酸
化のために加えた酸素は検出されなかった。
【0072】[比較例4]シフト反応装置の2段目LT
S部に比較例1で製造した銅亜鉛系触媒3を用いる以外
は実施例4と同様の操作を行った。HTS出口ガス組成
は、実施例4と同じく水蒸気を除くドライガスの組成比
として水素が73.2容量%、COが3.6容量%、C
2が23.2容量%であった。しかし、LTSの出口
ガス組成は水素が74.0容量%、COが0.8容量
%、CO2が25.2容量%であった。このシフト反応
出口ガスに実施例4と同様に0.8容量%の酸素を添加
してCO選択酸化を行ったところ、CO選択酸化出口ガ
スはドライガス組成でH2が73.4容量%、CO2が2
6.6容量%、COが48容量ppmの水素ガスを得
た。なお選択酸化のために加えた酸素は検出されなかっ
た。
【0073】[実施例5]実施例4で製造した水素含有
ガスを、固体高分子形燃料電池の1kWセルスタックに
導入して発電を行ったところ、電流密度200mA/c
2において継続的に0.73±0.025Vの起電力
が観測された。この状態を1000時間継続したとこ
ろ、1000時間後の起電力は0.72Vであり、起電
力低下が起きていないことを確認した。
【0074】[比較例5]比較例3で製造した水素含有
ガスを、実施例5と同様に固体高分子形燃料電池の1k
Wセルスタックに導入して発電を行ったところ、電流密
度200mA/cm2において初期起電力が0.71V
であった。この状態を1000時間継続したところ、2
50時間目から起電力低下が観測され、1000時間後
の起電力は0.61Vであり、顕著な起電力低下が確認
された。
【0075】
【発明の効果】本発明の水性ガスシフト反応用触媒であ
る銅亜鉛系触媒は、触媒重量当たりのBET表面積が大
きく良好な触媒活性を有しており、その結果、水素製造
装置をコンパクト化することが可能となり、燃料電池用
水素製造プロセスに有効に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 深山 忠夫 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日石三 菱株式会社内 Fターム(参考) 4G040 CA02 EA01 EA02 EA03 EA06 EB32 4G069 AA03 AA08 BA01A BA01B BC31A BC31B BC35A BC35B CC26 DA06 FB09 5H026 AA06 5H027 AA06 BA01 BA17

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも銅、酸化亜鉛およびアルミナ
    を含む水性ガスシフト反応用触媒であって、アルミナを
    主骨格とし、該アルミナを核として銅および亜鉛を含む
    成分を共沈法により形成したことを特徴とする水性ガス
    シフト反応用触媒。
  2. 【請求項2】 平均粒子径が1μm以上のアルミナ粒子
    を少なくとも5質量%含むことを特徴とする請求項1に
    記載の水性ガスシフト反応用触媒。
  3. 【請求項3】 アルミナ源としてアルミナ前駆体を用
    い、該アルミナ前駆体を沈殿形成に先立って反応系に導
    入し、次いで銅および亜鉛を含むプリカーサーと沈殿剤
    により沈殿を形成して得たものであることを特徴とする
    請求項1または2に記載の水性ガスシフト反応用触媒。
  4. 【請求項4】 アルミナ源としてγ−アルミナを用い、
    該γ−アルミナを沈殿形成に先立って反応系に導入し、
    次いで銅および亜鉛を含むプリカーサーと沈殿剤により
    沈殿を形成して得たものであることを特徴とする請求項
    1または2に記載の水性ガスシフト反応用触媒。
  5. 【請求項5】 アルミナ成分の触媒重量に占める割合が
    5〜60質量%であることを特徴とする請求項1乃至4
    のいずれかの項に記載の水性ガスシフト反応用触媒。
  6. 【請求項6】 アルミナ前駆体、あるいはγ−アルミナ
    を微粉末状にして水中に懸濁し、少なくとも銅および亜
    鉛を含むプリカーサーの混合物を加え、次いで沈殿剤を
    用いて該混合物から共沈法により沈殿形成を行うことを
    特徴とする水性ガスシフト反応用触媒の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至5のいずれかの項に記載の
    水性ガスシフト反応用触媒を1種以上充填して成る水性
    ガスシフト反応装置。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の水性ガスシフト反応装
    置を含む水素製造装置。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の水素製造装置で製造さ
    れた水素を用いることを特徴とする固体高分子形燃料電
    池システム。
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