JP2003236364A - 水熱反応方法 - Google Patents

水熱反応方法

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JP2003236364A
JP2003236364A JP2002039343A JP2002039343A JP2003236364A JP 2003236364 A JP2003236364 A JP 2003236364A JP 2002039343 A JP2002039343 A JP 2002039343A JP 2002039343 A JP2002039343 A JP 2002039343A JP 2003236364 A JP2003236364 A JP 2003236364A
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hydrothermal
fluid
reactor
hydrothermal reaction
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JP2002039343A
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English (en)
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Hiroshi Obuse
洋 小布施
Kiyoyuki Kitano
清之 北野
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Komatsu Ltd
Kurita Water Industries Ltd
General Atomics Corp
Original Assignee
Komatsu Ltd
Kurita Water Industries Ltd
General Atomics Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水熱反応器の腐食を低減して安全で、かつ長
期的な運転を可能にするとともに、中和剤の使用量を少
なくして低コストで運転することができる水熱反応方法
を提案することである。 【解決手段】 混合槽1に系路11から廃液A、系路1
2から廃液Bを導入し、 【数1】 ([Na]、[K]…は混合廃液に含まれる各原子のモ
ル濃度である。)で示されるZの値が−0.01≦Z≦
+0.01を満足するように混合する。混合廃液13は
水熱反応器2の供給装置2aに送り、ここで酸化剤と混
合し、混合流をレイノルズ数が3000以上となるよう
に水熱反応器2に下向流で供給して水熱反応を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水の超臨界または
亜臨界状態下で酸化反応を行う水熱反応方法、特に廃棄
物の分解を行うのに好適な水熱反応方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】水の超臨界または亜臨界状態下で酸化反
応を行う水熱酸化反応処理は廃液中の物質を短時間で高
レベルまで酸化分解できる技術として注目されている。
水熱酸化反応を行うことにより、被処理液中の有機成分
は二酸化炭素、窒素成分は窒素ガス(条件によってはア
ンモニアや硝酸性窒素も生成する)へと分解される。ま
た、リンや硫黄といったヘテロ原子はそれぞれリン酸イ
オンおよび硫酸イオンにまで酸化される。
【0003】水熱酸化反応実用化の大きな課題として、
処理装置材質の腐食があげられる。一般には被処理液中
に含まれる酸、あるいは水熱反応によって生成する酸に
よる腐食が多いが、アルカリによる腐食についても報告
されている。従来の水熱反応方法では、予め被処理液の
分析を行い、推定酸生成量を求め、それを中和するのに
十分な量の中和剤を反応器供給前(特表平3−5002
64)、あるいは反応後の処理流体に供給する方法で対
処していた(特開平10−314770、特開平11−
156186)。また、中和剤の添加量は、反応終了後
に水熱酸化処理水を減圧・冷却してpHを求め、そのp
Hが腐食の起こりにくい適正値(通常、pH3〜11)
になるように調整することで対応していた。
【0004】一方、実際の水熱反応では複数の廃液を処
理しなければならないケースが多い。このような場合、
各廃液ごとに必要な中和剤量を計算し、各廃液ごとに必
要な中和剤を添加しながら処理するとなると、ある場合
には酸の添加、ある場合にはアルカリの添加などの対応
が必要となる。このような対応は運転管理が煩雑になる
他、複数の中和剤供給手段が必要なりコスト増を招き、
また中和剤の量が多量に必要となりコスト増を招くな
ど、不都合な点が多い。
【0005】また、実用的な問題として、単純に被処理
液のpHを中性近辺になるように調整しても、水熱反応
に伴って被反応物の分解により塩素、硫黄、リン等が生
成するとともに、pH値に影響していた有機アミンやア
ンモニア、有機酸等が分解するので、処理水のpHは大
きく変動してしまう場合が多く、このため水熱反応器の
腐食を防止するのは難しい。
【0006】さらに我々は、被処理液に適切な量の中和
剤を添加した場合でも、腐食が起こる場合があることを
見出した。このときの反応器内付着塩の組成を調べたと
ころ、反応器内での塩の組成が必ずしも均一ではなく、
局所的に酸やアルカリによる腐食が起こっていたのでは
ないかと推測される。
【0007】アルカリによる腐食が問題となる場合、N
aOH等の水酸化物アルカリは反応器内で流体と分離し
て器壁等に付着するため、反応器供給前に中和剤と混合
することが必要となる。しかし、適切な中和剤を選択し
ないと別の問題を引き起こすことになる。例えば、塩酸
等のハロゲンを含む酸を中和剤として使用すると、生成
する塩による腐食が生じる場合がある。他の酸を使用す
れば腐食の問題は若干軽減されるかもしれないが、添加
する中和剤のコストが高くなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、水熱
反応器の腐食を低減して安全で、かつ長期的な運転を可
能にするとともに、中和剤の使用量を少なくして低コス
トで運転することができる水熱酸化反応方法を提案する
ことである。
【0009】
【課題を解決するための手段】我々は反応器内での塩の
付着のムラを改善できる条件を種々検討した結果、廃液
を反応器内へ供給するときのレイノルズ数を一定以上に
することで、腐食が大きく低減できることを見出し、本
発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明は次の水熱反応方法であ
る。 (1) 被処理液を含む被処理流体を水熱反応器に導入
し、被処理液を水の超臨界または亜臨界状態で酸化反応
させる水熱反応方法において、水熱反応器入口における
被処理流体のレイノルズ数が3000以上となるように
水熱反応器内に被処理流体を導入する水熱反応方法。 (2) 被処理流体が中和剤を含むものである上記
(1)記載の水熱反応方法。 (3) 被処理流体中に含まれる各元素の含有量の関係
を示す下記数式(1)で示されるZの値が、−0.01
≦Z≦+0.01を満足する状態で水熱反応を行う上記
(1)または(2)記載の水熱反応方法。
【数3】 (式(1)中、[Na]、[K]、[Mg]、[C
a]、[F]、[Cl]、[Br]、[P]および
[S]は被処理流体に含まれる各原子のモル濃度(mo
l/L)である。) (4) 数式(1)で示されるZの値が、−0.01≦
Z≦+0.01を満足するように2種以上の被処理液を
混合する上記(3)記載の水熱反応方法。 (5) 被処理流体中に含まれる各元素の含有量の関係
を示す前記数式(1)で示されるZの値が0<Zであっ
て、このZ値に対して10倍モル以上の二酸化炭素が水
熱反応により生成するように、被処理流体中のTOC濃
度を調整して水熱反応を行う上記(1)ないし(4)の
いずれかに記載の水熱反応方法。 (6) 被処理流体に有機物または有機物含有廃液を添
加してTOC濃度を調整する上記(5)記載の水熱反応
方法。
【0011】本発明で処理の対象となる被処理液は、水
の超臨界または亜臨界状態での酸化反応の対象となる有
機物などの被反応物を含む液状物である。被処理液の具
体的なものとしては、工場等から排出される有機物を含
む廃液、工場等から排出される有機物を含む廃液であっ
て水熱反応の進行に伴って酸性またはアルカリ性を呈す
る廃液、廃液の好気性処理工程などから排出される余剰
汚泥などがあげられる。
【0012】本発明で水熱反応器に導入する被処理流体
は1種または2種以上の上記被処理液を含む流体であ
り、被処理液の他に、中和剤、酸化剤、水、補助燃料
(助燃剤)などを必要に応じて添加した流体である。被
処理液および他の添加剤は水熱反応器に混合状態で導入
して水熱反応に供される。
【0013】本発明の方法は、上記被処理液を含む被処
理流体を水熱反応器に導入する際、水熱反応器入口にお
ける被処理流体のレイノルズ数が3000以上、好まし
くは5000〜200000となるように水熱反応器内
に被処理流体を導入する。
【0014】ここでレイノルズ数とは、流体の流れが層
流か乱流かの流れの型を決める数であり、通常Reと表
記され、流体の速度V、密度ρ、粘度μ、動粘度ν、流
れの場の代表長さLとした場合、 Re=ρVL/μ=VL/ν で定義される無次元数である。またaを円管の半径、U
を平均速度(=流量/断面積)、νを運動粘度(=粘度
/密度)とした場合、 Re=aU/ν で定義することもできる。レイノルズ数は流体の運動に
対する粘性の影響を表す値であり、慣性力ρV2/Lと
粘性力μV/L2との比、あるいは運動エネルギーρV3
L2と粘性によって失われるエネルギーμV2Lとの比と
も考えられる。レイノルズ数が小さいときは粘性力が支
配的で流れは層流に、レイノルズ数が大きいときは慣性
力が支配的で流れは乱流になる。
【0015】レイノルズ数が一定値以上で塩の付着のム
ラが改善されたのは、乱流環境下で酸とアルカリとの混
合性が向上し、中和反応が促進されたためと考えられ
る。
【0016】被処理流体のレイノルズ数を適正値に調整
する方法としては、次の方法などがあげられる。 1)ノズル径を調整する。ノズル径を小さくするほどレ
イノルズ数は大きくなるので、ノズル径を調整すること
により、レイノルズ数を調整することができる。 2)流速を高める。流体の速度Vが高いほどレイノルズ
数は大きくなるので、流量を調整することによりレイノ
ルズ数を調整することができる。 3)粘度を下げる。流体の粘度μを小さくするほどレイ
ノルズ数は大きくなる。粘度を小さくする方法として
は、i)破砕、液状化などの前処理を行う、ii)予熱す
るなど熱をかけて分子運動を激しくするとともに熱分解
を促進する、などがあげられる。
【0017】レイノルズ数が適正値となるように水熱反
応器内に被処理流体を導入して水熱反応を行うことによ
り、被処理流体が十分に混合された状態で水熱酸化反応
を行うことができるので、被処理液および添加剤に含ま
れる各成分、特に酸、アルカリの偏在による装置の腐食
を防止することができ、水熱反応装置の安全で、かつ長
期的な運転が可能となる。
【0018】本発明では、被処理流体中に含まれるN
a、K、Mg、Ca、F、Cl、Br、PおよびS原子
の含有量の関係が、前記数式(1)で示されるZの値を
指標にして、Zの値が−0.01≦Z≦+0.01、好
ましくは−0.001≦Z≦+0.001を満足する状
態で水熱反応を行うのが望ましい。ここでNa原子の含
有量とは、被処理流体中に溶解しているNaイオンはも
ちろん、水熱反応により処理水中にNaイオンとして放
出される形態で被処理流体に含まれているNa原子な
ど、あらゆる形態で被処理流体に含まれているNa原子
の合計量である。K原子等の他の原子の含有量もNaの
場合と同様である。
【0019】前記数式(1)で示されるZの値が前記範
囲外にある場合は、Zの値が前記範囲になるように調整
した後、水熱反応に供することができる。例えば、Zの
値を前記範囲に調整するには、中和剤を添加する方法、
2種以上の被処理液を混合する方法、具体的には水熱反
応後の処理水のpHが酸性になる被処理液(廃液)に、
アルカリ性になる被処理液(廃液)を混合する方法など
があげられる。
【0020】Zの値が−0.01≦Z≦+0.01、好
ましくは−0.001≦Z≦+0.001を満足する状
態で水熱反応を行うことにより、水熱反応における被処
理液または被処理流体のpHが適正値でない場合に起こ
る装置の腐食をより完全に防止することができ、水熱反
応装置の安全で、かつ長期的な運転が可能となる。また
水熱反応後の処理水のpHが酸性になる廃液と、アルカ
リ性になる廃液とを混合する場合、お互いが中和剤の役
割をするため、中和剤の使用量が低減でき、低コストで
処理が可能となる。
【0021】実際の処理水のpHは数式(1)に示され
ている元素以外の元素も影響して決まるが、概略のpH
値を得るにはこの式が有効である。すなわち、Z>0で
は処理水中にはNa+やK+といったカチオンのモル数が
多く、処理水はアルカリ性になると考えられる。一方、
Z<0の場合にはCl-やSO4 2-といったアニオンのモ
ル数が多く、処理水は酸性になると考えられる。Z=0
の場合が処理水中のカチオンとアニオンのバランスがと
れている状態、すなわち中性に近い状態と考えられる。
【0022】例としてZ=−0.001の場合を考え
る。この場合はCl-やSO4 2-といったアニオンのモル
濃度が0.001mol/L過剰であるということで、
推定pHは水に0.001mol/Lの塩酸を添加した
程度、すなわちpH=3程度ということになる。同様に
Z=+0.001の場合は、Na+やK+といったカチオ
ンのモル濃度が0.001mol/L過剰ということ
で、推定pHは水に0.01mol/Lの水酸化ナトリ
ウムを添加した程度、すなわちpH=11ということに
なる。
【0023】前記数式(1)に示されている元素以外
で、水熱反応の処理水中に存在するイオン種としては各
種重金属イオン、炭酸イオン、含窒素イオン(NH4 +
NO2 -、NO3 -など)があるが、これらは含まれる可能
性が少ないか、含まれていてもわずかであるか、水熱反
応下では分解されるか、または処理流体の気液分離後に
ガス側に移行する元素であり、中和反応に大きく影響し
ない場合がほとんどである。しかし、これらのイオン種
や他の要因によりpH値が概略値と大きく異なってくる
場合もあると考えられる。よって前記数式(1)を活用
する場合でも、処理時には処理水のpHをモニタリング
し、必要に応じて中和剤を添加する手段は併用すること
が望ましい。
【0024】また本発明の方法では、前記数式(1)で
示されるZの値が0<Zであって、このZ値に対して1
0倍モル以上、好ましくは10〜500倍モルの二酸化
炭素が水熱反応により生成するように、被処理流体中の
TOC濃度を調整して水熱反応を行うのが好ましい。
【0025】二酸化炭素は有機物を水熱反応させて酸化
することにより水熱反応器内で発生させる。被処理流体
中のTOC濃度が十分にある場合には新たな二酸化炭素
源を添加する必要はないが、不足する場合には二酸化炭
素源となる有機物を添加することができる。添加する有
機物は安価で無害、かつ易分解性のものが望ましい。通
常水熱反応の助燃剤として使用される炭化水素やアルコ
ール等が二酸化炭素源として適切であるので、これらを
被処理液に添加することができる。また別の有機廃棄物
を混合して処理することも効果がある。さらに、相対的
に陽イオン性原子の含有量が少なく、相対的に有機物含
有量の多い別の廃液を混合することもできる。助燃剤は
水熱反応の温度を維持するために必要なものであり、別
の有機廃棄物や廃液もいずれ処理するものであるから、
高価な中和剤は添加する必要はないか、添加する場合で
も大きく削減でき、低コストで処理することができる。
有機物、助燃剤、他の廃液などは予め被処理液に混合し
た状態で水熱反応器に供給することもできるし、別々に
水熱反応器に供給することもできる。
【0026】アルカリを二酸化炭素で中和することによ
り水熱反応器内で中和塩としての炭酸塩が生成し、反応
器内に堆積する可能性がある。そのため、水熱反応器内
における塩の堆積防止手段や排出手段の併用が望まし
い。具体的な方法としては、水熱反応器下部に水層を設
けて塩を溶解、排出する手段(特許2726293)や
機械的に塩を掻き取る手段(USP5,100,56
0、特開平10−15566、特開平11−25378
6)、反応器表面から流体を噴出させて付着を防止する
手段(特開平9−299966)など、公知の方法を採
用することができる。
【0027】複数の被処理液をどのように混合しても処
理水のpHが適性範囲内に入らない場合もある。このよ
うな場合には中和剤を添加することができる。なお、複
数廃液の混合は、通常一つの貯留槽内で行えばよいが、
混合することによって何らかの不都合(例えば臭気が発
生する、相分離する、固体が析出するなど)がある場合
は、適当な場所で混合(例えば、それぞれを送液して反
応器入口近傍で混合するなど)すればよい。
【0028】水熱酸化反応は、前記被処理流体を水熱反
応器に導入し、有機物の酸化分解を行う。水熱反応器は
有機物を酸化剤の存在下に水の超臨界または亜臨界状態
で水熱反応により酸化分解するように構成される。ここ
で水熱酸化反応とは、超臨界または亜臨界状態の高温高
圧の水および酸化剤の存在下に有機物を酸化反応により
酸化分解する反応である。超臨界状態とは374℃以
上、22MPa以上の状態である。また亜臨界状態とは
例えば374℃以上、2.5MPa以上22MPa未満
あるいは374℃未満、22MPa以上の状態、あるい
は374℃以下、22MPa未満であっても臨界点に近
い高温高圧の状態をいう。
【0029】このような水熱酸化反応は有機物が酸化剤
と混合した状態で水熱反応器において行われ、これらの
混合物が反応器内部で水熱反応を受ける。酸化剤として
は、空気、酸素、液体酸素、オゾン、過酸化水素水、硝
酸、亜硝酸、硝酸塩、亜硝酸塩等を用いることができ
る。酸化剤は、被処理流体と混合されて供給されてもよ
いし、供給口を二重管ノズルにして複層流として供給し
てもよい。また必要により触媒や中和剤等が添加される
場合があるが、これらは被処理流体と混合して、あるい
は別々に反応器に供給することができる。
【0030】本発明で用いられる水熱反応器は超臨界ま
たは亜臨界状態で水熱反応を行うように、耐熱、耐圧材
料により、実質的に垂直方向に配置した筒状反応器で形
成される。反応熱だけでは超臨界または亜臨界状態に達
しない場合には外部加熱手段を設けることができる。反
応器の形状は円筒、だ円筒、多角筒のものを用いること
ができ、下端部はコーン状とすることができる。このよ
うな水熱反応器により超臨界または亜臨界状態で水熱反
応を行うと、有機物は酸化剤により酸化されて最終的に
水と二酸化炭素に分解され、あるいは加水分解により低
分子化し、無機物は固体あるいは溶融状態で分離する。
このとき生成する二酸化炭素によりアルカリが中和され
る。反応生成物は固形物を分離後、冷却、減圧され、ガ
ス分と液分に分離される。
【0031】上記の水熱反応器は従来より水熱反応に用
いられているものをそのまま用いることができるが、特
開平11−156186号に示されているように、上部
に逆流を伴う混合反応域、下部に栓状流反応域を形成す
る実質的に垂直な反応器に、さらに上部に設けられた供
給装置から被処理流体と酸化剤の混合流を下向流で供給
して上部の混合反応域で逆流を伴う混合流を形成して水
熱反応を行い、下部の栓状流反応域で平行な下向栓流を
形成して追加の水熱反応を行う構造のものが好ましい。
【0032】水熱反応器の材質は制限されないが、ハス
テロイ、インコネル、ステンレス等の耐食性の材質が好
ましい。水熱反応器には耐腐食性ライナーを設けるのが
好ましい。耐腐食性ライナーは特に限定されず、特開平
11−156186号に開示されたような耐腐食性ライ
ナーと圧力負荷壁との間に間隙が存在するような耐腐食
性ライナーを用いることができる。
【0033】水熱反応器には反応混合物を排出口から排
出する前に冷却するための冷却手段を設けることができ
る。冷却手段は特に限定されないが、反応器内に水を導
入して冷却し、無機塩を溶解してその排出を促進するこ
とができる。また、反応器内に酸やアルカリを含む水を
導入して冷却し、アルカリや酸の中和を行うことができ
る。固体の付着性が著しい場合には、反応器の内壁に付
着した固体を除去するための機械的除去装置を設けるこ
とができる。固体除去のための機械的除去装置は特に限
定されないが、特開平11−156186号で開示され
た切欠窓部分を含む実質的に円筒状のスクレーパが好適
である。
【0034】水熱反応器から排出される反応流体中の固
形物を分離する分離手段を設けることができる。特に、
超臨界状態の反応流体中では無機塩類が溶解せずに固体
として含まれているため、不溶化している無機物を分離
することにより、処理水の再利用が容易になる。固形物
分離手段は特に限定されず、水熱反応器から反応流体を
導入する流入口および固体を除去した流体を排出する流
出口を備えた容器と、容器内に配設されて前記反応流体
に含まれている前記固体を除去し、排出する手段とを備
えたものが使用できる。なお、冷却、減圧の工程で、固
体分離や気液分離の手段を含むこともできる。
【0035】水熱反応器による反応開始の手段は特に制
限されない。通常、反応器は反応開始にあたって所定の
反応温度付近に予熱される。予熱は加熱装置を反応器に
設けるか、あるいは被処理流体および/または酸化剤供
給路に設けて加熱された水や空気を導入して実施するこ
とができる。また、通常、反応器に水や酸化剤を供給
し、通常設けられる圧力調整弁によって所定の圧力に加
圧される。所定の温度、圧力に調整された後、被処理流
体を供給して水熱反応を開始する。反応によって有機物
が分解され、反応熱が発生する。水熱反応器上部に逆流
を伴う混合反応域を設けた場合、ここで逆流を伴う混合
作用で有機物、酸化剤および反応器内容物などが十分に
混合されるため、流体の温度が上昇する。これにより供
給される有機物は速やかに水熱反応を開始し、安定した
反応が継続されることになる。反応流体は反応器内を下
向きに移動し、栓状流反応域で継続反応した後、排出口
から排出される。反応器の長さ:直径の比は1:1〜1
00:1が好ましい。
【0036】水熱反応器を出た反応流体は固体を分離し
た後、冷却して減圧され気液分離される。反応器内で冷
却して液体が生成している場合は反応器を出た段階で固
体とともに液体を分離し、必要によりさらに冷却および
気液分離を行うことができる。最終的に生成した水、気
体、固体は、そのまま、エネルギー回収されたり、物質
として再利用されたり、そのままあるいは追加処理され
て廃棄される。
【0037】上記のような水熱反応器において、レイノ
ルズ数を調整するには、前述のように、次の方法などに
より行うことができる。 1)ノズル径を調整する。 2)被処理流体の流量を大きくする。 3)前処理や予熱などによって被処理流体の粘度を下げ
る。
【0038】本発明ではレイノルズ数を調整することに
より水熱反応器の腐食が低減できるので、中和剤の使用
量を節約して反応器の腐食を抑えた処理が行えるように
なる。本発明は、実際の水熱反応における簡便かつ安価
な腐食抑制方法として有用である。
【0039】
【発明の効果】本発明の水熱反応方法は、水熱反応器入
口における被処理流体のレイノルズ数が3000以上と
なるように水熱反応器内に被処理流体を導入して水熱酸
化反応するので、水熱反応器の腐食を低減して安全で、
かつ長期的な運転を可能にするとともに、中和剤の使用
量を少なくして低コストで運転することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
より説明する。図1は本発明の水熱反応方法を実施する
実施形態の水熱反応装置の系統図であり、1は混合槽、
2は水熱反応器、3は酸化剤槽、5は気液分離器であ
る。
【0041】図1の装置による水熱反応処理は以下のよ
うに行われる。まず混合槽1に系路11から廃液A、系
路12から廃液Bを導入して混合し、混合廃液13を調
製する。この場合、前記数式(1)で示されるZの値が
−0.01≦Z≦+0.01を満足するように混合す
る。
【0042】混合廃液13は高圧ポンプP1により系路
14を通して水熱反応器2の供給装置2aに送り、ここ
で酸化剤槽3から高圧ポンプP2により系路15を通し
て送られる酸化剤(例えば空気、過酸化水素水)と混合
し、この被処理流体を適正なレイノルズ数で、水熱反応
器2に下向流で供給して水熱反応を行う。このとき、必
要に応じて前述のような方法でレイノルズ数を調整す
る。水熱反応器2では反応開始時に系路14または15
に設けられる予熱器(図示せず)により、加熱を行って
超臨界または亜臨界状態に保って水熱反応を行う。
【0043】供給装置2aから供給される混合流は水熱
反応器2の上部では逆流を伴う混合反応域を形成し、有
機物の酸化分解が行われ、下部では乱流は解消して栓状
流反応域を形成して追加反応が行われる。水熱反応器2
で処理する混合廃液13は、レイノルズ数が前記範囲と
なるように水熱反応器に導入され、かつ前記Zの値が−
0.01≦Z≦+0.01を満足するように調整されて
いるので、水熱反応器2の腐食は防止される。
【0044】水熱反応器2の反応流体は系路16から冷
却器19に導入して、冷却水路21から供給する冷却水
で冷却し、系路22から気液分離器5に導入して気液分
離し、気体排出路23から弁V1を通して気体を排出
し、液体排出路24から弁V2を通して処理水を排出す
る。得られる処理水は有機物、アンモニア、その他被反
応物が分解された、高水質なものであり、回収利用も可
能である。
【0045】図1では2種類の廃液A、Bを混合してい
るが、3種類以上の廃液を混合することもできる。また
酸、アルカリなどのpH調製剤を添加することもでき
る。また、廃液Bの代わりに、前記数式(1)で示され
るZの値に相当するアルカリのモル濃度に対して10倍
モル以上の二酸化炭素が生成するように有機物を添加す
ることもできる。また高圧ポンプP2の代わりにコンプ
レッサを使用することもできる。
【0046】
【実施例】実施例1、2および比較例1 酢酸ナトリウムの0.05mol/L溶液に二酸化炭素
源としてメタノールを0.40mol/L加え、表1の
試料を調製した。
【0047】
【表1】
【0048】表1の試料の水熱反応試験を図1の装置で
行った。300℃に予熱した試料と酸化剤(35%過酸
化水素水を5倍希釈したもの)とを水熱反応器手前で混
合し、反応器内にノズルを通して供給した。ノズルの径
を変えることによりレイノルズ数を調整した。水熱反応
器には外熱式ヒーターが取り付けられており、反応条件
が650℃、24MPaになるように調整した。反応器
内には腐食評価用のテストロッド(1.6mmφ)が取
り付けられるようになっている。反応器に水と酸化剤を
供給し、反応器内が設定反応温度になるように外熱式ヒ
ーターで加熱して調整した。反応温度が設定値になった
段階で、水と試料を徐々に切り替え、水の超臨界または
亜臨界状態で水熱反応を行った。水と試料が完全に切り
替わってから4時間反応を継続し、試料を徐々に水に切
り替えた後、ヒーターを切って試験を終了させた。な
お、冷却中の腐食を最小限に抑えるため、ヒーターを切
ってからは空気のみを流して反応器を冷却した。試験後
にテストロッドを取り出し、数か所の断面観察を行い、
最大腐食深さを求めた。結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】表2の結果からわかるように、レイノルズ
数が小さい比較例1では腐食が進行したが、レイノルズ
数が大きい実施例1および2では腐食量が大幅に減少で
きた。すなわち、レイノルズ数を指標にして廃液の供給
手段を設定することが反応器供給後の中和効果の向上に
有効であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水熱反応方法を実施する実施形態の水
熱反応装置の系統図である。
【符号の説明】 1 混合槽 2 水熱反応器 3 酸化剤槽 5 気液分離器 11、12、14、15、16、22 系路 13 混合廃液 19 冷却器 21 冷却水路 23 気体排出路 24 液体排出路
フロントページの続き (71)出願人 598124412 ジェネラル アトミックス インコーポレ イテッド アメリカ合衆国 カリフォルニア州 サン ディエゴ ジェネラル アトミックス コ ート 3550 (72)発明者 小布施 洋 東京都新宿区西新宿三丁目4番7号 栗田 工業株式会社内 (72)発明者 北野 清之 神奈川県平塚市万田1200 株式会社小松製 作所中央研究所内 Fターム(参考) 4D050 AA13 AB07 BB01 BB02 BB08 BB09 BC01 BC02 BC06 BD02 BD03 CA03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被処理液を含む被処理流体を水熱反応器
    に導入し、被処理液を水の超臨界または亜臨界状態で酸
    化反応させる水熱反応方法において、 水熱反応器入口における被処理流体のレイノルズ数が3
    000以上となるように水熱反応器内に被処理流体を導
    入する水熱反応方法。
  2. 【請求項2】 被処理流体が中和剤を含むものである請
    求項1記載の水熱反応方法。
  3. 【請求項3】 被処理流体中に含まれる各元素の含有量
    の関係を示す下記数式(1)で示されるZの値が、−
    0.01≦Z≦+0.01を満足する状態で水熱反応を
    行う請求項1または2記載の水熱反応方法。 【数1】 (式(1)中、[Na]、[K]、[Mg]、[C
    a]、[F]、[Cl]、[Br]、[P]および
    [S]は被処理流体に含まれる各原子のモル濃度(mo
    l/L)である。)
  4. 【請求項4】 数式(1)で示されるZの値が、−0.
    01≦Z≦+0.01を満足するように2種以上の被処
    理液を混合する請求項3記載の水熱反応方法。
  5. 【請求項5】 被処理流体中に含まれる各元素の含有量
    の関係を示す下記数式(1)で示されるZの値が0<Z
    であって、このZ値に対して10倍モル以上の二酸化炭
    素が水熱反応により生成するように、被処理流体中のT
    OC濃度を調整して水熱反応を行う請求項1ないし4の
    いずれかに記載の水熱反応方法。 【数2】 (式(1)中、[Na]、[K]、[Mg]、[C
    a]、[F]、[Cl]、[Br]、[P]および
    [S]は被処理流体に含まれる各原子のモル濃度(mo
    l/L)である。)
  6. 【請求項6】 被処理流体に有機物または有機物含有廃
    液を添加してTOC濃度を調整する請求項5記載の水熱
    反応方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017148691A (ja) * 2016-02-22 2017-08-31 株式会社東芝 同位体分離装置および同位体分離方法
US10688464B2 (en) 2017-06-05 2020-06-23 General Atomics Corrosion inhibition in hydrothermal processing

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JP2017148691A (ja) * 2016-02-22 2017-08-31 株式会社東芝 同位体分離装置および同位体分離方法
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