JP2003234343A - 層間絶縁膜用組成物 - Google Patents

層間絶縁膜用組成物

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JP2003234343A
JP2003234343A JP2002032142A JP2002032142A JP2003234343A JP 2003234343 A JP2003234343 A JP 2003234343A JP 2002032142 A JP2002032142 A JP 2002032142A JP 2002032142 A JP2002032142 A JP 2002032142A JP 2003234343 A JP2003234343 A JP 2003234343A
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group
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ether
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Hironobu Shirataki
浩伸 白瀧
Hiroyuki Hanabatake
博之 花畑
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多孔性シリカ薄膜の比誘電率が低く、半導体
素子の銅配線工程におけるCMP工程に十分耐える機械
的強度を有し、かつ、ビア形成時の汚染ガス発生量の少
ない、多孔性シリカ薄膜を提供する。 【解決手段】 4官能性のアルコキシシランに由来する
珪素原子に対して2及び/又は3官能性のアルコキシシ
ランに由来する珪素原子を特定量含むシリカ前駆体と、
特定のブロックコポリマーと、特定の溶媒、更に、必要
に応じて酸を包含する層間絶縁性膜用の組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜の比誘電率が
十分に低く、機械的強度が極めて高く、かつ、CMP
(化学機械研磨)耐性に優れた絶縁性薄膜を提供するこ
とが可能な層間絶縁膜用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】多孔性のシリカは、軽量で、耐熱性等の
特性に優れるため、構造材料、触媒担体、光学材料等に
幅広く用いられている。例えば、近年、多孔性のシリカ
は誘電率を低くできる、という点から期待を集めてい
る。LSIをはじめとする半導体素子の多層配線構造体
用の層間絶縁膜素材として、従来、緻密なシリカ膜が一
般的に用いられてきた。しかし、近年、LSIの配線密
度は微細化の一途をたどっており、これに伴って基板上
の隣接する配線間の距離が狭まっている。このとき、絶
縁体の誘電率が高いと配線間の静電容量が増大し、その
結果、配線を通じて伝達される電気信号の遅延が顕著と
なるため、問題となっている。このような問題を解決す
るために、多層配線構造体用の絶縁膜の素材として、誘
電率のより低い物質が強く求められている。一方、配線
材料として、従来のアルミニウムに代わって、より抵抗
の低い銅が使われ始めていることも誘電率のより低い物
質が求められる理由となっている。
【0003】特開平5−85762号公報や国際公開9
9/03926号パンフレットには、一般的なアルコキ
シシランと有機ポリマーの混合系から、誘電率が極めて
低く、均一細孔及び細孔分布を持った多孔性のシリカを
得る方法が開示されている。特開平4−285081号
公報には、アルコキシシランのゾル−ゲル反応を特定の
有機ポリマーの共存下で行い、均一な孔径を有する多孔
性のシリカを得るための方法が開示されている。さら
に、特開2001−49177号公報には、2官能性及
び/又は3官能性のアルコキシシランの仕込み量が4官
能性のアルコキシシランの仕込み量より多くなるように
制御し、さらに有機ポリマーにブロックコポリマーを用
いることにより、誘電率特性及び吸水性に優れ、かつ、
空隙サイズが小さい低密度膜を形成する方法が開示され
ている。
【0004】しかしながら、いずれの方法においても、
比誘電率が十分に低く、経時的に安定であり、かつ、C
MP工程に耐えるような十分な機械的強度及び密着力を
有する多孔性シリカは得られていない。CMP工程と
は、エッチング加工により形成された層間絶縁膜中の溝
に配線となる銅を埋め込む場合に、層間絶縁膜上の余分
の銅を、表面を研磨することによって平坦化する工程の
ことである。この工程では、層間絶縁膜のみならず、薄
膜上のバリヤー薄膜(通常は層間絶縁膜上に数百〜数千
オングストロームの酸化ケイ素を堆積させる)の両方に
圧縮応力とシェア応力とがかかるため、層間絶縁膜には
機械的強度と密着力とが必要とされる。
【0005】さらに、一般にこれらのシリカと有機ポリ
マーとの複合体から有機ポリマーを加熱により除去しよ
うとする場合、450℃以上の加熱温度が必要であるこ
とが半導体素子製造プロセス上の大きな制約になってい
た。例えば、半導体素子製造プロセスにおいて、金属配
線の酸化、結晶成長、熱ストレス等を考慮すると、加熱
温度の上限は400℃付近、かつ、非酸化性の雰囲気が
推奨されている。しかし、この加熱条件では、上記のシ
リカと有機ポリマーの複合体は、大部分の有機ポリマー
が残存又はチャー化し、例えば、多層配線構造を作成す
る場合、下層中に残存した有機ポリマー由来のガスが下
層から発生し、上層の接着力低下や剥離を引き起こす可
能性がある。
【0006】これを解決するために、熱的に分解しやす
い有機ポリマーを使用するという手段も検討されてはい
るが、熱的に有機ポリマーが鋭敏すぎて、取り扱いが著
しく危険であったり、ゾルゲル反応触媒によって分子量
が低下して成膜性が劣化したり、またシリカ前駆体との
相溶性が悪いために、塗布溶液中で沈殿を生じたり、成
膜時に分解、揮発して膜が緻密化する等の問題が生じる
ため、多孔性シリカの作成は困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
解決するものであって、多孔性の絶縁性シリカ薄膜の比
誘電率が低くて安定で、機械的強度が高く、かつ、半導
体素子の銅配線工程におけるCMP工程に十分耐える密
着力を有する、多孔性の層間絶縁膜用組成物を提供する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、絶縁性薄膜用
組成物中に含有される2官能性及び/又は3官能性のア
ルコキシシラン、その加水分解物及び重縮合物に由来す
る珪素原子のモル数と、4官能性のアルコキシラン及び
その加水分解物、重縮合物に由来する珪素原子のモル数
を特定の割合に制御したシリカ前駆体と、特定の有機ポ
リマーと、特定の溶媒とを含有する組成物が上記課題を
解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、以下のとおりであ
る。 (1)(A)化学式(1)で表されるアルコキシシラ
ン、その加水分解物及びその重縮合物から選ばれた少な
くとも1種(成分I)と、化学式(2)及び/又は化学
式(3)で表されるアルコキシシラン、その加水分解物
及びその重縮合物から選ばれた少なくとも1種(成分I
I)とを含有するシリカ前駆体であって、(成分I)に
由来する珪素原子と(成分II)に由来する珪素原子の
合計に対する、(成分II)に由来する珪素原子のモル
分率が1モル%以上50モル%未満であるシリカ前駆体
と、 Si(OR14 (1) R2 1(Si)(OR13 (2) R2 2(Si)(OR12 (3) (式中、R1、R2は同一でも異なっていてもよく、それ
ぞれ1価の有機基を表す) (B)熱により揮発もしくはガスを発生して揮散する直
鎖状又は分岐状の2元以上のブロックコポリマーを含有
する有機ポリマーと、 (C)アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒
及びエステル系溶媒からなる群から選ばれた少なくとも
1種以上の溶媒、とを含有することを特徴とする層間絶
縁膜用組成物。
【0010】(2)有機ポリマーの末端基の少なくとも
一つが、シリカ前駆体に対して化学的に不活性な基とな
るように末端封鎖されていることを特徴とする(1)に
記載の層間絶縁膜用組成物。 (3)有機ポリマーが1質量%以上のブロックコポリマ
ーを含有することを特徴とする(1)又は(2)に記載
の層間絶縁膜用組成物。 (4)更に、少なくとも一種類の酸を含有することを特
徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載の層間絶
縁膜用組成物。
【0011】(5)(1)〜(4)のいずれか1つに記
載の層間絶縁膜用組成物を基板上に塗布し、シリカ前駆
体をゲル化させてシリカと有機ポリマーの複合体薄膜を
形成させ、次いで、この複合体薄膜から有機ポリマーを
除去して得られることを特徴とする多孔性の絶縁性シリ
カ薄膜。 (6)前記(5)に記載の絶縁性シリカ薄膜が用いられ
ていることを特徴とする配線構造体。 (7)前記(6)に記載の配線構造体を包含してなる半
導体素子。
【0012】本発明において、化学式(1)のSi(O
14を4官能性のアルコキシシラン、化学式(2)の
2 1(Si)(OR13を3官能性のアルコキシシラ
ン、化学式(3)のR2 2(Si)(OR12を2官能性
のアルコキシシラン、という。本発明において、シリカ
とは、アルコキシシランが加水分解の後、重縮合してそ
の縮合率が約90%以上であるものである。本発明にお
いて、多孔性のシリカとは、化学式(4)で表される化
合物を主成分とした多孔質のものである。 RxSiOy (4) (式中、Rは、炭素数1〜8の直鎖状、分岐上及び環状
のアルキル基又はアリール基、0≦x<2、1<y≦2
である)
【0013】以下に、本発明の絶縁性薄膜用組成物につ
いて説明する。本発明の組成物は、前記のアルコキシシ
ラン、その加水分解物及びその重縮合物から選ばれた少
なくとも1種を含有する特定組成のシリカ前駆体(A)
と、有機ポリマー(B)と、溶媒(C)とを主成分とす
る。
【0014】最初に、シリカ前駆体(A)について説明
する。本発明に用いるシリカ前駆体は、化学式(1)で
表される4官能性のアルコキシシラン、その加水分解物
及びその重縮合物(以下、「アルコキシシラン、その加
水分解物及びその重縮合物」を、「アルコキシシラン
等」、と略記する)から選ばれた少なくとも1種(成分
I)と、化学式(2)及び/又は化学式(3)で表され
る2官能性及び/又は3官能性アルコキシシラン等から
選ばれた少なくとも1種(成分II)を含有するシリカ
前駆体であって、(成分I)に由来する珪素原子と(成
分II)に由来する珪素原子の合計に対する、(成分I
I)に由来する珪素原子のモル分率が1モル%以上50
モル%未満であり、好ましくは5モル%以上50モル%
以下、より好ましくは10モル%以上30モル%以下で
ある。2官能性及び/又は3官能性のアルコキシシラン
等に由来する珪素原子が1モル%未満では、本発明の組
成物を用いて得られる薄膜の比誘電率が低くならない。
一方50モル%を超えると薄膜の機械強度が低くなる。
【0015】2官能性、3官能性のアルコキシシランを
用いる代わりに、1官能性のアルコキシシランを用いた
場合には、本発明に比べて、薄膜の機械強度が劣ったも
のになる。本発明では、上記のようにシリカ前駆体を制
御することと、後述する特定の有機ポリマー、必要に応
じて、酸との組み合わせによって、比誘電率が著しく低
く、モジュラスが高く、かつ、分解ガス発生のすくない
多孔性シリカ薄膜が得られる。
【0016】本発明の塗布組成物中のシリカ前駆体の含
有量は、全固形分濃度として表す。本発明で用いられ
る、化学式(1)で表される4官能性のアルコキシシラ
ン、化学式(2)で表される2官能性のアルコキシシラ
ン及び化学式(3)で表される3官能性のアルコキシシ
ランの例を以下に示す。化学式(1)で表される4官能
性のアルコキシシランとしては、具体的には、テトラメ
トキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n−プ
ロポキシ)シラン、テトラ(i−プロポキシ)シラン、
テトラ(n−ブトキシ)シラン、テトラ(sec-ブト
キシ)シラン、テトラ(tert-ブトキシ)シラン等
が挙げられる。これら4官能性のアルコキシシランの中
で、好ましくはテトラメトキシシラン、テトラエトキシ
シラン等が挙げられる。
【0017】化学式(2)で表される3官能性のアルコ
キシシランとしては、トリメトキシシラン、トリエトキ
シシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエト
キシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエ
トキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピル
トリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、
シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメト
キシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリ
メトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルト
リメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、メチル
トリ-n-プロポキシシラン、メチルトリ-iso-プロポ
キシシラン、メチルトリ-n-ブトキシシラン、メチルト
リ-sec-ブトキシシラン、メチルトリ-tert-ブト
キシシラン、エチルトリ-n-プロポキシシラン、エチル
トリ-iso-プロポキシシラン、エチルトリ-n-ブトキ
シシラン、エチルトリ-sec-ブトキシシラン、エチル
トリ-tert-ブトキシシラン、n-プロピルトリ-n-
プロポキシシラン、n-プロピルトリ-iso-プロポキ
シシラン、n-プロピルトリ-n-ブトキシシラン、n-プ
ロピルトリ-sec-ブトキシシラン、n-プロピルトリ-
tert-ブトキシシラン、i-プロピルトリメトキシシ
ラン、i-プロピルトリエトキシシラン、i-プロピルト
リ-n-プロポキシシラン、i-プロピルトリ-iso-プ
ロポキシシラン、i-プロピルトリ-n-ブトキシシラ
ン、i-プロピルトリ-sec-ブトキシシラン、i-プロ
ピルトリ-tert-ブトキシシラン、n-ブチルトリメ
トキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、n-ブチ
ルトリ-n-プロポキシシラン、n-ブチルトリ-iso-
プロポキシシラン、n-ブチルトリ-n-ブトキシシラ
ン、n-ブチルトリ-sec-ブトキシシラン、n-ブチル
トリ-tert-ブトキシシラン、n-ブチルトリフェノ
キシシラン、sec-ブチルトリメトキシシラン、se
c-ブチル-トリ-n-プロポキシシラン、sec-ブチル-
トリ-iso-プロポキシシラン、sec-ブチル-トリ-
n-ブトキシシラン、sec-ブチル-トリ-sec-ブト
キシシラン、sec-ブチル-トリ-tert-ブトキシシ
ラン、t-ブチルトリメトキシシラン、t-ブチルトリエ
トキシシラン、t-ブチルトリ-n-プロポキシシラン、
t-ブチルトリ-iso-プロポキシシラン、t-ブチルト
リ-n-ブトキシシラン、t-ブチルトリ-sec-ブトキ
シシラン、t-ブチルトリ-tert-ブトキシシラン、
フェニルトリ-n-プロポキシシラン、フェニルトリ-i
so-プロポキシシラン、フェニルトリ-n-ブトキシシ
ラン、フェニルトリ-sec-ブトキシシラン、フェニル
トリ-tert-ブトキシシラン等が挙げられる。
【0018】また、ケイ素原子上に1〜3個のビニル基
が結合したアルキルシラン等も好適である。例えば、ト
リビニルメトキシシラン、トリビニルエトキシシラン、
トリビニル(n−プロポキシ)シラン、トリビニル(i
−プロポキシ)シラン、トリビニル(n−ブトキシ)シ
ラン、トリビニル(sec-ブトキシ)シラン、トリビ
ニル(tert-ブトキシシラン)、ビニルジメチルメ
トキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニル
ジメチル(n−プロポキシ)シラン、ビニルジメチル
(i−プロポキシ)シラン、ビニルジメチル(n−ブト
キシ)シラン、ビニルジメチル(sec-ブトキシ)シ
ラン、ビニルジメチル(tert-ブトキシシラン)、
ビニルジエチルメトキシシラン、ビニルジエチルエトキ
シシラン、ビニルジエチル(n−プロポキシ)シラン、
ビニルジエチル(i−プロポキシ)シラン、ビニルジエ
チル(n−ブトキシ)シラン、ビニルジエチル(sec
-ブトキシ)シラン、ビニルジエチル(tert-ブトキ
シシラン)、ビニルジプロピルメトキシシラン、ビニル
ジプロピルエトキシシラン、ビニルジプロピル(n−プ
ロポキシ)シラン、ビニルジプロピル(i−プロポキ
シ)シラン、ビニルジプロピル(n−ブトキシ)シラ
ン、ビニルジプロピル(sec-ブトキシ)シラン、ビ
ニルジプロピル(tert-ブトキシシラン)等が挙げ
られる。
【0019】化学式(3)で表される2官能性のアルコ
キシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメ
チルジエトキシシラン、ジメチルジ(n−プロポキシ)
シラン、ジメチルジ(i−プロポキシ)シラン、ジメチ
ルジ(n−ブトキシ)シラン、ジメチルジ(sec-ブ
トキシ)シラン、ジメチルジ(tert-ブトキシシラ
ン)、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシ
シラン、ジエチルジ(n−プロポキシ)シラン、ジエチ
ルジ(i−プロポキシ)シラン、ジエチルジ(n−ブト
キシ)シラン、ジエチルジ(sec-ブトキシ)シラ
ン、ジエチルジ(tert-ブトキシシラン)、ジプロ
ピルジメトキシシラン、ジプロピル(n-ブトキシ)シ
ラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピル(se
c-ブトキシ)シラン、ジプロピルジ(n-プロポキシ)
シラン、ジプロピル(tert−ブトキシ)シラン、ジ
プロピルジ(i−プロポキシ)シラン、ジフェニルジメ
トキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニ
ルジ(n−プロポキシ)シラン、ジフェニルジ(i−プ
ロポキシ)シラン、ジフェニルジ(n−ブトキシ)シラ
ン、ジフェニルジ(sec-ブトキシ)シラン、ジフェ
ニルジ(tert-ブトキシシラン)、メチルエチルジ
メトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチ
ルエチルジ(n−プロポキシ)シラン、メチルエチルジ
(i−プロポキシ)シラン、メチルエチルジ(n−ブト
キシ)シラン、メチルエチルジ(sec-ブトキシ)シ
ラン、メチルエチルジ(tert-ブトキシシラン)、
メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエ
トキシシラン、メチルプロピジ(n−プロポキシ)シラ
ン、メチルプロピルジ(i−プロポキシ)シラン、メチ
ルプロピルジ(n−ブトキシ)シラン、メチルプロピル
ジ(sec-ブトキシ)シラン、メチルプロピルジ(t
ert-ブトキシシラン)、メチルフェニルジメトキシ
シラン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチルフェ
ニルジ(n−プロポキシ)シラン、メチルフェニルジ
(i−プロポキシ)シラン、メチルフェニルジ(n−ブ
トキシ)シラン、メチルフェニルジ(sec-ブトキ
シ)シラン、メチルフェイルジ(tert-ブトキシシ
ラン)、エチルフェニルジメトキシシラン、エチルフェ
ニルジエトキシシラン、エチルフェニルジ(n−プロポ
キシ)シラン、エチルフェニルジ(i−プロポキシ)シ
ラン、エチルフェニルジ(n−ブトキシ)シラン、エチ
ルフェニルジ(sec-ブトキシ)シラン、エチルフェ
ニルジ(tert-ブトキシシラン)、等のケイ素原子
上に2個のアルキル基又はアリール基が結合したアルキ
ルシラン等が挙げられる。
【0020】また、メチルビニルジメトキシシラン、メ
チルビニルジエトキシシラン、メチルビニルジ(n−プ
ロポキシ)シラン、メチルビニルジ(i−プロポキシ)
シラン、メチルビニルジ(n−ブトキシ)シラン、メチ
ルビニルジ(sec-ブトキシ)シラン、メチルビニル
ジ(tert-ブトキシシラン)、ジビニルジメトキシ
シラン、ジビニルジエトキシシラン、ジビニルジ(n−
プロポキシ)シラン、ジビニルジ(i−プロポキシ)シ
ラン、ジビニルジ(n−ブトキシ)シラン、ジビニルジ
(sec-ブトキシ)シラン、ジビニルジ(tert-ブ
トキシシラン)、等ケイ素原子上に1ないし2個のビニ
ル基が結合したアルキルシラン等も好適である。
【0021】本発明の2官能性及び3官能性のアルコキ
シシランとして、前記のアルコキシシランが用いられる
が、その中で、好ましいアルコキシシランとして、ジメ
チルジエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジ
エチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラ
ン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルフェニルジ
エトキシシラン、エチルフェニルジエトキシシラン、ジ
メチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、
ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラ
ン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルフェニルジ
メトキシシラン、エチルフェニルジメトキシシラン、ト
リメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメ
トキシシラン、メチルトリエトキシシラン等が挙げられ
る。
【0022】また、メチルジメトキシシラン、メチルジ
エトキシシラン、エチルジメトキシシラン、エチルジエ
トキシシラン、プロピルジメトキシシラン、プロピルジ
エトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、フェニル
ジエトキシシラン等のケイ素原子に直接水素原子が結合
したものも用いることもできる。これらの中でより好ま
しいアルコキシシランとして、トリメトキシシラン、ト
リエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチル
トリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエ
チルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジ
フェニルジエトキシシラン、メチルエチルジエトキシシ
ラン、メチルフェニルジエトキシシラン、エチルフェニ
ルジエトキシシランが挙げられる。
【0023】また、ビス(エトキシジメチルシリル)メ
タン、ビス(エトキシジフェニルシリル)メタン、ビス
(エトキシジメチルシリル)エタン、ビス(エトキシジ
フェニルシリル)エタ ン、1,3-ビス (エトキシジ
メチルシリル)プロパン、1,3-ビス (エトキシジフ
ェニルシリル)プロパン、3-ジエトキシ-1,1,3,
3-テトラメチルジシロキサン、1,3-ジエトキシ -
1,1,3,3-テトラフェニルジシロキサン、1,2-
ジエトキシ-1,1,2,2-テトラメチルジシラン、
1,2-ジエトキシ -1,1,2,2-テトラフェニルジ
シラン等を用いてもよい。
【0024】本発明のシリカ前駆体には上記のアルコキ
シシランが加水分解した後、重縮合したもの以外に、ア
ルコキシラン及びその加水分解が含まれていてもよい。
加水分解物には部分加水分解物も含まれる。例えば、シ
リカ前駆体(A)に用いられる4官能性のアルコキシシ
ランの場合、4つのアルコキシのすべてが加水分解され
ている必要はなく、例えば、1個だけが加水分解されて
いるもの、2個以上が加水分解されているもの、あるい
はこれらの混合物が存在していてもよい。
【0025】本発明におけるシリカ前駆体(A)に含有
される重縮合物とは、シリカ前駆体(A)の加水分解物
のシラノール基が縮合してSi−O−Si結合を形成し
たものであるが、シラノール基がすべて縮合している必
要はなく、一部のシラノール基が縮合したもの、縮合の
程度が異なっているものの混合物等が含まれる。次に、
本発明における有機ポリマー(B)について説明する。
(B)成分は、(A)成分が硬化する過程又は硬化後
に、熱により揮発もしくはガスを発生して、好ましくは
系外に揮散することにより、層間絶縁膜中に空孔を形成
し、絶縁膜の比誘電率を低下させる作用を奏する成分で
ある。
【0026】本発明で用いることができる(B)成分の
ブロックコポリマーとは、後述するような、加熱焼成に
よって塗膜が多孔薄膜に変換する場合に、熱分解温度が
低く、かつ、シリカ前駆体及びシリカとミクロ相分離構
造を形成するような相溶性を有する、直鎖状又は分岐状
の2元以上のブロックコポリマーで、ブロック部が炭素
数1〜8の直鎖状及び環状のオキシアルキレン基を繰り
返し単位とする有機ポリマーであり、ブロックコポリマ
ー単位を1本のポリマー鎖中に60質量%以上含むもの
である。
【0027】ミクロ相分離構造を形成するような相溶性
を有するとは、本発明で使用するブロックコポリマー
が、シリカ前駆体及びシリカとの親和性が良好であるこ
とをいう。両者の親和性が良好であると、シリカ前駆体
とポリマー間での相分離状態が制御されるため、マクロ
相分離を起こすことがなく、その後の工程でブロックコ
ポリマーがシリカから抜き去られて多孔体が形成される
場合に、極端に大きな又は小さな孔径を持つ孔がなく、
孔径が均一になるので、得られた薄膜の表面平滑性がさ
らに向上し、また機械強度も高くなると考えられる。
【0028】具体的なブロックコポリマーとしては、ポ
リエチレングリコール/ポリプロピレングリコール、ポ
リエチレングリコール/ポリブチレングリコールのよう
な2元ブロックコポリマー、さらにポリエチレングリコ
ール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコ
ール/ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコ
ール/ポリブチレングリコール/ポリエチレングリコー
ル等の直鎖状の3元ブロックコポリマーのようなポリエ
ーテルブロックコポリマーが挙げられる。
【0029】さらに、分岐状のブロックコポリマーとし
て、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリト
ール、ペンチトール、ペントース、ヘキシトール、ヘキ
ソース、ヘプトース等に代表される糖鎖に含まれるヒド
ロキシル基のうちの少なくとも3つとポリマー鎖が結合
した構造、及び/又はヒドロキシル酸に含まれるヒドロ
キシル基とカルボキシル基の内の少なくとも3つと、ブ
ロックコポリマー鎖とが結合した構造が挙げられる。具
体的には、グリセロール/ポリエチレングリコール/ポ
リプロピレングリコール、エリスリトール/ポリエチレ
ングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレ
ングリコール等が含まれる。
【0030】上記以外に用いることのできる糖鎖とし
て、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、スレ
イトール、マルチトール、アラビトール、ラクチトー
ル、アドニトール、セロビトール、グルコース、フルク
トース、スクロース、ラクトース、マンノース、ガラク
トース、エリスロース、キシルロース、アルロース、リ
ボース、ソルボース、キシロース、アラビノース、イソ
マルトース、デキストロース、グルコヘプトース等が挙
げられる。
【0031】ヒドロキシル酸の具体例として、クエン
酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、グルクロン酸、グ
ルコヘプトン酸、グルコオクタン酸、スレオニン酸、サ
ッカリン酸、ガラクトン酸、ガラクタル酸、ガラクツロ
ン酸、グリセリン酸、ヒドロキシコハク酸等が挙げられ
る。さらに、本発明では、脂肪族高級アルコールにアル
キレンオキサイドを付加重合させたブロックコポリマー
も使用することが可能である。具体的には、ポリオキシ
エチレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンラウ
リルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、
ポリオキシプロピレンオレイルエーテル、ポリオキシエ
チレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエ
ーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリ
オキシプロピレンステアリルエーテル等が挙げられる。
【0032】上記のブロックコポリマー末端基は限定さ
れないが、水酸基はじめ、直鎖状及び環状のアルキルエ
ーテル基、アルキルエステル基、アルキルアミド基、ア
ルキルカーボネート基、ウレタン基及びトリアルキルシ
リル基変性された基であることが好ましい。次に、ブロ
ックコポリマー以外の有機ポリマーについて説明する。
本発明においては、ポリマーの主鎖構造が加熱焼成によ
って消失し、多孔質のケイ素酸化物に容易に変換する、
脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリ
カーボネート、脂肪族ポリアンハイドライドを主なる構
成成分とするポリマーで、ポリマー末端基の少なくとも
一つの末端基がシリカ前駆体に対して化学的に不活性な
基を有する有機ポリマーを用いることも好ましい。
【0033】好ましいポリマー末端基としては、炭素数
1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキルエーテル
基、アルキルエステル基、アルキルアミド基及びアルキ
ルカーボネート基が挙げられる。上記ポリマーは単独で
あっても、複数のポリマーの混合物であってもよい。ま
た、ポリマーの主鎖は、本発明の効果を損なわない範囲
で、上記以外の任意の繰り返し単位を有するポリマー鎖
を含んでいてもよい。
【0034】本発明の末端基は、シリカ前駆体との相溶
性が特に良好なので、ポリマー形態として分岐ポリマー
の方が分子内により多くの末端基を有することが可能に
なり好ましい。このような場合、分岐部分は、前述した
ようなグリセロール、エリスリトール、エリスロース、
ペンタエリスリトール、ペンチトール、ペントース、ヘ
キシトール、ヘキソース、ヘプトース等に代表される糖
鎖に含まれるヒドロキシル基のうちの少なくとも3つと
有機ポリマー鎖が結合した構造及び/又はヒドロキシル
酸に含まれるヒドロキシル基とカルボキシル基のうち少
なくとも3つと有機ポリマー鎖が結合した構造であるこ
とが好ましい。
【0035】本発明の脂肪族ポリエーテルの例として、
主鎖がポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール、ポリイソブチレングリコール、ポリトリメチレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリペン
タメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコー
ル、ポリジオキソラン、ポリジオキセパン等のアルキレ
ングリコール類で、その少なくとも一つの末端がアルキ
ルエーテル、アルキルエステル、アルキルアミド、アル
キルカーボネート化されたものを挙げることができる。
エーテル、エステル、アミド、カーボネートのグループ
はポリマー末端の繰り返し単位と直接化学結合していて
もよく、有機基を介して結合していてもよい。
【0036】脂肪族ポリエーテルの末端基をエーテル化
した例としては、上記アルキレングリコール類の少なく
とも一つの末端を、例えば、メチルエーテル、エチルエ
ーテル、プロピルエーテル、グリシジルエーテル等でエ
ーテルとしたものが挙げられ、具体的には、ポリエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコ
ールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコールジメ
チルエーテル、ポリイソブチレングリコールジメチルエ
ーテル、ポリエチレングリコールジエチルエーテル、ポ
リエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレ
ングリコールジブチルエーテル、ポリエチレングリコー
ルモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールジグリ
シジルエーテル、ポリエチレンポリプロピレングリコー
ルジメチルエーテル、グリセリンポリエチレングリコー
ルトリメチルエーテル、ペンタエリスリトールポリエチ
レングリールテトラメチルエーテル、ペンチトールポリ
エチレングリコールペンタメチルエーテル、ソルビトー
ルポリエチレングリコールヘキサメチルエーテル等が特
に好ましく用いられる。
【0037】末端にエステル基を持つ脂肪族ポリエーテ
ル類としては、上記アルキレングリコール類の少なくと
も一つの末端を、例えば、酢酸エステル、プロピオン酸
エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステ
ル、安息香酸エステルとしたもの等が挙げられる。ま
た、アルキレングリコール類の末端をカルボキシメチル
エーテル化し、この末端のカルボキシル基をアルキルエ
ステル化したものも好適に用いられる。具体的には、ポ
リエチレングリコールモノ酢酸エステル、ポリエチレン
グリコールジ酢酸エステル、ポリプロピレングリコール
モノ酢酸エステル、ポリプロピレングリコールジ酢酸エ
ステル、ポリエチレングリコールジ安息香酸エステル、
ポリエチレングリコールジアクリル酸エステル、ポリエ
チレングリコールモノメタクリル酸エステル、ポリエチ
レングリコールジメタクリル酸エステル、ポリエチレン
グリコールビスカルボキシメチルエーテルジメチルエス
テル、ポリプロピレングリコールビスカルボキシメチル
エーテルジメチルエステル、グリセリンポリエチレング
リコールトリ酢酸エステル、ペンタエリスリトールポリ
エチレングリコールテトラ酢酸エステル、ペンチトール
ポリエチレングリコールペンタ酢酸エステル、ソルビト
ールポリエチレングリコールヘキサ酢酸エステル等が好
ましい例として挙げられる。
【0038】末端にアミド基を持つ脂肪族ポリエーテル
類としては、上記のアルキレングリコール類の少なくと
も一つの末端をカルボキシメチルエーテル化し、そのあ
とでアミド化する方法、ヒドロキシ末端をアミノ基変性
したあとにアミド化する方法等が挙げられ、具体的に
は、ポリエチレングリコールビス(カルボキシメチルエ
ーテルジメチルアミド)、ポリプロピレングリコールビ
ス(カルボキシメチルエーテルジメチルアミド)、ポリ
エチレングリコールビス(カルボキシメチルエーテルジ
エチルアミド)、グリセリンポリエチレングリコールト
リカルボキシメチルエーテルジメチルアミド、ペンタエ
リスリトールポリエチレングリコールテトラカルボキシ
メチルエーテルジメチルアミド、ペンチトールポリエチ
レングリコールペンタカルボキシメチルエーテルジメチ
ルアミド、ソルビトールポリエチレングリコールヘキサ
カルボキシメチルエーテルジメチルアミド等が好適に用
いられる。
【0039】末端にアルキルカーボネート基を持つ脂肪
族ポリエーテル類としては、例えば、上記アルキレング
リコール類の少なくとも一つの末端に、ホルミルエステ
ル基をつける方法が挙げられ、具体的には、ビスメトキ
シカルボニルオキシポリエチレングリコール、ビスエト
キシカルボニルオキシポリエチレングリコール、ビスエ
トキシカルボニルオキシポリプロピレングリコール、ビ
スtert−ブトキシカルボニルオキシポリエチレング
リコール等が挙げられる。
【0040】さらに末端にウレタン基やトリアルキルシ
リル基で変性した脂肪族ポリエーテル類も使用すること
ができる。トリアルキルシリル変性物としては、トリメ
チルシリル変性物がより好ましく、これはトリメチルク
ロロシランやトリメチルクロロシリルアセトアミド又は
ヘキサメチルジシラザン等によって変性して製造され
る。脂肪族ポリエステルの例としては、ポリグリコリ
ド、ポリカプロラクトン、ポリピバロラクトン等のヒド
ロキシカルボン酸の重縮合物やラクトンの開環重合物、
ポリエチレンオキサレート、ポリエチレンスクシネー
ト、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンセバケー
ト、ポリプロピレンアジペート、ポリオキシジエチレン
アジペート等のジカルボン酸とアルキレングリコールと
の重縮合物、エポキシドと酸無水物との開環共重合物で
あって、ポリマーの少なくとも一つの末端にアルキルエ
ーテル基、アルキルエステル基、アルキルアミド基、ア
ルキルカーボネート基、ウレタン基さらにはトリアルキ
ルシリル基で変性されたもの等を挙げることができる。
【0041】脂肪族ポリカーボネートの例としては、主
鎖部分としてポリエチレンカーボネート、ポリプロピレ
ンカーボネート、ポリペンタメチレンカーボネート、ポ
リヘキサメチレンカーボネート等のポリカーボネートを
挙げることができ、ポリマーの少なくとも一つの末端に
アルキルエーテル基、アルキルエステル基、アルキルア
ミド基、アルキルカーボネート基、ウレタン基又はトリ
アルキルシリル基で変性されたものを挙げることができ
る。
【0042】脂肪族ポリアンハイドライドの例として
は、主鎖部分として、ポリマロニルオキシド、ポリアジ
ポイルオキシド、ポリピメロイルオキシド、ポリスベロ
イルオキシド、ポリアゼラオイルオキシド、ポリセバコ
イルオキシド等のジカルボン酸の重縮合物をあげること
ができ、このポリマーの少なくとも一つの末端にアルキ
ルエーテル基、アルキルエステル基、アルキルアミド
基、アルキルカーボネート基、ウレタン基さらにはトリ
アルキルシリル基で変性されたものを挙げることができ
る。
【0043】さらに本発明では、分子内に少なくとも一
つの重合可能な官能基を有する有機ポリマーも用いるこ
とができる。このようなポリマーを用いると、理由は定
かではないが、多孔性薄膜の強度が向上する。重合可能
な官能基としては、ビニル基、ビニリデン基、ビニレン
基、グリシジル基、アリル基、アクリレート基、メタク
リレート基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、
カルボキシル基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、
アミノ基、イミノ基、ハロゲン基等が挙げられる。これ
らの官能基は、ポリマーの主鎖中にあっても末端にあっ
ても側鎖にあってもよい。またポリマー鎖に直接結合し
ていてもよいし、アルキレン基やエーテル基等のスペー
サーを介して結合していてもよい。同一のポリマー分子
が1種類の能基を有していても、2種類以上の官能基を
有していてもよい。前述の官能基の中でも、ビニル基、
ビニリデン基、ビニレン基、グリシジル基、アリル基、
アクリレート基、メタクリレート基、アクリルアミド
基、メタクリルアミド基が好適に用いられる。
【0044】このポリマーの基本骨格としては、前述し
たポリマーの例と同様、熱分解温度の低い脂肪族ポリエ
ーテル、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリカーボネー
ト、脂肪族ポリアンハイドライドを主なる構成成分とす
るものを用いるのが特に好ましい。本発明で用いること
ができる重合性官能基を有する有機ポリマーの基本骨格
を更に具体的に示す。
【0045】アルキレンとは、メチレン、エチレン、プ
ロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチ
レン、ヘキサメチレン、イソプロピリデン、1,2−ジ
メチルエチレン、2,2−ジメチルトリメチレンを指
し、ここで、アルキルとは、C 1〜C8のアルキル基及び
フェニル基、トリル基、アニシル基等のアリール基も含
み、(メタ)アクリレートとはアクリレートとメタクリ
レートの両方を指し、ジカルボン酸とは蓚酸、マロン
酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、
スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の有機酸を指
す。
【0046】(a)ポリアルキレングリコール(メタ)
アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ポリアルキレングリコールアルキルエーテ
ル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールビ
ニルエーテル、ポリアルキレングリコールジビニルエー
テル、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルビニ
ルエーテル、ポリアルキレングリコールグリシジルエー
テル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテ
ル、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルグリシ
ジルエーテル等に代表される、末端にアクリレート基、
メタクリレート基、ビニル基、グリシジル基等の重合可
能な官能基をもつ脂肪族ポリエーテル。
【0047】(b)ポリカプロラクトン(メタ)アクリ
レート、ポリカプロラクトンビニルエーテル、ポリカプ
ロラクトングリシジルエーテル、ポリカプロラクトンビ
ニルエステル、ポリカプロラクトングリシジルエステ
ル、ポリカプロラクトンビニルエステル(メタ)アクリ
レート、ポリカプロラクトングリシジルエステル(メ
タ)アクリレート、ポリカプロラクトンビニルエステル
ビニルエーテル、ポリカプロラクトングリシジルエステ
ルビニルエーテル、ポリカプロラクトンビニルエステル
グリシジルエーテル、ポリカプロラクトングリシジルエ
ステルグリシジルエーテル、等に代表される、片末端あ
るいは両末端にアクリレート基、メタクリレート基、ビ
ニル基、グリシジル基等の重合可能な官能基をもつポリ
カプロラクトン。
【0048】(c)ポリカプロラクトントリオールの
(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート、トリ
(メタ)アクリレート、ビニルエーテル、ジビニルエー
テル、トリビニルエーテル、グリシジルエーテル、ジグ
リシジルエーテル、トリグリシジルエーテル。 (d)ジカルボン酸とアルキレングリコールとの重合体
であり、片末端あるいは両末端にアクリレート基、メタ
クリレート基、ビニル基、グリシジル基等の重合可能な
官能基をもつ脂肪族ポリエステル。
【0049】(e)片末端あるいは両末端にアクリレー
ト基、メタクリレート基、ビニル基、グリシジル基等の
重合可能な官能基をもつ脂肪族ポリアルキレンカーボネ
ート。(f)ジカルボン酸無水物の重合体であり、末端
にアクリレート基、メタクリレート基、ビニル基、グリ
シジル基等の重合可能な官能基をもつ脂肪族ポリアンハ
イドライド。
【0050】(g)ポリグリシジル(メタ)アクリレー
ト、ポリアリル(メタ)アクリレート、ポリビニル(メ
タ)アクリレート等、側鎖にビニル基、グリシジル基、
アリル基等の官能基を有するポリアクリル酸エステルや
ポリメタクリル酸エステル。 (h)ポリケイ皮酸ビニル、ポリビニルアジドベンザ
ル、エポキシ樹脂、等のポリマーを用いることができ
る。
【0051】本発明に用いられるブロックコポリマー以
外の有機ポリマーの分子量は、数平均で、好ましくは1
00〜100万、より好ましくは100〜30万、最も
好ましくは200〜5万である。分子量が100未満で
あると、有機ポリマーがシリカと有機ポリマーの複合体
から除去される速度が速くなり、所望とする空孔率を持
った多孔性シリカ薄膜が得られにくくなる傾向があり、
ポリマー分子量が100万を越えると、今度はポリマー
が除去される速度が遅くなり、ポリマーが残存しやすく
まる傾向がある。数平均分子量が200〜5万の場合、
低温、かつ、短時間に所望する高い空孔率を持った多孔
性シリカ薄膜がきわめて容易に得られる。ここで注目す
べきことは、多孔性シリカの空孔の大きさは、ポリマー
の分子量にあまり依存せずに、きわめて小さく、均一な
ことである。
【0052】本発明で用いるブロックコポリマーの各ブ
ロックの分子量は、数平均で、好ましくは100〜10
万、より好ましくは100〜5万、最も好ましくは20
0〜2万である。分子量が100以下未満では、シリカ
前駆体とポリマーが均一に相溶してミクロ相分離を構造
形成しにくくなる傾向があり、10万を越えると、シリ
カ前駆体とポリマー間で相溶性が得らないためマクロ相
分離構造を形成しやすくなる傾向があり、その場合、有
機ポリマー揮散後に多孔質シリカ中に大きな空孔が形成
されて、多孔性シリカ薄膜の機械強度が発現されにくく
なる傾向がある。
【0053】本発明における有機ポリマーの添加量は、
出発原料であるアルコキシシランの仕込み全量が加水分
解及び縮合反応したと仮定して得られるシロキサン1質
量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より
好ましくは0.05〜5質量部、最も好ましくは0.5
〜3質量部である。有機ポリマーの添加量が0.01質
量部未満では多孔体が得られにくく、10質量部を越え
ると十分な機械強度を有する多孔性シリカが得られにく
くなる傾向がある。
【0054】アルコキシシランの仕込み全量が加水分解
及び縮合反応したと仮定して得られるシロキサンとは、
化学式(1)〜(3)のSi原子に結合したOR1基が
100%加水分解されてSiOHになり、さらに100
%縮合してシロキサン構造になったものをいう。本発明
における有機ポリマーに含まれるブロックコポリマーの
割合は1質量%以上であることが好ましく、より好まし
くは5質量%以上である。有機ポリマーの全てがブロッ
クコポリマーであってもよい。有機ポリマーに含まれる
ブロックコポリマーの割合が1質量%未満であると、十
分な機械強度を有する多孔性シリカが得られにくくな
る。これはシリカ前駆体と有機ポリマーとのミクロ相分
離構造が形成されにくいためと考えられる。
【0055】次に、本発明に用いることのできる溶媒
(C)について説明する。本発明に用いることのできる
溶媒(C)は、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミ
ド 系溶媒及びエステル系溶媒の群から選ばれた少なく
とも1種の溶媒である。アルコール系溶媒としては、メ
タノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパ
ノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブ
タノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペ
ンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノ
ール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n
−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘ
キサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノ
ール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチ
ルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルア
ルコール、2,6-ジメチル ヘプタノール-4、n-デカ
ノール、sec-ウンデシルアルコール、トリメチルノ
ニルアルコール、sec-テトラデシルアルコール、s
ec-ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘ
キサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−
トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、
ジアセトンアルコール等のモノアルコール系溶媒、及び
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、
1,3−ブチレングリコール、ペンタンジ オール-2,
4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジ
オール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチ
ルヘキサンジオール−1,3−ジエチレングリコール、
ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ト
リプロピレングリコール等の多価アルコール系溶媒、及
びエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレング
リコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ
プロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエー
テル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチ
レングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコ
ールモノ-2-エチルブチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエ
チルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエー
テル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエ
チレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレング
リコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモ
ノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピル
エーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピ
レングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリ
コールモノプロピルエーテル等の多価アルコール部分エ
ーテル系溶媒等を挙げることができる。これらのアルコ
ール系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用して
もよい。
【0056】これらアルコールのうち、n−プロパノー
ル、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノー
ル、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペン
タノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、
sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキ
シブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノ
ー ル、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノー
ル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピ
レングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコ
ールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノ
ブチルエーテル等が好ましい。
【0057】ケトン系溶媒としては、アセトン、メチル
エチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチル- n
-ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル-i-ブチルケ
トン、メチル-n-ペンチルケトン、エチル-n-ブチルケ
トン、メチル-n-ヘキシルケトン、ジ-i-ブチルケト
ン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、2−ヘキ
サノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジ
オン、アセトニルアセトン、アセトフェノン、フェンチ
ョン等のほか、アセチルアセトン、2, 4−ヘキサン
ジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジ
オン、2,4−オクタンジオン、3,5−オクタンジオ
ン、2,4−ノナンジオン、3,5−ノナンジオン、5
−メチル-2,4−ヘキサンジオン、2, 2,6,6−
テトラメチル-3,5−ヘプタンジオン、 1,1,1,
5,5,5−ヘキサフルオロ-2,4−ヘプタンジオン
等のβ−ジケトン類等が挙げられる。 これらのケトン
系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時 に使用しても
よい。
【0058】アミド系溶媒としては、ホルムアミド、N
−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルム
アミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,
N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、
N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオ
ンアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホ
リン、N−ホルミルピペリジン、N−ホルミルピロリジ
ン、N−アセチルモルホリン、N−アセチルピペリジ
ン、N−アセチルピロリジン等が挙げられる。これらア
ミド系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用して
もよい。
【0059】エステル系溶媒としては、ジエチルカーボ
ネート、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチ
ル、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ
−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピ
ル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブ
チル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸
3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エ
チルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、
酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢
酸 n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチ
ル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸
エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリ
コールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコール
モノ- n-ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコール
モノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエ
チルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピル
エーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテ
ル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、
酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢
酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオ
ン酸エチル、プロピオン酸n-ブチル、プロピオン酸i-
アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ-n-ブチル、乳
酸メチル、乳酸エチル、乳酸n-ブチル、乳酸n-アミ
ル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジ
エチル等が挙げられる。これらエステル系溶媒は、1種
又は2種以上を同時に使用してもよい。
【0060】溶媒(C)として、アルコール系溶媒及び
/又はエステル系溶媒を用いると、塗布性が良好で、か
つ、貯蔵安定性に優れた組成物が得られる点で好まし
い。本発明の塗布組成物は、上記の溶媒(C)を含有す
るが、シリカ前駆体(A)を加水分解及び/又は縮合す
る際に、同様の溶媒を追加することができる。本発明の
組成物に、更に、酸を添加してもよい。本発明で用いる
ことができる酸の具体例としては、塩酸、硝酸、硫酸、
リン酸、フッ酸、トリポリリン酸、ホスフォン酸、ホス
フィン酸等の無機酸を挙げることができる。有機酸とし
ては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタ
ン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン
酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン
酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリッ
ト酸、アラキドン酸、シキミ酸、 2-エチルヘキサン
酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイ
ン酸、サリチル酸、安息香酸、p-アミノ安息香酸、p-
トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ
酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ 酢酸、トリフルオロ
酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル
酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、イソニコチン酸等を
挙げることができる。
【0061】また、本発明の組成物溶液を基板上に塗布
した後で酸として機能するような化合物も含まれる。具
体的には、芳香族スルホン酸エステルやカルボン酸エス
テルのような、加熱又は光により分解して酸を発生する
化合物が挙げられる。酸は単独で用いても、2種以上を
併用してもよい。これらの酸成分の添加量は、出発原料
として仕込まれる化学式(1)〜(3)のSiOR1
1モルに対し、好ましくは1モル以下、より好ましくは
0.1モル以下である。1モルを越えると沈殿物が生成
しやすくなり、均質な多孔質のケイ素酸化物からなる塗
膜が得られ難くなる場合がある。
【0062】以上説明した本発明の絶縁膜用組成物は、
4官能性のアルコキシラン等に対して特定量の2官能性
及び/又は3官能性のアルコキシシラン等、及びポリエ
ーテルブロックコポリマー、更には、酸とを組み合わせ
ることによって、それから製造される多孔性シリカ薄膜
の比誘電率を著しく低くすることができる。その理由に
ついては明らかではないが、複合体又は多孔体中に存在
するシリカ末端基であるシラノール基(シラノール基は
吸水性で、薄膜の誘電率が著しく上昇させる原因とな
る)と2,3官能性のアルコキシシラン等との反応を、
ポリエーテルブロックコポリマーと酸の作用により促進
することにより、シラノール基が失活され、かつ、2,
3官能性のアルコキシラン等が有する疎水基のために、
さらに吸水性が抑制されるためと推定される。
【0063】本発明の組成物に、所望であれば、例え
ば、コロイド状シリカや界面活性剤等の成分を添加して
もよいし、感光性付与のための光触媒発生剤、基板との
密着性を高めるための密着性向上剤、長期保存のための
安定剤等、任意の添加物を、本発明の趣旨を損なわない
範囲で添加することも可能である。次に、本発明の塗布
組成物の製造方法について説明する。本発明の塗布組成
物は、上記したアルコキシシラン等と有機ポリマーを混
合することによって得ることができるが、アルコキシシ
ラン等は、少なくともその一部が加水分解し重縮合して
アルコキシシランの加水分解物がオリゴマー状に縮合し
ていることが好ましい。加水分解し重縮合することによ
って組成物の粘度が適度に上がるので、塗膜の保形性が
確保でき、膜厚を均一にすることが可能となる。更に、
シリカ前駆体がゲル化してシリカとなる場合に、シリカ
骨格の形成がマイルドに起こるので、膜収縮が起こり難
くなる。アルコキシシラン等は、以下に示す条件で加水
分解し重縮合することができる。この処理は、アルコキ
シシランと有機ポリマーを混合した後に行っても、アル
コキシシランを予め処理した後に、有機ポリマーを混合
してもよい。
【0064】本発明におけるアルコキシシランの処理条
件は、加水分解に必要な水の存在下、通常、0〜150
℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは0℃〜
50℃である。0℃未満になると加水分解の進行が十分
でなく、150℃を超えると反応が急激に進行しすぎ
て、溶液のゲル化が起こる場合がある。加水分解には、
前記したように、部分加水分解も含まれる。例えば、4
官能性のアルコキシシランの場合、4つのアルコキシ基
のすべてが加水分解されている必要はなく、例えば、1
個だけが加水分解されているもの、2個以上が加水分解
されているもの、又はこれらの混合物が存在していても
よい。
【0065】重縮合物は、アルコキシシランが加水分解
して得られるシラノール基が縮合してSi−O−Si結
合を形成したものであるが、シラノール基がすべて縮合
している必要はなく、一部のシラノール基が縮合したも
のであってもよい。縮合の程度は縮合率にて表される。
本発明の塗布組成物中のアルコキシシランの縮合率は、
好ましくは10〜90%、より好ましくは20〜85
%、最も好ましくは30〜85%である。この縮合率
は、溶液状態での29Si−NMR法により求めることが
できる。縮合率が10%未満の場合、塗布液粘度が不充
分となり、塗膜の保形性が確保できず膜厚を均一にでき
ない。また、シリカを形成する場合のゲル化が急激にお
こるため膜収縮が起こりやすくなる。一方、縮合率が9
0%を超えると塗布組成物全体がゲル化する。
【0066】縮合率とは、本発明の組成物の原料として
用いられたアルコキシシランの官能基うち、シロキサン
結合に関与した官能基の割合をいう。本発明に用いるア
ルコキシシランの加水分解に必要な水は、液体のまま、
又はアルコール等の水溶液として加えるのが一般的であ
るが、水蒸気の形で加えてもよい。水の添加を急激に行
うと、アルコキシシランの種類によっては加水分解と縮
合が速すぎて沈殿を生じる場合があるため、水の添加に
充分な時間をかけることが好ましい。したがって、液体
で添加する場合、アルコキシシランが均一に水と接する
ようにアルコール等の溶媒を共存させたり、低温で添加
する等の手法を単独又は組み合わせて用いることが好ま
しい。
【0067】水の添加量は、原料として仕込み量のアル
コキシシラン基1モル当たり、0.1モル〜5モルの範
囲が好ましい。水の添加量がこの範囲にあると、以下の
反応が円滑に進行する。以上の条件で処理されたアルコ
キシシランは、水の存在下、加水分解してシラノールに
なり、次に、シラノール基間の縮合反応によりシロキサ
ン結合を有するオリゴマー状のシリカ前駆体へと生長す
る。
【0068】本発明の組成物中のナトリウム、カリウム
等のアルカリ金属及び鉄の含率が15ppb以下、特に
10ppb 以下であることが塗膜の低リーク電流の観
点から好ましい。アルカリ金属及び鉄は、使用する原料
から混入する場合があり、シリカ前駆体(A)、有機ポ
リマー(B)及び溶媒(C)等を蒸留等により精製する
ことが好ましい。本発明では、以上のようにして得られ
る塗布組成物を塗布液として用い、得られた塗膜中のシ
リカ前駆体をゲル化させることによって、シリカと有機
ポリマーの複合体薄膜を得ることができる。
【0069】次に、本発明の塗布組成物を塗膜して薄膜
を得る方法、及び薄膜をゲル化して複合体薄膜とする方
法、さらに複合体薄膜から有機ポリマーを除去させる方
法について説明する。本発明における塗布組成物の全固
形分濃度は、前記のように2〜30質量%が好ましい
が、使用目的に応じて適宜調整される。塗布組成物の全
固形分濃度が2〜30質量%であると、塗膜の膜厚が適
当な範囲となり、保存安定性もより優れる。この全固形
分濃度の調整は、必要であれば、濃縮又は上記溶媒
(C)による希釈によって行われる。
【0070】全固形分濃度は、既知量の塗布組成物に対
するアルコキシシランの全量が加水分解及び縮合反応し
て得られるシロキサン化合物の質量%として求められ
る。本発明において、薄膜の形成は、基板上に本発明の
組成物を塗布することによって行われる。塗布方法とし
ては、流延、浸漬、スピンコート等の周知の方法が用い
られるが、半導体素子の多層配線構造体用の絶縁層の製
造に用いるにはスピンコートが好ましい。
【0071】薄膜の厚さは、塗布組成物の粘度や回転速
度を変えることによって0.1〜100μmの範囲で制
御できる。厚みが100μmを越えるとクラックが発生
する場合がある。半導体素子の多層配線構造体用の絶縁
層としては、通常、0.1〜5μmの範囲で用いられ
る。基板としては、シリコン、ゲルマニウム等の半導体
基板、ガリウム−ヒ素、インジウム−アンチモン等の化
合物半導体基板等を用いることもできる。これらの表面
に他の物質の薄膜を形成した上で用いることも可能であ
る。この場合、薄膜としては、アルミニウム、チタン、
クロム、ニッケル、銅、銀、タンタル、タングステン、
オスミウム、白金、金等の金属の他に、二酸化ケイ素、
フッ素化ガラス、リンガラス、ホウ素−リンガラス、ホ
ウケイ酸ガラス、多結晶シリコン、アルミナ、チタニ
ア、ジルコニア、窒化シリコン、窒化チタン、窒化タン
タル、窒化ホウ素、水素化シルセスキオキサン等の無機
化合物、メチルシルセスキオキサン、アモルファスカー
ボン、フッ素化アモルファスカーボン、ポリイミド、そ
の他任意のブロックコポリマーからなる薄膜を用いるこ
とができる。
【0072】薄膜の形成に先立ち、上記基板の表面を、
あらかじめ密着向上剤で処理してもよい。この場合の密
着向上剤としては、いわゆるシランカップリング剤とし
て用いられるものやアルミニウムキレート化合物等を使
用することができる。特に好適に用いられるものとし
て、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチ
ル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−
(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメ
トキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエ
トキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラ
ン、3−クロロプロピルメチルジクロロシラン、3−ク
ロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロ
ピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピル
トリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメト
キシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシ
シラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシ
シラン、ヘキサメチルジシラザン、エチルアセトアセテ
ートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムト
リス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムビス
(エチルアセトアセテート)モノアセチルアセトネー
ト、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)等が
挙げられる。これらの密着向上剤を塗布するにあたって
は、必要に応じて、他の添加物を加えたり、溶媒で希釈
してもよい。密着向上剤による処理は公知の方法で行う
ことができる。
【0073】塗布組成物を塗膜にした後、引き続き行う
ゲル化温度は限定されないが、通常、100〜300
℃、好ましくは150〜300℃であり、ゲル化反応に
要する時間は熱処理温度、触媒添加量、溶媒種及び量に
よっても異なるが、通常、数秒間〜10時間、好ましく
は30秒〜5時間、より好ましくは1分〜2時間であ
る。この操作により、組成物中のシリカ前駆体のゲル化
反応が十分に進行してシリカとなる。
【0074】シリカの縮合率は100%近くまで達する
場合があるが、通常、約90%である。この場合の薄膜
の縮合率は、固体NMRで求めることができる。ゲル化
温度が100℃未満であると、後工程のポリマー除去工
程において、ゲル化が十分に進行する前にポリマーが除
去され始めるので、塗膜の高密度化が起こりやすくな
る。また300℃を越えると、巨大なボイドが生成しや
すく、後述するシリカと有機ポリマーの複合体薄膜の均
質性が低下しやすくなる。
【0075】このようにして得られたシリカと有機ポリ
マーの複合体薄膜は、誘電率も比較的低く、厚膜形成性
があるので、このままで配線の絶縁部分として用いるこ
ともできるし、薄膜以外の用途、例えば、光学的膜や構
造材料、フィルム、コーティング材等として使用するこ
とも可能である。しかし、LSI多層配線の絶縁物とし
て、さらに誘電率の低い材料を得ることを目的に、多孔
性シリカ薄膜に変換することが好ましい。
【0076】シリカと有機ポリマーの複合体薄膜から絶
縁性の多孔性シリカ薄膜は、シリカと有機ポリマーの複
合体薄膜からポリマーを除去することによって製造され
る。この時に、シリカ前駆体のゲル化反応が十分に進行
していれば、シリカと有機ポリマーの複合体薄膜中の有
機ポリマーが占有していた領域が、多孔性シリカ薄膜中
の空孔としてつぶれずに残る。その結果、空隙率が高
く、誘電率の低い多孔性シリカ薄膜を得ることができ
る。
【0077】有機ポリマーを除去する方法としては、加
熱、プラズマ処理、溶媒抽出等が挙げられるが、現行の
半導体素子製造プロセスにおいて容易に実施可能である
という観点からは、加熱が好ましい。加熱による除去に
は、薄膜状態下で単に蒸散除去させる方法、有機ポリマ
ーの分解を伴って焼成除去する方法、及びその混合した
方法がある。加熱温度は、用いる有機ポリマーの種類に
依存し、通常の加熱温度は300〜450℃、好ましく
は350〜400℃の範囲である。300℃未満では有
機ポリマーの除去が不充分で、有機物の不純物が残るた
め、誘電率の低い多孔性シリカ薄膜が得られないおそれ
がある。また汚染ガス発生量も多くなる。一方、450
℃を越えると、有機ポリマーの除去の点では好ましい
が、半導体製造プロセスで用いるのが困難である。
【0078】加熱時間は10秒〜24時間の範囲で行う
ことが好ましく、より好ましくは10秒〜5時間、最も
好ましくは1分〜2時間である。10秒未満であると有
機ポリマーの蒸散や分解が十分進行しないので、得られ
る多孔性シリカ薄膜に不純物として有機物が残存し、誘
電率が十分には低くならない。また、通常、熱分解や蒸
散は24時間以内に終了するので、これ以上長時間の加
熱はあまり意味をなさない。
【0079】加熱は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不
活性雰囲気下で行うのが好ましい。空気又は酸素ガスを
混入させて酸化性雰囲気下で行うことも可能であるが、
この場合には、酸化性ガスの濃度を、シリカ前駆体がゲ
ル化する前に有機ポリマーが実質的に分解しないような
濃度に制御することが好ましい。雰囲気中にアンモニ
ア、水素等を存在させ、シリカ中に残存しているシラノ
ール基を失活させることによって多孔性シリカ薄膜の吸
湿性を低減させ、誘電率の上昇を抑制することもでき
る。
【0080】以上の加熱により、有機ポリマーを除去し
た後の多孔性シリカ薄膜中の残渣ポリマー量は著しく低
減されるので、有機ポリマーの分解ガスによる上層膜の
接着力の低下や剥離等の現象がおこらない。本発明の組
成物中の有機ポリマーが、ポリエーテルブロックコポリ
マーとシリカ前駆体に対して化学的に不活性な末端基を
有するポリマーとを包含することにより、さらにその効
果が顕著になる。シリカ/有機ポリマー複合体薄膜を形
成するステップを経た後ポリマーを除去するステップを
上記条件下で行うものであれば、そのステップの前後に
任意の温度や雰囲気によるステップを経てもよい。
【0081】本発明において、加熱には、半導体素子製
造プロセス中で通常使用される枚葉型縦型炉あるいはホ
ットプレート型の焼成システムを使用することができ
る。もちろん、本発明の製造工程を満足すれば、これら
に限定されるものではない。本発明の多孔性シリカ薄膜
は、機械強度が高く、かつ、誘電率が充分に低いLSI
用の多層配線用絶縁膜として好適である。本発明の多孔
性シリカ薄膜の比誘電率は、通常、2.8〜1.2であ
る。この比誘電率は、本発明の組成物中の(B)成分の
含有量により調節することができる。また、本発明の多
孔性薄膜中には、BJH法による細孔分布測定におい
て、20nm以上の空孔は実質上認められず、層間絶縁
膜として好適である。
【0082】本発明により得られる多孔性シリカ薄膜
は、薄膜以外のバルク状の多孔性シリカ体、例えば、反
射防止膜や光導波路のような光学的膜や触媒担体はじめ
断熱材、吸収剤、カラム充填材、ケーキング防止剤、増
粘剤、顔料、不透明化剤、セラミック、防煙剤、研磨
剤、歯磨剤等として使用することも可能である。
【0083】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例及び比較例
により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施
例等により何ら限定されるものではない。絶縁性薄膜製
造用の塗布組成物及び薄膜の評価は下記の方法により行
う。 (1)珪素原子の定量 官能性基数の異なるアルコキシシラン等に由来する珪素
原子を、各々、29Si−NMRによるシグナルの面積か
ら算出した数値で表し、それらを対比することにより組
成物中に含まれるアルコキシシラン等の組成比とする。
【0084】一例として、アルコキシシランとしてテト
ラエトキシシラン(TEOS)、ジメチルジエトキシシ
ラン(DMDES)及びメチルトリエトキシシラン(M
TES)を用いた場合の薄膜中のDMDES及びMTE
S起因のSi原子のモル%の算出法を説明する。 装置:JEOL社製ラムダ400 測定モード:NNE 試料管:外径10mm、内径3mm (塗布組成物、薄膜ともD化エタノール、TMSを少量
添加) 積算回数:1300回 PD(パルスディレー) 250秒 BF(ブロードニングファクター)30Hz 以上の測定装置及び測定条件から得られた数値を用いて
以下に示す計算式より算出する。 DMDESとMTES起因のSi原子の合計モル%=1
00×{(D0+D1+D2)+(M0+M1+M2+
M3)}/{(T0+T1+T2+T3+T4)+(D
0+D1+D2)+(MO+M1+M2+M3)} (式中、T0、D0、M0は、それぞれ上記の装置で原
料のTEOS、DMDES及びMTESにおいて、各ア
ルコキシシラン中のエトキシ基が少なくとも一部加水分
解されて水酸基となった化合物に帰属されるシグナル積
分強度を表し、T1、D1及びM1は、TEOS、DM
DES及びMTESの、各Siの一箇所が隣接のSi原
子と酸素原子を介して結合して形成される基に帰属され
るシグナルの積分強度を表し、T2、D2及びM2は、
TEOS、DMDES及びMTES中の、各Siの二箇
所が隣接のSi原子と酸素原子を介して結合して形成さ
れる基に帰属されるシグナルの積分強度を表し、T3と
M3は、TEOS及びMTES中の、Siの三箇所が隣
接のSi原子と酸素原子を介して結合して形成される基
に帰属されるシグナルの積分強度を表し、T4は、TE
OS中のSiの四箇所が隣接のSi原子と酸素原子を介
して結合して形成される基に帰属されるシグナルの積分
強度を表す)。
【0085】(2)比誘電率 ソリッドステートメジャーメント(株)製SSM495
型自動水銀CV測定装置を用いて測定する。 (3)膜厚測定 理学電機(株)製X線回折装置RINT−2500を用
いて測定する。測定条件は、発散スリット:1/6°、
散乱スリット:1/6°、受光スリット:0.15mm
とし、検出器(シンチレーションカウンタ)の前にグラ
ファイトモノクロメータをセットする。管電圧と管電流
は、それぞれ40KVと50mAで測定するが、必要に
応じて変えることができる。ゴニオメータの走査法は2
θ/θ走査法で、走査ステップは0.02°とする。
【0086】(4)ヤングモジュラス MTS Sysytem Corporation
(株)製ナノインデンターDCMにより測定する。測定
方法は、バーコビッチ型のダイヤモンド製圧子を基板上
に成膜された膜厚0.7〜1μmの多孔性シリカ薄膜内
部に押し込み、一定荷重に達するまで負荷した後、それ
を除き、変位をモニターすることにより荷重―変位曲線
を求める。表面はコンタクトスティフネスが200N/
mになる条件で認識する。硬度の算出は、以下の式によ
る。
【0087】H=P/A ここで、Pは印加した荷重、接触面積Aは接触深さhc
の関数で次式により、実験的に求める。
【0088】
【数1】
【0089】この接触深さは圧子の変位hと次の関係に
ある。 hc=h−εP/S ここで、εは0.75、Sは除荷曲線の初期勾配であ
る。ヤングモジュラスの算出はスネドンの式によって求
める。 Er=(√π・S) /2√A
【0090】ここで、複合弾性率Erは次式で表され
る。 Er=[(1−νS2)/Es+(1−νi2)/Ei]
-1 式中、νはポアソン比、添字Sはサンプル、iは圧子を
表す。本発明ではνi=0.07、 Ei=1141G
Pa、本材料のポアッソン比は未知であるが、νs=
0.18としてサンプルのヤングモジュラスEsを算出
する。ヤングモジュラスは、0.8μ〜1.2μmの膜
厚で測定する。
【0091】(5)密着力 シリコンウエハ上に形成された多孔性シリカ薄膜に、ER
ICHSEN(株)製塗膜用測定器マルチクロスカッター モ
デル295を塗膜に対し20度に保って押し当て、2〜
5秒/10cmの速度で、幅1mm、100ますの碁盤目
状の切り傷をつけた。碁盤目の上に幅18mm、粘着力
2.94N/10mm以上のセロハン粘着テープを貼り
付け、塗膜にテープを完全に付着させた後、テープの一
端を持って塗布面に直角に保ち、瞬間的に引き剥がす。
その後、碁盤目状の傷の状態を観察し、JIS−K−5
400付着性に記載されている碁盤目試験の評価点数に
したがい評価する。
【0092】(6)吸水性 多孔性シリカ薄膜を110℃、100%飽和蒸気下に1
時間放置した前後の薄膜のIRスペクトルを比較して、
3500cm-1付近の水に起因する吸収の有無を調べ、
吸収の無い場合を○、ある場合を×として評価する。
【0093】
【実施例1】テトラエトキシシラン7.94g、ジメチ
ルジエトキシシラン1.14g、メチルトリエトキシシ
ラン1.0g、エタノール13.5g、水9.7g、及
び0.1mol/lの硝酸2.0gの混合物に、ポリエ
チレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエ
チレングリコール(数平均分子量6400、ポリプロピ
レングリコール部分の数平均分子量は3200)2.4
2gを加え、室温で5時間攪拌し反応させた。
【0094】得られた溶液中のジメチルジエトキシシラ
ン及びメチルトリエトキシシラン由来のSi原子の合計
は26モル%であった。この溶液を6インチシリコンウ
ェハ上に3ml滴下し、1050rpmにて60秒間回
転塗布した。その後、空気中120℃にて1分間、窒素
雰囲気下200℃にて1時間、続いて窒素雰囲気下40
0℃にて1時間加熱焼成して、膜厚が0.96μmの多
孔性シリカ薄膜を得た。得られた薄膜中の1MHzにお
ける比誘電率は2.10、ヤングモジュラスは5.5G
Paであった。密着力は10点(最高点)で吸水性は○
であった。
【0095】
【実施例2】実施例1において、両末端がメトキシ化さ
れたポリエチレンポリプロピレングリコールポリエチレ
ングリコール2.42gを使うかわりに、前記ブロック
コポリマー0.25gとポリエチレングリコールジメチ
ルエーテル(数平均分子量600)1.66gを加え、
さらに硝酸の代わりに0.9質量%水溶液のしゅう酸を
0.25g加える以外は実施例1と同様にして、本発明
の組成物を得た。この組成物中のメチルトリエトキシシ
ラン由来のSi原子は37モル%であった。
【0096】この溶液を実施例1と同様の操作により、
膜厚が0.78μmの孔性シリカ薄膜を得た。得られた
薄膜中の1MHzにおける比誘電率は2.3、ヤングモ
ジュラスは7.1GPaであった。密着力は10点(最
高点)で吸水性は○であった。
【0097】
【実施例3】実施例1において、両末端基がメトキシ化
されたポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコ
ール/ポリエチレングリコールジメトキシ(数平均分子
量6430、ポリプロピレングリコール部分の数平均分
子量は3200)2.28gを加えるかわりに、前記ブ
ロックコポリマー0.3gとポリエチレングリコールジ
メチルエーテル(数平均分子量600)2.0gを加え
る以外は実施例1と同様にして、本発明の組成物を得
た。この組成物中のメチルトリエトキシシラン由来のS
i原子は37モル%であった。
【0098】この溶液を実施例と1同様の操作により、
膜厚が0.75μmの孔性シリカ薄膜を得た。得られた
薄膜中の1MHzにおける比誘電率は2.2、ヤングモ
ジュラスは6.0GPaであった。密着力は10点(最
高点)で吸水性は○であった。
【0099】
【比較例1】実施例1において、メトキシ化ポリエチレ
ングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレ
ングリコールのかわりに、ポリエチレングリコールジメ
チルエーテル(数平均分子量600)2.28gを用い
た以外は実施例1と同一の操作を行い、膜厚が0.77
μmの多孔性シリカ薄膜を得た。得られた薄膜の密着力
は10点であったが、吸水性が×で1MHzにおける比
誘電率は3.0、ヤングモジュラスは2.9GPaであ
り、実施例1と比較して誘電率は高く、機械強度は低い
という結果であった。
【0100】
【比較例2】実施例1で用いたアルコキシシランのかわ
りに、テトラエトキシシラン3.82g、メチルトリエ
トキシシラン13.10gを使う以外は実施例1と同様
の操作で、組成物の溶液を調製し(メトキシシラン由来
のSi原子は80モル%であった)、さらに多孔性シリ
カ薄膜を得た。薄膜の膜厚は0.85μm、密着力は1
0点で吸水性も○、比誘電率は2.3であったが、ヤン
グモジュラスは3.4GPaと低かった。
【0101】
【発明の効果】本発明による多孔性シリカ薄膜は、比誘
電率が十分に低く、安定で、半導体素子の銅配線工程に
おけるCMP工程に十分耐え、かつ、ビア形成時の汚染
ガス発生量の少ない。したがって、本発明の層間絶縁膜
用組成物は、LSI多層配線用基板や半導体素子の絶縁
膜用として最適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA51 AA65 AA67 AA75 AF39 AH12 BB02 BC01 4J002 BP03X CH00X CH01X CP03W CP19W GQ00 GQ01 5F058 BC02 BF46 BH01 BH16 BH20 BJ02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)化学式(1)で表されるアルコキ
    シシラン、その加水分解物及びその重縮合物から選ばれ
    た少なくとも1種(成分I)と、化学式(2)及び/又
    は化学式(3)で表されるアルコキシシラン、その加水
    分解物及びその重縮合物から選ばれた少なくとも1種
    (成分II)とを含有するシリカ前駆体であって、(成
    分I)に由来する珪素原子と(成分II)に由来する珪
    素原子の合計に対する、(成分II)に由来する珪素原
    子のモル分率が1モル%以上50モル%未満であるシリ
    カ前駆体と、 Si(OR14 (1) R2 1(Si)(OR13 (2) R2 2(Si)(OR12 (3) (式中、R1、R2は同一でも異なっていてもよく、それ
    ぞれ1価の有機基を表す) (B)熱により揮発もしくはガスを発生して揮散する直
    鎖状又は分岐状の2元以上のブロックコポリマーを含有
    する有機ポリマーと、 (C)アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒
    及びエステル系溶媒からなる群から選ばれた少なくとも
    1種の溶媒、とを含有することを特徴とする層間絶縁膜
    用組成物。
  2. 【請求項2】 有機ポリマーの末端基の少なくとも一つ
    が、シリカ前駆体に対して化学的に不活性な基となるよ
    うに末端封鎖されていることを特徴とする請求項1記載
    の層間絶縁膜用組成物。
  3. 【請求項3】 有機ポリマーが1質量%以上のブロック
    コポリマーを含有することを特徴とする請求項1又は2
    記載の層間絶縁膜用組成物。
  4. 【請求項4】 更に、少なくとも一種類の酸を含有する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の
    層間絶縁膜用組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の層
    間絶縁膜用組成物を基板上に塗布し、シリカ前駆体をゲ
    ル化させてシリカと有機ポリマーの複合体薄膜を形成さ
    せ、次いで、この複合体薄膜から有機ポリマーを除去し
    て得られることを特徴とする多孔性の絶縁性シリカ薄
    膜。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の絶縁性シリカ薄膜が用い
    られていることを特徴とする配線構造体。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の配線構造体を包含してな
    る半導体素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004307821A (ja) * 2003-03-25 2004-11-04 Fuji Photo Film Co Ltd 膜形成組成物、その製造方法、多孔質絶縁膜、およびその製造方法

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