JP2003232890A - 使用済みイオン交換樹脂の処理システムおよび処理方法、並びに増設設備 - Google Patents

使用済みイオン交換樹脂の処理システムおよび処理方法、並びに増設設備

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JP2003232890A
JP2003232890A JP2002033254A JP2002033254A JP2003232890A JP 2003232890 A JP2003232890 A JP 2003232890A JP 2002033254 A JP2002033254 A JP 2002033254A JP 2002033254 A JP2002033254 A JP 2002033254A JP 2003232890 A JP2003232890 A JP 2003232890A
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sulfuric acid
recovery
exchange resin
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waste
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English (en)
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Osamu Kohanawa
治 小華和
Kazuo Miyajima
和男 宮島
Takashi Miyake
崇史 三宅
Hirotsugu Nagayasu
弘貢 長安
Akira Kakimoto
朗 柿本
Akio Sato
明雄 佐藤
Yasumasa Oya
泰昌 大家
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 使用済みイオン交換樹脂の処理において発生
する廃液の量を低減すること。 【解決手段】 溶離器10で放射性核種を溶離した廃硫
酸は、硫酸回収装置40の廃酸室40cに送られる。硫
酸回収装置40の回収酸室40bには、定量ポンプ24
によって回収廃液貯蔵タンク50から前回のバッチで回
収された回収廃液が供給される。硫酸回収装置40で回
収した硫酸は再び溶離器10へ送られて、使用済みイオ
ン交換樹脂の溶離に使用される。つぎに、回収酸室40
bに純水供給タンク26から純水を供給してから弁34
を閉じて弁36を開ける。これによって、廃酸室40c
の回収廃液は回収廃液貯蔵手段である回収廃液貯蔵タン
ク50に蓄えられる。この回収廃液は、次のバッチにお
ける硫酸回収で再使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、原子炉の一次冷
却材浄化に使用したイオン交換樹脂の処理に関し、さら
に詳しくは、処理廃液の発生量をできるだけ少なくでき
る使用済みイオン交換樹脂の処理システムおよび処理方
法、並びに増設設備に関する。
【0002】
【従来の技術】原子炉の運転においては、一次冷却材等
を浄化するためにイオン交換樹脂によって前記一次冷却
材等中のイオンである60Coや137Cs等を吸着して分
離している。このイオン交換樹脂は使用に伴って不純物
の分離性能が低下するので、所定の期間使用したイオン
交換樹脂は新しいイオン交換樹脂と交換される。この使
用済みイオン交換樹脂は所定の性能を発揮できないため
廃棄処分する必要がある。しかしながら、60Coや137
Cs等の放射性核種濃度が非常に高いため、既設の焼却
炉等で焼却処理等することはできない。
【0003】このような使用済みイオン交換樹脂を処理
するシステムとして、硫酸によって使用済みイオン交換
樹脂に吸着されている放射性核種を樹脂から分離して無
機物として固定・安定化するとともに、処理後の樹脂を
焼却処理するものが知られている。つぎに、代表的な使
用済みイオン交換樹脂の処理システムについて説明す
る。図14は、従来使用されている使用済みイオン交換
樹脂の処理システムの一例を示す説明図である。
【0004】この使用済みイオン交換樹脂の処理システ
ム900は、溶離器910と、溶離器910に硫酸を供
給する硫酸供給タンク920と、放射性核種を溶離した
後の廃硫酸から硫酸を回収する硫酸回収装置940と、
硫酸回収後の廃液を中和する第一中和タンク922およ
び第二中和タンク923とを備えている。溶離器910
に投入された使用済みイオン交換樹脂912は、硫酸供
給タンク920から供給される硫酸によって放射性核種
が溶離される。
【0005】放射性核種を溶離した後の廃硫酸は、硫酸
回収装置940によって硫酸が回収される。硫酸回収装
置940は拡散透析膜940aを備えており、硫酸の濃
度差を駆動力として硫酸を回収する。硫酸回収後の廃液
は、第一中和タンク922へ排出され、ここでアルカリ
溶液によって中和される。なお、溶離初期の廃硫酸は放
射性核種濃度が高いため、第一中和タンク922で中和
された後濃縮されて長期貯蔵される。そして、放射能を
減衰させた後、セメント等によって固化処理される。放
射性核種濃度が低い溶離後期の廃液は、第二中和タンク
923へ排出される。そしてアルカリ溶液によって中和
された後、アスファルト等によって固化処理される。放
射性核種が溶離された後の使用済みイオン交換樹脂は、
焼却炉(図示せず)で焼却されて、使用済みイオン交換
樹脂の処理が終了する。
【0006】また、特許第2930394号には、上記
処理システムと略同様であるが、溶離液の放射能濃度に
応じて3段階に溶離廃液を分けて、放射能濃度の高い初
期溶離廃液は長期貯蔵後セメント固化し、中期溶離廃液
は直接固化し、後期廃液は既設廃液処理系へ排出する処
理システムが開示されている。これらのような処理シス
テムによって、従来未処理のまま保管されていた使用済
みイオン交換樹脂を処理できるようになった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の使用
済みイオン交換樹脂の処理システムでは、溶離廃液は放
射能濃度に関わらず発生する。このため、これらの廃液
すべてをセメント固化等によって処理する必要があり、
セメント固化体の個数の増加を招いていた。セメント固
化体の個数が増加すると、それだけ処分施設のスペース
を必要とするため、セメント固化体の個数はできるだけ
少なくすることが望ましい。そこで、この発明は、上記
に鑑みてなされたものであって、処理廃液の発生量を低
減することができる使用済みイオン交換樹脂の処理シス
テムおよび処理方法、並びに増設設備を提供することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、請求項1に係る使用済みイオン交換樹脂の処理シ
ステムは、硫酸によって使用済みイオン交換樹脂から放
射性核種を分離する溶離手段と、放射性核種分離後の廃
硫酸から硫酸を回収する硫酸回収手段と、当該硫酸回収
手段で硫酸を回収した後の回収廃液を蓄えておく回収廃
液貯蔵手段と、前記回収廃液貯蔵手段に蓄えられた回収
廃液を前記硫酸回収手段へ所定量供給する回収廃液供給
手段と、前記回収廃液の代わりに所定量の硫酸回収用液
を硫酸回収のために供給する硫酸回収用液供給手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】この発明に係る使用済みイオン交換樹脂の
処理システムは、放射性核種分離後の廃硫酸から硫酸を
回収した後の回収廃液を蓄えておき、硫酸回収用液とし
て硫酸回収手段に再び供給するようにしてある。このた
め、最終的な処理廃液の量を低減できるので、中和用の
アルカリ溶液量も低減できる。その結果、発生するセメ
ント固化体の量も少なくできるので、セメント固化体の
保管スペースも有効に利用できる。また、この発明に係
る使用済みイオン交換樹脂の処理システムにおいては、
硫酸回収手段には拡散透析膜を用いることができる(請
求項2)。このため、簡単な構造で硫酸の回収率を高く
できるので、装置全体をコンパクトにできる。
【0010】この使用済みイオン交換樹脂の処理システ
ムは、使用済みイオン交換樹脂を連続的に処理するもの
ではなく、一定量の使用済みイオン交換樹脂を溶離器に
投入し、その放射能濃度が所定値以下になるまで硫酸に
よって放射性核種を溶離する。放射能濃度が所定値以下
になったら処理が終了し、使用済みイオン交換樹脂を溶
離器から取り出す。そして、新たに一定量の使用済みイ
オン交換樹脂を溶離器に投入して、次の処理を開始す
る。このような、一定量のイオン交換樹脂の処理が終了
するまでの単位を1バッチという(以下同様)。
【0011】この使用済みイオン交換樹脂の処理システ
ムでは、前のバッチにおいて回収廃液貯蔵手段に蓄えて
おいた硫酸回収後の回収廃液を、処理中のバッチにおい
て硫酸回収手段に供給する。そして、処理中のバッチで
硫酸を回収する際に発生する回収廃液を回収廃液貯蔵手
段に蓄えておき、次のバッチにおいて硫酸回収手段に供
給する。また、この使用済みイオン交換樹脂の処理シス
テムにおいて使用できる硫酸回収用液は、純水、水、あ
るいは稀硫酸を使用することができる(以下同様)。
【0012】また、請求項3に係る使用済みイオン交換
樹脂の処理システムは、請求項1または2に記載の使用
済みイオン交換樹脂の処理システムにおいて、さらに、
上記回収廃液貯蔵手段を複数備え、これらに蓄えられた
回収廃液を順次前記硫酸回収手段に供給することを特徴
とする。この使用済みイオン交換樹脂の処理装置では、
回収廃液貯蔵手段を複数備えて、前回のバッチにおいて
回収した回収廃液を順次硫酸回収手段に供給する。この
ため、回収廃液貯蔵手段が増えた分だけ回収できる廃液
の量を多くできるので、その分だけ1バッチの処理にお
いて最終的に発生する廃液の量を低減できる。これによ
ってセメント固化体の量もさらに少なくできるため、セ
メント固化体の保管スペースをさらに有効利用できる。
【0013】また、請求項4に係る使用済みイオン交換
樹脂の処理システムは、請求項1〜3のいずれか一つに
記載の使用済みイオン交換樹脂の処理システムにおい
て、さらに、上記硫酸回収手段へ供給する硫酸回収に使
用する硫酸回収用液を、上記回収廃液または上記硫酸回
収用液に切替えるための硫酸回収用液切替え信号を生成
し、この硫酸回収用液切替え信号に基づいて上記硫酸回
収用液供給手段を起動させ、上記回収廃液供給手段を停
止させる制御手段を備えたことを特徴とする。
【0014】この使用済みイオン交換樹脂の処理システ
ムは、硫酸回収手段に供給する硫酸回収に使用する液
を、回収廃液または純水、稀硫酸その他の硫酸回収用液
に切替えるための制御手段を備えている。このため、放
射性核種を吸着した使用済みイオン交換樹脂を自動的に
処理できるので、安全に操業できる。
【0015】また、請求項5に係る使用済みイオン交換
樹脂の処理システムは、硫酸によって使用済みイオン交
換樹脂から放射性核種を除去する溶離手段と、放射性核
種除去後の硫酸から水素イオン選択型電気透析膜によっ
て硫酸を回収する硫酸回収手段と、を備えたことを特徴
とする。
【0016】この使用済みイオン交換樹脂の処理システ
ムは、硫酸によって使用済みイオン交換樹脂から放射性
核種を溶離し、溶離後の廃硫酸から水素イオン選択型電
気透析膜によって硫酸を回収するようにしてある。水素
イオン選択型電気透析膜は、拡散透析膜や、これと電気
透析とを組み合わせた透析装置等と比較して硫酸の回収
率を高くできる。このため、拡散透析膜等を使用した場
合と比較して最終的にセメント固化処分する廃液に含ま
れる硫酸根を少なくできる。したがって、中和に使用す
るアルカリ溶液の量を低減できるので、セメント固化体
の体積もより低減できる。
【0017】また、請求項6に係る使用済みイオン交換
樹脂の処理システムは、硫酸によって使用済みイオン交
換樹脂から放射性核種を除去する溶離手段と、放射性核
種除去後の硫酸から水素イオン選択型電気透析膜によっ
て硫酸を回収する硫酸回収手段と、当該硫酸回収手段で
硫酸を回収した後の回収廃液を蓄えておく回収廃液貯蔵
手段と、前記回収廃液貯蔵手段に蓄えられた回収廃液
を、前記溶離手段へ所定量供給する回収廃液供給手段
と、を備えたことを特徴とする。
【0018】この発明に係る使用済みイオン交換樹脂の
処理システムは、放射性核種溶離後の廃硫酸から硫酸を
回収した後の回収廃液を蓄えておき、放射性核種を溶離
するため溶離手段に再び供給するようにしてある。さら
に、硫酸の回収には、硫酸の回収効率が高い水素イオン
選択型電気透析膜を使用する。このシステムにおいて
は、前のバッチで回収廃液貯蔵手段に蓄えておいた硫酸
回収後の回収廃液を、処理中のバッチにおいて溶離手段
に供給する。そして、処理中のバッチで硫酸を回収する
際に生ずる回収廃液を回収廃液貯蔵手段に蓄えておき、
次のバッチにおいて溶離手段に供給する。
【0019】このように、硫酸回収手段で回収した回収
廃液を再び放射性核種の溶離に使用するので、最終的な
処理廃液の量を低減できる。また、硫酸根の量も少なく
できるので、中和用のアルカリ溶液量も低減できる。さ
らに、この発明に係る使用済みイオン交換樹脂の処理シ
ステムにおいては、硫酸回収手段に水素イオン選択型電
気透析膜を用いるので、硫酸の回収効率をさらに高くし
て最終的に生ずる硫酸根をより低減できる。その結果、
発生するセメント固化体の量も少なくできるので、セメ
ント固化体の保管スペースも有効に利用できる。さら
に、水素イオン選択型電気透析膜は硫酸の回収効率が高
く、膜面積が十分に大きくなくとも硫酸を十分回収でき
るので、装置を小型にできる。
【0020】また、請求項7に係る使用済みイオン交換
樹脂の処理システムは、請求項6に記載の使用済みイオ
ン交換樹脂の処理システムにおいて、さらに、上記回収
廃液貯蔵手段を複数備え、これらに蓄えた回収廃液を順
次前記溶離手段へ供給するようにしたことを特徴とす
る。この使用済みイオン交換樹脂の処理装置では、回収
廃液貯蔵手段を複数備えて、前回のバッチにおいて回収
した回収廃液を順次溶離手段に供給する。このため、回
収廃液貯蔵手段が増えた分だけ、回収できる廃液の量が
多くなるので、その分だけ1バッチの処理において最終
的に発生する廃液量を低減できる。これによってセメン
ト固化体の量もさらに少なくできるため、セメント固化
体の保管スペースをさらに有効利用できる。
【0021】また、請求項8に係る使用済みイオン交換
樹脂の処理システムは、請求項6または7に記載の使用
済みイオン交換樹脂の処理システムにおいて、さらに、
上記硫酸回収手段から生ずる回収廃液を上記回収廃液貯
蔵手段に供給するための回収廃液供給信号を生成し、上
記回収廃液貯蔵手段から所定量の回収廃液を上記溶離手
段に供給した後、前記信号に基づいて上記回収廃液供給
手段を停止させ、上記回収廃液貯蔵手段に回収廃液を供
給させる制御手段を備えたことを特徴とする。
【0022】この使用済みイオン交換樹脂の処理システ
ムは、回収廃液貯蔵手段に回収廃液を蓄える際には溶離
手段に回収廃液を供給する回収廃液供給手段を停止さ
せ、自動的に回収廃液を蓄えるようにしてある。このた
め、放射性核種を吸着した使用済みイオン交換樹脂を自
動的に処理できるので、安全に操業できる。
【0023】また、請求項9に係る使用済みイオン交換
樹脂の処理システムは、硫酸によって使用済みイオン交
換樹脂から放射性核種を除去する溶離手段と、放射性核
種除去後の廃硫酸から水素イオン選択型電気透析膜によ
って硫酸を回収する硫酸回収手段と、放射性核種除去後
の廃硫酸を蓄えておく廃硫酸貯蔵手段と、前記廃硫酸貯
蔵手段に溜められた廃硫酸を、所定量前記溶離手段へ供
給する廃硫酸供給手段と、を備えたことを特徴とする。
【0024】この使用済みイオン交換樹脂の処理システ
ムは、放射性核種除去後の廃硫酸を廃硫酸貯蔵手段に蓄
えておき、つぎのバッチにおける放射性核種の溶離に再
使用する。また、硫酸回収には硫酸の回収効率が高い水
素イオン選択型電気透析膜を使用する。このため、1バ
ッチにおける最終的な廃液量が低減し、また硫酸の回収
効率が高いため最終的な廃液に含まれる硫酸根も低減す
る。その結果、セメント固化体の量が低減でき、その収
納スペースを有効利用できる。また中和後の廃液を濃縮
する際には濃縮に必要な熱エネルギーを低減できるので
経済的である。さらに、水素イオン選択型電気透析膜は
硫酸の回収効率が高いため、膜面積が小さくても硫酸を
十分回収できるので、装置を小型にできる。
【0025】また、請求項10に係る使用済みイオン交
換樹脂の処理システムは、請求項9に記載の使用済みイ
オン交換樹脂の処理システムにおいて、さらに、上記溶
離手段から生ずる放射性核種除去後の廃硫酸を上記廃硫
酸貯蔵手段に供給するための廃硫酸供給信号を生成し、
上記廃硫酸貯蔵手段から所定量の廃硫酸を上記溶離手段
に供給した後、前記信号に基づいて上記廃硫酸供給手段
を停止させ、上記廃硫酸貯蔵手段に前記廃硫酸を供給さ
せる制御手段を備えたことを特徴とする。
【0026】この使用済みイオン交換樹脂の処理システ
ムは、廃硫酸貯蔵手段に廃硫酸を蓄える際には、溶離手
段に廃硫酸を供給する廃硫酸供給手段を停止させ、自動
的に回収廃液を蓄えるようにしてある。このため、放射
性核種を吸着した使用済みイオン交換樹脂を自動的に処
理できるので、安全に操業できる。
【0027】また、請求項11に係る使用済みイオン交
換樹脂の処理方法は、硫酸によって使用済みイオン交換
樹脂から放射性核種を分離した後、放射性核種分離後の
廃硫酸から硫酸を回収する処理工程を繰り返すことによ
って1バッチの使用済みイオン交換樹脂を処理するにあ
たり、次のバッチにおける使用済みイオン交換樹脂を処
理する際に、前記廃硫酸から硫酸を回収した後の回収廃
液を硫酸回収用の液体として再使用することを特徴とす
る。
【0028】この使用済みイオン交換樹脂の処理方法
は、廃硫酸から硫酸を回収した後の回収廃液を次のバッ
チにおける硫酸回収で再使用する。このため、最終的に
発生する廃液量を低減できる。その結果、セメント固化
体の発生量を低減できるので、セメント固化体の保管ス
ペースを有効に利用できる。
【0029】また、請求項12に係る使用済みイオン交
換樹脂の処理方法は、硫酸によって使用済みイオン交換
核種から放射性核種を溶離する溶離工程と、放射性核種
を溶離した後の廃硫酸から硫酸を回収する硫酸回収工程
とを繰り返すことによって1バッチの使用済みイオン交
換樹脂を処理するにあたり、つぎのバッチの使用済みイ
オン交換樹脂を処理する際における溶離工程で、前記廃
硫酸から硫酸を回収した後の回収廃液を硫酸と共に使用
することを特徴とする。
【0030】この使用済みイオン交換樹脂の処理方法
は、廃硫酸から硫酸を回収した後の回収廃液を次のバッ
チにおける硫酸回収で再び使用する。また、硫酸の回収
には、硫酸回収効率の高い水素イオン選択型電気透析膜
を使用する。このため、最終的に発生する廃液量を低減
でき、また、これに含まれる硫酸根の量も低減できる。
そして、最終的な廃液に含まれる硫酸根の量が少ないの
で、中和に要するアルカリ溶液の量も少なくできる。そ
の結果、セメント固化体の発生量を低減できるので、セ
メント固化体の保管スペースを有効に利用できる。
【0031】また、請求項13に係る使用済みイオン交
換樹脂の処理方法は、硫酸によって使用済みイオン交換
樹脂から放射性核種を溶離して、放射性核種溶離後の硫
酸から水素イオン選択型電気透析膜を用いて硫酸を回収
する工程を繰り返すことによって1バッチの使用済みイ
オン交換樹脂を処理するにあたり、前記放射性核種溶離
後の廃硫酸を蓄えておき、つぎのバッチにおける使用済
みイオン交換樹脂を処理する際に放射性核種を溶離する
ために使用することを特徴とする。
【0032】この使用済みイオン交換樹脂の処理方法
は、使用済みイオン交換樹脂から放射性核種を取り除い
た後の廃硫酸を次のバッチにおける溶離工程で再び使用
する。また、硫酸の回収には、硫酸回収効率の高い水素
イオン選択型電気透析膜を使用する。このため、最終的
に発生する廃液量を低減でき、また、これに含まれる硫
酸根の量も低減できる。そして、最終的な廃液に含まれ
る硫酸根の量が少ないので、中和に要するアルカリ溶液
の量も少なくできる。その結果、セメント固化体の発生
量を低減できるので、セメント固化体の保管スペースを
有効に利用できる。
【0033】また、請求項14に係る使用済みイオン交
換樹脂の処理方法は、請求項11〜13のいずれか一つ
に記載の使用済みイオン交換樹脂の処理方法において、
さらに、使用済みイオン交換樹脂から放射性核種を溶離
する硫酸の規定数を増加させた割合に応じて、上記硫酸
回収手段に流す硫酸の流速を小さくすることを特徴とす
る。拡散透析膜や水素イオン選択型電気透析膜による硫
酸回収あるいは、アニオン交換膜とカチオン交換膜とを
利用した電気透析による硫酸回収においては、これらの
透析膜の面積が大きい程、硫酸の回収効率を高くでき
る。また、これらの透析膜を通過する硫酸の流速を小さ
くすれば、それだけ透析膜に対する接触時間が大きくな
るので、相対的に透析膜の面積を大きくしたことにな
る。
【0034】いま、透析膜を通過する硫酸の流速を一定
として硫酸の規定数を高くした場合を考える。透析膜の
面積および硫酸の流速は等しいため、硫酸の回収効率は
変化しない。その結果、硫酸を回収した後における回収
廃液の硫酸濃度は規定数の大きい硫酸を回収した場合の
方が高くなる。ここで、硫酸の規定数を高くすると、規
定数の低い場合と比較して、より少ない通液量で使用済
みイオン交換樹脂からより多くの放射性核種を溶離でき
る。その結果、最終的に発生する廃液量を低減できるた
め好ましい。しかしながら上述の通り、硫酸の流速が一
定であれば回収廃液に残る硫酸濃度が高くなってしま
う。一方、透析膜の面積を大きくすることは、装置が大
きくなり、また装置のコストも増加するため好ましくな
い。
【0035】この使用済みイオン交換樹脂の処理方法に
おいては、溶離に使用する硫酸の規定数を増加させた割
合に応じて、硫酸回収手段を通過する硫酸の流速を小さ
くしている。このため、硫酸の規定数を高くすること
で、少ない硫酸の量でも十分に使用済みイオン交換樹脂
から放射性核種を溶離しつつ、硫酸回収手段では十分に
硫酸を回収できる。そして、最終的に発生する廃液の量
を低減できる。その結果、セメント固化体の量も低減で
きるので保管スペースを有効に利用できる。
【0036】また、請求項15に係る使用済みイオン交
換樹脂の処理システムの増設設備は、硫酸によって使用
済みイオン交換樹脂から放射性核種を分離する溶離手段
と、放射性核種分離後の硫酸から硫酸を回収する硫酸回
収手段と、硫酸回収のために前記硫酸回収手段に所定量
の硫酸回収用液を供給する硫酸回収用液供給手段とを備
えた使用済みイオン交換樹脂の処理システムに取り付け
得るもので、前記硫酸回収手段で硫酸を回収した後の回
収廃液を蓄えておく回収廃液貯蔵手段と、前記回収廃液
貯蔵手段に蓄えられた回収廃液を硫酸回収のために所定
量前記硫酸回収手段へ供給する回収廃液供給手段とから
構成されることを特徴とする。
【0037】この使用済みイオン交換樹脂の処理システ
ムの増設設備は、既存の使用済みイオン交換樹脂の処理
システムに、回収廃液貯蔵手段と回収廃液供給手段とを
取り付け得るようにしたものである。これによって、比
較的簡単な工事で既存の使用済みイオン交換樹脂の処理
システムにおいても、最終的に発生する廃液量を低減さ
せてセメント固化体の量を少なくできる。このため、セ
メント固化体の保管スペースを従来よりも有効に利用で
きる。
【0038】また、請求項16に係る使用済みイオン交
換樹脂の処理システムの増設設備は、硫酸によって使用
済みイオン交換樹脂から放射性核種を除去する溶離手段
と、当該溶離手段に硫酸を供給する硫酸供給手段と、放
射性核種除去後の硫酸から硫酸を回収する硫酸回収手段
とを備えた使用済みイオン交換樹脂の処理システムに取
り付け得るもので、前記硫酸回収手段で硫酸を回収した
後の回収廃液を蓄えておく回収廃液貯蔵手段と、前記回
収廃液貯蔵手段に蓄えられた回収廃液を、放射性核種を
溶離するために所定の時間、前記溶離手段へ供給する回
収廃液供給手段とから構成されることを特徴とする。
【0039】また、請求項17に係る使用済みイオン交
換樹脂の処理システムの増設設備は、硫酸によって使用
済みイオン交換樹脂から放射性核種を除去する溶離手段
と、当該溶離手段に硫酸を供給する硫酸供給手段と、放
射性核種除去後の硫酸から硫酸を回収する硫酸回収手段
とを備えた使用済みイオン交換樹脂の処理システムに取
り付け得るもので、前記溶離手段で放射性核種を溶離し
た後の廃硫酸を蓄えておく廃硫酸貯蔵手段と、前記廃硫
酸貯蔵手段に蓄えられた廃硫酸を、放射性核種を溶離す
るために所定の時間、前記溶離手段へ供給する廃硫酸供
給手段とから構成されることを特徴とする。
【0040】これらの使用済みイオン交換樹脂の処理シ
ステムの増設設備は、既設の使用済みイオン交換樹脂の
処理システムに、回収廃液貯蔵手段および回収廃液供給
手段、あるいは廃硫酸貯蔵手段および廃硫酸供給手段を
取り付けたものである。これによって、既設の使用済み
イオン交換樹脂の処理システムにおいても、比較的簡単
な工事によって最終的に発生する廃液量を低減させてセ
メント固化体の量を少なくできる。このため、セメント
固化体の保管スペースを従来よりも有効に利用できる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、この発明につき図面を参照
しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこ
の発明が限定されるものではない。また、下記実施の形
態における構成要素には、当業者が容易に想定できるも
の或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0042】(実施の形態1)図1は、この発明の実施
の形態1に係る使用済みイオン交換樹脂の処理システム
を示す説明図である。この使用済みイオン交換樹脂の処
理システムは、硫酸分離手段で分離した放射性核種濃度
の低い回収廃液を回収廃液貯蔵タンクに溜めて、使用済
みイオン交換樹脂から放射性核種を分離した後の廃硫酸
から硫酸を回収するためにこの回収廃液を再び使用する
点に特徴がある。つぎに、図1を参照してこの使用済み
イオン交換樹脂の処理システムについて説明する。
【0043】この使用済みイオン交換樹脂の処理システ
ム100は、溶離手段である溶離器10と、硫酸回収手
段である硫酸回収装置40と、回収廃液貯蔵手段である
回収廃液貯蔵タンク50とを備えている。使用済みイオ
ン交換樹脂12は溶離器10に投入される。溶離器10
には硫酸供給タンク20が設けられており、ここから溶
離器10へ硫酸を供給して、使用済みイオン交換樹脂か
ら放射性核種を溶離する。ここで、溶離器10で放射性
核種を溶離される使用済みイオン交換樹脂12は、原子
炉の一次冷却材等を浄化するために脱塩塔で使用された
ものであり、所定の放射性核種吸着性能が発揮できなく
なったものである。また、イオン交換樹脂に吸着される
放射性核種は、58Co、60Coや137Cs等であり、こ
れらが使用済みイオン交換樹脂12から溶離されて、コ
バルトイオン60Co2+等の形で溶離後の廃硫酸中に分散
する。
【0044】溶離器10と硫酸回収装置40とは配管6
0によってつながれており、溶離後の廃硫酸は硫酸回収
装置40に供給されて、ここで当該廃硫酸中の硫酸が回
収される。硫酸回収装置40には拡散透析膜40aが備
えられており、これによって仕切られた回収酸室40b
には、弁30を介して取り付けられた純水供給タンク2
6からなる硫酸回収用液供給手段から硫酸回収用液であ
る純水が供給される。なお、この硫酸回収用液供給手段
は弁30と純水供給タンク26で構成して、重力を利用
して回収酸室40bに純水を供給しているが、必要に応
じてポンプを設けて構成してもよい。ポンプを設ける
と、装置の配置上、純水供給タンク26を回収酸室40
bよりも低い位置に配置した場合であっても、回収酸室
40bに純水を供給できる。このため、装置配置上の自
由度を高くできるので好ましい。
【0045】また、硫酸回収溶液には純水の他に稀硫酸
を使用してもよい。この場合には、後述するBモードに
おいて硫酸を回収した後の回収廃液程度の規定数をもつ
稀硫酸を使用することが好ましい。このような稀硫酸を
別個に供給してもよいし、使用済みイオン交換樹脂の処
理システム100を複数用意して、一方のシステムにお
ける回収廃液を他方のシステムの硫酸回収用液として使
用してもよい。
【0046】廃酸室40cには、配管60を介して溶離
器10で放射性核種を溶離した後の廃硫酸が供給され
る。この硫酸回収装置40では、純水を供給することに
よって廃酸室40cに供給される廃硫酸との間に硫酸濃
度の差を作り出す。そして、この二室間における硫酸濃
度差を駆動力として廃酸室40cの硫酸を回収酸室40
bへ移動させ、硫酸を回収酸室40bへ回収する。硫酸
が回収された後の回収廃液には放射性核種が分散してい
るが、放射性核種の濃度が高い回収廃液は弁34を開け
て中和タンク22へ排出されて、ここでNaOH等のア
ルカリ溶液によって中和される。そして、中和後濃縮さ
れて保管タンク(図示せず)等に長期保管された後、セ
メント固化される。
【0047】また、硫酸回収装置40の廃酸室40cと
回収廃液貯蔵タンク50とは配管62によってつながれ
ており、弁36を開けることによって、硫酸回収装置4
0で硫酸が回収された回収廃液のうち、放射性核種濃度
の低いものが回収廃液貯蔵タンク50へ送られる。そし
てこの回収廃液は、回収廃液供給手段である定量ポンプ
24によって、弁32を介して硫酸回収装置40の回収
酸室40bへ供給され、放射性核種濃度の高い廃硫酸か
ら硫酸を回収する際に使用される。
【0048】つぎに、この使用済みイオン交換樹脂の処
理システム100によって使用済みイオン交換樹脂を処
理する手順を説明する。使用済みイオン交換樹脂は溶離
器10に投入され、ここで硫酸供給タンク20から供給
される硫酸によって、放射性核種である60Co等が硫酸
に溶離される。このときの反応は、次のとおりである。
2(R−SO3 60Co)+H2SO4→2(R−SO3H)
+260Co2++SO4 2-なお、R−SO3 60Coは、放射
性核種である60Coを吸着した使用済みイオン交換樹脂
である。上記反応の初期においては、使用済みイオン交
換樹脂から溶離される放射性核種の濃度が高いため、溶
離後一定期間これを貯蔵して放射能を減衰させてからセ
メント等による固化処理をする必要がある。このため、
1バッチの処理プロセスを放射性核種濃度が高い段階と
低い段階との二段階に分けて、使用済みイオン交換樹脂
を処理する。次の説明においては、放射性核種濃度の高
い段階における処理をAモード、低い段階における処理
をBモードというものとする。
【0049】この発明においては、前バッチのBモード
における回収廃液をこのバッチにおけるAモードの硫酸
回収に使用するため、両者のBVを等しくする必要があ
る。この例においては、Aモード、Bモードともに5B
Vとし、総通液量を10BVとする。ここで、BV=
(酸水溶液の溶離器への総通液量)/(溶離器への廃樹
脂充填量)である。なお、総通液量は10BVに限ら
ず、硫酸濃度、拡散透析膜の面積、硫酸の流速、処理す
る使用済みイオン交換樹脂の量あるいは処理時間等の条
件によって適宜変更することができる。
【0050】まずAモードについて、図1および図2を
参照して説明する。ここで、図2は、実施の形態1に係
る使用済みイオン交換樹脂の処理システムの処理手順を
示すフローチャートである。使用済みイオン交換樹脂1
2は溶離器10へ投入される(ステップS101)。つ
ぎに硫酸供給タンク20から4規定の硫酸が供給され
て、上記反応によって使用済みイオン交換樹脂から60
oや137Cs等の放射性核種を溶離する(ステップS1
02)。なお、従来の使用済みイオン交換樹脂の処理シ
ステム900(図14参照)の一例においては、2規定
程度の硫酸を20BV通液している。
【0051】ここで、溶離器10に供給する硫酸は4規
定のものには限られない。例えば従来例と同じ2規定の
硫酸を使用してもよいし、あるいは6規定や8規定の硫
酸を使用してもよい。ただし、規定の高い硫酸を使用す
る場合には拡散透析膜における硫酸回収率をより高くす
るため、規定の高さに応じて拡散透析膜40aの面積を
大きくするか流速を遅くして、相対的に拡散透析膜の面
積を大きくすることが望ましい。また、規定数を従来と
同じ値にして使用済みイオン交換樹脂を処理する場合に
は、所定の値以下まで放射性核種濃度を低くするため、
通液量を従来と同じにする必要がある。
【0052】大体の目安として、規定数が2倍になった
ら拡散透析膜の面積を2倍にするか、硫酸回収装置40
を通過する硫酸の流速を1/2にすると、硫酸回収後の
廃液における硫酸濃度を、規定数が低い場合と同程度に
できる。この例においては、硫酸の規定数を従来の2倍
としているので、硫酸回収装置40を通過する硫酸の流
速を、従来のシステムの1/2としている。なお、処理
時間を長くできる場合には、さらに流速を遅くしてもよ
い。このようにすると、さらに相対的な拡散透析膜の面
積を大きくできるので、硫酸回収率をより高くできる。
その結果、最終的に発生する硫酸根の量もさらに低減で
きるので好ましい。
【0053】放射性核種を溶離した廃硫酸は、配管60
を通って硫酸回収装置40の廃酸室40cに送られる
(ステップS103)。そして、硫酸回収装置40の回
収酸室40bには、回収廃液供給手段である定量ポンプ
24によって回収廃液貯蔵タンク50から0.17規定
程度の硫酸が供給される。なお、この硫酸はつぎに説明
するBモード(ただし、前バッチ)で硫酸を回収した後
の廃液である。ここで、この廃液の規定数は硫酸回収装
置40での硫酸回収率に依存するため、この0.17規
定という値は一例である。例えば、硫酸回収装置40を
通過する硫酸の流速を遅くしたり、あるいは拡散透析膜
40aの面積を大きくしたりして硫酸回収率を高くする
と、この廃液の規定数はより低くなる。反対に硫酸回収
装置40の硫酸回収率が低い場合には、この廃液の規定
数はより高くなる。
【0054】ここで、この使用済みイオン交換樹脂の処
理システム100を設置した後、初めてAモードで運転
する場合について説明する。この場合には回収廃液貯蔵
タンク50は空である。このため、弁30を開けて純水
供給タンク26から廃酸室40cに純水を供給して、硫
酸を回収する(以下の実施の形態においても同様)。ま
た、回収廃液貯蔵タンク50に予め0.17規定程度の
硫酸を所定の量(ここでは5BV)供給しておいて、こ
れを設置後最初のAモードで使用してもよい(以下の実
施の形態においても同様)。
【0055】回収酸室40bと廃酸室40cとは、拡散
透析膜40aによって仕切られている。そして、回収酸
室40b側と廃酸室40c側とでは硫酸濃度に3.83
規定程度の差があり、この濃度差を駆動量として廃酸室
40cの硫酸が回収酸室40bへ回収される。回収した
硫酸は配管64を介して再び溶離器10へ送られて、使
用済みイオン交換樹脂の溶離に使用される。一方、硫酸
が回収された後の回収酸室40bへ残された回収廃液
(以下Aモード回収廃液という)は弁34から中和タン
ク22へ排出される。そして、一定量の硫酸(ここでは
5BV)を通液してAモードが終了する(ステップS1
04)。なお、Aモード回収廃液は放射性核種の濃度が
高いため、中和タンク22に直接、または別のタンクに
移されて長期間保管された後、セメント固化される。
【0056】つぎに、Bモードについて説明する。この
モードにおいてはAモードにおける溶離によって放射性
核種濃度が低くなったイオン交換樹脂12から、さらに
放射性核種を取り除くものである。放射性核種は溶離器
10内に硫酸供給タンク20から供給される硫酸によっ
て溶離され、溶離後の廃液は配管60を通って硫酸回収
装置40の廃酸室40cへ供給される。硫酸回収装置4
0においては、Aモードと同様に廃液から硫酸が回収さ
れるが、このときには弁32を閉じて弁30を開き、さ
らに定量ポンプ24を停止して(ステップS105)、
回収酸室40bに純水供給タンク26から純水を供給す
る(ステップS106)。なお、図1(b)に示すよう
に、三方弁130および132を使用して、これらを切
替えることで、回収廃液と純水とを切替えてもよい。こ
のようにすると、使用する弁の数を少なくできるのでシ
ステムを簡単にでき好ましい(以下同様)。
【0057】このとき、手動によるマニュアル操作で上
記操作をしてもよいが、図1(a)に示すように、制御
手段である制御装置80によって上記操作をしてもよ
い。つぎに、この制御装置80によって硫酸回収用液を
切替える手順について説明する。この制御装置80は、
制御部81と、演算部82と、記憶部83を備えてい
る。この制御装置80では、記憶部83にAモードおよ
びBモードの通液データが記憶されている。記憶部83
から演算部82がこの通液データを読み出す。そして、
このデータに基づいてAモードにおいて必要な通液量だ
け硫酸を通液したときに、硫酸回収用液切替え信号を生
成する。この切替え信号を受けて、制御部81が回収廃
液供給手段である定量ポンプ24を停止させ、弁32を
閉じる。なお、硫酸の通液量は、例えば硫酸タンク20
の下流に流量計(図示せず)を設置し、この測定値を演
算部82に取り込むことで判断することができる。
【0058】つぎに、制御部81が純水供給タンク26
および弁30からなる硫酸回収用液供給手段を起動す
る。この場合には弁30を所定の開度まで開き、重力の
作用によって純水供給タンク26から純水を回収酸室4
0bに供給する。なお、ポンプ(図示せず)を使用する
場合には、弁30を開いてポンプを起動する。これらの
操作によって、硫酸回収用液を回収廃液から純水へ切替
える。
【0059】ここで、上記通液データは通液量そのもの
のデータを使用してもよい。また、通液量を表すパラメ
ータとして時間を使用し、一定時間経過したら制御部8
1を作動させるようにしてもよい。この場合には、制御
装置80にタイマー(図示せず)を備えて、このタイマ
ーから生成されるトリガー信号によって制御してもよ
い。
【0060】なお、この演算部82は専用のハードウエ
アにより実現されるものであってもよい。また、この演
算部82はメモリおよびCPU(中央演算装置)により
構成され、演算部82の機能を実現するためのプログラ
ム(図示省略)をメモリにロードして実行することによ
りその機能を実現させるものであってもよい。また、こ
の制御装置80は、周辺機器として入力装置、表示装置
など(いずれも図示省略)をメモリにロードして実行す
ることによりその機能を実現させるものであってもよ
い。また、上記記憶部83は、ハードディスク装置や光
磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性のメ
モリや、RAM(Random Access Memory)のような揮発
性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成さ
れるものとする。
【0061】この発明においては、Bモードにおいて硫
酸を回収した後の廃液(以下Bモード回収廃液という)
を、次のバッチにおけるAモードの硫酸回収に利用す
る。このために、Bモードにおいては弁34を閉じて弁
36を開けることによって、廃酸室40cのBモード回
収廃液は配管62を流れて回収廃液貯蔵手段である回収
廃液貯蔵タンク50に蓄えられる(ステップS10
7)。そして規定の通液量(ここでは5BV)だけ硫酸
供給タンク20から硫酸を流し終わると(ステップS1
08)、A、B両モードが終了する(ステップS10
9)。なお、実施の形態1においては、Bモードにおけ
る総通液量とAモードにおける総通液量とをそれぞれ5
BVとしている。このため、Bモード回収廃液の量は、
次のAモードで回収酸室40bに供給する回収廃液と同
じ量となる。
【0062】A、B両モードが終了すると、弁30およ
び36を閉じ、弁32および34を開いて定量ポンプ2
4を作動させ、次のバッチにおけるAモードを開始す
る。なお、回収廃液貯蔵タンク50に蓄えられたBモー
ド回収廃液には、少量の放射性核種が含まれているが、
これは次のバッチにおけるAモードによって硫酸回収装
置40で分離され、中和タンク22へ排出される。この
ため、この使用済みイオン交換樹脂の処理システム10
0で回収できる放射性核種の量は、従来のイオン交換樹
脂の処理システム900(図14参照)で回収すること
のできる放射性核種の量と同じである。
【0063】この発明に係る使用済みイオン交換樹脂の
処理システム100は、Bモード回収廃液を再利用する
ため、従来の使用済みイオン交換樹脂の処理システム9
00(図14参照)と比較して、硫酸の消費量を低減で
きる。また、Bモードにおいては廃液が発生しないた
め、従来Bモード回収廃液を中和するために必要だった
第二中和タンク923(図14参照)も不要となる。こ
のため、その分システムの建設コストおよび維持コスト
を低減でき、また、システムをコンパクトに構成でき
る。
【0064】最終的に発生する廃液量について、より具
体的に説明する。上述した例のように、この使用済みイ
オン交換樹脂の処理システム100においては、硫酸の
規定数を従来の2倍とし、硫酸回収装置40を通過する
硫酸の流速を1/2としている。また、総通液量は従来
の半分である10BVとしている。これらによって、最
終的に発生する廃液量を従来の約1/4に、硫酸根は従
来の約1/2にできる。また、硫酸の規定数は従来例の
2倍であるため、通液量が1/2であっても放射性核種
の分離効率は従来と同程度である。
【0065】また、従来の使用済みイオン交換樹脂の処
理システム900に使用する硫酸と同じ規定数の硫酸を
同じBVだけ通液した場合を考える。このときには、こ
の使用済みイオン交換樹脂の処理システム100におい
て発生する廃液量はAモードにおいて発生するAモード
回収廃液のみとなる。したがって、この使用済みイオン
交換樹脂の処理システム100は、従来と同じ通液条件
でも最終的に発生する廃液量および硫酸根を従来の処理
システムの略半分にできる。これにより、発生するセメ
ント固化体の量も低減できる。
【0066】なお、例えば実施の形態1で説明した使用
済みイオン交換樹脂の処理システム100に、回収廃液
貯蔵手段である回収廃液貯蔵タンク50と廃硫酸供給手
段である定量ポンプ24とから構成される増設設備を、
必要な配管と共に取り付けることもできる。このように
することで、使用済みイオン交換樹脂の処理システム1
00が既に設置されている場合でも、比較的簡単な工事
によって最終的に発生する廃液量を低減させてセメント
固化体の量を少なくできる。このため、既設の使用済み
イオン交換樹脂の処理システムにおいてもセメント固化
体の保管スペースを従来よりも有効に利用できる。また
硫酸の消費量もこれまでより低減できるので、システム
の運用費用を低減でき経済的である。
【0067】(実施の形態2)図3は、この発明の実施
の形態2に係る使用済みイオン交換樹脂の処理システム
を示す説明図である。この実施の形態に係る使用済みイ
オン交換樹脂の処理システム101は、上記実施の形態
1に係る使用済みイオン交換樹脂の処理システム100
(図1参照)と略同一の構成であるが、回収廃液貯蔵手
段である回収廃液貯蔵タンクをさらにもう一つ設け、3
モードで1バッチの使用済みイオン交換樹脂を処理する
点が異なる。その他の構成は実施の形態1と同様なので
その説明を省略するとともに、同一の構成要素には同一
の符号を付する。
【0068】この実施の形態に係る使用済みイオン交換
樹脂の処理システム101は、配管62を分岐させて第
二回収廃液貯蔵タンク54に回収廃液を導くための配管
61が設けられている。また、配管61の途中には弁3
3が設けられており、弁36と連動して弁33を開閉す
ることで、廃酸室40cからの廃液を第一回収廃液貯蔵
タンク52または第二回収廃液貯蔵タンク54を選択し
て供給できるようになっている。
【0069】第二回収廃液貯蔵タンク54は弁35を備
えた配管63によって配管66と連結されている。そし
て、弁35と弁31とを切替えることで、第一回収廃液
貯蔵タンク52または第二回収廃液貯蔵タンク54の回
収廃液を回収酸室40bに供給する。つぎに、この使用
済みイオン交換樹脂の処理システム101によって使用
済みイオン交換樹脂を処理する手順を説明する。
【0070】実施の形態1に係る使用済みイオン交換樹
脂の処理システム100では溶離の工程をAモードとB
モードとに分けていた。この使用済みイオン交換樹脂の
処理システム101においては第二回収廃液貯蔵手段で
ある第二回収廃液貯蔵タンク54を追加し、Cモードの
廃液をBモードの硫酸回収に使用する。このため、実施
の形態1で説明したA、Bモードに加え、さらにCモー
ドを追加して、A、BおよびCモードそれぞれのBVを
等しくしてある。また、従来よりも総通液量を少なくし
て廃液量を少なくするため、総通液量をこれまでのおよ
そ半分である9.9BVとする。したがって、Aモー
ド、Bモード、Cモードは3.3BVとなる。ここで、
廃硫酸中における放射性核種濃度の高い順にAモード、
Bモード、Cモードとなっている。
【0071】まず、Aモードについて図3および4を参
照して説明する。ここで、図4は、実施の形態2に係る
使用済みイオン交換樹脂の処理システムの処理手順を示
すフローチャートである。実施の形態1に係る使用済み
イオン交換樹脂の処理システム100(図1参照)と同
様に、溶離器10に使用済みイオン交換樹脂12が投入
され(ステップS201)、溶離器10に硫酸供給タン
ク20から硫酸が供給される(ステップS202)。
【0072】放射性核種を溶離した後の廃硫酸は硫酸回
収装置40の廃酸室40cに配管60を通って供給され
る。そして、弁30および弁35を閉じ、弁31を開き
定量ポンプ24を作動させる。すると、第一回収廃液貯
蔵手段である第一回収廃液貯蔵タンク52から、つぎに
説明するBモード(ただし前バッチ)で回収された0.
34規定程度の硫酸が回収酸室40bに供給される(ス
テップS203)。このため、廃酸室40cの廃硫酸が
回収酸室40bに回収される。廃硫酸から硫酸を回収し
た後のAモード回収廃液は放射性核種濃度が高いため、
弁36、33を閉じ、弁34を開いて廃酸室40cから
回収廃液を中和タンク22へ排出する。所定の通液量
(ここでは3.3BV)だけ硫酸供給タンク20から硫
酸を供給してAモードが終了する(ステップS20
4)。
【0073】つぎに、Bモードについて説明する。この
モードの硫酸回収においては、弁30と31とを閉じ弁
35を開ける(ステップS205)。そして、定量ポン
プ24を作動させて、第二回収廃液貯蔵手段である第二
回収廃液貯蔵タンク54から0.17規定程度の硫酸で
ある回収廃液を回収酸室40bに供給する(ステップS
206)。なお、第二回収廃液貯蔵タンク54には、つ
ぎに説明するCモード(ただし前バッチ)で回収された
回収廃液が蓄えられている。回収酸室40bには0.1
7規定程度の硫酸が供給され、廃酸室40cには放射性
核種を溶離した後における4規定程度の廃硫酸が供給さ
れるので、両室を仕切る拡散透析膜40aの作用によっ
て廃硫酸から硫酸が回収酸室40bへ回収される。
【0074】ここで、配管62に備えられた弁36が開
けられ、配管61に備えられた弁33および中和タンク
22へ廃液を排出するための弁34が閉じられている。
これによって、硫酸が回収された後のBモード回収廃液
は配管62を通って第一回収廃液貯蔵タンク52へ送ら
れてここに蓄えられ(ステップS207)、次のバッチ
におけるAモードで使用される。なお、第一回収廃液貯
蔵タンク52に蓄えられる廃液には少量の放射性核種が
含まれているが、これは次のバッチにおけるAモードで
回収される。所定の通液量(ここでは3.3BV)だけ
硫酸供給タンク20から硫酸を供給して(ステップS2
08)Bモードが終了する。
【0075】つぎに、Cモードについて説明する。この
モードにおいては、弁31と35とを閉じ、弁30を開
け、定量ポンプ24を停止する(ステップS209)。
このようにして純水供給タンク26から回収酸室40b
へ純水を供給する(ステップS210)。廃酸室40c
には放射性核種を溶離した後における4規定程度の廃硫
酸が供給されるので、両室を仕切る拡散透析膜40aの
作用によって廃硫酸から硫酸が回収酸室40bへ回収さ
れる。
【0076】ここでは、配管61に備えられた弁33が
開けられ、配管62に備えられた弁36および中和タン
ク22へ廃液を排出するための弁34が閉じられてい
る。したがって、硫酸が回収された後のCモード回収廃
液は配管61を通って第二回収廃液貯蔵タンク54へ送
られてここに蓄えられ(ステップS211)、次のバッ
チにおけるBモードで使用される。なお、第二回収廃液
貯蔵タンク54に蓄えられる廃液には少量の放射性核種
が含まれているが、これは次のバッチにおけるAモード
で回収される。所定の通液量(ここでは3.3BV)だ
け硫酸供給タンク20から硫酸を供給して(ステップS
212)、A、BおよびCモードが終了する(ステップ
S213)。
【0077】この使用済みイオン交換樹脂の処理システ
ム101においては、BおよびCモードで発生する回収
廃液を、次のバッチにおけるAおよびBモードの硫酸回
収に使用する。このため、最終的にはBおよびCモード
において廃液が発生しないので、硫酸消費量を低減で
き、また中和に使用するNaOH等のアルカリ溶液の消
費量も低減できる。また、BおよびCモードでは中和タ
ンクも不要なので、システムの構成を簡単にできる。な
お、上記使用済みイオン交換樹脂の処理システム101
における処理手順では、実施の形態1で説明したよう
に、制御手段によって硫酸回収用液を切替えてもよい。
この場合には、弁35等に制御手段から必要な配線をし
て、通液データ等を書き換えればよい。
【0078】(変形例)実施の形態2に係る使用済みイ
オン交換樹脂の処理システム101においては1バッチ
の処理をA、BおよびCの3モードに分けたが、つぎに
説明するように、1バッチをA、B、CおよびDの4工
程モードに分けてもよい。図5は、実施の形態2の変形
例に係る使用済みイオン交換樹脂の処理装置を示す説明
図である。この変形例に係る使用済みイオン交換樹脂の
処理システム102は、上記実施の形態2に係る使用済
みイオン交換樹脂の処理システム101(図3参照)と
略同一の構成であるが、回収廃液貯蔵手段である回収廃
液貯蔵タンクをさらにもう一つ設け、4モードで使用済
みイオン交換樹脂を処理する点が異なる。その他の構成
は実施の形態2と同様なのでその説明を省略するととも
に、同一の構成要素には同一の符号を付する。
【0079】この使用済みイオン交換樹脂の処理システ
ム102は、実施の形態2に係る使用済みイオン交換樹
脂の処理システム101に、さらに第三回収廃液貯蔵手
段である第三回収廃液貯蔵タンク56を備えている。そ
して、弁37を備えた配管65によって硫酸回収装置4
0の廃酸室40cから第三回収廃液貯蔵タンク56へ回
収廃液を送るようになっている。また、弁39を備えた
配管67によってCモード時に第三回収廃液貯蔵タンク
56から回収酸室40bへ0.17規定程度の硫酸であ
る回収廃液を供給する。そして廃酸室40cに供給され
る放射性核種を溶離した後の廃硫酸から硫酸を回収する
ようになっている。
【0080】つぎに、この使用済みイオン交換樹脂の処
理システム102によって使用済みイオン交換樹脂を処
理する手順を説明する。実施の形態2に係る使用済みイ
オン交換樹脂の処理システム101では処理工程をA、
BおよびCモードに分けていた。この使用済みイオン交
換樹脂の処理システム102においては、1バッチの処
理をA、B、CおよびDモードの4モードに分けてい
る。そして、第三回収廃液貯蔵タンク56を追加して、
Dモードの回収廃液をCモードの硫酸回収に使用する。
このようにするため、各モードのBVは等しく設定され
ている。また、従来よりも総通液量を少なくして廃液量
を少なくするため、総通液量をこれまでの半分である1
0.0BVとする。したがって、A、B、CおよびDモ
ードは、それぞれ2.5BV通液することになる。ここ
で、廃硫酸中における放射性核種濃度の高い順にAモー
ド、Bモード、Cモード、Dモードとなっている。
【0081】A〜Cモードについては実施の形態2に係
る使用済みイオン交換樹脂の処理システム101と略同
様であるので説明を省略し、Dモードについて説明す
る。なお、Cモードの硫酸回収においては、Dモードの
硫酸回収で生じたDモード回収廃液を第三回収廃液貯蔵
タンク56から回収酸室40bに供給して、硫酸を回収
する。つぎにDモードについて説明する。Dモードにお
いては、弁31と35と39とを閉じ、弁30を開け
て、純水供給タンク26から回収酸室40bへ純水を供
給する。廃酸室40cには放射性核種を溶離した後にお
ける4規定程度の廃硫酸が供給されるので、両室を仕切
る拡散透析膜40aの作用によって廃硫酸から硫酸が回
収酸室40bへ回収される。
【0082】そして、配管65に備えられた弁37が開
けられ、配管62に備えられた弁36、配管61に備え
られた弁33および弁34が閉じられる。これによっ
て、硫酸が回収された後のDモード回収廃液は配管65
を通って第三回収廃液貯蔵タンク56へ送られてここに
蓄えられ、次のバッチにおけるCモードで使用される。
なお、第三回収廃液貯蔵タンク56に蓄えられるDモー
ド回収廃液には少量の放射性核種が含まれているが、こ
れは次のバッチにおけるAモードで回収される。所定の
通液量(ここでは2.5BV)だけ硫酸供給タンク20
から硫酸を供給してDモードが終了する。
【0083】この使用済みイオン交換樹脂の処理システ
ム102においては、B、CおよびDモードで発生する
回収廃液を回収して、次のバッチにおけるA、Bおよび
Cモードの硫酸回収に使用する。このため、B、Cおよ
びDモードにおいては回収廃液が発生しないので、硫酸
消費量を低減でき、また中和に使用するNaOH等のア
ルカリ溶液の消費量も低減できる。また、B、Cおよび
Dモードでは中和タンクも不要なので、システムの構成
を簡単にできる。
【0084】なお、この発明においては、理論的に1バ
ッチをN分割することができるので(Nは2以上の自然
数)、さらに細かく1バッチを分割してもよい。ただ
し、あまり細かく分割すると装置が複雑になり、また1
モードに要する時間も短くなって制御が煩雑になるの
で、3分割程度が望ましい。
【0085】(実施の形態3)図6は、この発明の実施
の形態3に係る使用済みイオン交換樹脂の処理システム
を示す説明図である。この使用済みイオン交換樹脂の処
理システムは、水素イオン選択型電気透析膜によって、
硫酸溶離手段で溶離した後の廃硫酸から硫酸を回収する
点に特徴がある。つぎに、図6を参照してこの使用済み
イオン交換樹脂の処理システムについて説明する。
【0086】この使用済みイオン交換樹脂の処理システ
ム103は、溶離手段である溶離器10と、溶離器10
に硫酸を供給する硫酸供給タンク20と、放射性核種を
溶離した後の廃硫酸から硫酸を回収する硫酸回収手段で
ある硫酸回収装置41と、硫酸回収後の廃液を中和する
第一中和タンク25および第二中和タンク27とを備え
ている。
【0087】使用済みイオン交換樹脂は溶離器10に投
入され、ここで硫酸供給タンク20から供給される硫酸
によって、放射性核種である60Co等が硫酸に溶離され
る。このときの反応は、上述したとおりである。また、
この使用済みイオン交換樹脂の処理システム103にお
いても、放射性核種濃度の高い段階における処理である
Aモード、および放射性核種濃度の低い段階における処
理であるBモードによって処理する。なお、この使用済
みイオン交換樹脂の処理システム103においては、廃
硫酸1ml当り10Bq程度になったらAモードからB
モードへ切替える。
【0088】放射性核種を溶離した後の硫酸廃液は、水
素イオン選択型電気透析装置200を備えた硫酸回収装
置41によって硫酸が回収される。ここで、水素イオン
選択型電気透析装置200を備えた硫酸回収装置41に
ついて説明する。この水素イオン選択型電気透析装置2
00は水素イオン選択型電気透析膜200aを備えてい
る。溶離器10で放射性核種を溶離した廃硫酸は、第一
オーバーフロータンク210に排出される。つぎに、こ
の廃硫酸は第一ポンプ211によって水素イオン選択型
電気透析装置200の廃酸室200cへ供給される。こ
の第一ポンプ211によって、廃硫酸を廃酸室200c
と第一オーバーフロータンク210との間で循環させる
ことで、硫酸の回収率をより高くする。
【0089】水素イオン選択型電気透析装置200に
は、電源215につながれた正電極202および負電極
204が設けられており、廃酸室200cと回収酸室2
00bとの間に電位差を作る。この電位差によって、水
素イオンH+と硫酸イオンSO4 2-とが回収酸室200b
へ移動し、放射性核種は廃酸室200cに残る。このよ
うにして回収酸室200bへ硫酸を回収する。回収酸室
200bに回収された硫酸は、第二オーバーフロータン
ク212へ送られて、第二ポンプ213によって再び回
収酸室200bに戻される。
【0090】硫酸を回収した後の回収廃液は、第一中和
タンク25または第二中和タンク27に排出され、ここ
でNaOH等のアルカリ溶液によって中和される。Aモ
ードにおいては弁236を開き、弁237を閉じて、回
収廃液を第一中和タンク25に排出する。ここで、Aモ
ードにおける回収廃液は放射性核種濃度が高いため、弁
236を開き、弁237を閉じて第一中和タンク25で
中和された後濃縮されて長期貯蔵される。そして、放射
能を減衰させた後、セメント等によって固化処理され
る。
【0091】Bモードにおいては弁237を開き、弁2
36を閉じて、回収廃液を第二中和タンク27へ排出す
る。そして回収廃液はアルカリ溶液によって中和された
後、アスファルト等によって固化処理される。放射性核
種が溶離された後の使用済みイオン交換樹脂は、焼却炉
(図示せず)で焼却されて、使用済みイオン交換樹脂の
処理が終了する。
【0092】この使用済みイオン交換樹脂の処理システ
ム103では、硫酸回収手段に水素イオン選択型電気透
析膜200aを備えた水素イオン選択型電気透析装置2
00を使用している。このため、拡散透析膜を使用した
場合と比較して、膜面積を無闇に大きくしなくとも低濃
度の硫酸を回収できる。これにより、硫酸の回収効率を
向上させることができ、硫酸回収後の廃液を中和する際
に使用するアルカリ溶液の量も低減させることができ
る。したがって、廃液の濃縮に要するエネルギーを低減
でき、また、中和に要するアルカリ溶液も少なくて済む
ので、セメント固化体の容積も低減できる。さらに、硫
酸の回収効率が高く、膜面積が小さくても硫酸を十分回
収できるので、装置を小型にできる。
【0093】(実施の形態4)図7は、この発明の実施
の形態4に係る使用済みイオン交換樹脂の処理システム
を示す説明図である。この使用済みイオン交換樹脂の処
理システムは、硫酸溶離手段で溶離した放射性核種濃度
の低い回収廃液を回収廃液貯蔵タンクに溜めて、使用済
みイオン交換樹脂から放射性核種を溶離するためにこの
回収廃液を再び使用する点に特徴がある。つぎに、図7
を参照してこの使用済みイオン交換樹脂の処理システム
について説明する。
【0094】この使用済みイオン交換樹脂の処理システ
ム104は、溶離手段である溶離器10と、硫酸回収手
段である硫酸回収装置41と、回収廃液貯蔵手段である
回収廃液貯蔵タンク51と、回収廃液供給手段である定
量ポンプ24とを備えている。使用済みイオン交換樹脂
12は溶離器10に投入される。溶離器10には硫酸供
給タンク20が設けられており、ここから溶離器10へ
硫酸を供給して、使用済みイオン交換樹脂12から放射
性核種を溶離する。
【0095】溶離器10と硫酸回収装置41とは配管2
22によってつながれており、溶離後の廃硫酸は硫酸回
収装置41の第一オーバーフロータンク210に供給さ
れて、水素イオン選択型電気透析装置200で当該廃硫
酸中の硫酸が回収される。この手順については実施の形
態1において説明した通りなので、その説明を省略す
る。硫酸が回収された後の回収廃液には放射性核種が分
散しているが、放射性核種の濃度が高い回収廃液は弁2
35を開けて中和タンク22へ排出されて、ここでNa
OH等のアルカリ溶液によって中和される。そして、中
和後濃縮されて保管タンク(図示せず)等に長期保管さ
れた後、セメント固化される。
【0096】硫酸回収装置41の第二オーバーフロータ
ンク212と配管222とは配管220によってつなが
れており、硫酸回収装置41で回収された硫酸は溶離器
10へ供給される。そして、ここで使用済みイオン交換
樹脂から放射性核種を溶離するために再び使用される。
また、弁235を閉じることによって、硫酸回収装置4
1で硫酸が回収された回収廃液のうち、放射性核種濃度
の低いものが回収廃液貯蔵タンク51へ送られる。そし
てこの回収廃液は、回収廃液供給手段である定量ポンプ
24によって、弁230を介して溶離器10へ供給さ
れ、放射性核種濃度の高い廃硫酸から硫酸を回収する際
に使用される。
【0097】つぎに、この使用済みイオン交換樹脂の処
理システム100によって使用済みイオン交換樹脂を処
理する手順を説明する。この発明においては、前バッチ
のBモードにおける回収廃液をこのバッチにおけるAモ
ードの溶離工程に使用するため、A、B両モードのBV
を等しくする必要がある。この例においては、Aモー
ド、Bモードともに5BVとし、総通液量を10BVと
する。なお、総通液量は10BVに限らず、硫酸濃度、
拡散透析膜の面積、硫酸の流速、処理する使用済みイオ
ン交換樹脂の量あるいは処理時間等の条件によって適宜
変更することができる。
【0098】まずAモードについて、図7および図8を
参照して説明する。ここで、図8は、実施の形態4に係
る使用済みイオン交換樹脂の処理システムの処理手順を
示すフローチャートである。使用済みイオン交換樹脂1
2は溶離器10へ投入される(ステップS301)。つ
ぎに硫酸供給タンク20から4規定の硫酸が供給され
て、上記反応によって使用済みイオン交換樹脂から60
oや137Cs等の放射性核種を溶離する(ステップS3
02)。なお、従来における使用済みイオン交換樹脂の
処理システム900(図14参照)のある例では、2規
定程度の硫酸を20BV通液している。
【0099】ここで、溶離器10に供給する硫酸は4規
定のものには限られない。例えば従来例と同じ2規定の
硫酸を使用してもよいし、あるいは6規定や8規定の硫
酸を使用してもよい。ただし、規定の高い硫酸を使用す
る場合には、規定の高さに応じて水素イオン選択型電気
透析膜200aの面積を大きくするか流速を遅くして、
相対的に水素イオン選択型電気透析膜200aの面積を
大きくすることが望ましい。水素イオン選択型電気透析
装置200における硫酸回収率をより高くするためであ
る。また、規定数を従来と同じ値にする場合には所定の
値以下まで放射性核種濃度を低くするため、通液量を従
来と同じにする必要がある。
【0100】大体の目安として、規定数が2倍になった
ら拡散透析膜の面積を2倍にするか、または、硫酸回収
装置41を通過する硫酸の流速を1/2にすれば、硫酸
回収後の廃液における硫酸濃度を、規定数が低い場合と
同程度にできる。この例においては、硫酸の規定数を従
来の2倍としているので、水素イオン選択型透析装置2
00を通過する硫酸の流速を、従来のシステムの1/2
としている。なお、処理時間を長くできる場合には、さ
らに流速を遅くしてもよい。このようにすると、さらに
相対的な拡散透析膜の面積を大きくできるので、硫酸回
収率をより高くできる。その結果、最終的に発生する硫
酸根の量もさらに低減できるので好ましい。
【0101】溶離器10で放射性核種を溶離した廃硫酸
は、水素イオン選択型電気透析装置200を備えた硫酸
回収装置41へ送られて硫酸が回収される。ここでは、
硫酸回収装置41の第二オーバーフロータンク212に
ある程度の硫酸が蓄えられると硫酸がオーバーフローす
る。そして、この硫酸は配管220を通って再び溶離器
10に供給されて、使用済みイオン交換樹脂12から放
射性核種を溶離する。このとき、弁230を開けて定量
ポンプ24を作動させる。そして、回収廃液貯蔵タンク
51から前回のバッチにおけるBモードで回収したBモ
ード回収廃液も溶離器10に供給して、放射性核種の溶
離に使用する(ステップS303)。
【0102】また、廃酸室200cに残された放射性核
種を含むAモード回収廃液は、第一オーバーフロータン
ク210に蓄えられる。そしてその量が一定量以上にな
るとオーバーフローして、配管224を通って中和タン
ク22へ排出される。一定量の硫酸を使用済みイオン交
換樹脂12に通液して、Aモードが終了する(ステップ
S304)。なお、Aモード回収廃液は放射性核種の濃
度が高いため、中和タンク22に直接、または別のタン
クに移されて長期間保管された後、セメント固化され
る。
【0103】つぎに、Bモードについて説明する。この
モードにおいてはAモードにおける溶離によって放射性
核種濃度が低くなったイオン交換樹脂12から、さらに
放射性核種を取り除くものである。このモードにおいて
は、弁230と弁235とを閉じ、定量ポンプ24を停
止して、弁234を開ける(ステップS305)。この
状態で硫酸供給タンク20から溶離器10へ硫酸を供給
して、使用済みイオン交換樹脂から放射性核種を溶離す
る。
【0104】このとき、手動によるマニュアル操作で上
記操作をしてもよいが、図7に示すように、制御手段で
ある制御装置80aによって上記操作をしてもよい。つ
ぎに、この制御装置80aによって硫酸回収用液を切替
える手順について説明する。この制御装置80aは、制
御部81aと、演算部82aと、記憶部83aとを備え
ている。この制御装置80aでは、記憶部83aにAモ
ードおよびBモードの通液データが記憶されている。記
憶部83aから演算部82aがこの通液データを読み出
す。そして、このデータに基づいてAモードにおいて必
要な通液量だけ硫酸を通液したときに、回収廃液供給信
号を生成する。この信号を受けて、制御部81aが回収
廃液供給手段である定量ポンプ24を停止させ、弁23
0および235を閉じる。なお、硫酸の通液量は、例え
ば硫酸供給タンク20の下流に設置した流量計(図示せ
ず)の測定値を演算部82aに取り込むことで判断する
ことができる。このようにして、硫酸回収装置41で生
じた回収廃液を、回収廃液貯蔵タンク51へ蓄えること
ができる。
【0105】ここで、上記通液データは通液量そのもの
のデータを使用してもよい。また、通液量を表すパラメ
ータとして時間を使用し、一定時間経過したら制御部8
1aを作動させるようにしてもよい。この場合には、制
御装置80aにタイマー(図示せず)を備えて、このタ
イマーから生成されるトリガー信号によって制御しても
よい。
【0106】なお、この演算部82aは専用のハードウ
エアにより実現されるものであってもよく、また、この
演算部82aはメモリおよびCPU(中央演算装置)に
より構成され、演算部82aの機能を実現するためのプ
ログラム(図示省略)をメモリにロードして実行するこ
とによりその機能を実現させるものであってもよい。ま
た、この制御装置80aは、周辺機器として入力装置、
表示装置など(いずれも図示省略)をメモリにロードし
て実行することによりその機能を実現させるものであっ
てもよい。また、上記記憶部83aは、ハードディスク
装置や光磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮
発性のメモリや、RAM(Random Access Memory)のよ
うな揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせによ
り構成されるものとする。
【0107】放射性核種溶離後の廃硫酸は硫酸回収装置
41の第一オーバーフロータンク210に供給され、こ
こから第一ポンプ211によって水素イオン選択型電気
透析装置200によって硫酸が回収される。硫酸回収後
のBモード回収廃液は一旦第一オーバーフロータンク2
10に蓄えられた後、配管224および226を通って
回収廃液貯蔵タンク51に蓄えられる(ステップS30
6)。この回収廃液は、次のバッチにおけるAモードで
使用される。所定量の硫酸を使用済みイオン交換樹脂に
通液して(ステップS307)、A、Bモードが終了す
る(ステップS308)。なお、実施の形態1において
は、Bモードにおける総通液量とAモードにおける総通
液量とをそれぞれ5BVとしている。このため、Bモー
ド回収廃液の量は、次のAモードで回収酸室40bに供
給する回収廃液と同じ量となる。
【0108】A、B両モードが終了すると、弁234を
閉じ、弁230および235を開いて定量ポンプ24を
作動させ、次のバッチにおけるAモードを開始する。な
お、回収廃液貯蔵タンク51に蓄えられたBモード回収
廃液には、少量の放射性核種が含まれているが、これは
次のバッチにおけるAモードによって硫酸回収装置41
で溶離され、中和タンク22へ排出される。このため、
この使用済みイオン交換樹脂の処理システム101で回
収できる放射性核種の量は、従来のイオン交換樹脂の処
理システム900(図14参照)で回収することのでき
る放射性核種の量と同じである。
【0109】この使用済みイオン交換樹脂の処理システ
ム104では、硫酸回収手段に水素イオン選択型電気透
析膜200aを備えた水素イオン選択型電気透析装置2
00を使用している。このため、拡散透析膜を使用した
場合と比較して、膜面積を無闇に大きくしなくとも低濃
度の硫酸を回収できる。このため、硫酸の回収効率を向
上させることができ、硫酸回収後の廃液を中和する際に
使用するアルカリ溶液の量も低減させることができる。
したがって、廃液の濃縮に要するエネルギーを低減で
き、また、中和に要するアルカリ溶液も少なくて済む。
これにより、セメント固化体の容積も低減できる。さら
に硫酸の回収効率が高く、膜面積が小さくても硫酸を十
分回収できるので、装置を小型にできる。
【0110】また、Bモード回収廃液を放射性核種の溶
離に再利用するため、従来の使用済みイオン交換樹脂の
処理システム900(図14参照)と比較して、硫酸の
消費量を低減できる。そして、最終的に発生する廃液量
および硫酸根も従来よりも低減できる。また、Bモード
においては廃液が発生しないため、従来Bモード回収廃
液を中和するために必要だった第二中和タンク923
(図14参照)も不要となる。このため、その分システ
ムの建設コストおよび維持コストを低減でき、また、シ
ステムをコンパクトに構成できる。
【0111】ここで、最終的に発生する廃液量につい
て、より具体的に説明する。上述した例のように、この
使用済みイオン交換樹脂の処理システム101において
は、硫酸の規定数を従来の2倍とし、硫酸回収装置41
を通過する硫酸の流速を1/2としている。また、総通
液量は従来の半分である10BVとしている。これらに
よって、最終的に発生する廃液量を従来の約1/4に、
硫酸根は従来の約1/2にできる。また、硫酸の規定数
は従来例の2倍であるため、通液量が1/2であっても
放射性核種の溶離効率は従来と同程度である。
【0112】また、従来の使用済みイオン交換樹脂の処
理システム900に使用する硫酸と同じ規定数の硫酸を
同じBVだけ通液した場合を考える。このときには、こ
の使用済みイオン交換樹脂の処理システム101におい
て発生する廃液量はAモードにおいて発生するAモード
回収廃液のみとなる。したがって、この使用済みイオン
交換樹脂の処理システム104は、従来と同じ通液条件
でも最終的に発生する廃液量を従来の処理システムの略
半分にできる。これにより、発生するセメント固化体の
量も低減できる。
【0113】なお、例えば実施の形態3で説明した使用
済みイオン交換樹脂の処理システム103に、回収廃液
貯蔵手段である回収廃液貯蔵タンク51と廃硫酸供給手
段である定量ポンプ24とから構成される増設設備を、
必要な配管と共に取り付けることもできる。このように
することで、使用済みイオン交換樹脂の処理システム1
00が既に設置されている場合でも、比較的簡単な工事
によって最終的に発生する廃液量を低減させてセメント
固化体の量を少なくできる。このため、既設の使用済み
イオン交換樹脂の処理システムにおいてもセメント固化
体の保管スペースを従来よりも有効に利用できる。
【0114】(実施の形態5)図9は、この発明の実施
の形態5に係る使用済みイオン交換樹脂の処理システム
を示す説明図である。この実施の形態に係る使用済みイ
オン交換樹脂の処理システム105は、上記実施の形態
4に係る使用済みイオン交換樹脂の処理システム104
(図7参照)と略同一の構成であるが、回収廃液貯蔵手
段である回収廃液貯蔵タンクをさらにもう一つ設け、3
モードで1バッチの使用済みイオン交換樹脂を処理する
点が異なる。その他の構成は実施の形態1と同様なので
その説明を省略するとともに、同一の構成要素には同一
の符号を付する。
【0115】この実施の形態に係る使用済みイオン交換
樹脂の処理システム105は、配管226を分岐させて
第二回収廃液貯蔵タンク53に回収廃液を導くための配
管227が設けられている。また、配管227の途中に
は弁236が設けられており、弁236と連動して弁2
34を開閉することで、硫酸回収装置41の第一オーバ
ーフロータンク210からの廃液を、回収廃液貯蔵タン
ク51または第二回収廃液貯蔵タンク53を選択して供
給できるようになっている。
【0116】第二回収廃液貯蔵タンク53は、弁237
を備えた配管228によって配管222と連結されてい
る。そして、弁230と弁237とを切替えることで、
回収廃液貯蔵タンク51または第二回収廃液貯蔵タンク
53の回収廃液を溶離器10に供給する。つぎに、この
使用済みイオン交換樹脂の処理システム105によって
使用済みイオン交換樹脂を処理する手順を説明する。
【0117】実施の形態4に係る使用済みイオン交換樹
脂の処理システム104では溶離の工程をAモードとB
モードとに分けていた。この使用済みイオン交換樹脂の
処理システム105においては、回収廃液貯蔵手段であ
る第二回収廃液貯蔵タンク53を追加し、Cモードの廃
液をBモードの硫酸回収に使用する。このため、実施の
形態1で説明したA、Bモードに加え、さらにCモード
を追加して、A、BおよびCモードそれぞれのBVを等
しくしてある。また、従来よりも総通液量を少なくして
廃液量を少なくするため、総通液量をこれまでのおよそ
半分である9.9BVとする。したがって、Aモード、
Bモード、Cモードは3.3BVとなる。ここで、廃硫
酸中における放射性核種濃度の高い順にAモード、Bモ
ード、Cモードとなっている。
【0118】まず、Aモードについて図9および10を
参照して説明する。ここで、図10は、実施の形態5に
係る使用済みイオン交換樹脂の処理システムの処理手順
を示すフローチャートである。実施の形態4に係る使用
済みイオン交換樹脂の処理システム104(図7参照)
と同様に、溶離器10に使用済みイオン交換樹脂12が
投入され(ステップS401)、溶離器10に硫酸供給
タンク20から硫酸が供給される(ステップS40
2)。
【0119】放射性核種を溶離した後の廃硫酸は硫酸回
収装置41の第一オーバーフロータンク210に配管を
通って供給される。そして、弁237および弁234を
閉じ、弁230を開いて定量ポンプ24を作動させる。
すると、第一回収廃液貯蔵手段である回収廃液貯蔵タン
ク51から、つぎに説明するBモード(ただし前バッ
チ)で回収された回収廃液が溶離器10に供給される
(ステップS403)。そして、硫酸供給タンク20か
ら供給される硫酸と共に使用済みイオン交換樹脂12か
ら放射性核種を溶離する。放射性核種を溶離した後の廃
硫酸は、硫酸回収装置41へ送られて、ここに備えられ
た水素イオン選択電気透析装置200によって硫酸が回
収される。前記廃硫酸から硫酸を回収した後のAモード
回収廃液は放射性核種濃度が高いため、弁234を閉
じ、弁235を開いて第一オーバーフロータンク210
から回収廃液を中和タンク22へ排出する。所定の通液
量(ここでは3.3BV)だけ硫酸供給タンク20から
硫酸を供給してAモードが終了する(ステップS40
4)。
【0120】つぎに、Bモードについて説明する。この
モードの硫酸回収においては、弁230、弁235およ
び弁236を閉じ、弁237と弁234とを開ける(ス
テップS405)。そして、定量ポンプ24を作動させ
て、第二回収廃液貯蔵手段である第二回収廃液貯蔵タン
ク53から稀硫酸である回収廃液を溶離器10に供給す
る(ステップS406)。なお、第二回収廃液貯蔵タン
ク53には、つぎに説明するCモード(ただし前バッ
チ)で回収された稀硫酸である回収廃液が蓄えられてい
る。硫酸回収装置41に備えられた水素イオン選択型電
気透析装置200によって硫酸が回収され、この硫酸は
配管220を通って溶離器10へ戻される。そして、こ
こで再び放射性核種の溶離に使用される。
【0121】ここで、配管226に備えられた弁234
が開けられ、配管227に備えられた弁236および中
和タンク22へ廃液を排出するための弁235が閉じら
れている。これによって、硫酸が回収された後のBモー
ド回収廃液は配管226を通って回収廃液貯蔵タンク5
1へ送られてここに蓄えられ(ステップS407)、次
のバッチにおけるAモードで使用される。なお、回収廃
液貯蔵タンク51に蓄えられる廃液には少量の放射性核
種が含まれているが、これは次のバッチにおけるAモー
ドで回収される。所定の通液量(ここでは3.3BV)
だけ硫酸供給タンク20から硫酸を供給して(ステップ
S408)、Bモードが終了する。
【0122】つぎに、Cモードについて説明する。この
モードにおいては、弁230と弁237と弁234とを
閉じ、弁236を開け、定量ポンプ24を停止する(ス
テップS409)。ここでは、配管227に備えられた
弁236が開けられ、配管226に備えられた弁234
および中和タンク22へ廃液を排出するための弁235
が閉じられている。したがって、硫酸回収装置41で硫
酸が回収された後のCモード回収廃液は配管227を通
って第二回収廃液貯蔵タンク53へ送られてここに蓄え
られ(ステップS410)、次のバッチにおけるBモー
ドで使用される。なお、第二回収廃液貯蔵タンク53に
蓄えられる廃液には少量の放射性核種が含まれている
が、これは次のバッチにおけるAモードで回収される。
所定の通液量(ここでは3.3BV)だけ硫酸供給タン
ク20から硫酸を供給して(ステップS411)使用済
みイオン交換樹脂12から放射性核種を溶離したら、
A、BおよびCモードが終了する(ステップS41
2)。
【0123】この使用済みイオン交換樹脂の処理システ
ム105においては、BおよびCモードで発生する回収
廃液を複数の回収廃液貯蔵タンク51等に蓄えておき、
次のバッチにおけるAおよびBモードの溶離に順次使用
する。このため、1バッチの処理におけるBおよびCモ
ードにおいては最終的な廃液が発生しないので、硫酸消
費量を低減でき、また中和に使用するNaOH等のアル
カリ溶液の消費量も低減できる。また、BおよびCモー
ドでは中和タンク22も不要なので、システムの構成を
簡単にできる。なお、上記使用済みイオン交換樹脂の処
理システム105における処理手順では、実施の形態1
で説明したように、制御手段によって硫酸回収用液を切
替えてもよい。この場合には、弁236等に制御手段か
ら必要な配線をして、通液データ等を書き換えればよ
い。
【0124】(変形例)実施の形態5に係る使用済みイ
オン交換樹脂の処理システム105においては、1バッ
チの処理をA、BおよびCの3モードに分けたが、つぎ
に説明するように、1バッチをA、B、CおよびDの4
工程モードに分けてもよい。図11は、実施の形態5の
変形例に係る使用済みイオン交換樹脂の処理装置を示す
説明図である。この変形例に係る使用済みイオン交換樹
脂の処理システム106は、上記実施の形態5に係る使
用済みイオン交換樹脂の処理システム105(図9参
照)と略同一の構成であるが、回収廃液貯蔵手段である
回収廃液貯蔵タンクをさらにもう一つ設け、4モードで
使用済みイオン交換樹脂を処理する点が異なる。その他
の構成は実施の形態5と同様なのでその説明を省略する
とともに、同一の構成要素には同一の符号を付する。
【0125】この使用済みイオン交換樹脂の処理システ
ム106は、実施の形態5に係る使用済みイオン交換樹
脂の処理システム105に、さらに第三回収廃液貯蔵手
段である第三回収廃液貯蔵タンク55を備えている。そ
して、弁238を備えた配管229によって硫酸回収装
置41の第一オーバーフロータンク210から第三回収
廃液貯蔵タンク55へ回収廃液を送るようになってい
る。また、弁239を備えた配管225によって、Cモ
ード時に第三回収廃液貯蔵タンク55から溶離器10へ
稀硫酸である回収廃液を供給する。そして、使用済みイ
オン交換樹脂12から放射性核種を溶離するようになっ
ている。
【0126】つぎに、この使用済みイオン交換樹脂の処
理システム106によって使用済みイオン交換樹脂を処
理する手順を説明する。実施の形態5に係る使用済みイ
オン交換樹脂の処理システム102では処理工程をA、
BおよびCモードに分けていた。この使用済みイオン交
換樹脂の処理システム106においては、1バッチの処
理をA、B、CおよびDモードの4モードに分けてい
る。そして、第三回収廃液貯蔵タンク55を追加して、
Dモードの回収廃液をCモードの硫酸回収に使用する。
このようにするため、各モードのBVは等しく設定され
ている。また、従来よりも総通液量を少なくして廃液量
を少なくするため、総通液量をこれまでの半分である1
0.0BVとする。したがって、A、B、CおよびDモ
ードは、それぞれ2.5BV通液することになる。ここ
で、廃硫酸中における放射性核種濃度の高い順にAモー
ド、Bモード、Cモード、Dモードとなっている。
【0127】A〜Cモードについては実施の形態5に係
る使用済みイオン交換樹脂の処理システム105と略同
様であるので説明を省略し、Dモードについて説明す
る。なお、Cモードの硫酸回収においては、Dモードの
硫酸回収で生じたDモード回収廃液を第三回収廃液貯蔵
タンク55から溶離器10に供給して、使用済みイオン
交換樹脂12から放射性核種を溶離する。つぎにDモー
ドについて説明する。Dモードにおいては、配管229
に備えられた弁238が開けられ、配管227に備えら
れた弁236、配管226に備えられた弁234および
弁235が閉じられる。これによって、硫酸が回収され
た後のDモード回収廃液は配管229を通って第三回収
廃液貯蔵タンク55へ送られてここに蓄えられ、次のバ
ッチにおけるCモードで使用される。なお、第三回収廃
液貯蔵タンク55に蓄えられるDモード回収廃液には少
量の放射性核種が含まれているが、これは次のバッチに
おけるAモードで回収される。所定の通液量(ここでは
2.5BV)だけ硫酸供給タンク20から硫酸を供給し
てDモードが終了する。
【0128】この使用済みイオン交換樹脂の処理システ
ム106においては、B、CおよびDモードで発生する
回収廃液を回収して複数の回収廃液貯蔵タンク51等に
蓄えておき、次のバッチにおけるA、BおよびCモード
の溶離工程に順次使用する。このため、B、CおよびD
モードにおいては回収廃液が発生しないので、硫酸消費
量を低減でき、また中和に使用するNaOH等のアルカ
リ溶液の消費量も低減できる。また、B、CおよびDモ
ードでは中和タンク22も不要なので、システムの構成
を簡単にできる。なお、この発明においては、理論的に
1バッチをN分割することができるので(Nは2以上の
自然数)、さらに細かく1バッチを分割してもよい。た
だし、あまり細かく分割すると装置が複雑になり、また
1モードに要する時間も短くなって制御が煩雑になるの
で、3分割程度が望ましい。
【0129】(実施の形態6)図12は、この発明の実
施の形態6に係る使用済みイオン交換樹脂の処理システ
ムを示す説明図である。この使用済みイオン交換樹脂の
処理システム107は、上記実施の形態4に係る使用済
みイオン交換樹脂の処理システム104(図7参照)と
略同一の構成であるが、Bモードにおいて溶離器10か
ら発生する廃硫酸を廃硫酸貯蔵手段である廃硫酸貯蔵タ
ンク57に回収し、次のバッチにおけるAモードで、放
射性核種の溶離に再使用する点が異なる。その他の構成
は実施の形態1と同様なのでその説明を省略するととも
に、同一の構成要素には同一の符号を付する。
【0130】放射性核種濃度の高い廃硫酸が発生するA
モードにおいては、放射性核種を溶離した後の廃硫酸は
配管221を通って第一オーバーフロータンク210に
送られる。そして、硫酸回収手段である硫酸回収装置4
1に備えられた水素イオン選択型電気透析装置200で
硫酸が回収され、回収後のAモード回収廃液は中和タン
ク22へ排出される。なお、Aモードにおいては、前回
のBモードにおいて回収した廃硫酸を廃硫酸貯蔵タンク
57から溶離手段である溶離器10に供給して溶離に使
用する。このため、弁230を開けて廃硫酸供給手段で
ある定量ポンプ24を作動させる。
【0131】放射性核種濃度が比較的低い廃硫酸が発生
するBモードにおいては、配管228に設けられた弁2
31が開けられて、配管221に設けられた弁233が
閉じられる。また、弁230が閉じられ、定量ポンプ2
4が停止されて、廃硫酸貯蔵タンク59から溶離器10
への廃硫酸供給が停止する。そして、溶離後の硫酸は配
管228を通って廃硫酸貯蔵タンク59へ蓄えられて、
次回のAモードにおける溶離に使用される。
【0132】上記弁230等および定量ポンプ24の切
替えは、手動によるマニュアル操作でもよいが、図12
に示すように、制御手段である制御装置80bによって
この切替え操作をしてもよい。つぎに、この制御装置8
0bによって硫酸回収用液を切替える手順について説明
する。この制御装置80bは、制御部81bと、演算部
82bと、記憶部83bとを備えている。この制御装置
80bでは、記憶部83bにAモードおよびBモードの
通液データが記憶されている。記憶部83bから演算部
82bがこの通液データを読み出す。そして、このデー
タに基づいてAモードにおいて必要な通液量だけ硫酸を
通液したときに、廃硫酸供給信号を生成する。
【0133】この信号を受けて、制御部81bが廃硫酸
供給手段である定量ポンプ24を停止させ、弁230お
よび235を閉じる。なお、硫酸の通液量は、例えば硫
酸供給タンク20の下流等に流量計(図示せず)を設置
し、この測定値を演算部82bに取り込むことで判断す
ることができる。このようにして、硫酸回収装置41で
生じた回収廃液を、回収廃液貯蔵タンク51へ蓄えるこ
とができる。
【0134】ここで、上記通液データは通液量そのもの
のデータを使用してもよい。また、通液量を表すパラメ
ータとして時間を使用し、一定時間経過したら制御部8
1bを作動させるようにしてもよい。この場合には、制
御装置80bにタイマー(図示せず)を備えて、このタ
イマーから生成されるトリガー信号によって制御しても
よい。
【0135】この使用済みイオン交換樹脂の処理システ
ム107では、放射性核種を溶離した後の廃硫酸を回収
し、つぎのバッチにおける放射性核種の溶離に再使用す
る。このため、最終的に発生する廃液はAモードにおい
て発生する放射性核種濃度の高いものだけになるので、
従来のシステムと比較して最終的な廃液量を低減するこ
とができる。また、発生する硫酸根の量も従来よりも低
減できるので、中和に要するアルカリ溶液の量も従来よ
りも低減できる。
【0136】なお、例えば実施の形態3で説明した使用
済みイオン交換樹脂の処理システム103に、廃硫酸貯
蔵手段である廃硫酸貯蔵タンク59と廃硫酸供給手段で
ある定量ポンプ24とから構成される増設設備を、必要
な配管と共に取り付けることもできる。このようにする
ことで、使用済みイオン交換樹脂の処理システム103
が既に設置されている場合でも、比較的簡単な工事によ
って最終的に発生する廃液量を低減させてセメント固化
体の量を少なくできる。このため、既設の使用済みイオ
ン交換樹脂の処理システムにおいてもセメント固化体の
保管スペースを従来よりも有効に利用できる。また硫酸
の消費量もこれまでより低減できるので、システムの運
用費用を低減でき経済的である。
【0137】(実施の形態7)図13は、実施の形態7
に係る使用済みイオン交換樹脂の処理システムを示す説
明図である。この使用済みイオン交換樹脂の処理システ
ム108は、上記実施の形態1に係る使用済みイオン交
換樹脂の処理システム100(図1参照)と略同一の構
成であるが、硫酸回収装置42に拡散透析膜と電気透析
膜を併用した点が異なる。その他の構成は実施の形態1
と同様なのでその説明を省略するとともに、同一の構成
要素には同一の符号を付する。
【0138】使用済みイオン交換樹脂12から放射性核
種を溶離した廃硫酸は、拡散透析膜40aを備えた硫酸
回収装置40の廃酸室40cに供給される。そして、回
収酸室40bには純水供給タンク26から純水が供給さ
れる。廃酸室40cと回収酸室40bとの間に存在する
硫酸濃度差によって、溶離後の硫酸から回収酸室40b
へ硫酸が回収される。回収された硫酸は、使用済みイオ
ン交換樹脂12から放射性核種を溶離するために、再び
溶離器10へ供給される。
【0139】硫酸回収装置40で硫酸を回収された後の
回収廃液は、電気透析膜43aを備えた電気透析装置4
3の廃酸室43cへ供給される。また、硫酸を回収する
ために、電気透析装置43の廃酸室43cには純水供給
タンク26から純水が供給される。ここで、純水供給タ
ンク26から供給される純水は、三方弁38によって硫
酸回収装置40と電気透析装置43とに分配される。そ
して、三方弁38を調整することによって、それぞれの
装置における硫酸回収に適した流速で純水を供給する。
【0140】電気透析装置43は、廃酸室43cと回収
酸室43bとが電気透析膜43aによって仕切られてい
る。そして、廃酸室43c側には正電極43dが、回収
酸室43b側には負電極43eが取り付けられており、
電源(図示せず)から硫酸回収のための電気が供給され
る。そして、両電極間に生じた電位差によって回収酸室
43b側へ硫酸を回収する。回収された硫酸は、使用済
みイオン交換樹脂12から放射性核種を溶離するため
に、再び溶離器10へ供給される。
【0141】電気透析装置43で硫酸が回収された後の
回収廃液は、弁36と弁34とを切り替えることで、中
和タンク22または回収廃液貯蔵タンク50へ排出され
る。上述したように、放射性核種濃度が高いときには、
弁34を開き、弁36は閉じて、中和タンク22へ回収
廃液を排出し、ここでアルカリ溶液によって中和され
る。そして放射能を減衰させた後、セメント固化され
る。放射性核種濃度の低い場合には、弁36を開き、弁
34は閉じて、回収廃液を回収廃液貯蔵タンク50へ貯
蔵する。ここに貯蔵された回収廃液は、放射性核種濃度
の高いAモードにおいて溶離器10へ供給されて、放射
性核種の溶離に使用される。
【0142】この使用済みイオン交換樹脂の処理システ
ム108は、硫酸回収手段に拡散透析膜40aと電気透
析膜43aを使用しているので、拡散透析膜40aを単
独で使用するよりも硫酸の回収率を高くできる。これに
よって、最終的な廃液に残る硫酸根もより少なくできる
ので、中和に要するアルカリ溶液も少なくできる。その
結果、セメント固化体の量もより低減できるので、セメ
ント固化体の収納スペースを有効に利用できる。
【0143】
【発明の効果】以上説明したように、この発明に係る使
用済みイオン交換樹脂の処理システム(請求項1)で
は、放射性核種分離後の廃硫酸から硫酸を回収した後の
回収廃液を蓄えておき、硫酸回収用液として硫酸回収手
段に再び供給するようにした。このため、最終的な処理
廃液の量を低減できるので、中和用のアルカリ溶液量も
低減できる。その結果、発生するセメント固化体の量も
少なくできるので、セメント固化体の保管スペースも有
効に利用できる。また、この発明に係る使用済みイオン
交換樹脂の処理システム(請求項2)では、硫酸回収手
段には拡散透析膜を用いるようにした。このため、簡単
な構造で硫酸の回収率を高くできるので、装置全体をコ
ンパクトにできる。
【0144】また、この発明に係る使用済みイオン交換
樹脂の処理システム(請求項3)では、回収廃液貯蔵手
段を複数備えて、前回のバッチにおいて回収した回収廃
液を順次硫酸回収手段に供給するようにした。このた
め、回収廃液貯蔵手段が増えた分だけ回収できる廃液の
量が多くなるので、その分だけ1バッチの処理において
最終的に発生する廃液量を低減できる。これによってセ
メント固化体の量もさらに少なくできるため、セメント
固化体の保管スペースをさらに有効利用できる。
【0145】また、この発明に係る使用済みイオン交換
樹脂の処理システム(請求項4)では、硫酸回収手段に
供給する硫酸回収に使用する液を、回収廃液または純
水、稀硫酸その他の硫酸回収用液に切替えるための制御
手段を備えるようにした。このため、放射性核種を吸着
した使用済みイオン交換樹脂を自動的に処理できるの
で、安全に操業できる。
【0146】また、この発明に係る使用済みイオン交換
樹脂の処理システム(請求項5)では、硫酸によって使
用済みイオン交換樹脂から放射性核種を溶離し、溶離後
の廃硫酸から水素イオン選択型電気透析膜によって硫酸
を回収するようにした。水素イオン選択型電気透析膜
は、拡散透析膜や、これと電気透析とを組み合わせた透
析装置等と比較して硫酸の回収率を高くできる。このた
め、拡散透析膜等を使用した場合と比較して最終的にセ
メント固化処分する廃液に含まれる硫酸根を少なくでき
る。したがって、中和に使用するアルカリ溶液の量を低
減できるので、セメント固化体の体積もより低減でき
る。
【0147】また、この発明に係る使用済みイオン交換
樹脂の処理システム(請求項6)では、放射性核種溶離
後の廃硫酸から硫酸を回収した後の回収廃液を蓄えてお
き、放射性核種を溶離するため溶離手段に再び供給する
ようにした。さらに、硫酸の回収には、硫酸の回収効率
が高い水素イオン選択型電気透析膜を使用するようにし
た。このように、硫酸回収効率の高い水素イオン選択型
電気透析膜を用い、さらに硫酸回収手段で回収した回収
廃液を再び放射性核種の溶離に使用するので、1バッチ
処理における最終的な処理廃液の量を低減できる。ま
た、硫酸根の量も少なくできるので、中和用のアルカリ
溶液量も低減できる。その結果、発生するセメント固化
体の量も少なくできるので、セメント固化体の保管スペ
ースも有効に利用できる。
【0148】また、この発明に係る使用済みイオン交換
樹脂の処理システム(請求項7)では、回収廃液貯蔵手
段を複数備えて、前回のバッチにおいて回収した回収廃
液を順次溶離手段に供給して、放射性核種の溶離に使用
するようにした。このため、回収廃液貯蔵手段が増えた
分だけ回収できる廃液の量が多くなるので、その分だけ
1バッチにおいて最終的に発生する廃液量を低減でき
る。これによってセメント固化体の量もさらに少なくで
きるため、セメント固化体の保管スペースをさらに有効
利用できる。
【0149】また、この発明に係る使用済みイオン交換
樹脂の処理システム(請求項8)では、回収廃液貯蔵手
段に回収廃液を蓄える際に、溶離手段に回収廃液を供給
する回収廃液供給手段を停止させ、自動的に回収廃液を
蓄えるようにした。このため、放射性核種を吸着した使
用済みイオン交換樹脂を自動的に処理できるので、より
安全に操業できる。
【0150】また、この発明に係る使用済みイオン交換
樹脂の処理システム(請求項9)では、放射性核種除去
後の廃硫酸を廃硫酸貯蔵手段に蓄えておき、つぎのバッ
チにおける放射性核種の溶離に再使用するようにした。
また、硫酸回収には硫酸の回収効率が高い水素イオン選
択型電気透析膜を使用するようにした。このため、1バ
ッチの処理において発生する最終的な廃液量が低減し、
また拡散透析膜等と比較して硫酸の回収効率が高いため
最終的な廃液に含まれる硫酸根も低減する。その結果、
セメント固化体の量が低減でき、その収納スペースを有
効利用できる。
【0151】また、この発明に係る使用済みイオン交換
樹脂の処理システム(請求項10)では、廃硫酸貯蔵手
段に廃硫酸を蓄える際に、溶離手段に廃硫酸を供給する
廃硫酸供給手段を停止させ、自動的に回収廃液を蓄える
ようにした。このため、放射性核種を吸着した使用済み
イオン交換樹脂を自動的に処理できるので、さらに安全
に操業できる。
【0152】また、この発明に係る使用済みイオン交換
樹脂の処理方法(請求項11)では、廃硫酸から硫酸を
回収した後の回収廃液を次のバッチにおける硫酸回収で
再び使用するようにした。このため、最終的に発生する
廃液量を低減できる。このため、中和に要するアルカリ
溶液の量も少なくできるので、固化処理する廃液量も低
減できる。その結果、セメント固化体の発生量を低減で
きるので、セメント固化体の保管スペースを有効に利用
できる。
【0153】また、この発明に係る使用済みイオン交換
樹脂の処理方法(請求項12)では、廃硫酸から硫酸を
回収した後の回収廃液を次のバッチにおける硫酸回収で
再び使用するようにした。また、硫酸の回収には、硫酸
回収効率の高い水素イオン選択型電気透析膜を使用する
ようにした。このため、最終的に発生する廃液量を低減
でき、また、これに含まれる硫酸根の量も低減できる。
また、最終的な廃液に含まれる硫酸根の量が少ないの
で、中和に要するアルカリ溶液の量も少なくできる。そ
の結果、セメント固化体の体積を低減できるので、セメ
ント固化体の保管スペースを有効に利用できる。
【0154】また、この発明に係る使用済みイオン交換
樹脂の処理方法(請求項13)では、使用済みイオン交
換樹脂から放射性核種を取り除いた後の廃硫酸を次のバ
ッチにおける溶離工程で再び使用するようにした。ま
た、硫酸の回収には、硫酸回収効率の高い水素イオン選
択型電気透析膜を使用するようにした。このため、最終
的に発生する廃液量を低減でき、また、これに含まれる
硫酸根の量も低減できる。そして、最終的な廃液に含ま
れる硫酸根の量が少なくなるので、中和に要するアルカ
リ溶液の量も少なくできる。その結果、セメント固化体
の発生量を低減できるので、セメント固化体の保管スペ
ースを有効に利用できる。
【0155】また、この発明に係る使用済みイオン交換
樹脂の処理方法(請求項14)では、溶離に使用する硫
酸の規定数に応じて硫酸回収手段を通過する硫酸の流速
を小さくするようにした。このため、硫酸の規定数を高
くして、少ない硫酸の量でも十分に使用済みイオン交換
樹脂から放射性核種を溶離しつつ、硫酸回収手段では十
分に硫酸を回収できる。また、最終的に発生する廃液の
量を低減できる。その結果、セメント固化体の量も低減
できるので保管スペースを有効に利用できる。
【0156】また、この発明に係る使用済みイオン交換
樹脂の処理システムの増設設備(請求項15)は、既存
の使用済みイオン交換樹脂の処理システムに、回収廃液
貯蔵手段と回収廃液供給手段とを取り付け得るようにし
た。これによって、比較的簡単な工事で既存の使用済み
イオン交換樹脂の処理システムにおいても、最終的に発
生する廃液量を低減させてセメント固化体の量を少なく
できる。
【0157】また、この発明に係る使用済みイオン交換
樹脂の処理システムの増設設備(請求項16)では、既
設の使用済みイオン交換樹脂の処理システムに、回収廃
液貯蔵手段と回収廃液供給手段とを取り付け得るように
した。また、この発明に係る使用済みイオン交換樹脂の
処理システムの増設設備(請求項17)では、既設の使
用済みイオン交換樹脂の処理システムに、廃硫酸貯蔵手
段と廃硫酸供給手段とを取り付け得るようにした。これ
によって、既設の使用済みイオン交換樹脂の処理システ
ムにおいても、比較的簡単な工事によって最終的に発生
する廃液量を低減させてセメント固化体の量を少なくで
きる。このため、セメント固化体の保管スペースを従来
よりも有効に利用できる。また硫酸の消費量を低減でき
るのでセメント固化体に含まれる硫酸根もこれまでより
低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係る使用済みイオン
交換樹脂の処理システムを示す説明図である。
【図2】図2は、実施の形態1に係る使用済みイオン交
換樹脂の処理システムの処理手順を示すフローチャート
である。
【図3】この発明の実施の形態2に係る使用済みイオン
交換樹脂の処理システムを示す説明図である。
【図4】実施の形態2に係る使用済みイオン交換樹脂の
処理システムの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態2の変形例に係る使用済みイオン交
換樹脂の処理装置を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態3に係る使用済みイオン
交換樹脂の処理システムを示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態4に係る使用済みイオン
交換樹脂の処理システムを示す説明図である。
【図8】実施の形態4に係る使用済みイオン交換樹脂の
処理システムの処理手順を示すフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態5に係る使用済みイオン
交換樹脂の処理システムを示す説明図である。
【図10】実施の形態5に係る使用済みイオン交換樹脂
の処理システムの処理手順を示すフローチャートであ
る。
【図11】実施の形態5の変形例に係る使用済みイオン
交換樹脂の処理装置を示す説明図である。
【図12】この発明の実施の形態6に係る使用済みイオ
ン交換樹脂の処理システムを示す説明図である。
【図13】実施の形態7に係る使用済みイオン交換樹脂
の処理システムを示す説明図である。
【図14】従来使用されている使用済みイオン交換樹脂
の処理システムの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
10 溶離器 12 イオン交換樹脂 20 硫酸供給タンク 22 中和タンク 24 定量ポンプ 25 第一中和タンク 26 純水供給タンク 27 第二中和タンク 30、31、32、33、34、35、36 弁 38 三方弁 40、41、42 硫酸回収装置 40a 拡散透析膜 40b、43b 回収酸室 40c、43c 廃酸室 43 電気透析装置 43a 電気透析膜 50、51 回収廃液貯蔵タンク 52 第一回収廃液貯蔵タンク 53、54 第二回収廃液貯蔵タンク 55、56 第三回収廃液貯蔵タンク 57 廃硫酸貯蔵タンク 60、61、62、63、64、66 配管 80 制御装置 81、81a、81b 制御部 82、82a、82b 演算部 83、83a、83b 記憶部 100、101、102、103、104、105、1
06、107、108イオン交換樹脂の処理システム 200 水素イオン選択型電気透析装置 200a 水素イオン選択型電気透析膜 200b 回収酸室 200c 廃酸室 202 正電極 204 負電極 210 第一オーバーフロータンク 211 第一ポンプ 212 第二オーバーフロータンク 213 第二ポンプ
フロントページの続き (72)発明者 三宅 崇史 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 (72)発明者 長安 弘貢 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 (72)発明者 柿本 朗 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 (72)発明者 佐藤 明雄 神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1号 三 菱重工業株式会社神戸造船所内 (72)発明者 大家 泰昌 神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1号 三 菱重工業株式会社神戸造船所内 Fターム(参考) 4D006 GA13 GA17 MB07 PB20 PB27

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫酸によって使用済みイオン交換樹脂か
    ら放射性核種を分離する溶離手段と、 放射性核種分離後の廃硫酸から硫酸を回収する硫酸回収
    手段と、 当該硫酸回収手段で硫酸を回収した後の回収廃液を蓄え
    ておく回収廃液貯蔵手段と、 前記回収廃液貯蔵手段に蓄えられた回収廃液を前記硫酸
    回収手段へ所定量供給する回収廃液供給手段と、 前記回収廃液の代わりに所定量の硫酸回収用液を硫酸回
    収のために供給する硫酸回収用液供給手段と、 を備えたことを特徴とする使用済みイオン交換樹脂の処
    理システム。
  2. 【請求項2】 上記硫酸回収手段には拡散透析膜を用い
    ることを特徴とする請求項1に記載の使用済みイオン交
    換樹脂の処理システム。
  3. 【請求項3】 さらに、上記回収廃液貯蔵手段を複数備
    え、これらに蓄えられた回収廃液を順次前記硫酸回収手
    段に供給することを特徴とする請求項1または2に記載
    の使用済みイオン交換樹脂の処理システム。
  4. 【請求項4】 さらに、上記硫酸回収手段へ供給する硫
    酸回収に使用する硫酸回収用液を、上記回収廃液または
    上記硫酸回収用液に切替えるための硫酸回収用液切替え
    信号を生成し、この硫酸回収用液切替え信号に基づいて
    上記硫酸回収用液供給手段を起動させ、上記回収廃液供
    給手段を停止させる制御手段を備えたことを特徴とする
    請求項1〜3のいずれか一つに記載の使用済みイオン交
    換樹脂の処理システム。
  5. 【請求項5】 硫酸によって使用済みイオン交換樹脂か
    ら放射性核種を除去する溶離手段と、 放射性核種除去後の硫酸から水素イオン選択型電気透析
    膜によって硫酸を回収する硫酸回収手段と、 を備えたことを特徴とする使用済みイオン交換樹脂の処
    理システム。
  6. 【請求項6】 硫酸によって使用済みイオン交換樹脂か
    ら放射性核種を除去する溶離手段と、 放射性核種除去後の硫酸から水素イオン選択型電気透析
    膜によって硫酸を回収する硫酸回収手段と、 当該硫酸回収手段で硫酸を回収した後の回収廃液を蓄え
    ておく回収廃液貯蔵手段と、 前記回収廃液貯蔵手段に蓄えられた回収廃液を、前記溶
    離手段へ所定量供給する回収廃液供給手段と、 を備えたことを特徴とする使用済みイオン交換樹脂の処
    理システム。
  7. 【請求項7】 さらに、上記回収廃液貯蔵手段を複数備
    え、これらに蓄えた回収廃液を順次前記溶離手段へ供給
    するようにしたことを特徴とする請求項6に記載の使用
    済みイオン交換樹脂の処理システム。
  8. 【請求項8】 さらに、上記使用済みイオン交換樹脂の
    処理システムにおいて、上記硫酸回収手段から生ずる回
    収廃液を上記回収廃液貯蔵手段に供給するための回収廃
    液供給信号を生成し、上記回収廃液貯蔵手段から所定量
    の回収廃液を上記溶離手段に供給した後、前記信号に基
    づいて上記回収廃液供給手段を停止させ、上記回収廃液
    貯蔵手段に回収廃液を供給させる制御手段を備えたこと
    を特徴とする請求項6または7に記載の使用済みイオン
    交換樹脂の処理システム。
  9. 【請求項9】 硫酸によって使用済みイオン交換樹脂か
    ら放射性核種を除去する溶離手段と、 放射性核種除去後の廃硫酸から水素イオン選択型電気透
    析膜によって硫酸を回収する硫酸回収手段と、 放射性核種除去後の廃硫酸を蓄えておく廃硫酸貯蔵手段
    と、 前記廃硫酸貯蔵手段に溜められた廃硫酸を、所定量前記
    溶離手段へ供給する廃硫酸供給手段と、 を備えたことを特徴とする使用済みイオン交換樹脂の処
    理システム。
  10. 【請求項10】 さらに、上記溶離手段から生ずる放射
    性核種除去後の廃硫酸を上記廃硫酸貯蔵手段に供給する
    ための廃硫酸供給信号を生成し、上記廃硫酸貯蔵手段か
    ら所定量の廃硫酸を上記溶離手段に供給した後、前記信
    号に基づいて上記廃硫酸供給手段を停止させ、上記廃硫
    酸貯蔵手段に前記廃硫酸を供給させる制御手段を備えた
    ことを特徴とする請求項9に記載の使用済みイオン交換
    樹脂の処理システム。
  11. 【請求項11】 硫酸によって使用済みイオン交換樹脂
    から放射性核種を分離した後、放射性核種分離後の廃硫
    酸から硫酸を回収する処理工程を繰り返すことによって
    1バッチの使用済みイオン交換樹脂を処理するにあた
    り、次のバッチにおける使用済みイオン交換樹脂を処理
    する際に、前記廃硫酸から硫酸を回収した後の回収廃液
    を硫酸回収用の液体として再使用することを特徴とする
    使用済みイオン交換樹脂の処理方法。
  12. 【請求項12】 硫酸によって使用済みイオン交換核種
    から放射性核種を溶離する溶離工程と、放射性核種を溶
    離した後の廃硫酸から硫酸を回収する硫酸回収工程とを
    繰り返すことによって1バッチの使用済みイオン交換樹
    脂を処理するにあたり、つぎのバッチの使用済みイオン
    交換樹脂を処理する際における溶離工程で、前記廃硫酸
    から硫酸を回収した後の回収廃液を硫酸と共に使用する
    ことを特徴とする使用済みイオン交換樹脂の処理方法。
  13. 【請求項13】 硫酸によって使用済みイオン交換樹脂
    から放射性核種を溶離して、放射性核種溶離後の硫酸か
    ら水素イオン選択型電気透析膜を用いて硫酸を回収する
    工程を繰り返すことによって1バッチの使用済みイオン
    交換樹脂を処理するにあたり、前記放射性核種溶離後の
    廃硫酸を蓄えておき、つぎのバッチにおける使用済みイ
    オン交換樹脂を処理する際に放射性核種を溶離するため
    に使用することを特徴とする使用済みイオン交換樹脂の
    処理方法。
  14. 【請求項14】 さらに、使用済みイオン交換樹脂から
    放射性核種を溶離する硫酸の規定数を増加させた割合に
    応じて、上記硫酸回収手段に流す硫酸の流速を小さくす
    ることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一つに
    記載の使用済みイオン交換樹脂の処理方法。
  15. 【請求項15】 硫酸によって使用済みイオン交換樹脂
    から放射性核種を分離する溶離手段と、放射性核種分離
    後の硫酸から硫酸を回収する硫酸回収手段と、硫酸回収
    のために前記硫酸回収手段に所定量の硫酸回収用液を供
    給する硫酸回収用液供給手段とを備えた使用済みイオン
    交換樹脂の処理システムに取り付け得るもので、 前記硫酸回収手段で硫酸を回収した後の回収廃液を蓄え
    ておく回収廃液貯蔵手段と、前記回収廃液貯蔵手段に蓄
    えられた回収廃液を硫酸回収のために所定量前記硫酸回
    収手段へ供給する回収廃液供給手段とから構成されるこ
    とを特徴とする使用済みイオン交換樹脂の処理システム
    の増設設備。
  16. 【請求項16】 硫酸によって使用済みイオン交換樹脂
    から放射性核種を除去する溶離手段と、当該溶離手段に
    硫酸を供給する硫酸供給手段と、放射性核種除去後の硫
    酸から硫酸を回収する硫酸回収手段とを備えた使用済み
    イオン交換樹脂の処理システムに取り付け得るもので、 前記硫酸回収手段で硫酸を回収した後の回収廃液を蓄え
    ておく回収廃液貯蔵手段と、前記回収廃液貯蔵手段に蓄
    えられた回収廃液を、放射性核種を溶離するために所定
    の時間、前記溶離手段へ供給する回収廃液供給手段とか
    ら構成されることを特徴とする使用済みイオン交換樹脂
    の処理システムの増設設備。
  17. 【請求項17】 硫酸によって使用済みイオン交換樹脂
    から放射性核種を除去する溶離手段と、当該溶離手段に
    硫酸を供給する硫酸供給手段と、放射性核種除去後の硫
    酸から硫酸を回収する硫酸回収手段とを備えた使用済み
    イオン交換樹脂の処理システムに取り付け得るもので、 前記溶離手段で放射性核種を溶離した後の廃硫酸を蓄え
    ておく廃硫酸貯蔵手段と、前記廃硫酸貯蔵手段に蓄えら
    れた廃硫酸を、放射性核種を溶離するために所定の時
    間、前記溶離手段へ供給する廃硫酸供給手段とから構成
    されることを特徴とする使用済みイオン交換樹脂の処理
    システムの増設設備。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115103819A (zh) * 2020-02-18 2022-09-23 株式会社F.C.C. 离子交换装置

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CN115103819B (zh) * 2020-02-18 2023-11-21 株式会社F.C.C. 离子交换装置

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