JP3119538B2 - 放射性廃樹脂の除染方法 - Google Patents

放射性廃樹脂の除染方法

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  • Treatment Of Water By Ion Exchange (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は原子力発電所から発生す
る放射性廃棄物の処理に係わり、特に原子力発電所の脱
塩器から発生する使用済イオン交換樹脂から吸着イオン
または付着クラッドを分離、除去することにより廃樹脂
を除染する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力発電所においては冷却材として水
が使用されており、冷却材の水質を維持するため、冷却
材中の粒子状の不純物については粒子除去フィルタで、
イオン状の不純物については脱塩器により、また両者を
濾過脱塩器により除去し、冷却水を浄化している。具体
的に図2を用いて説明する。軽水炉では原子炉1で炉心
の冷却材である水が蒸気になりその蒸気によりタービン
2を回転させ発電する。その後の蒸気は復水器3により
凝縮し再び水になり原子炉にリサイクルされる。原子炉
には炉水を浄化するため炉水浄化系4が設けられてい
る。同様に原子炉への給水を浄化するため復水浄化系5
が設けられている。使用済みの燃料は燃料プール6に貯
蔵されているが、プール水の浄化のため燃料プール水浄
化系7が設けられている。その他、不図示の廃液処理系
にも機器ドレイン水等の処理系等の系統にこれらのフィ
ルタ、脱塩器が設置されている。
【0003】原子炉炉内の構造物や系統配管は主として
ステンレス製であり、冷却材中の不純物はその腐食生成
物である鉄、ニッケル、クロム、コバルトのイオン及び
酸化物である。後者は特にクラッドと呼ばれている。こ
れらの不純物は炉内で中性子照射により放射化し、Co
−60,Co−58,Ni−59,Ni−63,Cr−
51,Fe−59等の放射性核種が生成する。これらの
放射性核種を含んだ不純物は一部、炉内構造物や配管に
付着するが、大部分は炉水浄化系4の濾過脱塩器にトラ
ップされ炉水から除去される。極微量の不純物は蒸気と
共にキャリーオーバーし、復水浄化系5の濾過器、脱塩
器で除去される。
【0004】一般的には復水浄化系やラド系(機器ドレ
ン系)のイオン交換樹脂は通常再生運用されており、樹
脂の物理的な劣化が認められるまで使用された後、貯蔵
タンクに保管され廃棄される。これらの廃樹脂は乾燥造
粒化、焼却あるいは熱分解により減容した後、セメント
系の固化材で固化し埋設処分される計画である。一方、
炉水浄化系4や燃料プール浄化系7の濾過脱塩器は放射
能レベルが高く非再生で運用される。即ち、脱塩器の差
圧上昇曲線や破過曲線から樹脂の寿命を判定し、寿命が
来れば貯蔵タンクに保管され廃棄される。これらの廃樹
脂は現状では放射能レベルが高く処理、処分が困難であ
り、長期貯蔵して放射性核種の減衰を待つか、あるいは
なんらかの方法で放射性核種を廃樹脂から分離して除染
した後処理処分する必要がある。
【0005】前述のように廃樹脂には放射性核種がイオ
ン状及びクラッド状で付着しているため、廃樹脂の比放
射能を低減するためには両方の形態の核種を樹脂から分
離しなければならない。放射性廃樹脂を除染する方法と
して、例えば特開昭57−147099に記載されてい
るように、樹脂のスラリーに超音波を照射して樹脂に付
着しているクラッドを除去する方法がある。この方法で
は、超音波振動により樹脂とクラッドの間にキャビテー
ションを発生させクラッドを剥離する。その他の方法と
しては例えば特開昭63−96600に記載されている
ように、硫酸のような強酸を用いて主としてイオン状の
放射性核種を溶離再生する方法がある。この方法では除
染された廃樹脂は焼却減容し、廃液は拡散透析により濃
縮セメント固化する。ここで硫酸再生の際、加熱処理す
ればクラッドも酸に溶解し、樹脂から分離することがで
きる。その他の方法としては特開昭61−17995に
記載されているように、酒石酸塩のようなキレート化剤
を用いて廃樹脂から放射性のイオンを溶離再生する方法
がある。本方法では再生廃液をゼオライトのような無機
吸着材により処理し、処理後の吸着材を水熱合成により
岩石化することに特徴がある。その他の方法としては日
本原子力学会昭和57年年会予稿集F44に記載されて
いるように、鉄触媒の存在下で過酸化水素により樹脂自
身を分解する方法がある。この方法では樹脂は酸化分解
を受け、一部は二酸化炭素に一部は低分子量の液体状の
有機物に転化される。付着クラッドはそのまま沈降す
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術のうち、
超音波法は樹脂、及びクラッドの表面電荷の影響が考慮
されておらず、クラッド除去効率が低い問題があった。
また、イオン状の放射性核種が分離されない問題があっ
た。
【0007】硫酸再生法では高濃度の酸を使用するた
め、廃液処理には中和等の操作が必要であり、クラッド
も溶解するため廃液の放射性濃度が高くなる問題があっ
た。また、酸による機器や配管の腐食の問題がある。
【0008】キレート化剤による溶離再生ではイオン状
の放射性核種は除染できるが、クラッド状の放射性核種
は除染できない問題があった。
【0009】過酸化水素による湿式酸化分解法では処理
後の廃液の処理が考慮されておらず、樹脂の分解生成物
である可溶性の有機物が混在する放射性廃液を多量に発
生するため、かえって廃液処理を困難にする問題があっ
た。
【0010】本発明の目的は、第1に廃樹脂中に含まれ
るクラッド及びイオン状の放射性核種を高い除染係数で
除去すること、第2に処理にともなって発生する二次廃
棄物量を低減すること、第3に機器腐食を低減し、機器
の寿命を伸ばすことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、独立項としての請求項1に係る発明による放射性廃
樹脂の除染方法は、原子力発電所の脱塩器又は濾過脱塩
器から発生したクラッド付着の使用済みイオン交換樹脂
から付着クラッドを除去する放射性廃樹脂の除染方法に
おいて、前記使用済みイオン交換樹脂のスラリーのpH
を7〜10に調整することで、少なくとも前記付着クラ
ッドの表面電荷を中和した状態にし、かかる状態のもと
で超音波照射、あるいは攪拌等の機械的操作を加えるこ
とにより付着クラッドを分離、除去することを特徴とす
るものである。
【0012】同じく、従属項としての請求項2に係る発
明による放射性廃樹脂の除染方法は、請求項1に係る発
明において、前記使用済みイオン交換樹脂が原子力発電
所の炉水浄化系又は燃料プール浄化系の濾過脱塩器から
発生したものであることを特徴とするものである。 同じ
く、従属項としての請求項3に係る発明による放射性廃
樹脂の除染方法は、請求項1又は2に係る発明におい
て、pH緩衝剤として四ホウ酸ナトリウム、トリス緩衝
液、リン酸塩のなかから選ばれたものを使用することを
特徴とするものである。
【0013】同じく、従属項としての請求項4に係る発
明による放射性廃樹脂の除染方法は、請求項1ないし3
のいずれかに係る発明において、スラリーに中性塩を添
加し樹脂の非交換基を交換した後にスラリーのpHを7
〜10に調整することを特徴とするものである。 同じ
く、従属項としての請求項5に係る発明による放射性廃
樹脂の除染方法は、請求項4に係る発明において、前記
中性塩がアルカリ土類金属の塩化物、硝酸塩、硫酸塩の
うちから選ばれたものであることを特徴とするものであ
る。
【0014】
【作用】本発明の作用を図3を用いて説明する。図3は
水中のクラッド(Fe23 ,Fe34 ,Fe(O
H)3 等)と陽イオン交換樹脂の表面電位(ゼータ電
位)の測定結果を水溶液のpHで整理したものである。
クラッドのような酸化物(M)は水中では表面が水和し
てMOHの形態をとる。酸性では水素イオンが表面に吸
着して MOH+H+ →MOH2 + (1) となり表面は正に帯電する。一方、アルカリ性では水酸
基が解離して MOH→MO- +H+ (2) となり表面は負に帯電する。図3に示すように、クラッ
ドの構成物である数種の鉄の酸化物の表面電荷がゼロに
なるpH(等電位点)は中性域から弱アルカリの領域、
即ちpH=7〜9の間に分布している。
【0015】一方、陽イオン交換樹脂(R−SO3 H)
は R−SO3 H→R−SO3 -+H+ (3) の解離反応により表面は負に帯電しているが、低pHで
は解離度が低下し、表面電荷が小さくなる。また、高p
Hでは共存する陽イオン(Na等)が吸着して R−SO3 -+Na+ →R−SO3 Na (4) となり表面電荷が中和される。
【0016】例えば炉水浄化系の廃樹脂を考えると、炉
水のpHは6程度であるので、クラッド表面は正に、陽
イオン交換樹脂は負に帯電しており、クラッドは樹脂に
静電的に吸着されている。従って、液のpHを7〜10
に調整することによって、クラッド表面の電位がゼロま
たはやや負となり、陽イオン交換樹脂に対する静電的吸
着力を弱め、樹脂からクラッドを分離しやすくする。こ
の範囲にpHを調整するためには、リン酸塩、四ホウ酸
塩、またはトリスアミノメタンを用いたpH緩衝溶液が
適する。
【0017】なお、予め樹脂のスラリーに中性塩を添加
しておくと、(4)式の反応により樹脂の表面電荷が中
和されるので、樹脂に対するクラッドの吸着力が更に弱
まり分離が容易になる。ここで樹脂に対する吸着選択性
がCoよりも大きいアルカリ土類金属(Mg,Ca,S
r,Ba)の中性塩を用いることによって、廃樹脂にイ
オン吸着している放射性のコバルトイオンを効率的に除
染することができる副次的な効果が得られる。中性塩と
しては塩化物、硝酸塩、硫酸塩等が適当である。一例と
して塩化バリウム水溶液を用いて樹脂に吸着したコバル
トイオンを溶離する場合を考え、コバルトの除染係数1
0を達成するのに必要な処理液/樹脂比を計算した結果
を等濃度の塩酸による再生の場合と比較して表1に示
す。
【0018】
【表1】
【0019】表1に示すように、塩化バリウムの場合は
酸による再生に比べて二次廃液の発生量1/9になるこ
とがわかった。
【0020】超音波照射と撹伴は物理的な作用によりク
ラッドの剥離を促進させる働きがある。特に超音波の照
射は樹脂とクラッドの間にキャビテーション(気泡)を
発生させる効果がある。キャビテーション発生に必要な
最低の音波強度(出力密度)は図4に示すように超音波
の周波数と関係がある。一般には周波数が小さいほどキ
ャビテーションが発生しやすい傾向があるが、実用的な
発振子の存在を考えると、周波数としては1kHz〜1
00kHz、出力密度としては0.1〜1W/cm2
好適である。
【0021】
【実施例1】本発明の一実施例を図1により説明する。
本実施例は原子力発電所の炉水浄化系や燃料プール浄化
系から発生する使用済みの樹脂を除染するのに適した方
法に関する。
【0022】貯蔵タンク8に貯蔵されている廃樹脂のス
ラリーを定量ポンプ9を用いて分離槽10に一定量供給
する。分離槽10には撹伴器11とpHセンサー12が
設置されている。pHセンサー12によりスラリーのp
Hを監視しながら、制御装置14により緩衝剤貯蔵タン
ク13からの緩衝剤添加量を制御し、スラリーのpHを
7〜10に調整、維持する。pHの調整後、撹伴器11
と超音波発振機17を駆動し、廃樹脂に付着したクラッ
ドを機械的に剥離させる。一定時間経過後、撹伴器11
と超音波発振機17を止めスラリーを静置する。樹脂か
ら剥離したクラッドは上澄み液に浮遊し、樹脂は沈降す
るため、上澄み液をポンプ16を用いて粒子除去フィル
タ15へ循環させ、浮遊クラッドを除去することによっ
て分離液をリサイクル使用することができる。この操作
を数回繰返した後、沈降した樹脂をポンプ18により樹
脂の処理系へ排出する。
【0023】粒子除去フィルタには電磁フィルタ、中空
糸フィルタ、超濾過フィルタが適当である。このような
粒子除去フィルタは差圧をモニターし、定期的に逆洗す
る。逆洗水は既設のクラッドスラリータンクに移送し貯
蔵する。
【0024】本実施例によれば、廃樹脂に付着したクラ
ッドを高効率で分離でき、しかも処理に伴って発生する
二次廃棄物量を低減できる効果がある。
【0025】
【実施例2】本発明の一実施例を図5により説明する。
本実施例は樹脂に吸着したヘマタイト(Fe23 )を
超音波分離した結果を示す。
【0026】用いた樹脂は粉状のイオン交換樹脂で陽イ
オン用:陰イオン用=2:1の配合であった。ヘマタイ
トは平均粒子径5μmで樹脂にたいして20%添加し
た。表面にヘマタイトを吸着した樹脂3gをビーカーに
とり、分離液0.1lを注入し、市販の超音波洗浄器内
で超音波照射した。超音波の周波数は45kHz、出力
は100Wであった。超音波は30分照射した後、5分
間静置し、上澄み液と沈殿物に分別した。ここで剥離し
たクラッドは上澄み液中に浮遊している。上澄み液は
0.45μmのミリポアフィルタで濾過し、濾紙上のヘ
マタイトを3MのHCl中で加熱溶解し、溶解液中の鉄
濃度をICPにより分析しクラッド除去率を求めた。こ
の操作を5回繰り返した結果を図5に示す。使用した分
離液の組成とpHを表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】本実験結果より四ホウ酸ナトリウム緩衝溶
液中では、スラリーのpHが9.2に維持されているの
で、クラッド表面電荷が中和されており、クラッド除去
率がイオン交換水の場合の5倍以上に向上した。廃液処
理を考えると、処理液が中性に近いため強酸、強塩基を
使用するプロセスに比べ中和処理が不要となり、またク
ラッド分離段階での放射性イオン成分の溶離が抑えられ
るので、処理液の線量率上昇がゆるやかで、リサイクル
使用に都合が良い。
【0029】その他の緩衝液としては、トリス緩衝液
(トリスアミノメタン溶液と塩酸の混合液)やリン酸塩
系緩衝液(リン酸水素二ナトリウムとリン酸二水素ナト
リウムの混合液)が使用可能である。
【0030】
【実施例3】本発明の一実施例を図6により説明する。
本実施例は原子力発電所の炉水浄化系や燃料プール浄化
系から発生する使用済みのイオン交換樹脂を固化するの
に適した方法に関する。
【0031】タンク貯蔵されていた使用済みのイオン交
換樹脂はクラッド分離槽19にて超音波照射により付着
クラッドを除去する。その後、脱水機20で水きりし、
所定量を廃棄容器24に供給する。一方、固化材である
セメントはセメント貯蔵タンク21よりセメントを、混
練水タンク22より混練水を所定量、混練機23へ供給
し、充分に混練しペーストにしておく。使用済みのイオ
ン交換樹脂を充填した廃棄容器24にセメントペースト
を注入しながら、撹伴器25により撹伴混合し、容器内
の所定レベルまでセメントペーストを注入する。樹脂と
セメントが均一になるまで撹伴器25を駆動し混合す
る。その後、廃棄容器24は上蓋をして静置し1か月以
上養生する。
【0032】本実施例によれば、従来は比放射能が高く
て搬出できなかった使用済みのイオン交換樹脂に対して
も、搬出可能な固化体を作成することができる。
【0033】
【実施例4】本発明の一実施例を図7により説明する。
本実施例は原子力発電所の炉水浄化系や燃料プール浄化
系から発生する使用済みの樹脂を除染するのに適した方
法で実施例1の前処理法として、樹脂の表面電荷を中和
するとともに、樹脂に吸着している放射性のイオン成分
を除去するのに好適な方法に関するものである。
【0034】貯蔵タンク26に貯蔵されている廃樹脂の
スラリーを定量ポンプ27を用いて分離槽28に一定量
供給する。分離槽28には撹伴器29が設置されてい
る。ここに中性塩貯蔵タンク30より中性塩を一定量、
分離槽28に供給し撹伴器29を駆動し充分に混合す
る。ここで中性塩としてはアルカリ土類金属の塩化物、
硝酸塩、硫酸塩の中から選ばれたものが適する。特にバ
リウムの中性塩が樹脂に吸着した放射性コバルトイオン
を除去するために最適である。中性塩の濃度は高ければ
高いほど廃液の発生量は少なくできるが、廃液の処理を
考慮するとスラリー中濃度で1モル/l程度が望まし
い。
【0035】廃樹脂の中性塩溶液への浸漬期間は1日程
度が必要である。この間、撹伴は継続しておくことが望
ましい。その後、スラリーを数分間静置し、上澄み液と
沈殿物に分別する。ここで遠心分離により樹脂と上澄み
液に分別する方が効率的である。樹脂は付着クラッドを
分離するため、実施例1に記述した方法で処理すること
ができる。一方、上澄み液は廃樹脂から溶出した放射性
のイオンを含んでいるため、そのままタンク貯蔵する
か、またはセメントと混合し均質固化体にすることもで
きる。また図7に示すように、アルカリ貯蔵タンク31
より一定量のアルカリ塩を上澄み液タンク31に供給
し、放射性のイオンを沈殿として回収し、クラッドスラ
リータンク32で貯蔵するか、セメントと混合して固化
することもできる。沈殿分離後の廃液は既設の廃液処理
系で処理することができる。
【0036】本実施例によれば樹脂の表面電荷を中和で
きるのでクラッド分離効率が向上するとともに、樹脂に
吸着している放射性のイオン成分を効率的に除去するこ
とができる。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、廃樹脂中に含まれるク
ラッド及びイオン状の放射性核種を高い除染系数で除去
することができる。また処理にともなって発生する二次
廃棄物量を低減することができる。また機器腐食を低減
し、機器の寿命を伸ばすことができる。
【0038】さらに本発明によれば、従来は比放射能が
高くて搬出できなかった使用済みのイオン交換樹脂に対
しても、搬出可能な固化体を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である原子力発電所の炉水浄
化系や燃料プール浄化系から発生する使用済みの樹脂を
除染するのに適した方法のシステム図
【図2】BWRプラントの冷却水浄化系のシステムフロ
ー図
【図3】イオン交換樹脂とクラッドの表面電荷と液性の
関係図
【図4】キャビテーション発生に必要な出力密度と周波
数の関係図
【図5】クラッド除去率の比較図
【図6】本発明の一実施例である原子力発電所の炉水浄
化系や燃料プール浄化系から発生する使用済みのイオン
交換樹脂を固化するのに適した方法のシステム図
【図7】クラッド分離の前処理法として、樹脂の表面電
荷を中和するとともに、樹脂に吸着している放射性のイ
オン成分を除去するのに好適な方法のシステム図
【符号の説明】
1…原子炉 2…タービン 3…復水器 4…炉水浄化系 5…復水浄化系 6…燃料プール 7…燃料プール浄化系 8…廃樹脂貯蔵タ
ンク 9…定量ポンプ 10…クラッド分
離槽 11…撹伴器 12…pHセンサ
ー 13…緩衝剤貯蔵タンク 14…制御装置 15…粒子除去フィルタ 16…ポンプ 17…超音波発振子 18…ポンプ 19…クラッド分離槽 20…脱水機 21…混練水タンク 22…セメント貯
蔵タンク 23…混練機 24…廃棄容器 25…撹伴器 26…貯蔵タンク 27…定量ポンプ 28…分離槽 29…撹伴器 30…中性塩貯蔵
タンク 31…クラッドスラリータンク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野下健司 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株式会社日立製作所エネルギー研究所内 (72)発明者 船橋清美 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株式会社日立製作所エネルギー研究所内 (72)発明者 河村文雄 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株式会社日立製作所エネルギー研究所内 (56)参考文献 特開 昭56−155899(JP,A) 特開 昭57−147099(JP,A) 特開 昭63−175800(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21F 9/30

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原子力発電所の脱塩器又は濾過脱塩器か
    ら発生したクラッド付着の使用済みイオン交換樹脂から
    付着クラッドを除去する放射性廃樹脂の除染方法におい
    て、前記使用済みイオン交換樹脂のスラリーのpHを7〜1
    0に調整することで、少なくとも前記付着クラッドの
    面電荷を中和した状態にしかかる状態のもとで超音波
    照射、あるいは攪拌等の機械的操作を加えることにより
    付着クラッドを分離、除去することを特徴とする放射性
    廃樹脂の除染方法。
  2. 【請求項2】 前記使用済みイオン交換樹脂が原子力発
    電所の炉水浄化系又は燃料プール浄化系の濾過脱塩器か
    ら発生したものであることを特徴とする請求項1に記載
    の放射性廃樹脂の除染方法。
  3. 【請求項3】 pH緩衝剤として四ホウ酸ナトリウム、
    トリス緩衝液、リン酸塩のなかから選ばれたものを使用
    することを特徴とする請求項1又は2に記載の放射性廃
    樹脂の除染方法。
  4. 【請求項4】 スラリーに中性塩を添加し樹脂の非交換
    基を交換した後にスラリーのpHを7〜10に調整する
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の
    放射性廃樹脂の除染方法。
  5. 【請求項5】 前記中性塩がアルカリ土類金属の塩化
    物、硝酸塩、硫酸塩のうちから選ばれたものであること
    を特徴とする請求項4に記載の放射性廃樹脂の除染方
    法。
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