JP2003232765A - 湿度センサ用感湿素子 - Google Patents
湿度センサ用感湿素子Info
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Abstract
優れた、高感度湿度センサを提供する。 【解決手段】 ジアミン側に少なくとも4つのベンゼン
環を有するポリイミドを感湿膜とする感湿素子を用いて
湿度センサを得る。好適には、ジアミン側に少なくとも
4つのベンゼン環と少なくとも1つのスルホニル基を有
するポリイミドを感湿膜とする感湿素子、ジアミン側に
少なくとも4つのベンゼン環と少なくとも1つのポリフ
ルオロアルキル基を有するポリイミドを感湿膜とする感
湿素子、ならびにこれらのポリイミドの前駆体であるポ
リアミド酸を末端アセチレンで終端し、これを脱水閉環
させて得られるポリイミドを感湿膜とする感湿素子から
選びうる。
Description
を用いた湿度センサに関する。
気量に変換し、電子回路を用いて信号処理を行うもので
あり、種々の目的のための湿度制御の要請に応じて広く
利用されている。その中で高分子材料の電気抵抗や誘電
率などの電気的特性が、水の吸脱着によって変化するこ
とを利用する高分子湿度センサがある。そして、その1
つである静電容量型は、水の誘電率が高分子に比べて大
きいために、水分が吸着すると高分子の複合誘電率が大
きくなることを利用して、電極を設けて容量変化として
それを検出するものである。
てはポリエーテルスルホン、酢酸酪酸セルロース、ポリ
イミド等の感湿膜を用いたものが数多く報告されてい
る。
水率が1〜3%と大きく、例えば65℃、相対湿度90
%の高温高湿雰囲気中で放置すると、感湿膜中に強固に
吸着保持された水の影響によって出力値がドリフトする
現象が発生する。そのため、これらの変動を抑えるため
に吸水率を小さくしたポリイミドが、例えば特許第25
29136号等に記載されている。ところが、前記特許
ではフッ素を添加することで疎水性を向上させて吸水率
を抑える効果を狙っており、一定の効果が得られるが、
フッ素による強い疎水性のために吸水率の低下が著し
く、感度が大きく低下してしまうおそれがある。また、
吸水率の小さいポリイミドとして、ビフェニルテトラカ
ルボン酸型ポリイミド(たとえば宇部興産製U−ワニス
S,A)が知られているが、このポリイミドは分子構造
が層状配向する性質を持つために、分子間への吸水を抑
えることができるという特徴を有する。そこで、本発明
者がこのポリイミドを感湿膜に用いた実験を行ったとこ
ろ、高温高湿での初期のドリフトは小さく、低吸水率の
効果が現われていたが、しばらくすると徐々にドリフト
が発生していく傾向が見られた。この理由としては、膨
潤により分子間が押し広げられ、その結果吸水率が増加
したのではないかと考えられる。
でも加水分解を抑制し、膨潤が起きないか、または膨潤
してもそれによる体積変化が小さい分子構造のポリイミ
ドを得、これを感湿膜とした感湿素子、ならびにそれを
用いた湿度センサを提供することを目的とする。
ベンゼン環を付加しポリイミドの繰り返し単位を長くす
ること、さらに好適にはジアミン側にスルホニル基また
はフルオロアルキル基を導入して電荷移動(CT)(C
harge Transfer)錯体を形成しにくくし
て吸着水の結合エネルギーを下げ加水分解を抑制するこ
と、および/または前駆体ポリアミド酸の末端にアセチ
レンを付加して、これを脱水重合させて得られるポリイ
ミドを網目構造にすること、により上記の膨潤を抑制し
て上記課題を解決するものである。
少なくとも4つのベンゼン環を有するポリイミドを感湿
膜とする感湿素子、ならびにこれを用いた感湿センサに
あり、好適にはジアミン側に少なくとも4つのベンゼン
環と少なくとも1つのスルホニル基を有するポリイミド
を感湿膜とする感湿素子、ジアミン側に少なくとも4つ
のベンゼン環と少なくとも1つのポリフルオロアルキル
基を有するポリイミドを感湿膜とする感湿素子、ならび
にこれらのポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を末
端アセチレンで終端し、これを脱水閉環させて得られる
ポリイミドを感湿膜とする感湿素子にある。
4つのベンゼン環を有するポリイミドを感湿膜とする感
湿素子を提供する。このようなポリイミドは好適には式
(I):
で、Aは単結合、ポリフルオロアルキル基もしくはスル
ホニル基;mは0〜5の整数;xおよびyは1〜5の整
数;そしてnは重合度を表す繰り返し数である。この態
様において、本発明におけるポリイミドはジアミン側に
ベンゼン環を4〜12個有しており、これにより繰り返
し単位を長くしている。上記のポリフルオロアルキル基
におけるアルキルとしては炭素数1〜6、好ましくは1
〜3の低級アルキル基が選ばれる。そして、製造、性能
等の点から好適にはmは0〜2、xおよびyは1〜3で
ある。
に少なくとも4つのベンゼン環を有するものであれば上
記の式(I)で表されるものに限定されず、たとえば上
記の式(I)において、エーテル結合(−O−)の少な
くとも一部を適宜チオエーテル結合(−S−)に置換し
たものであってもよい。
リイミドは式(VII ):
れる分子構造を有する。これに対し、本発明においては
上述のようにポリイミドをジアミン側にベンゼン環を4
個以上有するように構成することにより加水分解に伴う
変動を意外にも飛躍的に抑制しうる。これは、加水分解
を起こしやすいと考えられるイミド基の数は一般にポリ
イミドでは2個存在するが、そのように分子鎖を長くす
ることによって結果として単位体積あたりに存在するイ
ミド基の数が少なくなり、加水分解に伴う変動を小さく
するとも考えられる。
ば、ポリイミドは式(II):
れる分子構造を有する。すなわち、このポリイミドは上
記の式(I)において、Aが単結合、xおよびyが1、
そしてmが0の場合であり、最もシンプルともいえる態
様である。
れば、ポリイミドは式(III ):
れる分子構造を有する。この構造の特徴は、分子鎖を長
くすることによる効果に加えて、スルホニル基によるポ
リマー鎖間のCT錯体を形成させにくくする効果を有し
ている。CT錯体とは、高分子中に正又は負の有機ラジ
カルイオンを含むものを意味する。一般にポリイミドに
おいて、酸無水物側がアクセプタ性を有し、これに対し
てジアミン側がドナー性を有する。またポリマー鎖間で
も電子の授受が行なわれており、これを分子間CTと呼
んでいる。スルホニル基を導入したポリイミドでは、ジ
アミン部分のHOMO(最高被占軌道)レベルが下がり
ドナー性が抑えられ、分子間CT錯体が形成されにくい
と考えられている。
適であるかについて説明する。水の吸着メカニズムを考
えたとき、ポリイミド中のイミド基およびカルボニル基
といった極性基に水は主に吸着するといわれているが、
これ以外にポリマー間のミクロボイドにも水は存在す
る。このときCT錯体が存在すると、ミクロボイドに存
在する吸着水がCT錯体の持つエネルギーによってトラ
ップされるため、これらの吸着水が高温高湿にさらされ
たあとにも強固に吸着されてしまい、ドリフトが発生し
てしまうと考えられる。そのため、CT錯体が形成され
にくいポリイミドでは、ミクロボイド中に存在する吸着
水はポリイミドからのエネルギーを受けず自由に吸脱着
できるため、高温高湿下でのドリフトが小さくなると考
えられる。次に、本発明の好適なもう1つの態様によれ
ば、ポリイミドは式(IV):
れる分子構造を有する。この分子構造の特徴は、式(II
I )のスルホニル基の代わりにヘキサフルオロプロピル
基を導入した構造を持つ。同様のフルオロアルキル基を
導入したポリイミドを感湿膜とする特許は、ジアミン側
のベンゼン環の差異に加えて、特許第2529136号
(上記の式(VII )はその分子構造)に記載されている
が、本発明との相違点は、特許第2529136号が酸
無水物側にフルオロアルキル基を導入していることに対
して、本発明ではジアミン側に導入している点である。
フッ素を含有させる理由の1つはフッ素の疎水性のため
に吸水率が小さくなり、水との反応確率が小さく上述の
変動も抑制されるためであるが、本発明においてフルオ
ロアルキル基をジアミン側に導入した理由は、式(III
)の説明で述べたようにフルオロアルキル基自身もジ
アミン部分のHOMOレベルを下げる効果があり、その
ためにドナー性が抑えられると考えられるからである。
一方、酸無水物側にフルオロアルキル基を導入する方法
では、分子間CT錯体を形成させにくい効果が得られな
いことになる。またジアミン側にフルオロアルキル基を
導入する副次的効果として、分子間CT錯体が形成され
ないことで分子間の束縛がゆるく、ミクロボイドに存在
する水の吸着エネルギーがより小さくなり、吸脱着が速
やかに行なわれるため、ヒステリシスが非常に小さくな
り、また吸着水が原因となる加水分解も抑制される。
よれば、ポリイミドは、末端アセチレンで終端したポリ
アミド酸を脱水閉環させて得られる。ポリイミドの前駆
体であるポリアミド酸は加熱により脱水閉環反応(イミ
ド化反応)させてポリアミドを生成させるのが通常であ
る。ここで、本発明において末端アセチレンで終端した
ポリアミド酸を用いると、末端アセチレンは3分子もし
くは4分子重合して容易に6員環(ベンゼン環)もしく
は8員環(シクロオクタテトラエン環)を生成し得る。
このため、ポリイミド分子が網目構造をなし、体積膨張
を起こしにくくなる。これは高温高湿下で吸着水が凝集
するときに発生する膨潤を抑える効果があり、上述の変
動を抑制すると考えられる。本発明の好適な1つの態様
において、このようなポリアミド酸は式(V):
(I)におけるのと同義)で示される分子構造を有す
る。この式(V)は式(I)に示されるポリイミドの前
駆体ポリアミド酸をアセチレン終端させた構造に対応す
る。
は、このようなポリアミド酸は式(VI):
れる分子構造を有する。この式(VI)は式(IV)に示さ
れるポリイミドの前駆体ポリアミド酸をアセチレン終端
させた構造に対応する。
イミドのうち、少なくとも1つを用いて感湿膜を形成す
るのが好ましく、それにより得られる湿度センサは高温
高湿放置後の変動を小さくすることができる。
明する。
態様の斜視図である。1は、基板であり、例えばシリコ
ン基板、ガラス基板等からなる。この基板の上に、たと
えば、AuやPt,Cr等の耐腐食性の下部電極2を蒸
着やスパッタリングを用いて成膜する。このときの膜厚
は通常50〜500nm程度である。次に所望の形状に
なるようにパターニングを行う。パターニングの方法と
しては、フォトリソグラフィを用いてマスクを形成した
後にエッチングを行う方法、基板上に金属で作製された
マスクを載せた状態で成膜を行い、必要部分にのみ形成
する方法等が挙げられる。
る。一般にポリイミドはその前駆体であるポリアミド酸
を例えばN−メチルピロリドン等の溶媒で希釈したワニ
スの形態で提供される。ここで、本発明の分子構造を持
つポリイミドの前駆体のポリアミド酸溶液をスピンコー
ト法等で塗布する。その後、例えば、120℃、30
分;200℃、60分;350℃、60分のステップに
て加熱し、脱水縮合させて硬化させる。硬化後の膜厚は
1〜5μm程度が適当である。その理由は、薄すぎると
下地の段差による段切れの発生によるショートの可能性
があり、また厚すぎるとポリイミド感湿膜中に吸湿する
水の拡散が遅くなり、応答性が遅くなる原因となりうる
からである。
は、導電性が高い電極としての役目のほかに、下地の感
湿膜に速やかに透過させる必要があるため、透水性を有
することが必要である。この条件を満足するため、Au
電極を蒸着やスパッタリングにて厚さ3nm〜15nm
程度の薄い膜厚で形成するか、多孔質カーボン電極をス
クリーン印刷を用いて形成する。
して目的とする湿度センサが得られる。
サンドイッチした構造について説明したが、この構造に
限られるものではなく、例えば絶縁基板上、もしくは導
電性基板に絶縁膜を形成した上に1組のくし歯電極を形
成し、その上にポリイミド感湿膜を形成して、くし歯電
極間の横方向の静電容量を検出する構造でもなんら支障
は無い。
湿度センサの初期特性を図2〜図5に示す。図2は、式
(II)の分子構造のポリイミド感湿膜を用いた湿度セン
サに対応し、以下図3、図4および図5のグラフは、そ
れぞれ式(III )、(IV)および(VI)で示されるポリ
イミド(またはポリアミド酸から得られるポリイミド)
を用いた場合に対応している。また、図6は比較のため
に式(VII )に示されるビフェニルテトラカルボン酸型
ポリイミドを感湿膜に用いた湿度センサの初期特性を示
す。これらの図から、特に、フルオロアルキル基を導入
したポリイミドのヒステリシスが小さいことが注目され
る。
す。65℃、90%RHの高温高湿雰囲気中に所定の時
間放置した後に、湿度センサを25℃、50%RH雰囲
気の測定室に移動し、静電容量を測定する。この値と高
温高湿放置前に測定した静電容量の差を相対湿度に換算
して変化量とした。結果は、図7〜10に示される。こ
れらのグラフは、それぞれ式(II)〜(IV)および(VI)
で示されるポリイミド(またはポリアミド酸から得ら
れるポリイミド)を用いた場合に対応する。また、比較
のために上述の式(VII )で示される分子構造を有する
ポリイミドを用いた湿度センサの高温高湿放置後の変動
特性を図11に示すが、明らかに本発明のポリイミドを
感湿膜に用いた湿度センサは、高温高湿放置後の変化が
小さく、優れた特性を有することがわかる。
度センサは、初期特性および高温高湿放置後の変動特性
に優れるので、本発明によれば安定した高感度湿度セン
サが得られる。
す斜視図。
感湿膜を用いた湿度センサの初期特性を示す図。
ド感湿膜を用いた湿度センサの初期特性を示す図。
感湿膜を用いた湿度センサの初期特性を示す図。
酸から得られるポリイミド感湿膜を用いた湿度センサの
初期特性を示す図。
イミド感湿膜を用いた湿度センサの初期特性を示す図。
感湿膜を用いた湿度センサの高温高湿放置後の変動特性
を示す図。
ド感湿膜を用いた湿度センサの高温高湿放置後の変動特
性を示す図。
感湿膜を用いた湿度センサの高温高湿放置後の変動特性
を示す図。
ド酸から得られるポリイミド感湿膜を用いた湿度センサ
の高温高湿放置後の変動特性を示す図。
リイミド感湿膜を用いた湿度センサの高温高湿放置後の
変動特性を示す図。
Claims (12)
- 【請求項1】 ジアミン側に少なくとも4つのベンゼン
環を有するポリイミドを感湿膜とする感湿素子。 - 【請求項2】 ポリイミドが式(I): 【化1】 ここで、Aは単結合、ポリフルオロアルキル基もしくは
スルホニル基;mは0〜5の整数;xおよびyは1〜5
の整数;そしてnは重合度を表す繰り返し数である、に
示される分子構造を有する請求項1記載の感湿素子。 - 【請求項3】 ポリイミドが式(II): 【化2】 (nは式(I)におけるのと同義)に示される分子構造
を有する請求項2記載の感湿素子。 - 【請求項4】 ジアミン側に少なくとも4つのベンゼン
環と少なくとも1つのスルホニル基を有するポリイミド
を感湿膜とする請求項1もしくは2記載の感湿素子。 - 【請求項5】 ポリイミドが式(III ): 【化3】 (nは式(I)におけるのと同義)に示される分子構造
を有する請求項4記載の感湿素子。 - 【請求項6】 ジアミン側に少なくとも4つのベンゼン
環と少なくとも1つのポリフルオロアルキル基を有する
ポリイミドを感湿膜とする請求項1もしくは2記載の感
湿素子。 - 【請求項7】 ポリイミドが式(IV): 【化4】 (nは式(I)におけるのと同義)に示される分子構造
を有する請求項6記載の感湿素子。 - 【請求項8】 ポリイミドが、末端アセチレンで終端し
たポリアミド酸を脱水閉環させて得られる請求項1〜7
のいずれかに記載の感湿素子。 - 【請求項9】 ポリアミド酸が式(V): 【化5】 (式中、A,x、y、mおよびnは式(I)におけるの
と同義)に示される分子構造を有する請求項8記載の感
湿素子。 - 【請求項10】 ポリアミド酸が式(VI): 【化6】 (nは式(I)におけるのと同義)に示される分子構造
を有する請求項8記載の感湿素子。 - 【請求項11】 ポリイミドが、ジアミン側に少なくと
も4つのベンゼン環を有する繰り返し単位を持つポリイ
ミドの末端同志が連結された網目構造を有する請求項1
〜10のいずれかに記載の感湿素子。 - 【請求項12】 請求項1〜11のいずれかに記載の感
湿素子を用いてなる湿度センサ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002032924A JP2003232765A (ja) | 2002-02-08 | 2002-02-08 | 湿度センサ用感湿素子 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
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Related Child Applications (2)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2005278518A Division JP2006071647A (ja) | 2005-09-26 | 2005-09-26 | 湿度センサ用感湿素子 |
JP2006006141A Division JP4057036B2 (ja) | 2006-01-13 | 2006-01-13 | 湿度センサ用感湿素子の製造方法 |
Publications (1)
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---|---|
JP2003232765A true JP2003232765A (ja) | 2003-08-22 |
Family
ID=27775898
Family Applications (1)
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2002
- 2002-02-08 JP JP2002032924A patent/JP2003232765A/ja active Pending
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