JP2003232730A - テラヘルツ光検出器 - Google Patents

テラヘルツ光検出器

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JP2003232730A
JP2003232730A JP2002034233A JP2002034233A JP2003232730A JP 2003232730 A JP2003232730 A JP 2003232730A JP 2002034233 A JP2002034233 A JP 2002034233A JP 2002034233 A JP2002034233 A JP 2002034233A JP 2003232730 A JP2003232730 A JP 2003232730A
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JP2002034233A
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Inventor
Toshiyuki Iwamoto
敏志 岩本
Hiromichi Akahori
洋道 赤堀
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Tochigi Nikon Corp
Nikon Corp
Original Assignee
Tochigi Nikon Corp
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 周波数分解の良い測定においてSN比の良い
スペクトルを得る。 【解決手段】 検出器本体1は、基板3と、基板3の+
Z側の面に形成された光スイッチ素子による検出素子部
(金属膜5,6間の間隔gの部分)と、を有する。基板
3と略同じ屈折率を有する部材20が、基板3の−Z側
に、部材20の−Z側の面と基板3の+Z側の面との間
にテラヘルツパルス光の反射面を形成しないように、設
けられる。部材20の−Z側の面の形状及び部材20の
厚さは、部材20の−Z側の面の所定領域から入射して
間隔gの領域(有効領域)の付近に集光したテラヘルツ
光のうち、基板3の+Z側の面で反射された光が、最初
に部材20の−Z側の面で反射した後に、間隔gの領域
に実質的に入射しないかあるいは更に2回以上反射した
後にのみ間隔gの領域に入射するように、設定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板と該基板の一
方の面側に形成された検出素子部とを備えたテラヘルツ
光検出器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、テラヘルツ分光法などで
は、いわゆるポンプ−プローブ法により、テラヘルツパ
ルス光の電場強度の時系列波形を取得し、この時系列波
形をフーリエ変換等してスペクトル情報を得る。このよ
うな技術では、テラヘルツ光を検出するテラヘルツ光検
出器が不可欠である。
【0003】従来の一般的なテラヘルツ光検出器につい
て、図3及び図4を参照して説明する。図3は、従来の
一般的なテラヘルツ光検出器を模式的に示す概略斜視図
である。図4は、図3中のA−A’線に沿った概略断面
図である。説明の便宜上、図3及び図4に示すように、
互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する。GaA
s基板3の面がXY平面と平行となっている。なお、説
明の便宜上、X軸方向の+側(矢印の向きの側)を+X
側、X軸方向の−側を−X側といい、Y軸方向及びZ軸
方向についても同様とする。
【0004】この従来のテラヘルツ光検出器は、検出器
本体1と、Siからなる半球レンズ2とから構成されて
いる。検出器本体1は、GaAs基板3と、基板3の+
Z側の面上に形成された光伝導膜としての低温成長Ga
As膜4と、膜4の+Z側の面上に蒸着等により形成さ
れた2つの導電膜としての金属膜5,6と、を備えてい
る。金属膜5,6は、膜4上において互いに分離されて
おり、平行伝送線路を形成する伝送線路部5a,6a
と、それらの中央部分から内側に突出した突出部5b,
6bと、をそれぞれ有している。突出部5b,6b間
に、基板3の面に沿ったX軸方向に微小な間隔(例え
ば、数μm程度の間隔)gがあけられている。この間隔
gの付近の部分によって検出素子部としての光スイッチ
素子が構成され、また、突出部5b,6bにおける間隔
gの付近の部分によりダイポールアンテナが構成されて
いる。間隔gの付近の領域が検出素子部の有効領域とな
っており、この領域で−Z側からテラヘルツパルス光を
受光することで、この領域付近に+Z側からレーザ光パ
ルス光等のサンプリング光が照射されている時に、受光
したテラヘルツパルス光の電場強度に応じた電流信号が
金属膜5,6間に得られる。図面には示していないが、
この電流信号は、電流検出部で検出される。
【0005】半球レンズ2は、図3及び図4に示すよう
に、基板3の−Z側の面に貼り合わされている。なお、
Siの屈折率はGaAsの屈折率と略同じであり、した
がって、半球レンズ2の屈折率は基板3の屈折率と略同
じである。図面には示していないが、半球レンズ2に代
えて、超半球レンズが用いられる場合もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図3及び図4に示す従
来のテラヘルツ光検出器では、テラヘルツパルス光が図
3及び図4に示すように集光光束として半球レンズ2に
入射され、半球レンズ2を経て間隔gの領域に集光され
るように、その光学系が設計される。そのため、図4に
示すように、半球レンズ2側から入射したテラヘルツパ
ルス光の一部は、基板3の+Z側の面で反射され、まる
で間隔gの領域からテラヘルツパルス光が放射されたか
のように半球レンズ2内を逆行し、半球レンズ2の球の
中心からテラヘルツ光が放射されたのと同様となる。こ
のテラヘルツパルス光は、半球レンズ2の球面で反射さ
れた後に、再び間隔gの領域に集まってしまう。半球レ
ンズ2に代えて超半球レンズを用いた場合、半球レンズ
2の場合と比べると、当該レンズの−Z側の面で反射さ
れたテラヘルツパルス光は多少拡がるものの、同じよう
な影響がある。
【0007】時系列変換テラヘルツ分光システムなどに
おいて、周波数分解の良い測定を行おうとする場合、テ
ラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形を広い時間領
域で測定する必要がある。そのため、この時系列波形に
おいて、本来の信号(図5に示す時点t1付近の信号)
のみならず、先に述べたような一度検出素子部の付近
(間隔gの付近)に集光されたテラヘルツ光の一部が、
反射されることにより再び検出素子部に到達することに
よる信号(図5に示す時点t2付近の信号)が観測され
てしまう。この影響は、図6に示すように、スペクトル
において干渉縞として観測されてしまうため、SN比の
良い信号を得ることを妨げる要因となる。なお、図5
は、図3及び図4に示すテラヘルツ光検出器を用いて得
られたテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形の一
例を示す図である。図6は、図5に示す時系列波形をフ
ーリエ変換することにより得られたスペクトル(実線:
干渉効果あり))と、図5に示す時系列波形において時
点t2付近の信号がない場合に得られるスペクトル(破
線:干渉効果なし)とを示す図である。
【0008】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、スペクトルにおいて現れる干渉効果を低減す
ることができ、ひいては、周波数分解の良い測定におい
てSN比の良いスペクトルを得ることができる、テラヘ
ルツ光検出器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明の第1の態様によるテラヘルツ光検出器は、
基板と、該基板の一方の面側に形成された検出素子部と
を備え、前記基板の他方の面側から入射されたテラヘル
ツ光を前記検出素子部の有効領域で受光することにより
前記テラヘルツ光を検出するテラヘルツ光検出器におい
て、(a)前記基板と略同じ屈折率を有する部材が、前
記基板の前記他方の面側に、当該部材の前記基板とは反
対側の面と前記基板の前記一方の面との間に前記テラヘ
ルツ光の反射面を形成しないように、設けられ、(b)
前記部材の前記基板とは反対側の前記面の形状及び前記
部材の厚さは、前記部材の前記基板とは反対側の前記面
の所定領域から入射して前記検出素子部の前記有効領域
の付近に集光した前記テラヘルツ光のうち、前記基板の
前記一方の面側で反射された光が、最初に前記部材の前
記基板と反対側の前記面で反射した後に、前記検出素子
部の前記有効領域に実質的に入射しないかあるいは更に
2回以上反射した後にのみ前記検出素子部の前記有効領
域に入射するように、設定されたものである。前記検出
素子部は、例えば、光スイッチ素子であってもよい。な
お、更に2回以上反射した後にのみ前記検出素子部の前
記有効領域に入射する場合に比べて、更に4回以上反射
した後にのみ前記検出素子部の前記有効領域に入射する
場合の方が、好ましい。
【0010】本発明の第2の態様によるテラヘルツ光検
出器は、前記第1の態様において、(a)前記部材は、
前記基板から側方にはみ出したはみ出し部分を有し、
(b)前記所定領域から入射して前記検出素子部の前記
有効領域の付近に集光した前記テラヘルツ光のうち、前
記基板の前記一方の面側で反射された光の一部は、前記
はみ出し部分における前記部材の前記基板とは反対側の
前記面と前記部材の前記基板側の面との間で、多重反射
するものである。
【0011】本発明の第3の態様によるテラヘルツ光検
出器は、前記第1又は第2の態様において、前記部材の
前記基板とは反対側の前記面の全領域が、前記基板の前
記一方の面に対して平行な平面ではないものである。
【0012】本発明の第4の態様によるテラヘルツ光検
出器は、前記第3の態様において、前記部材の前記基板
とは反対側の前記面の全領域が、前記基板の前記一方の
面に対して傾いた平面であるものである。
【0013】本発明の第5の態様によるテラヘルツ光検
出器は、前記第1又は第2の態様において、前記部材の
前記基板とは反対側の前記面における、前記所定領域付
近以外の領域が、前記基板の前記一方の面に対して実質
的に平行な平面であり、前記部材の前記基板とは反対側
の前記面の前記所定領域付近の領域が、前記基板の前記
一方の面に対して平行な平面ではないものである。
【0014】本発明の第6の態様によるテラヘルツ光検
出器は、前記第5の態様において、前記部材の前記基板
とは反対側の前記面の前記所定領域付近の前記領域は、
前記基板の前記一方の面に対して傾いた平面であるもの
である。
【0015】本発明の第7の態様によるテラヘルツ光検
出器は、前記第1乃至第6のいずれかの態様において、
前記テラヘルツ光の主光線が前記所定領域に入射する方
向は、前記基板の前記一方側の面に対して傾くものであ
る。
【0016】本発明の第8の態様によるテラヘルツ光検
出器は、前記第1乃至第7のいずれかの態様において、
前記テラヘルツ光の主光線が、前記所定領域に対して、
その入射位置での前記所定領域の法線方向に入射するも
のである。
【0017】本発明の第9の態様によるテラヘルツ光検
出器は、前記第1乃至第8のいずれかの態様において、
前記テラヘルツ光は前記所定領域に対して集光光束とし
て入射するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明によるテラヘルツ光
検出器について、図面を参照して説明する。
【0019】[第1の実施の形態]
【0020】図1は、本発明の第1の実施の形態による
テラヘルツ光検出器を模式的に示す概略断面図である。
図1には、本実施の形態によるテラヘルツ光検出器にテ
ラヘルツパルス光を入射させる軸外し放物面鏡10も、
併せて示している。図2は、図1中の要部拡大図であ
る。図1及び図2においても、図3及び図4中のX軸、
Y軸及びZ軸にそれぞれ対応する、互いに直交するX
軸、Y軸及びZ軸を定義する。説明の便宜上、X軸方向
の+側(矢印の向きの側)を+X側、X軸方向の−側を
−X側といい、Y軸方向及びZ軸方向についても同様と
する。
【0021】本実施の形態によるテラヘルツ光検出器
は、図3及び図4に示す従来のテラヘルツ光検出器にお
いて用いられていた検出器本体1と同一の検出器本体1
を備えている。したがって、ここでは検出器本体1の重
複する説明は省略し、図1において、図3及び図4中の
要素と同一要素には同一符号を付している。もっとも、
本実施の形態では、検出器本体1の構成はこの構成に限
定されるものではなく、例えば、光伝導膜としての低温
成長GaAs膜を除去し、基板3として半絶縁性GaA
s等の抵抗率が高い半導体を用いることにより基板3を
光伝導部とし、2つの導電膜としての金属膜5,6を基
板3上に直接形成してもよい。また、金属膜5,6は、
ダイポールアンテナではなく、例えば、ボウタイアンテ
ナなどをなすように形成してもよい。
【0022】本実施の形態によるテラヘルツ光検出器
は、図3及び図4中の半球レンズ2やは超半球レンズの
代わりに、検出器本体1の基板3と略同じ屈折率を有す
る部材20が、基板3の−Z側に、部材20の−Z側の
面と基板3の+Z側の面との間にテラヘルツパルス光の
反射面を形成しないように、設けられている。そして、
部材20の−Z側の面の形状及び部材20の厚さは、部
材20の−Z側の面の所定領域から入射して間隔gの領
域(有効領域)の付近に集光した前記テラヘルツ光のう
ち、基板3の+Z側の面で反射された光が、最初に部材
20の−Z側の面で反射した後に、間隔gの領域に実質
的に入射しないかあるいは更に2回以上反射した後にの
み間隔gの領域に入射するように、設定されている。
【0023】本実施の形態では、部材20は、基板3の
屈折率と略同じ屈折率を有する例えばSiで構成され、
一部を非平行とした平行平板状に構成されている。部材
20の+Z側の面は、全体に渡ってXY平面と平行な平
面となっている。部材20の−Z側の面は、XY平面に
対してY軸と平行な軸を中心として所定角度だけ図1中
の時計回りに傾いた平面からなる−X側の領域(以下、
「傾斜平面領域」という。)と、XY平面と平行な平面
からなる+X側の領域(以下、平行平面領域)とから構
成されている。部材20の+Z側の面と基板3の−Z側
の面とが、基板3と略同じ屈折率を有する接着剤で貼り
合わされ、これにより、部材20の−Z側の面と基板3
の+Z側の面との間にテラヘルツパルス光の反射面が形
成されないようになっている。基板3は、部材20の−
Z側の面の傾斜平面領域と対応する−X側の位置に配置
されている。部材20は、基板3から+X側に大きくは
み出している。
【0024】本実施の形態では、平行光束のテラヘルツ
パルス光が軸外し放物面鏡10にて反射されて集光光束
となり、この集光光束のテラヘルツパルス光が、例えば
真空中を進行した後に、部材20の−Z側の面の傾斜平
面領域に入射される。軸外し放物面鏡10からの集光光
束のテラヘルツ光は、最外光線T1,T2と中心光線で
ある主光線T0とを有している。主光線T0と最外光線
T1,T2とがそれぞれなす角度は、互いに等しく、θ
iとなっている。sinθiは、部材20に入射する集
光光束のテラヘルツパルス光のNAに相当している。主
光線T0の部材20に対する入射方向が傾斜平面領域の
法線と一致するように、軸外し放物面鏡10と部材20
との位置関係が設定されている。図1及び図2では、光
線T1,T0,T2の傾斜平面領域に対する各入射位置
が、それぞれ点A0,B0,C0として示されている。
説明の便宜上、膜4の+Z側の面における間隔gの中心
点を、検出点Dと呼ぶ。部材20に傾斜平面領域から入
射した集光光束のテラヘルツパルス光がほぼ検出点D付
近に集光するように、部材20の厚さ及び検出器本体1
の位置などが設定されている。また、検出点D付近の膜
4が金属膜、及び空気又は真空と接する面は、テラヘル
ツパルス光が入射した時に反射面として作用する。
【0025】部材20に傾斜平面領域から入射した集光
光束のテラヘルツパルス光がほぼ検出点D付近に集光す
ることにより、検出素子部の有効領域(間隔gの領域)
で−Z側からテラヘルツパルス光を受光することで、こ
の領域付近に+Z側からレーザ光パルス光等のサンプリ
ング光(図示せず)が照射されている時に、受光したテ
ラヘルツパルス光の電場強度に応じた電流信号が金属膜
5,6間に得られる。図面には示していないが、この電
流信号は、電流検出部で検出される。
【0026】検出点D付近に集光されたテラヘルツパル
ス光の一部は、膜4の+Z側の面で反射され、その後、
図1に示すように、部材20の−Z側の面と部材20の
+Z側の面(基板3が存在する箇所では、基板3の−Z
側の面)との間で順次反射を繰り返しながら、検出素子
部の有効領域から遠ざかる。図1に示す例では、点A0
から入射した+X側の最外光線T1は検出点Dで反射さ
れた後に点A1〜A10で順次反射され、点C0から入
射した最外光線T2は検出点Dで反射された後に点C1
〜C6で順次反射され、検出点Dで反射された後のテラ
ヘルツパルス光は、反射領域R1〜R5で順次反射され
る。この反射過程において、基板3及び部材20内に残
留するテラヘルツパルス光は拡散するとともに反射の度
に減衰していく。
【0027】このように順次反射され基板3及び部材2
0内に残留するテラヘルツパルス光は、部材20の+X
側の端面で反射された後に、部材20の−Z側の面と部
材20の+Z側の面(基板3が存在する箇所では、基板
3の−Z側の面)との間で順次反射を繰り返しながら、
検出点Dに再度入射する。しかしながら、この再入射し
たテラヘルツパルス光は十分に減衰されるとともに、検
出点Dに再入射するまでの光路長が十分に長くなる。し
たがって、広い時間領域におけるテラヘルツ光の電場強
度の時系列波形において、本来の信号(テラヘルツパル
ス光が最初に検出点Dに到達することによる信号)の後
に、検出点D付近で反射された後に再度検出点Dにテラ
ヘルツパルス光が到達することによる信号が、実質的に
現れないか、あるいは、現れたとしても本来の信号の時
点から十分に長い時間を経過した後にしかも極低いレベ
ルで現れることになる。その結果、本実施の形態による
テラヘルツ光検出器を用いれば、スペクトルにおいて現
れる干渉効果を低減することができ、ひいては、周波数
分解の良い測定においてSN比の良いスペクトルを得る
ことができる。
【0028】本実施の形態では、部材20は基板3から
+X側に大きくはみ出しており、このはみ出し部分にお
いて、テラヘルツパルス光が前述したように多重反射し
ている。したがって、このはみ出し部分は、検出点Dに
再入射しようとするテラヘルツパルス光を大きく減衰さ
せるとともにその光路長を増大させる上で、その技術的
意義は大きい。もっとも、部材20がこのようなはみ出
し部部を有していなくても、従来のテラヘルツ光検出器
に比べれば、検出点Dで反射された後に再度検出点Dに
到達するテラヘルツパルス光は、減衰されるとともにそ
の光路長が長くなる。
【0029】ところで、図1では、部材20の傾斜平面
領域の傾きを比較的大きく設定した例を示しているが、
実際には、部材20の傾斜平面領域の傾きを比較的小さ
く設定し、テラヘルツパルス光の主光線T0の検出点D
に対する入射方向を基板3の法線方向(Z軸方向)に近
づけることが好ましい。図2は、部材20の傾斜平面領
域の傾き角θを小さくした場合の様子を示している。+
X側の最外光線T1が検出点Dで反射した後に部材20
の−Z側で反射する点A1が、図1では部材20の平行
平面領域上であるのに対し、図2では傾斜平面領域上と
なっている。
【0030】ここで、図2の場合について、具体例を挙
げて説明する。図2からわかるように、+X側の最外光
線T1が点A1で反射した後に膜4の+Z側の面に到達
する点A2が、点Dより+X側に位置しかつ検出素子部
の有効領域(間隔gの領域)から外れていれば、テラヘ
ルツパルス光が検出点D付近で反射した後に、検出素子
部の有効領域に実質的に入射しないかあるいは更に2回
以上反射した後にのみ検出素子部の有効領域に入射する
ことになる。そこで、ここでは、具体的な数値例を挙げ
て、検出点Dと点A2との間の距離Lを算出する。
【0031】図2において、直線GHは点A0を通り膜
4の面と平行な(すなわち、X軸と平行な)直線であ
り、θは部材20の傾斜平面領域の傾き角である。直線
EFは、点A0を通り部材20の傾斜平面領域と垂直な
直線である。前述したように最外光線T1の傾斜平面領
域に対する入射角はθiであるので、最外光線T1の傾
斜平面領域での屈折角をθrとし、対象とする光の波長
領域での部材20、基板3及び膜4の屈折率をnとする
と、次の数1が成り立つ。
【0032】
【数1】sinθi=n・sinθr
【0033】図2において、直線JKは、検出点Dを通
り膜4の面と垂直な(すなわち、Z軸と平行な)直線で
ある。∠A0DJは最外光線T1の検出点Dでの入射
角、∠JDA1は最外光線T1の検出点Dでの反射角で
あり、これらと屈折角θr及び傾き角θとの間に、次の
数2の関係が成立する。
【0034】
【数2】∠A0DJ=∠JDA1=θr−θ
【0035】図2において、直線A1Vは、点A1を通
り膜4の面と垂直な(すなわち、Z軸と平行な)直線で
あり、点Vは膜4の+Z側の面上にある。したがって、
∠VA1D=∠JDA1であるので、数2から、∠VA
1Dは次の数3で示す通りとなる。
【0036】
【数3】∠VA1D=θr−θ
【0037】したがって、線分A1Vの長さ(すなわ
ち、点A1での部材20の厚さと基板3の厚さと膜4の
厚さとの合計)をdとすると、点Vと点Dとの間の距離
L1は、次の数4で示す通りとなる。
【0038】
【数4】L1=d・tan(∠VA1D)=d・tan
(θr−θ)
【0039】図2において、直線A1Mは、点A1を通
り傾斜平面領域と垂直である。直線A1Vは、膜4の面
に垂直な(すなわち、Z軸と平行な)直線であることか
ら、直線GHに対しても垂直な直線である。したがっ
て、∠VA1M=θであるので、点A1での入射角∠D
A1M及び反射角∠MA1A2は、数3も考慮して次の
数5で示す通りとなる。
【0040】
【数5】∠DA1M=∠MA1A2=∠VA1M−∠V
A1D=2θ−θr
【0041】一方、∠VA1A2は、次の数6で表され
る。
【0042】
【数6】∠VA1A2=∠VA1M+∠MA1A2=3
θ−θr
【0043】したがって、点Vと点A2との間の距離L
2は、次の数7で示す通りとなる。
【0044】
【数7】L2=d・tan(∠VA1A2)=d・ta
n(3θ−θr)
【0045】数4及び図7から、検出点Dと点A2との
間の距離Lは、数8で示す通りとなる。
【0046】
【数8】L=L2−L1=d・{tan(3θ−θr)
−tan(θr−θ)}
【0047】今、軸外し放物面鏡10として、直径50
mm及び焦点距離40mm(軸外し距離80mm)の軸
外し放物面鏡を用いると、θiは18.2゜となる。そ
して、前記屈折率nを3.27、傾き角θを2.8゜、
厚さdを1cmとすると、数8及び数1から、検出点D
と点A2との間の距離Lは、40μmとなる。したがっ
て、前記間隔gは例えば5μm程度であるので、点Aで
反射した最外光線T1(したがって、点Aで反射した他
の光線も)がそのまま検出素子部の有効領域(間隔gの
部分)に入射するようなことがなく、検出点Dで反射さ
れたテラヘルツパルス光は、図1に関して説明したよう
に順次反射を繰り返す。
【0048】なお、図2からわかるように、点A2が点
Dより+X側に位置するためには、最外光線T1の点A
1での反射角∠MA1A2が正であればよい。したがっ
て、数1及び数5から、点A2が点Dより+X側に位置
するためには、下記の数9を満たせばよい。
【0049】
【数9】sin(2θ)>(1/n)・sinθi
【0050】[第2の実施の形態]
【0051】図7は、本発明の第2の実施の形態による
テラヘルツ光検出器を模式的に示す概略断面図である。
図7において、図1及び図2中の要素と同一又は対応す
る要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略す
る。
【0052】本実施の形態が前記第1の実施の形態と異
なる所は、部材20の−Z側の面の全領域が、XY平面
に対してY軸と平行な軸を中心として所定角度だけ図1
中の時計回りに傾いた平面となっており、部材20がウ
ェッジ基板となっている点のみである。本実施の形態で
は、部材20の−Z側の面は、図1及び図2中の部材2
0の傾斜平面領域がそのまま全体に渡って延びたものと
なっている。すなわち、本実施の形態では、部材20の
−Z側の面の傾き角が図1及び図2中の部材20の傾斜
平面領域の傾き角と同一とされ、点A1での部材20の
厚さは図1及び図2中の点A1での部材20の厚さと同
一とされている。
【0053】本実施の形態によっても、前記第1の実施
の形態と同様の利点が得られる。
【0054】以上、本発明の各実施の形態について説明
したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるもの
ではない。
【0055】例えば、部材20の−Z側の面の形状は、
前述した例に限定されるものではない。例えば、図1中
の部材20の傾斜平面領域に相当する領域の形状や図7
中の部材20の−Z側の面の形状は、曲面でもよい。ま
た、図1中の部材20の平行平面領域に相当する領域の
形状は、曲面でもよい。また、部材20のはみ出し部分
における+Z側の面の形状は曲面でもよい。
【0056】また、前記各実施の形態では、集光光束の
テラヘルツ光の主光線T0の部材20に対する入射方向
が部材20の傾斜平面領域の法線と一致していたが、主
光線T0の入射方向は、傾斜平面領域の法線に対して傾
けることも可能である。更に、部材20の傾斜平面領
域、平行平面領域に部材20とほぼ等しい屈折率を持
ち、テラヘルツ光を吸収する物質を設けることにより、
多重反射を中断することも可能である。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
スペクトルにおいて現れる干渉効果を低減することがで
き、ひいては、周波数分解の良い測定においてSN比の
良いスペクトルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるテラヘルツ光検出
器を模式的に示す概略断面図である。
【図2】図1中の要部拡大図である。
【図3】従来の一般的なテラヘルツ光検出器を模式的に
示す概略斜視図である。
【図4】図3中のA−A’線に沿った概略断面図であ
る。
【図5】図3及び図4に示すテラヘルツ光検出器を用い
て得られたテラヘルツパルス光の電場強度の時系列波形
の一例を示す図である。
【図6】時系列波形をフーリエ変換することにより得ら
れたスペクトルを示す図である。
【図7】本発明の他の実施の形態によるテラヘルツ光検
出器を模式的に示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 検出器本体 3 基板 4 光伝導膜 5,6 金属膜 6 レンズ表面で反射されたテラヘルツ光 10 軸外し放物面鏡 20 部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤堀 洋道 栃木県大田原市実取770番地 株式会社栃 木ニコン内 Fターム(参考) 2G059 GG01 GG08 HH01 JJ11 JJ13 JJ21 KK01 NN06 2G065 AB03 AB09 AB14 BA02 BA14 BA40 BB03 BC40 CA01 5F088 AB07 BA03 BB06 GA05 JA12

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、該基板の一方の面側に形成され
    た検出素子部とを備え、前記基板の他方の面側から入射
    されたテラヘルツ光を前記検出素子部の有効領域で受光
    することにより前記テラヘルツ光を検出するテラヘルツ
    光検出器において、 前記基板と略同じ屈折率を有する部材が、前記基板の前
    記他方の面側に、当該部材の前記基板とは反対側の面と
    前記基板の前記一方の面との間に前記テラヘルツ光の反
    射面を形成しないように、設けられ、 前記部材の前記基板とは反対側の前記面の形状及び前記
    部材の厚さは、前記部材の前記基板とは反対側の前記面
    の所定領域から入射して前記検出素子部の前記有効領域
    の付近に集光した前記テラヘルツ光のうち、前記基板の
    前記一方の面側で反射された光が、最初に前記部材の前
    記基板と反対側の前記面で反射した後に、前記検出素子
    部の前記有効領域に実質的に入射しないかあるいは更に
    2回以上反射した後にのみ前記検出素子部の前記有効領
    域に入射するように、設定されたことを特徴とするテラ
    ヘルツ光検出器。
  2. 【請求項2】 前記部材は、前記基板から側方にはみ出
    したはみ出し部分を有し、 前記所定領域から入射して前記検出素子部の前記有効領
    域の付近に集光した前記テラヘルツ光のうち、前記基板
    の前記一方の面側で反射された光の一部は、前記はみ出
    し部分における前記部材の前記基板とは反対側の前記面
    と前記部材の前記基板側の面との間で、多重反射するこ
    とを特徴とする請求項1記載のテラヘルツ光検出器。
  3. 【請求項3】 前記部材の前記基板とは反対側の前記面
    の全領域が、前記基板の前記一方の面に対して平行な平
    面ではないことを特徴とする請求項1又は2記載のテラ
    ヘルツ光検出器。
  4. 【請求項4】 前記部材の前記基板とは反対側の前記面
    の全領域が、前記基板の前記一方の面に対して傾いた平
    面であることを特徴とする請求項3記載のテラヘルツ光
    検出器。
  5. 【請求項5】 前記部材の前記基板とは反対側の前記面
    における、前記所定領域付近以外の領域が、前記基板の
    前記一方の面に対して実質的に平行な平面であり、 前記部材の前記基板とは反対側の前記面の前記所定領域
    付近の領域が、前記基板の前記一方の面に対して平行な
    平面ではないことを特徴とする請求項1又は2記載のテ
    ラヘルツ光検出器。
  6. 【請求項6】 前記部材の前記基板とは反対側の前記面
    の前記所定領域付近の前記領域は、前記基板の前記一方
    の面に対して傾いた平面であることを特徴とする請求項
    5記載のテラヘルツ光検出器。
  7. 【請求項7】 前記テラヘルツ光の主光線が前記所定領
    域に入射する方向は、前記基板の前記一方側の面に対し
    て傾くことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記
    載のテラヘルツ光検出器。
  8. 【請求項8】 前記テラヘルツ光の主光線が、前記所定
    領域に対して、その入射位置での前記所定領域の法線方
    向に入射することを特徴とする請求項1乃至7のいずれ
    かに記載のテラヘルツ光検出器。
  9. 【請求項9】 前記テラヘルツ光は前記所定領域に対し
    て集光光束として入射することを特徴とする請求項1乃
    至8のいずれかに記載のテラヘルツ光検出器。
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