JP2003232024A - 護岸および河床用構築材 - Google Patents

護岸および河床用構築材

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JP2003232024A
JP2003232024A JP2002073263A JP2002073263A JP2003232024A JP 2003232024 A JP2003232024 A JP 2003232024A JP 2002073263 A JP2002073263 A JP 2002073263A JP 2002073263 A JP2002073263 A JP 2002073263A JP 2003232024 A JP2003232024 A JP 2003232024A
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revetment
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riverbed
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Rikako Wakabayashi
理華子 若林
Akiko Yamauchi
顕子 山内
Juichi Yamauchi
重一 山内
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 河川の護岸部および河床部の構築構造は、全
面がコンクリート張りの構造や土壌が流失する蛇籠の構
造など、堅牢性を重視する余り、自然の土壌およびこれ
に生息植生する動植物がもつ浄化作用を妨げ、視覚的に
も機能的にも自然に優しい構築構造とは程遠い。 【解決手段】 下方に空洞部3を設けた網板枠5から成
る植生器体1の上方一部を上壁部1cで塞いで開口部2
とし、該植生器体1の側壁部1aに裝添させる不透水性
の土砂流失防止部材6とで護岸および河床用構築材を構
成する。護岸部では開放せる開口部2が露出すべく蛇籠
間に介在させて段積み構築した植生器体1の空洞部3
に、土壌などを充填収容して動植物の生息生殖を促す。
河川部では敷設した植生器体1の空洞部3に岩石や土砂
を充填し、開口部2へと流水を導入して土砂を空洞部3
内に堆積確保して水中動植物の生息生殖に適した環境を
整え、さらに水質浄化材を充填して浄水作用を効率よく
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、河川の改修に当
たり、護岸および河床を生物の生息に適した環境に改善
するための護岸用、河床用構築材に関する。
【0002】
【従来の技術】湖、河川に流れ込む流水中に含まれる水
質を汚染する原因となる有機物の量を表す指数として、
BOD(生物化学的酸素要求量)とCOD(化学的酸素
要求量)とがあり、近年、例えば琵琶湖において流れ込
む水の汚濁物質の削減を進めてきたにも拘らず、BOD
は最良の指数(1l当たり0.5mg)を記録している
のに対し、CODは最悪に増加した指数(1l当たり
2.7mg)を示している。
【0003】この指数は、本来両者ともその増減は同じ
傾向を示すものであるが、CODの上昇は、生物には分
解できない有機物が増えていることを表し、それが植物
が分解される過程で最後まで残る物質とされる有機酸
「フミン質」によるものであることが解明されている。
【0004】このCOD増加の原因として、田んぼから
の排水に注目し、稲ワラが分解されてできたフミン質が
混じって、排水路を通って一気に湖に流れ込むことによ
るものとされており、フミン質も土壌や排泄物などに存
在し、本来川に流れても土に吸収されていたもので、そ
れが排水路を含む河川の改修で多くの河床がコンクリー
ト化した結果、このような難分解性有機物がそのまま湖
などに流入し始めたのではないかと推測される。
【0005】そこで昨今、永年に亘り行われてきた護
岸、河床の三面をコンクリート張り構造による河川改修
が見直され、生物と共存することができる自然な環境造
りを河川改修においても採り入れ、その要請から各種の
護岸および河床用ブロックによる改修構造が試みられて
いる。
【0006】これら護岸および河床用ブロックおよびそ
の構築構造は、特に河川が蛇行していて土砂の流失が激
しい流れのきつい瀬の外側の護岸部および河床部におい
て用いられるため、安価に、且つ安定した組み敷き構造
が得られるよう水の流れ通りの良い構成のものが殆ど
で、例えば、図28に示すように直方体などマット状に
形成した網籠から成る蛇籠101内に川原に堆積する岩
石、石塊101aを充填して、護岸Xの法面に土砂吸い
出し防止シート104を介在させて敷き積みし、または
河床Yに敷設して構築し、或いは枠棧で成形された三角
錐体または立方体をなすブロック102を護岸Xの法面
基礎部から河床Yにかけて組み敷き、そのブロック10
2,102相互間に川原に堆積せる岩石、石塊103を
敷き詰め構築することにより、蛇籠101またはブロッ
ク102を安定良く据え付けて、この部分での護岸部お
よび河床部の浸食崩壊を防ぐよう改修されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これら従来の護岸およ
び河床構築用の蛇籠101、ブロック102並びにその
構築構造は、水流の抵抗を可及的少なくして安定良く据
えつけ、また岩石、石塊の充填により流失を防止するこ
とができる反面、これらブロックによる組み敷き構造
は、水の流れ通りが良過ぎるため、流れのきつい河川の
蛇行部における瀬の外側構造とも相俟って、この部分で
の土砂の堆積が期待できない。
【0008】そのため、これら蛇籠およびブロックによ
る組み敷き構造では、前記難分解性有機物を吸収除去す
る作用をなす土砂を堆積させることは難しく、排水路を
含む河川の護岸法面の基礎部および河床は、蛇籠に充填
した岩石、石塊、また枠棧で成形されたブロックによる
空隙の大きい構造となって、土砂の堆積による自然の浄
化作用および水生植物の植生を阻んできた。
【0009】この発明は、このような河川の護岸および
河床において、植物、昆虫が植生し易く、且つ水中の汚
染物質を吸収浄化する土砂の流失を防いで堆積させ、水
中にあっては水流を利用して土砂を積極的に導入して堆
積させ、或いは接触部材を充填して水を浄化させる構造
に構築することにより、自然の水質浄化および動植物の
生息、水生植物の植生などを促進させる自然な環境に蘇
らせ、且つ安価に安全に施工することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明は上記目的を達
成するため、河川の護岸または河川に敷き積み施工する
蛇籠間に介在させて敷き積みし、または単独で敷き積み
して敷設するに用いる構築材であって、排水機能を有す
る器形の植生器体の上方を全て開放し、または一部を開
放して形成した開口部と、これに続く空洞部を設けて成
る護岸および河床用構築材を提案し、該植生器体の空洞
部に土壌またはこれに加えて連結したブロック部材或い
は岩石を組合せ、若しくは水質浄化材などを充填収容し
て河川の護岸または河床に敷き積み構築するものであ
る。
【0011】この構築材は、網板枠、鉄筋コンクリー
ト、硬質合成樹脂、管部材などを用いて植生器体を形成
して成り、側壁部、さらには底壁部に不透水性板状の土
砂流失防止部材を添装した網板枠から成る植生器体で
は、底部の土砂流失防止部材間の隙間からの排水機能を
助長するため、土砂流失防止部材に少なくとも一つの排
水孔を穿設し、また鉄筋コンクリートなど不透水性構造
の植生器体には、同様に排水孔を穿設して構成する。
【0012】この構築材を河川の護岸または河床に敷設
施工する蛇籠間に、また単独でこれら護岸等に敷き積み
施工するために、植生器体の空洞部に充填収容した土壌
により、これに植物を植生させ、昆虫を導入生息させ
て、自然な環境を整えるものである。
【0013】この器形の植生器体の上方を一部開放した
構築材は、河川の傾斜の急な護岸では、直方体形(マッ
ト形)をなす蛇籠による段積み施工する護岸の適所を、
土壌を充填した単一または複数の構築材に代えて組み入
れ、上層蛇籠の前方を植生器体後方の天井壁または蓋体
で受支して蛇籠間に介在させて据え付け、開口部を上層
蛇籠の前方縁から前方に突出露出させて段積みし、これ
に植物を植生させ、昆虫を導入生息させ、さらに増水時
には流水が浸透して土壌、植物根による濾過などの浄水
作用により、河水を浄化するなどの自然な環境を整える
ものである。
【0014】また、河川の河床に敷き積み施工する蛇籠
間に介在させ、また単独で河床に敷設して設置する構築
材では、植生器体の上方開口部から水流を利用して土砂
を空洞部に導入確保し、また植生器体の排水機能より水
流を開口部から空洞部に積極的に導入して充填収容せる
カキ殻、凹凸接触材、多孔質材などの水質浄化材に接触
させ、水中に浮遊する有害物質を濾過吸収して、河川の
水質を浄化すると共に、水中動植物の生息を助長する。
【0015】開口部付近に植生器体の一部または収容す
るブロック部材、岩石の一部を上方突出させた植生器体
では、護岸に敷き積み構築したとき、この突出部が植生
する植物の幹部を支えて倒れるのを防ぐと共に、増水時
に浸かる部分の護岸では、開口部に対し突出部を上流側
に配して構築したとき、水流は堰止められた状態で突出
部を越えて下方にうねり変化させて下流側に吸引渦を起
こし、これが開口部への水流の導入を積極的にし、土砂
の空洞部への流入堆積を作用を有効に働かせると共に、
水質浄化材を収容した構築材では、突出部を開口部に対
し下流側に配して構築したとき、突出部で堰止められた
水流は手前の開口部にうねり導かれて空洞部に流入し、
空洞部の水質浄化材に接触することにより水中の有害物
質を吸着濾過して浄化され、排水機能により流出する。
【0016】この突出部を設けた植生器体による構築材
を、河川の河床に敷き積み施工する蛇籠間に介在させ、
また単独で河床に敷設して設置構築したとき、通常水中
に浸った状態に構築され、常時激しい水流に接している
ため、上記突出部による水流の変流作用は大きく、その
ため植生器体の空洞部への水流の流入作用および土砂の
導入堆積作用は、護岸に比し大きく働く。
【0017】
【発明の実施の形態】この発明の護岸および河床用構築
材の実施の形態を図面を用いて説明すると、図1〜16
は、この発明に係る護岸および河床用構築材を説明する
図で、図17〜24により、この護岸および河床用構築
材を用いた河川の護岸および河床での構築状態を説明す
る。
【0018】
【実施例】この発明を実施せる護岸および河床用構築材
の一実施例を図1により説明すると、図1は網板枠から
成る護岸および河床用構築材の斜視図で、梁杆5a,5
aを配設した前後左右の側壁部1a,1aおよび下方壁
部の底壁部1bから成り、上方壁部を全面開放して設け
た開口部2、これに続いて形成せる空洞部3を有する直
方体形に形成した網板枠5,5から成る植生器体1と、
該植生器体1の網板枠5,5から成る側壁部1aの外側
に裝添するための、合成樹脂、ゴムなどの資材を用いて
形成した不透水性の膜板から成る土砂流失防止部材6と
で護岸および河床用構築材を構成する。
【0019】軽量で取り扱い易く、且つ製造コストが安
価な網板枠5,5から成る植生器体1の側壁部1aに、
土砂流失防止部材6を組み合わせることにより、これを
護岸に敷設する蛇籠の所々に組み込んで敷設し、土壌を
充填して施工するもので、土砂流失防止部材6の流失防
止作用により、充填せる土壌の流失を防止して草木の植
生および動物の生息を促し、護岸での自然環境を整える
ものである。なお、土砂流失防止部材6は、植生器体1
の底壁部1bにも裝添することを考え、必要に応じて少
なくとも一つの排水孔8を穿設することができる。
【0020】
【実施例】図2は網製蛇籠に組み込んだ護岸および河床
用構築材を示す斜視図で、網籠から成る直方体のマット
状蛇籠13内の一部を網板枠5で仕切って、側壁部1a
と底壁部1bにより上方を開放する開口部2および空洞
部3を有する植生器体1を形成し、該植生器体1の側壁
部1aの内側に土砂流失防止部材6を裝添して護岸用構
築材を構成する。これにより充填収容する岩石、石塊群
の安定した重力による蛇籠13の堅固な据え付けで、こ
れに組み込んだ植生器体1を安定良く敷設することがで
きる。
【0021】
【実施例】図3は筒部材から成る護岸および河床用構築
材の斜視図で、コンクリート製ヒューム管から成る複数
の管部材7,7の一部または全てに、少なくとも一つの
排水孔8を穿設し、該管部材7,7を長方形に囲む状態
に立設して並べ、連結杆7d,7dなどを通して連結固
定し、下端部の長方形をなす一面にコンクリートを打設
して基板7cを形成することにより、基板7cによる底
壁部1bと管部材7,7による側壁部1aで囲まれた空
洞部3と上方が開放された開口部2を有する枡形の植生
器体1から成る護岸および河床用構築材を構成する。
【0022】管部材7は、コンクリート製ヒューム管を
利用することにより、護岸および河床用構築材の製造コ
ストを更に低減することができると共に、土壌の充填が
植生器体1の空洞部3に加え、側壁部1aとしての各管
部材7,7は上方の開口部7a,7aから空洞部7b,
7b内にも土壌を充填保持することができる趣のある護
岸および河床用構築材を構成し、草木の植生し難い味気
ない蛇籠張りの護岸または河床に潤いをもたせることが
できる。この管部材7はコンクリート製ヒューム管のほ
か他の資材から成る管部材を用いることも可能で、管径
も図示するように異径の管部材群で構成するほか、同径
の管部材群を以て構成することも可能である。
【0023】
【実施例】図4は護岸および河床用構築材の分割組み立
て構造の一実施例を示す斜視図で、鉄筋を施した台板1
0b,10bに立設したコンクリート製の柱枠10,1
0を、直方形に囲む状態に点設し、柱枠10の側面に相
対して穿設した上下方向の受溝10a,10aに側壁板
11,11を順次挿嵌して組み立て、開口部2および空
洞部3を有する枡形の植生器体1を形成して護岸および
河床用構築材を構成する。この護岸用構築材は、工場に
て柱枠10、側壁板11を分割して嵩低く製造すること
ができるため、現場への搬送、取扱いが容易で、更には
護岸および河床用構築材のストックに嵩低く収納するこ
とができるため、保管に場所をとらない等の効果があ
る。
【0024】この護岸および河床用構築材の設置構造
は、護岸基礎面または河床面と側壁板11による側壁部
1aとの間に僅かな間隙が生じる構成であるため、この
間隙を排水孔として利用するため特別に排水孔穿設の必
要はないが、側壁板11下端辺を切り込んで隙間が生じ
ない構成に形成した場合には、側壁板11の下位に外部
に通じる排水孔を穿設するものである。
【0025】
【実施例】図5は網板枠から成る護岸および河床用構築
材の他の実施例を示す斜視図で、植生器体1の開口部2
は、前方の一部を開放して形成し、後方に上壁部1cを
形成した植生器体1と、土砂流失防止部材6,6とで護
岸および河床用構築材を構成し、主として急な傾斜の護
岸部分に段積み施工するに用いるほか、河床部に敷設施
工することもできる。
【0026】
【実施例】図6は網板枠から成る護岸および河床用構築
材の他の実施例を示す斜視図で、網板枠5,5で形成し
た植生器体1の上方の一部を開放して設けた開口部2
を、上方に立ち上げて突出部4を形成し、該植生器体1
に土砂流失防止部材6を組み合わせて護岸および河床用
構築材を構成し、段積み施工された急な傾斜の護岸部分
において、空洞部3に充填された土壌が開口部2縁から
零れ出ることを防ぐと共に、上層構築部材の前方底角部
を開口部2の断面L字形の立ち上げ角部で受支して不動
に段積みすることができ、河床部にあっては敷設した構
築材の突出部4によって、水の流れを堰止めて開口部2
へと水流および土砂の流れを誘い入れるうねりを発生さ
せて、これら水流を開口部2に続く空洞部3へと導入す
べく作用する。
【0027】
【実施例】図7は護岸および河床用構築材の他の実施例
を示す斜視図で、上方を開放して開口部2とし、これに
続く下方に空洞部3を設けた植生器体1を、鉄筋を施し
たコンクリートで形成し、該植生器体1の側壁部1a,
1aに水抜き用の排水孔8,8を穿設すると共に、外側
を凹凸状の粗面に形成して護岸および河床用構築材を構
成し、主として緩やかな傾斜の護岸部に敷設する。
【0028】また、前記植生器体1の開口部2の後方
に、蓋体9を冠着し、前方を開放して護岸用構築材を構
成し、段積み施工に際し積み上げた上層構築部材の前方
部を、蓋体9で受支し、開口部2を前記上層構築部材の
前方に露出させて、空洞部3に充填した土壌により動植
物の植生、生息環境を確保するもので、外側の粗面は節
足動物などの移動を容易にするものである。
【0029】図8は護岸および河床用構築材の他の実施
例を示す斜視図で、この護岸および河床用構築材は、上
方の開口部2縁の一部、例えば前方を上方に平面視U字
形の囲い状に立ち上げて突出部4を形成し、他の後方の
開口部2縁上に、前端辺を断面L字形に立ち上がらせて
遮縁9cとした蓋体9を冠着して植生器体1を形成する
もので、護岸部においては突出部4が植生した樹木の倒
れるのを支えると共に、蓋体9の遮縁9cとで充填した
土壌の開口部2からの零れ出を防ぐと共に、河床部にお
いては前記同様に堰止め変流作用が働く効果がある。
【0030】段積みした護岸上層構築部材によっては、
例えば蛇籠による上層構築部材では、降水などが透過す
るため、その水を植生器体1の空洞部3内に導くための
導水孔9bを少なくとも一つ蓋体9に穿設することも可
能である。
【0031】
【実施例】この発明を実施せる護岸および河床用構築材
の実施例を図9〜14により説明すると、図9は河床用
構築材の一実施例を示す斜視図で、梁杆5a,5aを配
した網板枠5,5で三方の側壁部1a,1aおよび下方
壁部の底壁部1bを形成し、他の一方の側壁として鉄筋
を施したコンクリートから成る丈の高い板状の側壁部1
aを組み込みボルトナットなどで結合して、上方を全面
開放した開口部2とこれに続く空洞部3を有する直方体
状の枡形に形成し、コンクリート板の側壁部1a上端辺
を上方に高く突出4させて植生器体1とし、該植生器体
1の網板枠5,5外側に裝添する合成樹脂、ゴムなどの
資材を用いて形成した不透水性の膜板から成る土砂流失
防止部材6とで河床用構築材を構成する。突出部4は河
床用構築材の敷設状況による突設位置によって、水の流
れを堰止めて開口部2へと水流および土砂の流れを誘い
入れるうねりを発生させて、開口部2に続く空洞部3へ
と導入する効果がある。
【0032】コンクリート板から成る側壁部1aには、
外側面に粗面を形成すると共に、河床への敷設状況によ
り少なくとも一つの排水孔8を穿設して、流水の空洞部
3への透過を促進するものである。また、土砂流失防止
部材6にも、空洞部3での流水の透過作用を促進させる
ため、必要に応じて少なくとも一つの排水孔8を穿設す
ることができる。
【0033】
【実施例】図10は河床用構築材の他の実施例を示す斜
視図で、植生器体1は前記網板枠5,5の一部に組み込
んだ鉄筋コンクリートから成る側壁部1aを、横断面コ
の字形に形成して結合し、該側壁部1aの上部を開口部
2縁上に高く突出4させ、開口部2には一部、例えば横
断面コの字形の側壁部1a側の一部を開放9aした蓋体
9を冠着して成り、土砂流失防止部材6とで河床用構築
材を構成する。この側壁部1aの突出部4は横断面コの
字形により、水の流れに対し開放部9aを囲む状態で堰
止めて、流水が開口部2の開放部9aに向けてうねり流
れるため、流水および土砂の流れを開口部2の開放部9
aを通して空洞部3に導入する作用を大きくする。
【0034】
【実施例】図11は河床用構築材の他の実施例を示す斜
視図で、鉄筋を施したコンクリートなどの不透水質材
で、側壁部1a,1aおよび底壁部1bによる横断面コ
の字形をなす突出部4を設けた開口部2および空洞部3
を有する植生器体1を一体成形し、側壁部1aには流水
を通過させるための排水孔8を少なくとも一つ穿設して
成り、該植生器体1の開口部2に一部を開放9aする蓋
体9を冠着して河床用構築材を構成する。蓋体9には河
床への敷設状況により必要に応じて導水孔9bを少なく
とも一つ穿設することにより、空洞部3内への流水の導
入および排出を活発にすると共に、設備の整った工場で
の一体成形工程で精度の高い堅牢な構築材が得られ、施
工現場では据え付けるだけの効率良い作業により、堅固
に且つ迅速に敷設することができる効果がある。
【0035】
【実施例】図12は河床用構築材の他の実施例を示す斜
視図で、鉄筋を施したコンクリートで一体成形した枡形
の植生器体1の上方開口部2に、突出部4を設けた断面
L字形に形成し、突出部4寄りに孔状の開放部9aを穿
設して成る鉄筋コンクリート製の蓋体9を冠着して、開
放部9aによる開口部2と突出部4を備えた直方体形の
植生器体1により河床用構築材を構成する。
【0036】
【実施例】図13は筒部材から成る河床用構築材の斜視
図で、コンクリート製ヒューム管から成る長短複数の管
部材7,7の全て、または一部に少なくとも一つの排水
孔8を穿設し、該管部材7,7を互いに平面視長方形に
囲む状態に、且つ長い管部材7,7を一方側壁に偏らせ
配して立設し、連結杆などを通して連結固定し、下端部
の長方形をなす一面にコンクリートを打設して基板7c
を形成することにより、長い管部材7,7による上方突
出部4で堰止め作用を働かせる変流部を形成すると共
に、各管部材7,7で形成した側壁部1a,1aと基板
7cで上方に開口部2、これに続く空洞部3を設けた枡
形の植生器体1を形成して河床用構築材を構成する。長
い管部材7,7による突出部4には前述の堰止めによる
変流作用が働いて、植生器体1の開口部2から空洞部3
へと流水および土砂の流れを導入するものであり、この
変流作用は管部材7,7自体の開口部7aと空洞部7b
にも働くことは勿論である。7eは植生器体1の空洞部
3に設けた支柱で、開口部2に冠着する一部を開放する
蓋体を支持するもので、護岸用構築材として用いるとき
の段積み施工においても、上層の段積み部材を支持する
のに有効である。
【0037】管部材7は、コンクリート製ヒューム管を
利用することにより、河床用構築材の製造コストを大幅
に低減することができるほか、管部材7をコンクリート
製ヒューム管以外の他の資材で形成した管部材を用いる
ことができることは、前述の他の護岸用構築材の実施例
と同様である。
【0038】
【実施例】図14は河床用構築材の分割組み立て構造の
一実施例を示す斜視図で、鉄筋を施したコンクリート製
の柱枠10,10を、平面視直方形に囲む状態に立てて
点設し、柱枠10の側面に相対して刻設した上下方向の
受溝10a,10aに同様にコンクリートで成形した側
壁板11,11を、柱枠10,10間の底面には底壁板
11a,11aを順次挿嵌して組み立て、開口部2およ
び空洞部3を有する枡形の植生器体1を形成し、この植
生器体1の開口部2縁上の二箇所に突出部4,4部材を
ボルト4a、その他で固着突設して河床用構築材を構成
する。側壁板11の下方には空洞部3に導入した流水を
透過させるための排水孔8を少なくとも一つ穿設する。
【0039】この河床用構築材は、工場にて柱枠10、
側壁板11、底壁板11aを分割して嵩低く製造するこ
とができるため、現場への搬送、取扱いが容易で、更に
は河床用構築材を嵩低く収納することができて場所をと
らない等の効果があり、突出部4,4を利用して防倒
部、土砂零れ防止縁とした護岸用構築材として用いて、
護岸用構築材における上記分割組み立て効果を奏するこ
とができる。
【0040】上記で説明した植生器体1の側壁部1aに
穿設する排水孔8は、図15に示すように排水孔8の一
部または全てを薄壁8aで閉鎖状に一体成形し、構築施
工現場において必要に応じて打破して排水孔8に形成す
ることができ、他の網板枠5,5から成る植生器体1に
結合した鉄筋コンクリートなど不透水性板から成る側壁
部1aおよび土砂流失防止部材6における排水孔8、ま
た蓋体9における導水孔9bについても同様の構成で形
成することは可能である。
【0041】また、護岸および河床用構築材の上記実施
例では、植生器体1の形状を直方体状の枡形とし、資材
として網板枠材または鉄筋コンクリート成形材から成る
植生器体1、或いは網板枠5と鉄筋コンクリート成形材
を組み合わせて構成する植生器体1について説明した
が、植生器体1は、その形状を開口部2と空洞部3を有
する器形であれば、平面視三角形、後述の図22に示す
ように亀甲形など多角形、瓢箪形、円形、楕円形、また
は円筒形その他任意の形状の器形に、資材についても網
板枠材、鉄筋コンクリート材のほか任意の資材を以て形
成することができ、さらに網板枠材としてエキスパンド
メタル板、或いは鉄線、亜鉛メッキ仕上げの鉄線、合成
樹脂資材で表面被覆した金属線、ステンレススチール線
など任意の線材で構成した網材を用いて形成するもの
で、いずれの構築材も河川の護岸部または河川部に敷き
積み構築するために用いるものである。
【0042】
【実施例】次に、この発明を実施せる護岸および河床用
構築材の構築例を図面を用いて説明すると、図16は河
川の護岸および河床におけるこの発明に係る構築材によ
る構築構造を縦断して示す図で、Aは護岸部、Bは河床
部を示し、傾斜のない水平な護岸部Aaの基礎面に、護
岸部Aaを構成する堤防基礎面の土砂が、河川の水流、
特に洪水時の激流により吸い出し流されるのを防止する
ための透水性の資材から成る土砂吸い出し防止シート1
7を介在させて敷設するマット形の蛇籠14,14の一
部を、この発明に係る護岸用構築材Eを敷き代え、また
緩やかな傾斜の護岸部Abには、敷設するマット形の蛇
籠14a,14aの一部を、同様に護岸用構築材Eに敷
き代え、或いは傾斜の急な護岸部Acにおいては段積み
した蛇籠15,15の一部を、この発明の護岸用構築材
Eに組み入れて段積みして各々施工するもので、護岸用
構築材E内に土壌18を、急な傾斜の護岸部Acにあっ
ては増水時を考慮して水質浄化材を充填して、草木18
aを植生させ、河水を浄化させるものである。
【0043】河床部Bにあっては、河床基礎部に敷設し
た蛇籠16の一部に敷き代え、この発明の河床用構築材
Fを組み込んで敷設し、また、この河床用構築材F単独
で敷き詰めまたは点在させて敷設するもので、河川の蛇
行、水流の速さ、方向などの状況に応じて、河床用構築
材Fの突出部4の向きを、水の流れ方向に対して上流
側、下流側、或いは横向きなどに変えて設置し、土砂ま
たは水質浄化材を充填するものである。
【0044】
【実施例】この発明に係る護岸および河床用構築材を用
いた構築例の一部を図17〜23を用いて順次詳しく説
明すると、図17は護岸用構築材を用いた構築構造の一
実施例を示す一部の斜視図で、骨枠に網材を張着した網
板枠5,5で形成した直方体枡形の植生器体1の一部で
ある相対するコの字形コーナー部に、鉄筋コンクリート
で形成した裾部に排水孔8を穿設せる側壁部1a,1a
を配してボルトナット等で固着結合し、該植生器体1の
網板枠5,5部に不透水性板から成る土砂流失防止部材
6を裝添した護岸用構築材を、また蛇籠13の一部を切
欠いて形成した凹欠部13aに、鉄筋コンクリートで側
壁部1aと底壁部1bを一体形成し、側壁部1aの裾部
に排水孔8を穿設した枡形の植生器体1を嵌め組み込む
よう成る護岸用構築材を、傾斜のない水平な護岸部Aa
の基礎面に土砂吸い出し防止シート17を介して敷設し
た蛇籠14,14間にそれぞれ割り込ませて設置し、凹
欠部13aを設けた蛇籠13本体には川原などに堆積す
る岩石19等を充填し、網板枠5またはコンクリート材
から成る前記各植生器体1内には草木を植生させる土壌
18、これに加えてブロックなどをそれぞれ充填して構
築施工する。
【0045】
【実施例】図18は護岸用構築材を用いた他の構築例を
説明する斜視図で、鉄筋を施したコンクリートで柱枠1
0,10、側壁板11,11、底壁板11a,11aに
分割成形して植生器体1とした護岸用構築材を用いて、
傾斜のない水平な護岸部Aaの基礎面に土砂吸い出し防
止シート17を介して敷設した蛇籠14,14間に、平
面視直方形に囲む状態に前記柱枠10,10を間隔をお
いて立設し、隣設する柱枠10,10間に一部に排水孔
8を穿設した側壁板11,11を順次挿嵌して側壁部1
aを形成すると共に、柱枠10,10間の底部に底壁板
11a,11aを順次挿嵌して底壁部1bを形成して組
み立てた枡形の植生器体1を割り込ませて敷設し、植生
器体1内には草木18aを植生させる土壌18を充填し
て構築施工する。
【0046】
【実施例】図19は護岸用構築材を用いた他の構築例を
説明する斜視図で、少なくとも一つの排水孔8を穿設し
た管部材7,7、例えばコンクリート製ヒューム管から
成る管部材7,7を複数本、長方形に囲む状態に並べて
立設し、連結杆7d,7dなどを通して連結固定し、下
端部の長方形をなす一面にコンクリートを打設して形成
した基板7cにより、底壁部1bと側壁部1aで囲まれ
上方に開口部2を有する枡形の植生器体1を構成した護
岸用構築材を用いて、傾斜のない水平な護岸部Aaの基
礎面に土砂吸い出し防止シート17を介して敷設した蛇
籠14,14間に割り込ませて敷設施工し、植生器体1
内、更には管部材7,7内にも土壌を充填して草木など
を植生させるものである。
【0047】
【実施例】図20は護岸用構築材による他の構築例を説
明する縱断側面図で、緩やかな傾斜の護岸部Abへの護
岸用構築材による構築構造として、側壁部1aと底壁部
1bで形成した枡形の植生器体1の開口部2縁を前方に
向けて漸次高く形成した護岸用構築材を、緩やかな傾斜
の護岸部Abの基礎面に土砂吸い出し防止シート17を
介して敷設する蛇籠14a,14a間に割り込ませて設
置し、該植生器体1の開口部2に上位の蛇籠14aから
板状の導水部材12を渡しかけて構築施工することによ
り、上位蛇籠14aを透過して素通りする雨水などを導
水部材12で受け止めて、植生器体1内に導入すること
ができると共に、漸次高くした前方開口部2縁が、基礎
面の傾斜を吸収して開口部2縁全体が水平になり、この
水平開口部2縁で充填した土壌18の零れ出るのを防
ぎ、且つ草木の倒れ、歪み育ちをなくする効果がある。
【0048】
【実施例】図21は護岸用構築材による他の構築例を説
明する縱断側面図で、緩やかな傾斜の護岸部Abへの護
岸用構築材による構築構造として、側壁部1aによる開
口部2縁に対し底壁部1bを前方に向けて漸次深く傾斜
させて形成する植生器体1の施工例を説明すると、傾斜
させた底側部1bに対し同じ高さで側壁部1aを垂直に
立ち上げた状態の植生器体1を形成し、該植生器体1の
前方下がりの口縁上に、鉄筋コンクリートなどで形成し
た前方へ行くに従って漸次高くした口枠形の開口部材2
aを嵌着しボルトナットなどで結合して植生器体1を構
成し、側壁部1aの網板部に不透水性の土砂流失防止部
材6を裝添した植生器体1を、前記実施例同様に緩やか
な傾斜の護岸部Abの基礎面に、土砂吸い出し防止シー
ト17を介して敷設する蛇籠14a,14a間に割り込
ませて設置施工する。
【0049】
【実施例】図22はこの発明の構築材を護岸に敷設した
状態を示す一部斜視図で、緩やかな傾斜の護岸に構築す
る例を示す。網板枠から成る植生器体1,1の平面視亀
甲形の上方全面を開放せる六角形の器状に形成し、緩や
かな傾斜の護岸部Ab面に土砂吸い出し防止シート17
を介して土砂流失防止部材(図示省略)を添裝した植生
器体1,1の角辺を組み合わせ敷設し、各植生器体1,
1の空洞部に土壌、岩石等を充填して、植物を植生さ
せ、昆虫などの動物を生息させる環境を整える効果があ
り、この植生器体1の開口部を一部開放して敷設するこ
ともでき、また同じ六角形の蛇籠に混在させて敷設する
ことも可能である。
【0050】
【実施例】図23は護岸用構築材による他の構築例を説
明する縱断側面図で、側壁部1aと底壁部1bとで開口
部2および空洞部3を有する枡形に形成した植生器体1
の開口部2の後方に蓋体9を冠着し、また開口部2の前
方縁を高く形成して立ち上げて突出部4とし、この開口
部2の後方に前端辺を立ち上げて遮縁9cとした断面L
字形の蓋体9を冠着して、それぞれ前方を開放9aした
護岸用構築材を、急な傾斜の護岸部Acに土砂吸い出し
防止シート17を介して段積み構築する直方体形の蛇籠
15,15間に組み込んで段積み構築するもので、土壌
18を充填して下層蛇籠15上に段積みする植生器体1
の後方蓋体9上に、上層蛇籠15を段積みして前方の開
放9aせる開口部2を上層蛇籠15の前側に臨出させる
べく蓋体9で受支し、遮縁9cを設けた蓋体9では、こ
の遮縁9cで上層蛇籠15の前端辺を受け止めると共
に、前方縁を高くした突出部4を有する開口部2に相応
して土壌18を零れ出ないよう遮蔽して多量の土壌18
を充填確保することができる効果がある。
【0051】
【実施例】図24〜26は、この発明の構築材に土壌に
加えブロック材を充填収容した状態を示す図で、図24
および図25において、網板枠から成る植生器体1の上
壁部1cの一部を開放して開口部2とした箱形に形成
し、その側壁部1aに土砂流失防止部材(図示省略)を
添裝して護岸部または河床部の基礎面に土砂吸い出し防
止シート17を介して敷設構築するもので、敷設設置し
た護岸部における増水時または河床部での流水による植
生器体1の流失を防ぐため、草木18aを植生させ、小
動物を生息させる土壌18または土砂に加えてブロック
材19a,19aを空洞部3に組み入れて収容し、その
一部を開口部2から上方に出して突出部4を形成し、こ
の突出部4を護岸部においては草木18aの倒れるのを
防止する支えとし、河床部においては水の流れを変える
変流機構として働かせるものである。
【0052】図26において、網板枠から成る植生器体
1の上方を全面開放して開口部2とし、空洞部3に前記
同様土壌18または土砂に加えてブロック材19a,1
9aを組み入れて収容し、護岸部および河床部において
それぞれの作用を働かせるもので、各ブロック材19
a,19aを互いに金属線などの連結部材19bにより
連結することにより、これらブロック材19a,19a
の植生器体1からの流水による流出を防止し、構築材を
安定良く護岸部および河床部の基礎面に土砂吸い出し防
止シート17を介して敷設固定させて河川を護る効果が
ある。
【0053】
【実施例】続いて、河床用構築材による構築例を図27
を用いて説明すると、図27はその一つの構築例を示す
縱断側面図で、川原に堆積する岩石、石塊19,19な
どを充填し、河床に敷設される蛇籠16,16間に組み
込んで敷設する河床用構築材であって、金網板枠から成
る枡形の植生器体1の側壁部1aの一辺に、鉄筋コンク
リートで背高に成形した側壁部1aを組み合わせボルト
ナットなどで結合して開口部2縁の一辺上に突出部4を
設けて植生器体1とした河床用構築材を、また側壁部1
aの裾部に排水孔8を穿設し、開口部2縁の一辺を上方
に突出させて突出部4とした枡形の植生器体1、この開
口部2に冠着する一部を開放9aせる蓋体9をそれぞれ
鉄筋コンクリートで一体成形して構成した河床用構築材
を、河床部Bに敷設する蛇籠16,16間に組み込むべ
く、植生器体1の側壁部1aの網板枠5には不透水性の
土砂流失防止部材6を裝添し、植生器体1における突出
部4を開口部2に対し上流側に位置させ設置し、また植
生器体1の突出部4を蓋体9による開放部9aに対し下
流側に位置させて設置して、それぞれの植生器体1内に
岩石を含む土砂18bまたはカキ殻、多孔質材などの水
質浄化材18cを充填して敷設構築する。
【0054】この河床用構築材の構築構造は、既に説明
したように河床に敷設した蛇籠16,16間に、植生器
体1を単体または複数体を隣接して割り込ませ敷設する
ことが可能で、また蛇籠16,16を敷設せず、植生器
体1のみを河床に敷き詰め、或いは点在させて設置構築
することも可能である。
【0055】河床部Bに設置構築された河床用構築材
は、突出部4を上流側に配した植生器体1では、突出部
4に堰止められる状態で衝突した流水は、突出部4の下
流側に下向きのうねり渦を起こして開口部2から空洞部
3に流れ導いて、充填した土砂18bを空洞部3の懐部
に押し込み、また土砂を含んだ濁流では土砂ごと空洞部
3に導入して、流水のみが側壁部1aの排水孔8または
裝添した土砂流失防止部材6の隙間から透過するため、
土砂18b流失を防止して堆積保持させることができ
る。これによって植生器体1内には絶えず土砂18bが
堆積した状態を維持し、水中の動植物の植生および生息
を助長し、併せて土砂18bによる自然の水質浄化を図
るものである。
【0056】また突出部4を下流側に配した植生器体1
では、突出部4による前記堰止め作用により突出部4の
上流側に形成した開放部9aに流水を積極的に導入し
て、充填した水質浄化材18cに接触させることによ
り、流水に含まれる有害物質などの汚れを吸着除去し
て、河川の水質浄化をも図るものである。
【0057】上記で説明した護岸および河床用構築材を
用いた構築例では、網板枠材、鉄筋コンクリート成形材
から成る植生器体1または網板枠材と鉄筋コンクリート
成形材を組み合わせた植生器体1について説明したが、
前述のように任意の素材をもって植生器体1を構成する
ことができ、例えば、合成樹脂素材を用いて一体成形
し、また網板枠材若しくは鉄筋コンクリート成形材と合
成樹脂成形材とを組み合わせて構成し、不動に組み込み
設置構築することも可能である。
【0058】
【発明の効果】この発明の護岸および河川構築材は上記
で説明した構成から成り、この護岸用構築材を護岸部に
敷設する従来の蛇籠間に組み入れて構築し、蛇籠本来の
護岸および簡便安価の効用を利用しながら、動植物を植
生繁殖させる土壌の堆積確保を積極的に図り、護岸部に
おける土壌、更にこれに植生し生息する草木および小動
物による自然の浄化機能を蘇らせると共に、土および緑
に溢れた見た目にも自然に優しい河川環境を現出し、併
せて堅固な護岸部を構築するものである。
【0059】また、河床用構築材は河床部に敷設する従
来の蛇籠間に組み入れて構築し、また単独で設置するも
ので、側壁部さらには突出部により河川の水の流れに堰
止め状のうねり渦を起こさせて、流れを植生器体の開口
部へと積極的に導いて空洞部に導入するため、植生器体
内での土砂の堆積を促進確保し、この土砂堆積確保によ
り、藻、幼虫などの水中動植物の繁殖し易い環境を永く
維持して、自然の浄化機能を蘇らせ、また充填した水質
浄化材に流水を強制的に接触させて河水を流れの過程で
自然に浄化するなど、自然に優しい河床環境を構築する
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る護岸および河床用構築材を示
す斜視図である。
【図2】 護岸および河床用構築材の他の実施例を示す
斜視図である。
【図3】 護岸および河床用構築材の他の実施例を示す
斜視図である。
【図4】 分割組み立ての護岸および河床用構築材の実
施例を示す斜視図である。
【図5】 護岸および河床用構築材の他の実施例を示す
斜視図である。
【図6】 護岸および河床用構築材の他の実施例を示す
斜視図である。
【図7】 護岸および河床用構築材の他の実施例を示す
斜視図である。
【図8】 護岸および河床用構築材の他の実施例を示す
斜視図である。
【図9】 この発明に係る護岸および河床用構築材の他
の実施例を示す斜視図である。
【図10】 護岸および河床用構築材の他の実施例を示
す斜視図である。
【図11】 護岸および河床用構築材の他の実施例を示
す斜視図である。
【図12】 護岸および河床用構築材の他の実施例を示
す斜視図である。
【図13】 護岸および河床用構築材の他の実施例を示
す斜視図である。
【図14】 分割組み立ての護岸および河床用構築材の
実施例を示す斜視図である。
【図15】 護岸および河床用構築材における排水孔の
実施例を示す縱断面図である。
【図16】この発明を実施せる護岸および河床用構築材
の河川での構築例を示す縱断面図である。
【図17】 河川の傾斜のない護岸部における護岸用構
築材の構築例を示す斜視図である。
【図18】 護岸用構築材の他の構築例を示す斜視図で
ある。
【図19】 護岸用構築材の他の構築例を示す斜視図で
ある。
【図20】 河川の緩やかな傾斜の護岸部における護岸
用構築材による構築例を示す縱断面図である。
【図21】 護岸用構築材の他の構築例を示す縱断面図
である。
【図22】 護岸用構築材の他の構築例を示す斜視図で
ある。
【図23】 河川の急な傾斜の護岸部における護岸用構
築材による構築例を示す縱断面図である。
【図24】 護岸および河床用構築材の他の構築例を示
す斜視図である。
【図25】 護岸および河床用構築材の他の構築例を示
す縱断面図である。
【図26】 護岸および河床用構築材の他の構築例を示
す縱断面図である。
【図27】 河川の河床部における河床用構築材による
構築例を示す縱断面図である。
【図28】 従来の護岸および河床用蛇籠などによる河
川での構築構造を示す縱断面図である。
【符号の説明】
1 植生器体 1a 側壁部 1b 底壁部 2 開口部 3 空洞部 4 突出部 5 網板枠 6 土砂流失防止部材 7 管部材 7c 基板 8 排水孔 9 蓋体 9a 開放部 9b 導水孔 10 柱枠 10a 受溝 10b 台板 11 側壁板 11a 底壁板 18 土壌 18c 水質浄化材 19 岩石 19a ブロック材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 若林 理華子 滋賀県草津市追分町107−8 (72)発明者 山内 顕子 滋賀県草津市追分町107−8 (72)発明者 山内 重一 滋賀県草津市追分町107−8 Fターム(参考) 2D018 EA01

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 河川の護岸または河床に敷き積み施工す
    る蛇籠間に介在させ、または単独で敷設する構築材であ
    って、排水機能を有する器形の植生器体の上方を全てま
    たは一部を開放して、土壌またはこれに加えてブロック
    部材或いは岩石、若しくは水質浄化材などを収容するた
    めの開口部とこれに続く空洞部を設けて成る護岸および
    河床用構築材。
  2. 【請求項2】 前記植生器体は、網板枠とこれに添装す
    る土砂流失防止部材から成り、土砂流失防止部材に排水
    機能を設けて成る請求項1の護岸および河床用構築材。
  3. 【請求項3】 前記土砂流失防止部材は、透水性素材ま
    たは排水孔を穿設した不透水性素材から成る請求項2の
    護岸および河床用構築材。
  4. 【請求項4】 前記植生器体は、鉄筋コンクリートで成
    形し、側壁部またはこれと底壁部に排水孔を穿設して成
    る請求項1の護岸および河床用構築材。
  5. 【請求項5】 前記植生器体は、全てまたは一部に排水
    孔を穿設した複数の管部材を基板上に植設固定して器形
    に形成した請求項1の護岸および河床用構築材。
  6. 【請求項6】 前記植生器体は、導水機能を有する蓋体
    の冠着により、一部を開放して開口部とした請求項1乃
    至5のいずれか1の護岸および河床用構築材。
  7. 【請求項7】 前記植生器体は、開口部付近に植生器体
    の一部または収容するブロック部材、岩石の一部を上方
    突出させて成る請求項1乃至6のいずれか1の護岸およ
    び河床用構築材。
  8. 【請求項8】 前記植生器体は、全体を直方体状に形成
    した請求項1乃至7のいずれか1の護岸および河床用構
    築材。
  9. 【請求項9】 前記植生器体は、全体を平面視六角形の
    亀甲状に形成した請求項1乃至7のいずれか1の護岸お
    よび河床用構築材。
  10. 【請求項10】 前記植生器体は、複数に分割し組み立
    て形成する請求項1乃至9のいずれか1の護岸および河
    床用構築材。
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