JP2003229320A - Pcb汚染物からの絶縁油の回収方法 - Google Patents

Pcb汚染物からの絶縁油の回収方法

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JP2003229320A JP2002028338A JP2002028338A JP2003229320A JP 2003229320 A JP2003229320 A JP 2003229320A JP 2002028338 A JP2002028338 A JP 2002028338A JP 2002028338 A JP2002028338 A JP 2002028338A JP 2003229320 A JP2003229320 A JP 2003229320A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 PCB入り絶縁油の抜き取り作業時の安全管
理が容易となり、しかも、切断等の加工熱を低く抑えて
PCBがダイオキシンになることを防ぎ、その上、PC
Bの回収作業も容易なPCB汚染物からの絶縁油の回収
方法を提供することである。 【解決手段】 PCB入り絶縁油(10)がケース(1
2)内に封入されたPCB汚染物からの絶縁油の回収方
法であって、PCB入り絶縁油(10)よりも比重の軽
い洗浄液(2)とPCB汚染物(6)を容器(1)内に
入れ、洗浄液(2)に浸漬した状態でケース(12)の
少なくとも下部に工作機械(8)によって開口部(9)
を空け、開口部(9)から排出されるPCB入り絶縁油
(10)を、洗浄液(2)との比重差により容器(1)
の下部に集めて採取することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、PCB入り絶縁油
をケース内に封入したPCB汚染物(例えば、コンデン
サや変圧器)から絶縁油を回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】PCB汚染物として、PCBの入った使
用済みコンデンサから絶縁油を回収する方法としては、
コンデンサケースに空気中で抜穴を開け、抜穴からPC
B入り絶縁油を極力抜き取った後に、真空加熱炉に入れ
て残存する絶縁油を真空加熱炉に接続した吸引装置に吸
い取って回収する方法がある。
【0003】ところが、コンデンサが大きい場合は大型
の真空加熱炉を用意するか、コンデンサを真空加熱炉に
入る程度に切断する必要があった。大型の真空加熱炉
は、設備費や稼働費が高くなり、現実的でない。かとい
って、切断すると、切断時の加工熱でPCBがダイオキ
シンに化学変化するという問題があった。また、切断作
業の際にPCBが飛散して身体に触れたり、空気中に混
ざって体内に取り込まれたりすると、安全上好ましくな
いので、切断作業をグローブボックス内で行い、作業場
所の空気が外部に漏れないように特別に安全管理する必
要があった。さらに、グローブボックス内で切断するこ
とによって安全管理はできても、切断によって飛散した
り垂れ落ちたりしたPCBの回収作業は厄介である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情を考
慮して開発されたもので、その目的は、PCB入り絶縁
油の抜き取り作業時の安全管理が容易となり、しかも、
切断等の加工熱を低く抑えてPCBがダイオキシンにな
ることを防ぎ、その上、PCBの回収作業も容易なPC
B汚染物からの絶縁油の回収方法を提供することであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、PC
B入り絶縁油がケース内に封入されたPCB汚染物から
の絶縁油の回収方法であって、PCB入り絶縁油よりも
比重の軽い洗浄液とPCB汚染物を容器内に入れ、洗浄
液に浸漬した状態でケースの少なくとも下部に工作機械
によって開口部を空け、開口部から排出されるPCB入
り絶縁油を、洗浄液との比重差により容器の下部に集め
て採取することを特徴とする。
【0006】工作機械は、ケースに抜穴を空けたり切断
したりして開口部を形成できるもの全てを意味し、ドリ
ルやエンドミル等を用いた切削機が一例として挙げられ
る。また、工作機械を用いるので、人がドリル等で開口
部を形成する方法に比べて安全である。
【0007】洗浄液は、PCB入り絶縁油よりも比重が
軽いことが必要で、絶縁油とは混合し難い性質のものが
望ましい。
【0008】開口部とは、ケース内に洗浄液が流入し、
且つケース外にPCB入り絶縁油が流出することのでき
る大きさの開いている部分を意味する。具体的には、抜
穴状やスリット状、又はケースを輪切りにした場合の境
目の隙間部分(切断した上側部分と下側部分の隙間)な
どが挙げられる。
【0009】上述した発明は、PCB汚染物が常温のま
ま行っても良いが、PCB入り絶縁油の粘度を低下させ
て開口部から流出しやすくするには、請求項2の発明の
ように、ケースを開口した状態でPCB汚染物を加温す
ることが望ましい。
【0010】加温は、PCB汚染物を直接的、又は洗浄
液を介して間接的に温めることを意味する。
【0011】PCB汚染物を直接的に温める場合として
は、その外周をヒーターで取り囲む方法も考えられる
が、ヒーターの着脱が面倒であるし、その設備費や稼働
費が高く、しかも、温度制御もし難い。このような場合
にPCB汚染物がコンデンサであれば、請求項3の発明
のように、PCB汚染物にはコンデンサを、洗浄液には
絶縁性を有するものをそれぞれ用い、加温は、PCB汚
染物にはコンデンサを、洗浄液には絶縁性を有するもの
をそれぞれ用い、加温は、コンデンサ素子を含んだ共振
回路を形成し、その共振現象により定格電流よりも大電
流を流すものが望ましい。なお、コンデンサは単相用、
三相用の何れであっても適用できる。
【0012】洗浄液に絶縁性を有するものを用いたの
は、電流を流している間に開口部から絶縁油が流出し洗
浄液が流入するので、洗浄液によって絶縁油の絶縁性を
補って、コンデンサ素子の性能をできる限り維持して、
加温するためである。
【0013】コンデンサ素子を含んだ共振回路とは、少
なくとも一つの端子に誘導リアクタンス成分を有する素
子を接続して形成した共振回路のことである。具体例と
しては、少なくともコンデンサ一つの端子に直列にリア
クトルを接続する場合や、コンデンサの二端子にトラン
スの二次側を接続すると共に一次側にリアクトルを接続
する場合や、コンデンサの二端子にトランスの二次側を
接続しトランスの漏れリアクタンスで共振回路を形成す
る場合等が挙げられる。また、トランスは、二次側の巻
き数を一次側よりも少なくして、二次側に電源側よりも
大電流を流すもので、大容量のコンデンサに適用するこ
とが望ましい。
【0014】共振回路のインピーダンスZは、Z=R+
j(ωL−1/ωC)で数式化される。Rはリアクトル
の抵抗分やコンデンサの抵抗分、ωLは誘導リアクタン
ス、1/ωCは容量リアクタンスである。但し、一般的
には50Hz又は60HzではR≪1/ωCである。従
って、リアクタンス成分が0になるように又は0に近づ
くように、静電容量Cに併せてリアクトルLを設定す
る。そうすれば、リアクタンスが遙かに小さくなってイ
ンピーダンスが極端に小さくなり、定格以上の大電流が
流れ、端子電圧が上昇してコンデンサが発熱する。
【0015】なお、共振回路に供給する電流の周波数及
び電圧をインバーターの出力周波数及び出力電圧で調整
すれば、リアクトルの設定及び電流の調整が容易とな
る。
【0016】PCB汚染物が変圧器の場合には、通常、
ケースにPCB入り絶縁油の注入バルブと排出バルブが
付いているので、変圧器を空気中で加温してから排出バ
ルブを開けばPCB入り絶縁油を安全且つ迅速に抜き取
れる。しかし、バルブが故障している場合やケースが腐
食等している場合には、ケースに開口部を空ける必要が
あり、しかも、空気中での開口作業や加温は危険性を伴
うので、上述したように、洗浄液に浸漬した状態でケー
スの少なくとも下部に工作機械によって開口部を空け、
尚且つ請求項4の発明のように、洗浄液には絶縁性を有
するものをそれぞれ用い、加温は、変圧器の一次端子又
は二次端子の何れか一方を導体で短絡すると共に、他方
の端子へ電流を供給するものを適用することが望まし
い。
【0017】また、開口部からのPCB入り絶縁油の排
出を洗浄液と絶縁油の比重差による作用だけで行っても
よいが、排出時間の短縮を図るには、請求項5の発明の
ように、開口部の一部分からPCB入り絶縁油を吸引す
るか、又は洗浄液を注入することが望ましい。
【0018】開口部の一部分から吸引又は注入すれば、
残りの部分から洗浄液が勢いよく流入するか、PCB入
り絶縁油が勢いよく排出することになる。吸引と注入
は、ホースの先部にノズルが付いたものを、開口部の一
部分に差し込むことによって行われる。
【0019】ケース内面やコンデンサ素子の表面、或い
は内部に付着、含浸したPCB入り絶縁油は、洗浄液に
触れにくいことから、洗浄時間が長引くことになる。洗
浄時間を短縮するには、請求項6の発明のように、開口
部が抜穴状又はスリット状であって、PCB入り絶縁油
を採取した後に、コンデンサケースの上部を周方向に沿
って工作機械により切断してケースを蓋とケース本体に
分離し、蓋をクレーンで取り外して蓋に付いた端子とケ
ース本体内のコンデンサ素子とを繋ぐリード線を分断
し、コンデンサ素子をケース本体から取り出し、容器内
に端子付きの蓋、ケース本体、コンデンサ素子を別々に
配置し、容器の下部にPCB入り絶縁油を再度集めて採
取することが望ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明に使用するPCB汚染物の
絶縁油の回収装置の第一実施形態は、図1又は図2に示
すように、上面を開口した容器1の上部には洗浄液2の
注入バルブ3を、底には排出バルブ4をそれぞれ設け、
底の裏面側に磁石5がPCB汚染物6を固定するために
取り付けてある。また、洗浄液2を介してPCB汚染物
6を加温するヒーター7を容器1内に収容し、容器1外
には工作機械としての切削機8を備え、切削機8で洗浄
液2内のPCB汚染物6に開口部9を空ける。
【0021】容器1は、底の縁部をR形状に形成して、
PCB汚染物6内のPCB入り絶縁油10が縁部に溜ま
り難くしてある。また図示しないが、底を漏斗状に形成
したり、傾斜を付けると、底の最も低い箇所にPCB入
り絶縁油10が集まるので、底の最も低い箇所に排出バ
ルブを付けて、PCB入り絶縁油10を抜き取りやすく
することが望ましい。
【0022】洗浄液2は、PCB入り絶縁油の比重を
1.5とすれば、例えば比重が0.7とか、0.9のも
のを用いる。具体的には、炭化水素系溶剤や塩素系溶剤
を用いても良いし、鉱物油を含浸剤として用いた非PC
B系絶縁油を、洗浄液として用いても良い。なお、PC
B汚染物内のPCB入り絶縁油を採取して、金属ナトリ
ウム分散法等の技術によって、人体に影響がない程度に
までPCBの濃度を下げた絶縁油を、洗浄液として利用
しても良い。
【0023】PCB汚染物としてのコンデンサ6は図5
に示すように、コンデンサペーパーと電極フィルムを重
ね合わせて数百回巻き付け押し潰して形成したコンデン
サ素子11と、そのコンデンサ素子11を入れるケース
12と、ケース12内に封入しコンデンサ素子11に含
浸させるPCB入り絶縁油(符号省略)と、ケース12
から突出する端子13を主要な構成要素とする。なお、
符号14は、端子13とコンデンサ素子11を繋ぐリー
ド線である。
【0024】切削機8は、回転軸15を昇降可能に且つ
前後左右に往復動可能に設け、回転軸15の先部にカッ
ター16を備えたものである。
【0025】上述した第一実施形態を用いて本発明は以
下の手順で行われる。まず、図1(イ)に示すように、
PCB汚染物としてのコンデンサ6を容器1内に入れて
底に固定し、注入バルブ3を開いて容器1内に洗浄液2
を入れ、コンデンサ6を洗浄液2に浸漬する。続いて、
図1(ロ)に示すように容器1外から切削機8を操作し
て洗浄液2中にカッター16を挿入し、カッター16で
コンデンサケース12の下側を削り、続いて図1(ハ)
に示すようにケース12の上側を削って開口部(抜穴)
9を複数形成する。すると、洗浄液2とPCB入り絶縁
油10との比重差によって、開口部9から洗浄液2の流
入とPCB入り絶縁油10の流出が行われ、図2(ニ)
に示すように絶縁油10が容器1の底に集まる。また、
開口部9から絶縁油10の排出を早めるには、絶縁油1
0の温度を約70℃程度にまで上げてその粘度を低下さ
せることが好ましいので、ヒーター7によって洗浄液2
を加熱する。そこで、図2(ホ)に示すように排出バル
ブ4を開き、絶縁油10を容器1外に排出し、タンクな
どに回収する。回収すると、液面レベルが低下するので
洗浄液2を補充し、コンデンサ6が洗浄液2中に確実に
浸漬する状態として、再度、PCB入り絶縁油10を開
口部9から流出させる作業を繰り返せば、PCB入り絶
縁油10の回収率が向上する。
【0026】PCB汚染物の絶縁油の回収装置の第二実
施形態は、図3に示すように、容器1に液面計17を取
り付けたり、液面レベル検出器18を設置したりして、
PCB入り絶縁油10の深さを測定し、絶縁油10を排
出バルブ4から抜き出す際に、洗浄液2をできる限り抜
き取らないようにしたことを第一の特徴とする。また、
超音波洗浄機19の発振子を容器1内に取り付けて、洗
浄効率を高めたことを第二の特徴とする。さらに、開口
部9から流出する絶縁油10がケース表面に付着しにく
いように、容器1の底に台座20を設置して、台座20
の上にコンデンサ6を固定したことを第三の特徴とす
る。また、コンデンサ6の一つの端子13に直列にリア
クトル21を接続して共振回路22を形成し、その共振
回路22に定格電流よりも大電流を流して、絶縁油10
を加温することを第四の特徴とする。
【0027】電源23を単相出力用インバーター24を
経て共振回路22に接続し、インバーター24で周波数
を変更して共振周波数にし又は共振周波数に近づけ、コ
ンデンサ6に定格よりも大電流を供給する。なお、コン
デンサ6の静電容量は、仕様書からでも分かるし、計測
器(LCRメータ)で測定しても分かるので、リアクト
ル21の選定は容易に行える。
【0028】PCB汚染物の絶縁油の回収装置の第三実
施形態は図5及び図6に示すように、容器1外にクレー
ン25を設け、クレーン25先部のロボットアームを洗
浄液2内に出没可能に設けたことを特徴とするものであ
る。
【0029】この場合は図4に示すように、ケース12
を上中下の三箇所の高さ(図中、一点鎖線部分)で輪切
りして、ケース12を蓋26、上筒27、下筒28、底
29の4部品に分離し、さらに図5に示すように、ロボ
ットアームで蓋26を引き上げて取り外すと、端子13
とコンデンサ素子11を繋ぐリード線14が分断する。
なお、上筒27、下筒28、底29を併せてケース本体
30とする。蓋26を移動させてもリード線14が分断
しない場合は、工作機械によってリード線14を強制的
に切断する。その後、図6に示すように、ロボットアー
ムを操作して端子付きの蓋26を容器1の別の箇所に移
動させ、また、上筒27、下筒28、コンデンサ素子1
1も同様にロボットアームで掴んで移動させる。
【0030】端子付きの蓋26に分離したのは、絶縁油
10を抜き取った後に、端子(外側が碍子で覆われてい
る)13を外す処理を容易に行えるようにするためであ
る。また、ケース12を複数箇所で切断したのは上筒2
7を抜き取れば、コンデンサ素子11を抜き出す際にロ
ボットアームで掴む部分が確保できるからである。ま
た、上筒27と下筒28に切断したのは、コンデンサ素
子11から抜き取る際に、その筒が洗浄液2の液面上に
突出しにくくし、尚かつ洗浄液2の高さを低くして使用
量を少なくするためである。
【0031】また、PCB汚染物6が変圧器の場合に加
温する手法としては、図7に示すように、一次端子35
又は二次端子36の何れか一方を導体37で短絡すると
共に、他方の端子へ電流を供給する方法を用いても良
い。
【0032】変圧器6は図8に示すように、ベッド31
の上に有底筒状のケース12を有し、鉄心とコイルから
なる変圧器本体32を、ケース12内に溜めたPCB入
り絶縁油に浸漬し、PCB入り絶縁油10を冷却するク
ーラ33をケース12外に有し、蓋26の上には、碍子
34に支持された一次端子35及び二次端子36を突出
してある。なお符号38は排出バルブ、39は注入バル
ブである。
【0033】図7の如く変圧器本体の二次端子36,3
6を当該二次端子36,36に流れる二次電流I2に十
分耐え得る太さを持った導体で短絡し、CT40及び電
流計で一次側を計測しながら電源23から一次端子3
5,35へ定格値の一次電流I 1を供給するものであ
る。場合によっては、変圧器本体32の一次端子35を
当該一次端子に流れる一次電流I1に十分耐え得る太さ
を持った導体で短絡し、CT及び電流計で二次側を計測
しながら電源から二次端子36,36へ定格値の二次電
流I2を供給することもある(図示省略)。尚、電源と
しては変圧器の定格周波数を満足する交流電源を用い、
その調整には、インバータ、IVR或いは発電機など既
存の手法を用いれば良い。
【0034】この様に一次端子35へ定格値の一次電流
1を流すことによって、一次コイルには定格値の一次
電流I1が流れ、二次コイルには定格値の二次電流I2
流れる。その結果、当該定格値の一次電流I1及び定格
値の二次電流I2が流れる一次コイル及び二次コイルの
インピーダンスが負荷となって発熱し(巻線の銅損等に
よる発熱)、当該一次コイル及び二次コイルがPCB入
り絶縁油を加熱する為の熱源として機能することとな
る。
【0035】上記条件下で一定時間放置すると、PCB
入り絶縁油が加熱されケースやクーラ及び洗浄液を通じ
てその熱が発散する結果、変圧器全体の蓄熱量が飽和
し、変圧器個々の設計に基づく一定の温度を以て温度上
昇が停止する。この様な特性により、当該加熱手法によ
れば、特別な電源を用いることなく変圧器全体を極めて
容易に加熱することができる。
【0036】即ち、加熱時における温度制御は、一次コ
イル及び二次コイルに定格値の一次電流I1及び定格値
の二次電流I2を流した際に交流電力計等で計測し得る
各変圧器固有の損失(銅損)に基づき容易に行うことが
でき、当該加熱時に用いられる電力量は、加熱に要した
通電時間から算出することができる。また、粘度を低下
させるのに適した温度を得るべくPCB入り絶縁油自体
の温度を計測する為の温度計についても、変圧器に付属
した温度計を流用することができる。
【0037】上記手法は、定格値以上の電流を長時間流
さない限り変圧器を過度に加熱する虞が無く、安全性の
高い作業が可能となるが、加熱時間を短縮する為に一次
コイル及び二次コイルへ定格値以上の一次電流I1及び
二次電流I2を流して加熱することも可能である。この
場合には、定格電流比の二乗に比例したエネルギーを供
給出来ることとなり、加熱時間短縮に顕著な効果が得ら
れる。
【0038】逆に、定格値以下の一次電流I1及び二次
電流I2を流して加熱する場合としては、準備した電源
と変圧器本体のインピーダンス電圧のマッチングが悪い
場合が挙げられるが、上記場合と比較して加熱時間が長
くなるものの機能的には支障がない。また、変圧器の定
格周波数と電源の定格周波数が異なる場合も想定され、
それによって変圧器のインピーダンスが変化して温度上
昇特性が変わることもあるが、上記の如く供給電力量及
び温度の管理を行っておけば機能的には問題がない。交
流電源の波形にあっても、電源から一次側へ流された一
次電流I1によって二次側に電圧が誘起し二次電流I2
流れ得る電源波形であれば、たとえパルス状に発生する
電源であっても同様の効果を得ることが可能である。
【0039】尚、先に示した例は単相変圧器の例である
が、三相変圧器においても電源を三相とすることによっ
て同様の効果を得ることができ、更に三巻線変圧器等の
多巻線変圧器においても電源供給巻線以外の巻線を短絡
することにより同様の効果を得ることができる。
【0040】本発明は上記した内容に限定されない。た
とえば、PCB汚染物を固定する方法としては、コンデ
ンサケース12の下側にはベースが付いており、ベース
には取付孔が空けてあるので、その取付孔にボルトをね
じ込んで容器の底に固定しても良い。また、加温する際
には容器1に密閉用の蓋をしても良く、この場合は、洗
浄液2中に混入したPCBが蒸発によって空中に飛散す
るのを防ぐことができる。さらに、容器1は移動の機能
を有するもの、例えば、底に車輪を付けレール上を滑走
するものや、上方から容器を吊り下げた状態で移動する
もの等であっても良い。
【0041】
【発明の効果】請求項1の発明は、PCB汚染物が洗浄
液に浸漬した状態でケースに開口部を空けるので、洗浄
液による冷却効果によって開口作業による加工熱が低く
抑えられ、ダイオキシンの発生を防げる。また、開口部
をケースの下部に開けると共に洗浄液に絶縁油よりも比
重の軽いものを用いたので、その比重差によって絶縁油
が開口部から流出して容器の底に沈み、洗浄液と絶縁油
とは殆ど混合しないことになる。従って、上側の洗浄液
によって下側のPCB入り絶縁油が閉じこめられた状態
となり、絶縁油が空中に飛散することを防げることにな
り、その結果、抜き取りの際の安全管理が容易となる。
さらに、底に沈んだ絶縁油を採取すれば、洗浄液の混入
割合が低い絶縁油を容易に回収でき、その後に、絶縁油
を無害化する作業も迅速に行える。
【0042】請求項2の発明は、PCB汚染物を加温す
るのでPCB入り絶縁油の粘度が低下し、開口部から絶
縁油が流出しやすくなり、回収作業の時間短縮が図れ
る。
【0043】請求項3の発明は、共振回路に定格電流よ
りも大電流を流して絶縁油を昇温させる設備や稼働費
が、他の昇温設備に比べて安価であるし、所望の電流を
流すだけなので温度制御も容易である。
【0044】請求項4の発明は、変圧器に内蔵された変
圧器本体そのものを巧みに熱源として用いることができ
るため、熱源そのたの設備を別途用意する必要がなく、
安価且つ迅速にPCB入り絶縁油を加熱し粘度を低下さ
せて、抜き取ることができる。従って、例えば変圧器の
排出バルブが壊れたりケースが腐食などしている場合に
は有効である。
【0045】請求項5の発明は、開口部の一部分からP
CB入り絶縁油を吸引するか、又は洗浄液を注入するの
で、PCB入り絶縁油の回収時間が短縮する。
【0046】請求項6の発明は、コンデンサを分解して
部品を別々に配置することによって、ケース本体の内面
やコンデンサ素子の表面に洗浄液が触れやすくなり、洗
浄効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(イ)(ロ)(ハ)PCB汚染物からの絶縁油
の回収方法を示す前半部分の概略図である。
【図2】(ニ)(ホ)PCB汚染物からの絶縁油の回収
方法を示す後半部分の概略図である。
【図3】PCB汚染物の絶縁油の回収装置の第二実施形
態を示す概略図である。
【図4】コンデンサの切断箇所を示す正面図である。
【図5】蓋を取り外した状態を示す正面図である。
【図6】PCB汚染物の絶縁油の回収装置の第三実施形
態を示す概略図である。
【図7】変圧器の加温方法を示す図面である。
【図8】変圧器の概略構造を示す図面である。
【符号の説明】
1 容器 2 洗浄液 6 PCB汚染物(コンデンサ、変圧器) 8 工作機械 9 開口部 10 PCB入り絶縁油 11 コンデンサ素子 12 ケース 13 端子 14 リード線 21 リアクトル 22 共振回路 25 クレーン 26 蓋 30 ケース本体 35 一次端子 36 二次端子 37 導体
フロントページの続き (72)発明者 矢地 道治 富山県中新川郡立山町鉾木220番地 佐藤 鉄工株式会社内 (72)発明者 藤田 政次 富山県中新川郡立山町鉾木220番地 佐藤 鉄工株式会社内 Fターム(参考) 4D004 AA22 AB06 CA12 CA40 CC04 5E082 AA13 BC40 HH04 HH38 HH51 MM24

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 PCB入り絶縁油(10)がケース(1
    2)内に封入されたPCB汚染物からの絶縁油の回収方
    法であって、 PCB入り絶縁油(10)よりも比重の軽い洗浄液
    (2)とPCB汚染物(6)を容器(1)内に入れ、洗
    浄液(2)に浸漬した状態でケース(12)の少なくと
    も下部に工作機械(8)によって開口部(9)を空け、
    開口部(9)から排出されるPCB入り絶縁油(10)
    を、洗浄液(2)との比重差により容器(1)の下部に
    集めて採取することを特徴とするPCB汚染物からの絶
    縁油の回収方法。
  2. 【請求項2】 ケース(12)を開口した状態でPCB
    汚染物(6)を加温することを特徴とする請求項1記載
    のPCB汚染物からの絶縁油の回収方法。
  3. 【請求項3】 PCB汚染物(6)にはコンデンサを、
    洗浄液(2)には絶縁性を有するものをそれぞれ用い、
    加温は、コンデンサ素子を含んだ共振回路(22)を形
    成し、その共振現象により定格電流よりも大電流を流す
    ものであることを特徴とする請求項2記載のPCB汚染
    物からの絶縁油の回収方法。
  4. 【請求項4】 PCB汚染物(6)には変圧器を、洗浄
    液(2)には絶縁性を有するものをそれぞれ用い、加温
    は、変圧器の一次端子(35)又は二次端子(36)の何れ
    か一方を導体(37)で短絡すると共に、他方の端子へ電
    流を供給するものであることを特徴とする請求項2記載
    のPCB汚染物からの絶縁油の回収方法。
  5. 【請求項5】 開口部(9)の一部分からPCB入り絶
    縁油(10)を吸引するか、又は洗浄液(2)を注入す
    ることを特徴とする請求項1又は2記載のPCB汚染物
    からの絶縁油の回収方法。
  6. 【請求項6】 開口部(9)が抜穴状又はスリット状で
    あって、PCB入り絶縁油(10)を採取した後に、コ
    ンデンサケース(12)の上部を周方向に沿って工作機
    械(8)により切断してケース(12)を蓋(26)と
    ケース本体(30)に分離し、蓋(26)をクレーン
    (25)で取り外して蓋に付いた端子(13)とケース
    本体内のコンデンサ素子(11)とを繋ぐリード線(1
    4)を分断し、コンデンサ素子(11)をケース本体
    (30)から取り出し、容器(1)内に端子付きの蓋
    (26)、ケース本体(30)、コンデンサ素子(1
    1)を別々に配置し、容器(1)の下部にPCB入り絶
    縁油(10)を再度集めて採取することを特徴とする請
    求項3記載のPCB汚染物からの絶縁油の回収方法。
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