JP2003227518A - 軸受部品および転がり軸受 - Google Patents

軸受部品および転がり軸受

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JP2003227518A JP2002194921A JP2002194921A JP2003227518A JP 2003227518 A JP2003227518 A JP 2003227518A JP 2002194921 A JP2002194921 A JP 2002194921A JP 2002194921 A JP2002194921 A JP 2002194921A JP 2003227518 A JP2003227518 A JP 2003227518A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高度の耐割れ強度と寸法安定性とを有し、転
動疲労寿命に優れた軸受部品および転がり軸受を提供す
る。 【解決手段】 内輪2、外輪1および複数の転動体3を
有する転がり軸受10であって、内輪2、外輪1および
転動体3のうち少なくともいずれか一つの部材が浸炭窒
化層を有する鋼を含み、破壊応力値が2650MPa以
上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、減速機、ドライブ
ピニオン、トランスミッション用軸受などに用いられる
軸受部品および転がり軸受に関し、転動疲労特性が長寿
命で、高度の耐割れ強度や耐経年寸法変化を有する軸受
部品および転がり軸受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】軸受部品の転動疲労に対して長寿命を与
える熱処理方法として、焼入れ加熱時の雰囲気RXガス
中にさらにアンモニアガスを添加するなどして、その軸
受部品の表層部に浸炭窒化処理を施す方法がある(たと
えば特開平8−4774号公報、特開平11−1012
47号公報)。この浸炭窒化処理法を用いることによ
り、表層部を硬化させ、ミクロ組織中に残留オーステナ
イトを生成させ、転動疲労寿命を向上させることができ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
浸炭窒化処理方法は炭素および窒素を拡散させる拡散処
理であるため、長時間高温に保持する必要がある。この
ため、組織が粗大化する等して耐割れ強度の向上を図る
ことは困難である。また、残留オーステナイトの増加に
よる経年寸法変化率の増大も問題となる。
【0004】一方、転動疲労に対して長寿命を確保し、
割れ強度を向上させ、経年寸法変化率の増大を防ぐため
に、鋼の合金設計により組成を調整することによって対
処することが可能である。しかし合金設計によると、原
材料コストが高くなるなどの問題点が発生する。
【0005】今後の軸受部品には、使用環境の高荷重
化、高温化に伴い、従来よりも、大きな荷重条件でかつ
より高温で使用できる特性を備えることが要求される。
このため、高強度で、転動疲労特性が長寿命で、高度の
耐割れ強度と寸法安定性とを有する軸受部品が必要にな
る。
【0006】本発明は、高度の耐割れ強度と寸法安定性
とを有し、転動疲労寿命に優れた軸受部品および転がり
軸受を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の転がり軸受は、
内輪、外輪および複数の転動体を有する転がり軸受にお
いて、内輪、外輪および転動体のうち少なくともいずれ
か一つの部材が浸炭窒化層を有する鋼を含み、破壊応力
値が2650MPa以上であることを特徴とするもので
ある。
【0008】本願発明者らは、軸受部品用の鋼をA1
態点を超える浸炭窒化処理温度で浸炭窒化処理した後、
1変態点未満の温度に冷却し、その後にA1変態点以上
の焼入れ温度域に再加熱し焼入れを行うことにより、浸
炭窒化処理層を有する鋼の破壊応力値を、従来では得ら
れなかった2650MPa以上にできることを見出し
た。これにより、従来よりも破壊応力値に優れ、それに
より強度の高い転がり軸受を得ることができる。
【0009】また、本発明の軸受部品は、転がり軸受に
組み込まれる軸受部品であって、浸炭窒化層を有する鋼
を含み、破壊応力値が2650MPa以上であることを
特徴とするものである。
【0010】この軸受部品においても、上述の転がり軸
受と同様、従来よりも破壊応力値に優れ、それにより割
れ強度の高い軸受部品を得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
の形態について説明する。
【0012】図1は、本発明の実施の形態における転が
り軸受を示す概略断面図である。図1において、この転
がり軸受10は、外輪1と、内輪2と、転動体3とを主
に有している。図面はラジアル玉軸受を表しているが、
玉軸受、円錐ころ軸受、ころ軸受、ニードルころ軸受も
同様である。転動体3は、外輪1と内輪2との間に配置
された保持器により転動可能に支持されている。
【0013】これらの外輪1、内輪2および転動体3の
うち少なくともいずれか一つの部材は、浸炭窒化層を有
する鋼を含み、かつ破壊応力値が2650MPa以上で
ある。
【0014】また、外輪1、内輪2および転動体3のう
ち少なくともいずれか一つの部材は、浸炭窒化層を有す
る鋼を含み、かつ鋼中の水素含有率が0.5ppm以下
である。
【0015】また、外輪1、内輪2および転動体3のう
ち少なくともいずれか一つの部材は、浸炭窒化層を有す
る鋼を含み、かつその部材のオーステナイト結晶粒の粒
度番号が10番を超える範囲にある。
【0016】また、外輪1、内輪2および転動体3のう
ち少なくともいずれか一つの部材は、浸炭窒化層を有す
る鋼を含み、かつシャルピー衝撃値が6.2J/cm2
以上である。
【0017】次に、これら転がり軸受の外輪、内輪およ
び転動体の少なくとも1つの軸受部品に行う浸炭窒化処
理を含む熱処理について説明する。
【0018】図2および図3に、本発明の実施の形態に
おける熱処理方法を示す。図2は1次焼入れおよび2次
焼入れを行なう方法を示す熱処理パターンであり、図3
は焼入れ途中で材料をA1変態点温度未満に冷却し、そ
の後、再加熱して最終的に焼入れる方法を示す熱処理パ
ターンである。どちらも本発明の実施の態様例である。
これらの図において、処理T1では鋼の素地に炭素や窒
素を拡散させ、また炭素の溶け込みを十分に行なった
後、A1変態点未満に冷却する。次に、図中の処理T2
おいて、処理T1よりも低温に再加熱し、そこから油焼
入れを施す。
【0019】上記の熱処理を普通焼入れ、すなわち浸炭
窒化処理に引き続いてそのまま1回焼入れするよりも、
表層部分を浸炭窒化しつつ、割れ強度を向上させ、経年
寸法変化率を減少することができる。上述したように、
上記の熱処理方法によれば、オーステナイト結晶粒の粒
径を従来の2分の1以下となるミクロ組織を得ることが
できる。上記の熱処理を受けた軸受部品は、転動疲労特
性が長寿命であり、割れ強度を向上させ、経年寸法変化
率も減少させることができる。
【0020】上記図2に示す熱処理パターンを適用した
軸受鋼のオーステナイト結晶粒度を図4(a)に示す。
また、比較のため、従来の熱処理方法による軸受鋼のオ
ーステナイト結晶粒度を図4(b)に示す。また、図5
(a)および図5(b)に、上記図4(a)および図4
(b)を図解したオーステナイト結晶粒度を示す。これ
らオーステナイト結晶粒度を示す組織より、従来のオー
ステナイト粒径はJIS規格の粒度番号で10番であ
り、また本発明による熱処理方法によれば12番の細粒
を得ることができる。また、図4(a)の平均粒径は、
切片法で測定した結果、5.6μmであった。
【0021】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。
【0022】(実施例1)JIS規格SUJ2材(1.
0重量%C−0.25重量%Si−0.4重量%Mn−
1.5重量%Cr)を用いて、本発明の実施例1を行っ
た。表1に示した各試料の製造履歴を以下に示す。
【0023】
【表1】
【0024】(試料A〜D;本発明例):温度850℃
で150分間保持して浸炭窒化処理を施した。その浸炭
窒化処理時の雰囲気は、RXガスとアンモニアガスとの
混合ガスとした。図2に示す熱処理パターンにおいて、
浸炭窒化処理温度850℃から1次焼入れを行ない、次
いで浸炭窒化処理温度より低い温度域780℃〜830
℃に加熱して2次焼入れを行った。ただし、2次焼入れ
温度780℃の試料Aは焼入れ不足のため試験の対象か
ら外した。 (試料E、F;本発明例):浸炭窒化処理は、本発明例
A〜Dと同じ履歴で行い、2次焼入れ温度を浸炭窒素処
理温度(850℃)以上の850℃〜870℃で行っ
た。 (従来浸炭窒化処理品;比較例):温度850℃で15
0分間保持して浸炭窒化処理を施した。その浸炭窒化処
理時の雰囲気は、RXガスとアンモニアガスとの混合ガ
スとした。その浸炭窒化処理時の温度からそのまま焼入
れを行ない、2次焼入れは行わなかった。 (普通焼入れ品;比較例):浸炭窒化処理を行なわず
に、850℃に加熱して焼入れた。2次焼入れは行わな
かった。
【0025】上記の各試料に対して、(1)水素量の測
定、(2)結晶粒度の測定、(3)シャルピー衝撃試
験、(4)破壊応力値の測定、(5)転動疲労試験、の
各々を行った。その結果を表1に合わせて示す。
【0026】次にこれらの測定方法および試験方法につ
いて説明する。 (1)水素量の測定 水素量は、LECO社製DH−103型水素分析装置に
より、鋼中の非拡散性水素量を分析した。拡散性水素量
は測定してない。このLECO社製DH−103型水素
分析装置の仕様を下記に示す。
【0027】分析範囲:0.01〜50.00ppm 分析精度:±0.1ppmまたは±3%H(いずれか大
なるほう) 分析感度:0.01ppm 検出方式:熱伝導度法 試料重量サイズ:10mg〜35g(最大:直径12m
m×長さ100mm) 加熱炉温度範囲:50℃〜1100℃ 試薬:アンハイドロン(Mg(ClO42)、アスカラ
イト(NaOH) キャリアガス:窒素ガス、ガスドージングガス(水素ガ
ス)、いずれのガスも純度99.99%以上、圧力40
PSI(2.8kgf/cm2)である。
【0028】測定手順の概要は以下のとおりである。専
用のサンプラーで採取した試料をサンプラーごとに上記
の水素分析装置に挿入する。内部の拡散性水素は窒素キ
ャリアガスによって熱伝導度検出器に導かれる。この拡
散性水素は本実施例では測定しない。次に、サンプラー
から試料を取出し抵抗加熱炉内で加熱し、非拡散性水素
を窒素キャリアガスによって熱伝導度検出器に導く。熱
伝導度検出器において熱伝導度を測定することによって
非拡散性水素量を知ることができる。 (2)結晶粒度の測定 結晶粒度の測定は、JIS G 0551の鋼のオーステ
ナイト結晶粒度試験方法に基づいて行った。 (3)シャルピー衝撃試験 シャルピー衝撃試験は、JIS Z 2242の金属材料
のシャルピー衝撃試験方法に基づいて行った。試験片に
は、JIS Z 2202に示されたUノッチ試験片(J
IS3号試験片)を用いた。なお、シャルピー衝撃値
は、次式の吸収エネルギーEを断面積(0.8cm2
で除した値である。
【0029】 吸収エネルギー:E=WgR(cosβ−cosα) W:ハンマー重量(=25.438kg) g:重力加速度(=9.80665m/sec2) R:ハンマー回転軸中心から重心までの距離(=0.6
569m) α:ハンマー持ち上げ角度(=146°)、β:ハンマ
ー降り上がり角度 (4)破壊応力値の測定 図6に破壊応力値の測定に用いた試験片を示す。アムス
ラー万能試験機を用いて図中のP方向に荷重を負荷して
試験片が破壊されるまでの荷重を測定する。その後、得
られた破壊荷重を、下記に示す曲がり梁の応力計算式に
より応力値に換算する。なお、試験片は図6に示す試験
片に限られず、他の形状の試験片を用いてもよい。
【0030】図6の試験片の凸表面における繊維応力を
σ1、凹表面における繊維応力をσ2とすると、σ1およ
びσ2は下記の式によって求められる(機械工学便覧A
4編材料力学A4−40)。ここで、Nは円環状試験片
の軸を含む断面の軸力、Aは横断面積、e1は外半径、
2は内半径を表す。また、κは曲がり梁の断面係数で
ある。
【0031】σ1=(N/A)+{M/(Aρo)}[1
+e1/{κ(ρo+e1)}] σ2=(N/A)+{M/(Aρo)}[1−e2/{κ
(ρo−e2)}] κ=−(1/A)∫A {η/(ρo+η)}dA (5)転動疲労試験、 転動疲労寿命試験の試験条件および試験装置の略図を、
表2および図7に示す。図7において、転動疲労寿命試
験片21は、駆動ロール11によって駆動され、ボール
13と接触して回転している。ボール13は、(3/
4)”のボールであり、案内ロール12にガイドされ
て、転動疲労寿命試験片21との間で高い面圧を及ぼし
合いながら転動する。
【0032】次に上記の測定結果および試験結果につい
て説明する。 (1) 水素量 表1より、浸炭窒化処理したままの従来浸炭窒化処理品
の鋼中水素量は、0.72ppmと非常に高い値となっ
ている。これは、浸炭窒化処理の雰囲気に含まれるアン
モニア(NH3)が分解して水素が鋼中に侵入したため
と考えられる。これに対して、試料B〜Fの鋼中水素量
は0.37〜0.42ppmとなっており、従来浸炭窒
化処理品の半分近くにまで減少している。この鋼中水素
量は普通焼入れ品と同じレベルである。
【0033】上記の鋼中水素量の低減により、水素の固
溶に起因する鋼の脆化を軽減することができる。すなわ
ち、水素量の低減により、本発明例の試料B〜Fのシャ
ルピー衝撃値および破壊応力値は大きく改善されてい
る。 (2) 結晶粒度 表1より、結晶粒度は、2次焼入れ温度が浸炭窒化処理
時の焼入れ(1次焼入れ)の温度より低い場合、すなわ
ち試料B〜Dの場合、オーステナイト粒は、結晶粒度番
号11〜12と顕著に微細化されている。試料Eおよび
Fならびに従来浸炭窒化処理品および普通焼入品のオー
ステナイト粒は、結晶粒度番号10であり、試料B〜D
より粗大な結晶粒となっている。 (3) シャルピー衝撃値 表1によれば、従来浸炭窒化処理品のシャルピー衝撃値
は5.33J/cm2であるのに比して、本発明例の試
料B〜Fのシャルピー衝撃値は6.20〜6.65J/
cm2と高い値が得られている。この中でも、2次焼入
れ温度が低いほうがシャルピー衝撃値が高くなる傾向を
示す。なお、普通焼入品のシャルピー衝撃値は6.70
J/cm2と高い。 (4) 破壊応力値 上記破壊応力値は、耐割れ強度に相当する。表1によれ
ば、従来浸炭窒化処理品は2330MPaの破壊応力値
となっている。これに比して、試料B〜Fの破壊応力値
は2650〜2840MPaと改善されている。普通焼
入品の破壊応力値は2770MPaであり、試料B〜F
の破壊応力値と同等である。このような、試料B〜Fの
改良された耐割れ強度は、オーステナイト結晶粒の微細
化と並んで、水素含有率の低減による効果が大きいと推
定される。 (5) 転動疲労試験 表1によれば、普通焼入品は浸炭窒化層を表層部に有し
ないことを反映して、転動疲労寿命L10は最も低い。こ
れに比して従来浸炭窒化処理品の転動疲労寿命は3.1
倍となる。試料B〜Dの転動疲労寿命は従来浸炭窒化処
理品より大幅に向上する。試料E,Fは、従来浸炭窒化
処理品とほぼ同等であった。
【0034】上記をまとめると、本発明例の試料B〜F
では、鋼中水素量が低くなり、破壊応力値やシャルピー
衝撃値が向上する。しかし、転動疲労寿命まで含めて改
良しうるのは、さらにオーステナイト結晶粒度を粒度番
号で11番程度以上に微細化した試料B〜Dである。し
たがって、本発明例に該当するのは試料B〜Fである
が、より望ましい本発明の範囲は、2次焼入れ温度を浸
炭窒化処理温度より低くして結晶粒の微細化をさらに図
った試料B〜Dの範囲である。
【0035】(実施例2)次に実施例2について説明す
る。
【0036】下記のA材、B材およびC材について、一
連の試験を行った。熱処理用素材には、JIS規格SU
J2材(1.0重量%C−0.25重量%Si−0.4
重量%Mn−1.5重量%Cr)を用い、A材〜C材に
共通とした。A材〜C材の製造履歴は次のとおりであ
る。 (A材:比較例):普通焼入れのみを行なった(浸炭窒
化処理せず)。 (B材:比較例):浸炭窒化処理後にそのまま焼き入れ
た(従来の浸炭窒化焼入れ)。浸炭窒化処理の温度を8
45℃とし、保持時間を150分間とした。また浸炭窒
化処理の雰囲気を、RXガス+アンモニアガスとした。 (C材:本発明例):軸受鋼に図2の熱処理パターンを
施した。浸炭窒化処理の温度を845℃とし、保持時間
を150分間とし、雰囲気をRXガス+アンモニアガス
とした。また、最終焼入れ温度を800℃とした。
【0037】(1) 転動疲労寿命 転動疲労寿命試験の試験装置には上述した図7の装置を
用い、試験条件は表2に示す条件とした。この転動疲労
寿命試験結果を表3に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】表3によれば、浸炭窒化処理を施したB材
(比較例)のL10寿命は、普通焼入れのみを施したA材
(比較例)のL10寿命(試験片10個中1個が破損する
寿命)の3.1倍を示し、浸炭窒化処理による長寿命化
の効果が認められる。これに対して、本発明例のC材
は、B材の1.74倍、またA材の5.4倍の長寿命を
示している。この改良の主因はミクロ組織の微細化によ
るものと考えられる。
【0041】(2) シャルピー衝撃試験 シャルピー衝撃試験は、Uノッチ試験片を用いて、上述
のJIS Z 2242に準じた方法により行なった。
試験結果を表4に示す。
【0042】
【表4】
【0043】本発明例のC材では、普通焼入れのみを施
したA材(比較例)と同等で、かつ浸炭窒化処理を施し
たB材(比較例)よりも高いシャルピー衝撃値が得られ
た。
【0044】(3) 静的破壊靭性値の試験 静的破壊靭性試験の試験片には、図8に示す試験体を用
い、亀裂を予め約1mm導入した後に、3点曲げによる
静的荷重Pを加え、破壊荷重を求めた。破壊靭性値(K
IC値)の算出には次に示す次式を用いた。また、試験結
果を表5に示す。
【0045】KIC=(PL√a/BW2){5.8−
9.2(a/W)+43.6(a/W)2−75.3
(a/W)3+77.5(a/W)4
【0046】
【表5】
【0047】予め導入した亀裂の深さが浸炭窒化層深さ
よりも大きくなったため、比較例のA材とB材とには違
いはない。しかし、本発明例のC材では比較例のA材お
よびB材に対して約1.2倍の破壊靭性値(KIC値)を
得ることができた。
【0048】(4) 静圧壊強度試験(破壊応力値の測
定) 静圧壊強度試験片には、上述のように図6に示す形状の
ものを用いた。図中、P方向に荷重を付加して、上記と
同様にして静圧壊強度試験を行なった。試験結果を表6
に示す。
【0049】
【表6】
【0050】浸炭窒化処理を施したB材(比較例)の静
圧壊強度は普通焼入れのみを施したA材(比較例)の静
圧壊強度よりもやや低い値である。しかしながら、本発
明例のC材の静圧壊強度は、B材の静圧壊強度よりも向
上し、A材の静圧壊強度よりもわずかに高いレベルにな
っている。
【0051】(5) 経年寸法変化率 温度130℃で500時間保持した場合の経年寸法変化
率を測定した。その測定結果を、表面硬度、残留オース
テナイト量(表面から0.1mm深さでの)とともに表
7に示す。
【0052】
【表7】
【0053】残留オーステナイト量の多いB材の寸法変
化率に比べて、本発明例のC材の寸法変化率は低く抑え
られていることがわかる。
【0054】(6) 異物混入潤滑下における寿命試験 玉軸受6206を用い、標準異物を所定量混入させた異
物混入潤滑下での転動疲労寿命を評価した。試験条件を
表8に、また試験結果を表9に示す。
【0055】
【表8】
【0056】
【表9】
【0057】A材に比べ、浸炭窒化処理を施したB材
(比較例)では約2.5倍の、また本発明例のC材では
約2.3倍の長寿命が得られた。本発明例のC材では、
比較例のB材に比べて残留オーステナイトが少ないもの
の、窒素の侵入と微細化されたミクロ組織の影響とによ
りほぼ同等の長寿命が得られている。
【0058】上記の結果より、本発明例のC材、すなわ
ち本発明の熱処理方法によって製造された軸受部品は、
従来の浸炭窒化処理では困難であった転動疲労寿命の長
寿命化、割れ強度の向上、経年寸法変化率の低減の3項
目を同時に満足することができることがわかった。
【0059】今回開示された実施の形態および実施例は
すべての点で例示であって制限的なものではないと考え
られるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではな
くて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と
均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれるこ
とが意図される。
【0060】
【発明の効果】本発明の軸受部品および転がり軸受を用
いることにより、浸炭窒化処理層を形成した上で、これ
までにない優れた破壊応力値を得ることができるため、
優れた耐割れ強度などを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態における転がり軸受を示
す概略断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態における熱処理方法を説
明する図である。
【図3】 本発明の実施の形態における熱処理方法の変
形例を説明する図である。
【図4】 軸受部品のミクロ組織、とくにオーステナイ
ト粒を示す図である。(a)は本発明例の軸受部品であ
り、(b)は従来の軸受部品である。
【図5】 (a)は図4(a)を図解したオーステナイ
ト粒界を示し、(b)は図4(b)を図解したオーステ
ナイト粒界を示す。
【図6】 静圧壊強度試験(破壊応力値の測定)の試験
片を示す図である。
【図7】 転動疲労寿命試験機の概略図である。(a)は
正面図であり、(b)は側面図である。
【図8】 静的破壊靭性試験の試験片を示す図である。
【符号の説明】
1 外輪、2 内輪、3 転動体、10 転がり軸受、
11 駆動ロール、12 案内ロール、13 (3/
4)”ボール、21 転動疲労寿命試験片、T1 浸炭窒
化処理温度、T2 焼入れ加熱温度。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 8/32 C23C 8/32 F16C 33/32 F16C 33/32 33/34 33/34 Fターム(参考) 3J101 AA02 AA12 AA32 AA42 AA52 AA62 BA10 BA70 DA02 EA03 FA31 FA44 GA11 4K028 AA03 AB01 AC08 4K042 AA22 BA02 BA03 BA04 CA06 DA06

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内輪、外輪および複数の転動体を有する
    転がり軸受において、 前記内輪、外輪および転動体のうち少なくともいずれか
    一つの部材が浸炭窒化層を有する鋼を含み、破壊応力値
    が2650MPa以上である、転がり軸受。
  2. 【請求項2】 転がり軸受に組み込まれる軸受部品であ
    って、 浸炭窒化層を有する鋼を含み、破壊応力値が2650M
    Pa以上である、軸受部品。
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