JP2003226958A - MgO蒸着材およびその製造方法 - Google Patents

MgO蒸着材およびその製造方法

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JP2003226958A
JP2003226958A JP2002335650A JP2002335650A JP2003226958A JP 2003226958 A JP2003226958 A JP 2003226958A JP 2002335650 A JP2002335650 A JP 2002335650A JP 2002335650 A JP2002335650 A JP 2002335650A JP 2003226958 A JP2003226958 A JP 2003226958A
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Hideaki Sakurai
英章 桜井
Ginjiro Toyoguchi
銀二郎 豊口
Yoshio Kuromitsu
祥郎 黒光
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子ビーム蒸着法にて蒸着しても、スプラッ
シュが殆ど発生せずかつ成膜されるMgO膜の膜特性の
向上を図る。 【解決手段】 MgO純度が99.0%以上かつ相対密
度が90.0%以上で、塩素Cl含有量が0.01〜5
0ppmの多結晶とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、MgO蒸着材及び
その製造方法に係り、特に、AC型のプラズマディスプ
レイパネルのMgO膜の成膜等に用いて好適な技術に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、MgOは耐熱性に優れるため、主
に坩堝や耐火煉瓦などの耐熱材料として使用され、その
機械的強度を上げるために焼結助剤を添加すること等が
試みられている。このような技術は、例えば、特許文献
1〜3等に記載されるものが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平07−133149号公報
【特許文献2】特許第2961389号公報
【特許文献3】特公平07−102988号公報
【特許文献4】特開平11−213875号公報
【特許文献5】特開平05−311412号公報
【特許文献6】特開平10−291854号公報
【特許文献7】特開平10−297955号公報
【特許文献8】特開平10−297956号公報
【特許文献9】特開平11−29857号公報
【特許文献10】特開平11−29355号公報
【特許文献11】特開2000−63171号公報
【特許文献12】特開平09−235667号公報
【非特許文献1】IEICE Trans. Electron.,vol.E82-C,
No.10, p.1804-1807,(1999)
【0004】近年、液晶(Liquid Crystal Display :L
CD)をはじめとして、各種の平面ディスプレイ(Flat
Panel Display)の研究開発と実用化はめざましく、そ
の生産も急増している。カラープラズマディスプレイパ
ネル(Plasma Display Panel: PDP)についても、そ
の開発と実用化の動きが最近活発になっている。PDP
は大型化し易く、ハイビジョン用の大画面壁掛けテレビ
の最短距離にあり、既に対角60インチクラスのPDP
の試作・製造が進められており、PDPの中では、電極
構造の点において、金属電極がガラス誘電体材料で覆わ
れるAC型が主流となっている。
【0005】このAC型PDPでは、イオン衝撃のスパ
ッタリングによりガラス誘電体層の表面が変化して放電
開始電圧が上昇しないよう、ガラス誘電体層表面に高い
昇華熱を持つ保護膜をコーティングする。この保護膜は
直接放電用のガスと接しているために、耐スパッタリン
グ性以外に、複数の重要な役割を担っている。即ち、保
護膜に求められる特性は、放電時の耐スパッタリング
性、高い2次電子放出能(低い放電電圧を与える)、絶
縁性、および、光透過性などがある。これらの条件を満
たす材料として、一般にMgOを蒸着材料とし、電子ビ
ーム蒸着法またはイオンプレーティング法により成膜さ
れたMgO膜が使用されている。このMgO保護膜は、
前述のように誘電体層の表面を放電時のスパッタリング
から守ることでPDPの長寿命化に重要な働きをしてお
り、保護膜の膜密度が高いほど耐スパッタ性は向上する
ことが知られている(非特許文献1)。
【0006】さらに、この保護膜材料(蒸着材料)とし
てはMgO単結晶体およびMgO多結晶体が知られてい
る。このような技術は、例えば、特許文献6〜11等に
記載されるものがある。
【0007】上記MgO多結晶体は一般に海水法や気相
法で得られた任意の純度、不純物組成のMgO粉末を造
粒、成型、焼成することで製造される。一方単結晶Mg
Oは一般に、純度が98%以上のMgOクリンカや軽焼
MgO(1000℃以下で焼結されたもの)を電弧炉
(アーク炉)で溶融することにより、すなわち、電融に
よりインゴットとした後、このインゴットから単結晶部
分を取り出して破砕することにより製造される。これら
を製造するための原料として用いられるMgO粉末やM
gOクリンカー、軽焼MgOには、その製造原理上およ
びMgO固有の反応性の高さゆえ、一般に不純物として
塩素Cl成分が含まれる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】電子ビーム蒸着法や、
イオンプレーティング法などでの成膜時に、MgO蒸着
材から放出される不純物塩素Cl量が、蒸着材の飛散
(スプラッシュ)発生の程度に悪影響を及ぼすことが判
明した。すなわち、不純物塩素Cl量の増大に従ってス
プラッシュ発生の度合いは増大し、スプラッシュ程度が
多いと成膜に使用できる蒸着材量の使用効率が低下し、
結果的に材料コストが増大してしまうという問題があっ
た。さらに不純物塩素Cl量が多いと、得られた膜の結
晶配向性および微細組織の制御が難しくなり、さらにM
gO膜成分の基板上への緻密な堆積を阻害するため、結
果的に膜密度が低下するという問題があった。このMg
Oの膜密度が低下した場合、屈折率の低下、耐スパッタ
性の低下、放電特性、絶縁性の悪化、等の問題点が発生
する可能性があった。
【0009】なお、ここで、スパッタリング法に用いら
れるターゲット材としては上記特許文献12に記載され
る技術が知られている。スパッタリング法に用いられる
ターゲット材を作成する場合には、このターゲット材を
できるだけ高密度に作ることが必要とされる。これに対
して電子ビーム蒸着法に用いられる蒸着材を作成する場
合には、蒸着材として必要とされる密度の範囲は、この
蒸着材からの脱ガス測定および成膜の評価結果から、そ
れほど精密に作製する必要がなく、蒸着材の密度の許容
範囲が比較的広いことを本願発明者らは確認している。
【0010】また、ターゲット材と蒸着材とは微細組織
的には大きな相違点はないけれども、マクロ的には大き
な相違点がある。すなわち、スパッタリング法では、タ
ーゲット材が円板や角板などの比較的大きな板状に形成
されるのに対し、電子ビーム蒸着材では、蒸着材が小さ
なペレット状に形成される。アルゴン等の陽イオンがタ
ーゲット材である成膜材料を原子レベルで叩き出して基
板に堆積させるスパッタリング法において、ターゲット
材を基板などの被成膜物に比べ比較的大きな板状に形成
するのは、ターゲット材から得られる膜の厚さの分布を
均一にするためである。
【0011】これに対し、電子ビームにて加熱し気相状
態にすることにより基板に堆積させる電子ビーム法にお
いて、蒸着材を小さなペレット状に形成するのは、蒸着
材を電子ビーム蒸着装置の坩堝に順次供給するためであ
る。また、電子ビーム蒸着法では、スプラッシュといわ
れる電子ビーム蒸着法に特有の現象や成膜速度上の観点
から蒸着時の最適なサイズ範囲が存在する。
【0012】このようにスパッタリング法と電子ビーム
蒸着法の成膜メカニズムが異なるため、成膜条件も全く
異なり、得られる膜質も異なったものとなる。すなわ
ち、スパッタリング法ではターゲット材がスパッタリン
グされ易いか否か(耐スパッタ性)によって得られた膜
の組成が異なるのに対し、電子ビーム蒸着法では、蒸着
材が気相状態になりやすいか否か(蒸気圧)によって膜
の組成が異なる。この結果、全く同じ組成のターゲット
材と蒸着材から得られる膜の組成は異なり、また、膜中
に取り込まれる不純物量も同様に異なる。
【0013】さらに、ターゲット材では、通常、焼結等
により板状に成形した後に、その表面粗さを平面研削盤
等を用いて約1μm以下になるように研削する必要があ
る。これは、ターゲット材にとがった部分が存在する
と、その部分に電子が集まりやすくなり、アルゴンイオ
ンの衝突が集中してアーキングと呼ばれる現象が発生
し、得られる膜質が不均一になるため、ターゲット材の
尖った部分を除去するためである。これに対して、蒸着
材では、その表面粗さをできるだけ大きくすることによ
り成膜速度を大きくすることができる。このメカニズム
は不明であるけれども、蒸着材の蒸発面積が増えること
が大きな要因であると考えられる。
【0014】従って、ターゲット材と蒸着材とは似て非
なるものであり、それぞれの組成・形状等の条件が類似
するからといって、互いの分野にそれぞれの技術を適応
しているとはいえないものである。
【0015】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
ので、以下の目的を達成しようとするものである。 1.蒸着材におけるスプラッシュの低減を図ること。 2.蒸着材における塩素Cl量の適性化をおこなうこ
と。 3.MgOの膜密度の低下防止を図ること。 4.光透過性の低下、耐スパッタ性の低下、放電特性、
絶縁性の悪化等の防止を図ること。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明のMgO蒸着材に
おいては、MgO純度が99.0%以上かつ相対密度が
90.0%以上で、塩素Cl含有量平均値が0.01〜
50ppmの多結晶ペレットとされることにより上記課
題を解決した。本発明はまた、前記多結晶ペレットが塩
素Cl含有量が低い粒状部分と、該粒状部分よりも塩素
Cl含有量が高い粒界部分とを有することが好ましい。
本発明はまた、前記粒状部分と前記粒界部分とにおける
塩素Clの含有量の比が5より大きいことも可能であ
る。本発明のMgO蒸着材の製造方法において、塩素C
l含有量が0.01〜50ppmのMgO粉末を原料と
して焼結法により多結晶ペレットとすることにより上記
課題を解決した。本発明では、前記多結晶ペレットには
塩素Cl含有量が低い粒状部分と、該粒状部分よりも塩
素Cl含有量が高い粒界部分とを形成することが望まし
い。本発明の前記粒状部分と前記粒界部分とにおける塩
素Clの含有量の比を5より大きくすることができる。
【0017】本発明のMgO蒸着材においては、MgO
純度が99.0%以上かつ相対密度が90.0%以上
で、塩素Cl含有量が0.01〜50ppmとしたこと
により、このようなMgO蒸着材料を用いて、電子ビー
ム蒸着法またはイオンプレーティング法によりAC型P
DP等のMgO保護膜を成膜した際には、スプラッシュ
の発生程度が低減して保護膜としても膜特性を向上する
ことができる。これは、上記のように設定することによ
り、ガス化成分が低減してスプラッシュが低減するため
と考えられる。ここで、膜特性としては、MgOの膜密
度、膜厚分布、屈折率、耐スパッタ性、放電特性(放電
電圧、放電応答性等)、絶縁性等がある。
【0018】ここで、塩素Cl含有量が0.01ppm
より小さく設定された場合には、蒸着材の強度が不十分
であるため好ましくなく、塩素Cl含有量が50ppm
より大きく設定された場合には、電子ビーム蒸着法や、
イオンプレーティング法などでの成膜時に、蒸着材のス
プラッシュ発生程度が増大し、その結果、成膜に使用で
きる蒸着材量の使用効率が低下し、結果的に材料コスト
が増大してしまうとともに、得られた膜の結晶配向性お
よび微細組織の制御が難しくなり、さらにMgO膜成分
の基板上への緻密な堆積を阻害するため、結果的に膜密
度が低下するため好ましくない。
【0019】本発明のMgO蒸着材においては、MgO
純度が99.0%以上かつ相対密度が90.0%以上
で、塩素Cl含有量平均値が0.01〜50ppmの多
結晶ペレットとされることにより、単結晶ペレットに比
べてスプラッシュの発生程度を低減して保護膜としても
膜特性を向上することができる。これは、本願発明者が
得た次のような知見によるものである。単結晶MgOか
らのスプラッシュ粒はりん片状であり、これは結晶面で
のへき開が起こったためと推定される。一方、多結晶M
gOでは形状は不規則で、これは結晶粒界での破断が進
行したためと推定される。さらに、多結晶では単結晶に
比べ脆性が高いため、いったん材料にマイクロクラック
が発生してもただちにスプラッシュとなるには至らな
い。つまり、単結晶MgOに比べて多結晶MgOペレッ
トにおいては、ペレットそのものが分割される頻度の低
減を図ることができるからであると考えられる。
【0020】本発明はまた、前記多結晶体が塩素Cl含
有量が低い粒状部分(結晶粒部分)と、該粒状部分より
も塩素Cl含有量が高い粒界部分とを有することによ
り、スプラッシュの発生程度を低減して保護膜としても
膜特性を向上することができる。これは、本願発明者が
得た次のような知見によるものである。後述する実施例
等の各種分析結果より、単結晶ペレットではガス化成分
である塩素Clが内部にほぼ均一に存在している。そし
てこれに対し、多結晶ペレットではガス化成分である塩
素Clが粒状部分表面(粒界部分)およびペレット表面
に偏在することを突き止めた。つまり、材料内部におい
て、加熱した際にガス化して体積膨張を起こす原因とな
るガス化成分の1つとしての塩素Clが偏在した場合に
は、このガス化成分がイオンビーム蒸着時の加熱によっ
て体積膨張し、この体積膨張がペレットにマイクロクラ
ックを発生させ、このマイクロクラックがスプラッシュ
の引き金となると考えられるからである。
【0021】ただし多結晶では単結晶に比べ脆性が高い
ため、一旦材料にマイクロクラックが発生しても直ちに
スプラッシュには至らない。またその場合にはガス化成
分が抜けるパスが出来るためさらにスプラッシュは起こ
りにくくなると予想される。このため多結晶は単結晶に
比べ、スプラッシュ量が少なくなると考えられる。
【0022】本発明の前記粒状部分と前記粒界部分とに
おける塩素Clの含有量の比を5より大きくすること
が、スプラッシュをさらに抑えるために効果的であるこ
とを見出し得た。
【0023】さらに、上記のように、前記粒状部分と前
記粒界部分とにおける塩素Clの含有量の比は5より大
きく設定されることが好ましい。ここで、上記の両部分
における塩素Clの含有量の比を5より小さくした場合
には、粒状部分におけるガス化成分である塩素Clが多
くなりすぎるため、粒状部分と粒界部分との塩素Cl含
有量の差が小さくなり、ガス化成分の偏在によるメリッ
ト、つまり、加熱時に粒界部分においてガス化成分が抜
けるパスができて、スプラッシュが低減するというメリ
ットが低減してしまうため好ましくない。また、ペレッ
ト全体の塩素Cl含有量が増大して、やはりスプラッシ
ュ低減ができないため好ましくない。
【0024】さらに、本発明において、前記MgOの前
記粒状部分における塩素Clの含有量が0.002元素
%以下とされ、また、前記粒界部分における塩素Clの
含有量が0.01元素%程度とされることができる。こ
こで、上記粒状部分および粒界部分の値は、多結晶体断
面のTEM−EDX(透過型電子顕微鏡形態観察)によ
る組成分析により求めたものである。また、参考とし
て、塩素Clの存在形態はESCA(Electron Spectro
scopy for Chemical Analysis またはXPS;X-ray Ph
otoelectron Spectroscopy)により、試料最表面および
アルゴンイオンでスパッタエッチングした内部について
おこなった。ここで、ESCA分析は、サンプルにX線
を照射して、その際放射される電子エネルギーを測定す
るものである。また、サンプル中に含まれる塩素Clの
平均含有量は、サンプルを高周波融解し、その際放出さ
れる塩素ガスをトラップし、吸光光度計によりその水溶
液の分光透過率を測定し、塩素量を測定した。
【0025】ここで、粒界部分の厚さは1〜200nm
程度とされることが好ましい。これにより、加熱時に、
ガス化成分である塩素Clが体積膨張した際に、ガス化
成分のがペレット外に速やかに抜けるパスが出来るため
さらにスプラッシュを起こりにくくすることができる。
このとき、粒界部分の厚さは1nm程度より薄く設定さ
れた場合には、ガス化成分である塩素Cl濃度の比較的
高い粒界部分を充分形成することができないため加熱時
にガス化成分を速やかに逃がすことができず、スプラッ
シュ程度が増えてしまうため好ましくない。また、粒界
部分の厚さは200nm程度より厚く設定された場合に
は、ガス化成分である塩素Cl含有量が多すぎるため、
スプラッシュ程度が増えてしまい好ましくない。
【0026】さらに、本発明において、前記MgOの焼
結体からなる多結晶ペレットの平均結晶粒径が1〜50
0μmであって、焼結体ペレットの結晶粒内に平均内径
10μm以下の丸みを帯びた気孔を有することができ
る。このMgO蒸着材では、多結晶MgOの焼結体ペレ
ットが微細な結晶構造を有し、かつその結晶粒界に欠陥
が生じるのを低減できるため、成膜されたMgO膜は優
れた膜特性を有する。
【0027】また本発明は、さらに多結晶MgOの焼結
体からなる多結晶ペレットに含まれる、Siが元素濃度
で5000ppm以下であり、またAlの不純物が元素
濃度で300ppm以下であり、Caの不純物が元素濃
度で2000ppm以下であり、Feの不純物が元素濃
度で400ppm以下であり、Cr,V及びNiの不純
物がそれぞれ元素濃度で50ppm以下であり、Na及
びKの不純物がそれぞれ元素濃度で30ppm以下であ
り、Cの不純物が元素濃度で300ppm以下であり、
Zrの不純物が元素濃度で150ppm以下であること
が可能である。このMgO蒸着材では、成膜されたMg
O膜に含まれる不純物が極めて少なくなるので、このM
gO膜の膜特性をさらに向上することができる。
【0028】本発明のMgO蒸着材の製造方法におい
て、塩素Cl含有量が0.01〜50ppmのMgO粉
末を原料として用いることにより、上記のようなMgO
蒸着材を製造することが可能となる。
【0029】また、本発明では、純度が99.0%以上
かつ相対密度が90.0%以上、塩素Cl含有量が0.
01〜50ppmで、平均粒径が0.1〜5μmのMg
O粉末を原料として用い、この粉末とバインダと有機溶
媒とを混合して濃度が45〜75重量%のスラリーを調
製する工程と、前記スラリーを噴霧乾燥して平均粒径が
50〜300μmの造粒粉末を得る工程と、前記造粒粉
末を所定の型に入れて所定の圧力で成形する工程と、前
記成形体を所定の温度で焼結する工程とを有することが
できる。なお、造粒粉末を得る工程は、一般的な転動造
粒法であってもよい。この方法で多結晶MgO蒸着材を
製造すると、上記のMgO純度が99.0%以上かつ相
対密度が90%以上で、塩素Cl含有量が0.01〜5
0ppmであるMgOの焼結体ペレットからなるMgO
蒸着材を得ることができる。
【0030】この際、原料粉末MgOに対する脱塩素処
理として、MgO粉末と水とを作用させてMg(OH)
溶液を作製し、塩素Cl成分をMgCl として分
離した後、大気中で焼成をおこなって水分を除去する。
これにより、塩素Cl含有量の平均値が0.01〜50
ppmの脱塩素MgO粉末を作製することができる。こ
こで、塩素Cl含有量の平均値とは、ペレット全体にお
ける塩素Clの含有量の平均ということであり、粒状部
分および粒界部分におけるそれぞれの塩素Cl含有量と
は違うものである。
【0031】この方法で多結晶MgO蒸着材を製造する
と、上記のMgO純度が99.0%以上かつ相対密度が
90%以上で、塩素Cl含有量が0.01〜50ppm
であるMgOの焼結体の多結晶ペレットからなるMgO
蒸着材を得ることができる。
【0032】さらに、造粒粉末を750〜2000kg
/cm の圧力で一軸加圧成形するか或いは造粒粉末
を1000〜3000kg/cm の圧力でCIP成
形することが好ましく、また成形体を1250〜135
0℃の温度で一次焼結した後、昇温して1500〜17
00℃の温度で二次焼結することが好ましい。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るMgO蒸着材
およびその製造方法の第1実施形態を詳しく説明する。
【0034】本実施形態のMgO蒸着材は、塩素Cl含
有量が0.01〜50ppmとされて、MgO純度が9
9.0%以上、さらに好ましくは99.5%以上、9
9.9%以上、かつ相対密度が90%以上、さらに好ま
しくは97%以上、98%以上の多結晶MgOの焼結体
ペレットからなる。またこの焼結体ペレットの平均結晶
粒径は1〜500μmであり、焼結体からなる多結晶ペ
レットの結晶粒内には平均内径10μm以下の丸みを帯
びた気孔を有する。
【0035】ここで、塩素Cl含有量が0.01ppm
より小さく設定された場合には、蒸着材強度が不十分な
ため好ましくなく、塩素Cl含有量が50ppmより大
きく設定された場合には、電子ビーム蒸着法や、イオン
プレーティング法などでの成膜時に、蒸着材のスプラッ
シュ発生程度が増大し、その結果、成膜に使用できる蒸
着材量の使用効率が低下し、結果的に材料コストが増大
してしまうとともに、得られた膜の結晶配向性および微
細組織の制御が難しくなり、さらにMgO膜成分の基板
上への緻密な体積を阻害するため、結果的に膜密度が低
下するためため好ましくない。
【0036】また、焼結体からなる多結晶ペレットの平
均結晶粒径を1〜500μmとしたのは、この粒径範囲
であれば、MgOの組織を制御できるからである。また
焼結体ペレットの結晶粒内の気孔の平均内径を10μm
以下としたのは、10μmを越えるとMgOの組織制御
が難しいからである。
【0037】焼結体からなる多結晶ペレットは、前記多
結晶体が塩素Cl含有量が低い粒状部分(結晶粒部分)
と、この粒状部分(結晶粒部分)の周りに、該粒状部分
よりも塩素Cl含有量が高い粒界部分とを有する。具体
的に、それぞれの塩素Cl含有量は、それぞれ、前記粒
状部分における塩素Clの含有量が0.000001〜
0.003元素%程度とされることが好ましく、また、
前記粒界部分における塩素Clの含有量が0.005〜
0.1元素%程度とされることが好ましい。
【0038】ここで、前記粒状部分における塩素Clの
含有量が0.000001〜0.003元素%程度の範
囲に設定されなかった場合には、平均の塩素Cl量が大
きくなり、スプラッシュが極めて激しくなったり、原材
料の脱塩素処理が極めて長くなり結果的に製造コストの
増大を招くことになるため好ましくない。また、前記粒
界部分における塩素Clの含有量が0.005〜0.1
元素%程度の範囲に設定されなかった場合には、スプラ
ッシュの低減効果が不充分となるため好ましくなくい。
【0039】また、上記のように、前記粒状部分と前記
粒界部分とにおける塩素Clの含有量の比は3より大き
く設定されることが好ましい。ここで、上記の両部分に
おける塩素Clの含有量の比を3より小さくした場合に
は、粒状部分におけるガス化成分である塩素Clが多く
なりすぎるため、粒状部分と粒界部分との塩素Cl含有
量の差が小さくなり、ガス化成分の偏在によるメリッ
ト、つまり、加熱時に粒界部分においてガス化成分が抜
けるパスができて、スプラッシュが低減するというメリ
ットが低減してしまうため好ましくない。また、ペレッ
ト全体の塩素Cl含有量が増大して、やはりスプラッシ
ュ低減ができないため好ましくない。また、塩素Clの
含有量の比を上記の値より小さくして塩素Cl含有量の
平均を小さくしない場合には、粒界部分に沿って発生す
ると考えられるガス化成分のペレット外への膨出が阻害
される可能性があり、ガス化成分の体積膨張のためにマ
イクロクラックが発生してスプラッシュ発生程度が高く
なる可能性があるため好ましくない。
【0040】ここで、粒界部分の厚さは1〜200nm
程度とされることが好ましい。 このとき、粒界部分の
厚さは1nm程度より薄く設定された場合には、ガス化
成分である塩素Cl濃度の比較的高い粒界部分を充分形
成することができないため加熱時にガス化成分を速やか
に逃がすことができず、スプラッシュ程度が増えてしま
うため好ましくない。また、粒界部分の厚さは200n
m程度より薄く設定された場合には、ガス化成分である
塩素Cl含有量が多すぎるため、スプラッシュ程度が増
えてしまい好ましくない。
【0041】多結晶MgOの焼結体ペレットに含まれる
不純物(Si,Al,Ca,Fe,Cr,V,Ni,N
a,K,C及びZr)の含有量は合計で10000pp
m以下であることが好ましい。また上記不純物の個別的
な含有量は、Siが元素濃度で5000ppm以下、A
lが元素濃度で300ppm以下であり、Caの不純物
が元素濃度で2000ppm以下であり、Feの不純物
が元素濃度で400ppm以下であり、Cr,V及びN
iの不純物がそれぞれ元素濃度で50ppm以下であ
り、Na及びKの不純物がそれぞれ元素濃度で30pp
m以下であり、Cの不純物が元素濃度で300ppm以
下であり、Zrの不純物が元素濃度で150ppm以下
であることが好ましい。上記各不純物が元素濃度で上記
値を超えると、MgO蒸着材を電子ビーム蒸着法で成膜
したガラス基板をパネルに組込んだときに、膜質にばら
つきが生じるために、電気的特性、例えば駆動電圧が高
くなったり或いは不安定になったりする不具合がある。
【0042】このように構成されたMgO蒸着材の製造
方法を説明する。
【0043】まず、純度が99.0%以上のMgO粉末
から、塩素Cl含有量が0.01〜50ppmの脱塩素
MgO粉末を作製する。ここで、MgO粉末と水とを作
用させてMg(OH) 溶液を作製し、塩素Cl成分
をMgCl として分離した後、大気中で焼成をおこ
なって水分を除去し、塩素Cl成分量の少ない脱塩素M
gO粉末を得る。
【0044】この塩素Cl含有量が0.01〜50pp
mとされた脱塩素MgO粉末とバインダと有機溶媒とを
混合して、濃度が45〜75重量%のスラリーを調製す
る。スラリーの濃度を45〜75重量%に限定したの
は、75重量%を越えると上記スラリーが非水系である
ため、安定した造粒が難しい問題点があり、45重量%
未満では均一な組織を有する緻密なMgO焼結体が得ら
れいないからである。即ち、スラリー濃度を上記範囲に
限定すると、スラリーの粘度が200〜1000cps
となり、スプレードライヤによる粉末の造粒を安定して
行うことができ、更には成形体の密度が高くなって緻密
な焼結体の製造が可能になる。
【0045】また脱塩素MgO粉末の平均粒径は0.1
〜5μmの範囲内にあることが好ましい。MgO粉末の
平均粒径を0.1〜5μmと限定したのは、0.1μm
未満では、粉末が細かすぎて凝集するため、粉末のハン
ドリングが悪くなり、45重量%以上の高濃度スラリー
を調製することが困難となるためであり、5μmを越え
ると、微細構造の制御が難しく、緻密な焼結体ペレット
が得られないからである。またMgO粉末の平均粒径を
上記範囲に限定すると、焼結助剤を用いなくても所望の
焼結体ペレットが得られる利点もある。バインダとして
はポリエチレングリコールやポリビニールブチラール等
を、有機溶媒としてはエタノールやプロパノール等を用
いることが好ましい。バインダは0.2〜2.5重量%
添加することが好ましい。
【0046】またMgO粉末とバインダと有機溶媒との
湿式混合、特にMgO粉末と分散媒である有機溶媒との
湿式混合は、湿式ボールミル又は撹拌ミルにより行われ
る。湿式ボールミルでは、ZrO 製ボールを用いる
場合には、直径5〜10mmの多数のZrO 製ボー
ルを用いて8〜24時間、好ましくは20〜24時間湿
式混合される。ZrO 製ボールの直径を5〜10m
mと限定したのは、5mm未満では混合が不十分となる
ことからであり、10mmを越えると不純物が増大する
不具合があるからである。また混合時間が最長24時間
と長いのは、長時間連続混合しても不純物の発生が少な
いからである。一方、湿式ボールミルにおいて、鉄芯入
りの樹脂製ボールを用いる場合には、直径10〜15m
mのボールを用いることが好ましい。
【0047】撹拌ミルでは、直径1〜3mmのZrO
製ボールを用いて0.5〜1時間湿式混合される。Z
rO 製ボールの直径を1〜3mmと限定したのは、
1mm未満では混合が不十分となることからであり、3
mmを越えると不純物が増える不具合があるからであ
る。また混合時間が最長1時間と短いのは、1時間を越
えると原料の混合のみならず粉砕の仕事をするため、不
純物の発生の原因となり、また1時間もあれば十分に混
合できるからである。また、粉末とバインダ液の混合/
造粒は、一般的な転動造粒法でおこなってもよい。この
場合、工程後のボール等との分離作業が必要なく、工程
が簡略化される利点がある。
【0048】次に上記スラリーを噴霧乾燥して平均粒径
が50〜300μm、好ましくは50〜200μmの造
粒粉末を得た後、この造粒粉末を所定の型に入れて所定
の圧力で成形する。ここで、平均粒径を50〜300μ
mと限定したのは、50μm未満では成形性が悪い不具
合があり、300μmを越えると成形体密度が低く強度
も低い不具合があるからである。上記噴霧乾燥はスプレ
ードライヤを用いて行われることが好ましく、所定の型
は一軸プレス装置又は冷間静水圧成形装置(CIP(Co
ld Isostatic Press)成形装置)が用いられる。一軸プ
レス装置では、造粒粉末を750〜2000kg/cm
、好ましくは1000〜1500kg/cm の圧
力で一軸加圧成形し、CIP成形装置では、造粒粉末を
1000〜3000kg/cm 、好ましくは150
0〜2000kg/cm の圧力でCIP成形する。
圧力を上記範囲に限定したのは、成形体の密度を高める
とともに焼結後の変形を防止し、後加工を不要にするた
めである。
【0049】さらに成形体を焼結する。焼結する前に成
形体を350〜620℃の温度で脱脂処理することが好
ましい。この脱脂処理は成形体の焼結後の色むらを防止
するために行われ、時間をかけて十分に行うことが好ま
しい。焼結は1250〜1350℃の温度で1〜5時間
行う一次焼結と、この後に更に昇温して1500〜17
00℃の温度で1〜10時間行う二次焼結とからなる二
段焼結により行われる。
【0050】成形体を先ず一次焼結するために昇温する
と、1200℃から焼結が始まり、1350℃で焼結は
かなり進む。この温度で一次焼結することにより、粒径
が大きくてもその表面と内部との焼結むら(組織構造の
差)はなく、1500〜1700℃の温度で二次焼結す
ることにより、相対密度が100%に近い焼結体ペレッ
トが得られる。この焼結体ペレットには僅かな気孔が存
在するが、この気孔はMgO焼結体の特性に影響を与え
る結晶粒界ではなく、MgO焼結体の特性に殆ど影響を
与えない結晶粒内に存在する。この結果、本発明の塩素
Cl含有量とされるMgO焼結体ペレットをプラズマデ
ィスプレイパネルに成膜すると、スプラッシュが少な
く、膜特性の良好なMgO膜を得られる。
【0051】なお、形状の大きな成形体を焼結する場合
には、上記二段焼結時の昇温速度を20〜30℃/時間
と遅くすれば更に緻密化を図ることができる。また、常
圧における焼結では、焼結温度が1500℃未満である
と十分に緻密化できないけれども、焼結温度が1500
℃以上であれば高密度の焼結体を得ることができるの
で、熱間静水圧成形法(HIP(Hot Isostatic Press
)法)やホットプレス法等の特殊な焼結を行わなくて
も済む。
【0052】本実施形態のMgO蒸着材およびその製造
方法においては、MgO純度が99.0%以上かつ相対
密度が90.0%以上で、塩素Cl含有量平均値が0.
01〜50ppmの多結晶ペレットとされることによ
り、このようなMgO蒸着材料を用いて、電子ビーム蒸
着法またはイオンプレーティング法によりAC型PDP
等のMgO保護膜を成膜した際には、単結晶ペレットに
比べてスプラッシュの発生程度を低減して保護膜として
も膜特性を向上することができる。これは、上記のよう
に設定することにより、ガス化成分が低減してスプラッ
シュが低減するためと考えられる。
【0053】これにより、電子ビーム蒸着法や、イオン
プレーティング法などでの成膜時に、蒸着材のスプラッ
シュ発生程度が増大することを防止し、その結果、成膜
に使用できる蒸着材量の使用効率低下を防止し、結果的
に材料コストの低減を図ることができるとともに、得ら
れた膜の結晶配向性および微細組織の制御が難しくなる
ことを防止し、さらにMgO膜成分を基板上へ緻密に堆
積させるため、結果的に膜密度の低下を防止できる。
【0054】さらに、本実施形態のMgO蒸着材におい
ては、単結晶MgOからのスプラッシュ粒は、結晶面で
のへき開が起こったためと推定されるりん片状であるの
に対し、一方、多結晶MgOでは、これは結晶粒界での
破断が進行したためと推定され、その形状は不規則であ
るためスプラッシュが低減すると考えられる。さらに、
多結晶では単結晶に比べて脆性が高いため、いったん材
料にマイクロクラックが発生してもただちにスプラッシ
ュとなるには至らず、つまり、単結晶MgOに比べて多
結晶MgOペレットにおいては、ペレットそのものが分
割される頻度の低減を図ることができることによりスプ
ラッシュが低減するためと考えられる。
【0055】本実施形態はまた、前記多結晶体が塩素C
l含有量が低い粒状部分(結晶粒部分)と、該粒状部分
よりも塩素Cl含有量が高い粒界部分とを有することに
より、スプラッシュの発生程度を低減して保護膜として
も膜特性を向上することができる。これは、各種分析結
果より、単結晶ペレットではガス化成分である塩素Cl
が内部にほぼ均一に存在しているのに対し、多結晶ペレ
ットではガス化成分である塩素Clが粒状部分表面(粒
界部分)およびペレット表面に偏在することに起因する
と考えられる。
【0056】つまり、材料内部において、加熱した際に
ガス化して体積膨張を起こす原因となるガス化成分の1
つとしての塩素Clが偏在することにより、このガス化
成分が電子ビーム蒸着時の加熱によって体積膨張した場
合でも、この体積膨張により発生するペレットのマイク
ロクラックを粒界部分に沿って発生させることにより、
マイクロクラックが直接的にスプラッシュの引き金とな
ることを低減することができると考えられるからであ
る。
【0057】さらに、多結晶では単結晶に比べ脆性が高
いため、一旦材料にマイクロクラックが発生しても直ち
にスプラッシュには至らない。またその場合にはガス化
成分が抜けるパスが出来るためさらにスプラッシュは起
こりにくくなると予想される。 このため多結晶は単結
晶に比べ、スプラッシュ量が少なくなると考えられる。
【0058】本実施形態において、前記粒状部分と前記
粒界部分とにおける塩素Clの含有量の比を上述したよ
うに設定することにより、上記のように前記粒状部分と
前記粒界部分とにおける塩素Clの含有量の比を設定す
ることができ材料の脆性のみならず、スプラッシュの引
き金となるガス化成分としての塩素Cl量の低減を図る
ことができるため、スプラッシュをさらに抑えるために
効果的である。
【0059】さらに、粒界部分の厚さが1〜200nm
程度とされることにより、加熱時に、ガス化成分である
塩素Clが体積膨張した際に、ガス化成分のがペレット
外に速やかに抜けるパスが出来るためさらにスプラッシ
ュを起こりにくくすることができる。このとき、粒界部
分の厚さは1nm程度より薄く設定された場合には、ガ
ス化成分である塩素Cl濃度の比較的高い粒界部分を充
分形成することができないため加熱時にガス化成分を速
やかに逃がすことができず、スプラッシュ程度が増えて
しまうため好ましくない。また、粒界部分の厚さは20
0nm程度より薄く設定された場合には、ガス化成分で
ある塩素Cl含有量が多すぎるため、スプラッシュ程度
が増えてしまい好ましくない。
【0060】以下、本発明に係るMgO蒸着材およびそ
の製造方法の第2実施形態を詳しく説明する。
【0061】本実施形態においても、第1実施形態と同
様に、塩素Cl含有量が0.01〜50ppmとされ
て、純度が99.0%以上の脱塩素MgO粉末を電融
し、徐冷してインゴットとした後、このインゴットから
単結晶部を取り出して破砕し、約2〜8mm径で中心径
約5mmの板状単結晶ペレットを作製する。この結果、
第1実施形態と同様に、本実施形態の塩素Cl含有量と
されるMgO単結晶ペレットをプラズマディスプレイパ
ネルに成膜すると、スプラッシュが少なく、膜特性の良
好なMgO膜を得ることができる。
【0062】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明
をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えな
い限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0063】まず、市販のMgO粉末/クリンカを高周
波融解し、その際放出される塩素ガスをトラップし、吸
光光度計によりその水溶液の分光透過率を測定し、塩素
Cl含有量を測定した。また、原子吸光およびICP
(Inductiveli Coupled Plasmeemission pectrochemica
l analysis 誘導結合形プラズマ分析法)により、Mg
O純度を測定した。ここで、クリンカの場合は、粉砕し
て粉末とした。また、MgO純度は、ICPにより得ら
れた主要な不純物金属元素(Al,Si,Fe,Ca,
Ni,Na,K,Zr,Cr,V,C)量を100%よ
り差し引いた値で示した。これらの結果を表1に示す。
【0064】これらの粉末と水とを作用させてMg(O
H) 溶液を作製し、塩素Cl成分をMgCl とし
て分離した後、大気中で焼成をおこなって水分を除去
し、塩素Cl成分量の少ない脱塩素MgO粉末を得た。
各脱塩素MgO粉末における塩素Cl量も表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】<実施例1〜4>この表1に示す脱塩素処
理を施した脱塩素MgO粉末(平均粒径0.3μm)に
対し、バインダとしてポリエチレングリコールを1重量
%添加し、メタノール変性アルコールを分散媒とするス
ラリーを濃度30重量%に調製した。次いでこのスラリ
ーをボールミル(直径5〜20mmのナイロンコートス
チールボール使用)にて24時間湿式混合した後、真空
乾燥機にて80℃で分散媒を気化させ、引き続き乾式に
て解砕することで、平均粒径200μmの造粒粉末を得
た。次に得られた造粒粉末を一軸成形プレス装置にて、
1000kg/cm で外径6.7mmφ、厚さ2.
0mmに成形した。更にこの成形体を電気炉に入れ、大
気中1300℃で1時間一次焼成した後、1650℃で
3時間二次焼成した。得られた多結晶焼結体ペレット
は、外径5.0±0.5mmφ、厚さ1.6±0.2m
mであった。この焼結体の円板を実施例1〜4とした。
【0067】<実施例5>この表1に示す脱塩素処理を
施した脱塩素MgO粉末を電融し、徐冷してインゴット
とした後、このインゴットから単結晶部を取り出して破
砕し、約2〜8mm径で中心径約5mmの板状単結晶ペ
レットを得て、これを実施例5とした。
【0068】<比較例1〜4>脱塩素処理を施す前のM
gO粉末を用いて、実施例1〜4と同様に多結晶焼結体
ペレットを得て、これを比較例1〜4とした。
【0069】<比較例5>脱塩素処理を施す前のMgO
粉末を用いて、実施例5と同様に板状単結晶ペレットを
得て、これを比較例5とした。
【0070】<比較試験と評価> (a)相対密度及び塩素Cl量測定 実施例1〜5および比較例1〜5で得られたペレットの
相対密度をそれぞれトルエン中、アルキメデス法で測定
した。また、MgO粉末と同様、MgOペレット中の塩
素Cl量を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0071】(b)スプラッシュ評価 MgO蒸着材のスプラッシュ試験は、電子ビーム蒸着装
置の半球状のハース(直径50mm、深さ25mm)に
実施例1〜5および比較例1〜5で得られた蒸着材を仕
込み、到達真空度2.66×10−4Pa(2.0×1
−6Torr)、O 分圧1.33×10−2Pa
(1.0×10−4Torr)の雰囲気にして、加速電圧1
0kV、ビームスキャンエリア約40mmφの電子ビー
ムを照射することで、MgO蒸着材を加熱した。なお、
電子ビーム電流量は90mAで10min保持し、その
際のハースの状態をデジタルビデオカメラにて直接観察
し、飛散する粒子の数をカウントすることで評価した。
この結果を表2に示す。
【0072】(c)耐スパッタリング性評価 実施例1〜5および比較例1〜5で得られたMgO蒸着
材を用いて、膜厚1000Åの熱酸化膜の付いたシリコ
ンウェハ上に、到達真空度2.66×10−4Pa
(2.0×10−6Torr)、O 分圧1.33×10
−2Pa(1.0×10−4Torr)、基板温度200
℃、MgO蒸着材と基板間の距離400mm、成膜速度
15Å/secの条件で、約8000Åの膜厚のMgO
薄膜を得た。このMgO薄膜をArイオン(2kV)に
て膜表面よりエッチングし、膜厚を膜全体がエッチング
されるまでの時間で除した値Spによって耐スパッタリ
ング性を評価した。ここで、膜全体がエッチングされる
時間は、膜成分のMgと基板成分のSiとの元素量曲線
が交差するまでの時間とする。また、Sp値は小さいほ
ど耐スパッタ性が良好であることを示している。この結
果を表2に示す。
【0073】
【表2】
【0074】これらの結果から、実施例1〜5のMgO
蒸着材を使用した場合には、スプラッシュが1桁と少な
く、またSp値が11.0以下であるのに対し、比較例
1〜5のMgO蒸着材を使用した場合には、スプラッシ
ュが2桁となり、またSp値が11.0以上となり、耐
スパッタ性が低下していることが解る。
【0075】(d)単結晶と多結晶の硬さ(材料の脆
性)比較 焼結法による多結晶ペレットである実施例3と、電融法
による単結晶ペレットである実施例5とでビッカース硬
度(Hv)、破壊靭性(KIC)の測定をおこなった。
ビッカース硬度(Hv)は、実施例3と実施例5におい
て、それぞれ608±35、698±51(実測値)
で、単結晶である実施例5が15%程高いが、一方破壊
靭性(KIC)は、それぞれ1.91Mpa・
1/2、1.26Mpa・m1/2(実測値)で単結
晶である実施例5は34%程低く、一旦マイクロクラッ
クが発生すると直ちに伝播し、蒸着材破片の飛散(スプ
ラッシュ)が起こり易いと考えられる。
【0076】(e)結晶質によるスプラッシュ比較試験 上記(b)におけるスプラッシュ評価と同様に、多結晶
ペレットである実施例3と、単結晶ペレットである実施
例5とでスプラッシュ試験をおこなった。ここでのスプ
ラッシュ評価は、前述した内容とほぼ同じだが、電子ビ
ーム電流値を30〜240mAに順次増加させ、各電流
値で1min間保持した際の値を示した。その結果を図
1に示す。
【0077】図1の結果から単結晶ペレットである実施
例5に比べて、多結晶ペレットである実施例3の方が、
スプラッシュ発生は半分程度以下であることがわかる。
また、このときのスプラッシュ粒を調べた。その結果を
図2に示す。
【0078】図2によれば、単結晶からのスプラッシュ
粒はりん片状であり、これは結晶面でのへき開が起こっ
たためと推定される。一方、多結晶では形状は不規則
で、これは結晶粒界での破断が進行したためと推定され
る。単結晶はガス化成分が内部に均一に存在し、一方多
結晶体は表面/粒界面に偏在(各種分析結果)し、材料
内部のガス化成分の加熱による体積膨張がスプラッシュ
の引き金となると考えられる。ただし多結晶では単結晶
に比べ脆性が高いため、一旦材料にマイクロクラックが
発生しても直ちにスプラッシュには至らない。またその
場合にはガス化成分が抜けるパスが出来るためさらにス
プラッシュは起こりにくくなると予想される。このため
多結晶は単結晶に比べ、スプラッシュ量が少なかった
(表2、図1)と考えられる。以上のように材料の脆性
も重要だが、表2より、スプラッシュの引き金となるガ
ス化成分量の低減が、スプラッシュをさらに抑えること
により一層効果的であることがわかる。
【0079】(f)ガス化成分(塩素Cl)偏在評価 次に、実施例4における多結晶ペレット内において、粒
状・粒界部分、最表面、および、全体に対して次のよう
な組成・形態分析をおこなった。
【0080】1.粒界・粒状部分分析:TEM−EDX
(透過型電子顕微鏡形態観察)により、分析点30nm
φでおこなった。 2.最表面分析;ESCAにより評価。アルゴンイオン
でサンプル表面を0.5分間スパッタエッチング(最表
面より約0.5nmのエッチング)してクリーニングし
た後の表面の分析。分析深さは0.5〜5nm程度。 3.全体分析;サンプル全体を高周波溶解し、その際放
出される塩素ガスをトラップし、吸光光度計によりその
水溶液の分光透過率を測定し、塩素量を測定した。 これらの結果を表3,表4および図3に示す。図3はサ
ンプルの断面TEM写真であり、図において、符号1〜
5は測定点を示すものであり、点1〜3は粒界部分に、
また、点4,5は結晶粒部分(粒状部分)に位置してい
る。また、各点1〜5を表においては#1〜#5で示し
ている。
【0081】
【表3】
【表4】
【0082】<結果>塩素Clは粒界部分に0.01元
素%偏在することは確認されたが、粒状部分においては
その濃度が低すぎ、直接検出できない検出限界以下であ
った。また、多結晶最表面の塩素Clは塩化物の形態で
存在することから、粒界でも同様であると推察される。
一方分光透過率測定では、塩素Clが20ppm(0.
002重量%)だったため、概算される塩素Cl量は
0.002元素%以下であることから、粒界に極めて多
くの塩素Clが存在し、粒状部分と粒界部分とにおける
塩素Clの含有比は5倍以上であることが判る。
【0083】このように、表3,表4の結果から、結晶
粒部分(粒状部分)にはガス化成分が殆ど存在せず、ま
た、粒界部分にガス化成分が殆ど偏在していることがわ
かる。
【0084】
【発明の効果】本発明のMgO蒸着材によれば、MgO
純度が99.0%以上かつ相対密度が90.0%以上
で、塩素Cl含有量が0.01〜50ppmとしたこと
により、このようなMgO蒸着材料を用いて、電子ビー
ム蒸着法またはイオンプレーティング法によりAC型P
DP等のMgO保護膜を成膜した際には、スプラッシュ
の発生程度が低減して、保護膜として、MgOの膜密
度、膜厚分布、光透過性、耐スパッタ性、放電特性(放
電電圧、放電応答性等)、絶縁性等の膜特性を向上する
ことができるという効果を奏する。また、本発明のMg
O蒸着材の製造方法において、塩素Cl含有量が0.0
1〜50ppmのMgO粉末を原料として用いることに
より、上記のようなMgO蒸着材を製造することが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るMgO蒸着材およびその製造方
法の実施例におけるスプラッシュ試験の結果を示すもの
で、電子ビーム電流値に対するスプラッシュ粒数のグラ
フである。
【図2】 本発明に係るMgO蒸着材およびその製造方
法の実施例におけるスプラッシュ試験の結果を示すもの
で、単結晶および多結晶におけるスプラッシュ片の画像
である。
【図3】 本発明に係るMgO蒸着材およびその製造方
法の実施例におけるガス化成分偏在評価の結果を示すも
ので、サンプル断面のTEM写真で、その測定点位置を
示すものである。
【符号の説明】
1〜5 測定点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 豊口 銀二郎 茨城県那珂郡那珂町向山1002−14 三菱マ テリアル株式会社総合研究所那珂研究セン ター内 (72)発明者 黒光 祥郎 茨城県那珂郡那珂町向山1002−14 三菱マ テリアル株式会社総合研究所那珂研究セン ター内 Fターム(参考) 4K029 BA02 BA43 BC07 CA03 DB05 DB08 DB21

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 MgO純度が99.0%以上かつ相対密
    度が90.0%以上で、塩素Cl含有量平均値が0.0
    1〜50ppmの多結晶ペレットとされることを特徴と
    するMgO蒸着材。
  2. 【請求項2】 前記多結晶ペレットが塩素Cl含有量が
    低い粒状部分と、該粒状部分よりも塩素Cl含有量が高
    い粒界部分とを有することを特徴とする請求項1記載の
    MgO蒸着材。
  3. 【請求項3】 前記粒状部分と前記粒界部分とにおける
    塩素Clの含有量の比が5より大きいことを特徴とする
    請求項2記載のMgO蒸着材。
  4. 【請求項4】 純度が99.0%以上かつ塩素Cl含有
    量が0.01〜50ppmのMgO粉末を原料として焼
    結法により多結晶ペレットとすることを特徴とするMg
    O蒸着材の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記多結晶ペレットには塩素Cl含有量
    が低い粒状部分と、該粒状部分よりも塩素Cl含有量が
    高い粒界部分とを形成することを特徴とする請求項4記
    載のMgO蒸着材の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記粒状部分と前記粒界部分とにおける
    塩素Clの含有量の比を5より大きくすることを特徴と
    する請求項5記載のMgO蒸着材の製造方法。
JP2002335650A 2001-11-30 2002-11-19 MgO蒸着材およびその製造方法 Withdrawn JP2003226958A (ja)

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