JP2003224987A - 振動型駆動装置 - Google Patents

振動型駆動装置

Info

Publication number
JP2003224987A
JP2003224987A JP2002336664A JP2002336664A JP2003224987A JP 2003224987 A JP2003224987 A JP 2003224987A JP 2002336664 A JP2002336664 A JP 2002336664A JP 2002336664 A JP2002336664 A JP 2002336664A JP 2003224987 A JP2003224987 A JP 2003224987A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
contact
vibrating body
vibration
type drive
drive device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2002336664A
Other languages
English (en)
Inventor
Takao Mori
敬夫 森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2002336664A priority Critical patent/JP2003224987A/ja
Publication of JP2003224987A publication Critical patent/JP2003224987A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 振動型駆動装置の振動体とロータとの接触面
では、外周側と内周側とで角速度に差があったため、接
触面の外周側の部位が内周側の部位を牽引することにな
る。そのため、振動体に発生した外周側のトルクの一部
はこの牽引に用いられてしまい、トルクに損失が生じて
いた。 【解決手段】 振動体に発生する振動の腹の中心位置に
おける送り方向速度を、外週側の質点ほど高くなるよう
振動体を構成する。この腹の中心位置における送り方向
速度を、振動体の半径に比例させることで、トルクの損
失がなくなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は超音波モータ等の振
動型駆動装置に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】金属等の弾性体に電気−機械エネルギー
変換素子を固定した振動体と、この振動体の駆動面に接
触するロータとを有し、電気−機械エネルギー変換素子
に交番信号を印加して振動体に振動(進行波)を励起さ
せ、振動体とロータとの間の摩擦を利用して振動体とロ
ータを相対移動させる超音波モータ等の振動波駆動装置
の提案が数多くなされている。
【0003】振動波駆動装置は、振動体とロータの接触
面が摩擦によって摩耗するため、摩耗量を減少させるこ
とが装置としての寿命を延ばすための課題の一つになっ
ている。そこで、振動体とロータの接触面の摩耗量を減
らすため、振動体とロータの接触状態を均一に保つため
の構成が提案されている。
【0004】例えば、ロータの接触面に、振動体の接触
面の約1/3の幅を有する摩擦材を貼り合わせ、この摩
擦材と振動体とを接触させるものがある(例えば、特許
文献1参照)。摩擦材を振動体の接触面の内外周の角と
接触させない構成とすることで、摩擦材の損傷を防ぎ、
振動体とロータの接触状態を均一に保つものである。ま
た、この構成によれば、摩擦材の内外周での移動速度差
を低減させて、接触面でのエネルギーの損失を低減させ
ることもできる。
【0005】
【特許文献1】特開平2−269485号公報 (第3
頁、第2図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の構成は
振動体とロータとの接触面積が小さくなるため、振動体
とロータとの摩擦力が小さくなり、効率良く駆動トルク
を得ることができない。
【0007】ロータが一定の速度で回転している場合、
ロータの角速度は当然のことながら一定となる。しか
し、ロータ全体としての角速度は一定になっているが、
ロータの接触面の外周側と内周側とで、角速度と発生す
るトルクに差が生じる。角速度が大きい外周側で発生す
るトルクは、角速度が小さい内周側で発生するトルクよ
りも大きく、接触面の外周側が内周側を牽引することに
なる。その結果、外周側のトルクの一部は角速度を均一
化するために使用されてしまい、トルクの損失を生じて
しまう。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本願請求項1記載の発明は、交番信号が供給される
ことにより進行波を発生する振動体と、振動体に接触し
て振動によって回転駆動する接触体とを有する振動型駆
動装置であって、振動体と接触体との接触領域が径方向
に複数形成され、振動体の接触領域において、振動の腹
の中心位置の進行波の進行方向における変位速度が振動
体の外周側ほど大きいことを特徴とする。
【0009】具体的には、振動体の接触領域において、
振動の腹の中心位置の該進行波の進行方向における変位
速度が、該振動体の半径に比例するよう振動体を構成す
る。
【0010】同様に上記課題を解決するため、本願請求
項5記載の発明は、交番信号が供給されることにより進
行波を発生する振動体と、振動体に接触して振動によっ
て回転駆動する接触体とを有する振動型駆動装置であっ
て、振動体と接触体との接触領域が径方向に複数形成さ
れ、振動体の接触領域において、振動体の外周側ほど剛
性が高いことを特徴とする。
【0011】同様に上記課題を解決するため、本願請求
項8記載の発明は、交番信号が供給されることにより進
行波を発生する振動体と、振動体に接触して振動によっ
て回転駆動する接触体とを有する振動型駆動装置であっ
て、振動体と接触体の少なくとも一方には、他方と接触
するために径方向に複数配置されたばね部を有し、複数
配置されたばね部は外周側のものほどばね定数が高いこ
とを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】上記の課題は、振動体とロータの
摺動部において、高周波振動による両者の質点速度が等
しくなる点での送り方向角速度が一定(線速度と半径と
が比例する)となる関係に近づくよう振動体とロータ
(接触体)を構成することで解決される。この振動体と
ロータの摺動部において、互いの速度が等しくなる点
を、以下グリップポイントという。
【0013】内径側の半径をr1、外径側の半径をr2
とし両半径におけるグリップポイントでの線速度をVg
1(r=r1)とVg2(r=r2)とすると、ロータ
が一体的に成形されているため必然的に次式の関係を成
立しながら駆動される。
【0014】
【外1】
【0015】しかしながら、半径に応じて振動体の振幅
が異なることや、ロータも厳密には部位によって剛性に
差があることから、ロータが一体的に成形されているこ
とを無視して考えた場合は、グリップポイントは必ずし
も(1)式を満たす位置に発生するとは限らない。しか
し、上述したように、ロータが一体的に成形されている
のであればグリップポイントは(1)式を満たす位置に
発生する。この差が振動体で生じるトルク損失を増大さ
せる要因となっている。
【0016】この損失を減らすためには、ロータが一体
に成形されていることを無視して考慮する場合、つまり
は振動体とロータとの接触を各半径において独立して考
慮する場合であっても、(1)式の関係が成立するよう
に振動体とロータを構成すればよい。
【0017】送り方向の移動速度差による滑りについて
は特開平6−189567に詳細に説明されているので
参照されたい。なお、送り方向の移動速度とは、振動の
腹の中心位置の進行波の進行方向における変位速度のこ
とである。ここでは、グリップポイントの発現位置につ
いて説明する。
【0018】振動体に振動を励起したときの、振動体と
ロータの接触面での振動変位と、接触面にかかる面圧を
図1に示す。実線が振動体の振動変位、破線はロータの
振動変位である。振動体とロータとの接触領域は、振動
体の振幅、ロータの剛性、及び、接触加圧力によって決
定される。ロータの駆動モードの共振周波数は、この振
動波駆動装置の駆動周波数よりも十分に高く設定されて
おり、ロータは振動体の曲げ振動を追従できるように構
成されている。
【0019】図中、A点、B点での質点速度をVas
(A点での振動体速度)、Var(A点でのロータ速
度)、Vbs(B点での振動体速度)、Vbr(B点で
のロータ速度)とする。なお、A点は振動体に励起され
た振動の腹の中心位置であって、かつ、ロータ側に変位
した位置(以下、振動の波頭という)である。ロータは
接触領域内で異なる速度VasからVbsまでの範囲の
送り運動を振動体から受ける。振動体とロータの質点速
度が等しくなる点Vgはこの両者の間で生じ、この点が
滑りがないグリップポイントとなる。それ以外の接触領
域では振動体の接触点とロータの接触点との速度が異な
るため両者の間には滑りが生じる。
【0020】実際には、接触面では振動体とロータとの
間に滑りが生じていないスティック領域と、すべりが生
じているスリップ領域が存在し、グリップポイントとし
て1質点が定まることはない。振動体とロータの接触部
は、ロータの動的な応答、位相遅れ、表面あらさ、ある
いは、うねりなどさまざまな因子の影響を受けるため、
詳細な接触状態を把握するためには、より複雑な接触部
モデルを構築しなければならない。しかし、ここでは、
接触面のばね定数kとロータ線速度の関係を径方向にお
いて把握できれば足りるため、1質点として考えて簡素
化している。
【0021】発明者が有限要素法により計算した結果を
用いて、図1の接触状態におけるロータの回転軸方向に
かかる面圧の分布を同図に示す。図中、グリップポイン
ト速度をVg、振動体波頭速度(振動体のA点における
速度)Vas、接触領域の位相θc、グリップポイント
の位相θg、ロータの沈み込み量Zc、振動体の軸方向
振幅As、面積Sa、Sbとする。
【0022】グリップポイントは面積Sa=Sbとなる
位置、すなわち次式が成立する位置に発現する。
【0023】
【外2】
【0024】各質点での反力に応じて各質点での摩擦力
が決まり、各質点での振動体とロータが相対移動する方
向に応じて各質点での摩擦力の正負の方向が決定され
る。グリップポイントでは、正の方向と負の方向に作用
する摩擦力の総和が等しくなる。
【0025】式(1)より、接触領域の位相θcとグリ
ップポイントの位相θgの関係は図2のようになり、θ
gとθcの関係は線形近似より次式とすることができ
る。
【0026】
【外3】
【0027】このとき、VgとVasの関係は次式のよ
うになる。
【0028】
【外4】 また、沈み込み量Zcと接触領域θcの関係は次式のよ
うになる。
【0029】
【外5】
【0030】さらに、沈み込み量Zcと接触面のばね定
数kおよびばねの加圧力Fの関係は実験的に次式のよう
になる。
【0031】
【外6】
【0032】(2)式から(6)式よりグリップポイン
ト速度Vgと振動体波頭速度(A点での速度)Vasお
よび接触面のばね定数kの関係は式となり、Vg∝V
as、Vgとkの関係は図3となる(ただし、Vas、
F、Asが一定のとき)。
【0033】
【外7】
【0034】したがって、Vg1(r=r1)とVg2
(r=r2)について(1)式と(7)式の関係を成立
させる振動体波頭速度Vasおよびばね定数kを設定す
ることにより、振動体の外周側のトルクの損失を低減さ
せることができる。
【0035】しかし、(7)式の第2項f(F、K、A
s)が複雑であるため、ばね定数を調整することによっ
て(1)式と(7)式とを満たすように調節を行うこと
は非常に困難である。また、振動型駆動装置において、
接触面のばね定数を設計通りの値になるよう構成するこ
とは非常に困難である。そこで、本発明はf(F、K、
As)の項のばね定数に対する感度が低いところに接触
面を設け、振動体波頭速度Vas1によってVg2/V
g1を調節する。
【0036】(第1の実施形態)図5は本発明の第1の
実施形態の構成を説明するための図である。1は振動
体、2はロータ、3はロータ側に形成されている複数の
接触ばねである。1点鎖線はロータの回転の中心部(回
転軸)を表している。この振動体は交番信号(交流電
圧)が供給されることにより、ロータとの接触面に円ま
たは楕円運動を生じさせて進行波を生成し、振動子と中
心軸を同じくしたロータをこの進行波によって回転運動
させるものである。
【0037】図6は振動体に変位を与えたときの接触状
態を説明する図であり、Zc1、Zc2は内径側、外径
側の各接触ばねの沈み込み量、As1、As2は内径
側、外径側の各振動体の軸方向振幅、F1、F2は内径
側、外径側の各接触ばねへの加圧力を示している。沈み
込み量とは、接触ばねの変形量のことである。内径側の
接触ばね部の半径をr1、外径側の接触ばねの半径をr
2とし、両半径におけるグリップポイントでの線速度を
Vg1(r=r1)とVg2(r=r2)とする。この
とき、以下の式が必然的に成立する。
【0038】Zc2−Zc1=As1・・・(8) F=F1+F2・・・(9) (5)式、(6)式、(8)式、及び、(9)式より、
仮に内径側の接触ばねのばね定数k1を一定とし、およ
び内径側の接触ばねと接する位置での振動体波頭速度V
sa1と外径側の接触ばねと接する位置での振動体波頭
速度Vsa2とを等しくしたときの、外径側の接触ばね
のばね定数k2とグリップポイント速度の比Vg2/V
g1の関係を図7に示す。なお、内径側の接触ばねと振
動体との接触点での(7)式の第2項をf1、外径側の
接触ばねと振動体との接触点での(7)式の第2項をf
2とすると、Vg2/Vg1=f2/f1となる。なぜ
ならVsa1=Vsa2だからである。
【0039】このとき、Vg2/Vg1(=f2/f
1)は振動体振幅により決定される値に漸近し、Vg2
/Vg1(=f2/f1)の勾配は0に漸近する。
【0040】上述したように、f(F、K、As)が複
雑であるため、f(F、K、As)の項のばね定数に対
する感度が低いところに接触ばねを設け、振動体波頭速
度Vas1によってVg2/Vg1を調節することが望
ましい。これは、すなわち図7のVg2/Vg1(=f
2/f1)の勾配が0に近いということである。
【0041】そこで、接触ばねのばね定数の比k2/k
1と、グリップポイント速度比Vg2/Vg1の関係を
求めた。ただし、Vas一定としている。図8がその結
果である。
【0042】図8より、Vg2/Vg1の勾配は、k2
>k1であり、k2/k1が大きいほど好適である。こ
のとき、Vg2/Vg1の集束値は1未満(ただし、お
およそ1となる)であり、(1)式が成立するために
は、Vsa2>Vsa1となることが必要である。よっ
て、Vsa2>Vsa1、かつ、k2>k1となる振動
型駆動装置を構成すれば、振動体のトルク損失を軽減す
ることが可能になる。
【0043】このとき、(1)式を成立するためには、
Vsaと半径が比例することが必要である。よって、V
saと半径が比例し、かつ、f(F、K、As)がほぼ
一定となる超音波モータを構成すれば、損失を軽減する
ことが可能になる。
【0044】図10に接触面の半径と波頭速度の関係を
示す。内径側から外径側に向かってグラフの傾きは緩や
かになり、半径r1〜r2の範囲において周方向の振幅
比と半径比がほぼ一致している。本実施形態では、図の
曲線のなかで原点を通る直線に線形近似できるr1〜r
2の範囲で振動体とロータを接触させている。
【0045】以上の内容は、接触ばねが3つ以上の場合
でも同様のことが成り立ち、最内径の接触ばね部の半径
をr1および最外径をr2とし両半径における関係、あ
るいは、径の異なる2つの任意の接触ばねにおける関係
としてもよい。
【0046】内径側の接触ばねへの加圧力F1に対する
内径側の接触ばねのばね定数k1、外径側の接触ばねの
ばね定数k2、内径側の接触ばねにかかる平均面圧P
1、および、外径側の接触ばねにかかる平均面圧P2の
関係を図9に示す。設定したばね定数においてP1とP
2の値が等しい、つまり両曲線が交わるようにすること
で耐久性が向上される。そのためには、各接触ばねが表
現している接触面積、すなわち径方向の摺動幅を変更し
て調節すればよい。
【0047】もちろん、以上の内容は、接触ばねが振動
体側に形成されている場合においても同様である。
【0048】以下に、振動体とロータの摺動部(接触領
域)において、両者の質点速度が等しくなる点での送り
方向角速度が一定(線速度と半径とが比例する)となる
ための具体的な構成を様々な例をあげて説明する。
【0049】(第2の実施形態)図11は本発明の第2
の実施形態の振動体断面図である。1は弾性体、2は電
気−機械エネルギー変換素子である圧電部材、振動体3
は弾性体1と圧電部材2からなり、弾性体1はビスなど
により固定支持される。圧電部材2は接触面4と反対側
の面に固着される。弾性体1の材質は振動によるエネル
ギーロスの少ない金属(振動減衰の少ない金属)であれ
ばよい。あるいは、ある程度ヤング率が高く振動減衰の
少ない高分子化合物でもよい。
【0050】接触面4は図11に示すように軸方向に対
し傾斜している。駆動振動の中立面から接触面4までの
距離が外周に向かって大きくなるように傾斜しており、
振動体の波頭速度が外径側で大きくなっている。
【0051】図12は振動体の最外径における弾性体の
高さを一定とし接触面に5度間隔で傾斜を持たせたとき
の接触幅全域における半径と波頭速度Vasの関係であ
る。これによると角度10度のとき半径と波頭速度Va
sがほぼ比例関係となる。このように、接触面の傾斜角
を変更することで質点の波頭速度Vasを調節すること
ができる。さらに、図13は傾斜角一定で振動体の最外
径を変更したときの半径と波頭速度Vasの関係であ
る。これによると最外径を調節することで、この曲線を
線形近似した直線がグラフ上で原点を通るようにするこ
とができ、接触幅全域において内外の波頭速度Vaと半
径が比例する。また、振動体の外周側に振動体支持部が
あるようなときの場合も同様に傾斜を持たせることで目
的を達成することが可能である。
【0052】さらに、接触面は一様な傾斜角を設けた面
以外にも曲面を設けた面や図14のような段差を有する
面であってもよい。
【0053】(第3の実施形態)図15は本発明の第3
の実施形態の振動体断面図である。1は弾性体、2は圧
電部材、圧電部材2は弾性体1と挟持部材5により保持
されている。
【0054】振動体の各径における波頭速度を所定の値
にするためには、駆動振動の中立面から接触面4までの
距離を調節するだけでなく、振動体の外径側と内径側の
振動振幅方向の剛性の比を調節し振動振幅を操作する手
段を有することも有効である。
【0055】例えば、弾性体1の肉厚を変化させた部位
を設けることで、剛性を調節し所定の振幅分布を得ると
ともに、所定の波頭速度分布を径方向に持たせることが
できる。本発明の第3の実施形態では、弾性体1を、A
材料による弾性体Aと接触面を有するB材料による弾性
体Bにより形成している。
【0056】本実施形態では、弾性体Aはフェライト系
の鋼材を加工し内径側と外径側に高さ2mmの段差を持
たせた。一方、外径側に位置するB材料はA材料に比べ
硬度の高く、ヤング率の大きいセラミックを用いた。A
材料とB材料はエネルギー損失を減らすため無機接着剤
によって固着されているが、圧入や焼き入れなど非接着
の固定手段でもよい。このように、ヤング率の異なる材
料の組み合わせによって、振動方向剛性に径方向の所定
の分布を持たせることができた。これにより、波頭速度
を外径側で大きくすることができ、波頭速度Vasと半
径を比例させることも可能である。
【0057】2種類の材料の材質や形状や形態はこれに
限られたものではない。たとえば、材質間に界面が存在
すると、振動体の内部損失を増加させるので、界面が存
在しない層構造化された粉末焼結体などは好ましい。
【0058】(第4の実施形態)図16は本発明の第4
の実施形態の振動体斜視図である。1は弾性体であり、
突起部8は弾性体と一体的に形成されており、圧電部材
により得られる振動の送り方向変位を拡大する機能を有
する。
【0059】本実施形態では、突起の周方向の側面が軸
方向に対し傾斜をもっている曲面になっている。内周側
の傾斜角が2度で外周側の傾斜角が15度にした。この
形状にすることにより、外周側の剛性を内周側に対し相
対的に上げ所定の振幅分布を得るとともに、所定の波頭
速度分布を径方向に持たせることができる。
【0060】もちろん、曲面の傾斜角度はこれに限られ
たものではなく、内周側が大きい、あるいは接触幅の中
間にあたる径において大きくなっていてもよい。また、
各径での傾斜角は一定である必要はなく、突起の裾が曲
線的に広がっているような形状であってもよい。突起の
内周側および外周側の両側面にも傾斜を持たせ微調整を
してもよい。
【0061】(第5の実施形態)図17は本発明の第5
の実施形態の振動体斜視図である。
【0062】本実施形態では、隣り合う突起間の溝幅が
図19に示すように外周側から内周側に向かって広がっ
ている。内径部の溝幅を1mmとし溝角θmを一定とし
ているため、外周側では溝幅約1.6mmになってい
る。この形状にすることにより、外周側の剛性を下げ所
定の振幅分布を得るとともに、所定の波頭速度分布を径
方向に持たせることができる。
【0063】もちろん、溝幅の形態はこれに限られたも
のではなく、内周側が広がっている、あるいは突起上面
の径方向に伸びるエッジが直線である必要はなく曲線で
あってもよい。
【0064】(第6の実施形態)図18は本発明の第6
の実施形態の振動体断面図である。
【0065】本実施形態では、隣り合う突起間の溝底に
図20に示すように傾斜を持たせ、内周側から外周側に
向かって溝部の厚みが薄くなるようになっている。内径
部の溝厚を5mmとし傾斜角10度を一定としているた
め、外周側では溝厚約3.5mmになっている。この形
状にすることにより、外周側の剛性を下げ所定の振幅分
布を得るとともに、所定の波頭速度分布を径方向に持た
せることができる。
【0066】もちろん、溝厚の分布形態はこれに限られ
たものではなく、内周側が薄くとも構わない。あるいは
溝底形状が自由曲面であってもよい。
【0067】(第7の実施形態)図19は本発明の第7
の実施形態のロータ断面図である。6は本環、7は接触
ばねである。接触ばねは本環に外径側で一体的に固着さ
れている。接触ばね7の接触面8が、振動体側の接触面
と摺動する。接触ばね7を2個配置し、接触面を同心円
状に形成している。
【0068】接触ばねは、ばね定数を調節する機能を有
する径方向に延出された腕部、図中L1部を設けてい
る。本実施形態では、図中L1部の長さを外周側の接触
ばねほど短くし外周側の接触ばねのばね定数が高くなる
ようにしている。
【0069】また、図20のように、接触ばねを内径側
で一体的に支持し、図中L2部の長さによって、ばね定
数を調節してもよい。
【0070】もちろん、接触ばねは振動体側に形成され
ていてもよい。
【0071】(第8の実施形態)図21は本発明の第8
の実施形態のロータ断面図である。6は本環、7は接触
ばねである。接触ばねは本環に内径側で一体的に固着さ
れている。接触ばね7の接触面8が、振動体側の接触面
と摺動する。接触ばね7を2個配置し、接触面を同心円
状に形成している。
【0072】接触ばねの腕部は、支持部より軸方向に傾
斜を有するさらばね状に延出している。本実施形態で
は、腕部である図中L3部の長さとともに肉厚を調節
し、外周側の接触ばねほどばね定数が高くなるようにし
ている。
【0073】(第9の実施形態)図22は本発明の第9
の実施形態の振動体断面図である。6は本環、7は接触
ばねである。接触ばねは本環に外径側で一体的に固着さ
れている。接触ばね7の接触面8が、振動体側の接触面
と摺動する。
【0074】本実施形態では、図中のばね角度θを90
度に設定したが、振動体側の接触面形状によりθをそれ
以外の値に設定してもよい。
【0075】また、支点を内径側にも設け、両端支持の
固定はり状にしてもよい。
【0076】言うまでもなく、接触ばね6の肉厚が内周
側で薄くする、あるいはスリットを設けることで、内周
付近の剛性を下げ所定の振幅分布を得るとともに、所定
の波頭速度分布を径方向に持たせることができる。
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、振動体とロータの接触
面において高周波振動による両者の質点速度が等しくな
るグリップポイントでの送り方向角速度がほぼ一定(す
なわち線速度と半径が比例する)となる振動体とロータ
とを有する振動型駆動装置を提供することができる。こ
れにより、振動体とロータの接触面の幅を広げることで
生じていた内外周における角速度差によるトルク損失を
軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】振動体とロータの接触状態を示す図。
【図2】接触領域の位相θcとグリップポイントの位相
θgの関係を示す図。
【図3】グリップポイントの速度Vgとロータ剛性kの
関係を示す図。
【図4】接触領域の各径における角速度差による損失を
説明するための図。
【図5】本発明の第1の実施形態の構成を説明するため
の図。
【図6】接触状態と加圧分配および振動体振幅と沈み込
み量の関係を示す図。
【図7】外径側のばね定数k2とグリップポイント速度
比Vg2/Vg1の関係を示す図。
【図8】ばね定数比k2/k1とグリップポイント速度
比Vg2/Vg1の関係を示す図。
【図9】内径側の接触ばねへの加圧力F1、接触ばねの
ばね定数k1、接触ばねにかかる平均面圧P1、外径側
の接触ばねのばね定数k2、接触ばねにかかる平均面圧
P2の関係を示す図。
【図10】半径と波頭速度の関係と接触領域を示す図。
【図11】本発明の第2の実施形態の断面図。
【図12】接触面の斜度による波頭速度Vasへの影響
を示す図。
【図13】接触面の外径による波頭速度Vasへの影響
を示す図。
【図14】本発明の第2の実施形態の別例を説明する断
面図。
【図15】本発明の第3の実施形態の斜視図。
【図16】本発明の第4の実施形態の斜視図。
【図17】本発明の第5の実施形態の斜視図。
【図18】本発明の第6の実施形態の断面図。
【図19】本発明の第7の実施形態の断面図。
【図20】本発明の第7の実施形態の別例を説明する断
面図。
【図21】本発明の第8の実施形態の断面図。
【図22】本発明の第9の実施形態の断面図。
【符号の説明】
1 弾性体 2 圧電部材 3 振動体 4 接触面 5 挟持部材 6 本環 7 接触ばね 8 接触面

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 交番信号が供給されることにより進行波
    を発生する振動体と、該振動体に接触して該振動によっ
    て回転駆動する接触体とを有する振動型駆動装置であっ
    て、 該振動体と該接触体との接触領域が径方向に複数形成さ
    れ、該振動体の接触領域において、該振動の腹の中心位
    置の該進行波の進行方向における変位速度が該振動体の
    外周側ほど大きいことを特徴とする振動型駆動装置。
  2. 【請求項2】 該振動体の接触領域において、該振動の
    腹の中心位置の該進行波の進行方向における変位速度
    が、該振動体の半径に比例していることを特徴とする請
    求項1に記載の振動型駆動装置。
  3. 【請求項3】 少なくとも該振動体と該接触体の一方の
    部材には、他方の部材と接触するためのばね部材が設け
    られ、該振動体と該接触体の該進行波の進行方向におけ
    る変位速度が一致する接触領域の速度を、該振動体の該
    振動の腹の中心位置の該進行波の進行方向における変位
    速度と、該ばね部材にかかる加圧力、該ばね部材のばね
    定数、及び、該振動体の振幅とからなる関数との積で表
    した場合に、径方向に複数形成された接触領域における
    該関数が略一致することを特徴とする請求項1又は2に
    記載の振動型駆動装置。
  4. 【請求項4】 該振動体の接触領域において、該振動体
    の外周側ほど剛性が高いことを特徴とする請求項1から
    3のいずれかに記載の振動型駆動装置。
  5. 【請求項5】 交番信号が供給されることにより進行波
    を発生する振動体と、該振動体に接触して該振動によっ
    て回転駆動する接触体とを有する振動型駆動装置であっ
    て、 該振動体と該接触体との接触領域が径方向に複数形成さ
    れ、該振動体の接触領域において、該振動体の外周側ほ
    ど剛性が高いことを特徴とする振動型駆動装置。
  6. 【請求項6】 該複数の接触領域が同心円状に形成され
    ていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記
    載の振動型駆動装置。
  7. 【請求項7】 該振動体の該振動の中立面から接触領域
    までの距離が、外周側ほど大きくなることを特徴とする
    請求項1から6のいずれかに記載の振動型駆動装置。
  8. 【請求項8】 交番信号が供給されることにより進行波
    を発生する振動体と、該振動体に接触して該振動によっ
    て回転駆動する接触体とを有する振動型駆動装置であっ
    て、 該振動体と該接触体の少なくとも一方は、他方と接触す
    るために径方向に複数配置されたばね部を有し、該複数
    配置されたばね部は外周側のものほどばね定数が高いこ
    とを特徴とする振動型駆動装置。
JP2002336664A 2001-11-22 2002-11-20 振動型駆動装置 Withdrawn JP2003224987A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002336664A JP2003224987A (ja) 2001-11-22 2002-11-20 振動型駆動装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001357664 2001-11-22
JP2001-357664 2001-11-22
JP2002336664A JP2003224987A (ja) 2001-11-22 2002-11-20 振動型駆動装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003224987A true JP2003224987A (ja) 2003-08-08

Family

ID=27759214

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002336664A Withdrawn JP2003224987A (ja) 2001-11-22 2002-11-20 振動型駆動装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003224987A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012139080A (ja) * 2010-12-28 2012-07-19 Canon Inc 振動型駆動装置
US8536762B2 (en) 2011-04-13 2013-09-17 Canon Kabushiki Kaisha Annular vibration wave actuator
JP2014057447A (ja) * 2012-09-13 2014-03-27 Canon Inc 振動型駆動装置
JP2018186656A (ja) * 2017-04-26 2018-11-22 キヤノン株式会社 振動型アクチュエータ

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012139080A (ja) * 2010-12-28 2012-07-19 Canon Inc 振動型駆動装置
US8536762B2 (en) 2011-04-13 2013-09-17 Canon Kabushiki Kaisha Annular vibration wave actuator
JP2014057447A (ja) * 2012-09-13 2014-03-27 Canon Inc 振動型駆動装置
JP2018186656A (ja) * 2017-04-26 2018-11-22 キヤノン株式会社 振動型アクチュエータ
US11165370B2 (en) 2017-04-26 2021-11-02 Canon Kabushiki Kaisha Vibration actuator

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2998967B2 (ja) 振動型モータを有する装置
JP5631018B2 (ja) 回転型振動波駆動装置
US7245058B2 (en) Vibration wave driving apparatus, and method of setting shape of support member supporting elastic member forming vibration member of vibration wave driving apparatus
US5949178A (en) Vibration wave driving apparatus and a vibration member, and manufacturing method of the apparatus and the member
JP4435695B2 (ja) 圧電モータの動作方法および固定子を有する中空円筒形の発振器の形状をなす圧電モータ
JP2003224987A (ja) 振動型駆動装置
EP1225682B1 (en) Vibration wave driving apparatus
EP0602648B1 (en) A vibration driven motor or actuator
JP4282487B2 (ja) 圧電モータおよび圧電モータを駆動するための方法
JP4645229B2 (ja) 駆動装置
Ishii et al. Efficiency improvement of an ultrasonic motor driven with rectangular waveform
KR101531268B1 (ko) 경량진동체를 구비한 초음파 모터
Ishii et al. A low-wear driving method of ultrasonic motors
JPH0315278A (ja) 超音波モータ
JP4130031B2 (ja) 球面アクチュエータ用ステータ及びそれを用いた球面アクチュエータ
JPH06121554A (ja) 超音波モータ
JP2001037265A (ja) 振動型駆動装置およびこれを用いた機器
JP2582176B2 (ja) 超音波モータ
KR0178735B1 (ko) 2이상의 회전수를 갖는 초음파모터
JP5213510B2 (ja) 振動型アクチュエータ
JPH10263477A (ja) 振動型駆動装置および振動型駆動装置を駆動源とする装置
JP2004007858A (ja) 振動波駆動装置および電気機器
JPH05211783A (ja) 超音波モータ
JP2006314175A (ja) リニアモータ
JP2754625B2 (ja) 振動アクチュエータ

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060207