JP2003224017A - 圧粉磁心およびその製造方法 - Google Patents

圧粉磁心およびその製造方法

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JP2003224017A
JP2003224017A JP2002019145A JP2002019145A JP2003224017A JP 2003224017 A JP2003224017 A JP 2003224017A JP 2002019145 A JP2002019145 A JP 2002019145A JP 2002019145 A JP2002019145 A JP 2002019145A JP 2003224017 A JP2003224017 A JP 2003224017A
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Hiroyuki Mitani
宏幸 三谷
Takafumi Hojo
啓文 北条
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気絶縁性に優れて渦電流損が極めて発生し
難く、良好な磁気特性を確保することができ、かつ耐酸
化性にも優れた圧粉磁心を提供する。 【解決手段】 軟磁性金属粉末、樹脂および潤滑剤を用
いて得られる円柱状部分を有する圧粉磁心において、隣
接金属粒子の最近接点50箇所における炭素濃度測定値
が金属粒子中心部の炭素濃度より高い値を示す箇所が少
なくとも90%を占めるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁気部品として
用いられる圧粉磁心に関し、詳細には、軟磁性金属粉
末、樹脂および潤滑剤を用いて得られる円柱状部分を有
する圧粉磁心、およびその有用な製造方法に関するもの
であるが、以下では、本発明の圧粉磁心を、E型形状で
センターポールが円柱状の圧粉磁心として使用する場合
について説明する。
【0002】
【従来の技術】交流磁場内で使用される磁心は、鉄損、
特に渦電流損の小さいことや磁束密度の高いことが特性
として要求される。磁性金属粉末を圧縮成形して得られ
る圧粉磁心の場合、前記渦電流損を抑制すべく、前記磁
性金属粉末と樹脂を混合して鉄粉粒子の間に電気的な絶
縁性を有する樹脂を介在させたり、金型による圧縮成形
時の焼きつきを防止するため潤滑剤を混合することが一
般的であり、従来より、鉄粉や鉄基合金粉末の如き軟磁
性金属粉末と、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコ
ーン系樹脂、フェノール樹脂およびナイロン樹脂等の有
機バインダー樹脂と、固体潤滑剤として脂肪酸や脂肪酸
金属塩、ワックス等を混合し、圧縮成形して得られる方
法が知られている(例えば、特公平4−12605号、
特開平7−245209号、特開平11−251131
号、特表平10−503807号等)。
【0003】これらの技術のうち、特公平4−1260
5号では、樹脂の硬化温度よりも融点の高い潤滑剤を使
用し、樹脂の熱硬化時に潤滑剤が溶融するのを防止する
ことによって、成形体の強度向上を図る技術が開示され
ている。また、特開平7−245209号や、特開平1
1−251131号、特表平10−503807号に
は、軟磁性金属粉末粒子の表面に絶縁被膜を形成する処
理を行った後、該金属粉末と、樹脂および潤滑剤を混合
して成形することによって、電気的絶縁性を向上させ、
磁気特性の向上等を図る技術が示されている。
【0004】ところで、交流磁場内で使用される磁心と
しては、トロイダル形状のものが一般的に使用されてい
るが、電磁気部品として使用するに際し、トロイダル形
状の圧粉磁心を用いる場合には、該圧粉磁心に巻き線を
行うのが煩雑であるのに対し、E型の圧粉磁心を用いる
場合は、巻き線したボビンを該E型圧粉磁心のセンター
ポールにはめ込むだけであるので、効率よく電磁気部品
を製造することができる。また、センターポールの長さ
を調節して磁心全体のインダクタンスを調整することも
可能であるため好ましい。更に、トロイダル形状の圧粉
磁心の巻き線を行う場合には、導線のたるみが生じない
よう導線に張力を加えながら巻き線作業を行う必要があ
るため、圧粉磁心には張力で破損しないよう強度が要求
されるが、E型圧粉磁心の場合には、前述の通り、別途
導線を巻いたボビンをセンターポールにはめ込むだけで
あるので、圧粉磁心にかかる荷重が小さく、機械的強度
はトロイダル形状ほど要求されない。この様にE型圧粉
磁心は、トロイダル形状の圧粉磁心と比較して、電磁気
部品の生産性の観点から非常に優れているのである。
【0005】前記E型圧粉磁心としては、ボビンをはめ
込むセンターポールが直方体状のものや円柱状のもの、
楕円柱状のものなどがあるが、中でもセンターポールの
形状が円柱状のものが、該センターポールの形状が直方
体等のものと比較して、はめ込むボビンの直径を小さく
することができ、電磁気部品の小型化を図ることができ
るので有用である。
【0006】しかしながら、センターポールが直方体の
E型圧粉磁心を成形する場合には、使用時のセンターポ
ールにおける磁路方向に対し垂直な方向に加圧して容易
に成形することができるのに対し、センターポールが円
柱状のE型圧粉磁心を成形する場合には、その様な方法
で製造することが実質的に不可能であり、使用時のセン
ターポールにおける磁路方向に対し並行な方向に加圧し
て成形する必要がある。しかしこの様な成形を行う場
合、圧縮方向における部品成形高さが、前述の使用時の
磁路方向に対し垂直な方向に加圧して成形する場合と比
較して格段に高いため、圧縮時に混合粉末に力が均一に
伝わり難く、圧縮方向における部品成形高さの中点近傍
(中立ゾーン)の高密度化が十分でなく、得られた圧粉
磁心は、全体として軟磁性金属粉末の密度にばらつきが
生じ、結果として磁気特性にばらつきが生ずるといった
問題がある。この様な現象は、センターポール部分の長
い、比較的大きなサイズの圧粉磁心を成形する場合に生
じやすいため、大きなサイズの圧粉磁心としては、成形
の容易なセンターポールが直方体のE型圧粉磁心や、ト
ロイダル形状の圧粉磁心が用いられているのが現状であ
り、電磁気部品の生産性向上および小型化を同時に達成
するにあたって改善の余地がある。
【0007】尚、上述の様なセンターポール中心部の密
度低下による磁気特性等の劣化を抑制すべく、混合粉末
に占める軟磁性金属粉末の割合を増加させ、樹脂や潤滑
剤の割合を小さくすることが考えられるが、樹脂や潤滑
剤の添加量を少なくすると、電気抵抗が小さくなり結果
として良好な磁気特性が得られない他、長時間高温で使
用する場合には、軟磁性金属粉末の酸化による電気抵抗
の低下も生じるといった問題がある。またこの様な軟磁
性金属粉末の酸化を防ぐべく、上記従来技術として示し
た様に、予め軟磁性金属粉末表面に絶縁被膜を形成する
ことも考えられるが、この様な軟磁性金属粉末の絶縁処
理は、コストおよび生産性の観点から好ましくない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこの様な事情
に着目してなされたものであって、その目的は、軟磁性
金属粉末、樹脂および潤滑剤を用いて得られる円柱状部
分を有する圧粉磁心であって、渦電流損を抑制して良好
な磁気特性を確保することができ、耐酸化性にも優れた
圧粉磁心、およびこの様な圧粉磁心を効率よく製造する
ことのできる有用な方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る圧粉磁心と
は、軟磁性金属粉末、樹脂および潤滑剤を用いて得られ
る円柱状部分を有するものであって、隣接金属粒子の最
近接点50箇所における炭素濃度が金属粒子中心部の炭
素濃度より高い値を示す箇所が、90%以上であるとこ
ろに特徴を有するものである。
【0010】本発明の圧粉磁心は、特に形状が、該円柱
状部分における断面の円相当直径(D)に対する成形体
高さ(B)の比(B/D)が1.2以上のものや、E型
形状の圧粉磁心であってセンターポールが円柱状である
ものを含む。更に本発明は、上記E型形状の圧粉磁心を
対向して構成したEER型圧粉磁心も含むものである。
【0011】この様な圧粉磁心を製造するにあたって
は、前記潤滑剤として前記樹脂の硬化温度よりも融点の
低いものを使用し、かつ、樹脂と潤滑剤を総量で軟磁性
金属粉末に対し0.5〜2.0質量%添加し、潤滑剤を
軟磁性金属粉末に対し0.2〜1.0質量%添加するの
がよい。
【0012】
【発明の実施の形態】上述した通り、円柱状部分を有す
る圧粉磁心を、使用時のセンターポールにおける磁路方
向に対し並行な方向に加圧して成形する場合には、使用
時のセンターポールにおける磁路方向に対し垂直方向に
加圧して成形する場合よりも格段に成形が困難で、成形
後の軟磁性金属粉末の部分的な密度低下が生じて、磁気
特性等のバラツキを招くといった問題がある。
【0013】この様な状況下にて、本発明者らは、圧縮
成形後の軟磁性金属粉末の部分的な密度低下を生じさせ
ることなく良好な磁気特性を確保し、かつ軟磁性金属粒
子間に生ずる渦電流を抑制して十分な電気絶縁性を発揮
させるべく、軟磁性金属粉末、樹脂および潤滑剤の添加
量について検討し、得られた圧粉磁心内部の状態につい
て調べた。
【0014】隣接金属粒子の最近接点に樹脂や潤滑剤が
存在する場合、最近接点の炭素濃度は、金属粒子中心部
の炭素濃度よりも高く検出され、一方、隣接金属粒子の
最近接点に樹脂等が存在せず、隣接金属粒子が接触して
いる場合には、隣接金属粒子の最近接点の炭素濃度は、
金属粒子中心部の炭素濃度と同等レベルとなるのであ
り、本発明では、隣接金属粒子の最近接点50箇所にお
ける炭素濃度測定値が金属粒子中心部の炭素濃度より高
い値を示す箇所が、90%以上、好ましくは95%以
上、最も好ましくは100%占めるようにすればよいこ
とがわかった。
【0015】尚、上記炭素濃度は、EDX、EPMA、
オージェ電子分光等の方法で測定(検出)することがで
きるが、簡便性の観点からは、EDXで測定するのが好
ましく、前記測定50箇所は、圧粉磁心の任意の点を測
定した結果を示すものである。
【0016】この様な圧粉磁心中心部の形態制御は、特
に圧粉磁心の円柱状部分の形状が、断面の直径(D)に
対する成形体高さ(B)の比(B/D)で1.2以上の
圧粉磁心について行うことが大変有効なのである。
【0017】本発明は、圧粉磁心の大きさまで規定する
ものではないが、本発明の圧粉磁心を、E型かつセンタ
ーポールが円柱状のものとして、例えばチョークコイル
に使用する場合、その形状は、後述する図1におけるA
部位の長さが30mm以上50mm以下、B部位の長さ
が20mm以上25mm以下、F部位の長さが10mm
以上20mm以下、かつD<Cであるものが好ましく使
用される。
【0018】この様な形態の圧粉磁心を生産性を損なう
ことなく良好に製造するにあたっては、用いる軟磁性金
属粉末、樹脂および潤滑剤について次の様な条件を満足
させる必要がある。
【0019】樹脂と潤滑剤の総添加量は、軟磁性金属粉
末に対して0.5質量%以上とする。樹脂と潤滑剤の総
量が軟磁性金属粉末に対して少なすぎると、上述の通り
良好な電気絶縁性が確保できないからであり、好ましく
は軟磁性金属粉末に対し、潤滑剤と樹脂の総量で1.0
質量%以上添加する。一方、潤滑剤と樹脂の総量が軟磁
性金属粉末に対して多過ぎる場合には、軟磁性金属粉末
の有する優れた磁気特性を十分に発揮させることができ
ないので、軟磁性金属粉末に対し2.0質量%以下、好
ましくは1.5質量%以下の範囲内で添加する。
【0020】前記潤滑剤としては、前記樹脂の硬化温度
より融点の低いものを使用するのがよい。本発明者ら
は、樹脂の熱硬化時に潤滑剤を積極的に溶融させること
により、溶融した潤滑剤を絶縁被膜としても機能させる
ようにしたのである。従って潤滑剤としては、従来より
用いられているステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウ
ム、ステアリン酸カルシウムなどのステアリン酸の金属
塩粉末、およびパラフィン、ワックス、天然または合成
樹脂誘導体などが挙げられるが、用いる樹脂に応じて選
択する必要があり、例えば、樹脂としてフェノール樹脂
を用いる場合には、潤滑剤として該フェノール樹脂より
も融点の低いステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウ
ム、ステアリン酸マグネシウム等、樹脂としてエポキシ
樹脂を用いる場合には、潤滑剤として該エポキシ樹脂よ
りも融点の低いステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、ポリ
エチレンワックス等、樹脂としてナイロン樹脂を用いる
場合には、潤滑剤として該ナイロンよりも融点の低いス
テアリン酸亜鉛、ステアリン酸、エチレンビスアマイド
等を用いるようにするのがよい。
【0021】また上記の様な潤滑剤の効果を有効に発揮
させるには、軟磁性金属粉末に対し0.2質量%以上、
好ましくは0.5質量%以上添加することが推奨され
る。他方、潤滑剤を多量に添加してもその効果は飽和
し、むしろ軟磁性金属粉末−樹脂間の結合を阻害して圧
粉磁心の機械的強度を低下させたり、該圧粉磁心中の軟
磁性金属粉末の容積率を減少させて磁気的特性の低下を
引き起こす傾向があるため、軟磁性材料に対し1.0質
量%以下、好ましくは0.75質量%以下の範囲内で添
加することが推奨される。
【0022】樹脂は、電気抵抗を増加させ、かつ圧粉磁
心とした場合の機械的強度を確保するため添加し、その
種類について特に限定されるものではなく、エポキシ樹
脂、ポリイミド樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール樹
脂およびナイロン樹脂などを用いることができる。
【0023】軟磁性金属粉末は、強磁性体の金属粉末で
あり、具体例としては、純鉄粉、鉄基合金粉末(Fe−
Al合金、Fe−Si合金、センダスト、パーマロイな
ど)およびアモルファス粉末などが挙げられる。こうし
た軟磁性金属粉末は、例えば、アトマイズ法によって微
粒子とした後還元し、その後粉砕することなどによって
製造できる。このような製法により、ふるい分け法で評
価される粒度分布で、累積粒度分布が50%になる平均
粒径が20〜250μm程度の軟磁性金属粉末が得られ
るが、本発明では、中でも50〜150μm程度のもの
が好ましく用いられる。
【0024】また良好な磁気特性を確保するには、圧粉
磁心(成形体)に占める軟磁性金属粉末の容積率が85
%以上となるようにするのがよく、より好ましくは87
%以上である。一方、軟磁性金属粉末の容積率が高くな
りすぎると、潤滑剤や樹脂による被覆が不十分となっ
て、良好な電気絶縁性が得られにくい。従って成形体に
占める軟磁性金属粉末の容積率は95%以下とすること
が好ましく、より好ましくは92%以下である。尚、こ
こでいう容積率とは、(軟磁性金属粉末の真密度)/
(成形体密度)をいい、成形体密度とは(成形体の重
量)/(成形体の体積率)をいい、前記成形体の体積率
は、水沈法またはアルキメデス法で測定するのが一般的
である。
【0025】本発明はその他の製造方法について特に規
定するものではないが、製造工程においては下記の条件
で行うのよい。 <混合>まず最初に潤滑剤と軟磁性金属粉末を混合する
ことが望ましい。樹脂、潤滑剤および軟磁性金属粉末を
全て混合してもよいが、潤滑剤と軟磁性金属粉末を先に
混合し、その後に樹脂を加えることにより、潤滑剤と樹
脂が凝集するのを防いで、潤滑剤および樹脂による軟磁
性金属粉末の被覆率を高めることができるので好まし
い。
【0026】混合に際して、比重が2倍以上異なる軟磁
性金属粉末と潤滑剤を均一に混合させるには、20分間
以上、好ましくは40分間以上混合するのがよい。その
後に樹脂を添加し、再度20分間以上混合するのがよ
く、好ましくは40分間以上である。尚、この場合の混
合方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法
を採用することができる。 <圧縮成形>本発明の圧粉磁心は、上記の圧粉磁心用粉
末を用いて製造されるが、その製造方法は、 上記圧粉磁心用粉末を圧縮成形する工程、および 圧縮成形体中の樹脂を熱硬化する工程、 を備えるものである。
【0027】上記工程において、圧縮成形法は特に限
定されず、従来公知の方法が採用可能である。圧縮成形
時の好ましい条件としては、圧力400MPa以上で9
00MPa以下の条件で成形するのが望ましく、より好
ましくは500MPa以上で800MPa以下である。
また、最大荷重での加圧時間は0.05秒以上で5秒以
下とするのがよく、より好ましくは0.1秒以上3秒以
下である。なお、成形温度が高過ぎると、成形体形状が
形成される前に樹脂が熱硬化してしまう恐れがあるた
め、圧縮成形は、常温〜樹脂の硬化温度未満で行うよう
にする。
【0028】次に圧縮成形体中の樹脂を熱硬化する(前
記工程)が、該熱硬化の方法は特に限定されず、従来
公知の方法が採用可能である。熱硬化は、樹脂の架橋反
応が進行し得る温度以上であって、樹脂の熱劣化が生じ
ない温度範囲で行うことが推奨される。また、熱硬化時
間は、採用する硬化温度によって多少変化するが、1分
以上2時間以下、好ましくは3分以上1時間以下とする
ことが推奨される。このような熱硬化条件を採用するこ
とで、樹脂の架橋を十分に進行させることができると共
に、樹脂の劣化も防止することができるのである。
【0029】
【実施例】以下、本発明に係る圧粉磁心に関して、実施
例を示す図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明
はもとより図示例に限定される訳ではなく、前・後記の
趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施するこ
とも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲
に包含される。
【0030】実施例1 軟磁性金属粉末として純鉄粉(神戸製鋼所製,アトメル
300NH)、表1に示す樹脂(フェノール樹脂として
は、200メッシュのふるいを98%以上通過するもの
を使用)および潤滑剤(ステアリン酸カルシウムとして
は、200メッシュのふるいを98%以上通過するもの
を使用)を夫々秤量し、純鉄粉と潤滑剤をV型混合機を
用いて30分以上混合させた後、これに樹脂粉末を加
え、再度V型混合機で30分以上混合し、これらが均一
に混合した圧粉磁心用粉末を得た。
【0031】この圧粉磁心用粉末を金型に充填し、温度
250℃、圧力686MPa、最大荷重での加圧時間
0.2秒で圧縮成形し、その後、圧縮成形体中の樹脂
を、大気中、200℃で10分間の条件で熱硬化させ
て、図1に模式的に示す形状の圧粉磁心を得た。
【0032】得られた圧粉磁心について、隣接金属粒子
の最近接点50箇所において、炭素濃度が金属粒子中心
部の炭素濃度よりも高い値を示す箇所の占める割合(以
下、単に「軟磁性金属粉末の樹脂等による被覆率」とい
うことがある)、および電気絶縁性を示す比抵抗を調べ
た。
【0033】軟磁性金属粉末の樹脂等による被覆率は、
センターポール長手方向の中心部位(前記図1における
3)を切断し、切断面を研磨した(最終研磨はStruers
社製研磨剤:OPSで行った)後、超音波洗浄器にて5
分間水で洗浄し、研磨剤を洗い流した。
【0034】その後、チャージアップを防ぐため観察試
料に金被覆を蒸着した。この場合、後の炭素濃度測定に
影響を及ぼすため、カーボンによる被覆は行わないよう
にした。
【0035】この様にして得た試料を用い、EDXにて
隣接金属粒子の最近接点および該金属粒子の一方の中心
部の点分析を行い、1keV以下に存在する炭素のピー
ク強度を測定した。この様な測定を任意の50箇所につ
いて行い、(隣接する軟磁性金属粉末粒子の中点の炭素
ピーク高さ)/(軟磁性金属粉末粒子の中心部の炭素ピ
ーク高さ)が2倍以上の箇所の割合を前記「軟磁性金属
粉末の樹脂等による被覆率」として求めた。
【0036】また、得られた圧粉磁心の比抵抗は次の様
にして測定した。即ち、試験片形状が31.8mm×1
2.7mm×5mmのものを用い、表面をエメリー紙
(♯800)で研磨した後、31.8mm×12.7m
mの面を四端子法(電圧電極間距離19.8mm,真空
理工社製TER−2000)で電極に400gfの荷重
を加えて測定した。これらの結果を表1に併記する。
【0037】
【表1】
【0038】表1より、実験No.3〜8、13〜18
および29〜34は、本発明の要件を満たす方法で良好
に成形を行うことができ、かつ得られた圧粉磁心は、本
発明で規定する形態を満足するもので、軟磁性金属粉末
間に均一に樹脂が介在させることができ、比抵抗値が1
0mΩ・cm以上と電気絶縁性に優れ、10kHzまで
透磁率が安定し、良好な磁気特性を発揮するものであ
る。
【0039】これに対し、実験No.1,2、9〜1
2、19〜28、35〜48は、本発明の要件を満たす
ものではなく、電気絶縁性に劣るか、または電気絶縁性
が良くても良好な磁気特性が得られないか十分な強度を
確保できないものとなった。
【0040】次に、樹脂の硬化温度に対する潤滑剤の融
点の高低が電気絶縁性の経時劣化に及ぼす影響について
調べた。
【0041】前記表1における圧粉磁心試料のうち、潤
滑剤の種類のみ異なるNo.7(潤滑剤:ステアリン酸
亜鉛)、No.17(潤滑剤:ステアリン酸カルシウ
ム)、およびNo.25(潤滑剤:ステアリン酸リチウ
ム)(いずれもフェノール樹脂を軟磁性金属粉末に対し
1質量%、潤滑剤を軟磁性金属粉末に対し0.75質量
%使用)で得られた圧粉磁心を用い、大気中、150℃
に加熱保持して10日経過後および100日経過後の比
抵抗を測定した。図2はその実験結果を示したものであ
り、それぞれの潤滑剤を用いて得られた圧粉磁心の比抵
抗の経時変化を示している。
【0042】この図2より、フェノール樹脂の硬化温度
(200℃)よりも融点の低いステアリン酸亜鉛(融
点:約130℃)やステアリン酸カルシウム(融点:約
160℃)を用いた場合には、成形直後から10日経過
までに比抵抗が上昇し、その後、比抵抗は安定して良好
な電気絶縁性が確保できていることがわかる。これに対
し、フェノール樹脂の硬化温度よりも融点の高いステア
リン酸リチウム(融点:約220℃)を潤滑剤に用いた
場合には、成形直後から比抵抗が低下し、経時劣化して
いることがわかる。
【0043】前記図2に示す様な傾向は、前記表1にお
ける実験No.24、26、40〜42、47および4
8の場合にも相当するもので、この様に樹脂の硬化温度
よりも高い融点の潤滑剤を用いた場合には、成形直後の
比抵抗値は10mΩ・cm以上と良好な電気絶縁性を示
しているものの、時間の経過と共に電気絶縁性が徐々に
劣化することが懸念されるのである。
【0044】
【発明の効果】本発明は上記のように構成されており、
上記の様な態様の圧粉磁心とすることで、渦電流損が極
めて発生し難く電気絶縁性に優れ、かつ良好な磁気特性
を確保することができ、更には耐酸化性にも優れた、電
磁気部品の小型化の容易なEER型圧粉磁心を提供でき
ることとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で得たE型圧粉磁心を概略的に示した側
面図および正面図である。
【図2】圧粉磁心の比抵抗の経時劣化を潤滑剤の種類別
に示したグラフである。
【符号の説明】
1 E型圧粉磁心 2 センターポール 3 センターポール長手方向の中心部位
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K018 AA01 BA20 CA07 CA08 GA04 HA10 KA44 5E041 BB03 HB17 NN06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軟磁性金属粉末、樹脂および潤滑剤を用
    いて得られる円柱状部分を有する圧粉磁心において、隣
    接金属粒子の最近接点50箇所における炭素濃度が金属
    粒子中心部の炭素濃度より高い値を示す箇所が90%以
    上を占めることを特徴とする圧粉磁心。
  2. 【請求項2】 前記円柱状部分は、断面の円相当直径
    (D)に対する成形体高さ(B)の比(B/D)が1.
    2以上である請求項1に記載の圧粉磁心。
  3. 【請求項3】 E型磁心であり、そのセンターポールが
    円柱状である請求項1または2に記載の圧粉磁心。
  4. 【請求項4】 請求項3の圧粉磁心を対向して構成した
    ものであるEER型圧粉磁心。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかに記載の圧粉磁
    心を製造するに際し、前記潤滑剤として前記樹脂の硬化
    温度よりも融点の低いものを使用し、かつ、樹脂と潤滑
    剤の総添加量を軟磁性金属粉末に対し0.5〜2.0質
    量%とし、潤滑剤の添加量を軟磁性金属粉末に対し0.
    2〜1.0質量%とすることを特徴とする圧粉磁心の製
    造方法。
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