JP2003221753A - 炭素繊維紡績糸織物、及びその製造方法 - Google Patents
炭素繊維紡績糸織物、及びその製造方法Info
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Abstract
糸織物を炭素化する場合でもケバが発生せず、端部での
タテ糸の切断や、幅ムラ、厚みムラのない炭素繊維紡績
糸織物を提供する。 【解決手段】 中央部の目付60〜150g/m2、タ
テ及びヨコ糸がメートル番手で25〜50番手、タテ及
びヨコ糸の打ち込み本数が9〜22本/cmの炭素繊維
紡績糸織物において、中央部のタテ糸の打ち込み本数を
A、側部のタテ糸の打ち込み本数をBとしたとき、 B/A=1.25〜2.0 となるよう側部を補強した炭素繊維紡績糸織物、及びそ
の製造方法。
Description
物、及びその製造方法に関する。詳細には、側部を補強
した炭素繊維紡績糸織物に関する。
織物は、高い通電性を示し、薄いシート状の炭素材料で
あるので、高分子燃料電池の中間原料として有用な素材
である。
物は、ポリアクリロニトリル系酸化繊維紡績糸をシャト
ル式等の方法により織物加工して酸化繊維紡績糸織物と
し、この酸化繊維紡績糸織物を炭素化することにより得
ることができる。シャトル式による場合は、織物端部で
ヨコ糸を切断することなく織り返して織物とする。
紡績糸織物とする場合、織物端部でヨコ糸を織り返した
ときに、ヨコ糸の張力により、端部のタテ糸が切断した
り、織物が幅方向に収縮して側部の幅ムラ、厚みムラが
生じやすい。幅ムラが生じると炭素化を行う際にスレが
発生したり、ガイド部や炭素化炉内部で織物の端部が引
っかかり、繊維の切断等のトラブルが生じる。また、幅
ムラや厚みムラ等のある酸化繊維紡績糸織物の炭素化を
行う場合、炭素繊維紡績糸織物自体が幅ムラ、厚みムラ
等のあるものとなり、工程中でケバが発生する原因とな
る。幅ムラ等が生じると製造した炭素繊維紡績糸織物を
ロール状に巻き上げ製品として出荷する際に端部が不揃
いになり、これは品位が低い製品である。
素繊維紡績糸織物のコーティングを行う際に付着ムラの
原因となり、連続的に織物のコーティング処理を行うこ
とが困難となる。更に、圧縮加工を行う場合には均一な
圧力で圧縮を行うことが難しく、処理後に織物全体に厚
みムラが生じる等の問題を有している。
は、酸化繊維紡績糸織物をシャトル式で織物加工を行っ
て炭素化する場合でもケバが発生せず、端部でのタテ糸
の切断や、幅ムラ、厚みムラのない炭素繊維紡績糸織物
を得ることにある。
ねた結果、特定の酸化繊維紡績糸織物の側部のタテ糸の
打ち込み本数を一定の割合で増加して織物の側部を補強
した酸化繊維紡績糸織物を炭素化すれば、ケバが発生す
ることなく、端部におけるタテ糸の切断や幅ムラ、厚み
ムラのない炭素繊維紡績糸織物が得られることを見出
し、本発明を完成するに到った。
以下に記載するものである。
2、タテ及びヨコ糸がメートル番手で25〜50番手、
タテ及びヨコ糸の打ち込み本数が9〜22本/cmの炭
素繊維紡績糸織物において、中央部のタテ糸の打ち込み
本数をA、側部のタテ糸の打ち込み本数をBとしたと
き、 B/A=1.25〜2.0 となるよう側部を補強した炭素繊維紡績糸織物。
m2、タテ及びヨコ糸がメートル番手で15〜30番
手、タテ及びヨコ糸の打ち込み本数が8〜20本/cm
で、中央部のタテ糸の打ち込み本数をA'、側部のタテ
糸の打ち込み本数をB'としたとき、 B'/A'=1.25〜2.0 となるよう側部を補強した酸化繊維紡績糸織物を炭素化
する〔1〕記載の炭素繊維紡績糸織物の製造方法。
織物のタテ糸の構成の一例を示す概略平面図である(但
しヨコ糸は省略)。
4の目付を60〜150g/m2とする。目付が60g
/m2未満の場合、ヨコ糸の張力の影響により幅ムラが
生じ易い。目付が150g/m2を超える場合、炭素繊
維紡績糸織物の厚さが厚いものとなる。
糸は、メートル番手で25〜50番手とする。25番手
未満では、糸が太いため、酸化繊維紡績糸織物としたと
きに織物の厚さが厚くなる。また、50番手を超える
と、紡績糸強力が低下し、織物強力が低下する。なお、
側部に用いる紡績糸は、メートル番手で25〜50番が
好ましい。
数は、タテ、ヨコ共に9〜22本/cmとする。打ち込
み本数が9本/cm未満の場合、目隙間が大きくなるほ
か、ヨコ糸の張力の影響により幅ムラが生じる。また、
打ち込み本数が22本/cmを超える場合、得られる炭
素繊維紡績糸織物が厚いものとなる。
打ち込み本数をA、側部6のタテ糸の打ち込み本数をB
としたとき、 B/A=1.25〜2.0 となるよう側部を補強することが好ましい。B/Aの値
が1.25未満であると、補強効果が得られず、端部切
れ、幅ムラ等が発生し易い。B/Aの値が2.0を超え
ると、厚みムラが発生し、織物加工の際にヨコ糸の通過
が困難となる。更に、B/Aの値は、1.30〜1.9
0とすることがより好ましい。
両端にある側部それぞれの幅を0.4〜2.3cmとす
ることが好ましく、0.5〜1.8cmとすることがよ
り好ましい。0.4cm未満では、補強効果を発揮しに
くく、2.3cmを超えると、補強効果は大きくなる
が、製品率が低下する傾向がある。
の中間原料として用いる観点から電気抵抗値を3.5m
Ω以下とすることが好ましい。
法で製造することができるが、酸化繊維紡績糸織物を炭
素化する方法を一例として以下に示す。
ては、ポリアクリロニトリル系、レーヨン系、ピッチ系
等を挙げることができるが、ポリアクリロニトリル(P
AN)系酸化繊維が好ましい。
処理することにより得ることができる。PAN系繊維と
しては、アクリロニトリル単独またはアクリロニトリル
とアクリル酸メチルエステル、アクリルアミド、イタコ
ン酸等と共重合したものを挙げることができる。
囲気下、200〜300℃で10〜100分間処理を行
うことが好ましい。酸化処理自体は当業者に公知の技術
である。
のPAN系酸化繊維を常法により定長カット又はバイア
スカットした後ステープルとし、この酸化繊維ステープ
ルを酸化繊維紡績糸に加工する。
て、酸化繊維紡績糸織物とする。織り形態としては、平
織り、綾織り、朱子織り等とすることができる。
である。
0〜250g/m2とすることが好ましい。目付が10
0g/m2未満の場合、ヨコ糸の張力の影響により幅ム
ラが生じ易い。目付が250g/m2を超える場合、酸
化繊維紡績糸織物の厚さが厚くなり、炭素化して得られ
る炭素繊維紡績糸織物も厚いものとなり易い。
糸は、メートル番手で15〜30番手とすることが好ま
しい。15番手未満では、糸が太いため、酸化繊維紡績
糸織物としたときに織物の厚さが厚くなり易い。また、
30番手を超えると、紡績糸強力が低下し、織物加工が
困難となる。
数は、タテ、ヨコ共に8〜20本/cmとすることが好
ましい。打ち込み本数が8本/cm未満の場合、目隙間
が大きくなるほか、ヨコ糸の張力の影響により幅ムラが
生じ易い。また、20本/cmを超える場合、酸化繊維
紡績糸織物の厚さが厚くなり、炭素化して得られる炭素
繊維紡績糸織物も厚いものとなり易い。
打ち込み本数をA'、側部のタテ糸の打ち込み本数をB'
としたとき、 B'/A'=1.25〜2.0 となるよう側部を補強することが好ましい。B'/A'の
値が1.25未満であると、補強効果が得られず、端部
切れ、幅ムラが発生し易い。B'/A'の値が2.0を超
えると、厚みムラが発生し、織物加工の際にヨコ糸の通
過が困難となる傾向がある。更に、B'/A'の値は、
1.30〜1.90とすることがより好ましい。
糸強力としては、4.9N/本以上が好ましい。紡績糸
強力が4.9N/本未満では、端部切れが発生し易くな
る。
%以上が好ましい。伸度が10%未満では、端部切れが
発生し易くなる。
部または一部に中央部に用いた紡績糸と太さ、紡績糸強
力、伸度等の性質が異なるものを用いてもよい。
両端にある側部それぞれの幅を0.5〜2.5cmとす
ることが好ましく、0.6〜2.0cmとすることがよ
り好ましい。0.5cm未満では、補強効果を発揮しに
くく、2.5cmを超えると、補強効果は大きくなる
が、製品率が低下する傾向がある。
とにより本発明の炭素繊維紡績糸織物を得ることができ
る。
リウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、1000〜
2500℃で行うのが好ましい。炭素化する方法自体は
当業者に公知の技術である。なお、炭素化を行う際の昇
温速度は200℃/分以下が好ましく、170℃/分以
下がより好ましい。昇温速度が200℃/分を超える場
合、繊維強度が低下し、炭素微粉末が多量に発生する傾
向がある。最高温度での滞留時間は30分間以内が好ま
しく、0.5〜20分程度がより好ましい。
するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。なお、各物性の測定は以下の方法により行った。
した後の質量値より算出した。
紡績糸をつかみ間隔100mmとし、引っ張り速度30
mm/minで引っ張ったときの破断強力を紡績糸強力
(N/本)とした。
し、つかみ間隔(測定長)で除した値を伸度(%)とし
た。
0mm)の金メッキした電極で、炭素繊維紡績糸織物の
両面を電極が全面接触するようにはさみ、荷重10kP
aを織物の厚さ方向にかけたときの厚さ方向の電気抵抗
値を測定した。
重1.39)のカットファイバー(65mm)を混打綿
加工した後、カーディングしてスライバーを作製した。
次いで紡績糸加工を行い、酸化繊維紡績糸(17番手、
紡績糸強力14.7N/本、伸度16%)を得た。更
に、この酸化繊維紡績糸を用いて織物加工を行い側部を
補強した酸化繊維紡績糸織物(平織、厚さ0.49m
m、全幅120cm)を得た。中央部の打ち込み本数は
タテ糸、ヨコ糸ともに16本/cmとし、目付は162
g/m2であった。また、側部は幅各1cmで、タテ糸
は上記のPAN系酸化繊維紡績糸を用い、打ち込み本数
23本/cm(B'/A' 1.4)とした。
織物加工時に端部のタテ糸の切断や、ヨコ糸の張力によ
る幅方向の収縮による幅ムラや厚みムラが生じることも
なく、均質な酸化繊維紡績糸織物を得た。
活性ガス雰囲気下連続的に1650℃で2分間処理し炭
素化したところ、側部を補強した炭素繊維紡績糸織物
(厚さ0.48mm、全幅107cm)を得た。タテ
糸、ヨコ糸ともに中央部の打ち込み本数18本/cm、
28番手で、中央部の目付は97g/m2であった。ま
た、側部は幅各0.9cm、タテ糸の打ち込み本数26
本/cm(B/A 1.4)、タテ糸のメートル番手は
28番手であった。
糸の切断や、ケバが発生することなく、幅ムラのない均
質な炭素繊維紡績糸織物を得た。
って表1に示すPAN系酸化繊維紡績糸織物及び炭素繊
維紡績糸織物を得た。
を行った酸化繊維紡績糸織物を炭素化する場合でもケバ
が発生せず、端部でのタテ糸の切断や、幅ムラ、厚みム
ラのない炭素繊維紡績糸を得ることができる。
一例を示す概略平面図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 中央部の目付60〜150g/m2、タ
テ及びヨコ糸がメートル番手で25〜50番手、タテ及
びヨコ糸の打ち込み本数が9〜22本/cmの炭素繊維
紡績糸織物において、中央部のタテ糸の打ち込み本数を
A、側部のタテ糸の打ち込み本数をBとしたとき、 B/A=1.25〜2.0 となるよう側部を補強した炭素繊維紡績糸織物。 - 【請求項2】 中央部の目付100〜250g/m2、
タテ及びヨコ糸がメートル番手で15〜30番手、タテ
及びヨコ糸の打ち込み本数が8〜20本/cmで、中央
部のタテ糸の打ち込み本数をA'、側部のタテ糸の打ち
込み本数をB'としたとき、 B'/A'=1.25〜2.0 となるよう側部を補強した酸化繊維紡績糸織物を炭素化
する請求項1記載の炭素繊維紡績糸織物の製造方法。
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