JP2003218469A - 窒化物系半導体レーザ装置 - Google Patents
窒化物系半導体レーザ装置Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高出力、長寿命の窒化物系半導体レーザ装置
を得る。また、波長450nm以上の長波長の窒化物系
半導体レーザ装置を得る。 【解決手段】 障壁層と井戸層とを交互に複数積層した
多重量子井戸構造の活性層を有する窒化物系半導体レー
ザ装置において、障壁層の膜厚を薄くし、障壁層に所定
の濃度の第1導電型不純物を添加する。
を得る。また、波長450nm以上の長波長の窒化物系
半導体レーザ装置を得る。 【解決手段】 障壁層と井戸層とを交互に複数積層した
多重量子井戸構造の活性層を有する窒化物系半導体レー
ザ装置において、障壁層の膜厚を薄くし、障壁層に所定
の濃度の第1導電型不純物を添加する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は窒化物系半導体レー
ザ装置に関する。
ザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、固体照明や液晶プロジェクタなど
の光源のための可視光半導体発光装置のニーズが高まっ
ている。可視光半導体発光装置はこれまでのランプ光源
に比べて消費電力が少なく長寿命であるので、光利用効
率が高く電源交換の頻度が少なくなる。また、単色性に
優れ、小型でコンパクトなので、実用性でも魅力的であ
る。この可視光半導体発光装置としては、例えば、LE
D(半導体発光ダイオード素子)がある。LEDは、R
GB3原色の波長(R:赤630nm、G:緑520n
m、B:青470nm)が実現されており、多彩な色を
表現できる。
の光源のための可視光半導体発光装置のニーズが高まっ
ている。可視光半導体発光装置はこれまでのランプ光源
に比べて消費電力が少なく長寿命であるので、光利用効
率が高く電源交換の頻度が少なくなる。また、単色性に
優れ、小型でコンパクトなので、実用性でも魅力的であ
る。この可視光半導体発光装置としては、例えば、LE
D(半導体発光ダイオード素子)がある。LEDは、R
GB3原色の波長(R:赤630nm、G:緑520n
m、B:青470nm)が実現されており、多彩な色を
表現できる。
【0003】しかしながら、LEDの発光効率は従来の
蛍光灯などに比べて未だに低く、固体照明光源として用
いるには不十分であり、誘導放出を利用して発光効率を
高めた半導体発光装置が不可欠になる。半導体レーザ装
置は誘導放出を利用しており、発光効率が高いので有望
である。一方、液晶プロジェクタの光源として用いる場
合、3原色の発光効率を高める他に集光性を高めること
が重要であり、集光性を高めるために点発光光源化が必
要である。ところが、上記のLEDで構成するには光量
を稼ぐための発光源が大きくなりすぎるので集光が実質
的に困難になり光利用効率の低下を招いてしまう。従っ
て、より光利用効率を高めるために、発光効率が高い可
視光半導体レーザ装置は魅力的である。半導体レーザ装
置は、光利用効率の他に、小型化、低消費電力等の利点
もあり液晶プロジェクタの光源として期待できる。
蛍光灯などに比べて未だに低く、固体照明光源として用
いるには不十分であり、誘導放出を利用して発光効率を
高めた半導体発光装置が不可欠になる。半導体レーザ装
置は誘導放出を利用しており、発光効率が高いので有望
である。一方、液晶プロジェクタの光源として用いる場
合、3原色の発光効率を高める他に集光性を高めること
が重要であり、集光性を高めるために点発光光源化が必
要である。ところが、上記のLEDで構成するには光量
を稼ぐための発光源が大きくなりすぎるので集光が実質
的に困難になり光利用効率の低下を招いてしまう。従っ
て、より光利用効率を高めるために、発光効率が高い可
視光半導体レーザ装置は魅力的である。半導体レーザ装
置は、光利用効率の他に、小型化、低消費電力等の利点
もあり液晶プロジェクタの光源として期待できる。
【0004】可視光半導体レーザ装置としては、赤色発
光のレーザ装置がすでに実用化されており、バーコード
リーダ、コンパクトディスク(CD)、DVDなどの光源と
して用いられている。赤色半導体レーザ装置では、当初
は、DH(Double Hetero-structure)構造が用いられ
ていた。このDH構造は、比較的厚膜の活性層を、n型
のクラッド層と、p型のクラッド層と、で挟んだ構造で
ある。しかし、その後研究が進み、DH構造に代わっ
て、多重量子井戸構造が用いられるようになった。この
多重量子井戸構造は、活性層を、薄膜の量子井戸層と、
障壁層と、を交互に複数積層した構造にするものであ
る。このような多重量子井戸構造を用いることで、閾値
電流低下および発振波長制御をはじめとして、高単色
性、低電力駆動、高出力動作、高温動作化、長寿命化、
等さまざまな特性が向上した。これは、発振に寄与する
キャリア(電子、正孔)を縮退した量子準位に集中さ
せ、発光のためのエネルギー遷移の揺らぎを減らした効
果であり、いわゆる量子効果への期待はこの効果への期
待であるとも言える。半導体レーザ装置の量子効果をさ
らに高めるためには量子箱などのさらなる低次元化が望
ましい、というのが通常の技術者の常識である。
光のレーザ装置がすでに実用化されており、バーコード
リーダ、コンパクトディスク(CD)、DVDなどの光源と
して用いられている。赤色半導体レーザ装置では、当初
は、DH(Double Hetero-structure)構造が用いられ
ていた。このDH構造は、比較的厚膜の活性層を、n型
のクラッド層と、p型のクラッド層と、で挟んだ構造で
ある。しかし、その後研究が進み、DH構造に代わっ
て、多重量子井戸構造が用いられるようになった。この
多重量子井戸構造は、活性層を、薄膜の量子井戸層と、
障壁層と、を交互に複数積層した構造にするものであ
る。このような多重量子井戸構造を用いることで、閾値
電流低下および発振波長制御をはじめとして、高単色
性、低電力駆動、高出力動作、高温動作化、長寿命化、
等さまざまな特性が向上した。これは、発振に寄与する
キャリア(電子、正孔)を縮退した量子準位に集中さ
せ、発光のためのエネルギー遷移の揺らぎを減らした効
果であり、いわゆる量子効果への期待はこの効果への期
待であるとも言える。半導体レーザ装置の量子効果をさ
らに高めるためには量子箱などのさらなる低次元化が望
ましい、というのが通常の技術者の常識である。
【0005】一方では、紫外から可視光領域全体でのレ
ーザ発振が可能である窒化物系半導体材料を用い、既に
波長400nm帯の青紫色窒化物半導体レーザ装置が実
現されている。この青紫色窒化物半導体レーザ装置は、
低閾値化、長寿命化、量産性などの課題があるものの、
赤色半導体レーザ装置に比べて波長が短いので、記録容
量の高い次世代のDVDの光源として期待されている。
この窒化物半導体レーザ装置の場合、最初のレーザ発振
時から多重量子井戸構造が用いられており、赤色半導体
レーザ装置のようなDH構造ではレーザ発振の報告は皆無
である。そして、上記の量子効果を高めるために、障壁
層厚Lbを、井戸層厚Lwの2倍〜4倍程度の7〜10
nm程度と厚くしている(図3参照)。
ーザ発振が可能である窒化物系半導体材料を用い、既に
波長400nm帯の青紫色窒化物半導体レーザ装置が実
現されている。この青紫色窒化物半導体レーザ装置は、
低閾値化、長寿命化、量産性などの課題があるものの、
赤色半導体レーザ装置に比べて波長が短いので、記録容
量の高い次世代のDVDの光源として期待されている。
この窒化物半導体レーザ装置の場合、最初のレーザ発振
時から多重量子井戸構造が用いられており、赤色半導体
レーザ装置のようなDH構造ではレーザ発振の報告は皆無
である。そして、上記の量子効果を高めるために、障壁
層厚Lbを、井戸層厚Lwの2倍〜4倍程度の7〜10
nm程度と厚くしている(図3参照)。
【0006】しかし、現在、波長約470nmの青色発
光、波長約520nmの緑色発光、の半導体レーザ装置
は第2高調波発生装置との組み合わせを用いたものを除
けば実用化されていない。つまり、RGB3原色のなか
で、B、Gの半導体レーザ装置は実質的に実用化されて
いない。このため、現在では、半導体レーザ装置を用い
て多彩な色を表現することはできず、半導体レーザ装置
を用いた表示用途は限られている。もっとも、上記の窒
化物系半導体混晶材料のバンドギャップエネルギーの理
論値によれば、RGBいずれについてもレーザ発振が可
能であると推測されている。
光、波長約520nmの緑色発光、の半導体レーザ装置
は第2高調波発生装置との組み合わせを用いたものを除
けば実用化されていない。つまり、RGB3原色のなか
で、B、Gの半導体レーザ装置は実質的に実用化されて
いない。このため、現在では、半導体レーザ装置を用い
て多彩な色を表現することはできず、半導体レーザ装置
を用いた表示用途は限られている。もっとも、上記の窒
化物系半導体混晶材料のバンドギャップエネルギーの理
論値によれば、RGBいずれについてもレーザ発振が可
能であると推測されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述の通り、理論的な
推測に反し、波長約470nmの青色発振、波長約52
0nmの緑色発振、の窒化物系半導体レーザ装置は未だ
に実用化されていない。この窒化物系半導体レーザ装置
では、波長360〜450nmの波長範囲でのみレーザ
発振が実現されていた。また、上述のように、この短波
長窒化物系半導体レーザ装置でも、低閾値化、長寿命
化、量産化という課題があった。これらの主な原因は、
窒化物系半導体材料の結晶成長技術における問題である
と考えられている。
推測に反し、波長約470nmの青色発振、波長約52
0nmの緑色発振、の窒化物系半導体レーザ装置は未だ
に実用化されていない。この窒化物系半導体レーザ装置
では、波長360〜450nmの波長範囲でのみレーザ
発振が実現されていた。また、上述のように、この短波
長窒化物系半導体レーザ装置でも、低閾値化、長寿命
化、量産化という課題があった。これらの主な原因は、
窒化物系半導体材料の結晶成長技術における問題である
と考えられている。
【0008】本発明は、高出力、長寿命の窒化物半導体
レーザ装置を得ることを目的とする。
レーザ装置を得ることを目的とする。
【0009】また、本発明は、波長450nm以上の長
波長の窒化物半導体レーザ装置を得ることを目的とす
る。
波長の窒化物半導体レーザ装置を得ることを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の窒化物半導体レ
ーザ装置は、n型の半導体からなるn型クラッド層と、
p型の半導体からなるp型クラッド層と、前記n型クラ
ッド層と前記p型クラッド層との間に形成され、窒化物
系半導体からなり、前記n型クラッド層および前記p型
クラッド層よりもバンドギャップエネルギーが小さい量
子井戸層と、前記量子井戸層よりもバンドギャップエネ
ルギーが大きい障壁層と、を交互に複数積層した多重量
子井戸構造を有し、前記障壁層が、所定の濃度のn型不
純物が添加され膜厚が前記量子井戸層よりも薄い、活性
層と、を備えることを特徴とする。
ーザ装置は、n型の半導体からなるn型クラッド層と、
p型の半導体からなるp型クラッド層と、前記n型クラ
ッド層と前記p型クラッド層との間に形成され、窒化物
系半導体からなり、前記n型クラッド層および前記p型
クラッド層よりもバンドギャップエネルギーが小さい量
子井戸層と、前記量子井戸層よりもバンドギャップエネ
ルギーが大きい障壁層と、を交互に複数積層した多重量
子井戸構造を有し、前記障壁層が、所定の濃度のn型不
純物が添加され膜厚が前記量子井戸層よりも薄い、活性
層と、を備えることを特徴とする。
【0011】また、本発明の窒化物半導体レーザ装置
は、n型の半導体からなるn型クラッド層と、p型の半
導体からなるp型クラッド層と、前記n型クラッド層と
前記p型クラッド層との間に形成され、窒化物系半導体
からなり、前記n型クラッド層および前記p型クラッド
層よりもバンドギャップエネルギーが小さい量子井戸層
と、前記量子井戸層よりもバンドギャップエネルギーが
大きい障壁層と、を交互に複数積層した多重量子井戸構
造を有し、前記井戸層の膜厚が2nm以上5nm以下で
あり、前記障壁層が、所定の濃度のn型不純物が添加さ
れ膜厚が2nm以上3nm以下である、活性層と、を備
えることを特徴とする。
は、n型の半導体からなるn型クラッド層と、p型の半
導体からなるp型クラッド層と、前記n型クラッド層と
前記p型クラッド層との間に形成され、窒化物系半導体
からなり、前記n型クラッド層および前記p型クラッド
層よりもバンドギャップエネルギーが小さい量子井戸層
と、前記量子井戸層よりもバンドギャップエネルギーが
大きい障壁層と、を交互に複数積層した多重量子井戸構
造を有し、前記井戸層の膜厚が2nm以上5nm以下で
あり、前記障壁層が、所定の濃度のn型不純物が添加さ
れ膜厚が2nm以上3nm以下である、活性層と、を備
えることを特徴とする。
【0012】本発明者は、窒化物系半導体材料を用いた
可視光全域を凌駕する半導体レーザ装置を得るべく、結
晶成長技術開発と半導体レーザ積層構造開発のための様
々な実験を繰り返した。その結果、本発明者らは、障壁
層を薄膜にし、かつその障壁層にn型不純物を添加し、
さらには量子井戸層と障壁層の伝導帯におけるヘテロ障
壁高さを低くすることで、従来得られなかった窒化物系
半導体レーザによる青色、緑色、赤色などの可視光領域
全域でのレーザ発振が得られることを独自に知得するに
至った。また、本発明を従来の青紫色窒化物系半導体レ
ーザ装置に適用することで、さらなる高出力化、長寿命
化ができることを知得した。
可視光全域を凌駕する半導体レーザ装置を得るべく、結
晶成長技術開発と半導体レーザ積層構造開発のための様
々な実験を繰り返した。その結果、本発明者らは、障壁
層を薄膜にし、かつその障壁層にn型不純物を添加し、
さらには量子井戸層と障壁層の伝導帯におけるヘテロ障
壁高さを低くすることで、従来得られなかった窒化物系
半導体レーザによる青色、緑色、赤色などの可視光領域
全域でのレーザ発振が得られることを独自に知得するに
至った。また、本発明を従来の青紫色窒化物系半導体レ
ーザ装置に適用することで、さらなる高出力化、長寿命
化ができることを知得した。
【0013】しかしながら、窒化物系半導体レーザ装置
の障壁層を薄膜化することは従来の技術常識に反するこ
とである。このため、障壁層を薄膜化することは、通常
の技術者にとって思いもよらぬことである。なぜなら、
障壁層を薄くすれば、発光に寄与するキャリアのエネル
ギー準位が揺らぎ、誘導放出が起きる反転分布が得にく
くなってしまうからであり、期待される単一エネルギー
準位へのキャリア閉じ込めを利用しようとする量子効果
を弱めることになるからである。さらに、量子井戸層と
障壁層の伝導帯におけるヘテロ障壁高さを低くすること
は、キャリア閉じ込め効果を下げオーバーフローを起こ
し漏洩電流増大による閾値増大につながると考えられて
きた。従って、量子井戸層と障壁層の伝導帯におけるヘ
テロ障壁高さを低くすることも期待される量子効果を弱
める原因になるとして敬遠されたきた。しかし、本発明
者は、上記のようにさまざまな実験を繰り返すうち、窒
化物系半導体レーザ装置おいては、量子井戸形成による
エネルギー準位の縮退効果を強めた方が良いという従来
の技術常識に疑問があると考えた。そして本発明者は、
実験により、従来の技術常識に反し、上述のように、障
壁層を薄くし、さらには量子井戸層と障壁層の伝導帯に
おけるヘテロ障壁高さを低くして、形成されるエネルギ
ー準位の縮退を解くことにより、反転分布を得やすく
し、窒化物系半導体レーザ装置の長波長化ができること
を独自に知得したのである。また、同様にして、短波長
の窒化物系半導体レーザ装置の高出力化、長寿命化がで
きることを知得したのである。
の障壁層を薄膜化することは従来の技術常識に反するこ
とである。このため、障壁層を薄膜化することは、通常
の技術者にとって思いもよらぬことである。なぜなら、
障壁層を薄くすれば、発光に寄与するキャリアのエネル
ギー準位が揺らぎ、誘導放出が起きる反転分布が得にく
くなってしまうからであり、期待される単一エネルギー
準位へのキャリア閉じ込めを利用しようとする量子効果
を弱めることになるからである。さらに、量子井戸層と
障壁層の伝導帯におけるヘテロ障壁高さを低くすること
は、キャリア閉じ込め効果を下げオーバーフローを起こ
し漏洩電流増大による閾値増大につながると考えられて
きた。従って、量子井戸層と障壁層の伝導帯におけるヘ
テロ障壁高さを低くすることも期待される量子効果を弱
める原因になるとして敬遠されたきた。しかし、本発明
者は、上記のようにさまざまな実験を繰り返すうち、窒
化物系半導体レーザ装置おいては、量子井戸形成による
エネルギー準位の縮退効果を強めた方が良いという従来
の技術常識に疑問があると考えた。そして本発明者は、
実験により、従来の技術常識に反し、上述のように、障
壁層を薄くし、さらには量子井戸層と障壁層の伝導帯に
おけるヘテロ障壁高さを低くして、形成されるエネルギ
ー準位の縮退を解くことにより、反転分布を得やすく
し、窒化物系半導体レーザ装置の長波長化ができること
を独自に知得したのである。また、同様にして、短波長
の窒化物系半導体レーザ装置の高出力化、長寿命化がで
きることを知得したのである。
【0014】本発明はこのことに着目してなされたもの
である。つまり、この方法は、従来の技術常識とは異な
った本発明者の独自の実験結果によって得られたもので
あり、本発明者の独自の知得に基づくものである。
である。つまり、この方法は、従来の技術常識とは異な
った本発明者の独自の実験結果によって得られたもので
あり、本発明者の独自の知得に基づくものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照にしつつ本発明
の実施の形態の窒化物系半導体レーザ装置について説明
する。以下、まず第1の実施の形態では高出力かつ長寿
命の波長約403nmの紫色発光のレーザ装置について
説明し、次に第2の実施の形態では波長約470nmの
青色発光のレーザ装置について説明し、次に第3の実施
の形態では波長約520nmの緑色発光のレーザ装置に
ついて説明する。
の実施の形態の窒化物系半導体レーザ装置について説明
する。以下、まず第1の実施の形態では高出力かつ長寿
命の波長約403nmの紫色発光のレーザ装置について
説明し、次に第2の実施の形態では波長約470nmの
青色発光のレーザ装置について説明し、次に第3の実施
の形態では波長約520nmの緑色発光のレーザ装置に
ついて説明する。
【0016】(第1の実施の形態)第1の実施の形態の
窒化物系半導体レーザ装置の特徴の1つは、図1から分
かるように、多重量子井戸活性層14の障壁層厚を30
nmと薄くした点である。これにより、高出力化、長寿
命化ができる。
窒化物系半導体レーザ装置の特徴の1つは、図1から分
かるように、多重量子井戸活性層14の障壁層厚を30
nmと薄くした点である。これにより、高出力化、長寿
命化ができる。
【0017】図1は本発明の第1の実施の形態の窒化物
系半導体レーザ装置の概略断面図である。(0001)
c軸Ga面を表面とするn型GaN半導体基板(Oドー
プ、5×1018cm−3、80μm)10上には、5
×1018cm−3のSiがドープされたn型GaNバ
ッファ層11、変調ドープ超格子n型クラッド層12、
1×1018cm−3のSiがドープされた膜厚0.1
μmのn型GaN光導波層13、多重量子井戸活性層1
4、1×1018cm−3のMgがドープされた膜厚
0.1μmのp型GaN光導波層15、変調ドープ超格
子p型クラッド層16、2×1018cm−3のMgが
ドープされた膜厚0.1μmのp型GaN層17、が順
次形成されている。この積層構造の図中上側の面は、膜
厚0.4μmのSiO2絶縁膜19で覆われ、このSi
O2絶縁膜19のp型GaN層17上の部分にコンタク
トホールが形成され、このコンタクトホールを介して、
Ptからなるp側電極18、Ti/Pt/Auからなる
p側電極パット20、が順次形成されている。n型基板
10の裏面には、Ti/Pt/Auからなるn側電極2
1が形成されている。
系半導体レーザ装置の概略断面図である。(0001)
c軸Ga面を表面とするn型GaN半導体基板(Oドー
プ、5×1018cm−3、80μm)10上には、5
×1018cm−3のSiがドープされたn型GaNバ
ッファ層11、変調ドープ超格子n型クラッド層12、
1×1018cm−3のSiがドープされた膜厚0.1
μmのn型GaN光導波層13、多重量子井戸活性層1
4、1×1018cm−3のMgがドープされた膜厚
0.1μmのp型GaN光導波層15、変調ドープ超格
子p型クラッド層16、2×1018cm−3のMgが
ドープされた膜厚0.1μmのp型GaN層17、が順
次形成されている。この積層構造の図中上側の面は、膜
厚0.4μmのSiO2絶縁膜19で覆われ、このSi
O2絶縁膜19のp型GaN層17上の部分にコンタク
トホールが形成され、このコンタクトホールを介して、
Ptからなるp側電極18、Ti/Pt/Auからなる
p側電極パット20、が順次形成されている。n型基板
10の裏面には、Ti/Pt/Auからなるn側電極2
1が形成されている。
【0018】上記の基板10上に形成された変調ドープ
超格子n型クラッド層12は、5×1018cm−3の
Siがドープされた膜厚2.5nmのn型GaN層と、
アンドープの膜厚2.5nmのAl0.15Ga
0.85N層と、を交互に300周期積層した超格子構
造である。また、他方側のクラッド層である変調ドープ
超格子p型クラッド層16は、2×1020cm−3の
Mgがドープされた膜厚2.5nmのp型GaN層(キ
ャリア濃度=2×1018cm−3)と、アンドープの
膜厚2.5nmのAl0.15Ga0.85N層と、を
交互に150周期積層した超格子構造である。活性層1
4は、上記のn型クラッド層12と、p型クラッド層1
6と、の間に形成されている。活性層14は、InGa
Nからなり、電極20、21からの電流注入により発光
する。この活性層14は、In0.11Ga0.89N
からなる量子井戸層(井戸層)と、In0.04Ga
0.96Nからなる障壁層と、を交互に3周期積層した
構造である(図2参照)。井戸層のバンドギャップエネ
ルギーはn型クラッド層12およびp型クラッド層16
よりも小さい。また、障壁層のバンドギャップエネルギ
ーは井戸層のバンドギャップエネルギーよりも大きい。
図1の装置の特徴の1つは、この障壁層が、1.0×1
019cm−3の濃度のSi(シリコン、n型不純物)
が添加され、膜厚が3.0nmと薄くなるように構成さ
れている点である。井戸層厚は3.0nmである。この
井戸層および障壁層からなる活性層14は、電流注入に
より反転分布を形成し、波長403nmのレーザ光を放
射する。そして、活性層14の端面から出射される。こ
のレーザ光の出射端面には、図示しないが、ZrO
2(屈折率n 1、膜厚λ/4n1)とSiO2(屈折率
n2、膜厚λ/4n2)と交互に多層に積層した光反射
コートを施している。
超格子n型クラッド層12は、5×1018cm−3の
Siがドープされた膜厚2.5nmのn型GaN層と、
アンドープの膜厚2.5nmのAl0.15Ga
0.85N層と、を交互に300周期積層した超格子構
造である。また、他方側のクラッド層である変調ドープ
超格子p型クラッド層16は、2×1020cm−3の
Mgがドープされた膜厚2.5nmのp型GaN層(キ
ャリア濃度=2×1018cm−3)と、アンドープの
膜厚2.5nmのAl0.15Ga0.85N層と、を
交互に150周期積層した超格子構造である。活性層1
4は、上記のn型クラッド層12と、p型クラッド層1
6と、の間に形成されている。活性層14は、InGa
Nからなり、電極20、21からの電流注入により発光
する。この活性層14は、In0.11Ga0.89N
からなる量子井戸層(井戸層)と、In0.04Ga
0.96Nからなる障壁層と、を交互に3周期積層した
構造である(図2参照)。井戸層のバンドギャップエネ
ルギーはn型クラッド層12およびp型クラッド層16
よりも小さい。また、障壁層のバンドギャップエネルギ
ーは井戸層のバンドギャップエネルギーよりも大きい。
図1の装置の特徴の1つは、この障壁層が、1.0×1
019cm−3の濃度のSi(シリコン、n型不純物)
が添加され、膜厚が3.0nmと薄くなるように構成さ
れている点である。井戸層厚は3.0nmである。この
井戸層および障壁層からなる活性層14は、電流注入に
より反転分布を形成し、波長403nmのレーザ光を放
射する。そして、活性層14の端面から出射される。こ
のレーザ光の出射端面には、図示しないが、ZrO
2(屈折率n 1、膜厚λ/4n1)とSiO2(屈折率
n2、膜厚λ/4n2)と交互に多層に積層した光反射
コートを施している。
【0019】次に、図1の半導体レーザの製造方法につ
いて記す。図1の半導体レーザは、従来と同様の成長装
置、成長方法を用いて、以下のように容易に形成でき
る。まず、鏡面のn型GaN半導体基板10に有機金属
気相成長法(MOCVD)でn型GaNバッファ層11
を2μm成長する。ここで、n型GaNバッファ層11
をn型AlGaNとし、そのAl組成を0からnクラッ
ド層12の平均Al組成の間としても構わない。次い
で、有機金属気相成長法(MOCVD)でn型クラッド
層12、n型GaN光導波層13、多重量子井戸活性層
14、p型GaN光導波層15、p型AlGaNクラッ
ド層16、p型GaNコンタクト層17まで、順次成長
する。MOCVD成長工程において、n型GaNバッフ
ァ層11からn型GaN光導波層13までは、成長温度
を1080℃、キャリアガスを水素と窒素の混合ガス、
として連続成長し、次いで成長温度を800℃まで降温
し、窒素雰囲気で多重量子井戸活性層14を成長し、次
いで成長温度を1080℃まで再昇温し、p型GaN光
導波層15からp型GaNコンタクト層17までをn型
層と同様に連続成長する。次いで、電流注入と光閉じ込
めのためのリッジストライプを形成するために変調ドー
プ超格子構造pクラッド層16の途中までドライエッチ
ング法で除去し、除去面にはSiO2絶縁膜19を形成
し、次いで、p型GaNコンタクト層15表面にはp側
電極19を形成し、さらに配線のためのp側電極パッド
20を形成し、MOCVDエピ成長を施していないn型
GaN基板10の裏面は80μm厚まで研磨し、Ti/
Pt/Au構造n電極21を形成する。次いで、共振器
長が0.5mmになるようにウェハを劈開し、複数の発
光層を有するバーを形成する。次いで、特に図示しない
が、ECR−CVD(電子サイクロトロン共鳴CVD)
法やスパッタ法などで光出射端面の膜厚にレーザ発振波
長の1/4波長厚のZrO2/SiO2からなる高反射
コートを施す。さらにレーザバーを劈開法でチップ化
し、AuSn半田を用いてAlNサブマウントチップに
熱融着する。
いて記す。図1の半導体レーザは、従来と同様の成長装
置、成長方法を用いて、以下のように容易に形成でき
る。まず、鏡面のn型GaN半導体基板10に有機金属
気相成長法(MOCVD)でn型GaNバッファ層11
を2μm成長する。ここで、n型GaNバッファ層11
をn型AlGaNとし、そのAl組成を0からnクラッ
ド層12の平均Al組成の間としても構わない。次い
で、有機金属気相成長法(MOCVD)でn型クラッド
層12、n型GaN光導波層13、多重量子井戸活性層
14、p型GaN光導波層15、p型AlGaNクラッ
ド層16、p型GaNコンタクト層17まで、順次成長
する。MOCVD成長工程において、n型GaNバッフ
ァ層11からn型GaN光導波層13までは、成長温度
を1080℃、キャリアガスを水素と窒素の混合ガス、
として連続成長し、次いで成長温度を800℃まで降温
し、窒素雰囲気で多重量子井戸活性層14を成長し、次
いで成長温度を1080℃まで再昇温し、p型GaN光
導波層15からp型GaNコンタクト層17までをn型
層と同様に連続成長する。次いで、電流注入と光閉じ込
めのためのリッジストライプを形成するために変調ドー
プ超格子構造pクラッド層16の途中までドライエッチ
ング法で除去し、除去面にはSiO2絶縁膜19を形成
し、次いで、p型GaNコンタクト層15表面にはp側
電極19を形成し、さらに配線のためのp側電極パッド
20を形成し、MOCVDエピ成長を施していないn型
GaN基板10の裏面は80μm厚まで研磨し、Ti/
Pt/Au構造n電極21を形成する。次いで、共振器
長が0.5mmになるようにウェハを劈開し、複数の発
光層を有するバーを形成する。次いで、特に図示しない
が、ECR−CVD(電子サイクロトロン共鳴CVD)
法やスパッタ法などで光出射端面の膜厚にレーザ発振波
長の1/4波長厚のZrO2/SiO2からなる高反射
コートを施す。さらにレーザバーを劈開法でチップ化
し、AuSn半田を用いてAlNサブマウントチップに
熱融着する。
【0020】以上説明した図1の窒化物系半導体レーザ
装置では、障壁層と井戸層とを交互に3周期積層した多
重量子井戸構造の活性層14で、障壁層厚を30nmと
薄くし、この障壁層に1.0×1019cm−3のシリ
コンを添加したので、高出力化、長寿命化することがで
きる。これは、3層の活性層にキャリアを均一に注入で
きるようにすることで、3層の活性層が同時に発振利得
に到達することができるようになったためである。以
下、図2を参照にして、説明する。
装置では、障壁層と井戸層とを交互に3周期積層した多
重量子井戸構造の活性層14で、障壁層厚を30nmと
薄くし、この障壁層に1.0×1019cm−3のシリ
コンを添加したので、高出力化、長寿命化することがで
きる。これは、3層の活性層にキャリアを均一に注入で
きるようにすることで、3層の活性層が同時に発振利得
に到達することができるようになったためである。以
下、図2を参照にして、説明する。
【0021】図2は、図1の窒化物系半導体レーザ装置
の活性層14のエネルギーバンドを示す図である。図
中、右側はn型GaN光導波層13を、中央は多重量子
井戸活性層14を、左側はp型GaN光導波層15を、
示している。図中、中央の多重量子井戸活性層14で伝
導帯端のエネルギーレベルEcと価電子帯端のエネルギ
ーレベルEvのエネルギー幅が狭い部分が井戸層、Ec
とEvのエネルギー幅が広くなった部分が障壁層を、夫
々、示している。図中、量子井戸層は3層設けている。
井戸層厚Lwは3.0nm、障壁層厚Lbも3.0nm
である。この井戸層には、図1の素子の電極20、21
に電圧、電流を印加することにより、n型GaN光導波
層13側からは電子が、p型GaN光導波層15側から
は正孔が、それぞれ注入される。各井戸層では、伝導帯
端Ec上には量子準位エネルギー帯Acが、価電子帯E
v下には量子準位エネルギー帯Avが、それぞれ形成さ
れる。図1の装置では、障壁層Lbを3.0nmと薄膜
にしたので、図2に示すように、各井戸層の量子準位エ
ネルギー帯Ac、Avが広がる。これは各井戸層の波動
関数が重なって量子準位の縮退が解けたからである。こ
の井戸層と交互に積層された障壁層中には、1.0×1
019cm−3のSiが添加されている。このSiは障
壁層中にSi準位ESiを形成する。このため、各井戸
層間のトンネル確率が増大し、各井戸層にキャリアが均
一に注入される。この結果、3つの井戸層が共に同じ注
入キャリア濃度で発振利得が得られし、光出力を高くす
ることができる。このように、図1の装置は、障壁層に
Si準位ESiが形成されること、および各井戸層の波
動関数が重なって量子準位の縮退が解けたこと、により
各井戸層にキャリアが均一に注入され、高出力化ができ
ると解析される。また、各井戸層が均一に高効率で発光
するので、特定の井戸層が吸収損失になったりしないの
で、発振閾値が下がり、低消費電力駆動が可能になるの
で、長寿命化できると解析される。
の活性層14のエネルギーバンドを示す図である。図
中、右側はn型GaN光導波層13を、中央は多重量子
井戸活性層14を、左側はp型GaN光導波層15を、
示している。図中、中央の多重量子井戸活性層14で伝
導帯端のエネルギーレベルEcと価電子帯端のエネルギ
ーレベルEvのエネルギー幅が狭い部分が井戸層、Ec
とEvのエネルギー幅が広くなった部分が障壁層を、夫
々、示している。図中、量子井戸層は3層設けている。
井戸層厚Lwは3.0nm、障壁層厚Lbも3.0nm
である。この井戸層には、図1の素子の電極20、21
に電圧、電流を印加することにより、n型GaN光導波
層13側からは電子が、p型GaN光導波層15側から
は正孔が、それぞれ注入される。各井戸層では、伝導帯
端Ec上には量子準位エネルギー帯Acが、価電子帯E
v下には量子準位エネルギー帯Avが、それぞれ形成さ
れる。図1の装置では、障壁層Lbを3.0nmと薄膜
にしたので、図2に示すように、各井戸層の量子準位エ
ネルギー帯Ac、Avが広がる。これは各井戸層の波動
関数が重なって量子準位の縮退が解けたからである。こ
の井戸層と交互に積層された障壁層中には、1.0×1
019cm−3のSiが添加されている。このSiは障
壁層中にSi準位ESiを形成する。このため、各井戸
層間のトンネル確率が増大し、各井戸層にキャリアが均
一に注入される。この結果、3つの井戸層が共に同じ注
入キャリア濃度で発振利得が得られし、光出力を高くす
ることができる。このように、図1の装置は、障壁層に
Si準位ESiが形成されること、および各井戸層の波
動関数が重なって量子準位の縮退が解けたこと、により
各井戸層にキャリアが均一に注入され、高出力化ができ
ると解析される。また、各井戸層が均一に高効率で発光
するので、特定の井戸層が吸収損失になったりしないの
で、発振閾値が下がり、低消費電力駆動が可能になるの
で、長寿命化できると解析される。
【0022】もっとも、従来の技術常識では、図2のよ
うに量子準位の縮退を解くと、閾値電流が上昇したり、
発光スペクトルが広がったりするなど、さまざまな特性
が悪化すると考えられている。このため、従来の窒化物
系半導体レーザ装置では、図3のように、障壁層厚Lb
を、井戸層厚Lwの2倍〜4倍程度の10nm程度と厚
くして、量子効果を高めていた。しかしながら、本発明
者の実験によれば、窒化物系半導体材料を用いたレーザ
装置では、上述のように、縮退を解いた方が反転分布が
得やすく、光出力が高くなり、寿命も長くなった。これ
は、窒化物系半導体レーザ装置では、活性層中に自発分
極やピエゾ分極による電界が生じやすいこと、窒素元素
の原子半径が極端に小さいことによるIII族元素の偏
析や組成揺らぎ膜厚揺らぎが多いこと、などにより、量
子井戸活性層が不均一になり、レーザ発振のための反転
分布が形成しにくくなるからである。
うに量子準位の縮退を解くと、閾値電流が上昇したり、
発光スペクトルが広がったりするなど、さまざまな特性
が悪化すると考えられている。このため、従来の窒化物
系半導体レーザ装置では、図3のように、障壁層厚Lb
を、井戸層厚Lwの2倍〜4倍程度の10nm程度と厚
くして、量子効果を高めていた。しかしながら、本発明
者の実験によれば、窒化物系半導体材料を用いたレーザ
装置では、上述のように、縮退を解いた方が反転分布が
得やすく、光出力が高くなり、寿命も長くなった。これ
は、窒化物系半導体レーザ装置では、活性層中に自発分
極やピエゾ分極による電界が生じやすいこと、窒素元素
の原子半径が極端に小さいことによるIII族元素の偏
析や組成揺らぎ膜厚揺らぎが多いこと、などにより、量
子井戸活性層が不均一になり、レーザ発振のための反転
分布が形成しにくくなるからである。
【0023】以下、図2、図3を参照にして説明する。
図3は、障壁層厚Lbを厚くした従来の窒化物半導体レ
ーザ装置のエネルギーバンド構造を示す図である。従来
の窒化物半導体レーザ装置の場合、他の材料系のレーザ
装置と同様に、図3のようにAc、Avで示す形成され
る量子準位は夫々単一のものでありエネルギーレベルの
揺らぎは小さくなるように設計される。このように量子
準位Ac、Avのエネルギー幅が狭くなれば、発光スペ
クトルが狭くなるなどの利点があるはずである。しか
し、実際に製造される窒化物半導体レーザ装置では、活
性層中に組成揺らぎ、膜厚揺らぎが発生しやすいために
量子準位のエネルギー幅が広がったり、ピエゾ分極や自
発分極により電界が生じ空間的に異なる位置に発光遷移
しやすくなったりする。また、従来の窒化物半導体レー
ザ装置における多重量子井戸構造活性層の場合、有効質
量が大きいことも原因となり、p型クラッド層に近い量
子井戸層ほど正孔濃度が高く電子濃度が低く、逆にn型
クラッド層に近い量子井戸層ほど電子濃度が高く正孔濃
度が低くなり、夫々の量子井戸層の利得が不均一になっ
たりする。従って、実際に製造される従来の窒化物半導
体レーザ装置では、発光スペクトル幅が広がったり、閾
電流が増大したりする。つまり、設計段階で期待される
量子効果まで特性が向上しなくなる。逆に、障壁層厚を
薄くすると、図2に示すように、各量子井戸層に形成さ
れる波動関数は重なり合うようになるので、各量子準位
Ac、Avはエネルギーの幅を持つようになる。しかし
ながら、量子準位Ac、Avが幅広いエネルギー帯とな
ることで、夫々の量子井戸で形成される量子準位の揺ら
ぎは無視できるようになる。従って、活性層中に組成揺
らぎ、膜厚揺らぎが発生した場合や、ピエゾ分極や自発
分極により電界が生じた場合でさえ、複数の量子井戸に
均一にキャリアが注入されるようになる。このように、
本発明者は、窒化物系半導体レーザでは、他の材料系の
レーザ装置と異なり、隣あう量子井戸層と相互作用を受
けるように障壁層を薄くすることで、レーザ特性が良好
になることを見出した。
図3は、障壁層厚Lbを厚くした従来の窒化物半導体レ
ーザ装置のエネルギーバンド構造を示す図である。従来
の窒化物半導体レーザ装置の場合、他の材料系のレーザ
装置と同様に、図3のようにAc、Avで示す形成され
る量子準位は夫々単一のものでありエネルギーレベルの
揺らぎは小さくなるように設計される。このように量子
準位Ac、Avのエネルギー幅が狭くなれば、発光スペ
クトルが狭くなるなどの利点があるはずである。しか
し、実際に製造される窒化物半導体レーザ装置では、活
性層中に組成揺らぎ、膜厚揺らぎが発生しやすいために
量子準位のエネルギー幅が広がったり、ピエゾ分極や自
発分極により電界が生じ空間的に異なる位置に発光遷移
しやすくなったりする。また、従来の窒化物半導体レー
ザ装置における多重量子井戸構造活性層の場合、有効質
量が大きいことも原因となり、p型クラッド層に近い量
子井戸層ほど正孔濃度が高く電子濃度が低く、逆にn型
クラッド層に近い量子井戸層ほど電子濃度が高く正孔濃
度が低くなり、夫々の量子井戸層の利得が不均一になっ
たりする。従って、実際に製造される従来の窒化物半導
体レーザ装置では、発光スペクトル幅が広がったり、閾
電流が増大したりする。つまり、設計段階で期待される
量子効果まで特性が向上しなくなる。逆に、障壁層厚を
薄くすると、図2に示すように、各量子井戸層に形成さ
れる波動関数は重なり合うようになるので、各量子準位
Ac、Avはエネルギーの幅を持つようになる。しかし
ながら、量子準位Ac、Avが幅広いエネルギー帯とな
ることで、夫々の量子井戸で形成される量子準位の揺ら
ぎは無視できるようになる。従って、活性層中に組成揺
らぎ、膜厚揺らぎが発生した場合や、ピエゾ分極や自発
分極により電界が生じた場合でさえ、複数の量子井戸に
均一にキャリアが注入されるようになる。このように、
本発明者は、窒化物系半導体レーザでは、他の材料系の
レーザ装置と異なり、隣あう量子井戸層と相互作用を受
けるように障壁層を薄くすることで、レーザ特性が良好
になることを見出した。
【0024】図1の装置では、リッジ幅2μm、共振器
長0.5mmの場合、閾値電流25mA、発振波長は4
03nm、動作電圧は4.2Vで室温連続発振した。そ
して50mWの高出力、80℃の高温の条件で素子寿命
を測定したところ、5000時間以上であった。
長0.5mmの場合、閾値電流25mA、発振波長は4
03nm、動作電圧は4.2Vで室温連続発振した。そ
して50mWの高出力、80℃の高温の条件で素子寿命
を測定したところ、5000時間以上であった。
【0025】次に、図1のレーザ装置の活性層14にお
ける、井戸層の組成、障壁層の組成、井戸層厚Lw、障
壁層厚Lb、障壁層に添加するSiの濃度、について説
明する。すなわち、図1の装置では、井戸層の組成をI
n0.11Ga0.89N、障壁層の組成をIn
0.04Ga0.96N、井戸層厚Lwを3.0nm、
障壁層厚Lbを3.0nm、障壁層に添加するSiの濃
度を1.0×1019cm− 3、としたがこれらを他の
値にすることも可能なので、以下説明する。
ける、井戸層の組成、障壁層の組成、井戸層厚Lw、障
壁層厚Lb、障壁層に添加するSiの濃度、について説
明する。すなわち、図1の装置では、井戸層の組成をI
n0.11Ga0.89N、障壁層の組成をIn
0.04Ga0.96N、井戸層厚Lwを3.0nm、
障壁層厚Lbを3.0nm、障壁層に添加するSiの濃
度を1.0×1019cm− 3、としたがこれらを他の
値にすることも可能なので、以下説明する。
【0026】まず、本発明者は、図1の装置において、
井戸層および障壁層の組成を変化させずにヘテロ不連続
量を0.10eVに固定して(図2)、井戸層厚Lw、
障壁層厚Lbを変化させて実験を行った。その結果、障
壁層厚Lbを約2.5nm〜3.0nmと薄くし、井戸
層厚Lwを約2.5〜5.0nmとすると高出力、長寿
命な素子が得られた。また、障壁層厚Lbを約2.5n
m〜5.0nm、井戸層厚Lwを約2.5〜5.0nm
とし、障壁層厚Lbを井戸層厚Lw未満にすると、高出
力、長寿命な素子が得られた。
井戸層および障壁層の組成を変化させずにヘテロ不連続
量を0.10eVに固定して(図2)、井戸層厚Lw、
障壁層厚Lbを変化させて実験を行った。その結果、障
壁層厚Lbを約2.5nm〜3.0nmと薄くし、井戸
層厚Lwを約2.5〜5.0nmとすると高出力、長寿
命な素子が得られた。また、障壁層厚Lbを約2.5n
m〜5.0nm、井戸層厚Lwを約2.5〜5.0nm
とし、障壁層厚Lbを井戸層厚Lw未満にすると、高出
力、長寿命な素子が得られた。
【0027】この理由は次のように説明できる。すなわ
ち、井戸層厚Lw、障壁層厚Lbが5.0nm以上の場
合は、量子準位の分裂は起きにくく、図2のようなエネ
ルギー幅を有する量子準位は得られにくい。このため、
量子準位Acの幅は狭く(図3参照)、量子準位Acの
上端がSi準位ESiよりも十分低く、前述の均一キャ
リア注入効果は現れない。しかし、井戸層厚Lw、障壁
層厚Lbが5.0nm以下になると、量子準位の縮退が
解けだし、量子準位Acの上端と、Si準位E Siと、
の差が25meV以下になり、室温でのトンネル効果が
顕著になる。この結果、本実施形態の均一キャリア注入
の効果が現れる。次に、井戸層厚Lw、障壁層厚Lbが
ともに3.5nm以下になると、量子準位Acの上端
と、Si準位ESiと、の差が無くなるために、均一キ
ャリア注入の効果が増える。さらに、図1の素子のよう
に、井戸層厚Lw、障壁層厚Lbがともに3.0nmに
なると、図2に示すように、量子準位Acの上端がSi
準位ESiよりも高くなり、均一キャリア注入の効果が
絶大になる。
ち、井戸層厚Lw、障壁層厚Lbが5.0nm以上の場
合は、量子準位の分裂は起きにくく、図2のようなエネ
ルギー幅を有する量子準位は得られにくい。このため、
量子準位Acの幅は狭く(図3参照)、量子準位Acの
上端がSi準位ESiよりも十分低く、前述の均一キャ
リア注入効果は現れない。しかし、井戸層厚Lw、障壁
層厚Lbが5.0nm以下になると、量子準位の縮退が
解けだし、量子準位Acの上端と、Si準位E Siと、
の差が25meV以下になり、室温でのトンネル効果が
顕著になる。この結果、本実施形態の均一キャリア注入
の効果が現れる。次に、井戸層厚Lw、障壁層厚Lbが
ともに3.5nm以下になると、量子準位Acの上端
と、Si準位ESiと、の差が無くなるために、均一キ
ャリア注入の効果が増える。さらに、図1の素子のよう
に、井戸層厚Lw、障壁層厚Lbがともに3.0nmに
なると、図2に示すように、量子準位Acの上端がSi
準位ESiよりも高くなり、均一キャリア注入の効果が
絶大になる。
【0028】次に、障壁層と活性層の組成について検討
する。本発明者の実験によれば、障壁層にInbGa
1−bN(0≦b<1)を、井戸層にIncGa1−c
N(0<c≦1、c>b)を用いた場合、障壁層のIn
組成bと、井戸層のIn組成cと、の差を所定の範囲に
すると高出力化、長寿命化等の効果が得られた。本発明
者はさらに詳細に実験を行った結果、障壁層と井戸層と
の伝導帯Ecのヘテロ不連続量(図2)を0.05eV
以上0.20eV以下、好ましくは0.07eV以上
0.15eV以下にすると高出力化、長寿命化の効果が
得られた。これは、In組成の差が大きくなりすぎてヘ
テロ不連続量が大きくなりすぎると、隣り合う量子井戸
の量子準位が干渉しにくくなり、前述の均一キャリア注
入効果が得られなくなるからであると解析される。ま
た、In組成の差が小さくなりすぎてヘテロ不連続量が
小さくなりすぎると、エネルギー幅を有する量子準位が
形成されなくなるためである。このように、障壁層と活
性層の組成は、それらの伝導帯のヘテロ不連続量が0.
05eV以上0.20eV以下、好ましくは0.07e
V以上0.15eV以下になるようにすると良い。
する。本発明者の実験によれば、障壁層にInbGa
1−bN(0≦b<1)を、井戸層にIncGa1−c
N(0<c≦1、c>b)を用いた場合、障壁層のIn
組成bと、井戸層のIn組成cと、の差を所定の範囲に
すると高出力化、長寿命化等の効果が得られた。本発明
者はさらに詳細に実験を行った結果、障壁層と井戸層と
の伝導帯Ecのヘテロ不連続量(図2)を0.05eV
以上0.20eV以下、好ましくは0.07eV以上
0.15eV以下にすると高出力化、長寿命化の効果が
得られた。これは、In組成の差が大きくなりすぎてヘ
テロ不連続量が大きくなりすぎると、隣り合う量子井戸
の量子準位が干渉しにくくなり、前述の均一キャリア注
入効果が得られなくなるからであると解析される。ま
た、In組成の差が小さくなりすぎてヘテロ不連続量が
小さくなりすぎると、エネルギー幅を有する量子準位が
形成されなくなるためである。このように、障壁層と活
性層の組成は、それらの伝導帯のヘテロ不連続量が0.
05eV以上0.20eV以下、好ましくは0.07e
V以上0.15eV以下になるようにすると良い。
【0029】次に、本発明者は、上記の範囲で井戸層お
よび障壁層の組成を変化させながら、井戸層厚Lwおよ
び障壁層厚Lbも変化させて詳細な実験を行った。その
結果、障壁層厚Lb、井戸層厚Lw、を図4に斜線で示
す範囲(点線の境界は含まない)にした場合には、高出
力化、長寿命化等の本実施形態の効果が得られた。すな
わち、図4に示すように、障壁層厚Lbを2.0nm以
上3.0nm以下と薄くし、井戸層厚Lwを2.0nm
以上5.0nm以下にした場合には、本実施形態の効果
が得られた。また、障壁層厚Lbを井戸層厚Lwよりも
薄くし、障壁層厚Lbおよび井戸層厚Lwを2.0nm
以上5.0nm以下にした場合にも、本実施形態の効果
が得られた。
よび障壁層の組成を変化させながら、井戸層厚Lwおよ
び障壁層厚Lbも変化させて詳細な実験を行った。その
結果、障壁層厚Lb、井戸層厚Lw、を図4に斜線で示
す範囲(点線の境界は含まない)にした場合には、高出
力化、長寿命化等の本実施形態の効果が得られた。すな
わち、図4に示すように、障壁層厚Lbを2.0nm以
上3.0nm以下と薄くし、井戸層厚Lwを2.0nm
以上5.0nm以下にした場合には、本実施形態の効果
が得られた。また、障壁層厚Lbを井戸層厚Lwよりも
薄くし、障壁層厚Lbおよび井戸層厚Lwを2.0nm
以上5.0nm以下にした場合にも、本実施形態の効果
が得られた。
【0030】以下、図5を参照に説明する。図5は、図
1の窒化物半導体レーザ装置において、井戸層厚Lwと
障壁層厚Lbとの比を変化させた場合の、井戸層厚Lw
に対する量子準位Ac、Avの変化を示す計算結果であ
る。図5(a)は伝導帯端E c側に形成される電子の量
子準位を、図5(b)は価電子帯Ev側に形成される正
孔の量子準位を、夫々示している。それぞれの図中、A
0.5は障壁層厚Lbを井戸層厚Lwの0.5倍にした
場合、A1.0は障壁層厚Lbを井戸層厚Lwの1.0
倍にした場合、A1.5は障壁層厚Lbを井戸層厚Lw
の1.5倍にした場合、を示している。また、それぞれ
2本ずつのA0.5、A1.0、A1. 5の線のうち、
図中上側の線は量子準位のエネルギー帯の上限を、図中
下側の線は量子準位のエネルギー帯の下限を、それぞれ
示す。この上限と下限の間の線は、縮退した量子準位の
エネルギーレベルを示す。例えば、図1の窒化物半導体
レーザ装置の伝導帯Ecにおける量子準位帯Acの幅
は、図4(a)で井戸層厚L wが3.0nmの場合の量
子準位帯A1.0の幅であり、約30meVである。ま
ず、図4(a)で、量子準位帯A0.5と、量子準位帯
A1.0と、量子準位帯A1.5と、を比較すると、井
戸層厚Lbに対する障壁層厚Lbの比を下げるにつれて
量子準位帯Acの幅が広くなることが分かる。つまり、
井戸層厚Lbに対する障壁層厚Lbの比を小さくする
と、量子準位のエネルギー幅が広がる。次に、量子準位
帯A1.0から、井戸層厚Lw、障壁層厚Lbを5.0
nm以下にすると、縮退が解け、量子準位帯Acが広が
ることが分かる。次に、A0.5、A1.0から、井戸
層厚Lwおよび障壁層厚Lbを薄くするにつれて、量子
準位帯Acの幅が徐々に広がることが分かる。そして、
障壁層厚Lbを3.0nm以下にすると、量子効果が急
激に弱まる。このことから、障壁層厚Lbを3.0nm
以下にすると井戸層厚Lwの方がやや厚くても特性が良
くなると解析される(図3)。次に、井戸層厚Lwまた
は障壁層厚Lbが2.0nm未満になると、その幅が約
0.2eVより大きくなる。ところが、前述のように、
本実施形態では障壁層と活性層の伝導帯端のヘテロ不連
続量(図2参照)は0.2eV以下である。このため、
井戸層厚Lwおよび障壁層厚Lbが2.0nm未満にな
ると、エネルギー帯Acの幅がヘテロ不連続量0.2e
Vよりも大きくなり、エネルギー帯Ac端が障壁層のエ
ネルギーレベルを超えて、本実施形態の効果がなくな
る。このことから、井戸層厚Lwおよび障壁層厚Lbを
2.0nm以上にすると良いと解析される(図3)。な
お、価電子帯Evについては、伝導帯Ecと基本的に同
一であり、詳細な説明は省略する。このようにして、主
に量子効果の強弱に起因して、図3の範囲が決まると解
析される。
1の窒化物半導体レーザ装置において、井戸層厚Lwと
障壁層厚Lbとの比を変化させた場合の、井戸層厚Lw
に対する量子準位Ac、Avの変化を示す計算結果であ
る。図5(a)は伝導帯端E c側に形成される電子の量
子準位を、図5(b)は価電子帯Ev側に形成される正
孔の量子準位を、夫々示している。それぞれの図中、A
0.5は障壁層厚Lbを井戸層厚Lwの0.5倍にした
場合、A1.0は障壁層厚Lbを井戸層厚Lwの1.0
倍にした場合、A1.5は障壁層厚Lbを井戸層厚Lw
の1.5倍にした場合、を示している。また、それぞれ
2本ずつのA0.5、A1.0、A1. 5の線のうち、
図中上側の線は量子準位のエネルギー帯の上限を、図中
下側の線は量子準位のエネルギー帯の下限を、それぞれ
示す。この上限と下限の間の線は、縮退した量子準位の
エネルギーレベルを示す。例えば、図1の窒化物半導体
レーザ装置の伝導帯Ecにおける量子準位帯Acの幅
は、図4(a)で井戸層厚L wが3.0nmの場合の量
子準位帯A1.0の幅であり、約30meVである。ま
ず、図4(a)で、量子準位帯A0.5と、量子準位帯
A1.0と、量子準位帯A1.5と、を比較すると、井
戸層厚Lbに対する障壁層厚Lbの比を下げるにつれて
量子準位帯Acの幅が広くなることが分かる。つまり、
井戸層厚Lbに対する障壁層厚Lbの比を小さくする
と、量子準位のエネルギー幅が広がる。次に、量子準位
帯A1.0から、井戸層厚Lw、障壁層厚Lbを5.0
nm以下にすると、縮退が解け、量子準位帯Acが広が
ることが分かる。次に、A0.5、A1.0から、井戸
層厚Lwおよび障壁層厚Lbを薄くするにつれて、量子
準位帯Acの幅が徐々に広がることが分かる。そして、
障壁層厚Lbを3.0nm以下にすると、量子効果が急
激に弱まる。このことから、障壁層厚Lbを3.0nm
以下にすると井戸層厚Lwの方がやや厚くても特性が良
くなると解析される(図3)。次に、井戸層厚Lwまた
は障壁層厚Lbが2.0nm未満になると、その幅が約
0.2eVより大きくなる。ところが、前述のように、
本実施形態では障壁層と活性層の伝導帯端のヘテロ不連
続量(図2参照)は0.2eV以下である。このため、
井戸層厚Lwおよび障壁層厚Lbが2.0nm未満にな
ると、エネルギー帯Acの幅がヘテロ不連続量0.2e
Vよりも大きくなり、エネルギー帯Ac端が障壁層のエ
ネルギーレベルを超えて、本実施形態の効果がなくな
る。このことから、井戸層厚Lwおよび障壁層厚Lbを
2.0nm以上にすると良いと解析される(図3)。な
お、価電子帯Evについては、伝導帯Ecと基本的に同
一であり、詳細な説明は省略する。このようにして、主
に量子効果の強弱に起因して、図3の範囲が決まると解
析される。
【0031】次に、本発明者は、障壁層に添加するSi
の濃度を変化させて実験を行ったところ、濃度を5.0
×1018cm−3以上5.0×1019以下、好まし
くは8.0×1018cm−3以上2.0×1019以
下にすると、レーザ装置の特性が向上した。これは、S
i濃度を低くしすぎると、障壁層のキャリア濃度が量子
井戸活性層のレーザ発振に必要な透明キャリア濃度に比
べて低くなってしまい、Siドープの準位を介したトン
ネル効果が十分に得られなくなってしまうからであると
解析されるが、一方で量子井戸層の歪量が大きすぎてピ
エゾ電界の発生、In元素の偏析、組成揺らぎが生じてし
まうことも原因である。窒化物半導体材料はGaAs系など
の他のIII−V族化合物半導体とは異なり、V族元素
である窒素の原子半径がIII族構成元素に比べて非常
に小さいために通常のMOCVD法成長では結晶構造が
六方晶系になりやすく、特に原子半径の大きいIn元素を
含有する場合は組成揺らぎが起きやすいと考えられる。
ところが、Si元素を上述の範囲でドープした場合は、
III族構成元素とV族窒素元素の中間である原子半径
を有するSi元素がIII族サイトに取り込まれるため
に、Siドープ障壁層が歪を緩和し、組成揺らぎの少な
い量子井戸活性層が形成できることを見出した。特に、
後述するIn組成を高くする必要のある青色発光や緑色
発光などの窒化物半導体レーザ装置の長波長化には、こ
のSiドープ障壁層による歪緩和効果が有用であること
もわかった。Si元素を上述の範囲を超えて過剰にドー
プした場合は、Si元素がV族窒素サイトに取り込まれ
るようになるために、結晶の歪量はさらに減り、且つ組
成揺らぎも低減されるが、過剰なSiはアクセプタ準位
を形成するために窒化物半導体レーザ装置の動作電圧が
上昇するという特性悪化が観測された。
の濃度を変化させて実験を行ったところ、濃度を5.0
×1018cm−3以上5.0×1019以下、好まし
くは8.0×1018cm−3以上2.0×1019以
下にすると、レーザ装置の特性が向上した。これは、S
i濃度を低くしすぎると、障壁層のキャリア濃度が量子
井戸活性層のレーザ発振に必要な透明キャリア濃度に比
べて低くなってしまい、Siドープの準位を介したトン
ネル効果が十分に得られなくなってしまうからであると
解析されるが、一方で量子井戸層の歪量が大きすぎてピ
エゾ電界の発生、In元素の偏析、組成揺らぎが生じてし
まうことも原因である。窒化物半導体材料はGaAs系など
の他のIII−V族化合物半導体とは異なり、V族元素
である窒素の原子半径がIII族構成元素に比べて非常
に小さいために通常のMOCVD法成長では結晶構造が
六方晶系になりやすく、特に原子半径の大きいIn元素を
含有する場合は組成揺らぎが起きやすいと考えられる。
ところが、Si元素を上述の範囲でドープした場合は、
III族構成元素とV族窒素元素の中間である原子半径
を有するSi元素がIII族サイトに取り込まれるため
に、Siドープ障壁層が歪を緩和し、組成揺らぎの少な
い量子井戸活性層が形成できることを見出した。特に、
後述するIn組成を高くする必要のある青色発光や緑色
発光などの窒化物半導体レーザ装置の長波長化には、こ
のSiドープ障壁層による歪緩和効果が有用であること
もわかった。Si元素を上述の範囲を超えて過剰にドー
プした場合は、Si元素がV族窒素サイトに取り込まれ
るようになるために、結晶の歪量はさらに減り、且つ組
成揺らぎも低減されるが、過剰なSiはアクセプタ準位
を形成するために窒化物半導体レーザ装置の動作電圧が
上昇するという特性悪化が観測された。
【0032】以上のように、図1のレーザ装置では、障
壁層と活性層の組成は、それらの伝導帯端のヘテロ不連
続量が0.05eV以上0.20eV以下、好ましくは
0.07eV以上0.15eV以下になるようにすると
良い。また、障壁層厚Lb、井戸層厚Lw、を図3に斜
線で示す範囲にすると良い。また、障壁層に添加するS
iの濃度を、5.0×1018cm−3以上5.0×1
019cm−3以下、好ましくは8.0×1018cm
−3以上2.0×1019cm−3以下にすると良い。
壁層と活性層の組成は、それらの伝導帯端のヘテロ不連
続量が0.05eV以上0.20eV以下、好ましくは
0.07eV以上0.15eV以下になるようにすると
良い。また、障壁層厚Lb、井戸層厚Lw、を図3に斜
線で示す範囲にすると良い。また、障壁層に添加するS
iの濃度を、5.0×1018cm−3以上5.0×1
019cm−3以下、好ましくは8.0×1018cm
−3以上2.0×1019cm−3以下にすると良い。
【0033】以上説明した第1の実施の形態のレーザ装
置では、n型クラッド層12とp型クラッド層16との
間に活性層14を形成し、基板10に近い側をn型クラ
ッド層12としたが、基板10に近い側をp型クラッド
層としても、本実施形態と同様の効果を得ることができ
る。これは、p側とn側を逆にしても、図2に示すバン
ド構造は基本的に同一だからである。なお、このように
p側とn側を逆にする場合も、図2から分かるように、
障壁層に添加する不純物は、n型不純物にする。
置では、n型クラッド層12とp型クラッド層16との
間に活性層14を形成し、基板10に近い側をn型クラ
ッド層12としたが、基板10に近い側をp型クラッド
層としても、本実施形態と同様の効果を得ることができ
る。これは、p側とn側を逆にしても、図2に示すバン
ド構造は基本的に同一だからである。なお、このように
p側とn側を逆にする場合も、図2から分かるように、
障壁層に添加する不純物は、n型不純物にする。
【0034】(第2の実施の形態)第2の実施の形態の
窒化物系半導体レーザ装置は、図6で示すように、活性
層14aの井戸層にIn0.35Ga0.65Nを用い
て、波長470nm帯の青色発振をさせるためのもので
ある。
窒化物系半導体レーザ装置は、図6で示すように、活性
層14aの井戸層にIn0.35Ga0.65Nを用い
て、波長470nm帯の青色発振をさせるためのもので
ある。
【0035】図6は、本発明の第2の実施の形態の窒化
物系半導体レーザ装置の構造を示す断面模式図である。
図6の装置では、絶縁性のサファイア基板22を用いて
いる。このサファイア基板22上には、GaNバッファ
層23が形成され、GaNバッファ層23上の一部には
ストライプ状のSiO2選択成長マスク24が形成され
ている。この選択成長マスク24に覆われていない部分
には、n型GaN層25aが形成されている。そして、
このn型GaN層25aを核として、n型GaNコンタ
クト層25bが形成されている。このn型GaNコンタ
クト層25bを形成する際には、横方向の成長速度を速
くしている。このため、図6の素子では、n型GaNコ
ンタクト層25bの縦方向の転位が減少し、これにより
活性層14への貫通転位が減少する。n型GaNコンタ
クト層25b上には、第1の実施の形態(図1)と同様
に、変調ドープ超格子n型クラッド層12、n型GaN
光導波層13、多重量子井戸活性層14a、p型GaN
光導波層16、変調ドープ超格子p型クラッド層16、
p型GaN層17、SiO2絶縁膜19、p側電極1
8、p側電極パット20、が順次形成されている。n側
電極21は、積層体の一部をエッチングすることにより
露呈されたn型GaNコンタクト層25b上に形成され
ている。図6のレーザ装置では、第1の実施の形態(図
1)と同様に、活性層14aを、InbGa1−bN
(0≦b<1)からなる障壁層と、IncGa1−cN
(0<c≦1、c>b)からなる井戸層と、を交互に3
周期積層した多重量子井戸構造としている。ただし、図
6のレーザ装置では、井戸層にIn組成が高いIn
0.35Ga0.65Nを用いている。このため、図6
のレーザ装置は波長470nmの青色レーザ発振とな
る。
物系半導体レーザ装置の構造を示す断面模式図である。
図6の装置では、絶縁性のサファイア基板22を用いて
いる。このサファイア基板22上には、GaNバッファ
層23が形成され、GaNバッファ層23上の一部には
ストライプ状のSiO2選択成長マスク24が形成され
ている。この選択成長マスク24に覆われていない部分
には、n型GaN層25aが形成されている。そして、
このn型GaN層25aを核として、n型GaNコンタ
クト層25bが形成されている。このn型GaNコンタ
クト層25bを形成する際には、横方向の成長速度を速
くしている。このため、図6の素子では、n型GaNコ
ンタクト層25bの縦方向の転位が減少し、これにより
活性層14への貫通転位が減少する。n型GaNコンタ
クト層25b上には、第1の実施の形態(図1)と同様
に、変調ドープ超格子n型クラッド層12、n型GaN
光導波層13、多重量子井戸活性層14a、p型GaN
光導波層16、変調ドープ超格子p型クラッド層16、
p型GaN層17、SiO2絶縁膜19、p側電極1
8、p側電極パット20、が順次形成されている。n側
電極21は、積層体の一部をエッチングすることにより
露呈されたn型GaNコンタクト層25b上に形成され
ている。図6のレーザ装置では、第1の実施の形態(図
1)と同様に、活性層14aを、InbGa1−bN
(0≦b<1)からなる障壁層と、IncGa1−cN
(0<c≦1、c>b)からなる井戸層と、を交互に3
周期積層した多重量子井戸構造としている。ただし、図
6のレーザ装置では、井戸層にIn組成が高いIn
0.35Ga0.65Nを用いている。このため、図6
のレーザ装置は波長470nmの青色レーザ発振とな
る。
【0036】図6のレーザ装置の特徴の1つは、上記の
活性層14aの井戸層厚Lwを3.5nm、障壁層厚L
bを3.0nmとし(図4参照)、障壁層に濃度1.5
×1019cm−3のSiを添加した点である。このよ
うにすることで、従来実質的に実現できなかった波長4
70nmの青色発光のレーザ装置を実現できる。この理
由について、本発明者は、窒化物系半導体レーザ装置に
おける前述の効果によると考えている。
活性層14aの井戸層厚Lwを3.5nm、障壁層厚L
bを3.0nmとし(図4参照)、障壁層に濃度1.5
×1019cm−3のSiを添加した点である。このよ
うにすることで、従来実質的に実現できなかった波長4
70nmの青色発光のレーザ装置を実現できる。この理
由について、本発明者は、窒化物系半導体レーザ装置に
おける前述の効果によると考えている。
【0037】本発明者の実験によれば、図6のレーザ装
置では、障壁層と活性層の組成は、それらの伝導帯端の
ヘテロ不連続量が0.05eV以上0.20eV以下、
好ましくは0.07eV以上0.15eV以下になるよ
うにすると良い。また、障壁層厚Lb、井戸層厚Lw、
を図3に斜線で示す範囲にすると良い。また、障壁層に
添加するSiの濃度を、5.0×1018cm−3以上
5.0×1019cm −3以下、好ましくは8.0×1
018cm−3以上2.0×1019cm−3以下にす
ると良い。
置では、障壁層と活性層の組成は、それらの伝導帯端の
ヘテロ不連続量が0.05eV以上0.20eV以下、
好ましくは0.07eV以上0.15eV以下になるよ
うにすると良い。また、障壁層厚Lb、井戸層厚Lw、
を図3に斜線で示す範囲にすると良い。また、障壁層に
添加するSiの濃度を、5.0×1018cm−3以上
5.0×1019cm −3以下、好ましくは8.0×1
018cm−3以上2.0×1019cm−3以下にす
ると良い。
【0038】本発明者の実験によれば、これらの条件を
みたす窒化物系半導体レーザ装置では、井戸層の組成を
変化させることで、紫色発振から緑色発振までの窒化物
系半導体レーザ装置を得ることができた。
みたす窒化物系半導体レーザ装置では、井戸層の組成を
変化させることで、紫色発振から緑色発振までの窒化物
系半導体レーザ装置を得ることができた。
【0039】(第3の実施の形態)第3の実施の形態の
窒化物系半導体レーザ装置は、第1の実施の形態の装置
(図1)の活性層14の組成を変えて、井戸層にIn
0.5Ga0.5Nを用い、中心発振波長520nm帯
の緑色とした装置である。また、活性層14の障壁層厚
Lb、井戸層厚Lwも第1の実施の形態と変えている。
活性層14の組成、膜厚以外の構造は第1の実施の形態
と同様であり、詳細な説明は省略する。なお、以下の説
明では、図1と同一の符号を用いて説明する。
窒化物系半導体レーザ装置は、第1の実施の形態の装置
(図1)の活性層14の組成を変えて、井戸層にIn
0.5Ga0.5Nを用い、中心発振波長520nm帯
の緑色とした装置である。また、活性層14の障壁層厚
Lb、井戸層厚Lwも第1の実施の形態と変えている。
活性層14の組成、膜厚以外の構造は第1の実施の形態
と同様であり、詳細な説明は省略する。なお、以下の説
明では、図1と同一の符号を用いて説明する。
【0040】図7は、第3の実施の形態の窒化物系半導
体レーザ装置のバンド構造を示す図である。本実施形態
の装置は、活性層14の障壁層厚Lbが、p型GaN光
導波層15に近づくにつれて、すなわち図1中上側に近
づくにつれて、薄くなるようにしている。このようにす
ると、さらにレーザ装置の特性を向上させることができ
る。この理由は、p型GaN光導波層15側(図7中左
側)の障壁層厚Lbを薄くしたので、電子が注入されに
くいp型GaN光導波層15側の井戸層への電子の注入
効率が上がったからであると解析される。また、n型G
aN光導波層13側(図7中右側)の障壁層厚Lbを厚
くしているので、実効屈折率は増大する傾向にあり、光
閉じ込め効果は十分であると解析される。
体レーザ装置のバンド構造を示す図である。本実施形態
の装置は、活性層14の障壁層厚Lbが、p型GaN光
導波層15に近づくにつれて、すなわち図1中上側に近
づくにつれて、薄くなるようにしている。このようにす
ると、さらにレーザ装置の特性を向上させることができ
る。この理由は、p型GaN光導波層15側(図7中左
側)の障壁層厚Lbを薄くしたので、電子が注入されに
くいp型GaN光導波層15側の井戸層への電子の注入
効率が上がったからであると解析される。また、n型G
aN光導波層13側(図7中右側)の障壁層厚Lbを厚
くしているので、実効屈折率は増大する傾向にあり、光
閉じ込め効果は十分であると解析される。
【0041】図7の装置でも、井戸層厚Lwと、障壁層
厚Lbの平均値と、を図3の範囲にすることで、特性の
良好な窒化物系半導体レーザ装置を得ることができる。
厚Lbの平均値と、を図3の範囲にすることで、特性の
良好な窒化物系半導体レーザ装置を得ることができる。
【0042】以上説明した実施の形態では、基板として
GaN基板またはサファイア基板を用いた場合について
説明したが、Si基板やGaAs基板の半導体基板、ま
たはSiC、ダイアモンドなどの単結晶基板、AlNな
どのセラミック基板などを用いることもできる。また、
レーザ構想においては、本実施形態の趣旨を逸脱しない
限り種々の適用が可能である。
GaN基板またはサファイア基板を用いた場合について
説明したが、Si基板やGaAs基板の半導体基板、ま
たはSiC、ダイアモンドなどの単結晶基板、AlNな
どのセラミック基板などを用いることもできる。また、
レーザ構想においては、本実施形態の趣旨を逸脱しない
限り種々の適用が可能である。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、障壁層と井戸層とを交
互に複数積層した多重量子井戸構造の活性層を有する窒
化物系半導体レーザ装置において、障壁層の膜厚を薄く
し、障壁層に所定の濃度の第1導電型不純物を添加した
ので、高光出力、長寿命で且つ広波長範囲で発振波長制
御性が良く、また製造方法も容易な窒化物系半導体レー
ザが実現できる。
互に複数積層した多重量子井戸構造の活性層を有する窒
化物系半導体レーザ装置において、障壁層の膜厚を薄く
し、障壁層に所定の濃度の第1導電型不純物を添加した
ので、高光出力、長寿命で且つ広波長範囲で発振波長制
御性が良く、また製造方法も容易な窒化物系半導体レー
ザが実現できる。
【図1】本発明の第1の実施の形態の窒化物系半導体レ
ーザ装置の断面模式図。
ーザ装置の断面模式図。
【図2】本発明の第1の実施の形態の窒化物系半導体レ
ーザ装置のバンド構造を示す図。
ーザ装置のバンド構造を示す図。
【図3】従来の多重量子井戸構造の窒化物系半導体レー
ザ装置のバンド構造を示す図。
ザ装置のバンド構造を示す図。
【図4】本発明の実施の形態の窒化物系半導体レーザ装
置の井戸層厚Lwと障壁層厚L bの範囲を示す図。
置の井戸層厚Lwと障壁層厚L bの範囲を示す図。
【図5】本発明の第1の実施の形態の窒化物系半導体レ
ーザ装置の量子準位を示す図。
ーザ装置の量子準位を示す図。
【図6】本発明の第2の実施の形態の窒化物系半導体レ
ーザ装置の断面模式図。
ーザ装置の断面模式図。
【図7】本発明の第2の実施の形態の窒化物系半導体レ
ーザ装置のエネルギーバンド構造を示す図。
ーザ装置のエネルギーバンド構造を示す図。
12 変調ドープ超格子構造n型クラッド層
14、14a 多重量子井戸活性層
16 変調ドープ超格子構造p型クラッド層
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 斎 藤 真 司
神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株
式会社東芝研究開発センター内
Fターム(参考) 5F073 AA07 AA13 AA45 AA55 AA74
AA77 AA83 AA89 BA09 CA02
CA07 CB02 CB05 CB07 CB13
CB19 CB20 DA05 DA11 DA33
DA35 EA07 EA24 EA29
Claims (6)
- 【請求項1】n型の半導体からなるn型クラッド層と、 p型の半導体からなるp型クラッド層と、 前記n型クラッド層と前記p型クラッド層との間に形成
され、窒化物系半導体からなり、前記n型クラッド層お
よび前記p型クラッド層よりもバンドギャップエネルギ
ーが小さい量子井戸層と、前記量子井戸層よりもバンド
ギャップエネルギーが大きい障壁層と、を交互に複数積
層した多重量子井戸構造を有し、前記障壁層が、所定の
濃度のn型不純物が添加され膜厚が前記量子井戸層より
も薄い、活性層と、 を備えることを特徴とする窒化物系半導体レーザ装置。 - 【請求項2】前記量子井戸層および前記障壁層の膜厚が
2nm以上5nm以下であることを特徴とする請求項1
記載の窒化物系半導体レーザ装置。 - 【請求項3】n型の半導体からなるn型クラッド層と、 p型の半導体からなるp型クラッド層と、 前記n型クラッド層と前記p型クラッド層との間に形成
され、窒化物系半導体からなり、前記n型クラッド層お
よび前記p型クラッド層よりもバンドギャップエネルギ
ーが小さい量子井戸層と、前記量子井戸層よりもバンド
ギャップエネルギーが大きい障壁層と、を交互に複数積
層した多重量子井戸構造を有し、前記井戸層の膜厚が2
nm以上5nm以下であり、前記障壁層が、所定の濃度
のn型不純物が添加され膜厚が2nm以上3nm以下で
ある、活性層と、 を備えることを特徴とする窒化物系半導体レーザ装置。 - 【請求項4】前記障壁層に添加される前記n型不純物が
シリコンであり、前記n型不純物の前記所定の濃度が5
×1018cm−3以上5×1019cm−3以下であ
ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに
記載の窒化物半導体レーザ装置。 - 【請求項5】前記量子井戸層と、前記障壁層と、の伝導
帯のエネルギーレベルのヘテロ不連続量が0.05eV
以上0.20eV以下であることを特徴とする請求項1
乃至請求項4のいずれか記載の窒化物半導体レーザ装
置。 - 【請求項6】前記障壁層の膜厚が、前記n型クラッド層
側から前記p型クラッド層側に近づくほど薄いことを特
徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の窒化
物半導体レーザ装置。
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