JP2003217363A - 細径同軸ケーブルおよびその製造方法 - Google Patents

細径同軸ケーブルおよびその製造方法

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JP2003217363A
JP2003217363A JP2002010057A JP2002010057A JP2003217363A JP 2003217363 A JP2003217363 A JP 2003217363A JP 2002010057 A JP2002010057 A JP 2002010057A JP 2002010057 A JP2002010057 A JP 2002010057A JP 2003217363 A JP2003217363 A JP 2003217363A
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layer
insulating coating
coating layer
coaxial cable
outer periphery
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Application number
JP2002010057A
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English (en)
Inventor
Kazunori Watanabe
和憲 渡辺
Toku Ishii
徳 石井
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Ube Exsymo Co Ltd
Original Assignee
Ube Nitto Kasei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好でかつ安定した電気特性を有し、メッキ
処理を容易にすること。 【解決手段】 細径同軸ケーブル10は、中心導体12
と、絶縁被覆層14と、外部導体層16と、保護被覆層
18とを有している。絶縁被覆層14は、中心導体12
の外周に、低誘電率の熱可塑性樹脂からなる中空繊維2
0を縦添えし、この中空繊維20を低誘電率のマトリッ
クス樹脂22により結着している。マトリックス樹脂2
2は、低誘電率で、揮発性の溶媒に可溶のものであっ
て、溶媒除去後の絶縁被覆層14の外周に表面処理して
形成されるメッキ層との接着が良好なものから選択され
る。外部導体層18は、金属メッキにより形成される。
保護被覆層18は、熱可塑性樹脂により形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、良好な電気特性を
有する細径同軸ケーブルおよびその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】情報
量の増大化や高速伝送化の流れを受けて、携帯情報端末
のアンテナ配線や、LCDとCPUを結ぶ配線等に、最
近同軸ケーブルが使われつつある。また情報端末やノー
トパソコンの小型化、薄型化により、同軸ケーブルにも
細径化が要求されている。
【0003】一般に良好な電気特性を持つ同軸ケーブル
を得るためには、中心導体の外周に形成される絶縁被覆
層の誘電率をできるだけ小さくすることが重要である。
【0004】そのために、絶縁被覆層にフッ素樹脂やポ
リオレフィン樹脂などの低誘電率樹脂が用いられること
が多く、また見掛けの誘電率を下げるために発泡化する
場合も多い。
【0005】一方、この種の同軸ケーブルを細径化する
ためには、絶縁被覆層の外周に形成される外部導体を、
編組金属線からメッキ層に変更にすることが有効であ
る。
【0006】ところが、絶縁被覆層にフッ素樹脂やポリ
オレフィン樹脂などの低誘電率樹脂を用いた場合には、
無電解メッキが難しくなるという問題点を有していた。
【0007】また、見掛けの誘電率を下げるためにこの
絶縁被覆層を発泡化させた場合、メッキ処理液が発泡部
分の空隙に入り込み見掛けの誘電率を上げてしまった
り、外部導体を腐食させて同軸ケーブルの電気特性を阻
害するという問題があった。
【0008】さらに、発泡押出加工技術は、押出安定性
の確保が難しく、特に細径品を押し出す場合、微妙に絶
縁被覆層外径が変動してしまい、これも電気特性阻害要
因の一つとなっていた。ところで、中心導体の外周に長
手方向に連続する空隙部が設けられた絶縁被覆層を溶融
押出し法により形成する場合には、空気導入部を有する
特殊なダイスによって被覆するため、空隙部を画成する
隔壁(リブ)を中心導体の外周に均一に配置し、且つ、
外周を真円に被覆するが、溶融樹脂の押出の粘弾性によ
るバラス効果、冷却固化時の収縮等のために、その形成
が難しく、ダイスの設計、修正の試行錯誤を余儀なくさ
れる等の問題があった。
【0009】そこで、本発明者らは、中心導体の外周に
中空部を有する、良好でかつ安定した電気特性を有する
細径同軸ケーブルの構成を鋭意検討して本発明を完成し
た。すなわち、本発明は、中心導体の外周に中空部を有
する、良好でかつ安定した電気特性を有する細径同軸ケ
ーブルを得ることを目的とする。
【0010】また、同軸ケーブルを細径化する目的で外
部導体をメッキにて形成する場合に、メッキ処理を容易
にし、かつ、低誘電率化を実現する絶縁被覆層が得られ
る細径同軸ケーブルの製造方法を提供することを目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、中心導体と、前記中心導体の外周に設け
られた絶縁被覆層と、前記絶縁被覆層の外周に設けられ
た外部導体層と、前記外部導体層の外周に設けられた保
護被覆層とを備えた細径同軸ケーブルにおいて、前記絶
縁被覆層は、前記中心導体の外周に縦添えされた低誘電
率の熱可塑性樹脂からなる中空繊維と、前記中空繊維を
結着する低誘電率のマトリックス樹脂とで構成した。
【0012】前記絶縁被覆層のマトリックス樹脂は、環
状ポリオレフィン樹脂から構成することができる。
【0013】また、本発明は、中心導体と、前記中心導
体の外周に設けられた絶縁被覆層と、前記絶縁被覆層の
外周に設けられた外部導体層と、前記外部導体層の外周
に設けられた保護被覆層とを備えた細径同軸ケーブルに
おいて、前記絶縁被覆層は、前記中心導体の外周に低誘
電率の熱可塑性樹脂からなる中空繊維、若しくは、多孔
質繊維を縦添えして被覆した絶縁被覆第1層と、前記絶
縁被覆第1層の外周を被覆する低誘電率の熱可塑性樹脂
からなる絶縁被覆第2層とで構成した。
【0014】前記第2層の熱可塑性樹脂は、環状ポリオ
レフィン樹脂から構成することができる。
【0015】前記外部導体層は、金属メッキにより形成
することができる。
【0016】さらに、本発明は、中心導体と、前記中心
導体の外周に設けられた絶縁被覆層と、前記絶縁被覆層
の外周に設けられた外部導体層と、前記外部導体層の外
周に設けられた保護被覆層とを備えた細径同軸ケーブル
の製造方法において、低誘電率の熱可塑性樹脂より成る
中空繊維または多孔質繊維に有機溶剤を溶媒とするマト
リックス樹脂の溶液を含浸し、これを前記中心導体の周
囲に縦添えした後に有機溶剤を除去して固化することに
より前記絶縁被覆層を形成するようにした。
【0017】前記マトリックス樹脂は、環状ポリオレフ
ィン樹脂から構成することができる。
【0018】また、本発明は、中心導体と、前記中心導
体の外周に設けられた絶縁被覆層と、前記絶縁被覆層の
外周に設けられた外部導体層と、前記外部導体層の外周
に設けられた保護被覆層とを備えた細径同軸ケーブルの
製造方法において、低誘電材料の中空繊維または多孔質
繊維を前記中心導体の周囲に縦添えした後、その外周に
低誘電率の熱可塑性樹脂を押出被覆するようにした。
【0019】前記熱可塑性樹脂は、環状ポリオレフィン
樹脂から構成することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施の形
態について、添付図面を参照にして詳細に説明する。図
1は、本発明の細径同軸ケーブルの一実施例を示してい
る。同図に示した細径同軸ケーブル10は、中心導体1
2と、絶縁被覆層14と、外部導体層16と、保護被覆
層18とを有している。
【0021】中心導体12には、強度、導電性に優れる
銅又は銅合金の細線またはこれらにより高導電性の金属
をメッキした単線又は撚線が用いられるが、より細径の
同軸ケーブルを得るためには、単線を使用することが望
ましい。
【0022】絶縁被覆層14は、中心導体12の外周に
設けられている。この絶縁被覆層14は、中心導体12
の外周に、低誘電率の熱可塑性樹脂からなる中空繊維2
0を縦添えし、この中空繊維20を低誘電率のマトリッ
クス樹脂22により結着している。
【0023】この場合に使用できる中空繊維20として
は、図1に示すように、繊維の断面の中央部に空隙部2
4を有するドーナツ状が一般的であるが、蓮根状や田の
字状などの複数の空隙部を有するものであっても良い。
【0024】中空繊維20を構成する熱可塑性樹脂とし
ては、ポリプロピレン、ポリエチレンのホモポリマー、
あるいはこれらを主成分とする各種共重合体,各種変性
樹脂等や、各種ふっ素系樹脂等、誘電率が低いものが望
ましい。
【0025】また、本実施例に使用できる、絶縁被覆層
14を形成するマトリックス樹脂22は、低誘電率で、
揮発性の溶媒に可溶のものであって、溶媒除去後の絶縁
被覆層14の外周に表面処理して形成されるメッキ層と
の接着が良好なものから選択され、一例として、環状ポ
リオレフィン樹脂を挙げることができる。
【0026】中空繊維20の含有率は、繊維の中空率と
得ようとする絶縁被覆層14の誘電率から決定される。
外部導体層18は、細径化を図るため、編組した線材に
よる被覆ではなく、金属メッキにより形成することが望
ましい。
【0027】絶縁被覆層14の外周にメッキを施すため
には、特開平5−187847に記載の如く、絶縁被覆
層14の外周に活性化処理を施し、次いで無電解メッキ
工程、電気メッキ工程を経てメッキ層を形成すれば良
い。
【0028】以上のように構成した細径同軸ケーブル1
0によれば、中心導体12の外周に直接溶融状熱可塑性
樹脂を押出して被覆して中空部を形成するのではなく、
予め中空部を有する中空繊維20を多数本縦添えし、繊
維間をマトリックス樹脂22で結着しているので、得ら
れる断面形状が安定し、かつ多数の中空繊維20による
中空部も中心導体の外周にほぼ均等に配置される。
【0029】よって、本実施例によれば、溶融押出し被
覆により多数の中空ないしは空隙部を直接形成する場合
の従来の問題点、すなわち、ダイスの加工精度のバラツ
キや、空隙部の断面が対称のものが得にくく、このため
得られる同軸ケーブルは長手方向に曲げた場合に方向性
を有する、あるいは所望の特性インピーダンスのものが
得難い等の問題を克服できる。
【0030】以上のような構成の細径同軸ケーブル10
の製造方法は、後述する具体的な実施例からも明らかな
ように、低誘電性の熱可塑性樹脂より成る中空繊維20
に有機溶剤を溶媒とするマトリックス樹脂22の溶液を
含浸し、これを中心導体12の周囲に縦添えした後に、
有機溶剤を除去して固化することにより絶縁被覆層14
を形成する。
【0031】より具体的に絶縁被覆層14を形成するに
は、マトリックス樹脂22を、この樹脂22が可溶であ
って、常温あるいは加熱下で揮発し易い溶媒に溶解し、
この溶液が満たされた含浸槽を準備し、この含浸槽に複
数の中空繊維20を導いて、繊維間に溶媒含有マトリッ
クス樹脂溶液を含浸して、中心導体12の外周に縦添え
して被覆し、所定内径の絞りダイスで逐次絞り成形し、
しかる後、溶媒を揮発させつつマトリックス樹脂22を
固化して、所定外径の絶縁被覆層14を形成すれば良
い。溶媒の揮発を促進させるため、加熱や、減圧等の常
法を採用できる。
【0032】この場合、マトリックス樹脂22として環
状ポリオレフィンを使用する場合は、溶媒としてトルエ
ンが好適である。
【0033】図3は、本発明にかかる細径同軸ケーブル
の他の実施例を示している。同図に示した細径同軸ケー
ブル10aは、中心導体12aと、この中心導体12a
の外周に設けられた絶縁被覆層14aと、絶縁被覆層1
4aの外周に設けられた外部導体層16aと、外部導体
層16aの外周に設けられた保護被覆層18aとを備え
ている。
【0034】本実施例の場合、絶縁被覆層14aは、中
心導体12aの外周に設けられた絶縁被覆第1層26a
と、この絶縁被覆第1層26aの外周を被覆する低誘電
率の熱可塑性樹脂からなる絶縁被覆第2層26bとで構
成している。
【0035】絶縁被覆第1層は、低誘電率の熱可塑性樹
脂からなる中空繊維若しくは多孔質繊維を縦添えして被
覆したものであって、上記実施例に例示した熱可塑性樹
脂により形成した中空繊維や、同様の熱可塑性樹脂と非
相溶性の樹脂を混合して溶融紡糸し、非相溶性の樹脂を
抽出除去した繊維や、発泡剤を混入して溶融紡糸し、繊
維内部に独立気泡による中空部を形成した多孔質繊維が
使用される。
【0036】絶縁被覆第2層26bを形成する低誘電率
の熱可塑性樹脂は、その外周に表面処理して形成される
メッキ層との接着が良好なものから選択され、一例とし
て、環状ポリオレフィン樹脂を挙げることができる。
【0037】以上のように構成した細径同軸ケーブル1
0aによれば、中心導体12の外周に多数の中空繊維若
しくは多孔質繊維からなる第1層26aとその外周を被
覆する第2層26bにより絶縁被覆層14aを形成して
いるので、上記実施例と同等の作用効果が得られるとと
もに、これに加えて以下の効果も得られる。
【0038】すなわち、本実施例の場合には、中空繊維
若しくは多孔質繊維間をマトリックス樹脂により結着し
ていない構成としているので、長手方向に曲げた場合
に、曲げ易い可撓性の同軸ケーブルを得ることができ
る。
【0039】また、絶縁被覆層14aの全体がマトリッ
クス樹脂により結着していないので、同軸ケーブル同士
の接続に際して、絶縁被覆層14aの剥離が容易に行え
る。
【0040】本実施例の細径同軸ケーブル10aを製造
する場合には、中心導体12aの周囲に複数本の中空繊
維若しくは多孔質繊維を縦添えして、同心状の繊維層か
らなる絶縁被覆第1層26aを形成し、これを、被覆用
ヘッド部を備えた溶融押出機に導いて、円環状ダイスで
引き落とし状態で、あるいは得ようとする外径に相応し
たランド部を有する加圧タイプダイスにより加圧状態で
溶融状樹脂を押出して、繊維層の外周を継ぎ目なく被覆
し、冷却固化して、熱可塑性樹脂からなる絶縁被覆第2
層26bを形成する。
【0041】第2層26bの熱可塑性樹脂としては、そ
の外周に形成されるメッキ層との接着性から環状ポリオ
レフィンがより好ましい。
【0042】外部導体層16aをメッキにより形成する
には、絶縁被覆第2層26bの活性化処理として、プラ
ズマ処理、火炎処理、クロム酸系又は硫酸系の強酸処
理、或いは硫酸,リン酸,クロム酸(重クロム酸)水溶
液等によるエッチング処理をした後、塩化第一錫の塩酸
酸性液でセンシタイジングし、さらに塩化パラジウムの
塩酸酸性液でアクチュベーティングを行った後、無電解
メッキを施せば良い。
【0043】最外側に設ける保護被覆層18aは、ポリ
塩化ビニル樹脂(PVC)の押出し被覆や、アクリル樹
脂、ポリイミド樹脂等の塗布による皮膜で形成される。
【0044】図1および図3に示した各実施例の細径同
軸ケーブル10,10aでは、最外径を1mm以下とす
れば、細径化が可能となる。
【0045】以下、本発明についてより具体的な実施例
により、製造方法とともに説明するが、本発明は下記実
施例に限定されるものではない。実施例1 フィラメント数が50本でトータル繊度が178dTe
xで比誘電率が2.3の中空率20%のポリプロピレン
製中空繊維束2本を、環状ポリオレフィン(日本ゼオン
(株)製:商品名ZEONEX RS820)のトルエ
ン溶液を満たした槽中に導いて含浸した後、外径φ0.
1mmの銀メッキ銅線(中心導体12)の周囲に縦添え
し、内径φ0.34mmの絞りノズルに導き余分な溶液
を除き、熱風発生器の熱風を熱源とした乾燥炉にてトル
エンを揮発させ、図2に示す外径がφ0.34mmの絶
縁被覆層14を形成した中間成形体を得た。
【0046】この中間成形体の絶縁被覆層14は、中心
導体12の外周側に、分散配置された中空繊維20をマ
トリックス樹脂22の環状ポリオレフィンで結着した構
造になっていた。
【0047】次に、絶縁被覆層14の外周を、硫酸・燐
酸・クロム酸の混合水溶液によりエッチング処理し、次
いで塩化第1錫の塩酸酸性液によるセンシタイジング、
塩化パラジウムの塩酸酸性液によるアクチュベーティン
グ、無電解銅メッキ、電気銅メッキを施し、厚さ0.0
3mmの外部導体層16を形成した後、その外周をポリ
塩化ビニル(PVC)で被覆して外径φ0.60mmの
保護被覆層18を有する細径同軸ケーブル10を得た。
【0048】この細径同軸ケーブル10は、金属メッキ
により形成された外部導体層16が絶縁被覆層14と充
分に接着しており、保護被覆層18を形成する工程でガ
イド類を通過する際にも剥がれ落ちるようなことはなか
った。
【0049】得られた細径同軸ケーブル10は、図1に
示すような断面構造を有し、絶縁被覆部14に占める空
隙部の比率は、12%で、見かけの比誘電率は、2.1
3となっており、特性インピーダンスは、50Ωであっ
た。
【0050】また、絶縁被覆層14において中空繊維2
0と、中空繊維20の間に形成される隙間は、マトリッ
クス樹脂22の環状ポリレフィンにより結着されている
ため、メッキに際してその内部に水分等が入り込むなど
不都合は生じなかった。
【0051】実施例2 外径φ0.1mmの銀メッキ銅線(中心導体12)の周
囲に、中空率が20%でフィラメント数25本、トータ
ル繊度が94dTexで比誘電率が2.3のポリプロピ
レン製中空繊維束を2本縦添えして見掛けの外径がΦ
0.23mmの中空繊維からなる絶縁被覆第1層26a
を形成した後、溶融押出機のクロスヘッドダイに導き、
30m/minの速度で引き取りながら、270℃の押
出温度で比誘電率が2.27の環状ポリオレフィン(日
本ゼオン(株)製:商品名ZEONEX RS820)
を環状に押出被覆し冷却固化して、絶縁被覆第2層26
bを形成し、中心導体12の外周に絶縁被覆層14aを
設けた。
【0052】この成形体は、図4に示すように、中空繊
維を縦添えした絶縁被覆第1層26aと、この第1層2
6aの外周を被覆する環状ポリオレフィンからなる絶縁
被覆第2層26bとを備え、その外径がφ0.33mm
になっていた。
【0053】次に、絶縁被覆第2層26bに対して、実
施例1と同様なメッキ前処理、メッキ処理を施して外部
導体層16aを形成し、しかる後、保護被覆層18aを
形成して外径φ0.59mmの細径同軸ケーブル10a
を得た。
【0054】本実施例において、メッキにより形成され
た外部導体層16aは、絶縁被覆層14aの環状ポリオ
レフィンからなる絶縁被覆第2層26bと充分に接着し
ており、保護被覆層18aを施す工程でガイド類を通過
する際にも剥がれ落ちるようなことはなかった。
【0055】得られた細径同軸ケーブル10aは、図3
に示すような断面構造を有し、絶縁被覆層14aに占め
る空隙部の比率は、15.6%で、比誘電率は、2.0
8となっており、特性インピーダンスは、50Ωであっ
た。
【0056】また、絶縁被覆層14aの第2層26b
は、環状ポリオレフィンで継ぎ目なく押出被覆している
ため、メッキ前処理工程等でその内部に水分等が入り込
むようなことはなかった。
【0057】また、本実施例では、絶縁被覆第1層26
aの繊維充填率を80%とし、密に充填しているので、
細径同軸ケーブル10aに対して曲げ等の外力が加わっ
ても、伝送特性に影響するような問題はなかった。
【0058】比較例1 中心導体(外径φ0.1mmの銀メッキ銅線)を、電気
バーナーを用いた加熱装置にて表面温度が100℃にな
るように加熱した後に、クロスヘッドダイに導き30m
/minの速度で引き取りながら270℃の押出温度で
比誘電率が2.27の環状ポリオレフィン(日本ゼオン
(株)製:商品名ZERONEX RS820)を丸型
プレッシャーダイにて押出被覆し、得られた被覆導体に
対し実施例1と同様な処理を施して細径同軸ケーブルを
得たが、特性インピーダンスを50Ωとするためには、
絶縁被覆層の外径を大きくする必要があり、ケーブル外
径がφ0.64mmとなってしまった。
【0059】比較例2 中心導体(外径φ0.1mmの銀メッキ銅線)を、電気
バーナーを用いた加熱装置にて表面温度が100℃にな
るように加熱した後に、クロスヘッドダイに導き図1に
示す形状のノズルに挿通し、30m/minの速度で引
き取りながら、200℃の押出温度で比誘電率が2.3
の直鎖状低密度ポリエチレン(日本ユニカー製:商品名
NUCG5350)を押出被覆し外径φ0.36mmの
被覆導体を得た。
【0060】得られた被覆導体に対し、実施例1と同様
な方法でメッキ層の形成を試みたが、メッキ付着強度が
充分ではなく、保護被覆工程におけるガイド類への接触
等で簡単に脱落してしまった。
【0061】比較例3 中心導体(外径φ0.1mmの銀メッキ銅線)を、電気
バーナーを用いた加熱装置にて表面温度が100℃にな
るように加熱した後に、クロスヘッドダイに導き図1に
示す形状のノズルに挿通し、30m/minの速度で引
き取りながら、355℃の押出温度で比誘電率が2.2
のFEP(ダイキン工業製:商品名NP−12X)を押
出被覆し外径φ0.35mmの被覆導体を得た。
【0062】得られた被覆導体に対し、実施例1と同様
な方法でメッキ層の形成を試みたが、メッキ付着強度が
充分ではなく、比較例2と同様に保護被覆工程における
ガイド類への接触等で簡単に脱落してしまった。
【0063】
【発明の効果】以上、実施例で詳細に説明したように、
本発明にかかる細径同軸ケーブルでは、中心導体の外周
に直接溶融状熱可塑性樹脂を押出して被覆して中空部な
いしは空隙部を形成するのではなく、予め中空部を有す
る中空繊維を多数本縦添えし、繊維間をマトリックス樹
脂で結着しているので、得られる断面形状が安定し、か
つ多数の中空繊維による中空部も中心導体の外周にほぼ
均等に配置される。
【0064】よって、本発明によれば、溶融押出し被覆
により多数の中空部を直接形成する場合の従来の問題
点、すなわち、ダイスの加工精度のバラツキや、中空部
の断面が対称のものが得にくく、このため得られる同軸
ケーブルは長手方向に曲げた場合に方向性を有する、あ
るいは所望のインピーダンスのものが得難い等の問題を
克服できる。
【0065】また、本発明にかかる細径同軸ケーブルで
は、中心導体の外周に多数の中空繊維若しくは多孔質繊
維からなる第1層とその外周を被覆する第2層により絶
縁被覆層を形成しているので、前述した場合と同様に従
来の問題点を克服できる。
【0066】また、中空繊維若しくは多孔質繊維間をマ
トリックス樹脂により結着していない構成とすること
で、長手方向に曲げた場合に、曲げ易い可撓性の同軸ケ
ーブルを得ることができる。
【0067】さらに、絶縁被覆層全体がマトリックス樹
脂により結着していないので、同軸ケーブル同士の接続
に際して、絶縁被覆層の剥離が容易に行える。
【0068】また、本発明にかかる細径同軸ケーブルの
製造方法によれば、上述した如く優れた特性を有する細
径同軸ケーブルを効率的に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる細径同軸ケーブルの一実施例を
示す断面図である。
【図2】図1に示した細径同軸ケーブルの製造方法で、
中心導体に絶縁被覆層を形成した段階の断面図である。
【図3】本発明にかかる細径同軸ケーブルの他の実施例
を示す断面図である。
【図4】図3に示した細径同軸ケーブルの製造方法で、
中心導体に絶縁被覆層を形成した段階の断面図である。
【符号の簡単な説明】
10、10a 細径同軸ケーブル 12,12a 中心導体 14,14a 絶縁被覆層 16,16a 外部導電層 18,18a 保護被覆層 20 中空繊維 22 マトリックス樹脂 26a 絶縁被覆第1層 26b 絶縁被覆第2層

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心導体と、前記中心導体の外周に設
    けられた絶縁被覆層と、前記絶縁被覆層の外周に設けら
    れた外部導体層と、前記外部導体層の外周に設けられた
    保護被覆層とを備えた細径同軸ケーブルにおいて、 前記絶縁被覆層は、前記中心導体の外周に縦添えされた
    低誘電率の熱可塑性樹脂からなる中空繊維と、 前記中空繊維を結着する低誘電率のマトリックス樹脂と
    からなることを特徴とする細径同軸ケーブル。
  2. 【請求項2】 前記絶縁被覆層のマトリックス樹脂は、
    環状ポリオレフィン樹脂からなることを特徴とする請求
    項1記載の細径同軸ケーブル。
  3. 【請求項3】 中心導体と、前記中心導体の外周に設け
    られた絶縁被覆層と、前記絶縁被覆層の外周に設けられ
    た外部導体層と、前記外部導体層の外周に設けられた保
    護被覆層とを備えた細径同軸ケーブルにおいて、 前記絶縁被覆層は、前記中心導体の外周に低誘電率の熱
    可塑性樹脂からなる中空繊維、若しくは、多孔質繊維を
    縦添えして被覆した絶縁被覆第1層と、 前記絶縁被覆第1層の外周を被覆する低誘電率の熱可塑
    性樹脂からなる絶縁被覆第2層とを有することを特徴と
    する細径同軸ケーブル。
  4. 【請求項4】 前記第2層の熱可塑性樹脂は、環状ポリ
    オレフィン樹脂からなることを特徴とする請求項3記載
    の細径同軸ケーブル。
  5. 【請求項5】 前記外部導体層は、金属メッキにより形
    成することを特徴とする請求項1ないし4記載の細径同
    軸ケーブル。
  6. 【請求項6】 中心導体と、前記中心導体の外周に設け
    られた絶縁被覆層と、前記絶縁被覆層の外周に設けられ
    た外部導体層と、前記外部導体層の外周に設けられた保
    護被覆層とを備えた細径同軸ケーブルの製造方法におい
    て、 低誘電率の熱可塑性樹脂より成る中空繊維または多孔質
    繊維に有機溶剤を溶媒とするマトリックス樹脂の溶液を
    含浸し、これを前記中心導体の周囲に縦添えした後に有
    機溶剤を除去して固化することにより前記絶縁被覆層を
    形成することを特徴とする細径同軸ケーブルの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記マトリックス樹脂は、環状ポリオレ
    フィン樹脂からなることを特徴とする請求項6記載の細
    径同軸ケーブルの製造方法。
  8. 【請求項8】 中心導体と、前記中心導体の外周に設け
    られた絶縁被覆層と、前記絶縁被覆層の外周に設けられ
    た外部導体層と、前記外部導体層の外周に設けられた保
    護被覆層とを備えた細径同軸ケーブルの製造方法におい
    て、 低誘電材料の中空繊維または多孔質繊維を前記中心導体
    の周囲に縦添えした後、その外周に低誘電率の熱可塑性
    樹脂を押出被覆することにより前記絶縁被覆層を形成す
    ることを特徴とする細径同軸ケーブルの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記熱可塑性樹脂は、環状ポリオレフィ
    ン樹脂からなることを特徴とする請求項8記載の細径同
    軸ケーブルの製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100761600B1 (ko) * 2006-02-23 2007-09-27 엘에스전선 주식회사 동축케이블
WO2010049315A1 (de) * 2008-10-30 2010-05-06 Huber+Suhner Ag Koaxialkabel
JP2017226907A (ja) * 2016-06-24 2017-12-28 学校法人関東学院 金属皮膜付シクロオレフィン糸の製造方法
JP2017226906A (ja) * 2016-06-24 2017-12-28 学校法人関東学院 金属皮膜付シクロオレフィン糸の製造方法

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