JP2003216205A - プラント運用制御装置 - Google Patents
プラント運用制御装置Info
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Abstract
のであったとしても、最適な運用計画についての演算を
高速且つ精度良く行うことができ、効率的で安定したプ
ラント運用を行えるようにすること。 【解決手段】 プロセスデータ記憶部4は、プロセスコ
ントローラ2を介して得られるプロセスデータの計測値
や種々のパラメータ設定値等のデータを保存する。需要
予測部5は、プロセスデータ記憶部4から得られる過去
の実績需要地、あるいは気象情報その他のデータに基づ
いて、運転該当日の単位時間あたりの需要量を1日分予
測する。運用計画部6は、需要予測部5が予測した単位
時間あたりの1日分需要量とプロセスの計測値に基づい
て該当日の単位時間あたりの機器起動停止計画を整数値
遺伝子でコード化した遺伝的アルゴリズムで演算する。
Description
をはじめとし、鉄鋼プラントなどの産業プラント、地域
冷暖房プラントや各ビル毎の熱源プラント、あるいは発
電所プラントなどの各種プラントにおいて用いられるプ
ラント運用制御装置に関するものである。
の数が多く、また、種々の制御条件を考慮しなければな
らないために制御パラメータ数が非常に多くなる。した
がって、プラントの運用計画を理論的、数学的手法に基
づき立案するのは困難である。更に、上下水道プラント
などいくつかのプラントでは、天候や季節等によっても
少なからず需要量が左右されることがあり、理論的、数
学的手法に基づく立案は一層困難なものとなっている。
そのため、熟練したオペレータの経験側を考慮しつつ、
プラントの基本的運用を行っている例が多くなってい
る。
ュータ技術の発展に伴って、所謂「動的計画法」や「分
岐限定法」といった数学的最適化手法が著しく発展して
きており、ある程度数学的に立案することが可能になっ
てきている。ところが、このような数学的最適化手法で
は、プラント規模や機器数の増大あるいは制御内容の複
雑化に伴い、演算時間が指数関数的に急激に増大し、実
用性が失われることになる。例えば、ある日の夜に、明
日の朝以降のプラント運用計画を立案しようとしている
場合に、演算に要する時間が十数時間以上では、得られ
る結果が最適なものであったとしても何ら意味をなさな
くなる。
ものであり、制御対象プラントが複雑もしくは大規模な
ものであったとしても、最適な運用計画についての演算
を高速且つ精度良く行うことができ、効率的で安定した
プラント運用を実現することができるプラント運用制御
装置を提供することを目的としている。
の手段として、請求項1記載の発明は、プラント内のプ
ラント機器に対する制御を予め作成してある運用計画に
基づき行うプラント運用制御装置において、前記プラン
トからプロセスコントローラを介して入力したプロセス
データを記憶するプロセスデータ記憶部と、前記プロセ
スデータ記憶部に記憶された過去の実績値、及び所定の
情報に基づき、需要を予測する需要予測部と、前記需要
予測部で予測された需要に基づき、遺伝的アルゴリズム
を用いて最適な運用計画についての演算を行う運用計画
演算手段を有する運用計画部と、を備えたことを特徴と
する。
明において、前記遺伝的アルゴリズムは、コード化され
た整数値遺伝子を用いるものである、ことを特徴とす
る。
載の発明において、前記運用計画部は、前記遺伝的アル
ゴリズム以外の最適化手法により得られた暫定解を、前
記遺伝的アルゴリズムの初期値として演算し、これを前
記運用計画演算部に入力させる初期値演算手段を有す
る、ことを特徴とする。
載の発明において、前記運用計画部は、過去のプラント
運用における制御で実際に用いた値を前記プロセスデー
タ記憶部から取り出し、これを前記遺伝的アルゴリズム
の初期値として、前記運用計画演算手段に入力させるプ
ラント実績初期値入力手段を有する、ことを特徴とす
る。
いずれかに記載の発明において、前記運用計画部は、前
記運用計画演算手段が前記遺伝的アルゴリズムを用いて
演算した運用計画について、更に、遺伝的アルゴリズム
以外の最適化手法に基づき最適化演算を行うハイブリッ
ド最適化手段を有する、ことを特徴とする。
いずれかに記載の発明において、前記運用計画部は、前
記運用計画演算手段が演算を行う際の制約条件を緩和す
る制約条件緩和手段を有する、ことを特徴とする。
いずれかに記載の発明において、前記運用計画部は、前
記運用計画演算手段又は前記ハイブリッド最適化手段が
演算した運用計画に係る経時的な特性曲線中に凹部又は
凸部が存在する場合、最適化のための評価値を低下させ
ることなく、これらの凹部又は凸部を平滑化する凹凸平
滑化手段を有する、ことを特徴とする。
いずれかに記載の発明において、前記運用計画部は、前
記運用計画演算手段又は前記ハイブリッド最適化手段が
演算した運用計画に係る経時的な特性曲線中に上り階段
状部分又は下り階段状部分が存在する場合、最適化のた
めの評価値を低下させることなく、これらの上り階段状
部分又は下り階段状部分を平滑化する上下階段平滑化手
段を有する、ことを特徴とする。
いずれかに記載の発明において、プラント内にローカル
制御コントローラのみにより制御されるローカル機器が
含まれている場合に、そのローカル制御の模擬を行うロ
ーカル制御模擬計画部を備えており、前記運用計画部の
運用計画演算手段は、このローカル制御模擬計画部の模
擬結果を考慮して前記運用計画についての演算を行うも
のである、ことを特徴とする。
のいずれかに記載の発明において、前記需要予測部は、
プラント機器同士間の離間距離が大きく、あるプラント
機器の運転開始後その運転結果が他のプラント機器に反
映されるまでに一定レベル以上の時間遅れを生じる場合
に、その時間遅れを考慮した需要予測を行う時間遅れ修
正手段を有するものである、ことを特徴とする。
象プラントが上水道プラントである場合を例に取り説明
する。図2は、プラント1の概略構成図である。この図
において、複数台の取水ポンプ51は河川等から原水を
取水し、これを着水井52に送り出す。着水井52に貯
溜された原水は、流量計を介して混和池53に流入す
る。混和池53に流入した原水は、薬品の注入と共に攪
拌機による攪拌が行われた後フロック形成池54に流入
する。そして、ここで徐々に沈殿するフロックが形成さ
れた後、沈殿池55において汚物が沈殿し、上澄み水が
ろ過池56に送られる。ろ過池56では、このろ過水が
ろ過された後、塩素の注入により殺菌処理が施され、浄
水池57に流入する。浄水池57に貯溜された処理水
は、複数台の送水ポンプ58により配水池59に送水さ
れ、更に、配水池59に貯溜された処理水は複数台の配
水ポンプ60により配水ポンプ61に対する配水が行わ
れる。
行うプラント運用制御装置の構成を示すブロック図であ
る。プラント運用制御装置3は、プロセスコントローラ
2を介してプラント1との間でデータの授受を行うよう
になっており、プロセスデータ記憶部4、需要予測部
5、運用計画部6、及びローカル制御模擬計画手段7を
有している。そして、需要予測部5は時間遅れ修正手段
8を有しており、また、運用計画部6は、初期値入力手
段9、初期値演算手段10、制約条件緩和手段11、運
用計画演算手段12、ハイブリッド最適化手段13、凹
凸平滑化手段14、及び上下平滑化手段15を有してい
る。
機が作成した運用計画に基づいてプラントの運用及び制
御を行う場合、浄水を断水させることなく、需要家に対
して安定した供給を行うことが絶対に必要とされる条件
となる。それと同時に、プラント運用上、運用コストや
設備保守費等を極力低減するために、効率的なプラント
の運用及び制御を行うことが要求される。したがって、
このような観点からの要望を満たすように、最適又は近
似的に最適に近いプラント運用計画の作成を可能にする
ことが重要となるが、近年のプラントの複雑化及び大規
模化に伴い、上記のような最適又は近似的に最適に近い
プラント運用計画を迅速に演算することが益々困難な状
況となってきている。
このような課題を解決する機能を有するものである。プ
ロセスデータ記憶部4は、プロセスコントローラ2を介
して得られるプロセスデータの計測値や種々のパラメー
タ設定値等のデータを保存するものである。需要予測部
5は、プロセスデータ記憶部4から得られる過去の実績
需要地、あるいは気象情報その他のデータに基づいて、
運転該当日の単位時間あたりの需要量を1日分予測する
ものである。運用計画部6は、需要予測部5が予測した
単位時間あたりの1日分需要量とプロセスの計測値に基
づいて該当日の単位時間あたりの機器起動停止計画を整
数値遺伝子でコード化した遺伝的アルゴリズムで演算す
るものである。
は、例えば、統計的な手法や最小自乗法、GMDH(Gr
ouping Method of Data Handling)などの各種同定手
法、ニューラルネットワークを用いた手法などが考えら
れるが、特に手法が限定されるわけではなく、いずれの
手法を用いてもよい。
に起動する。まず、定刻前までに、需要予測に必要なデ
ータを手動又は自動で入力する。例えば、需要予測した
い日の天気予報や最高又は最低気温予報といった天候情
報や、それまでに得られた天候情報の実績値や需要量実
績値などである。需要予測部5による需要予測の結果は
ある単位時間毎に少なくとも1日の区切りの時刻分まで
を出力する。
の現在の計測値(浄水の送水計画であれば、配水池59
の水位や送水ポンプ58の流量、起動台数、配水量等)
と送水ポンプ流量特性、配水池59の容量(運用水位上
下限値)などのパラメータに基づいて、配水池59の運
用水位上下限の逸脱や排水量予測値に不足なく且つ急激
な送水量の変化がない送水計画を、運用計画演算手段1
2が演算する。この際、運用コストをできるだけ低減化
するような考慮が要求されることもある。この場合に
は、必要であれば、電力消費のピーク時間帯にポンプの
起動可能な台数を制約することも考えられる。こうし
て、整数値遺伝子でコード化した遺伝的アルゴリズムを
持つ運用計画演算手段12は、プラント機器の最適な運
用計画を単位時間毎に、少なくとも1日の区切りの時刻
分までを出力する。浄水の送水計画であれば、送水ポン
プ58の起動停止計画と、単位時間毎の総水量、配水池
59の単位時間毎の水位となる。
て、浄水池57から送水ポンプ58によって、配水池5
9を軽油して配水区61へ浄水を配水するプロセスを想
定して説明することとする。もちろん、自然流下で浄水
池57から配水池59へ送水したり、配水池59から配
水区61へ配水することもあるが、ここでは、自然流下
ではなく、送水ポンプ58で送水し、配水ポンプ60で
配水することとしても一般性は失われない。
の総水量Qp(k)は、起動する配水ポンプ60や配管に
取り付けられたバルブの開度によって制御される。その
目標となる流量を離散的に何段階かに決めることとす
る。例えば、バルブであれ、ポンプであれ、とにかく送
水量の物理的最大値が100〔m3/h〕だとするなら、
仮にこれを6段階に分けるとすると、0,20,40,
60,80,100〔m3/h〕が送水計画として取り得
る送水量となる。送水ポンプ58は、回転数固定の固定
速ポンプn台のみだとすると、固定速ポンプの台数と送
水計画としてとり得る送水量の離散値は1対1で対応す
るが、説明を簡単にするため以後この場合を想定するこ
とにする。
プ運転台数を示した図表であるが、遺伝的アルゴリズム
ではこのポンプ台数の欄に記載された整数値を遺伝子と
呼び、この図表にに相当するものを整数値遺伝子(個
体)と呼ぶ。このように、整数値遺伝子でコード化した
遺伝的アルゴリズムでは、遺伝子が整数値で表現され
る。この図3の内容は、時刻0時台(0:00〜1:00)では
ポンプを1台起動する計画を表しており、1時台(1:00
〜2:00)では2台、2時台(2:00〜3:00)では3台を起
動する計画を表している。以降の時間帯も同様である。
場合はバルブの開度によって制御される総水量を表し、
また、可変速ポンプで送水の場合は送水ポンプの送水流
量を離散的に決めた何段階かのステップ数を表す)を表
す整数値を遺伝的アルゴリズムでは遺伝子と呼んでいる
が、固定速ポンプのみ5台からなる送水プロセスのとき
の遺伝子は、0,1,2,…,5のいずれかを取ること
になる。
次のように定式化することとする。定式化の方法は、ど
のような送水計画を最適化したいかによって変わるので
一意ではないが、どのように定式化したとしても、以下
に示すような組み合わせ最適化問題と呼ばれる定式化で
あれば、整数値遺伝子でコード化された遺伝的アルゴリ
ズムによって近似的に最適化することができる。以下に
示す最適化問題は、目的関数fを最小化し得るx,yを
求めようとするものである。目的関数fは(1)式によ
り表すことができ、(1)式におけるf1は(2)式で
表され、また、f2は(3)式又は(4)式で表され
る。また、このときの制約条件は(5),(6)式によ
り表される。
送水ポンプの数を5台と想定しているので、k=5とな
る。このような問題は、一般に組み合わせ最適化問題と
呼ばれ、いわゆる分岐限定法(BBM:Branch and Bounded
Method)によって最適なx(i)を求めることができ
る。図4は、この分岐限定法についての説明図である。
分岐限定法は、上述した最適送水計画問題の変数x
(i)を決定するために、以下のような動作をする。ま
ず、計画開始時(時刻0)の実際の離散的に決められた
送水量ステップ(固定速ポンプのみならポンプ運転台
数)が初期値となり、次の時刻(時刻1,2,3,…)
に進む。そのときのポンプ運転台数で制約条件を満足で
きるか否かをチェックしながら時刻毎のポンプ運転台数
を次々に分岐していく。計画最終時刻まで到達できたと
きに、目的関数値を評価する。目的関数値がこれまでの
解より良好であれば、その解を暫定解として保存し、さ
らに分岐探索を行うというものである。
り、整数計画問題のような組み合わせ問題を解く場合、
最悪では全組み合わせ通りの探索を行ってしまうが、演
算時間に制限がなく、可解であれば必ず最適解が得られ
る。しかし、最適送水計画問題のような組み合わせ問題
は所謂NP-困難な問題の1つとして知られており、変
数の数に対して指数関数的に増大する演算回数を要す
る。そのため、送水ポンプを多数含むような大規模プラ
ントを対象とする場合、オンライン制御に有効な時間内
に最適解が得られない虞があり得る。
遺伝子でコード化した遺伝的アルゴリズムによる高速解
法が有効である。つまり、図3で示したように、整数値
遺伝子でコード化したら、図5のフローチャートに示す
ような遺伝的アルゴリズムを適用することによって、最
適又は近似的に最適な運用計画を得ることができる。
ムに遺伝子を割り当てて生成した固体をそれぞれ予め定
義した個数n個だけ発生させる(初期個体群の生成)。
ここで、個体とは、図3に示したような1つの遺伝子列
のことである。
い場合には満足するように遺伝子を変更し、制約条件を
満足する固体がn個生成できたら、各固体の適応度f′
及びその世代での平均適応度を計算する(各個体の評
価)。なお、一般に、遺伝的アルゴリズムは最大問題に
適用されるものであるが、本実施形態では最小の目的関
数fを求めることになる。したがって、本実施形態にお
ける適応度f′とは、(1)式における目的関数fの逆
数に相当するものとなる。
と前回以前数世代の平均適応度とを比較し、両者の差が
予め定めてある設定値ε以下であるか否かを判別する。
そして、判別結果が「YES」であれば処理を終了し、
「NO」であればステップ4に進む。
体や予め定義した固体数以上の固体が存在する場合に、
適応度の悪い(適応度の小さい)固体や、余分な個体を
その定義した個数になるまで淘汰(削除)する(淘汰処
理)。
明すると、ステップ2で述べた個体が(5)式の制約条
件を満足していない場合、満足していない時間の遺伝子
を次のようにして変更する。まず、(5)式の制約条件
における上限値を満足していない場合、配水池59にお
いては配水池59から出ていく量よりも入ってくる量
(送水量)が多く、水位が上昇するので上限値を下回る
ようになるまで送水量を減らせばよい。例えば、当初、
或る時刻の送水量のステップ数(ポンプ台数)が5であ
ったとすると、5→4→3… と、上限値を超えなくな
るまで送水量を減らしていく。そして、もし送水量のス
テップ数を0にしても上限値を超えている場合は、時間
を1時間分だけ遡って同様に送水量を減らしていく。結
局、計画のスタート時刻に相当する時間まで遡っても上
限値を超えてしまう場合には、その個体を淘汰対象と
し、次の個体の制約条件をチェックすることとする。
(5)式の制約条件における下限値を満足していない場
合も、上限値の場合と同様にして処理することができ
る。但し、下限値を上回るように、送水量を増やして行
く点が上限値の場合と異なる。
結果、個体数が予め定義した数より少ない場合に、残っ
た個体の中から適応度が最良の個体を増殖(コピー)し
て、個体数が定義した数になるようにする(増殖処
理)。
行う(交叉処理)。ペアリングは全個体数に対する割合
(交叉率)分だけ行い、ペア毎にランダムに遺伝子座
(遺伝子の場所)を選び、一点交叉(選んだ遺伝子の場
所から交互に遺伝子のセットを交換)させる。例えば、
図6に示すように、2つの個体(親)が選ばれたとき、
3時と4時との間で遺伝子を交換させることとすると、
同図右に示すように、新たに2つの遺伝子列(個体)が
子として生成される。これを全体の個体数に対して、決
められた割合(交叉率)にしたがって操作する。このよ
うな処理が交叉処理である。
異率)分だけランダムに個体を選び、各個体の任意の遺
伝子座(ランダムに決定する)を変更させる(突然変異
処理)。例えば、図7に示すように、ある個体(親)が
選ばれたとき、23時の遺伝子が同図左(遺伝子0)か
ら同図右(遺伝子1)のように、突然変更されることが
あるが、これを突然変異と呼ぶ。この突然変異は、全体
の遺伝子のうち、決められた割合(突然変位率)にした
がって操作される。
規定値以上に達したか否かを判別し、規定値以上に達し
ていれば処理を終了し、達していなければステップ2に
戻って同様の処理を繰り返す。
需要予測部5の需要予測に基づいて、上記したステップ
1〜8の処理を行う。ここで、運用計画部6の最も簡単
な構成は、その構成要素が運用計画演算手段12のみの
場合であるが、本実施形態では手段9〜11、及び手段
13〜15が付加されている。次に、これら各手段の機
能につき順次説明する。
2が上記のステップ1で生成する初期個体すなわち初期
値を演算するものである。遺伝的アルゴリズムでは、初
期値として乱数などの任意の値を用いても最終的には最
適解もしくは最適解に近いものを求めることができる
が、ステップ2の制約条件のチェックに多くの処理時間
を要することとなり、結果的には演算実行時間のリミッ
トを超えてしまい、何らの運用計画を得られない場合も
あり得る。そこで、初期値演算手段9により、遺伝的ア
ルゴリズム以外の最適化手法(例えば、前述した分岐限
定法)を用い、最適運用計画ではないけれども制約条件
を一応全て満足する運用計画の候補を求め、この候補を
初期値として運用計画演算手段12に入力させるように
している。
ム生成するだけでなく、過去の実績値から遺伝子列を予
め定義した個数だけ生成する。つまり、ランダムに生成
した個体やその他の方法(例えば分岐限定法)で生成し
た個体と合わせてn個となるように過去の実績値から遺
伝子列(個体)を生成するものである。この初期値入力
手段10を用いた構成では、過去に実際に用いた運用計
画を個体に含んでいるので、初期値演算手段9のみで演
算した運用計画を用いる場合よりも、より実用的なもの
であると考えられる。なお、本実施形態では、初期値演
算手段9又は初期値入力手段10のいずれか一が選択的
に用いられるようになっている。
段12の演算が所定時間内に終了しない場合や、所定プ
ラント状態の上下限範囲を満たさない場合に、この所定
の上下限範囲を制約条件から除外し、代わりに物理的な
上下限範囲を新たな制約条件に設定することで制約条件
を緩和し、所定時間内に最適運用計画を得られるように
するためのものである。但し、この場合、運用計画の最
適化演算における目的関数に、プラント状態のもとの上
下限範囲からの逸脱量に応じたペナルティを課すように
して、運用計画を演算する。
と、最適化問題を解く演算が予め定めた時間、例えば1
分などで完了しなかった場合、又は予め定めたプラント
の状態の上下限範囲(例えば、配水池の運用水位上下限
値)を満たさない場合、予め定めたプラントの状態の上
下限範囲を緩和し、運用計画の最適化演算における目的
関数にプラント状態の上下限範囲からの逸脱量にペナル
ティを課すよう、以下のように最適運用計画を再演算す
る。
演算手段12で得られた近似的最適運用計画を入力し、
これを初期値にして遺伝的アルゴリズム以外の最適化手
法(例えば、分岐限定法や動的計画法)により最適運用
計画を得ようとするものである。遺伝的アルゴリズムの
みでは得られた運用計画が真に最適なものであるか否か
が分からず、また、分岐限定法などの最適化手法では演
算に多くの時間を要することになるが、このように遺伝
的アルゴリズムと他の手法とを組み合わせることによ
り、短時間で最適な運用計画を得ることが可能になる。
12又はハイブリッド最適化手段13により得られた運
用計画が、図8(a),(b)の各左側に示すように、
凹状の時間帯を含む場合(凹状計画)あるいは凸状の時
間帯を含む場合(凸状計画)に、そのときの最適化のた
めの評価値(目的関数や適応度)が悪化せず、且つ制約
条件が遵守されるという制限の下に、図8(a),
(b)の各右側に示すように平滑化を行うものである。
このような処理は、整数値遺伝子でコード化された遺伝
的アルゴリズムを、より効果的に作用させるために導入
したヒューリスティックな(経験に基づく発見的な)も
のであり、主に(2)式のy(i)を含む項の改善に効
果を発揮する。特に、最適化のための評価値が悪化しな
いときのみ平滑化し、そうでない場合は平滑化しないと
いう点が重要である。
と同様の機能を有するものであり、運用計画演算手段1
2又はハイブリッド最適化手段13により得られた運用
計画が、図9(a),(b)の各左側に示すように、上
り階段状の時間帯を含む場合(上り階段状計画)あるい
は下り階段状の時間帯を含む場合(下り階段状計画)
に、そのときの最適化のための評価値(目的関数や適応
度)が悪化せず、且つ制約条件が遵守されるという制限
の下に、図9(a),(b)の各右側に示すように平滑
化を行うものである。
につき説明する。これは、プラントにローカル制御コン
トローラがあり、プラント運用制御装置3からは制御で
きない機器が含まれている場合に、ローカル制御を模擬
し、その結果を運用計画演算手段12に入力して運用計
画演算手段12がプラントの運用計画を演算できるよう
にするためのものである。
送水ポンプ58A,B、及び2つの配水池59A,Bを
有するものであるが、浄水池57から配水池59Aへの
送水計画を最適化する場合、時刻iでの需要量に相当す
る配水区61での配水需要予測値qd(i)に対し、いま
配水池59Aから配水池59Bへの送水を行う送水ポン
プ58Bの起動・停止といった制御は、送水計画とは無
関係にローカル制御がかかっているものとする。
測値は需要予測を行えば得られるが、配水池59Aにと
っての需要予測に相当する量(配水池59Aから配水池
59Bへの送水量)が分からない。そこで、送水ポンプ
58Bの制御シーケンスはいろいろ考えられるが、いま
は、ごく単純に配水池59Bの水位h2(i)が、適切に
定義した上下限値Hu,Hlに対し、Hu<h2(i)なら
送水ポンプ58Bが全台停止し、Hl>h2(i)なら送
水ポンプ58Bが全台起動するものとする。iは1分周
期であったり、5分周期であったり、適切な計算周期を
設定するものとする。なお、配水池59Bのh2(i)の
計算には(6)式を用いればよい。
Bが起動又は停止するかが分かるので、運用計画演算手
段12で演算する最適運用計画の計画刻み(1時間単位
で24時間分、あるいは30分単位で24時間分など、
その計画における単位時間のこと)に模擬して得られた
結果を整えて、運用計画演算手段12へ入力すれば、送
水ポンプ58Aによる最適又は近似的な送水計画を演算
することができる。
ポンプ58Bが3:00まで起動するとき、運用計画演
算手段12への入力として、1時台は、100×(60
−34)/60=43.3 となり、2時台は100と
なる。このような演算を必要な時間分行えば、配水池5
9Aから見た需要予測値にあたる配水池59Bへの送水
量がわかり、最適又は近似的に最適な送水計画を演算す
ることができる。
ントローラがあり、プラント運用制御装置3からは制御
できない機器が含まれている場合でも、ローカル制御模
擬計画手段7によりローカル制御を模擬し、その結果を
運用計画演算手段12に入力することにより最適な運用
計画を得ることができる。
手段8の機能につき説明する。この時間遅れ修正手段8
は、プラント1の設置場所がプロセスコントローラ2に
よる制御応答が一定レベル以上悪くなるような遠距離で
ある場合に、需要予測部5がその制御応答の時間遅れを
考慮した需要予測を行えるようにするためのものであ
る。
の設置されている場所と配水池59とが数kmにもわた
って離れており、送水ポンプ58の運転開始の結果が配
水池59に反映されるまでに時間が大きく遅れる場合に
は、この時間遅れを考慮しないと制御上問題を生じるこ
とになる。例えば、送水ポンプ58の設置場所から浄水
が配水池59に到達するのに10分かかる場合、送水量
を11:00に100〔m3/h〕から150〔m3/h〕に増
やさないと配水池59の水位が下限値を下回ってしまう
ような場合、少なくとも10分前にその量を想定して、
送水量を増やしてやる必要がある。
内容を説明するためのグラフ図であり、(a)は修正前
の需要予測値、(b)は修正後の需要予測値である。ま
た、図12は、図11のグラフ図に対応する図表であ
る。図11及び図12に示すように、需要予測を10分
単位で行っているとすると、送水ポンプ58の設置場所
から浄水が配水池59へ到達するのに10分かかるな
ら、単純に10分、すなわち1ステップ先送りした量を
需要予測値とする。もし、送水ポンプ58の設置場所か
ら浄水が配水池59へ到達するのに20分かかるなら、
2ステップ先送りすればよい。そして、運用計画演算手
段12で演算する最適運用計画の計画刻み(1時間単位
で24時間分、あるいは30分単位で24時間分など、
その計画における単位時間のこと)に合わせて、需要予
測値を加工し使用する。
時間単位の需要予測値qd(11)につき時間遅れを考慮
して求める場合、時間遅れを考慮しない場合の配水量
は、 110+130+126+128+110+124=7
28 となる。そして、時間遅れが10分なので1ステップ先
送りすると、その場合の配水量は、 130+126+128+110+124+126=7
44 となる。需要予測部5は、このようにして時間遅れ修正
手段8により時間遅れ分が修正された需要予測を運用計
画演算手段12に出力し、運用計画演算手段12はこの
入力に基づき運用計画を演算する。
スデータ記憶部がプラントからプロセスコントローラを
介して入力したプロセスデータを記憶し、この記憶され
た過去の実績値、及び所定の情報に基づき、需要予測部
が需要を予測し、この予測された需要に基づき、運用計
画演算手段が遺伝的アルゴリズムを用いて最適な運用計
画についての演算を行う構成としているので、制御対象
プラントが複雑もしくは大規模なものであったとして
も、最適な運用計画についての演算を高速且つ精度良く
行うことができ、効率的で安定したプラント運用を実現
することができる。
の構成を示すブロック図。
の制御対象となるプラントの概略構成図。
示す図表。
ての説明図。
を説明するためのフローチャート。
ための図表。
するための図表。
ての説明図であり、(a)は凸状計画に対する平滑化、
(b)は凹状計画に対する平滑化を示している。
ての説明図であり、(a)は上り階段状計画に対する平
滑化、(b)は下り階段状計画に対する平滑化を示して
いる。
るプラントの例を示すぶろっく図である。
説明するためのグラフ図であり、(a)は修正前の需要
予測値、(b)は修正後の需要予測値を示している。
Claims (10)
- 【請求項1】プラント内のプラント機器に対する制御を
予め作成してある運用計画に基づき行うプラント運用制
御装置において、 前記プラントからプロセスコントローラを介して入力し
たプロセスデータを記憶するプロセスデータ記憶部と、 前記プロセスデータ記憶部に記憶された過去の実績値、
及び所定の情報に基づき、需要を予測する需要予測部
と、 前記需要予測部で予測された需要に基づき、遺伝的アル
ゴリズムを用いて最適な運用計画についての演算を行う
運用計画演算手段を有する運用計画部と、 を備えたことを特徴とするプラント運用制御装置。 - 【請求項2】前記遺伝的アルゴリズムは、コード化され
た整数値遺伝子を用いるものである、 ことを特徴とする請求項1記載のプラント運用制御装
置。 - 【請求項3】前記運用計画部は、前記遺伝的アルゴリズ
ム以外の最適化手法により得られた暫定解を、前記遺伝
的アルゴリズムの初期値として演算し、これを前記運用
計画演算部に入力させる初期値演算手段を有する、 ことを特徴とする請求項1又は2記載のプラント運用制
御装置。 - 【請求項4】前記運用計画部は、過去のプラント運用に
おける制御で実際に用いた値を前記プロセスデータ記憶
部から取り出し、これを前記遺伝的アルゴリズムの初期
値として、前記運用計画演算手段に入力させるプラント
実績初期値入力手段を有する、 ことを特徴とする請求項1又は2記載のプラント運用制
御装置。 - 【請求項5】前記運用計画部は、前記運用計画演算手段
が前記遺伝的アルゴリズムを用いて演算した運用計画に
ついて、更に、遺伝的アルゴリズム以外の最適化手法に
基づき最適化演算を行うハイブリッド最適化手段を有す
る、 ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のプ
ラント運用制御装置。 - 【請求項6】前記運用計画部は、前記運用計画演算手段
が演算を行う際の制約条件を緩和する制約条件緩和手段
を有する、 ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のプ
ラント運用制御装置。 - 【請求項7】前記運用計画部は、前記運用計画演算手段
又は前記ハイブリッド最適化手段が演算した運用計画に
係る経時的な特性曲線中に凹部又は凸部が存在する場
合、最適化のための評価値を低下させることなく、これ
らの凹部又は凸部を平滑化する凹凸平滑化手段を有す
る、 ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のプ
ラント運用制御装置。 - 【請求項8】前記運用計画部は、前記運用計画演算手段
又は前記ハイブリッド最適化手段が演算した運用計画に
係る経時的な特性曲線中に上り階段状部分又は下り階段
状部分が存在する場合、最適化のための評価値を低下さ
せることなく、これらの上り階段状部分又は下り階段状
部分を平滑化する上下階段平滑化手段を有する、 ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のプ
ラント運用制御装置。 - 【請求項9】プラント内にローカル制御コントローラの
みにより制御されるローカル機器が含まれている場合
に、そのローカル制御の模擬を行うローカル制御模擬計
画部を備えており、 前記運用計画部の運用計画演算手段は、このローカル制
御模擬計画部の模擬結果を考慮して前記運用計画につい
ての演算を行うものである、 ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のプ
ラント運用制御装置。 - 【請求項10】前記需要予測部は、プラント機器同士間
の離間距離が大きく、あるプラント機器の運転開始後そ
の運転結果が他のプラント機器に反映されるまでに一定
レベル以上の時間遅れを生じる場合に、その時間遅れを
考慮した需要予測を行う時間遅れ修正手段を有するもの
である、 ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のプ
ラント運用制御装置。
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JP4099334B2 JP4099334B2 (ja) | 2008-06-11 |
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