JP2003215110A - レーザ超音波検査装置及びレーザ超音波検査方法 - Google Patents

レーザ超音波検査装置及びレーザ超音波検査方法

Info

Publication number
JP2003215110A
JP2003215110A JP2002008889A JP2002008889A JP2003215110A JP 2003215110 A JP2003215110 A JP 2003215110A JP 2002008889 A JP2002008889 A JP 2002008889A JP 2002008889 A JP2002008889 A JP 2002008889A JP 2003215110 A JP2003215110 A JP 2003215110A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
laser beam
laser
inspection object
pulse
ultrasonic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2002008889A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuaki Nagata
泰昭 永田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2002008889A priority Critical patent/JP2003215110A/ja
Publication of JP2003215110A publication Critical patent/JP2003215110A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 一台のレーザ装置を用いて欠陥検出を行うこ
とができるレーザ超音波検査装置及びレーザ超音波検査
方法を提供する。 【解決手段】 レーザ装置10は、単一の周波数を有す
るパルス発振のレーザビームを発生する。ビームスプリ
ッタ21は、レーザ装置10から発生されたレーザビー
ムを第一レーザビームと第二レーザビームとに分割す
る。第一レーザビームを検査対象物2に照射することに
より、検査対象物2に超音波を発生させる。一方、光フ
ァイバ23を介して第二レーザビームを伝送することに
より、光ファイバ23の分散特性を利用して第二レーザ
ビームのパルス幅を、検査対象物2内部を伝播した超音
波のエコーを検出するのに必要なパルス幅に変換する。
その後、第二レーザビームを検査対象物2に照射する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、検査対象物内部の
欠陥を非破壊で検出することができるレーザ超音波検査
装置及びレーザ超音波検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】各種材料の内部欠陥等を非破壊で、か
つ、検査対象物に非接触で検出する方法として、次のよ
うなレーザ超音波法が知られている。まず、検査対象物
の表面にレーザビームを照射し、検査対象物の表面又は
内部に超音波を励起させる。この超音波が検査対象物を
伝播する過程で欠陥に当たると、そこで超音波の反射エ
コーが生じる。一方、検査対象物には、超音波発生用の
レーザビームとは別に、超音波検出用のレーザビームを
照射する。この照射部位に欠陥からの反射エコーが到達
すると、その表面には超音波振動が生じるので、その照
射部位で反射された超音波検出用のレーザビームはドッ
プラーシフトを受け、その光周波数が変化する。この光
周波数の変化を、例えばファブリ・ペロー干渉計で透過
光強度の変化に変換し、光検出器に入射させる。その結
果、検査対象物内部の欠陥は、光検出器の出力信号の変
化として検出することが可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、検査対象物
に超音波を発生させるためには、比較的高ピークパワー
のパルスレーザ装置が必要である。一方、検査対象物内
部を伝播した超音波のエコーを検出するためには、単一
周波数発振で、例えば数μsec以上の発振時間を持つ
パルスレーザ装置あるいはCWレーザ装置が必要であ
る。すなわち、従来のレーザ超音波検査装置では、仕様
の異なる二種類のレーザ装置を用いることが不可欠であ
った。しかし、このように二台のレーザ装置を用いるの
では、レーザ超音波検査装置全体としてのコストがかさ
み、しかも、レーザ装置のメンテナンス・調整が煩雑で
ある等の問題があった。
【0004】本発明は上記事情に基づいてなされたもの
であり、一台のレーザ装置を用いて欠陥検出を行うこと
ができるレーザ超音波検査装置及びレーザ超音波検査方
法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの請求項1記載の発明に係るレーザ超音波検査装置
は、単一の周波数を有するパルス発振のレーザビームを
発生するレーザ装置と、前記レーザ装置から発生された
レーザビームを第一レーザビームと第二レーザビームと
に分割する分割手段と、検査対象物に超音波を発生させ
るために、前記分割手段で分割された前記第一レーザビ
ームを検査対象物に導く第一光学系と、前記分割手段で
分割された前記第二レーザビームのパルス幅を、検査対
象物内部を伝播した前記超音波のエコーを検出するのに
必要なパルス幅に変換する変換手段と、前記超音波のエ
コーを検出するために、前記変換手段によってパルス幅
が変更された前記第二レーザビームを検査対象物に導く
第二光学系と、前記第二レーザビームが検査対象物で反
射されたときに、前記超音波のエコーに起因して生じる
前記第二レーザビームの周波数の変化を検出する検出手
段と、を具備し、前記検出手段による検出結果に基づい
て検査対象物内部の欠陥を検出することを特徴とするも
のである。
【0006】請求項2記載の発明は、請求項1記載のレ
ーザ超音波検査装置において、前記変換手段は、所定の
長さを有する光ファイバであり、前記光ファイバを介し
て前記第二レーザビームを伝送することにより、前記光
ファイバの分散特性を利用して前記第二レーザビームの
パルス幅を所望のパルス幅に広げることを特徴とするも
のである。
【0007】請求項3記載の発明は、請求項2記載のレ
ーザ超音波検査装置において、前記光ファイバは、前記
第二レーザビームのパルスが、当該パルスよりも後に発
振した前記第一レーザビームのパルスが検査対象物に照
射されるタイミングと同じタイミングで検査対象物に照
射されるような長さを有することを特徴とするものであ
る。
【0008】請求項4記載の発明は、請求項2記載のレ
ーザ超音波検査装置において、前記第一光学系は、前記
第一レーザビームを多重反射させる反射手段を有し、前
記反射手段を介して前記第一レーザビームを検査対象物
に導くことにより、前記第一レーザビームのパルスを、
前記光ファイバを介して伝送される前記第二レーザビー
ムのパルスが検査対象物に照射されるタイミングと同じ
タイミングで検査対象物に照射することを特徴とするも
のである。
【0009】また、上記の目的を達成するための請求項
5記載の発明に係るレーザ超音波検査方法は、単一の周
波数を有するパルス発振のレーザビームを、第一レーザ
ビームと第二レーザビームとに分割し、前記第一レーザ
ビームを検査対象物に照射することにより超音波を検査
対象物に発生させ、一方、前記第二レーザビームのパル
ス幅を、検査対象物内部を伝播した前記超音波のエコー
を検出するのに必要なパルス幅に変換した後、前記第二
レーザビームを検査対象物に照射し、前記第二レーザビ
ームが検査対象物で反射されたときに、前記超音波のエ
コーに起因して生じる前記第二レーザビームの周波数の
変化を検出し、その検出結果に基づいて検査対象物内部
の欠陥を検出することを特徴とするものである。
【0010】請求項6記載の発明は、請求項5記載のレ
ーザ超音波検査方法において、所定の長さを有する光フ
ァイバを介して前記第二レーザビームを伝送することに
より、前記光ファイバの分散特性を利用して前記第二レ
ーザビームのパルス幅を所望のパルス幅に広げることを
特徴とするものである。
【0011】請求項7記載の発明は、請求項6記載のレ
ーザ超音波検査方法において、前記光ファイバは、前記
第二レーザビームのパルスが、当該パルスよりも後に発
振した前記第一レーザビームのパルスが検査対象物に照
射されるタイミングと同じタイミングで検査対象物に照
射されるような長さを有することを特徴とするものであ
る。
【0012】請求項8記載の発明は、請求項6記載のレ
ーザ超音波検査方法において、前記第一レーザビームを
多重反射させた後、検査対象物に照射することにより、
前記第一レーザビームのパルスを、前記光ファイバを介
して伝送される前記第二レーザビームのパルスが検査対
象物に照射されるタイミングと同じタイミングで検査対
象物に照射することを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明の一実施形態につい
て図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態
であるレーザ超音波検査装置の概略構成図である。
【0014】本実施形態のレーザ超音波検査装置は、検
査対象物2の内部の欠陥を非破壊で検出するものであ
り、図1に示すように、一台のレーザ装置10と、ビー
ムスプリッタ(分割手段)21と、反射ミラー22と、
光ファイバ(変換手段)23と、第一光学系30と、第
二光学系40と、第三光学系50と、ファブリ・ペロー
干渉計(検出手段)60と、光検出器70と、アンプ8
0と、デジタルオシロスコープ90とを備える。ここ
で、検査対象物2としては、例えば、薄い板状の鋼材を
想定している。
【0015】レーザ装置10は、単一の周波数を有する
パルス発振のレーザビームを発生するものである。本実
施形態では、このレーザ装置10を、検査対象物2内に
超音波を励起させるためのレーザとして使用するだけで
なく、検査対象物2内を伝播してきた超音波を検出する
ためのレーザとしても使用する。すなわち、一台のレー
ザ装置10が、超音波の発生用と検出用とを兼ねる。実
際、レーザ装置10はそれ自体、超音波発生用のレーザ
として用いるのに適したものであり、さらに超音波検出
用のレーザに要求されるいくつかの特性を備えている。
具体的には、レーザ装置10は、高エネルギーのパルス
レーザであり、数nsecから数十nsec程度のパル
ス幅を有するレーザビームを発生する。これは超音波発
生用のレーザに要求される特性である。一方、超音波検
出用のレーザに要求される特性を考慮して、レーザ装置
10として単一周波数のレーザビームを発生するものが
用いられている。
【0016】本実施形態では、レーザ装置10として、
Innolight社製の単一周波数LD励起YAGレーザを使
用する。このレーザの仕様は、繰り返し周波数6kH
z、パルス幅3nsec、ピークパワー25kWであ
る。尚、かかるInnolight社製のレーザは、1064n
mと532nmの両波長のレーザビームを発振すること
が可能である。以下では、特に明示しない限り、レーザ
装置10からは波長532nmのレーザビームを発生さ
せるものとする。
【0017】また、図2に典型的なLD励起YAGレー
ザから発せられたレーザビームのパルス時間波形の例を
示す。図2において、横軸は時間(μsec)、縦軸は
光出力(V)を表す。図2から分かるように、このレー
ザビームのパルス幅は数十nsec程度である。このた
め、このようなレーザビームは超音波の検出用に使用す
るのに適している。
【0018】ビームスプリッタ21は、レーザ装置10
から発生されたレーザビームを第一レーザビームL1及
び第二レーザビームL2の二つに分割するものである。
第一レーザビームL1は、検査対象物2に超音波を発生
させるためのレーザビームとして利用される。ビームス
プリッタ21で分割された第一レーザビームL1は、第
一光学系30に導かれる。第一光学系30は、第一レー
ザビームL1を検査対象物2に導くものであり、集光レ
ンズ31と、二つの反射ミラー32a,32bとを有す
る。
【0019】一方、ビームスプリッタ21によって分割
された第二レーザビームL2は、反射ミラー22を介し
て光ファイバ23に導かれる。かかる第二レーザビーム
L2は、検査対象物2内部を伝播した超音波のエコーを
検出するためのレーザビームとして利用される。一般
に、超音波検出用のレーザビームとしては、数μsec
から数十μsec程度のパルス幅を有するものが用いら
れる。しかし、レーザ装置10から発生されたレーザビ
ームのパルス幅は、数nsecから数十nsec程度で
あるので、このままでは、第二レーザビームL2は、超
音波検出用として使用するのに適さない。このため、本
実施形態では、第二レーザビームL2を光ファイバ23
に通すことにより、第二レーザビームL2のパルス幅
を、超音波のエコーを検出するのに必要なパルス幅に変
換することにしている。
【0020】光ファイバ23によるパルス幅の変換に
は、光ファイバの分散特性を利用している。かかる分散
特性については、後に詳述する。図3(a)は光ファイ
バ23に通す前の第二レーザビームL2のパルス時間波
形を示す図、図3(b)は光ファイバ23に通した後の
第二レーザビームL2のパルス時間波形を示す図であ
る。ここで、図3(a),(b)において、横軸は時
間、縦軸は光出力を表す。図3から分かるように、第二
レーザビームL2を光ファイバ23に通すことにより、
超音波検出用に適した、数μsecオーダ以上のパルス
幅を有するレーザビームが得られる。
【0021】また、第二光学系40は、光ファイバ23
によってパルス幅が変換された第二レーザビームL2を
検査対象物2に導くものであり、集光レンズ41と、ハ
ーフミラー42とを有する。
【0022】ビームスプリッタ21によって分割された
第一レーザビームL1は、集光レンズ31で集光された
後、反射ミラー32a,32bを介して検査対象物2の
表面に照射される。このとき、その照射点には熱的応力
又は蒸発反力によって超音波が発生する。この超音波は
検査対象物2の内部を伝播するが、この伝播経路に内部
欠陥が存在すると、超音波はこの内部欠陥でも反射・散
乱され、エコーとして表面に戻る。一方、ビームスプリ
ッタ21によって分割された第二レーザビームL2は、
まず、光ファイバ23中を伝わることによって、そのパ
ルス幅が広げられる。そして、集光レンズ41で集光さ
れ、ハーフミラー42を透過した後、検査対象物2の表
面に照射される。ここで、本実施形態では、第一レーザ
ビームL1の照射位置と第二レーザビームL2の照射位
置とは異なっているものとする。
【0023】検査対象物2の表面は粗面であるため、第
二レーザビームL2は検査対象物2の表面においてほぼ
等方的に散乱される。このとき、その第二レーザビーム
L2が超音波エコーの戻ってきた部分に照射されている
と、そこで散乱された第二レーザビームL2は、検査対
象物2の表面の超音波振動に起因するドップラーシフト
を受けて光周波数が変化する。
【0024】検査対象物2の表面で散乱された第二レー
ザビームL2のうち、その一部は、ハーフミラー42で
反射された後、第三光学系50に導かれる。第三光学系
50は、検査対象物2の表面で散乱された第二レーザビ
ームL2の一部を、ファブリ・ペロー干渉計60に導く
ものであり、集光レンズ51と、反射ミラー52とを有
する。
【0025】ファブリ・ペロー干渉計60は、超音波の
エコーに起因して生じる第二レーザビームL2の周波数
の変化を検出するものであり、互いに対向する二つの反
射ミラー61a,61bを有する。この二つの反射ミラ
ー61a,61bは共振器を構成し、第二レーザビーム
L2を二つの反射ミラー61a,61bの間で多重反射
させることによりバンドパスフィルタとして機能する。
二つの反射ミラー61a,61b間の距離を調節するこ
とにより、この共振器を透過する光の周波数を調節する
ことができる。
【0026】ここで、ファブリ・ペロー干渉計60にお
ける共振曲線について説明する。図4はこの共振曲線の
一例を示す図である。図4において、横軸は入射する光
の光周波数fを、縦軸はファブリ・ペロー干渉計60か
らの出力、すなわちファブリ・ペロー干渉計60を透過
する光の強度Iを示している。図4から分かるように、
透過光強度Iは、特定の光周波数において急峻なピーク
を示すが、ピークの前後では速やかに低下する。このピ
ークを示す光周波数は、ファブリ・ペロー干渉計60の
反射ミラー61a,61b間の距離を調節することによ
って変えることができる。そこで、図2に示す曲線の傾
きが最大となる点(共振曲線動作点)Aにおける光周波
数が、ちょうど第二レーザビームL2の発振周波数と一
致するように反射ミラー61a,61b間の距離が調節
されていれば、光周波数のわずかな変化±Δfを、相対
的に大きな透過光強度の変化±ΔIに変換することがで
きる。これにより、ファブリ・ペロー干渉計60は、検
査対象物2の表面の超音波振動に起因するドップラーシ
フトを受けて光周波数が変化した第二レーザビームL2
が入力したときに、その光周波数の変化を透過光強度の
変化として出力する。
【0027】ファブリ・ペロー干渉計60から出力され
た透過光強度は、光検出器70に送られる。光検出器7
0は、透過光強度を電気信号に変換するものである。こ
れにより、超音波エコーは、最終的に電気的な信号とし
て捉えられる。この信号は、アンプ80で増幅された
後、デジタルオシロスコープ90に表示され、必要に応
じて波形が記録される。
【0028】超音波エコーが検出されたときは、検査対
象物2における第二レーザビームL2の照射位置と、検
出タイミングと、予め分かっている検査対象物2中の音
速とから、その欠陥の位置を計算で求めることができ
る。すなわち、非破壊で検査対象物2の内部欠陥を検出
し、かつ、その位置を特定することが可能となる。
【0029】次に、変換手段としての光ファイバ23に
関して詳しく説明する。
【0030】一般に、光ファイバには、それを介してパ
ルスを一定距離だけ伝送させたときに、そのパルス幅が
一定量だけ広がるという分散特性がある。本実施形態で
は、かかる光ファイバの分散特性を利用して、第二レー
ザビームL2のパルス幅を広げることにしている。例え
ば、光ファイバの分散特性が100psec/kmであ
れば、その光ファイバを介してパルスを1kmの距離だ
け伝送させると、そのパルス幅が100psecだけ広
がる。この光ファイバの分散特性は、光ファイバの材質
に応じて異なる。本実施形態で使用する光ファイバ23
としては、なるべく分散特性が大きいものを用いること
が望ましい。
【0031】また、光ファイバ23により第二レーザビ
ームL2のパルス幅をどのぐらいに広げるかは、検査対
象物2内でどの程度の深さにおける欠陥を調べたいかに
応じて定められる。例えば、鋼材の表面から深さ5mm
までのところにある欠陥を検出する場合を考える。この
鋼材中の超音波の音速は6mm/μsecであるとす
る。このとき、鋼材の表面とその深さ5mmの位置との
間の往復距離は10mmであるので、その深さ5mmの
ところに欠陥があるとすると、超音波がその欠陥で反射
して表面に戻ってくるまでの時間は、最短でも、10m
m÷(6mm/μsec)≒1.6μsecだけ要す
る。したがって、鋼材の表面から深さ5mmまでのとこ
ろにある欠陥を検出するためには、第一レーザビームL
1と第二レーザビームL2とを同じタイミングで鋼材に
照射したときに、第二レーザビームL2をその照射タイ
ミングから少なくとも上記時間の間だけ発振させておく
必要がある。すなわち、この例の場合、第二レーザビー
ムL2のパルス幅が少なくとも約1.6μsecとなる
ように、光ファイバ23によってそのパルス幅を広げる
必要がある。また、鋼材の表面から深さ50mmまでの
ところにある欠陥を検出したい場合には、第二レーザビ
ームL2のパルス幅を少なくとも16μsecとする必
要がある。このように、光ファイバ23により第二レー
ザビームL2のパルス幅をどのくらいに広げるかは、検
査対象物2における欠陥の検出範囲に応じて異なる。
【0032】光ファイバ23によって広げるべき第二レ
ーザビームL2のパルス幅が決まると、それに応じて、
第二レーザビームL2を伝送させる光ファイバの長さも
決まる。例として、光ファイバ23の分散特性が100
psec/kmであり、第二レーザビームL2のパルス
幅を10nsecから1μsecに拡大したい場合を考
える。この場合、必要な光ファイバ23の長さをXkm
とすると、 10nsec+Xkm・100psec/km=1μs
ec より、X=10000−100=9900kmである。
すなわち、第二レーザビームL2を光ファイバ23で約
10000km伝送する必要がある。尚、光ファイバの
伝送ロスは非常に少ないので、第二レーザビームL2を
このような長い光ファイバ23で伝送しても、伝送ロス
の問題は生じない。
【0033】しかし、第二レーザビームL2のパルスは
とても長い光ファイバ23を通って検査対象物2に到達
するため、それと同時に発振された第一レーザビームL
1のパルスに比べて検査対象物2に遅れて照射されると
いう遅延時間の問題がある。例えば、光ファイバ23の
長さを10000km(=10m)とした場合、第二
レーザビームL2がこの光ファイバ23を通るのに要す
る時間Tは、光の速さを3×10m/secとして、 T=10m/(3×10m/sec)≒0.03s
ec である。すなわち、第二レーザビームL2のパルスは、
それと同時に発振された第一レーザビームL1のパルス
に比べて0.03secだけ遅れて検査対象物2に到達
する。したがって、このままでは、第二レーザビームL
2のパルスが検査対象物2に照射されるタイミングが、
第一レーザビームL2のパルスが検査対象物2に照射さ
れるタイミングとずれてしまい、検査対象物2の欠陥を
検出できないということが起こり得る。
【0034】かかる第二レーザビームL2の遅延時間が
問題となる場合には、次の二つの方法のうちいずれかを
講ずるようにすればよい。第一の方法は、第一レーザビ
ームL1のパルスを遅延させる方法である。具体的に
は、第一光学系30に、第一レーザビームL1を多重反
射させる反射手段を設ける。そして、かかる反射手段を
介して第一レーザビームL1を検査対象物2に導くこと
により、第一レーザビームL1のパルスを所望の時間だ
け遅延させる。これにより、第一レーザビームL1のパ
ルスを、光ファイバ23を介して伝送される第二レーザ
ビームL2のパルスが検査対象物2に照射されるタイミ
ングと同じタイミングで検査対象物2に照射することが
できる。
【0035】また、第二の方法は、第二レーザビームL
2のパルスが検査対象物2に照射されるタイミングを、
当該パルスよりも後に発振した第一レーザビームL1の
パルスが検査対象物2に照射されるタイミングと同期さ
せる方法である。この方法は、光ファイバ23の長さを
調整することにより容易に実現することができる。これ
により、第二レーザビームL2のパルスを、当該パルス
よりも後に発振した第一レーザビームL1のパルスと同
じタイミングで検査対象物2に照射することができる。
【0036】本実施形態のレーザ超音波検査装置では、
単一の周波数を有するパルス発振のレーザビームを第一
レーザビームと第二レーザビームとに分割し、第一レー
ザビームを検査対象物に照射することにより超音波を検
査対象物に発生させ、一方、第二レーザビームのパルス
幅を、検査対象物内部を伝播した超音波のエコーを検出
するのに必要なパルス幅に変換した後、第二レーザビー
ムを検査対象物に照射する。すなわち、第一レーザビー
ムを超音波発生用のレーザビームとして使用し、第二レ
ーザビームを超音波検出用のレーザビームとして使用す
ることができる。したがって、単一周波数を有するパル
ス発振のレーザビームを発生する一台のレーザ装置だけ
を用いて、検査対象物内の欠陥を検出することができる
ので、装置全体のコストダウンを図ることができると共
に、レーザ装置のメンテナンス・調整を容易に行うこと
ができる。
【0037】尚、本発明は上記の実施形態に限定される
ものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が
可能である。
【0038】例えば、上記の実施形態では、第一レーザ
ビームの照射位置と第二レーザビームの照射位置とが異
なる場合を考えたが、第一レーザビームの照射位置と第
二レーザビームの照射位置とは同じであってもよい。し
かしながら、第一レーザビームと第二レーザビームとを
同じ位置に照射する場合は、第一レーザビームの波長と
第二レーザビームの波長とは互いに異なることが望まし
い。このため、かかる場合には、上述したInnolight社
製の単一周波数LD励起YAGレーザから、1064n
mと532nmの両波長のレーザビームを同時に発振さ
せる。そして、例えば、発振波長1064nmのレーザ
ビームを第一レーザビームとして使用し、一方、発振波
長532nmのレーザビームを第二レーザビームとして
使用する。但し、図1におけるビームスプリッタ21の
代わりに、Innolight社製の単一周波数LD励起YAG
レーザから発せられたレーザビームを、波長1064n
mのレーザビームと波長532nmのレーザビームとに
分けるフィルタを用いる必要がある。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明のレーザ超音
波検査装置は、単一の周波数を有するパルス発振のレー
ザビームを第一レーザビームと第二レーザビームとに分
割し、第一レーザビームを検査対象物に照射することに
より超音波を検査対象物に発生させ、一方、第二レーザ
ビームのパルス幅を、検査対象物内部を伝播した超音波
のエコーを検出するのに必要なパルス幅に変換した後、
第二レーザビームを検査対象物に照射する。すなわち、
第一レーザビームを超音波発生用のレーザビームとして
使用し、第二レーザビームを超音波検出用のレーザビー
ムとして使用することができる。したがって、単一周波
数を有するパルス発振のレーザビームを発生する一台の
レーザ装置だけを用いて、検査対象物内の欠陥を検出す
ることができるので、装置全体のコストダウンを図るこ
とができると共に、レーザ装置のメンテナンス・調整を
容易に行うことができる。
【0040】また、本発明のレーザ超音波検査方法によ
れば、上記と同様に、単一周波数を有するパルス発振の
レーザビームを発生する一台のレーザ装置だけを用い
て、検査対象物内の欠陥を検出することができるので、
装置全体のコストダウンを図ることができると共に、レ
ーザ装置のメンテナンス・調整を容易に行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるレーザ超音波検査装
置の概略構成図である。
【図2】典型的なLD励起YAGレーザから発せられた
レーザビームのパルス時間波形の例を示す図である。
【図3】(a)は光ファイバに通す前の第二レーザビー
ムのパルス時間波形を示す図、(b)は光ファイバに通
した後の第二レーザビームのパルス時間波形を示す図で
ある。
【図4】ファブリ・ペロー干渉計の共振曲線の一例を示
す図である。
【符号の説明】
2 検査対象物 10 レーザ装置 21 ビームスプリッタ 22 反射ミラー 23 光ファイバ 30 第一光学系 31 集光レンズ 32a,32b 反射ミラー 40 第二光学系 41 集光レンズ 42 ハーフミラー 50 第三光学系 51 集光レンズ 52 反射ミラー 60 ファブリ・ペロー干渉計 61a,61b 反射ミラー 70 光検出器 80 アンプ 90 デジタルオシロスコープ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単一の周波数を有するパルス発振のレー
    ザビームを発生するレーザ装置と、 前記レーザ装置から発生されたレーザビームを第一レー
    ザビームと第二レーザビームとに分割する分割手段と、 検査対象物に超音波を発生させるために、前記分割手段
    で分割された前記第一レーザビームを検査対象物に導く
    第一光学系と、 前記分割手段で分割された前記第二レーザビームのパル
    ス幅を、検査対象物内部を伝播した前記超音波のエコー
    を検出するのに必要なパルス幅に変換する変換手段と、 前記超音波のエコーを検出するために、前記変換手段に
    よってパルス幅が変更された前記第二レーザビームを検
    査対象物に導く第二光学系と、 前記第二レーザビームが検査対象物で反射されたとき
    に、前記超音波のエコーに起因して生じる前記第二レー
    ザビームの周波数の変化を検出する検出手段と、 を具備し、前記検出手段による検出結果に基づいて検査
    対象物内部の欠陥を検出することを特徴とするレーザ超
    音波検査装置。
  2. 【請求項2】 前記変換手段は、所定の長さを有する光
    ファイバであり、前記光ファイバを介して前記第二レー
    ザビームを伝送することにより、前記光ファイバの分散
    特性を利用して前記第二レーザビームのパルス幅を所望
    のパルス幅に広げることを特徴とする請求項1記載のレ
    ーザ超音波検査装置。
  3. 【請求項3】 前記光ファイバは、前記第二レーザビー
    ムのパルスが、当該パルスよりも後に発振した前記第一
    レーザビームのパルスが検査対象物に照射されるタイミ
    ングと同じタイミングで検査対象物に照射されるような
    長さを有することを特徴とする請求項2記載のレーザ超
    音波検査装置。
  4. 【請求項4】 前記第一光学系は、前記第一レーザビー
    ムを多重反射させる反射手段を有し、前記反射手段を介
    して前記第一レーザビームを検査対象物に導くことによ
    り、前記第一レーザビームのパルスを、前記光ファイバ
    を介して伝送される前記第二レーザビームのパルスが検
    査対象物に照射されるタイミングと同じタイミングで検
    査対象物に照射することを特徴とする請求項2記載のレ
    ーザ超音波検査装置。
  5. 【請求項5】 単一の周波数を有するパルス発振のレー
    ザビームを、第一レーザビームと第二レーザビームとに
    分割し、 前記第一レーザビームを検査対象物に照射することによ
    り超音波を検査対象物に発生させ、一方、前記第二レー
    ザビームのパルス幅を、検査対象物内部を伝播した前記
    超音波のエコーを検出するのに必要なパルス幅に変換し
    た後、前記第二レーザビームを検査対象物に照射し、 前記第二レーザビームが検査対象物で反射されたとき
    に、前記超音波のエコーに起因して生じる前記第二レー
    ザビームの周波数の変化を検出し、その検出結果に基づ
    いて検査対象物内部の欠陥を検出することを特徴とする
    レーザ超音波検査方法。
  6. 【請求項6】 所定の長さを有する光ファイバを介して
    前記第二レーザビームを伝送することにより、前記光フ
    ァイバの分散特性を利用して前記第二レーザビームのパ
    ルス幅を所望のパルス幅に広げることを特徴とする請求
    項5記載のレーザ超音波検査方法。
  7. 【請求項7】 前記光ファイバは、前記第二レーザビー
    ムのパルスが、当該パルスよりも後に発振した前記第一
    レーザビームのパルスが検査対象物に照射されるタイミ
    ングと同じタイミングで検査対象物に照射されるような
    長さを有することを特徴とする請求項6記載のレーザ超
    音波検査方法。
  8. 【請求項8】 前記第一レーザビームを多重反射させた
    後、検査対象物に照射することにより、前記第一レーザ
    ビームのパルスを、前記光ファイバを介して伝送される
    前記第二レーザビームのパルスが検査対象物に照射され
    るタイミングと同じタイミングで検査対象物に照射する
    ことを特徴とする請求項6記載のレーザ超音波検査方
    法。
JP2002008889A 2002-01-17 2002-01-17 レーザ超音波検査装置及びレーザ超音波検査方法 Withdrawn JP2003215110A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002008889A JP2003215110A (ja) 2002-01-17 2002-01-17 レーザ超音波検査装置及びレーザ超音波検査方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002008889A JP2003215110A (ja) 2002-01-17 2002-01-17 レーザ超音波検査装置及びレーザ超音波検査方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003215110A true JP2003215110A (ja) 2003-07-30

Family

ID=27647035

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002008889A Withdrawn JP2003215110A (ja) 2002-01-17 2002-01-17 レーザ超音波検査装置及びレーザ超音波検査方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003215110A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019105616A (ja) * 2017-12-15 2019-06-27 株式会社日立製作所 レーザ超音波装置
JP2021081361A (ja) * 2019-11-21 2021-05-27 株式会社東芝 受信用レーザ光受信装置、レーザ超音波計測装置およびレーザ超音波計測方法
CN113597555A (zh) * 2019-03-15 2021-11-02 易路美索尼克股份有限公司 单源光声遥感器(ss-pars)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019105616A (ja) * 2017-12-15 2019-06-27 株式会社日立製作所 レーザ超音波装置
US10921290B2 (en) 2017-12-15 2021-02-16 Hitachi, Ltd. Laser ultrasonic testing
CN113597555A (zh) * 2019-03-15 2021-11-02 易路美索尼克股份有限公司 单源光声遥感器(ss-pars)
US11950882B2 (en) 2019-03-15 2024-04-09 Illumisonics Inc. Single source photoacoustic remote sensing (SS-PARS)
JP2021081361A (ja) * 2019-11-21 2021-05-27 株式会社東芝 受信用レーザ光受信装置、レーザ超音波計測装置およびレーザ超音波計測方法
JP7247077B2 (ja) 2019-11-21 2023-03-28 株式会社東芝 受信用レーザ光受信装置、レーザ超音波計測装置およびレーザ超音波計測方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7684047B2 (en) Apparatus and method for two wave mixing (TWM) based ultrasonic laser testing
EP1530032B1 (en) System and method for reducing the laser noise in interferometric laser ultrasound detection
JP3735650B2 (ja) 表面検査装置
EP1221043B1 (en) Method and apparatus for detecting ultrasonic surface displacements using post-collection optical amplification
KR20020034995A (ko) 동조 가능 파장을 가진 초음파를 발생시키는 레이저원을사용하는 초음파 레이저 테스트용 시스템 및 방법
KR101242888B1 (ko) 푸아송비의 계측 방법 및 계측 장치
JP5951673B2 (ja) Co2レーザーおよび高調波生成を使用して超音波を生成するための改良型中赤外レーザー
JPH08285823A (ja) 超音波検査装置
KR101180151B1 (ko) 프와송비의 계측 방법 및 계측 장치
JP4251601B2 (ja) レーザ超音波検査装置
JP2003215110A (ja) レーザ超音波検査装置及びレーザ超音波検査方法
JP5424602B2 (ja) レーザ超音波検出装置及びレーザ超音波検出方法
JP2004125615A (ja) レーザ超音波検査装置
JPH08285820A (ja) レーザー超音波検査装置
JP3544783B2 (ja) レーザ超音波探傷装置
JPH10260163A (ja) レーザー超音波検査装置
JP2003121423A (ja) レーザ超音波検査装置及びレーザ超音波検査方法
JP2002228639A (ja) レーザー超音波検査装置及びレーザー超音波検査方法
JPH09257755A (ja) レーザー超音波検査装置及びレーザー超音波検査方法
JP5128061B2 (ja) レーザ超音波材質計測装置
JP7278979B2 (ja) 非接触振動計測装置および非接触振動計測方法
JPH1183812A (ja) レーザ光による超音波検出方法及びその装置
CN114018824B (zh) 一种基于光纤布拉格光栅的单头激光超声设备及方法
KR100951233B1 (ko) 결정립 형상비 측정장치 및 방법
KR100951234B1 (ko) 재결정율 측정장치 및 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050405