JP2003213850A - シート防水構造、その施工方法及び防水施工用シート - Google Patents

シート防水構造、その施工方法及び防水施工用シート

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JP2003213850A
JP2003213850A JP2002007065A JP2002007065A JP2003213850A JP 2003213850 A JP2003213850 A JP 2003213850A JP 2002007065 A JP2002007065 A JP 2002007065A JP 2002007065 A JP2002007065 A JP 2002007065A JP 2003213850 A JP2003213850 A JP 2003213850A
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sheet
waterproof
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barrier film
area
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JP2002007065A
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English (en)
Inventor
Takeshi Furukawa
健 古川
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Tsutsunaka Plastic Industry Co Ltd
Original Assignee
Tsutsunaka Plastic Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防水シートの劣化を防止でき、耐久性を格段
に向上させることができるシート防水構造を提供する。 【解決手段】 本発明は、躯体下地1上に形成される防
水施工面の一領域が、歩行用タイル5を設置するための
タイル敷設領域5aとして構成されるようにしたシート
防水構造を対象とする。躯体下地1上に防水シート11
からなる防水層が形成されるとともに、防水層上におけ
るタイル敷設領域5aにバリアフィルムからなるバリア
層が形成される。防水シート11がポリ塩化ビニル系樹
脂により構成され、バリアフィルム23がポリオレフィ
ン系樹脂により構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えばバルコニ
ー、ベランダ、屋上等の建造物躯体を防水シートにより
防水施工する際に適用されるシート防水構造、その施工
方法及び防水施工用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】バルコニー、ベランダ、屋上等の建造物
躯体において、ポリ塩化ビニル系樹脂からなる防水シー
トを用いて防水施工するものが多く採用されているが、
このようなシート防水構造において、防水施工面の一領
域に、歩行用タイルを多数並べて敷設し、歩行領域とし
て構成する場合がある。
【0003】一方、シート防水の技術分野では、太陽光
が直接照射されることによって防水シートに悪影響を与
えるということは、周知の事項であり、例えば、遮光領
域の防水シートは、直射領域の防水シートに比べ、シー
ト物性を良好に維持することができ、耐久性の向上を図
ることができるということが技術常識として認識されて
いる。
【0004】すなわち、シート防水の技術分野では、上
記歩行用タイル付きのシート防水構造において、歩行領
域に敷設される防水シートは、歩行用タイルによって被
覆されて、太陽光を遮ることができるため、その遮光部
分における防水シートの物性を長期間維持することがで
きると考えられているのが現状である。
【0005】
【発明の背景】ところで、近年になって、シート防水構
造物に限られず、建築構造物全般にわたって、耐久性の
更なる向上が強く要求されており、本発明者は、その要
求に対処するために、まず、従来の歩行用タイル付きシ
ート防水構造について、詳細な分析を行った。
【0006】その分析結果によると、防水シートにおけ
るタイルが敷設された遮光領域は、タイルが敷設されな
い直射領域に比べて、概略的には、シートの物性は良好
に維持されており、上記の技術常識を裏付けるものであ
った。
【0007】ところが、分析を更に進めていくうちに、
タイルにより被覆される遮光領域であっても、一部の限
られた領域においては、直射領域よりも硬化が進み、シ
ートが劣化しているという予想外の現象が認められ、こ
の現象が、耐久性の向上に対して大きな障害になると考
えられた。
【0008】そこで、本発明は、防水シートの耐久性を
更に向上させることができるシート防水構造、その施工
方法及び防水施工用シートを提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者は、引き続き、綿密な研究を行い、タイル
付きのシート防水構造におけるタイル敷設領域のシート
劣化の原因を追求した。
【0010】その結果、歩行用タイルにおける防水シー
トとの接触部周縁に、雨水等と共に流れ込んだ泥や塵芥
が付着して堆積し、その泥堆積部を介して防水シート中
の可塑剤成分が流出して、防水シートの硬化を招いてい
ることが判明した。
【0011】更に本発明者は、この研究成果を基に、綿
密な実験研究を繰り返し行って、鋭意努力した結果、上
記目的を達成可能な最適な構成を見出し本発明をなすに
至った。
【0012】すなわち本第1発明は、躯体下地上に形成
される防水施工面の一領域が、歩行用タイル等の設置部
材を設置するための部材設置領域として構成されるよう
にしたシート防水構造であって、躯体下地上に形成さ
れ、ポリ塩化ビニル系樹脂の防水シートからなる防水層
と、前記防水層における部材設置領域上に敷設され、耐
水性を有し、かつ可塑剤の移行を防止するバリアフィル
ムからなるバリア層とを備えるものを要旨としている。
【0013】この第1発明のシート防水構造において
は、防水シート上における歩行用タイル等を設置する部
材設置領域にバリアフィルムを敷設するものであるた
め、そのバリアフィルムによって保護されることによ
り、防水シート表面に泥や塵芥等が堆積することがな
く、その堆積部から防水シート中の可塑剤成分が流出す
るのを有効に防止することができ、シート物性を良好な
状態に長期間維持することができる。
【0014】しかも、バリアフィルムは、可塑剤の移行
を防止するものであるため、例えば防水シート中の可塑
剤成分がバリアフィルムに浸入移行するのを防止でき、
防水シート中の可塑剤量を長期間にわたって十分に確保
することができ、この点においても、シート物性を長期
維持することができる。
【0015】このように本発明においては、防水シート
の諸物性を長期間維持できるため、シートの硬化、脆弱
化等の劣化を防止でき、十分な防水性を長期間維持でき
て、耐久性を格段に向上させることができる。
【0016】本第1発明においては、前記バリアフィル
ムが、ポリオレフィン系樹脂により構成されてなるもの
を採用するのが好ましい。
【0017】すなわち、ポリエチレン樹脂やポリプロピ
レン樹脂等のポリオレフィン系樹脂は、耐水性に優れる
ため、バリアフィルムとして防水シート上に敷設した場
合、泥や塵芥等を、防水シートから確実に遮断すること
ができる上、防水シート中の可塑剤成分が移行するのも
確実に防止することができる。
【0018】また本第1発明においては、前記バリアフ
ィルムが、感圧性接着剤からなる接着層を介して防水シ
ートに接着されてなる構成を採用するのが良い。
【0019】すなわちこの構成を採用する場合には、歩
行用タイル等の設置部材施工時や施工後において、バリ
アフィルムが剥離してしまうような不具合を防止でき、
施工作業をスムーズかつ確実に行えるとともに、施工後
も良好な仕上がり具合を得ることができ、良好な美観を
得ることができる。
【0020】一方、本第2発明は、上記第1発明のシー
ト防水構造の施工方法の一態様を特定するものである。
【0021】すなわち、本第2発明は、躯体下地上に形
成される防水施工面の一領域が、歩行用タイル等の設置
部材を設置するための部材設置領域として構成されるよ
うにしたシート防水構造の施工方法であって、ポリ塩化
ビニル系樹脂の防水シートからなる第1施工用シートを
準備する工程と、ポリ塩化ビニル系樹脂からなる防水シ
ートの表面に、耐水性を有し、かつ可塑剤の移行を防止
するバリアフィルムが積層された第2施工用シートを準
備する工程と、前記躯体下地における部材設置領域を除
く領域に前記第1施工用シートを敷設する工程と、前記
躯体下地における部材設置領域を含む領域に前記第2施
工用シートを敷設する工程とを含み、前記第1及び第2
施工用シートの防水シートにより防水層を形成するとと
もに、前記第2施工用シートのバリアフィルムによりバ
リア層を形成するものを要旨としている。
【0022】この第2発明の施工方法を実施することに
より、上記第1発明のシート防水構造の一態様を確実に
形成することができる。
【0023】しかも、本第2発明の施工方法において
は、歩行用タイル等の設置部材を設置しない領域には、
防水シート製の第1施工用シートを敷設し、部材を設置
する領域には、バリアフィルム付きの第2施工用シート
を敷設するものであるため、これらのシートを施工する
だけで、施工域全域に防水シートによる防水層を形成で
きるとともに、特定の部材設置領域にはバリアフィルム
によるバリア層を形成することができる。このため、バ
リア層を形成するためのバリアフィルムを別途施工する
必要がなく、その分、作業工程数を削減することができ
る。
【0024】また、バリア層を形成する領域には、バリ
ア付きシートを敷設するものであるため、バリアフィル
ムを単独施工する場合と異なり、バリアフィルムをスム
ーズに無理なく施工することができ、例えばバリアフィ
ルムに皺や隙間が発生するのを有効に防止することがで
きるとともに、良好な仕上がり具合を確実に得ることが
できる。
【0025】本第2発明においては、前記第2施工用シ
ートにおけるバリアフィルムが防水シートに剥離可能に
接着され、前記第2施工用シートを前記部材設置領域を
含む周辺領域に敷設した後、その周辺領域のうち、前記
部材設置領域以外の領域における第2施工用シートのバ
リアフィルムを剥離して切除するものとした構成を採用
するのが好ましい。
【0026】すなわちこの構成を採用する場合には、部
材設置領域のみに位置精度良く確実にバリアフィルムを
残存配置することができるため、部材設置領域以外の領
域に、無駄なバリアフィルムが配置されることがない。
このため例えば、無駄なバリアフィルムが残存して視認
される等の不具合が生じるのを防止することができる。
【0027】更に本第2発明においては、前記第2施工
用シートにおけるバリアフィルムが防水シートに剥離可
能に接着され、前記部材設置領域に、複数の第2施工用
シートを隣り合うシート間において対応する側縁部同士
を重ね合わせた状態に並列に敷設する一方、隣り合う第
2施工用シート間において対応するシート側縁部のうち
下側に配置されるシート側縁部のバリアフィルムを剥離
して、その剥離領域に、上側に配置されるシート側縁部
の下面側を水密状態に接合するものとした構成を採用す
るのが望ましい。
【0028】すなわちこの構成を採用する場合には、隣
り合う第2施工用シート間において、防水シート同士、
つまり同種の樹脂層同士を接合固定することができ、隣
り合うフィルム付きシート同士の接合を良好に行うこと
ができる。
【0029】また本第3発明は、上記第1発明のシート
防水構造又は第2発明の施工方法に適用される防水施工
用シートの一態様を特定するものである。
【0030】すなわち本第3発明は、躯体下地上に形成
される防水施工面の一領域が、歩行用タイル等の防水施
工面設置部材を設置するための部材設置領域として構成
されるようにしたシート防水構造における前記部材設置
領域に敷設される防水施工用シートであって、ポリ塩化
ビニル系樹脂からなる防水シートの表面に、耐水性を有
し、かつ可塑剤の移行を防止するバリアフィルムが剥離
可能に積層されて形成されてるものを要旨としている。
【0031】この第3発明においては、上記と同様の理
由から、前記バリアフィルムが、ポリオレフィン系樹脂
により構成されてなるものを好適に採用することができ
る。
【0032】更に本第3発明においては、前記バリアフ
ィルムが、感圧性接着剤からなる接着層を介して防水シ
ートに接着されてなる構成を採用するのがより一層望ま
しい。
【0033】すなわちこの構成を採用する場合には、施
工中等において、バリアフィルムの防水シートからの剥
離作業を容易に行える上、バリアフィルムの防水シート
への接着強度を十分に確保することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】図1はこの発明の実施形態である
シート防水構造が適用されたビル屋上等のバルコニーを
示す斜視図、図2はそのバルコニーにおけるタイル敷設
領域を示す断面図である。
【0035】両図に示すように、本実施形態のシート防
水構造は、歩行用タイル(5)等の歩行材を敷設するよ
うにしたルーフバルコニー等に適用されるものであっ
て、第1施工用シート(10)と、第2施工用シート
(20)とが用いられる。
【0036】第1施工用シート(10)は、シート防水
施工に広く一般に用いられるポリ塩化ビニル系樹脂等か
らなる軟質合成樹脂製の防水シート(11)、具体的に
はポリ塩化ビニル系樹脂を主成分とする樹脂組成物の押
出成形品をもって構成されている。
【0037】第1施工用シート(10)は、その厚みが
2.0mmのものが用いられている。なお言うまでもな
く、本発明において、第1施工用シート(10)の厚み
は、限定されるものではないが、防水性、施工作業性、
経済性等を考慮して、1.0〜3.0mm程度の厚みの
ものが好んで用いられる。
【0038】図2及び図3に示すように、第2施工用シ
ート(20)は、ポリ塩化ビニル樹脂系の防水シート
(11)上に、接着層(22)を介して、耐水性を有
し、かつ可塑剤の移行を防止するバリアフィルム(2
3)が積層接着されたバリアフィルム付きシートをもっ
て構成されている。
【0039】接着層(22)は、例えばエチレン・酢酸
ビニル共重合体(EVA樹脂)等の感圧性の接着剤によ
り構成されている。この接着層(22)は、接着性や剥
がし易さ等を考慮して、厚みを3〜30μm程度に設定
するのが好ましい。
【0040】またバリアフィルム(23)は、ポリエチ
レン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹
脂を主成分とする樹脂組成物の押出成形品をもって構成
されている。このバリアフィルム(23)は、厚みが
0.2mmに設定されている。なお本発明において、こ
の厚みは限定されるものではないが、耐水性、経済性等
を考慮して、0.05〜0.30mm程度のものが好ん
で用いられる。
【0041】本実施形態においては、第2施工用シート
(20)は、防水シート(11)としてのポリ塩化ビニ
ル系樹脂シート上に、バリアフィルム(23)としての
ポリオレフィン系樹脂層と、接着層(22)としてのE
VA樹脂層とを共押し成形することにより、防水シート
(11)上に接着層(22)を介してバリアフィルム
(23)を積層接着するものである。
【0042】この構成の第2施工用シート(20)は、
例えば施工現場において、必要に応じて、バリアフィル
ム(23)を防水シート(11)から剥離できるよう構
成されている。
【0043】本実施形態においては、上記の第1及び第
2施工用シート(10)(20)を用いて、以下のよう
に施工するものである。
【0044】なお両シート(10)(20)は、帯状の
長尺物として成形され、現場搬入時には、各シート(1
0)(20)が巻き取られた状態の巻物として構成され
ている。
【0045】まず、図4に示すように、バルコニーにお
けるコンクリート下地(1)上に、その端部から第1施
工用シート(10)を並列に配置されるように順に施工
していく。このとき隣り合う第1施工用シート(10)
の側縁部同士を重ね合わせて溶剤、熱風及び接着剤等
(以下「溶剤等」と称す)を用いて接合一体化する。
【0046】次に、図5に示すように、歩行用タイル
(5)を敷設する予定の領域(5a)を含む領域に、上
記第1施工用シート(10)と同様な手順で、フィルム
付シートとしての第2施工用シート(20)を、隣り合
うシート間の側縁部同士を重ね合わせるようにして並列
配置に施工していく。なお図5においては、発明の理解
を容易にするため、第2施工用シート(20)の部分に
は、斜線によるハッチングを施してある(以下の図6及
び図7においても同じ)。
【0047】ここで、第2施工用シート(20)の下面
側は、ポリ塩化ビニル系樹脂製の防水シート(11)に
より構成されるとともに、上面側はポリオレフィン系樹
脂製のバリアフィルム(23)により構成されるため、
そのままの状態では、隣り合う第2施工用シート(2
0)間における側縁部同士の接合が、異種樹脂間の接合
となり、側縁部同士を接合固定することが困難となる。
【0048】そこで本実施形態においては、図8に示す
ように、隣り合う第2施工用シート(20)の重ね合わ
される側縁部のうち、下側に配置されるシート側縁部に
おけるバリアフィルム(23)を剥離して防水シート
(11)を露出させておき、その露出面に、上側に配置
されるシート側縁部を重ね合わせて、溶剤等により接合
固定する。更に部分剥離したバリアフィルム(23)
を、上側に配置されるシート側縁部上に重ね合わせて、
熱風や接着剤を用いて接合一体化する。
【0049】こうして隣り合う第2施工用シート間にお
いて、同種の樹脂同士を接合固定することができ、隣り
合うシート(20)同士を良好な状態で接合固定するこ
とができる。
【0050】なお、部分剥離したバリアフィルム(2
3)は、必要に応じて、切り取って除去するようにして
も良い。
【0051】また第1施工用シート(10)の側縁部上
に、第2施工用シート(20)の側縁部を重ね合わせる
場合には、ポリ塩化ビニル樹脂同士の接合となり、同種
の樹脂間の接合となるので、接合作業上、何ら問題が生
じることはない。
【0052】こうして、タイル敷設予定領域(5a)を
含む領域に、第2施工用シート(20)を敷設した後、
図6に示すように、残りの領域、つまりタイル敷設予定
領域(5a)を含まない領域に、第1施工用シート(1
0)を、上記と同様に、並列配置に施工していく。
【0053】このとき、第2施工用シート(20)の側
縁部上に、第1施工用シート(10)の側縁部を重ね合
わせる場合には、図9に示すように、第2施工用シート
(20)の側縁部におけるバリアフィルム(23)を剥
離して防水シート(11)を露出させておき、その露出
面上に、第1施工用シート(10)の下面を重ね合わせ
て、溶剤等を用いて接合一体化するものである。これに
より、同種の樹脂層同士を接合することができ、隣り合
うシート(10)(20)同士を良好な状態で接合固定
することができる。
【0054】なお、部分剥離したバリアフィルム(2
3)は、第1施工用シート(10)の側縁部上に重ね合
わせて接着したり、あるいは切り取って除去するように
する。
【0055】こうして下地(1)の防水施工領域全面
に、第1及び第2施工用シート(10)(20)を敷設
施工する。
【0056】なお本実施形態において、第1及び第2施
工用シート(10)(20)は、接合板を介してコンク
リート下地(1)に部分的に溶着接合される、いわゆる
絶縁工法によりコンクリート下地(1)に固定されてい
る。
【0057】下地全面にシート(10)(20)を施工
した後、図7に示すように、敷設された第2施工用シー
ト(20)のうち、タイル敷設予定領域(5a)以外の
領域(周囲領域)のバリアフィルム(23)を切り取っ
て除去し、タイル敷設予定領域(5a)のみにバリアフ
ィルム(23)を残存させるものである。
【0058】こうして、防水施工が完了し、防水施工面
全域に、第1及び第2施工用シート(10)(20)の
防水シート(11)による防水層が形成されるととも
に、所定領域、つまりタイル敷設予定領域(5a)に、
第2施工用シート(20)のバリアフィルム(23)に
よるバリア層が形成される。
【0059】その後、必要に応じて、図1に示すよう
に、タイル敷設予定領域(5a)に歩行用タイル(5)
を多数並べて敷設施工するものである。
【0060】この状態においては、敷設された歩行用タ
イル(5)の下面全域にバリアフィルム(23)による
バリア層が形成されているため、タイル(5)の下面周
縁部に泥等が付着したとしても、防水シート(11)は
バリアフィルム(23)によって保護されることによ
り、泥付着による防水シート(11)への悪影響が防止
され、可塑剤成分の流出による硬化、脆弱化等の劣化を
確実に防止でき、早期の防水性低下を防止できて、耐久
性の向上を図ることができる。
【0061】しかもバリアフィルム(23)は、可塑剤
の移行を防止するものであるため、例えば防水シート中
の可塑剤成分がバリアフィルム(23)に浸入移行する
のを防止でき、防水シート中の可塑剤量を長期間にわた
って十分に確保することがができる。このため、シート
物性を長期間維持できて、耐久性をより一層向上させる
ことができる。
【0062】また、本実施形態においては、タイル
(5)を敷設しない領域には、防水シート(11)から
なる第1施工用シート(10)を施工し、タイル敷設予
定領域(5a)には、防水シート(11)にバリアフィ
ルム(23)が積層接着されたフィルム付きの第2施工
用シート(20)を施工するものであるため、シート施
工を行うだけで、施工域全面に防水シート(11)によ
る防水層を形成できると同時に、所要領域、つまりタイ
ル敷設予定領域(5a)にバリアフィルム(23)によ
るバリア層を形成することができる。このため、バリア
フィルムを別途施工する必要がなく、その分、簡単に施
工できるとともに、工期も短縮させることができる。
【0063】またバリアフィルムを単独施工する場合の
繁雑さ、例えばフィルムのめくれ上がりによる位置ずれ
を防止でき、ひいては、皺や隙間が発生するのを有効に
防止することができるので、泥付着等による防水シート
(11)への悪影響を確実に防止できる上、仕上がり具
合も良くなり、良好な美観を得ることができる。
【0064】また本実施形態においては、第2施工用シ
ート(20)におけるバリアフィルム(23)を剥離可
能に構成しておき、タイル敷設予定領域(5a)を含む
周辺領域に、第2施工用シート(20)を施工した後、
タイル敷設予定領域(5a)以外の領域において、バリ
アフィルム(23)を剥離して切除するものであるた
め、タイル敷設予定領域(5a)のみに位置精度良くバ
リアフィルム(23)を配置することができる。このた
め、タイル敷設予定領域以外の領域に、無駄なバリアフ
ィルムが残存することがなく、無意味に残存するバリア
フィルムが視認されるような不具合を防止できるので、
より一層美観を向上させることができる。
【0065】また本実施形態においては、隣り合う第2
施工用シート(20)の側縁部同士を重ね合わせるに際
して、下側に配置されるシート側縁部のバリアフィルム
(23)を剥離して、防水シート(11)を上方に露出
させ、その露出面に、上側に配置されるシート側縁部を
重ね合わせて、溶剤等により溶着するものであるため、
隣り合う第2施工用シート(20)間において、防水シ
ート(11)同士、つまり同種の樹脂層同士を接合固定
することができるので、隣り合うシート同士を確実に接
合一体化することができ、十分な防水性及び耐水性等を
維持することができる。
【0066】しかも、本実施形態においては、シート側
縁部における部分剥離したバリアフィルム(23)を、
隣り合う第2施工用シート(20)の表面、つまりバリ
アフィルム(23)に重ね合わせて接合するものである
ため、この点においても、同種の樹脂同士を接合固定す
ることができるので、隣り合うシート同士を、より確実
に接合一体化することができ、より一層、防水性や耐水
性等を向上させることができる。
【0067】更に本実施形態においては、第2施工用シ
ート(20)の側縁部上面側に、第1施工用シート(1
0)の側縁部下面側を重ね合わせるに際しても、第2施
工用シート(20)の側縁部におけるバリアフィルム
(23)を剥離して、防水シート(11)を露出させ、
その露出面に、第1施工用シート(10)、つまり防水
シート(11)を重ね合わせて溶着するものであるた
め、第2及び第1施工用シート(20)(10)間にお
いても、同種の樹脂同士で接合一体化することができ、
一段と、防水性を向上させることができる。
【0068】なお上記実施形態においては、防水施工面
上に歩行用タイル(5)を敷設施工する場合について説
明したが、本発明はそれだけに限られず、防水施工面上
に他の部材、例えば花壇やオブジェ等を配置する場合に
も、上記と同様に適用することができる。
【0069】
【発明の効果】以上のように、本第1発明のシート防水
構造によれば、防水シート上における歩行用タイル等を
設置する部材設置領域にバリアフィルムを敷設するもの
であるため、そのバリアフィルムによって保護されるこ
とにより、防水シート表面に泥や塵芥等が堆積すること
がなく、その堆積部から防水シート中の可塑剤成分が流
出するのを有効に防止することができ、シート物性を良
好な状態に長期間維持することができるとともに、バリ
アフィルムによって、防水シート中の可塑剤成分が移行
するのを防止できる上、防水シート中の可塑剤量を長期
間にわたって十分に確保することができるので、シート
物性を長期間維持することができ、耐久性を格段に向上
させることができるという効果がある。
【0070】本第1発明において、ポリオレフィン系樹
脂製のバリアフィルムを用いる場合には、上記の効果
を、より確実に得ることができるという利点がある。
【0071】更に本第1発明において、バリアフィルム
が防水シートに感圧性接着剤を介して接着される場合に
は、歩行用タイル等の設置部材施工時や施工後におい
て、バリアフィルムが剥離してしまうような不具合を防
止でき、施工作業をスムーズかつ確実に行えるととも
に、施工後も良好な仕上がり具合を得ることができ、良
好な美観を得ることができるという利点がある。
【0072】本第2発明は、上記第1発明のシート防水
構造の施工方法の一態様を特定するものであるため、上
記の効果を有する構造を得ることができる。しかも本第
2発明においては、歩行用タイル等の設置部材を設置し
ない領域には、防水シート製の第1施工用シートを敷設
し、部材を設置する領域には、バリアフィルム付きの第
2施工用シートを敷設するものであるため、これらのシ
ートを施工するだけで、施工域全域に防水シートによる
防水層を形成できるとともに、特定の部材設置領域には
バリアフィルムによるバリア層を形成することができ
る。このため、バリア層を形成するためのバリアフィル
ムを別途施工する必要がなく、その分、作業工程数を削
減することができ、施工作業をより一層簡単に行うこと
ができる。また、バリア層を形成する領域には、バリア
付きシートを敷設するものであるため、バリアフィルム
を単独施工する場合と異なり、バリアフィルムをスムー
ズに無理なく施工することができ、例えばバリアフィル
ムに皺や隙間が発生するのを有効に防止することができ
るとともに、良好な仕上がり具合を確実に得ることがで
き、より一層美観を向上させることができるという効果
がある。
【0073】本第2発明において、第2施工用シートを
部材設置領域を含む周辺領域に敷設した後、部材設置領
域以外の領域における第2施工用シートのバリアフィル
ムを剥離して切除する場合には、部材設置領域のみに位
置的に精度良く確実にバリアフィルムを配置することが
できるため、部材設置領域以外の領域に、無駄な耐水性
フィルムが残存されることがなく、その残存による美観
の低下等を防止でき、一段と美観を向上させることがで
きるという利点がある。
【0074】また第2発明では、隣り合う第2施工用シ
ート間において対応するシート側縁部のうち下側に配置
されるシート側縁部のバリアフィルムを剥離して、その
剥離領域に、上側に配置されるシート側縁部の下面側を
水密状態に接合する場合には、隣り合う第2施工用シー
ト間において、防水シート同士、つまり同種の樹脂層同
士を接合固定することができるので、隣り合う第2施工
用シート同士を良好に接合一体化することができ、十分
な防水性及び耐水性を維持することができるという利点
がある。
【0075】一方、本第3発明は、上記第1発明又は第
2発明に用いられる防水施工用シートの一態様を特定す
るものであるため、上記第1発明又は第2発明と同様な
効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態であるシート防水構造が適
用されたバルコニーを示す斜視図である。
【図2】実施形態のバルコニーにおけるタイル敷設領域
を示す断面図である。
【図3】実施形態の防水構造に適用された第2施工用シ
ートを示す断面図である。
【図4】実施形態のバルコニーをシート施工開始直後の
状態で示す斜視図である。
【図5】実施形態のバルコニーをシート施工中の状態で
示す斜視図である。
【図6】実施形態のバルコニーをシート施工完了直前の
状態で示す斜視図である。
【図7】実施形態のバルコニーをシート施工完了後の状
態で示す斜視図である。
【図8】実施形態のバルコニーにおける隣り合う第2施
工用シート間の接合部周辺を拡大して示す断面図であ
る。
【図9】実施形態のバルコニーにおける第1及び第2施
工用シート間の接合部周辺を拡大して示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1…コンクリート下地 5…歩行用タイル(設置部材) 5a…タイル敷設予定領域(部材設置領域) 10…第1施工用シート 11…防水シート 20…第2施工用シート 22…接着層 23…バリアフィルム

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 躯体下地上に形成される防水施工面の一
    領域が、歩行用タイル等の設置部材を設置するための部
    材設置領域として構成されるようにしたシート防水構造
    であって、 躯体下地上に形成され、ポリ塩化ビニル系樹脂の防水シ
    ートからなる防水層と、 前記防水層における部材設置領域上に敷設され、耐水性
    を有し、かつ可塑剤の移行を防止するバリアフィルムか
    らなるバリア層とを備えるシート防水構造。
  2. 【請求項2】 前記バリアフィルムが、ポリオレフィン
    系樹脂により構成されてなる請求項1記載のシート防水
    構造。
  3. 【請求項3】 前記バリアフィルムが、感圧性接着剤か
    らなる接着層を介して防水シートに接着されてなる請求
    項1又は2記載のシート防水構造。
  4. 【請求項4】 躯体下地上に形成される防水施工面の一
    領域が、歩行用タイル等の設置部材を設置するための部
    材設置領域として構成されるようにしたシート防水構造
    の施工方法であって、 ポリ塩化ビニル系樹脂の防水シートからなる第1施工用
    シートを準備する工程と、 ポリ塩化ビニル系樹脂からなる防水シートの表面に、耐
    水性を有し、かつ可塑剤の移行を防止するバリアフィル
    ムが積層された第2施工用シートを準備する工程と、 前記躯体下地における部材設置領域を除く領域に前記第
    1施工用シートを敷設する工程と、 前記躯体下地における部材設置領域を含む領域に前記第
    2施工用シートを敷設する工程とを含み、 前記第1及び第2施工用シートの防水シートにより防水
    層を形成するとともに、前記第2施工用シートのバリア
    フィルムによりバリア層を形成することを特徴としたシ
    ート防水構造の施工方法。
  5. 【請求項5】 前記第2施工用シートにおけるバリアフ
    ィルムが防水シートに剥離可能に接着され、 前記第2施工用シートを前記部材設置領域を含む周辺領
    域に敷設した後、その周辺領域のうち、前記部材設置領
    域以外の領域における第2施工用シートのバリアフィル
    ムを剥離して切除するものとした請求項4記載のシート
    防水構造の施工方法。
  6. 【請求項6】 前記第2施工用シートにおけるバリアフ
    ィルムが防水シートに剥離可能に接着され、 前記部材設置領域に、複数の第2施工用シートを隣り合
    うシート間において対応する側縁部同士を重ね合わせた
    状態に並列に敷設する一方、 隣り合う第2施工用シート間において対応するシート側
    縁部のうち下側に配置されるシート側縁部のバリアフィ
    ルムを剥離して、その剥離領域に、上側に配置されるシ
    ート側縁部の下面側を水密状態に接合するものとした請
    求項4又は5記載のシート防水構造の施工方法。
  7. 【請求項7】 躯体下地上に形成される防水施工面の一
    領域が、歩行用タイル等の防水施工面設置部材を設置す
    るための部材設置領域として構成されるようにしたシー
    ト防水構造における前記部材設置領域に敷設される防水
    施工用シートであって、 ポリ塩化ビニル系樹脂からなる防水シートの表面に、耐
    水性を有し、かつ可塑剤の移行を防止するバリアフィル
    ムが剥離可能に積層されて形成されてることを特徴とす
    る防水施工用シート。
  8. 【請求項8】 前記バリアフィルムが、ポリオレフィン
    系樹脂により構成されてなる請求項7記載の防水施工用
    シート。
  9. 【請求項9】 前記バリアフィルムが、感圧性接着剤か
    らなる接着層を介して防水シートに接着されてなる請求
    項7又は8記載の防水施工用シート。
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