JP2003212999A - 多孔質ゲルの製造方法およびそれを用いた断熱材 - Google Patents
多孔質ゲルの製造方法およびそれを用いた断熱材Info
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Abstract
であり、簡単な方法で微細な細孔を有する多孔質ゲルを
製造するものである。 【解決手段】 アルコキシシランを加水分解・重合させ
る工程に、疎水化剤であるアルキルアルコキシシランを
存在させ、湿潤ゲルの作成と、疎水化処理をした後、非
超臨界の条件で乾燥させることにより、簡単な方法で微
細な細孔を有する多孔質ゲルが製造できるのである。ま
た多孔質ゲルを含む断熱材は断熱性能が高く、熱伝導率
が静止空気の熱伝導率以下とすることができるのであ
る。
Description
として利用される多孔質ゲルの製造方法およびそれを用
いた断熱材に関するものである。
孔質ゲルは一般に表面積が大きく、かつ微細な細孔を有
しており、エアロゲルやキセロゲルと呼ばれる。微細な
細孔を有する多孔質ゲルを得るには、いわゆるゾルーゲ
ル法では、微細な細孔を有する湿潤ゲルを作る必要があ
る。しかし、通常乾燥を行うと、微細な細孔に含まれる
溶媒が気化する際に形成する毛管力により、細孔は収縮
方向の力が加わり、細孔がつぶれてしまう。細孔に掛か
る力は一般に(数1)により表される。
接触角、dは細孔の径を表す。細孔の径が小さいほど毛
管圧は大きくなり、細孔がつぶれやすいのである。従来
はこれを回避するために主に2つの方法が用いられてい
た。
法(USP 4327065;USP 4610863)である。これは溶媒を
臨界点以上の温度と圧力にし、超臨界流体とすることに
より、溶媒の表面張力を下げるとともに、液体のように
細孔内で濡れるという減少をなくすために、毛管圧を減
少させることにより、細孔をつぶさず乾燥させる方法で
ある。
超臨界の条件で乾燥させる方法である(特開平5-51277
号公報;特許第2840881号公報)。これは湿潤ゲル中の
細孔の表面を疎水化剤により疎水化することにより、接
触角を減少させることにより毛管圧を減少させ、細孔を
つぶすことなく乾燥させる方法である。
行う場合は、溶媒を超臨界状態に保持できる容器内で行
う必要があり、超臨界に耐えうる特別な容器が必要であ
り、多くの手間と時間も必要であった。また、従来の細
孔の表面を疎水化した後、非超臨界の条件で乾燥させる
方法では、疎水化剤としてトリメチルクロロシランなど
のハロゲン化アルキル珪素やヘキサメチルジシラザンな
どの疎水化剤が使用されており、塩素や窒素化合物が生
成するばかりでなく、溶媒の置換工程が必要であり非常
に手間や時間のかかる方法であった。また、疎水化剤が
溶媒等と反応するために必要量以上の量が必要であり、
非効率であった。疎水化が不十分であれば、乾燥の際に
収縮し、微細な細孔を失ってしまう課題がある。また、
ゲル原料の重合がほぼ終了した後に疎水化剤を添加しな
ければならず、非常に手間がかかる課題があった。さら
に、ゲル材料として、異なった種類のアルキル基を有す
るアルコキシドが用いられている場合もあり、このとき
はアルキル基の加水分解速度の違いにより不均質な多孔
質ゲルとなる場合もあった。
題を解決しようとするものであり、R'とR''とR'''は
アルキル基を表し、(R'O)4Siで表されるアルコキ
シシランをゲル原料とし、R''x(R'''O)4-xSiで
表されるアルキルアルコキシシランを疎水化剤とし、前
記ゲル原料含む溶液を、少なくとも水を含む溶媒と、触
媒とを用いて重合させる重合工程と、重合工程により湿
潤ゲルが形成し、前記湿潤ゲルの表面を疎水化し、疎水
化湿潤ゲルを得る疎水化工程と、前記疎水化湿潤ゲルを
超臨界以下の温度または圧力条件で乾燥する乾燥工程に
より多孔質ゲルを製造する多孔質ゲルの製造方法におい
て、ゲル原料が重合する重合工程中の溶液中に前記疎水
化剤をゲル原料のモル量以下のモル量で存在させること
を特徴とする多孔質ゲルの製造方法とすることにより、
簡単な方法で微細な多孔質ゲルを製造することができる
のである。
を特徴とする製造方法とすることにより、さらに微細な
細孔を有する多孔質ゲルを製造すことができるのであ
る。
R'''はエチル基とすることにより、短時間で多孔質ゲ
ルを製造することができるのである。
表す化学式においてx=1である物質を用いることによ
り、少量の疎水化剤で多孔質ゲルを製造することができ
るのである。
り、少ない疎水化剤で、より微細な細孔を有する多孔質
ゲルを製造することができるのである。
り、さらに微細な細孔を有する孔質ゲルを製造すること
ができるのである。
沸点の高い溶媒を添加する溶媒添加工程を行うことをに
より、さらに微細な多孔質ゲルを製造することがでイル
のである。
多孔質ゲルを含み、熱伝導率が静止空気の熱伝導率以下
であることを特徴とする断熱材とするものである。
R''とR'''はアルキル基を表し、(R'O)4Siで表
されるアルコキシシランをゲル原料とし、R''x(R'''
O)4-xSiで表されるアルキルアルコキシシランを疎
水化剤とし、前記ゲル原料含む溶液を、少なくとも水を
含む溶媒と、触媒とを用いて重合させる重合工程と、重
合工程により湿潤ゲルが形成し、前記湿潤ゲルの表面を
疎水化し、疎水化湿潤ゲルを得る疎水化工程と、前記疎
水化湿潤ゲルを超臨界以下の温度または圧力条件で乾燥
する乾燥工程により多孔質ゲルを製造する多孔質ゲルの
製造方法において、ゲル原料が重合する重合工程中の溶
液中に前記疎水化剤をゲル原料のモル量以下のモル量で
存在させることを特徴とする多孔質ゲルの製造方法とす
ることにより、簡単な方法で微細な多孔質ゲルを製造す
ることができるのである。
である(R'O)4Siで表されるアルコキシシランは水
と酸またはアルカリなどのような触媒により、加水分解
を起こし、(化1)に表されるような反応をする。
アルキルアルコキシシランのアルコキシド基も同様の加
水分解反応をする。
化剤は、(化2)に表されるような反応により重合す
る。
は水酸基またはアルキル基である。(化1)と(化2)
の反応がすすむと、ゲル原料や疎水化剤は析出しゾルと
なり、さらに反応がすすむと流動性を失い湿潤ゲルとな
る。この工程が重合工程である。
ル基は分子鎖が長くなるほど(化1)で表される加水分
解の速度が遅くなる。よって、異なる種類のアルコキシ
ド基が珪素原子についている物質をゲル原料物質とする
と、分子内での加水分解速度に差が生じ、一部分は加水
分解が終了し、重合を起こしているが、一部分は加水分
解さえ起こさず、最終的に集合しない、またはわずかな
重合度しか重合しないなどの不均一な反応になってしま
い、不均一な反応が不均一な細孔を有する多孔質ゲルと
なってしまう。しかし、本発明では、ゲル原料は化学式
として (R'O)4Siで表されるアルコキシシランを
用いた。珪素の分子には同じアルコキシド基がついてい
るので、加水分解の速度は同じであり、均質な反応を起
こすので、均質な多孔質ゲルを製造することができるの
である。
機酸、酢酸、クエン酸等の有機酸、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウムなどの無機塩基およびアンモニア、アミ
ン類などの有機塩基を使用することができる。
で表されるアルキルアルコキシドを疎水化剤として用
い、湿潤ゲルの表面を疎水化し、疎水化湿潤ゲルを得る
のである。本発明においては、前記重合化工程中に疎水
化剤が存在していることを特徴としている。ゲル原料の
重合と、疎水化剤の加水分解、重合が同時に起こるので
ある。
以下のモル量とすることが重要である。疎水化剤はアル
キル基を有しているため、加水分解し、重合するアルコ
キシド基は1〜3個であり、アルコキシド基を4個有す
るゲル原料とは反応性が異なる。疎水化剤の量が、ゲル
原料のモル量以上のモル量とした場合は、疎水化剤の重
合が優位に発生し、均質な反応が生じないため、微細な
細孔の多孔質ゲルを得ることができないが、疎水化剤の
量をゲル原料のモル量以下のモル量とすることで、ゲル
原料の均質な反応を阻害することなく、疎水化剤はゲル
原料の重合による湿潤ゲルに反応するため、疎水性を付
与することができるのである。ヘキサメチルジシラザン
やトリメチルクロロシランなどの疎水化剤として用いる
場合には、溶媒に含まれる水を取り除く必要がある。水
があると、水とヘキサメチルジシラザンやトリメチルク
ロロシランとが反応し、湿潤ゲルとの反応効率が極端に
悪くなるからである。
れるアルキルアルコキシドは水と触媒が存在すると、ア
ルコキシド基が加水分解を起こし、湿潤ゲル中の水酸基
などの親水基と反応し、R''で表されるアルキル基でゲ
ルの表面を覆うことができるので、ゲル原料の重合工程
と同じ溶液で反応し作用させることができるので、非常
に簡単な方法と言える。
として使用すると、反応時に窒素化合物が、トリメチル
クロロシランなどを疎水化剤として使用すると、塩素化
合物が新たに発生する。これらの中には塩化水素など腐
食性を持つものもあり、使用する器具は特別の処理をし
たものを使用するなど非常に手間がかかった。
るアルキルアルコキシドを疎水化剤として使用すると、
反応で生成する物質は、R'''OHで表されるアルコー
ルだけである。アルコールは湿潤ゲルの生成時にも発生
するので、疎水化処理により、全く性質の異なる新たな
物質を生成させることはなく、非常に簡単に疎水化処理
を行うことができる製造方法が実現できるのである。
と、疎水化剤として使用されるR''x(R'''O)4-xS
iで表される物質において、R'よりもR'''の分子鎖が
長いことを特徴とする製造方法とすることにより、さら
に微細な細孔を有する多孔質ゲルを製造すことができる
のである。アルコキシドの加水分解、重合の速度は、分
子鎖が長いほど遅くなる。ゲル原料のアルコキシドの分
子鎖より、疎水化剤の分子鎖が長いと、ゲル原料の加水
分解、重合が先に起こり、湿潤ゲルがほぼ形成した後
に、疎水化反応が始まる。よって、ゲル原料と疎水化剤
が同一溶液に共存しながら、重合を先に行わせ、重合後
疎水化を行うことができるので、より均質な反応となる
ので、より微細な細孔を有する多孔質ゲルを製造するこ
とができるのである。
R'''はエチル基とすることにより、より短時間に重合
工程と疎水化工程を行うことができる。アルコキシド基
が反応し重合するためには(化1)に示したような加水
分解反応が起こる必要がある。この反応はアルキル基が
大きくなるほど遅くなるので、最も小さなアルキル基で
あるメチル基で、メチル基より大きく最も小さいのはエ
チル基であるので、短時間で重合工程と疎水化工程を行
うことができるため短時間で多孔質ゲルを製造すること
ができるのである。
化剤において、x=1である場合、つまりアルキルトリ
アルコキシドシランを用いると、少量の疎水化剤で多孔
質ゲルを製造することができるのである。湿潤ゲル中に
は水酸基などの親水性の官能基があり、これがゲルに親
水性を付与している。アルキルトリアルコキシドシラン
は1分子で3つの親水基と反応することができるため、
親水基の数に対して1/3の分子数の疎水化剤でよい。
親水基が反応により消失し、アルキル基がゲル上に存在
することになるので、親水性が疎水性にかわる。よっ
て、少量の疎水化剤で多孔質ゲルを製造することができ
るのである。
化剤において、x=2である場合、つまりジアルキルジ
アルコキシドシランを用いると、多孔質ゲルの製造にお
いて、疎水化剤の少量化と細孔の微細化を両立すること
ができる。ジアルキルジアルコキシドシランは1分子に
2つのアルコキシド基を有しているため、1分子で2つ
の親水基と反応することができる。しかも、1分子中に
2つのアルキル基を有している。アルキルトリアルコキ
シドシラン等に比べ、親水基と反応できる個数は少ない
が、トリメチルクロロシランなどに比べると1分子で、
倍の反応性を有することになる。また、アルキルトリア
ルコキシドシラン等に比べ疎水性を示すアルキル基が2
倍存在しているので、より疎水化度が高いため乾燥の際
の細孔の収縮が少なく、より微細な細孔を有する多孔質
ゲルの製造が実現できるのである。
化剤において、x=3である場合、つまりトリアルキル
アルコキシドシランを用いると、より微細な細孔を有す
る多孔質ゲルの製造ができる。トリアルキルアルコキシ
ドシランは1分子に3つのアルキル基を有しているため
非常に疎水化作用が強い。よって乾燥の際、さらに収縮
が小さいために、より微細な細孔を有する多孔質ゲルの
製造が実現できるのである。
臨界点以下の温度または圧力、つまり非超臨界乾燥にお
り行われる。疎水化湿潤ゲルを他の溶媒などで洗浄する
ことなく非超臨界乾燥を行うことができれば非常に簡単
な多孔質ゲルの製造を実現することができるのである。
疎水化湿潤ゲルの溶媒には、重合時に必要により加えら
れた溶媒と、水と、酸またはアルカリの触媒と、加水分
解によって生じたR'OH、R'''OHで表されるアルコ
ール、およびが未反応のアルコキシドまたはオリゴマー
が含まれている。重合時に加えた溶媒は、ゲル原料や水
と混ざる必要があり、さらにゲル化反応においても副反
応を引き起こすことを避ける必要があるため、R'OH
やR'''OHなどのアルコールが使用される。
である。疎水性湿潤ゲルから溶媒を揮発させて行くと、
最終的には水が残る。水の表面張力は72.8 dyn/cm
(常温)であり、比較的大きいと言える。しかし、疎水化
したゲルの表面となす接触角は非常に大きくなるため、
(数1)で示される毛管厚は小さくなり、ゲルの細孔を
つぶすことがないため、非常に簡単に多孔質ゲルが製造
できるのである。
沸点の高い溶媒を添加しても良い。水より沸点の高い溶
媒を添加した後、非超臨界乾燥を行うと、アルコールや
水が蒸発し、最終的に水より沸点の高い溶媒が残る。水
より沸点の高い溶媒としてトルエンやキシレン等があ
る。これらの物質の沸点は高いが、表面張力は水より小
さいので、さらに毛管厚を小さくすることができるので
より小さな疎水化度で多孔質ゲルを製造することができ
る。乾燥装置が100℃よりも十分加熱できる場合や減
圧することができるのであれば、溶媒を添加すると言う
簡単な操作で、よび微細な細孔を有する多孔質ゲルを製
造することができるのである。
いた断熱材について説明する。この断熱材は、本発明の
多孔質ゲルの製造方法により製造された多孔質ゲルを主
たる構成成分とする物である。多孔質ゲルは、粒状、粉
状の形状を持ち、これを断熱したい製品や部分に配置す
る。配置する際には、多孔質ゲルを適当なバインダで固
めた状態でも、ケースに充填した状態でも良い。本断熱
材の特徴はその熱伝導率が静止空気の熱伝導率以下であ
ることが特徴である。ガラスウールやロックウールなど
の断熱材は、繊維状の物質により、断熱材内部の空気が
対流しないような構成をしている。よって、その断熱材
の熱伝導率は、静止した空気の熱伝導率とガラス繊維等
の固体熱伝導率の合算となり、静止空気の熱伝導率を下
回ることはない。
孔質ゲルは非常に微細な構造を有しているので、上記製
造方法で製造された多孔質ゲルを主成分とする断熱材の
熱伝導率は静止空気の熱伝導率以下となるのが特徴であ
る。空気は窒素や酸素などの気体分子から構成されてい
るが、これらの気体分子は対流がない状態でもブラウン
運動により運動している。運動する気体分子同士が衝突
することにより熱エネルギーが伝えられる状態が静止空
気の熱伝導である。気体分子同士が衝突するまでの距離
は「平均自由工程」と呼ばれる。
の細孔の大きさは、大気圧下での空気を構成する気体の
平均自由工程よりも小さいので、気体分子同士の衝突を
防ぐため気体同士の衝突による伝熱を防ぐことができる
のである。よって、本開発の製造方法による多孔質ゲル
を主成分とすることにより、静止空気の熱伝導率以下の
熱伝導を有する断熱材が実現できるのである
で現されるアルコキシシランとしてテトラメトキシシラ
ン(以降TMOSと称する)をゲル原料とし、前記ゲル
原料をメタノールで希釈し、水と触媒であるアンモニア
の混合物により湿潤ゲルを形成させ、R''x(R'''O)
4-xSiで現される疎水化剤としてメチルトリメトキシ
シランを用い、湿潤ゲルの表面を疎水化し、前記疎水化
湿潤ゲルを溶媒の臨界点以下の温度または圧力条件で乾
燥する乾燥工程により多孔質ゲルを製造した。具体的に
はゲル原料であるTMOS1モルをメタノール3モルで
希釈した溶液(以降TMOS溶液と称する)と疎水化剤
であるメチルトリメトキシシランを1/6モルと、水4
モルでアンモニアが0.002モルとなるようにアンモ
ニア水を希釈した溶液(以降アンモニア希釈水と称す
る)を用意する。TMOS溶液に攪拌しながらアンモニ
ア希釈水を滴下して行く。アンモニア希釈水を入れ終わ
ると、疎水化剤を入れ他後、攪拌を止め静置する。する
と容器内でTMOSの加水分解と重合が起こり、ゾル−
ゲル反応が進行し湿潤ゲルが形成される。以上が重合工
程である。湿潤ゲルの表面には加水分解によって生じた
水酸基があり、これが親水性を示す。この水酸基に疎水
化剤が作用し、水酸基を抄出されアルキル基を表面に存
在させる。アルキル基は疎水性であるので、疎水化湿潤
ゲルとすることができるのである。
の電気炉にいれ、110℃で加熱した。加熱により、メ
タノールとアンモニアが揮発し、最後に水が残りこれも
揮発させ、乾燥した多孔質ゲルを得た。
ルクロロシランを用い多孔質ゲルを製造した。各多孔質
ゲルの熱伝導率の測定結果を(表1)に示す。
の熱伝導率は22mW/m・Kであり、比較例は22mW/m・Kで
あった。静止空気の熱伝導率は約26mW/m・Kである。本
発明の多孔質ゲルの熱伝導率が26mW/m・Kを下回ったの
は、多孔質ゲルの細孔の大きさが、空気成分の気体の平
均自由工程よりも小さいことを表しており、非常に微細
であることを示している。熱伝導率が小さいほど細孔は
小さく、骨格は薄いことを示している。熱伝導率が高い
物ほど、細孔の径は大きいまたは細孔の数が少なく、骨
格が大きく太いことを表している。比較例は、疎水化剤
が溶液中の水と反応し、ゲルとの反応が有効に行われな
かったため、疎水性が弱く、溶媒とゲルとの接触角が小
さいため、もう移管圧が大きく乾燥の際に収縮した。よ
って、R'とR''とR'''はアルキル基を表し、(R'
O)4Siで表されるアルコキシシランをゲル原料と
し、R''x(R'''O)4-xSiで表されるアルキルアル
コキシシランを疎水化剤とし、前記ゲル原料含む溶液
を、少なくとも水を含む溶媒と、触媒とを用いて重合さ
せる重合工程と、重合工程により湿潤ゲルが形成し、前
記湿潤ゲルの表面を疎水化し、疎水化湿潤ゲルを得る疎
水化工程と、前記疎水化湿潤ゲルを超臨界以下の温度ま
たは圧力条件で乾燥する乾燥工程により多孔質ゲルを製
造する多孔質ゲルの製造方法において、ゲル原料が重合
する重合工程中の溶液中に前記疎水化剤をゲル原料のモ
ル量以下のモル量で存在させることを特徴とする多孔質
ゲルの製造方法とすることにより、簡単な方法で微細な
多孔質ゲルを製造することができるのである。
もメチル基としたゲル原料と疎水化剤を用いた場合、
R'とR'''ははいずれもメチル基とし、R'''はエチル
基としたゲル原料と疎水化剤を用いた場合、R'とR'''
ははいずれもエチル基とし、R'''はプロピル基とした
ゲル原料と疎水化剤を用いた場合について多孔質ゲルを
製造した。製造方法は実施例1と同じである。上記によ
る製造時のゲル化時間と、上記により製造した多孔質ゲ
ルの熱伝導率の測定結果を(表2)に示す。
り長いものの方が熱伝導率は小さくなった。これは細孔
がより微細であることを表している。これはR'よりも
R'''の分子鎖が長い場合は、R'よりもR'''の反応が
早いため、ゲル原料が重合し、湿潤ゲルがほぼできあが
った後、疎水化反応が起こるため、均質で微細な細孔を
有する疎水化湿潤ゲルができるのである。このように、
R'よりもR'''の分子鎖が長いことを特徴とする製造方
法とすることにより、さらに微細な細孔を有する多孔質
ゲルを製造することができるのである。
あり、R'''はエチル基としたものは、R'とR''とはい
ずれもエチル基であり、R'''はプロピル基の場合よ
り、ゲル化速度が速かった。これは、アルコキシドの加
水分解、重合速度はアルコキシド中のアルキル基の分子
鎖が短いほど速いからである。よって、 R'とR''と
はいずれもメチル基であり、R'''はエチル基とするこ
とにより、短時間で多孔質ゲルを製造することができる
のである。
iで現されるアルコキシシランとしてテトラメトキシシ
ラン(以降TMOSと称する)をゲル原料とし、R''x
(R'''O)4-xSiで現される疎水化剤で、x=1の場
合としてメチルトリエトキシシランを、x=2の場合と
してジメチルジエトキシシランを用い、x=3の場合と
してトリメチルエトキシシランを用いた。疎水化剤の量
は、1/2モル、1/4モル、1/6モルとした。他の
条件や方法は実施例1と同じとして多孔質ゲルを製造
し、製造された多孔質ゲルの熱伝導率を測定した結果を
(表3)に示す。
で現される疎水化剤を使用し、x=1の場合であるメチ
ルトリエトキシシランを使用して製造された多孔質ゲル
の熱伝導率は1/6モル量の少量でも、静止空気の熱伝
導率以下となった。メチルトリメトキシシランは3官能
性でるので、少量の疎水化剤で微細な多孔質ゲルを製造
できるのである。
ランを使用して製造された多孔質ゲルは、メチルトリメ
トキシシランに比べ量は必要であるが1/4モル量と言
う比較的少ない量で、メチルトリエトキシシランを用い
た場合に比べ、小さな熱伝導率の多孔質ゲルを製造する
ことができた。x=2である物質を用いることにより、
少ない疎水化剤で、より微細な細孔を有する多孔質ゲル
を製造することができるのである。
ランをを使用して製造された多孔質ゲルは、さらに小さ
な熱伝導率の多孔質ゲルを製造することができた。x=
3である物質を用いることにより、さらに微細な細孔を
有する孔質ゲルを製造することができるのである。
乾燥工程の間に、水より沸点の高い溶媒としてトルエン
を疎水化湿潤ゲル入れた含む容器に添加した。乾燥は1
50℃で行った。他の条件や方法は実施例1と同じとし
て多孔質ゲルを製造し、製造された多孔質ゲルの熱伝導
率を測定した結果を(表4)に示す。
の間に、水より沸点の高い溶媒としてトルエンを疎水化
湿潤ゲル入れた含む容器に添加して製造された多孔質ゲ
ルの熱伝導率は、溶媒を添加しない場合に比べて小さか
った。より微細な多孔質である事が分かる。乾燥におい
て、水より沸点の高い溶媒を添加しない場合は、液体成
分で最後に残るのは水であるが、水より沸点の高い溶媒
を添加した場合は、液体成分で最後に残るのは添加した
溶媒であり、本実施例の場合はトルエンである。水の表
面張力は72.8 dyn/cm(常温)であるが、トルエンの
表面張力は31 dyn/cm(常温)であり、水より小さい。
そのため、毛管圧がより小さいため、乾燥時のゲルの収
縮がより小さく、より微細な多孔質ゲルを製造すること
ができるのである。
を使用し、作成された多孔質ゲルを粉砕し粒径を約40
mmにした。この粉砕多孔質ゲルにバインダとして融点が
約400℃のガラス粒子を20%ブレンドし、さらにガ
ラス繊維を5%入れブレンドした。これを型に入れ、4
50℃で30分保持し、成形した。成型品の熱伝導率は
20mW/m・Kであり、例えばガラスウール断熱材の
約35mW/m・Kと言う熱伝導率に比べ十分小さい。
本発明の製造方法で製造された多孔質ゲルを含み断熱材
とすることにより、熱伝導率が静止空気の熱伝導率以下
である断熱材が実現できるのである。
で微細な多孔質ゲルを製造することができるのである。
ゲルを含む断熱材は、断熱性能が高く、熱伝導率が静止
空気の熱伝導率以下とすることができるのである。
Claims (8)
- 【請求項1】 R'とR''とR'''はアルキル基を表し、
(R'O)4Siで表されるアルコキシシランをゲル原料
とし、R''x(R'''O)4-xSiで表されるアルキルア
ルコキシシランを疎水化剤とし、前記ゲル原料含む溶液
を、少なくとも水を含む溶媒と、触媒とを用いて重合さ
せる重合工程と、重合工程により湿潤ゲルが形成し、前
記湿潤ゲルの表面を疎水化し、疎水化湿潤ゲルを得る疎
水化工程と、前記疎水化湿潤ゲルを超臨界以下の温度ま
たは圧力条件で乾燥する乾燥工程により多孔質ゲルを製
造する多孔質ゲルの製造方法において、ゲル原料が重合
する重合工程中の溶液中に前記疎水化剤をゲル原料のモ
ル量以下のモル量で存在させることを特徴とする多孔質
ゲルの製造方法。 - 【請求項2】 R'よりもR'''の分子鎖が長いことを特
徴とする請求項1記載の多孔質ゲルの製造方法。 - 【請求項3】 R'とR''とはいずれもメチル基であ
り、R'''はエチル基であることを特徴とする請求項1
または2記載の多孔質ゲルの製造方法。 - 【請求項4】 x=1であることを特徴とする請求項1
〜3いずれか1項に記載の多孔質ゲルの製造方法。 - 【請求項5】 x=2であることを特徴とする請求項1
〜3いずれか1項に記載の多孔質ゲルの製造方法。 - 【請求項6】 x=3であることを特徴とする請求項1
〜3いずれか1項に記載の多孔質ゲルの製造方法。 - 【請求項7】 疎水化工程と乾燥工程の間に溶媒を添加
する溶媒添加工程を行うことを特徴とする請求項1〜7
いずれか1項に記載の多孔質ゲルの製造方法。 - 【請求項8】 請求項1〜8いずれか1項に記載の多孔
質ゲルの製造方法で製造された多孔質ゲルを含み、熱伝
導率が静止空気の熱伝導率以下であることを特徴とする
断熱材。
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