JP2003212535A - 多孔質ゲルの製造方法およびそれを用いた断熱材 - Google Patents
多孔質ゲルの製造方法およびそれを用いた断熱材Info
- Publication number
- JP2003212535A JP2003212535A JP2002012506A JP2002012506A JP2003212535A JP 2003212535 A JP2003212535 A JP 2003212535A JP 2002012506 A JP2002012506 A JP 2002012506A JP 2002012506 A JP2002012506 A JP 2002012506A JP 2003212535 A JP2003212535 A JP 2003212535A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gel
- porous gel
- porous
- solvent
- hydrophobizing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/54—Improvements relating to the production of bulk chemicals using solvents, e.g. supercritical solvents or ionic liquids
Landscapes
- Silicon Compounds (AREA)
- Silicon Polymers (AREA)
Abstract
であり、簡単な方法で微細な細孔を有する多孔質ゲルを
製造するものである。 【解決手段】 アルコキシシランを加水分解・重合させ
湿潤ゲルを作成し、これをアルキルアルコキシシランで
疎水化処理をした後、非超臨界の条件で乾燥させること
により、簡単な方法で微細な細孔を有する多孔質ゲルが
製造できるのである。また多孔質ゲルを含む断熱材は断
熱性能が高く、熱伝導率が静止空気の熱伝導率以下とす
ることができるのである。
Description
として利用される多孔質ゲルの製造方法およびそれを用
いた断熱材に関するものである。
孔質ゲルは一般に表面積が大きく、かつ微細な細孔を有
しており、エアロゲルやキセロゲルと呼ばれる。微細な
細孔を有する多孔質ゲルを得るには、いわゆるゾルーゲ
ル法では、微細な細孔を有する湿潤ゲルを作る必要があ
る。しかし、通常乾燥を行うと、微細な細孔に含まれる
溶媒が気化する際に形成する毛管力により、細孔は収縮
方向の力が加わり、細孔がつぶれてしまう。細孔に掛か
る力は一般に(数1)により表される。
接触角、dは細孔の径を表す。細孔の径が小さいほど毛
管圧は大きくなり、細孔がつぶれやすいのである。従来
はこれを回避するために主に2つの方法が用いられてい
た。
法(USP 4327065;USP 4610863)である。これは溶媒を
臨界点以上の温度と圧力にし、超臨界流体とすることに
より、溶媒の表面張力を下げるとともに、液体のように
細孔内で濡れるとう減少をなくすために、毛管圧を減少
させることにより、細孔をつぶさず乾燥させる方法であ
る。
超臨界の条件で乾燥させる方法である(特開平5-51277
号公報;特許第2840881号公報)。これは湿潤ゲル中の
細孔の表面を疎水化剤により疎水化することにより、接
触角を減少させることにより毛管圧を減少させ、細孔を
つぶすことなく乾燥させる方法である。
行う場合は、溶媒を超臨界状態に保持できる容器内で行
う必要があり、超臨界に耐えうる特別な容器が必要であ
り、多くの手間と時間も必要であった。また、従来の細
孔の表面を疎水化した後、非超臨界の条件で乾燥させる
方法では、疎水化剤としてトリメチルクロロシランなど
のハロゲン化アルキル珪素やヘキサメチルジシラザンな
どの疎水化剤が使用されており、塩素や窒素化合物が生
成するばかりでなく、溶媒の置換工程が必要であり非常
に手間や時間のかかる方法であった。
必要量以上の量が必要であり、非効率であった。疎水化
が不十分であれば、乾燥の際に収縮し、微細な細孔を失
ってしまう課題がある。さらに、ゲル材料として、異な
った種類のアルキル基を有するアルコキシドが用いられ
ている場合もあり、このときはアルキル基の加水分解速
度の違いにより不均質な多孔質ゲルとなる場合もあっ
た。
題を解決しようとするものであり、R'とR''とR'''は
アルキル基を表し、(R'O)4Siで表されるアルコキ
シシランをゲル原料とし、前記ゲル原料を少なくとも水
を含む溶媒と、触媒とを用いて湿潤ゲルを形成させてな
るゲル化工程と、R''x(R'''O)4-xSiで表される
疎水化剤を用い、前記湿潤ゲルの表面を疎水化し、疎水
化湿潤ゲルを得る疎水化工程と、前記疎水化湿潤ゲルを
溶媒の臨界点以下の温度または圧力条件で乾燥する乾燥
工程とを有する多孔質ゲルの製造方法とすることによ
り、簡単な方法で微細な多孔質ゲルを製造することがで
きるのである。
よび疎水化工程と乾燥工程の間に、溶媒の置換を行わな
いことにより、さらに簡単な方法で多孔質ゲルを製造す
ことができるのである。
基とすることにより、短時間で多孔質ゲルを製造するこ
とができるのである。
潤ゲルを砕く壊砕工程を設け、壊砕工程はゲル化工程の
開始から10分以降に行うことにより、さらに短時間で
多孔質ゲルを製造することができるのである。
表す化学式においてx=1である物質を用いることによ
り、少量の疎水化剤で多孔質ゲルを製造することができ
るのである。
り、少ない疎水化剤で、より微細な細孔を有する多孔質
ゲルを製造することができるのである。
り、さらに微細な細孔を有する孔質ゲルを製造すること
ができるのである。
沸点の高い溶媒を添加する溶媒添加工程を行うことをに
より、さらに微細な多孔質ゲルを製造することがでイル
のである。
多孔質ゲルを含み、熱伝導率が静止空気の熱伝導率以下
であることを特徴とする断熱材とするものである。
R''とR'''はアルキル基を表し、(R'O)4Siで表
されるアルコキシシランをゲル原料とし、前記ゲル原料
を少なくとも水を含む溶媒と、触媒とを用いて湿潤ゲル
を形成させてなるゲル化工程と、R''x(R'''O)4-x
Siで表される疎水化剤を用い、前記湿潤ゲルの表面を
疎水化し、疎水化湿潤ゲルを得る疎水化工程と、前記疎
水化湿潤ゲルを溶媒の臨界点以下の温度または圧力条件
で乾燥する乾燥工程とを有する多孔質ゲルの製造方法で
ある。必要により有機溶媒が加えられ、ゲル原料である
(R'O)4Siで表されるアルコキシシランは水と酸ま
たはアルカリなどのような触媒により、加水分解を起こ
し、(化1)に表されるような反応をする。
ような反応により重合する。
は水酸基である。(化1)と(化2)の反応がすすむ
と、ゲル原料は析出しゾルとなり、さらに反応がすすむ
と流動性を失い湿潤ゲルとなる。
ル基は分子鎖が長くなるほど(化1)で表される加水分
解の速度が遅くなる。よって、異なる種類のアルコキシ
ド基が珪素原子についている物質をゲル原料物質とする
と、分子内での加水分解速度に差が生じ、一部分は加水
分解が終了し、重合を起こしているが、一部分は加水分
解さえ起こさず、最終的に集合しない、またはわずかな
重合度しか重合しないなどの不均一な反応になってしま
い、不均一な反応が不均一な細孔を有する多孔質ゲルと
なってしまう。しかし、本発明では、ゲル原料は化学式
として、(R'O)4Siで表されるアルコキシシランを
用いた。珪素の分子には同じアルコキシド基がついてい
るので、加水分解の速度は同じであり、均質な反応を起
こすので、均質な多孔質ゲルを製造することができるの
である。
機酸、酢酸、クエン酸等の有機酸、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウムなどの無機塩基およびアンモニア、アミ
ン類などの有機塩基を使用することができる。
で表されるアルキルアルコキシドを疎水化剤として用
い、湿潤ゲルの表面を疎水化し、疎水化湿潤ゲルを得る
のである。前記ゲル化工程では、溶媒は重合時に必要に
より加えられた溶媒と、水と、酸またはアルカリの触媒
と、加水分解によって生じたR'OHで表されるアルコ
ールが含まれている。ヘキサメチルジシラザンやトリメ
チルクロロシランなどの疎水化剤として用いる場合に
は、溶媒に含まれる水を取り除く必要がある。水がある
と、水とヘキサメチルジシラザンやトリメチルクロロシ
ランとが反応し、湿潤ゲルとの反応効率が極端に悪くな
るからである。しかし、R''x(R'''O)4- xSiで表
されるアルキルアルコキシドは水と触媒が存在すると、
アルコキシド基が加水分解を起こし、湿潤ゲル中の水酸
基などの親水基と反応し、R''で表されるアルキル基で
ゲルの表面を覆うことができる。アルキル基は疎水性で
あるので、これによりゲル化工程後に水を除くための溶
媒交換などの操作をすることなく湿潤ゲルを疎水化する
ことができるため、非常に簡単な方法である。
として使用すると、反応時に窒素化合物が、トリメチル
クロロシランなどを疎水化剤として使用すると、塩素化
合物が新たに発生する。これらの中には塩化水素など腐
食性を持つものもあり、使用する器具は特別の処理をし
たものを使用するなど非常に手間がかかった。一方、
R''x(R'''O)4-xSiで表されるアルキルアルコキ
シドを疎水化剤として使用すると、反応で生成する物質
は、R'''OHで表されるアルコールだけである。アル
コールは湿潤ゲルの生成時にも発生するので、疎水化処
理により、全く性質の異なる新たな物質を生成させるこ
とはなく、非常に簡単に疎水化処理を行うことができる
製造方法が実現できるのである。
と、疎水化剤として使用されるR''x(R'''O)4-xS
iで表される物質において、R'とR''とR'''をすべて
メチル気である物質、つまりゲル原料としてテトラメト
キシシラン、疎水化剤としてメチルメトキシシラン類物
質を使用することにより、より短時間にゲル化工程と疎
水化工程を行うことができる。アルコキシド基が反応し
重合するためには(化1)に示したような加水分解反応
が起こる必要がある。この反応はアルキル基が大きくな
るほど遅くなるので、最も小さなアルキル基であるメチ
ル基を使用することにより、短時間でゲル化工程と疎水
化工程を行うことができるため短時間で多孔質ゲルを製
造することができるのである。
を砕く壊砕工程を加えることによりさらに短時間で多孔
質ゲルを製造することができる。理由は以下である。ゲ
ル化は液体中の珪素成分が重合し、ゾルからゲルとなる
のであるが、使用する容器中で均一に広がったネットワ
ークを形成する。以後の疎水化工程では湿潤ゲルのネッ
トワークの中心部にも疎水化剤が浸透し、湿潤ゲル中の
珪素成分の表面の親水基と反応し疎水化を行う必要があ
る。疎水化剤は湿潤ゲルの表面から浸透するのである
が、湿潤ゲルの固まりが大きいと内部に浸透するには長
い時間が必要である。しかし、湿潤ゲルを壊砕すると湿
潤ゲルの見かけの表面が増大し、表面からゲル内部への
距離が短くなるため疎水化剤が浸透する時間が大幅に短
縮され、短時間に多孔質ゲルを製造することができるの
である。
が浸透する時間は30分以下となり、非常に効率的にな
る。湿潤ゲルの壊砕は湿潤ゲルの重合反応が進んでいる
必要がある。あまりに早いと、湿潤ゲル中の珪素のネッ
トワークが完全でない状態で壊砕することになり、ゲル
中のシリカのネットワークを不均一にしてしまうからで
ある。ゲル化の開始から10分以内に重合反応の大部分
が進行するため、10分以後に壊砕すると、多孔質ゲル
の粒子の内部は非常に均一な多孔質が維持されるので壊
砕による影響はない。このように壊砕により、疎水化剤
などの物質が湿潤ゲル中に浸透する時間を短縮できるた
め、短時間に多孔質ゲルを製造することができるのであ
る。
化剤において、x=1である場合、つまりアルキルトリ
アルコキシドシランを用いると、少量の疎水化剤で多孔
質ゲルを製造することができるのである。湿潤ゲル中に
は水酸基などの親水性の官能基があり、これがゲルに親
水性を付与している。アルキルトリアルコキシドシラン
は1分子で3つの親水基と反応することができるため、
親水基の数にたいして1/3の分子の数の疎水化剤でよ
い。親水基が反応により消失し、アルキル基がゲル上に
存在することになるので、親水性が疎水性にかわる。よ
って、少量の疎水化剤で多孔質ゲルを製造することがで
きるのである。
化剤において、x=2である場合、つまりジアルキルジ
アルコキシドシランを用いると、多孔質ゲルの製造にお
いて、疎水化剤の少量化と細孔の微細化を両立すること
ができる。ジアルキルジアルコキシドシランは1分子に
2つのアルコキシド基を有しているため、1分子で2つ
の親水基と反応することができる。しかも、1分子中に
2つのアルキル基を有している。アルキルトリアルコキ
シドシラン等に比べ、親水基と反応できる個数は少ない
が、トリメチルクロロシランなどに比べると1分子で、
倍の反応性を有することになる。また、アルキルトリア
ルコキシドシラン等に比べ疎水性を示すアルキル基が2
倍存在しているので、より疎水化度が高いため乾燥の際
の細孔の収縮が少なく、より微細な細孔を有する多孔質
ゲルの製造が実現できるのである。
化剤において、x=3である場合、つまりトリアルキル
アルコキシドシランを用いると、より微細な細孔を有す
る多孔質ゲルの製造ができる。トリアルキルアルコキシ
ドシランは1分子に3つのアルキル基を有しているため
非常に疎水化作用が強い。よって乾燥の際、さらに収縮
が小さいために、より微細な細孔を有する多孔質ゲルの
製造が実現できるのである。
臨界点以下の温度または圧力、つまり非超臨界乾燥にお
り行われる。疎水化湿潤ゲルを他の溶媒などで洗浄する
ことなく非超臨界乾燥を行うことができれば非常に簡単
な多孔質ゲルの製造を実現することができるのである。
疎水化湿潤ゲルの溶媒には、重合時に必要により加えら
れた溶媒と、水と、酸またはアルカリの触媒と、加水分
解によって生じたR'OH、R'''OHで表されるアルコ
ール、およびが未反応のアルコキシドまたはオリゴマー
が含まれている。重合時に加えた溶媒は、ゲル原料や水
と混ざる必要があり、さらにゲル化反応においても副反
応を引き起こすことを避ける必要があるため、R'OH
やR'''OHなどのアルコールが使用される。この場
合、液体成分で沸点の高い物は、水である。疎水性湿潤
ゲルから溶媒を揮発させて行くと、最終的には水が残
る。水の表面張力は72.8 dyn/cm(常温)であり、比
較的大きいと言える。しかし、疎水化したゲルの表面と
なす接触角は非常に大きくなるため、(数1)で示され
る毛管厚は小さくなり、ゲルの細孔をつぶすことがない
ため、非常に簡単に多孔質ゲルが製造できるのである。
沸点の高い溶媒を添加しても良い。水より沸点の高い溶
媒を添加した後、非超臨界乾燥を行うと、アルコールや
水が蒸発し、最終的に水より沸点の高い溶媒が残る。水
より沸点の高い溶媒としてトルエンやキシレン等があ
る。これらの物質は沸点は高いが、表面張力は水より小
さいので、さらに毛管厚を小さくすることができるので
より小さな疎水化度で多孔質ゲルを製造することができ
る。乾燥装置が100℃よりも十分加熱できる場合や減
圧することができるのであれば、溶媒を添加すると言う
簡単な操作で、多孔質ゲルを製造することができるので
ある。
いた断熱材について説明する。この断熱材は、本発明の
多孔質ゲルの製造方法により製造された多孔質ゲルを主
たる構成成分とする物である。多孔質ゲルは、粒状、粉
状の形状を持ち、これを断熱したい製品や部分に配置す
る。配置する際には、多孔質ゲルを適当なバインダで固
めた状態でも、ケースに充填した状態でも良い。本断熱
材の特徴はその熱伝導率が静止空気の熱伝導率以下であ
ることが特徴である。ガラスウールやロックウールなど
の断熱材は、繊維状の物質により、断熱材内部の空気が
対流しないような構成をしている。よって、その断熱材
の熱伝導率は、静止した空気の熱伝導率とガラス繊維等
の固体熱伝導率の合算となり、静止空気の熱伝導率を下
回ることはない。
孔質ゲルは非常に微細な構造を有しているので、上記製
造方法で製造された多孔質ゲルを主成分とする断熱材の
熱伝導率は静止空気の熱伝導率以下となるのが特徴であ
る。空気は窒素や酸素などの気体分子から構成されてい
るが、これらの気体分子は対流がない状態でもブラウン
運動により運動している。運動する気体分子同士が衝突
することにより熱エネルギーが伝えられる状態が静止空
気の熱伝導である。気体分子同士が衝突するまでの距離
は「平均自由工程」と呼ばれる。本発明の製造方法で製
造された多孔質ゲルの細孔の大きさは、大気圧下での空
気を構成する気体の平均自由工程よりも小さいので、気
体分子同士の衝突を防ぐため気体同士の衝突による伝熱
を防ぐことができるのである。よって、本開発の製造方
法による多孔質ゲルを主成分とすることにより、静止空
気の熱伝導率以下の熱伝導を有する断熱材が実現できる
のである。
で現されるアルコキシシランとしてテトラメトキシシラ
ン(以降TMOSと称する)をゲル原料とし、前記ゲル
原料をメタノールで希釈し、水と触媒であるアンモニア
の混合物により湿潤ゲルを形成させ、R''x(R'''O)
4-xSiで現される疎水化剤としてメチルトリメトキシ
シランを用い、湿潤ゲルの表面を疎水化し、前記疎水化
湿潤ゲルを溶媒の臨界点以下の温度または圧力条件で乾
燥する乾燥工程により多孔質ゲルを製造した。具体的に
はTMOS1モルをメタノール3モルで希釈した溶液
(以降TMOS溶液と称する)と水4モルでアンモニア
が0.002モルとなるようにアンモニア水を希釈した
溶液(以降アンモニア希釈水と称する)を用意する。T
MOS溶液に攪拌しながらアンモニア希釈水を滴下して
行く。アンモニア希釈水を入れ終わると攪拌を止め静置
する。すると容器内でTMOSの加水分解と重合が起こ
り、ゾル−ゲル反応が進行し、湿潤ゲルを得る。以上が
ゲル化工程である。
れ始めたときからの混合溶液の粘度変化を図1に示す。
粘度は一度僅かに低下した。これは反応が始まり、反応
熱により温度が上昇したためである。8分程度経過後よ
り、急激に粘度が上昇している。これはゲル化が急激に
起こり、流動性が急激に失われたことを示している。
分後に壊砕した場合、10分後に壊砕した場合について
実験し、壊砕工程を加えない物は壊砕しなかった。
ランを1/3モルをそれぞれの湿潤ゲルに加えた。その
後3時間静置した場合と、48時間静置した場合を行い
疎水湿潤ゲルを製造した。
の電気炉にいれ、110℃で加熱した。加熱により、メ
タノールとアンモニアが揮発し、最後に水が残りこれも
揮発させ、乾燥した多孔質ゲルを得た。
果(25℃)を(表1)に示す。
ンを用い、反応10分後に壊砕した場合の結果を(表
2)に示す。
い、反応10分後に壊砕した場合の結果を(表3)に示
す。
ンを用い、反応10分後に壊砕した場合の結果を(表
4)に示す。
26mW/m・Kを下回った物は細孔の大きさが、空気成分の
気体の平均自由工程よりも小さいことを表しており、非
常に微細である。熱伝導率が小さいほど細孔は小さく、
骨格は薄いことを示している。熱伝導率が高い物ほど、
細孔の径は大きいまたは細孔の数が少なく、骨格が大き
く太いことを表している。これは、乾燥の際に収縮が発
生し、微細で均質な多孔質ゲルが製造できなかったこと
を表している。乾燥の際に収縮するのは、ゲルの骨格が
不均一である場合や疎水化度が低い場合が考えられる。
(R'O)4Siで現されるアルコキシシランをゲル原料
とし、前記ゲル原料を水を含む溶媒と、触媒とを用いて
湿潤ゲルを形成させてなるゲル化工程と、R''x(R'''
O)4-xSiで現される疎水化剤を用い、前記湿潤ゲル
の表面を疎水化し、疎水化湿潤ゲルを得る疎水化工程
と、前記疎水化湿潤ゲルを溶媒の臨界点以下の温度また
は圧力条件で乾燥する乾燥工程により、微細で均質な多
孔質ゲルを製造することができる。これは、(表1)に
おいて、反応10分後に壊砕した多孔質ゲルや、疎水化
工程を48時間行った多孔質ゲルの熱伝導率は静止空気
以下であり、微細で均質な細孔を有していることが分か
る。
造方法で製造した多孔質ゲルの方が熱伝導率が小さく、
細孔が微細であることが分かる。トリメチルクロロシラ
ンなどの疎水化剤を用いた物は、水と反応して消失して
しまうため、疎水化が十分行われなかったが、本発明の
製造方法による疎水化は溶媒中に水が存在することによ
り加水分解して疎水化できるために、簡単な方法で多孔
質ゲルを製造することができるのである。
程の間、疎水化工程と乾燥工程の間に溶媒で洗浄する工
程を行っていないにもかかわらず、熱伝導率が静止空気
を下回る多孔質ゲルができた。本発明の製造方法によれ
ば溶媒洗浄なしで、溶媒洗浄した場合と同じ性能を有す
る多孔質ゲルを製造できるのである。
壊砕した多孔質ゲルは熱伝導率が静止空気よりも小さい
が、反応後5分後に壊砕した多孔質ゲルは熱伝導率が大
きい結果となった。これは図1で示すように、反応5分
後ではまだ溶液は流動性を有しており、ゲル化が終了し
ていない。ゲル化途中で壊砕したために、ゲルの骨格の
ネットワークが均一に生成できずに、不均一になったた
めである。壊砕は主なゲル化が進行した、10分以降に
行う必要がある。また、(表1)で分かるように、反応
10分後に壊砕したものは、3時間の疎水化工程で熱伝
導率が20mW/m・Kと言う微細な多孔質ゲルができ
たが、壊砕しない物は疎水化工程の時間を48時間とし
ても、その熱伝導率は22mW/m・K出会った。よっ
て、ゲル化行程と疎水化工程の間に、湿潤ゲルを砕く壊
砕工程を設け、壊砕工程はゲル化工程の開始から10分
以降に行うことにより、さらに短時間で多孔質ゲルを製
造することができるのである。
R''とR'''がメチルであるゲル原料を用いた物方が、
エチルであるゲル原料を用いた物に比べ熱伝導率が小さ
く、細孔が微細であることが分かる。R'とR''とR'''
がメチルでもエチルでも静止物は同じであるが、反応速
度が異なる。(化1)に示した加水分解の速度は、Rの
分子量が大きくなるほど遅くなるので、反応後10分で
壊砕した場合ではゲル化が十分に進んでいなかったので
ある。R'とR''とR'''をメチル以外の物質を用いる場
合はゲル化にさらに時間が必要であるので、R'とR''
とR'''として最も分子量が小さいメチルを用いたもの
は、短時間で多孔質ゲルを製造できると言える。
iで現されるアルコキシシランとしてテトラメトキシシ
ラン(以降TMOSと称する)をゲル原料とし、R''x
(R'''O)4-xSiで現される疎水化剤で、x=1の場
合としてメチルトリメトキシシランを、x=2の場合と
してジメチルジメトキシシランを用い、x=3の場合と
してトリメチルメトキシシランを用いた。疎水化剤の量
は、1モル、1/2モル、1/3モルとした。壊砕は反
応5分後に行い、疎水化工程は3時間静置した。他の条
件や方法は実施例1と同じとして多孔質ゲルを製造し、
製造された多孔質ゲルの熱伝導率を測定した結果を(表
5)に示す。
で現される疎水化剤を使用し、x=1の場合であるメチ
ルトリメトキシシランを使用して製造された多孔質ゲル
の熱伝導率は1/3モル量の少量でも、静止空気の熱伝
導率以下となった。メチルトリメトキシシランは3官能
性でるので、少量の疎水化剤で微細な多孔質ゲルを製造
できるのである。
ランを使用して製造された多孔質ゲルは、メチルトリメ
トキシシランに比べ量は必要であるが1/2モル量と言
う比較的少ない量で、メチルトリメトキシシランを用い
た場合に比べ、小さな熱伝導率の多孔質ゲルを製造する
ことができた。x=2である物質を用いることにより、
少ない疎水化剤で、より微細な細孔を有する多孔質ゲル
を製造することができるのである。
ランをを使用して製造された多孔質ゲルは、さらに小さ
な熱伝導率の多孔質ゲルを製造することができた。x=
3である物質を用いることにより、さらに微細な細孔を
有する孔質ゲルを製造することができるのである。
乾燥工程の間に、水より沸点の高い溶媒としてトルエン
を疎水化湿潤ゲル入れた含む容器に添加した。壊砕は反
応5分後に行い、疎水化工程は3時間静置し、乾燥は1
50℃で行った。他の条件や方法は実施例1と同じとし
て多孔質ゲルを製造し、製造された多孔質ゲルの熱伝導
率を測定した結果を(表6)に示す。
の間に、水より沸点の高い溶媒としてトルエンを疎水化
湿潤ゲル入れた含む容器に添加して製造された多孔質ゲ
ルの熱伝導率は、溶媒を添加しない場合に比べて小さか
った。より微細な多孔質である事が分かる。乾燥におい
て、水より沸点の高い溶媒を添加しない場合は、液体成
分で最後に残るのは水であるが、水より沸点の高い溶媒
を添加した場合は、液体成分で最後に残るのは添加した
溶媒であり、本実施例の場合はトルエンである。水の表
面張力は72.8 dyn/cm(常温)であるが、トルエンの
表面張力は31 dyn/cm(常温)であり、水より小さい。
そのため、毛管圧がより小さいため、乾燥時のゲルの収
縮がより小さく、より微細な多孔質ゲルを製造すること
ができるのである。
ゲルを用い、この多孔質ゲルを粉砕し粒径を約40mmに
した。この粉砕多孔質ゲルにバインダとしてフェノール
の粒子を20%ブレンドし、さらにガラス繊維を5%入
れブレンドした。これを型に入れ、250℃で30分保
持し、成形した。成型品の熱伝導率は20mW/m・K
であり、例えばガラスウール断熱材の約35mW/m・
Kと言う熱伝導率に比べ十分小さい。本発明の製造方法
で製造された多孔質ゲルを含み断熱材とすることによ
り、熱伝導率が静止空気の熱伝導率以下である断熱材が
実現できるのである。
孔を有する多孔質ゲルを製造することができるのであ
る。
ゲルを含む断熱材は断熱性能が高く、熱伝導率が静止空
気の熱伝導率以下とすることができるのである。
ときからの混合溶液の粘度変化を示す図
Claims (9)
- 【請求項1】 R'とR''とR'''はアルキル基を表し、
(R'O)4Siで表されるアルコキシシランをゲル原料
とし、前記ゲル原料を少なくとも水を含む溶媒と、触媒
とを用いて湿潤ゲルを形成させてなるゲル化工程と、
R''x(R'''O) 4-xSiで表される疎水化剤を用い、
前記湿潤ゲルの表面を疎水化し、疎水化湿潤ゲルを得る
疎水化工程と、前記疎水化湿潤ゲルを溶媒の臨界点以下
の温度または圧力条件で乾燥する乾燥工程とを有する多
孔質ゲルの製造方法。 - 【請求項2】 ゲル化行程と疎水化工程との間、および
疎水化工程と乾燥工程の間に、溶媒の置換を行わないこ
とを特徴とした請求項1記載の多孔質ゲルの製造方法。 - 【請求項3】 R'とR''とR'''はいずれもメチル基で
あることを特徴とする請求項1または2記載の多孔質ゲ
ルの製造方法。 - 【請求項4】 ゲル化行程と疎水化工程の間に、湿潤ゲ
ルを砕く壊砕工程を設け、壊砕工程はゲル化工程の開始
から10分以降に湿行われることを特徴とした請求項1
〜3いずれか1項に記載の多孔質ゲルの製造方法。 - 【請求項5】 x=1であることを特徴とする請求項1
〜4いずれか1項に記載の多孔質ゲルの製造方法。 - 【請求項6】 x=2であることを特徴とする請求項1
〜4いずれか1項に記載の多孔質ゲルの製造方法。 - 【請求項7】 x=3であることを特徴とする請求項1
〜4いずれか1項に記載の多孔質ゲルの製造方法。 - 【請求項8】 疎水化工程と乾燥工程の間に水より沸点
の高い溶媒を添加する溶媒添加工程を行うことを特徴と
する請求項1〜7いずれか1項に記載の多孔質ゲルの製
造方法。 - 【請求項9】 請求項1〜8いずれか1項に記載の多孔
質ゲルの製造方法で製造された多孔質ゲルを含み、熱伝
導率が静止空気の熱伝導率以下であることを特徴とする
断熱材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002012506A JP2003212535A (ja) | 2002-01-22 | 2002-01-22 | 多孔質ゲルの製造方法およびそれを用いた断熱材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002012506A JP2003212535A (ja) | 2002-01-22 | 2002-01-22 | 多孔質ゲルの製造方法およびそれを用いた断熱材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003212535A true JP2003212535A (ja) | 2003-07-30 |
Family
ID=27649699
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002012506A Pending JP2003212535A (ja) | 2002-01-22 | 2002-01-22 | 多孔質ゲルの製造方法およびそれを用いた断熱材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003212535A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005068537A1 (ja) * | 2004-01-15 | 2005-07-28 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | 多孔体およびその製造方法 |
JP2009502717A (ja) * | 2005-07-26 | 2009-01-29 | ザ・ボーイング・カンパニー | エアロゲルおよび相変化材料の複合材 |
JP2013511460A (ja) * | 2009-11-19 | 2013-04-04 | ベーエスハー ボッシュ ウント シーメンス ハオスゲレート ゲーエムベーハー | 特徴的な孔径を有する多孔質SiO2キセロゲル、その安定な乾燥前駆体およびその使用。 |
-
2002
- 2002-01-22 JP JP2002012506A patent/JP2003212535A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005068537A1 (ja) * | 2004-01-15 | 2005-07-28 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | 多孔体およびその製造方法 |
JP2009502717A (ja) * | 2005-07-26 | 2009-01-29 | ザ・ボーイング・カンパニー | エアロゲルおよび相変化材料の複合材 |
JP2013511460A (ja) * | 2009-11-19 | 2013-04-04 | ベーエスハー ボッシュ ウント シーメンス ハオスゲレート ゲーエムベーハー | 特徴的な孔径を有する多孔質SiO2キセロゲル、その安定な乾燥前駆体およびその使用。 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US9663376B2 (en) | Xerogel production method | |
CN107531494B (zh) | 制备气凝胶的方法和气凝胶-复合材料 | |
JP5456436B2 (ja) | シリカキセロゲルの製造方法 | |
JP2013541486A (ja) | シランカップリング剤変性白カーボンブラックの調合方法 | |
JP7024121B2 (ja) | 前加水分解されたポリシリケートの合成方法 | |
WO1993016125A1 (en) | Process for producing hydrophobic aerogel | |
JP2001504756A (ja) | 有機修飾エアロゲル、事前の溶媒交換ならびに事後の乾燥を行わない水系ゲルの表面修飾によるその製造法、およびその使用 | |
CN1204047C (zh) | 生产四氯化硅基的和有机改性的气凝胶的方法 | |
JP2020529961A (ja) | 疎水性のシリカエアロゲル顆粒の製造方法 | |
JP3339394B2 (ja) | 疎水性エアロゲルの製法 | |
CN115485239A (zh) | 具有增大的碱性稳定性的二氧化硅气凝胶 | |
JP2000264620A (ja) | 疎水性エアロゲルの製造方法 | |
JP4128363B2 (ja) | 多孔質ゲルの製造方法 | |
JP4331894B2 (ja) | 水不溶性シリル化剤中で実質的に球状のリオゲルを製造する方法 | |
JP2003212535A (ja) | 多孔質ゲルの製造方法およびそれを用いた断熱材 | |
JP2004010424A (ja) | 多孔質ゲルの製造方法およびそれを用いた断熱材 | |
JP3431197B2 (ja) | ゾル−ゲル法によるシリカ多孔質体の製造方法 | |
JPWO2018163354A1 (ja) | エアロゲル複合体の製造方法及びエアロゲル複合体 | |
JP2021503532A (ja) | エアロゲル前駆体およびそれを用いて製造したエアロゲル | |
JPWO2019171543A1 (ja) | エアロゲルの製造方法、エアロゲル、エアロゲルブロック及びポリシロキサン化合物 | |
Kim et al. | Surface silylation and pore structure development of silica aerogel composites from colloid and TEOS-based precursor | |
JP2005132641A (ja) | シリカエアロゲルの製造方法 | |
JP2004131343A (ja) | 乾燥ゲルからなる多孔体の製造方法およびそれにより得られる多孔体 | |
JPH0549910A (ja) | エアロゲルの製造方法 | |
TWI815246B (zh) | 矽基粉體及其製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040412 |
|
RD01 | Notification of change of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421 Effective date: 20050704 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060612 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060620 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060803 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070403 |