JP2003212641A - カルシア系クリンカー及びそれを用いて得られる耐火物 - Google Patents

カルシア系クリンカー及びそれを用いて得られる耐火物

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JP2003212641A
JP2003212641A JP2002013535A JP2002013535A JP2003212641A JP 2003212641 A JP2003212641 A JP 2003212641A JP 2002013535 A JP2002013535 A JP 2002013535A JP 2002013535 A JP2002013535 A JP 2002013535A JP 2003212641 A JP2003212641 A JP 2003212641A
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cao
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calcia
aluminum lactate
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JP2002013535A
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Akihiro Tsuchinari
昭弘 土成
Kimito Nakamoto
公人 中本
Toyoyasu Obana
豊康 尾花
Hiroshi Makino
浩 牧野
Masahito Mori
雅人 森
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Itochu Ceratech Corp
Original Assignee
Itochu Ceratech Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐消化性に優れ、更には耐スラグ性に優れ
た、CaOを主成分とする塩基性耐火物材料、即ちカル
シア系クリンカー及びそれを用いて得られる耐火物を提
供すること。 【解決手段】 CaO:10〜100重量%及びMg
O:0〜90重量%なる化学組成を与える組成物の10
0重量部に対して、塩基性乳酸アルミニウム系バインダ
ーの0.2〜3重量部と、リン酸の5〜50重量部と、
ケイ酸ソーダの10〜150重量部とを配合せしめてな
る配合物を焼成することにより、目的とするクリンカー
を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、カルシア系クリンカー及びそれ
を用いて得られる耐火物に係り、特に、製鉄業における
溶鋼用容器、精錬炉用容器等の内張り用耐火物、或いは
セメントや石灰等を焼成するキルン等における内張り用
耐火物等に用いられる塩基性耐火物用の原料に関するも
のである。
【0002】
【背景技術】CaO(カルシア)は、その融点が約26
00℃で、酸素解離圧及び蒸気圧が低く、耐火物材料と
して魅力的な特徴を持つ反面、水と容易に反応し、消化
するという欠点も有することから、そのようなカルシア
を大量に含有する焼成物を、様々な用途の耐火物として
用いることについては、未だ実現されていない。因み
に、古くは、カルシア煉瓦をAOD炉やVOD炉等の炉
材に利用した例が認められる(「耐火物」、第46巻第
1号、第39〜46頁、1994年、耐火物協会)が、
その後、製鋼用耐火物としての研究は、下火となってい
たのである。
【0003】ところが、カルシアを主成分とするカルシ
ア煉瓦は、例えば精錬炉用容器の内張り用耐火物として
用いると、溶鋼中のアルミナをはじめとする介在物を取
り除くという特徴を有するものであり、高純度合金鉄の
精錬には欠かせないものであるところから、クリーンス
チール化の要求が高まると共に、再び、カルシア煉瓦の
要求が高まってきている。このため、カルシアの消化性
を抑制せしめたカルシアクリンカー、塩基性耐火物、或
いはその製造方法等が、近年、種々提案されている。
【0004】例えば、特開昭54−129014号公報
においては、CaO又はCaO−MgOに、ZrO2
SiO2 、B23、Y23の1種又は2種以上を合計量
で10%以下含有せしめ、溶融凝固してなる非破砕の塩
基性耐火物及びその製造方法が開示されており、また、
特開平6−1654号公報では、石灰石粉体に、SiO
2 、TiO2 、ZrO2 、Al23、Fe23、CaF
2 、MgF2 等の金属酸化物を添加し、成形した後、焼
成する、カルシアクリンカーの製造方法が、開示されて
いる。更に、特開2001−10870号公報において
は、優れた耐消化性を有し、且つスラグ浸食抑制及び耐
スポーリング性に優れたマグネシア・カルシアクリンカ
ーを用いた塩基性不定形耐火物が、提案されている。
【0005】しかしながら、上述のような、従来のカル
シアクリンカー、及びそれを用いた塩基性耐火物等にあ
っては、何れも、充分な耐消化性を有するものではな
く、未だ改善の余地を残すものであったのである。
【0006】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、かかる事情を背
景にして為されたものであって、その解決課題とすると
ころは、耐スラグ性及び耐消化性に優れた、カルシアを
主成分とする塩基性耐火物材料、即ちカルシア系クリン
カー、及びそれを用いて得られる耐火物を提供すること
にある。
【0007】
【解決手段】そして、本発明は、かくの如き課題の解決
のために、CaO:10〜100重量%及びMgO:0
〜90重量%なる化学組成を与える組成物の100重量
部に対して、塩基性乳酸アルミニウム系バインダーの
0.2〜3重量部と、リン酸の5〜50重量部と、ケイ
酸ソーダの10〜150重量部とを配合せしめてなる配
合物を用い、それを焼成して得られた焼成物からなるこ
とを特徴とするカルシア系クリンカーを、その要旨とす
るものである。
【0008】このように、本発明に従う塩基性耐火物原
料たるクリンカーは、溶鋼中の不純物を取り除く性質を
有するCaOと耐食性に優れたMgOとに加えて、更
に、塩基性乳酸アルミニウム系バインダー、リン酸、及
びケイ酸ソーダが配合せしめられて、構成されているの
であって、そのような塩基性乳酸アルミニウム系バイン
ダー等と、CaO及び/又はMgOとの間における反応
生成物が、CaOと水との接触を阻止せしめ、以て、ク
リンカーの耐消化性が大きく向上せしめられ得ることと
なったのである。
【0009】なお、本発明のカルシア系クリンカーにお
いては、前記塩基性乳酸アルミニウム系バインダーが、
ポリエチレングリコール及び/又はモノエタノールアミ
ンを含有していることが、望ましい。このような特定の
塩基性乳酸アルミニウム系バインダーが配合せしめられ
ることにより、耐消化性の向上に有利に寄与せしめ得る
のである。
【0010】また、本発明の望ましい態様の他の一つに
よれば、前記塩基性乳酸アルミニウム系バインダーが、
前記ポリエチレングリコール及び/又はモノエタノール
アミンと共に、或いはポリエチレングリコール等に代え
て、更に、シリカを含有しているのであり、これによっ
ても、また、耐消化性の更なる向上が図られ得るのであ
る。
【0011】さらに、本発明は、上記した本発明に従う
クリンカーを耐火物材料として用いてなることを特徴と
する耐火物をも、その要旨とするものである。このよう
な本発明に従う耐火物にあっても、前記した本発明に従
うクリンカーの特徴、即ち、優れた耐消化性が、そのま
ま発揮され得るのである。
【0012】
【発明の実施の形態】ところで、かかる本発明に従うカ
ルシア系クリンカーにおいて、CaOは、10〜100
重量%の割合において含有せしめられる必要がある。け
だし、CaOの含有量が10重量%よりも少ないと、そ
のような組成のクリンカーを用いてなる耐火物が、溶鋼
中の不純物を取り除くというクリーンスチール化に対し
て、十分に寄与し得ないからである。なお、一般に、耐
火物は、その使用中に損耗するため、例えば溶鋼用容器
等の内張り用耐火物として用いた場合において、損耗し
た耐火物片の一部が溶鋼中に混入するようになるところ
から、カルシアクリンカー中のCaOの含有率を高める
ことが望ましい。
【0013】また、そのようなCaOに組み合わされる
MgOは、上述のCaOの添加量、及び目的とするクリ
ンカーの特性に応じて、90重量%以下の割合におい
て、適宜に含有せしめられることとなる。
【0014】そして、本発明に従うクリンカーにあって
は、CaO及びMgOに、塩基性乳酸アルミニウム系バ
インダー、リン酸、及びケイ酸ソーダが併用されて、構
成されているところに、大きな特徴を有しているのであ
る。すなわち、CaO及びMgOよりなる組成物中に、
塩基性乳酸アルミニウム系バインダー、リン酸、及びケ
イ酸ソーダを配合せしめ、その得られた配合物を焼成す
ると、それら塩基性乳酸アルミニウム系バインダー等と
CaO及び/又はMgOとが反応して、種々の化合物が
生成するのであり、そのような化合物により、クリンカ
ー(焼成物)中のCaO成分が減少せしめられ、以て、
塩基性乳酸アルミニウム系バインダー等を各々単体で配
合せしめた場合に比して、クリンカーの耐消化性が相乗
的に向上せしめられ得るのである。
【0015】具体的には、塩基性乳酸アルミニウム系バ
インダーは、CaO及びMgOよりなる組成物中に良好
に分散し、そしてそのような塩基性乳酸アルミニウム系
バインダーを配合せしめた配合物を焼成すると、乳酸ア
ルミニウムの分解により生じたAl23とCaOとの間
において、種々のCaO−Al23系化合物が生成す
る。また、リン酸は、CaOと反応して、Ca4O(PO
4)2 やCa3(PO4)2 等のリン酸化合物を生成せしめる
のであり、更にケイ酸ソーダにあっては、Ca3Mg(S
iO4)2等のCaO−MgO−SiO2 系化合物や、N
2Ca4(PO4)2SiO4 、Ca2SiO4等の、融点が
高く、耐火物材料として好適な化合物を生成せしめる。
而して、そのような種々の化合物が生成することによ
り、クリンカー中のCaO成分が減少せしめられ、ま
た、かかる化合物が、CaOと水分子との接触を有効に
阻止し得るところから、クリンカーの耐消化性が有利に
向上せしめられ得るのである。
【0016】ここで、塩基性乳酸アルミニウム系バイン
ダーとは、Al23/乳酸の割合(モル比)が0.2〜
2.0なる化学組成を有するものであり、例えば、塩化
アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、
塩基性塩化アルミニウム等の水溶性アルミニウム塩と、
アルカリ金属又はアンモニアの炭酸塩若しくは重炭酸塩
(炭酸水素塩)等を反応させて、生成した沈殿物(アル
ミナ水和物)を乳酸に溶解させる方法等の、公知の各種
方法により製造されるものである。
【0017】また、かかる塩基性乳酸アルミニウム系バ
インダーは、一般に、非常に高価であるところ、CaO
及びMgOよりなる組成物の100重量部に対して3重
量部を超える量を配合しても、費用対効果の観点から実
用的ではなく、一方、0.2重量部未満の量では、配合
することによる耐消化性の向上が充分に図られ得ないこ
とから、本発明における塩基性乳酸アルミニウム系バイ
ンダーの配合量としては、目的とするクリンカーの特性
等に応じて、上記組成物の100重量部に対して0.2
〜3重量部の範囲内において、適宜に選択されることと
なる。
【0018】さらに、本発明における塩基性乳酸アルミ
ニウム系バインダーとしては、有利には、ポリエチレン
グリコール及び/又はモノエタノールアミンを含有して
いるものが配合せしめられる。かかる特定の塩基性乳酸
アルミニウム系バインダーが配合せしめられることによ
り、クリンカーの耐消化性が効果的に向上するのであ
る。
【0019】なお、上述の如く塩基性乳酸アルミニウム
系バインダーに含有せしめられるポリエチレングリコー
ルとしては、平均分子量が約200〜20000程度の
ものが好適に用いられるのであり、また、ポリエチレン
グリコール及びモノエタノールアミンの含有量は、塩基
性乳酸アルミニウム系バインダーにおけるAl23/乳
酸のモル比や、クリンカーに要求される耐消化性等に応
じて、適宜に決定される。具体的には、塩基性乳酸アル
ミニウム系バインダーにおけるAl23成分の100重
量部に対して、ポリエチレングリコールにあっては30
〜350重量部の割合において、一方、モノエタノール
アミンにあっては10〜200重量部の割合において、
ポリエチレングリコール及び/又はモノエタノールアミ
ンを含有する塩基性乳酸アルミニウム系バインダーが、
用いられるのである。
【0020】さらにまた、本発明における塩基性乳酸ア
ルミニウム系バインダーにおいては、より有利には、前
記ポリエチレングリコール及び/又はモノエタノールア
ミンと共に、或いはポリエチレングリコール等に代え
て、シリカが配合せしめられることとなる。ここで、そ
のようなシリカとしては、粒径が10μm以下のもの
が、望ましい。そして、そのようなバインダーが用いら
れることにより、それに含まれるシリカの微細な粒子
と、CaOやMgOとの間において、CaO−MgO−
SiO2 系等の種々の化合物が生成するのであり、以
て、クリンカーの耐消化性の更なる向上が図られ得ると
共に、クリンカーの物理的強度をも、また、有利に向上
せしめられ得るのである。
【0021】なお、上述せる如き塩基性乳酸アルミニウ
ム系バインダーを、CaO及びMgOよりなる化学組成
を与える組成物に対して配合せしめるに際しては、それ
が、乾燥させた粉末状のもの、或いは乾燥していない溶
液の何れのものであっても、利用することが出来る。
【0022】一方、塩基性乳酸アルミニウム系バインダ
ーと共に配合せしめられるリン酸は、前述の如く、Ca
O等との間においてCa4O(PO4)2 等のリン酸化合物
を生成するものであるが、余りにも少ない配合量では配
合する効果が認められないのであり、その一方、それら
リン酸化合物は融点が比較的低いものであるため、必要
以上に配合すると、焼成後のクリンカー乃至は耐火物の
耐熱性が低下せしめられるところから、リン酸は、化学
組成がCaO及びMgOよりなる組成物の100重量部
に対して、5〜50重量部の割合となるように、配合せ
しめられることとなる。なお、かかるリン酸を配合せし
めるに際しては、市販のリン酸をそのまま用いる得るこ
とは勿論のこと、適宜水にて希釈したものも使用可能で
あり、要するに、リン酸成分が、上記割合となるように
配合せしめられ得るものであれば、如何なるものであっ
ても、使用することが出来るのである。
【0023】また、前記した塩基性乳酸アルミニウム系
バインダー及びリン酸と共に配合せしめられるケイ酸ソ
ーダにあっても、上記組成物の100重量部に対して1
0重量部未満の配合量では、クリンカーの耐消化性の向
上に寄与し得ないのであり、逆に150重量部を超える
量を配合しても、費用対効果の観点から得策ではないと
ころから、ケイ酸ソーダの配合量は、上記組成物の10
0重量部に対して、10〜150重量部の範囲内におい
て、目的とするクリンカー等の特性等に応じて、適宜に
選択されることとなる。なお、市販されているケイ酸ソ
ーダを使用する場合には、1号、2号或いは3号の何れ
も、そのまま使用することが出来るが、ケイ酸ソーダは
粘性が高いため、配合物の混練を容易にすべく、水で希
釈したものを用いることも有用である。
【0024】そして、本発明に従うカルシア系クリンカ
ーを製造するに際しては、先ず、CaO:10〜100
重量%及びMgO:0〜90重量%なる化学組成を与え
る組成物が準備されるが、CaO成分及びMgO成分の
原料としては、公知の各種のものを用いることが出来
る。例えば、CaO源材料としては、消石灰、石灰石、
生石灰のみならず、鶏卵の卵殻やホタテ貝の貝殻等を粉
砕したもの等が使用され得、また、MgO源材料として
は、天然マグネシア、海水マグネシアを始めとして、公
知の各種製法により製造されるマグネシア・クリンカー
や水酸化マグネシウム、電溶マグネシア等が使用され得
る。
【0025】さらに、上記の如くして、CaO及びMg
Oよりなる組成物が準備される一方で、粉末状又は溶液
である塩基性乳酸アルミニウム系バインダー、リン酸又
はその水溶液、ケイ酸ソーダ、及び必要なその他のバイ
ンダーを準備し、それらを回転ミキサーやフレットミル
で混練し、その後、ブリケットマシンやオーガーマシン
で成形する。そして、成形物を乾燥した後、トンネルキ
ルンあるいはロータリーキルンで焼成(1500〜20
00℃程度)することにより、焼成物として目的とする
クリンカーが得られるのであり、かかるクリンカーは所
定の粒度に粉砕され、耐火物材料として使用されるので
ある。なお、本発明のクリンカーにあっては、電融によ
って製造することも可能である。
【0026】ここで、かかるクリンカーの製造に際して
用いられるバインダーとしては、公知の各種のものを挙
げることが出来、例えばリグニン類、デンプン類、ポリ
ビニルアルコールやメチルセルロース類、各種フェノー
ル樹脂、糖蜜等が、適宜の割合において用いられ、目的
とする形状に有利に成形されることとなる。
【0027】なお、このようにして製造されたクリンカ
ーにあっては、さらに耐消化性を向上せしめるべく、そ
の表面を、無水の油類、タール、ピッチ、パラフィン、
フェノール樹脂、シリコーン樹脂等で被覆することも可
能であり、また、塩化カルシウム溶液によってクリンカ
ー表面のカルシアを溶かし、除去することも可能であ
る。更には、二酸化炭素ガスを用いて、クリンカー表面
をコーティングすることも可能である。
【0028】また、本発明に従う耐火物は、上述せる如
きクリンカーに対して、常法に従って、粉砕、整粒操作
を施し、それにより、該クリンカーの粉末又は粒状物か
らなる耐火物材料を得た後、その得られた耐火物材料
を、従来から公知の手法にて所定の形状に成形し、更に
必要に応じて加熱、焼結せしめることによって、煉瓦等
の成形耐火物として得ることが出来る。
【0029】そして、そのような本発明に従う耐火物
は、前述せるように、耐消化性に優れている特徴を有す
るものであって、これにより、製鉄業における溶鋼用容
器、精錬炉用容器等の内張り用耐火物、或いはセメント
や石灰等を焼成するキルン等における内張り用耐火物等
に用いられる塩基性耐火物用の原料として、有利に用い
られ得るのである。
【0030】
【実施例】以下に、本発明の代表的な実施例を含む幾つ
かの実験例を示し、本発明を更に具体的に明らかにする
こととするが、本発明が、そのような実験例の記載によ
って、何等の制約をも受けるものでないことは、言うま
でもないところである。また、本発明には、以下の実施
例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明
の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づ
いて種々なる変更、修正、改良等を加え得るものである
ことが、理解されるべきである。なお、以下の実施例中
における部は、特に断りのない限り、重量基準にて示さ
れるものである。
【0031】先ず、CaO成分としての炭酸カルシウム
及び消石灰、MgO成分としての酸化マグネシウム、水
酸化マグネシウム及び軽焼マグネシウムと共に、市販の
塩基性乳酸アルミニウム系バインダー製品(多木化学株
式会社製、商品名:タキセラム2500F)、市販の濃
リン酸を水にて希釈したリン酸水溶液、及びケイ酸ソー
ダ(2号ケイ酸ソーダ、愛知珪曹工業株式会社製)を準
備した。そして、それらを適宜用いて、以下の各実験を
行なった。なお、各種配合割合を示す以下の各表におい
ては、炭酸カルシウム及び消石灰についてはCaO換算
量にて、また、水酸化マグネシウム及び軽焼マグネシウ
ムについてはMgO換算量にて、示されており、更にリ
ン酸水溶液についてはリン酸に換算した量が、それぞ
れ、示されている。
【0032】実験例 1 CaO成分としての炭酸カルシウムと、MgO成分とし
ての水酸化マグネシウムに、塩基性乳酸アルミニウム系
バインダー、リン酸水溶液、及びケイ酸ソーダを、下記
表1に示すように、塩基性乳酸アルミニウム系バインダ
ーの配合量を変化せしめた各種割合において配合し、混
練した。次いで、その得られた配合物を乾燥機にて脱水
し、更に、それにバインダーとしてのポリビニルアルコ
ールを更に添加し、混練した後、かかる混練物を、アム
スラー成形機を用いて成形圧:1トン/cm2 にて成形
した。そして、得られた成形体を乾燥せしめた後、電気
炉内において、1650℃、2時間の条件にて焼成する
ことにより、各種クリンカー(焼成物)を得た。このよ
うにして得られた各種クリンカーを粉砕等して、それぞ
れの特性、具体的には嵩比重、見掛気孔率、耐スラグ性
及び耐消化性について調べて、その結果を、下記表1に
併せて示した。
【0033】ここで、かかるクリンカーの特性評価にお
ける嵩比重及び見掛気孔率は、何れも、煮沸法にて測定
したものであり、また耐スラグ性は、直径:50mm、
高さ:40mmの円柱状試料の上部に、直径:30m
m、深さ:10mmの凹部を設け、この中に、鉄:60
重量%、石灰:30重量%、及びシリカ:10重量%の
組成よりなるスラグを入れて、電気炉中に、1550℃
の温度にて2時間静置せしめた後、冷却して、かかる試
料に対するスラグの浸透深さを、試料を切断して測定し
た。更に、耐消化性については、150μm(150×
10-6m)以下の粒子を用いて、その100グラムを容
器に入れて、水蒸気中、3気圧の圧力下、131℃の温
度で3時間、オートクレーブで処理した後の重量増加率
として、示されている。なお、本実施例中の嵩比重、見
掛気孔率、耐スラグ性及び耐消化性は、それぞれ、特に
断りのない限り、上述の手法にて評価されたものであ
る。
【0034】
【表1】
【0035】かかる表1の結果から明らかな如く、本発
明に従う組成とされたクリンカー(No.2〜No.
5)にあっては、塩基性乳酸アルミニウム系バインダー
の配合量が本発明の範囲外の組成よりなるもの(No.
1)と比較して、特に耐消化性において優れていること
を認めることができる。
【0036】実験例 2 CaO成分である炭酸カルシウム、MgO成分である水
酸化マグネシウム、塩基性乳酸アルミニウム系バインダ
ー、リン酸、並びにケイ酸ソーダを、下記表2に示され
るように、リン酸の配合量を変化せしめた各種割合にお
いて配合した。そして、それら各々の配合物を原料とし
て、実験例1と同様の方法、条件に従って、目的とする
クリンカーを製造し、その得られた各種クリンカーにつ
いて、それぞれ、嵩比重、見掛気孔率、耐スラグ性及び
耐消化性の評価を行ない、それらの結果を、下記表2に
併せて示した。
【0037】
【表2】
【0038】かかる表2の結果から明らかなように、本
発明に従うクリンカー(No.7〜No.9)は、リン
酸の配合量が本発明の範囲外の組成よりなるもの(N
o.6及びNo.10)と比較して、耐スラグ性及び耐
消化性が優れていることを認めることができる。また、
No.10のクリンカーにあっては、焼成時に軟化溶融
すると共に、得られたクリンカー表面に、リン酸化合物
の揮発に起因すると考えられる無数の細孔が、確認され
た。
【0039】実験例 3 炭酸カルシウム及び水酸化マグネシウムに、塩基性乳酸
アルミニウム系バインダー、リン酸、並びにケイ酸ソー
ダを用いて、下記表3に示されるように、ケイ酸ソーダ
の配合量を変化せしめた各種割合において配合した。そ
して、それら各々の配合物を原料として、実験例1と同
様の方法及び条件に従って、目的とするクリンカーを製
造し、その得られた各種クリンカーについて、それぞ
れ、嵩比重、見掛気孔率、耐スラグ性及び耐消化性の評
価を行ない、それらの結果を、下記表3に併せて示し
た。
【0040】
【表3】
【0041】かかる表3の結果から明らかな如く、本発
明のクリンカー(No.12〜No.14)にあって
は、ケイ酸ソーダの配合量が本発明の範囲外の組成より
なるもの(No.11及びNo.15)と比較して、耐
スラグ性及び耐消化性において優れていることが認めら
れるのである。
【0042】実験例 4 炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、塩基性乳酸アル
ミニウム系バインダー、リン酸、並びにケイ酸ソーダ
を、下記表4に示すように、炭酸カルシウム及び水酸化
マグネシウムの配合量を変化せしめた各種割合において
配合し、そして、そのようにして得られた各々の配合物
を原料として、実験例1と同様の方法及び条件に従っ
て、目的とするクリンカーを製造した。そして、その得
られた各種クリンカーについて、嵩比重、見掛気孔率、
耐スラグ性及び耐消化性の評価を行ない、それらの結果
を、下記表4に併せて示した。
【0043】
【表4】
【0044】かかる表4の結果からも明らかなように、
本発明の如きCaOを多く含有するクリンカー(No.
17〜No.20)にあっても、CaOを少量しか含有
しないクリンカー(No.16)と同程度の耐消化性を
示すことが、確認されたのである。
【0045】実験例 5 下記表5に示されるような各組成の配合物を用いて、そ
れら各々を混練し、オーガーマシンで円筒状に成形した
後、ロータリーキルンにおいて、1700℃の温度にて
2時間焼成せしめることにより、目的とする焼成物を得
た。そして、それらの焼成物についても、嵩比重、見掛
気孔率、耐スラグ性及び耐消化性の評価を行ない、それ
らの結果も、下記表5に併せて示した。
【0046】
【表5】
【0047】かかる表5から明らかな如く、本発明の組
成よりなる焼成物にあっては、優れた耐消化性及び耐ス
ラグ性を示すことが、認められるのである。
【0048】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に従うカルシア系クリンカーにあっては、溶鋼のクリー
ンスチール化に大きく寄与するCaOを主成分とし、こ
れに塩基性乳酸アルミニウム系バインダー、リン酸、及
びケイ酸ソーダを配合せしめることにより、CaOとの
間において各種の反応物を生成せしめ、かかる反応物に
より、CaOと水との接触が効果的に阻止され得るので
あって、これにより、耐消化性に優れ、且つ耐スラグ性
にも優れた、塩基性耐火物原料が実現され得るのであ
る。
【0049】また、そのようなクリンカーを用いて得ら
れる耐火物にあっても、原料たるクリンカーの特性をそ
のまま引き継ぎ、耐食性及び耐スラグ性において優れた
特徴を発揮するものであるところから、各種用途におけ
る耐火物として、例えば、製鉄業における溶鋼用容器、
精錬炉用容器等、或いはセメントや石灰等を焼成するキ
ルン等における内張り用耐火物等として、有利に用いら
れ得るのである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾花 豊康 愛知県瀬戸市塩草町11番地の4 伊藤忠セ ラテック株式会社内 (72)発明者 牧野 浩 愛知県瀬戸市塩草町11番地の4 伊藤忠セ ラテック株式会社内 (72)発明者 森 雅人 愛知県瀬戸市塩草町11番地の4 伊藤忠セ ラテック株式会社内 Fターム(参考) 4G030 AA03 AA07 AA08 AA36 AA37 AA41 BA25 GA14 GA15 GA22 GA27 4K051 AA02 AA06 AA09 AB03 AB05 BE03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CaO:10〜100重量%及びMg
    O:0〜90重量%なる化学組成を与える組成物の10
    0重量部に対して、塩基性乳酸アルミニウム系バインダ
    ーの0.2〜3重量部と、リン酸の5〜50重量部と、
    ケイ酸ソーダの10〜150重量部とを配合せしめてな
    る配合物を用い、それを焼成して得られた焼成物からな
    ることを特徴とするカルシア系クリンカー。
  2. 【請求項2】 前記塩基性乳酸アルミニウム系バインダ
    ーが、ポリエチレングリコール及び/又はモノエタノー
    ルアミンを含有している請求項1に記載のカルシア系ク
    リンカー。
  3. 【請求項3】 前記塩基性乳酸アルミニウム系バインダ
    ーが、シリカを含有している請求項1又は請求項2に記
    載のカルシア系クリンカー。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3の何れかに記載の
    カルシア系クリンカーを、耐火物材料として用いてなる
    ことを特徴とする耐火物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010047476A (ja) * 2009-11-30 2010-03-04 Itochu Ceratech Corp 球状カルシア系クリンカー及びそれを用いて得られる耐火物
CN104261788A (zh) * 2014-09-17 2015-01-07 安徽芜湖飞琪水泥制品有限公司 水玻璃耐火混凝土及其制备方法
CN104261786A (zh) * 2014-09-17 2015-01-07 安徽芜湖飞琪水泥制品有限公司 水玻璃耐火混凝土及其制备方法

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CN104261788B (zh) * 2014-09-17 2016-03-02 安徽芜湖飞琪水泥制品有限公司 水玻璃耐火混凝土及其制备方法

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