JP2003212558A - ガラス微粒子堆積体の製造方法 - Google Patents

ガラス微粒子堆積体の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反応容器、上煙突及び下煙突で構成されるガ
ラス微粒子堆積体製造装置を用いてガラス微粒子堆積体
を製造するに当たり、ガラス微粒子堆積体の長手方向の
外径変動を抑止することができる製造方法を提供するこ
と。 【解決手段】 反応容器内においてガラス微粒子合成用
バーナーで火炎を形成してガラス微粒子を生成し、出発
ロッドを往復トラバース及び回転させながら、ロッドの
外周にガラス微粒子を堆積させるOVD法において、装
置内へ投入するクリーンガスの風量を装置内容積の5倍
未満/分とすることを特徴とするガラス微粒子堆積体の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はOVD法によるガラ
ス微粒子堆積体の製造方法、特にコア/クラッドにより
構成されるコアロッドの両端に石英ダミーロッドを溶着
した出発ロッドの外側にガラス微粒子を堆積させる際
に、ガラス微粒子堆積体の長手方向における外径変動を
抑止する方法を提供する。
【0002】
【従来の技術】ガラス微粒子堆積体を製造する方法とし
て、反応容器内のガラスロッドに対向させて複数のガラ
ス微粒子合成用バーナーを一定間隔で配置し、回転する
ガラスロッドと前記バーナーの列を相対的に往復移動さ
せ、ガラスロッドの表面にガラス微粒子を層状に堆積さ
せてガラス微粒子堆積体を得る方法(多層付け法)が知
られている。
【0003】このようなガラス微粒子堆積体の製造方法
においては、品質向上の観点からガラス微粒子堆積体の
長手方向にわたって外径変動を少なくすること、生産性
の観点からガラス微粒子堆積体の端部に形成されるテー
パ部(非有効部)の長さをできるだけ短くすること、な
どが主要な課題であり、種々の方法が提案されている。
例えば、特開平6−87624号公報では、トラバース
の向き(奇数トラバース、偶数トラバース)により、主
軸の回転方向を変更することで、ガラス微粒子堆積体の
変形を抑止している。しかし、この方法ではトラバース
の切り替わるタイミングで主軸回転方向を変える為、そ
のときにワークに大きな負荷がかかり、ワークが破損し
かねない。また、特開2000−119035号公報で
はトラバース毎にトラバース開始位置をずらすことで、
バーナーの軌道が一致しないような工夫がされている。
しかし、この方法ではトラバース開始位置をずらした幅
の分だけ、非有効部(テーパ部)が長尺化するため、コ
ストアップをもたらす。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は本発明者が上
記従来技術の問題点を解消するため鋭意努力した結果到
達したもので、ガラス微粒子堆積体の長手方向の嵩密度
の変動に伴って外径が変動する現象を発見したことに基
づき、従来とは全く別の手法によってガラス微粒子堆積
体の外径変動を防止することを目的とする。すなわち、
本発明者は、ガラス微粒子堆積体製造装置に導入される
クリーンガス(以下CGという)風量若しくは支持棒な
どの隙間から混入する余剰空気などにより、ガラス微粒
子堆積体の表面が冷却されることで、ガラス微粒子堆積
体の長手方向で嵩密度が変動し、これに伴い外径が変動
することを見出した。この長手方向の嵩密度変動によ
り、嵩密度が低く太径部位においてはガラス微粒子の付
着量が増加し、逆に嵩密度が高く細径の部位においては
ガラス微粒子の付着量が減少するため、最終的に得られ
るガラス母材においてもガラス厚みが長手方向でばらつ
くこととなる。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は以下に
要約した手法によって、ガラス微粒子堆積体の外径変動
を効果的に抑止するものである。 (1)反応容器内において、好ましくはガラス原料ガス
噴出ポート、燃焼用ガス噴出ポート及び不活性ガス噴出
ポートを備えた1本もしくは複数本のガラス微粒子合成
用バーナーで火炎を形成し、好ましくは、火炎中にガラ
ス原料ガスを供給して火炎加水分解反応によりガラス微
粒子を生成し、好ましくは、コア及びクラッドからなる
コア母材の両端にダミーロッドを溶着して作製した、出
発ロッドを往復トラバース及び回転させながら、ロッド
の外周にガラス微粒子を堆積させるOVD法において、
装置内へ投入するCGの風量を装置内容積の4倍/分以
下の風量、好ましくは、3倍/分以下の風量とすること
を特徴とするガラス微粒子堆積体の製造方法、
【0006】(2)CGのクリーン度が0.3μm以上
の大きさのダストで1000個/CF以下、好ましくは
0〜100個/CFであることを特徴とする上記(1)
に記載のガラス微粒子堆積体の製造方法及び(3)装置
外圧力−排気管圧力=29Pa以下、好ましくは5〜1
0Paとすることを特徴とする上記(1)〜(2)のい
ずれか1項記載のガラス微粒子堆積体の製造方法。 上記(1)により、ガラス微粒子堆積体製造装置内へ導
入するCG風量、例えばクリーンエア(以下CAとい
う)風量を制限することでガラス微粒子堆積体表層にお
ける局所的な冷却(ガラス微粒子の非堆積面における冷
却、トラバース端部で冷却されやすい)を防ぎ、ガラス
微粒子堆積体長手方向における嵩密度の変動を抑制す
る。CG導入量が装置内容積の4倍/毎分を超えると、
ガラス微粒子堆積体の表層が冷却され、ガラス微粒子堆
積体の長手方向で嵩密度が変化する。さらに嵩密度が低
い箇所(太径部)ではガラス微粒子が付着しやすくな
り、ガラス微粒子堆積体の長手方向外径変動がより強調
される。好ましいCG風量範囲は、3倍/分以下であ
る。
【0007】上記(2)により、ガラス微粒子堆積体製
造装置内へ導入するCGのクリーン度を規定する。0.
3μm以上の大きさのダストが1000個/CFより多
い場合はガラス微粒子堆積体中に混入する異物量が増加
する。好ましいダスト個数は、0〜100個/CFであ
る。
【0008】上記(3)により、排気する量を規定す
る。装置外圧力−排気管圧力>29Paの場合、バーナ
ー回りや支持棒回りのクリアランス部から装置内へ混入
する外気量が多いため、上記(1)同様、ガラス微粒子
の非堆積面で冷却が進み、ガラス微粒子堆積体の長手方
向で外径変動が発生する。装置外圧力と排気管圧力の差
の好ましい範囲は5〜10Paとする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の方
法を詳細に説明する。図1は本発明の方法を実施するた
めの、ガラス微粒子堆積体製造装置を収納容器内に収納
した構成を模式的に説明する概略断面図である。図1に
例示したガラス微粒子堆積体製造装置10は、ガラス微
粒子合成用バーナー4と排気管11が設けられた反応容
器1、クリーンガス発生装置(CGG)7からのCG導
入管8が設けられた上煙突(Ni)2、及び下煙突3で
構成されている。本発明の方法は基本的には、この製造
装置10内に支持棒6によって支持され、回転する出発
ロッド5に対向させて3本のガラス微粒子合成用バーナ
ー4を配置し、前記出発ロッド5を昇降装置13により
上下に往復運動させながらガラス微粒子を出発ロッド5
の外周に堆積させてガラス微粒子堆積体9を製造する方
法であって、装置内に投入されるCGの風量を該装置内
容積の最大4倍/分以下とすることを特徴とする。
【0010】本発明の方法においては、このガラス微粒
子堆積体製造装置10は排気管11を備えた反応容器1
を有し、CG発生装置7から発生したCGをCG導入管
8から装置10内に導入し、ガラス微粒子堆積体製造装
置10(上煙突2、反応容器1、下煙突3)内の圧力を
外側の空間の圧力よりも低くなるように保持し、好まし
くは外側圧力−排気管圧力で表される差圧が29Pa以
下、好ましくは5〜10Paの範囲としてガラス微粒子
堆積体製造装置10内への外気の混入をできるだけ防ぐ
ものである。これにより、排気管11から該装置10内
の浮遊ダスト(装置10内でガラス微粒子堆積体8に堆
積しなかったガラス微粒子など)を装置10の外側に排
出しながらガラス微粒子の堆積を行い、かつ外気の混入
によるガラス微粒子堆積体の非堆積面での冷却を防止す
ることができる。
【0011】以下本発明の方法を実施例により更に具体
的に説明するが本発明の限定を意図するものではない。
【0012】
【実施例】(実施例1)図1に示すようなNiで構成さ
れた反応容器と上、下煙突を有する装置を用いてガラス
微粒子の堆積を行った。上煙突、反応容器、下煙突の内
容積を足した体積は0.8m3 であった。上蓋上部には
支持棒を挿入する穴とCGとしてのCAの投入口を有す
る上蓋を設置した。反応容器にはガラス微粒子生成用の
バーナーを3本設置した。コア/クラッド部を有する直
径26mmのコアロッド(400mm)を用いて両側に
石英ガラス製ダミーロッドを溶着して、出発部材を作製
し、そのロッドを40rpmで回転させながら鉛直に設
置し、200mm/分の速度で上下に1000mmトラ
バース運動させながらガラス微粒子合成用バーナーから
生成するガラス微粒子堆積体を順次堆積させてガラス微
粒子堆積体を作製した。直径30mmのバーナー3本
(間隔150mm)にはコアロッド部の回りを堆積させ
る場合は原料となる四塩化珪素:4〜6SLM(スタン
ダードリットル/分)をそれぞれ供給し、火炎を形成す
るための水素60〜100SLM及び酸素50〜100
SLM、さらにシールガスとしてAr:6SLMをバー
ナー3本にそれぞれに供給した。原料流量と酸水素ガス
流量はターン毎に1%ずつ上げていった。装置外と排気
管との圧力差は10Paとし、上煙突から大きさが0.
3μm以上となるダスト数が40〜60個/CFとなる
CAを風量2m3 /分で投入した。ガラス重量を9kg
にするべく、ガラス微粒子の堆積を行った。得られたガ
ラス微粒子堆積体の外径を測定した結果、コアロッド部
分の長手方向における外径変動は3mmであった。本実
施例ではCGとしてCAを使用したが窒素、ヘリウム、
アルゴンといった不活性ガスを使用しても同様の効果が
得られた。なお、ダスト数はMet・One社製パーテ
ィクルカウンター、モデル237Bにより測定した。
【0013】(比較例1)図1に示すようなNiで構成
された反応容器と上、下煙突を有する装置を用いてガラ
ス微粒子の堆積を行った。上煙突、反応容器、下煙突の
内容積を足した体積は0.8m3 であった。上蓋上部に
は支持棒を挿入する穴とCAの投入口を有する上蓋を設
置した。反応容器にはガラス微粒子生成用のバーナーを
3本設置した。コア/クラッド部を有する直径26mm
のコアロッド(400mm)を用いて両側に石英ガラス
製ダミーロッドを溶着して出発部材を作製し、そのロッ
ドを40rpmで回転させながら鉛直に設置し、200
mm/分の速度で上下に1000mmトラバース運動さ
せながらガラス微粒子合成用バーナーから生成するガラ
ス微粒子堆積体を順次堆積させてガラス微粒子堆積体を
作製した。直径30mmのバーナー3本(間隔150m
m)にはコアロッド部の回りを堆積させる場合は原料と
なる四塩化珪素:4〜6SLM(スタンダードリットル
/分)をそれぞれ供給し、火炎を形成するための水素5
0〜100SLM及び酸素50〜100SLM、さらに
シールガスとしてAr:6SLMをバーナー3本それぞ
れに供給した。原料流量と酸水素ガス流量はターン毎に
1%ずつ上げていった。装置外と排気管との圧力差は5
0Paとし、上煙突から大きさが0.3μm以上となる
ダスト数が40〜60個/CFとなるCAを風量10m
3 /分で投入した。ガラス重量を9kgにするべく、ガ
ラス微粒子の堆積行った。得られたガラス微粒子堆積体
の外径を測定した結果、スパイラル状の外径変動が見ら
れ、コアロッド部分の長手方向における外径変動は15
mmに達した。
【0014】(実施例2)図1に示すようなNiで構成
された反応容器と上、下煙突を有する装置を用いてガラ
ス微粒子の堆積を行った。上煙突、反応容器、下煙突の
内容積を足した体積は0.8m3 であった。上蓋上部に
は支持棒を挿入する穴とCAの投入口を有する上蓋を設
置した。反応容器にはガラス微粒子生成用のバーナーを
3本設置した。コア/クラッド部を有する直径26mm
のコアロッド(400mm)を用いて両側に石英ガラス
製ダミーロッドを溶着して、出発部材を作製し、そのロ
ッドを40rpmで回転させながら鉛直に設置し、20
0mm/分の速度で上下に1000mmトラバース運動
させながらガラス微粒子合成用バーナーから生成するガ
ラス微粒子堆積体を順次堆積させてガラス微粒子堆積体
を作製した。直径30mmのバーナー3本(間隔150
mm)にはコアロッド部の回りを堆積させる場合は原料
となる四塩化珪素:4〜6SLM(スタンダードリット
ル/分)をそれぞれ供給し、火炎を形成するための水素
50〜100SLM及び酸素50〜100SLM、さら
にシールガスとしてAr:6SLMをバーナー3本にそ
れぞれに供給した。原料流量と酸水素ガス流量はターン
毎に1%ずつ上げていった。装置外と排気管との圧力差
は50Paとし、上煙突から大きさが0.3μm以上と
なるダスト数が40〜60個/CFとなるCAを風量2
3 /分で投入した。ガラス重量を9kgにするべく、
ガラス微粒子の堆積を行った。得られたガラス微粒子堆
積体の外径を測定した結果、スパイラル状の外径変動が
若干見られ、コアロッド部分の長手方向における外径変
動は6mmであった。
【0015】(実施例3)図1に示すようなNiで構成
された反応容器と上、下煙突を有する装置を用いてガラ
ス微粒子の堆積を行った。上煙突、反応容器、下煙突の
内容積を足した体積は0.8m3 であった。上蓋上部に
は支持棒を挿入する穴とCAの投入口を有する上蓋を設
置した。反応容器にはガラス微粒子生成用のバーナーを
3本設置した。コア/クラッド部を有する直径26mm
のコアロッド(400mm)を用いて両側に石英ガラス
製ダミーロッドを溶着して、出発部材を作製し、そのロ
ッドを40rpmで回転させながら鉛直に設置し、20
0mm/分の速度で上下に1000mmトラバース運動
させながらガラス微粒子合成用バーナーから生成するガ
ラス微粒子堆積体を順次堆積させてガラス微粒子堆積体
を作製した。直径30mmのバーナー3本(間隔150
mm)にはコアロッド部の回りを堆積させる場合は原料
となる四塩化珪素:4〜6SLM(スタンダードリット
ル/分)をそれぞれ供給し、火炎を形成するための水素
50〜100SLM及び酸素50〜100SLM、さら
にシールガスとしてAr:6SLMをバーナー3本にそ
れぞれに供給した。原料流量と酸水素ガス流量はターン
毎に1%ずつ上げていった。装置外と排気管との圧力差
は10Paとし、上煙突から大きさが0.3μm以上と
なるダスト数が10000個/CFとなるCAを風量2
3 /分で投入した。ガラス重量を9kgにするべく、
ガラス微粒子の堆積を行った。得られたガラス微粒子堆
積体の外径を測定した結果、長手方向における外径変動
は小さく3mmあった。しかし、このガラス微粒子堆積
体を加熱して透明ガラス化させた結果、ガラス母材中に
気泡が多発した。
【0016】
【発明の効果】本発明により、ガラス微粒子堆積体製造
装置内へ導入するCG、例えばCA風量を特定値以下に
制限することでガラス微粒子堆積体表層における局所的
な冷却を防止し、それによりガラス微粒子堆積体の長手
方向における嵩密度の変動を抑止すると共に長手方向の
外径変動を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施するための、ガラス微粒子
堆積体製造装置の構成を模式的に説明する概略断面図。
【符号の説明】
1 反応容器 2 上煙突 3 下煙突 4 ガラス微粒子合成用バーナー 5 出発ロッド
6 支持棒 7 クリーンガス発生装置 8 クリーンガス導入管 9 ガラス微粒子堆積体 10 ガラス微粒子堆積体
製造装置 11 排気管

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応容器内においてガラス微粒子合成用
    バーナーで火炎を形成してガラス微粒子を生成し、出発
    ロッドを往復トラバース及び回転させながら、ロッドの
    外周にガラス微粒子を堆積させるOVD法において、装
    置内へ投入するクリーンガスの風量を装置内容積の4倍
    /分以下の風量とすることを特徴とするガラス微粒子堆
    積体の製造方法。
  2. 【請求項2】 クリーンガスのクリーン度が0.3μm
    以上の大きさのダストで1000個/CF以下であるこ
    とを特徴とする請求項1記載のガラス微粒子堆積体の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 装置外圧力−排気管圧力=29Pa以下
    とすることを特徴とする請求項1〜2いずれか1項記載
    のガラス微粒子堆積体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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