JP2003211314A - バリ除去方法およびバリ除去装置 - Google Patents

バリ除去方法およびバリ除去装置

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JP2003211314A JP2002011739A JP2002011739A JP2003211314A JP 2003211314 A JP2003211314 A JP 2003211314A JP 2002011739 A JP2002011739 A JP 2002011739A JP 2002011739 A JP2002011739 A JP 2002011739A JP 2003211314 A JP2003211314 A JP 2003211314A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 ワークの孔あけ加工で貫通孔終端に発生した
バリを除去するに際し、バリを良好に除去することがで
き、工具の破損の恐れを解消することができるバリ除去
方法を提供する。 【解決手段】 互いに直交する3軸方向にワークWと工
具を相対的に移動させるとともに工具を回転駆動する動
作制御手段1と、工具として先端側を大径部Dとしたテ
ーパ状のエンドミルEを用い、エンドミルEをその大径
部Dが貫通H終端を通過する位置まで挿入し、回転する
エンドミルEが貫通孔Hの開口縁部に添って移動するよ
うにしてバリBを除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワークの孔あけ加
工において貫通孔終端に発生したバリを除去するのに用
いられる方法および装置に関し、とくに、ワークの中空
部に開口する状態に孔あけ加工された貫通孔終端のバリ
を除去するのに好適なバリ除去方法およびバリ除去装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4に示すワークWには、外側から中空
部Cに向けてドリルによる孔あけ加工が施してあり、こ
れにより形成された貫通孔Hには、中空部Cに開口する
終端にバリBが発生している。従来において、このよう
なバリBを除去するには、切削歯Aを備えたバーオフツ
ールTを用いていた。
【0003】バーオフツールTは、先端部の片側に台形
状の切削歯Aを備えると共に、軸線から切削歯Aの外周
部に至る半径方向の長さLが貫通孔Hの半径Rに相当す
るものとなっており、回転駆動する図外の主軸に装着し
てある。そして、貫通孔Hに対して切削歯Aが終端を通
過する位置まで挿入した後、軸回りに回転させながら引
き抜くことにより、切削歯AでバリBを毟り取るように
除去する。
【0004】なお、この種のバリ除去に関しては、特開
平9−290308号公報や特開200−254846
号公報などに開示された技術がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記したよ
うな従来のバリ除去にあっては、片側に切削歯Aを備え
たバーオフツールTを使用し、このバーオフツールTを
回転させながら引き抜く要領でバリBを強制的に除去し
ていたため、バリBが強固である場合、そのバリBを良
好に除去することが困難になったり同ツールTを破損す
る恐れがあるという問題点があり、このような問題点を
解決することが課題であった。
【0006】
【発明の目的】本発明は、上記従来の課題に着目して成
されたものであって、ワークの孔あけ加工において貫通
孔終端に発生したバリを除去するに際し、例えバリが強
固なものであっても、バリを良好に除去することがで
き、また、工具の破損の恐れを解消することができるバ
リ除去方法およびバリ除去装置を提供することを目的と
している。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係わるバリ除去
方法は、請求項1として、ワークの孔あけ加工において
貫通孔終端に発生したバリを除去するに際し、互いに直
交する3軸方向にワークと工具を相対的に移動させると
ともに工具を回転駆動する動作制御手段と、動作制御手
段に装着する工具として先端側を大径部とし且つ基端側
に向けて小径としたテーパ状のエンドミルを用い、エン
ドミルをその大径部が貫通孔終端を通過する位置まで挿
入した後、回転するエンドミルが貫通孔終端の開口縁部
に添って移動するようにワークおよびエンドミルの少な
くとも一方を移動させてバリを除去することを特徴と
し、請求項2として、エンドミルの大径部が、貫通孔の
直径許容誤差の下限に対応した直径であり、エンドミル
を貫通孔に挿入する際にエンドミルを軸線方向に前進駆
動する負荷電流を測定し、測定した負荷電流が所定の上
限しきい値を超えた場合に孔径不良であると判断するこ
とを特徴とし、請求項3として、バリを除去する際にエ
ンドミルを回転駆動する負荷電流を測定し、測定した負
荷電流が所定の下限しきい値に満たない場合に孔径不良
であると判断することを特徴としている。
【0008】また、本発明に係わるバリ除去装置は、請
求項4として、ワークの孔あけ加工において貫通孔終端
に発生したバリを除去する装置であって、互いに直交す
る3軸方向にワークと工具を相対的に移動させるととも
に工具を回転駆動する動作制御手段と、動作制御手段に
装着する工具として先端側を大径部とし且つ基端側に向
けて小径としたテーパ状のエンドミルを備えたことを特
徴としている。
【0009】なお、上記構成において、互いに直交する
3軸方向にワークと工具を相対的に移動させるとともに
工具を回転駆動する動作制御手段としては、数値制御さ
れる各種の工作機械や、工具を装着する多軸制御型のロ
ボットとワークを保持する可動治具との組み合わせなど
を用いることが可能である。
【0010】
【発明の作用】本発明の請求項1に係わるバリ除去方法
では、ワークにおける孔あけ加工後の貫通孔に、先端側
を大径部としたテーパ状のエンドミルを同軸状態で挿入
し、この際、大径部がバリ発生部位である貫通孔終端を
通過する位置まで挿入する。このとき、エンドミルは基
端側に向けて小径となるテーパ状であるため、その外周
の刃先と貫通孔終端の開口縁部との間には隙間が形成さ
れる。そして、エンドミルを軸回りに回転させると共
に、軸線に直交する方向に先述の隙間の分だけ移動さ
せ、その後、エンドミルを貫通孔終端の開口縁部に添っ
て周回移動させることにより、貫通孔終端に発生したバ
リを切削除去する。
【0011】このようにして、当該バリ除去方法では、
貫通孔に挿入したエンドミルを回転させると共に、軸線
に直交する方向に移動させて刃先をバリに接触させるの
で、貫通孔への挿入時および引き抜き時には、早送りを
することが可能であるとともにエンドミルを破損するこ
とが無く、また、エンドミルがテーパ状を成しているの
で、先端側の大径部が貫通孔終端の開口縁部よりも外側
に位置する状態となって、バリを残すことなく除去し得
ることとなる。
【0012】なお、上記の説明では、ワークの貫通孔へ
のエンドミルの挿入、軸線に直交する方向へのエンドミ
ルの移動、および貫通孔終端の開口縁部に添ったエンド
ミルの周回移動において、いずれもエンドミルを移動さ
せるものとしたが、ワークを保持する動作制御手段によ
り、互いに直交する3軸方向にワークとエンドミルを相
対的に移動させて夫々の移動を行うこともできる。
【0013】本発明の請求項2に係わるバリ除去方法で
は、エンドミルの大径部が、貫通孔の直径許容誤差の下
限に対応した直径であり、エンドミルを貫通孔に挿入す
る際にエンドミルを軸線方向に前進駆動する負荷電流を
測定する。この際、エンドミルを前進させるための通常
の負荷電流に対して、これよりも大きい上限しきい値を
予め設定しておき、エンドミルの前進駆動時において、
測定した負荷電流と上限しきい値を比較する。そして、
測定した負荷電流が上限しきい値を超えた場合には孔径
不良であると判断する。
【0014】すなわち、エンドミルの大径部が貫通孔の
直径許容誤差の下限に対応した直径であることから、貫
通孔の直径が許容誤差の下限に満たない場合、つまり貫
通孔の直径が小さ過ぎる場合には、前進するエンドミル
の大径部と貫通孔の内面とが干渉し、その抵抗により負
荷電流が上昇する。したがって、測定した負荷電流が上
限しきい値を超えた場合には、貫通孔の直径が許容誤差
の下限に満たないと見なすことができ、貫通孔が孔径不
良であると判断する。
【0015】本発明の請求項3に係わるバリ除去方法で
は、バリを除去する際にエンドミルを回転駆動する負荷
電流を測定する。この際、バリを完全に除去するための
通常の負荷電流に対して、これよりも小さい下限しきい
値を予め設定しておき、エンドミルの回転駆動時におい
て、測定した負荷電流と下限しきい値を比較する。そし
て、測定した負荷電流が下限しきい値に満たない場合に
は孔径不良であると判断する。
【0016】すなわち、例えば貫通孔の直径が許容誤差
の上限を超えている場合、つまり貫通孔の直径が大き過
ぎる場合には、エンドミルとバリとの接触が不充分とな
り、切削抵抗の減少により負荷電流が通常値よりも小さ
くなる。したがって、測定した負荷電流が下限しきい値
に満たない場合には、貫通孔の直径が許容誤差の上限を
超えていると見なすことができ、貫通孔が孔径不良であ
ると判断する。
【0017】本発明の請求項4に係わるバリ除去装置で
は、ワークにおける孔あけ加工後の貫通孔に、先端側を
大径部としたテーパ状のエンドミルを同軸状態で挿入
し、この際、大径部がバリ発生部位である貫通孔終端を
通過する位置まで挿入する。このとき、エンドミルは基
端側に向けて小径となるテーパ状であるため、その外周
の刃先と貫通孔終端の開口縁部との間には隙間が形成さ
れる。そして、エンドミルを軸回りに回転させると共
に、軸線に直交する方向に先述の隙間の分だけ移動さ
せ、その後、エンドミルを貫通孔終端の開口縁部に添っ
て周回移動させることにより、貫通孔終端に発生したバ
リを切削除去する。
【0018】このようにして、当該バリ除去装置では、
貫通孔に挿入したエンドミルを回転させると共に、軸線
に直交する方向に移動させて刃先をバリに接触させるの
で、貫通孔への挿入時および引き抜き時には、早送りを
することが可能であるとともにエンドミルを破損するこ
とが無く、また、エンドミルがテーパ状を成しているの
で、先端側の大径部が貫通孔終端の開口縁部よりも外側
に位置する状態となって、バリを残すことなく除去し得
ることとなる。
【0019】なお、上記の説明では、ワークの貫通孔へ
のエンドミルの挿入、軸線に直交する方向へのエンドミ
ルの移動、および貫通孔終端の開口縁部に添ったエンド
ミルの周回移動において、いずれもエンドミルを移動さ
せるものとしたが、ワークを保持する動作制御手段によ
り、互いに直交する3軸方向にワークとエンドミルを相
対的に移動させて夫々の移動を行うこともできる。
【0020】
【発明の効果】本発明の請求項1に係わるバリ除去方法
によれば、動作制御手段とテーパ状を成すエンドミルを
用い、貫通孔にエンドミルを挿入した後、エンドミルを
貫通孔終端の開口縁部に添って移動させる要領でバリを
切削除去することから、例えバリが強固なものであって
も、バリを残すことなく完全に除去することができ、ま
た、エンドミルの破損の恐れを解消してエンドミルの長
寿命化を図ることができると共に、エンドミルの貫通孔
への挿入および引き出しを早送りすることが可能となっ
て、バリ除去の作業時間を大幅に短縮することができ
る。
【0021】本発明の請求項2に係わるバリ除去方法に
よれば、請求項1と同様の効果を得ることができるうえ
に、エンドミルの大径部を貫通孔の直径許容誤差の下限
に対応した直径とし、エンドミルを軸線方向に前進駆動
する負荷電流が所定の上限しきい値を超えた場合に孔径
不良であると判断することにより、所定の許容誤差をも
って形成される貫通孔に対して直径の下限の良否判定を
行うことができ、しかも、全てのワークに対して良否判
定が行われることとなって、ワークの品質向上に貢献す
ることができる。
【0022】本発明の請求項3に係わるバリ除去方法に
よれば、請求項1および2と同様の効果を得ることがで
きるうえに、バリを除去する際にエンドミルを回転駆動
する負荷電流が所定の下限しきい値に満たない場合に孔
径不良であると判断することにより、所定の許容誤差を
もって形成される貫通孔に対して直径の上限の良否判定
を行うことができ、しかも、全てのワークに対して良否
判定が行われることとなって、ワークの品質向上に貢献
することができる。
【0023】本発明の請求項4に係わるバリ除去装置に
よれば、動作制御手段とテーパ状を成すエンドミルを採
用したことにより、貫通孔にエンドミルを挿入した後、
エンドミルを貫通孔終端の開口縁部に添って移動させる
要領でバリを切削除去することができるので、例えバリ
が強固なものであっても、バリを残すことなく完全に除
去することができ、また、エンドミルの破損の恐れを解
消してエンドミルの長寿命化を実現することができると
共に、エンドミルの貫通孔への挿入および引き出しを早
送りすることが可能となって、バリ除去の作業時間を大
幅に短縮することができる。
【0024】
【実施例】以下、図面に基づいて、本発明に係わるバリ
除去方法およびバリ除去装置の一実施例を説明する。
【0025】図1に一部を示すワークWは、断面円形の
孔状の中空部Cが形成してあると共に、ドリルによる孔
あけ加工によって中空部Cに交差する貫通孔Hが形成し
てある。貫通孔Hは、中空部Cの直径よりも若干小さい
直径を有している。このような孔あけ加工が施されるワ
ークWとしては、例えば車両用エンジンのクランクシャ
フトなどが挙げられる。クランクシャフトには、冷却油
の流路として上記したような中空部(孔)や貫通孔が形
成されている。
【0026】ここで、ワークWにおいて中空部Cに交差
する貫通孔Hを形成すると、中空部内に開口する貫通孔
Hの終端にはバリBが発生しており、中空部C内のバリ
Bを外側から直接的に除去するのは不可能である。そこ
で、バリBを良好に除去するために、図1および図3に
示すバリ除去装置を使用する。
【0027】バリ除去装置は、互いに直交する3軸方向
にワークWと工具を相対的に移動させるとともに工具を
回転駆動する動作制御手段1と、動作制御手段1に装着
する工具として先端側を大径部Dとし且つ基端側に向け
て小径としたテーパ状の首付きエンドミルEを備えてい
る。
【0028】動作制御手段1としては、図3に示すよう
に、数値制御される工作機械を用いることができる。図
示の動作制御手段1は、基台2上に、ワークWを保持す
るテーブル3が紙面に垂直となるX方向(水平方向)に
往復動可能に設けてあると共に、基台2の両側に一対の
コラム4,4が立設してあり、両コラム4,4間に、ク
ロスレール5が図の上下方向となるZ方向(垂直方向)
に昇降可能に設けてある。
【0029】クロスレール5には、スライド体6が図の
左右方向であるY方向(水平方向)に往復動可能に設け
てあり、スライド体6には、下端に主軸7を垂下状態に
備えた主軸ヘッド8が図の上下方向となるZ方向(垂直
方向)に昇降可能に設けてある。主軸7は、その下端に
エンドミルEが装着可能であり、Z軸回りに回転駆動さ
れる。
【0030】テーブル3は、X軸サーボモータ9および
図示しないボールねじにより往復駆動する。クロスレー
ル5は、各コラム4に設けた昇降用サーボモータ10お
よびボールねじ11により昇降駆動する。スライド体6
は、クロスレール5に設けたY軸サーボモータ12およ
びボールねじ13により往復駆動する。主軸ヘッド8
は、スライド体6に設けたZ軸サーボモータ14および
ボールねじ15により昇降駆動する。そして、主軸7
は、主軸ヘッド8に設けた主軸モータ16により回転駆
動する。
【0031】主軸7は、クロスレール5および主軸ヘッ
ド8のいずれでも昇降させることが可能であるが、この
実施例では、工具の交換や工具を原点に設定する際に、
クロスレール5および主軸ヘッド8の両方によって主軸
7を大きく昇降させ、バリ除去の際には、主軸ヘッド8
のみによって主軸7を昇降させる。
【0032】また、動作制御手段1は、各サーボモータ
9,10,12,14および主軸モータ16を制御する
制御部17を備えている。この制御部17は、予め設定
した各種データに基づいて各モータを駆動するほか、エ
ンドミルEをワークWに向けて前進駆動すなわち下降駆
動した際のZ軸サーボモータ14の負荷電流と、バリB
を除去している際の主軸モータ16の負荷電流を測定
し、これらの測定結果に基づいて孔径の良否判定を行う
検査手段を備えている。なお、この検査については後述
する。
【0033】エンドミルEは、図1に示すように、先端
側(下端側)を大径部Dとし且つ基端側(上端側)に向
けて小径となるテーパ状を成しており、大径部Dの直径
dが貫通孔Hの直径許容誤差の下限に対応している。ま
た、この実施例では、互いに交差する中空部Cと貫通孔
Hがいずれも断面円形であることから、貫通孔Hの開口
縁部で囲まれる面は、中空部Cの円弧の対応した曲面と
なる。このため、エンドミルEは、図1に示す開口縁部
の上下寸法差hよりも充分に大きい高さ寸法を有してい
る。
【0034】次に、上記のバリ除去装置の動作とともに
本発明に係わるバリ除去方法を説明する。
【0035】バリ除去装置は、テーブル3上において、
ワークWをその貫通孔Hが垂直となるように保持し、動
作制御手段1の動作によって貫通孔HとエンドミルEが
Z方向の同軸線上で一致するように位置決めする。
【0036】また、動作制御手段1の制御部17におい
ては、エンドミルEをワークWに向けて前進駆動した際
のZ軸サーボモータ14の負荷電流に対して、上限しき
い値を設定する。この実施例の上限しきい値は、エンド
ミルEが支障無く前進しているときの通常の負荷電流の
1.3倍である。さらに、同制御部17においては、バ
リBを除去している際の主軸モータ16の負荷電流に対
して、下限しきい値を設定する。この実施例の下限しき
い値は、バリを良好に除去しているときの通常の負荷電
流の0.7倍である。
【0037】なお、上限および下限のしきい値は、貫通
孔HとエンドミルEの寸法関係やワークWの材質などに
応じて適宜変更することが可能である。
【0038】次に、図2のフローチャートに示すよう
に、バリ除去工程を開始すると、ステップS1において
主軸ヘッド8とともにエンドミルEを下降させ、エンド
ミルEを貫通孔Hに挿入する。この際、エンドミルE
は、図1(a)に示すように、大径部Dが貫通孔Hの終
端を通過する位置まで下降する。
【0039】ここで、当該バリ除去方法では、エンドミ
ルEが下降している間、Z軸サーボモータ14の負荷電
流を測定し、ステップS2において測定した負荷電流と
予め設定した上限しきい値を比較し、測定した負荷電流
が上限しきい値を超えていない場合(NO)にはステッ
プS3に移行する。これに対して、測定した負荷電流が
上限しきい値を超えた場合(YES)には、ステップS
9に移行して貫通孔Hの孔径が不良(NG)であると
し、必要に応じて警報手段や表示手段を作動させると共
に、ステップS8に移行してエンドミルEを上昇させ
る。
【0040】つまり、エンドミルEの大径部Dが貫通孔
Hの直径許容誤差の下限に対応した直径であることか
ら、貫通孔Hの直径が許容誤差の下限に満たない場合、
すなわち貫通孔Hの直径が小さ過ぎる場合には、下降す
るエンドミルEの大径部Dと貫通孔Hの内面とが干渉
し、その抵抗によりZ軸サーボモータ14の負荷電流が
上昇する。したがって、測定した負荷電流が上限しきい
値を超えた場合には、貫通Hの直径が許容誤差の下限に
満たないと見なすことができ、貫通孔Hが孔径不良であ
ると判断する。
【0041】エンドミルEが支障無く所定位置まで下降
すると、エンドミルEは基端側に向けて小径となるテー
パ状を成しているため、その外周の刃先と貫通孔Hの終
端の開口縁部との間には、図1(a)に示す如く隙間が
形成される。
【0042】次に、ステップS3においては、主軸7に
よりエンドミルEを回転させるのに続いて、図1(b)
中の矢印A1で示すように、エンドミルEをX方向(あ
るいはY方向)に先述の隙間の分だけ移動させ、ステッ
プS4において、図1(b)中の矢印A2で示すよう
に、エンドミルEを貫通孔Hの終端の開口縁部に添って
周回移動させて、貫通孔Hの終端に発生したバリBを切
削除去する。
【0043】なお、この実施例の場合、エンドミルEの
X方向の移動は、テーブル3の動作により行い、エンド
ミルEの周回移動は、テーブル3およびクロスレール5
の複合動作により行う。また、先述したように、貫通孔
Hの開口縁部が図1に示す如く上下寸法差hを有してお
り、これに対してエンドミルEがテーパ状を成している
ので、エンドミルEにおいては、切削位置が上下に連続
的に変化するとともに切削位置の半径が連続的に変化す
る。このため、貫通孔Hの開口縁部に添うエンドミルE
の周回軌跡は、図1(b)中の矢印A2で示す如く楕円
となる。
【0044】さらに、エンドミルEは、テーパ状を成し
ていることから、図1(a)に示す状態からX方向に移
動すると、先端側の大径部Dが貫通孔Hの開口縁部より
も外側に位置する状態となる。これにより、バリBを残
すことなく完全に除去し得ることとなる。
【0045】上記のバリ除去の過程では、主軸モータ1
6の負荷電流を測定しており、ステップS5において測
定した負荷電流と予め設定した下限しきい値を比較し、
測定した負荷電流が下限しきい値を超えている場合(N
O)にはステップS6に移行する。ステップS6では、
エンドミルEが開口縁部に添って1周したか否かを判定
し、周回移動が完了していない場合(NO)にはステッ
プS4に戻る。
【0046】これに対して、ステップS5において、測
定した負荷電流が下限しきい値に満たない場合(YE
S)には、ステップS10に移行して貫通孔Hの孔径が
不良(NG)であるとし、必要に応じて警報手段や表示
手段を作動させると共に、ステップS7に移行してエン
ドミルEを貫通孔Hの軸線上に戻すと共に、エンドミル
Eの回転を停止する。
【0047】つまり、例えば貫通孔Hの直径が許容誤差
の上限を超えている場合、つまり貫通孔Hの直径が大き
過ぎる場合には、エンドミルEとバリBとの接触が不充
分となり、切削抵抗の減少により主軸モータ16の負荷
電流が通常値よりも小さくなる。したがって、測定した
負荷電流が下限しきい値に満たない場合には、貫通孔H
の直径が許容誤差の上限を超えていると見なすことがで
き、貫通孔Hが孔径不良であると判断する。
【0048】そして、ステップS6において、エンドミ
ルEの周回移動が完了したことを判定すると、ステップ
S7においてエンドミルEを貫通孔Hの軸線上に戻すと
共に、エンドミルEの回転を停止し、ステップ8におい
てエンドミルEを上昇させ、バリ除去工程を終了する。
【0049】以上のように、上記バリ除去装置を用いた
バリ除去方法によれば、動作制御手段1とテーパ状を成
すエンドミルEを用い、貫通孔HにエンドミルEを挿入
した後、回転するエンドミルEを貫通孔Hの開口縁部に
添って移動させる要領でバリBを切削除去することか
ら、例えバリBが強固なものであっても、バリBを残す
ことなく完全に除去し得ることとなる。なお、中空部C
に対する貫通孔Hの交差角度が異なる場合でも、バリB
を良好に除去することができる。
【0050】また、貫通孔Hに対してエンドミルEを挿
入する際に、エンドミルEとバリBが衝突することが無
いので、エンドミルEの破損の恐れを解消して工具とし
ての長寿命化を図ることができるうえに、エンドミルE
の貫通孔Hへの挿入および引き出しを早送りすることが
可能であり、これによりバリ除去の作業時間を大幅に短
縮することができる。
【0051】さらに、バリ除去の作業に加えて、所定の
許容誤差をもって形成される貫通孔Hに対して、直径の
下限および上限の良否判定を行っており、このような良
否判定を全てのワークWに対して行うことになるので、
ワークWの品質向上に貢献し得るものとなる。
【0052】さらに、上記実施例で説明した動作制御手
段1は、ワークWの生産ライン中において、バリ除去専
用の工程に用いることも可能であるが、公知のツールチ
ェンジャーを備えて、孔あけ加工とバリ除去作業を連続
的に行う構成にすることも可能である。また、貫通孔H
の異なる孔径に対応した複数のエンドミルを選択的に使
用する構成とすることも当然可能である。
【0053】さらに、上記実施例の動作制御手段1で
は、バリ除去時においてX軸サーボモータ9およびY軸
サーボモータ12の負荷電流を測定することにより、貫
通孔Hにおける直径の上限の良否判定を行うことも可能
であるが、上記実施例のように主軸モータ16の負荷電
流を測定するようにすれば、検査手段の構成を簡略化す
ることができる。
【0054】さらに、上記実施例以外の構成としては、
貫通孔の直径に対して明らかに小さい直径のエンドミル
を使用しても、バリを良好に除去することができる。こ
の場合、例えば図3に示すX軸サーボモータ9およびY
軸サーボモータ12の負荷電流を測定して貫通孔の孔径
検査を行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるバリ除去装置の要部を説明する
垂直断面図(a)および水平断面図(b)である。
【図2】本発明に係わるバリ除去方法の過程を説明する
フローチャートである。
【図3】バリ除去装置の全体を説明する概略図である。
【図4】従来のバリ除去を説明する断面図である。
【符号の説明】
1 動作制御手段 B バリ D 大径部 E エンドミル H 貫通孔 W ワーク

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワークの孔あけ加工において貫通孔終端
    に発生したバリを除去するに際し、互いに直交する3軸
    方向にワークと工具を相対的に移動させるとともに工具
    を回転駆動する動作制御手段と、動作制御手段に装着す
    る工具として先端側を大径部とし且つ基端側に向けて小
    径としたテーパ状のエンドミルを用い、エンドミルをそ
    の大径部が貫通孔終端を通過する位置まで挿入した後、
    回転するエンドミルが貫通孔終端の開口縁部に添って移
    動するようにワークおよびエンドミルの少なくとも一方
    を移動させてバリを除去することを特徴とするバリ除去
    方法。
  2. 【請求項2】 エンドミルの大径部が、貫通孔の直径許
    容誤差の下限に対応した直径であり、エンドミルを貫通
    孔に挿入する際にエンドミルを軸線方向に前進駆動する
    負荷電流を測定し、測定した負荷電流が所定の上限しき
    い値を超えた場合に孔径不良であると判断することを特
    徴とする請求項1に記載のバリ除去方法。
  3. 【請求項3】 バリを除去する際にエンドミルを回転駆
    動する負荷電流を測定し、測定した負荷電流が所定の下
    限しきい値に満たない場合に孔径不良であると判断する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のバリ除去方
    法。
  4. 【請求項4】 ワークの孔あけ加工において貫通孔終端
    に発生したバリを除去する装置であって、互いに直交す
    る3軸方向にワークと工具を相対的に移動させるととも
    に工具を回転駆動する動作制御手段と、動作制御手段に
    装着する工具として先端側を大径部とし且つ基端側に向
    けて小径としたテーパ状のエンドミルを備えたことを特
    徴とするバリ除去装置。
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