JP2003211165A - 電気化学反応制御方法および電気化学反応装置 - Google Patents

電気化学反応制御方法および電気化学反応装置

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JP2003211165A JP2002014848A JP2002014848A JP2003211165A JP 2003211165 A JP2003211165 A JP 2003211165A JP 2002014848 A JP2002014848 A JP 2002014848A JP 2002014848 A JP2002014848 A JP 2002014848A JP 2003211165 A JP2003211165 A JP 2003211165A
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Ichiro Toyoda
一郎 豊田
Masayuki Tabata
雅之 田畑
Masahiko Nagai
正彦 永井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 排水に水溶された物質を分解除去して浄化さ
せたり、各種電解質を含む水溶液から物質を抽出したり
するのを安価にかつ効率的に行えるようにする電気化学
反応制御方法および電気化学反応装置を提供すること。 【解決手段】 処理対象の水溶液を貯水する反応槽1
と、前記反応槽1内に設置する陽極部材4および陰極部
材3と、正パルス高電圧成分と直流正電圧成分とを重ね
合わせた電気信号を発生する関数発生器5とを有し、電
力増幅器6によって増幅した前記電気信号を陽極部材4
と陰極部材3との間に印加することによって処理液2の
電気化学反応を制御するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気化学反応制御
方法および電気化学反応装置に関し、さらに詳しくは、
環境ホルモン等を含有した排水、埋立て排水、し尿、家
畜等の糞尿、食品加工廃液や工場廃液などの排水に水溶
された物質を除去して浄化させるようにしたり、各種電
解質を含む水溶液から物質を抽出したりすることが出来
るようにする電気化学反応制御方法および電気化学反応
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電気化学反応装置としては、処理
対象の水溶液を貯水する反応槽と、前記反応槽内に設置
した陽極部材と、陰極部材とを有し、陽極部材と陰極部
材との間に直流電圧、交流電圧または所定周波数の高周
波電圧を印加して水溶液の電気化学反応を制御する装置
が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】電気化学反応では、電
解させる成分によって異なる印加電圧が必要である。そ
のため、従来の電気化学反応装置では、目的とする反応
に適した電位に電極電圧を設定すると数[V]程度以内と
なるため、反応速度が遅く実用的にはならない。
【0004】また、一般に、排水処理等で対象とする水
溶液中には、色々な成分が含有している。そのため、反
応速度を高めるために従来の電気化学反応装置で、陰極
部材と陽極部材との間に高電圧を印加した場合には、色
々な反応物を生成させてしまい、目的とする生成物だけ
を生成させることができない。
【0005】また、従来の電気化学反応装置では、反応
量を高めるためには、電極面積を非常に大きくするか、
または、印加電圧を高く設定して反応速度を高めるしか
ない。しかしながら、電極面積を大きくした場合には、
イニシャルコストが嵩んでしまう。また、電極電圧を高
くした場合には、投入した電力の大半が過電圧として熱
エネルギーとして消費されてしまい、効率が非常に悪
く、経済的に成り立ちにくいだけでなく、目的とする反
応生成物以外の生成物も大量に生成されてしまう。
【0006】そこで、本発明は、上記事項に鑑みてなさ
れたものであって、目的とする生成物だけを安価にかつ
効率的に生成させることが出来る電気化学反応制御方法
および電気化学反応装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】図16および図17は、
一般の電気化学反応の概念を説明する図である。図16
に示すように、一般に、電気化学反応は、電極部材と水
溶液との界面における反応を伴う電子移動過程と、水溶
液側から電極部材までに反応物質が輸送されてくる物質
輸送過程とから構成されている。
【0008】図17に示すように、陽極について見れ
ば、電源から正電圧が印加されると、水溶液中に存在す
るマイナスイオンが陽極近傍に集まり、陽極における正
電荷の薄い層と、水溶液中のマイナスイオンによる負電
荷の薄い層が向き合った電気二重層が形成され、水溶液
中の電界が中和される。印加される正電圧の値が数[V]
程度の小さい値の場合には、電極表面近傍に形成される
電気二重層により、水溶液内部には、ほとんど電界が掛
からない。
【0009】そのまま、電圧を掛け続けると電極表面で
は、電気化学反応により、電子移動が起こって反応前駆
体物質濃度が減少し、その分、電荷の不均衡が生じる
(電子移動過程)。その電荷の不均衡を補うために、新
たなる反応前駆体が水溶液中から供給されてくる(物質
輸送過程)。この場合、電極電圧としては、電気化学反
応に必要な電圧より少し高い値を設置しておけば、電気
化学反応を起すことができ、投入電力分を電気化学反応
に寄与させることが出来る。しかし、電極電圧(過電圧
分)が小さいと、水溶液中に印加される電界強度は小さ
く新たなる反応前駆体を供給する物質輸送過程における
駆動力は小さく、中々反応は進まない。
【0010】一方、水溶液中の反応前駆体であるイオン
を外部電界により強制的に駆動するためには、電気二重
層で打ち消される電界以上の高電圧を印加する必要があ
る。しかし、この場合には、電気化学反応で必要な電圧
数[V]程度(例えば、水分解では1.2[V])に対し、
それ以上の印加電圧分は過電圧となりジュール熱として
消費されるため投入電力エネルギーが無駄になってしま
う。
【0011】そこで、本発明者等は、電気化学反応にお
ける物質輸送過程と電子移動過程とを独立に制御する方
法を見出し、上述の目的を達成出来る発明に至った。
【0012】本発明による電気化学反応制御方法は、処
理対象の水溶液を貯水する反応槽内に設置した陽極部材
と陰極部材との間に、正パルス高電圧成分と直流正電圧
成分とを重ね合わせた電気信号を電力増幅して印加し、
前記正パルス高電圧成分の電気信号の印加によって、前
記陽極部材と前記陰極部材と水溶液との界面に電気二重
層を形成させていき、前記直流正電圧成分の電気信号の
印加によって、前記陽極部材界面近傍と前記陰極部材界
面近傍の水溶液を電気化学反応させることを特徴とす
る。
【0013】この構成によれば、正パルス高電圧成分の
パルス幅分だけの電圧が陽極部材および陰極部材間に印
加された時間幅の間に、反応槽内の水溶液の陰イオンを
陽極部材表面に引き寄せ水溶液との界面に電気二重層を
形成させ、その直後に、引き寄せられた陰イオンと陽極
部材との界面で電気化学反応を起すことが出来る直流正
電圧を印加することによって、引き寄せた陰イオンを電
気化学反応させることが出来るようになる。従って、過
電圧による供給電力の無駄を低減して希望する物質生成
をより効率的に行なうことが出来るようになる。
【0014】つまり、正パルス高電圧成分の電気信号が
印加されているときには、反応槽内の水溶液中では、イ
オンが移動して電気二重層を形成していく。この電気二
重槽の形成途中では、水溶液内部の電気シールドが不十
分であるため、電極表面よりも離れた水溶液内部まで電
界が十分に掛かり、反応前駆体としてのイオンの物質移
動を促進させる。従って、正パルス高電圧成分の電気信
号を印加することによって、水溶液内部に電界を発生さ
せ効率よく反応前駆体となるイオンを電極表面に引き寄
せ、さらに、正パルス高電圧として供給された電力は、
電気二重層の静電容量分の電荷として電極表面側に蓄積
させることが出来る。
【0015】なお、正パルス高電圧成分の電気信号によ
り電極表面に集められた反応前駆体としてのイオンが、
正パルス高電圧成分を印加した後に水溶液中に濃度拡散
し、減少してしまう前に、次の正パルス高電圧を印加す
るのが好ましい。また、電気二重層が形成されるまでの
時間は、正パルス高電圧成分の電圧値とパルス幅に依存
する。そのため、電圧値を決めればパルス幅としては、
電気二重層が形成され電気的に充電が完了されるまでの
時間で十分である。もっともエネルギー的には無駄にな
るため好ましくはないが、高い電圧で電気二重層を形成
させるまでの時間よりもパルス幅を長くしてもよい。
【0016】また、正パルス高電圧成分の電圧値は、1
0[V]以上が好ましい。この電圧値は、高くするほどイ
オン移動度が大きくなるため、電気二重層形成時間を短
縮出来ると共に、電気二重層を構成するイオンを高濃度
に出来る。しかしながら、高い電圧値では、印加後に電
気化学反応に寄与できないものは、水溶液側に濃度拡散
してしまい無駄になってしまう。そのため、正パルス高
電圧成分の電気信号で引き寄せられた反応前駆体として
のイオンが、直流電圧印加時に、出来るだけ反応消費さ
れるように、電圧値、パルス幅およびパルス間隔を処理
溶液性状に合わせ設定するのが望ましい。
【0017】一方、直流正電圧成分の電気信号は、正パ
ルス高電圧成分の電気信号の印加後に、前記正パルス高
電圧成分の電気信号で引き寄せられたイオンが、濃度拡
散により水溶液中に拡散し、電気二重層を形成していた
電極の電荷が解放されてしまうのを防止すると共に電気
化学反応に寄与させる。つまり、回路的には、正パルス
高電圧成分の電気信号の印加後に陽極部材と陰極部材と
の間を結ぶ電源側に流れる逆電流を阻止する直流電圧分
を印加しておくことによって、電極板に溜まった電荷が
電源側に逆電流として流れず、水溶液側の電気化学反応
に寄与させることが出来る。
【0018】すなわち、本発明の電気化学反応制御方法
では、電気二重層が形成される時間だけの正パルス高電
圧成分の電気信号を印加して、反応前駆体となるイオン
を電極表面近傍に濃縮させ、正パルス高電圧成分の電気
信号印加後に、目的とする反応生成に適した電気化学的
電位以上の直流電圧成分の電気信号を電極に印加する。
そのため、正パルス高電圧成分の電気信号印加時に電気
二重層として電極表面側に貯められた電荷を、電極表面
側に保持し、電気化学反応に寄与させることが出来る。
【0019】この直流電圧成分の電気信号印加時は、正
パルス高電圧成分の電気信号印加時に電極に溜まった電
荷による逆電流を抑え、この間の電源側からの電流供給
は殆んどなく、非常に効率よく電力を電気化学反応に寄
与させることが出来る。なお、電源からの供給電力は、
電圧×電流である。直流正電圧成分のみの場合は、電源
からの電流はゼロに近い値に調整出来るため、この間の
電力供給はほとんど無い状態に出来る。
【0020】そのため、本発明の電気化学反応制御方法
によれば、正パルス高電圧成分の電気信号による電力供
給だけが必要であるため、少ない電力消費で、効率よく
電気化学反応を行わせることが出来るようになる。
【0021】また、つぎの発明による電気化学反応制御
方法は、処理対象の水溶液を貯水する反応槽内に設置し
た陽極部材と陰極部材との間に、正パルス高電圧成分と
直流正電圧成分とを重ね合わせた電気信号を電力増幅し
て印加し、前記正パルス高電圧成分の電気信号の印加に
よって、前記陽極部材と前記陰極部材と、前記陽極部材
と前記陰極部材との間に配置したフローティング電極部
材と、水溶液との界面に電気二重層を形成させていき、
前記直流正電圧成分の電気信号の印加によって、前記陽
極部材界面近傍と前記陰極部材界面近傍と前記フローテ
ィング電極部材界面近傍の水溶液を電気化学反応させる
ことを特徴とする。
【0022】この構成によれば、正パルス高電圧成分の
パルス幅分だけの電圧が陽極部材および陰極部材間に印
加されたときにだけ、水溶液の陰イオンを陽極部材表
面、およびフローティング電極部材の陰極部材側表面
に、水溶液中の陽イオンを陰極部材表面、およびフロー
ティング電極部材の陽極部材側表面に引き寄せ水溶液と
の界面に電気二重層を形成させ、その直後に、直流正電
圧を印加することによって、電気二重層を形成した状態
で、電気化学反応させることが出来るようになる。
【0023】特に、フローティング電極部材は陽極部材
と陰極部材との間に配置して電気的に浮遊した状態で設
置する場合には、正パルス高電圧成分の電気信号の印加
時には、フローティング電極部材の両面に電気二重層が
形成されるため、フローティング電極部材を配置しない
場合に比べて、回路的にみた電気二重層による静電容量
が大きくなり蓄えられる電荷量が増大する。その結果、
正パルス高電圧成分の電気信号印加後に印加する直流正
電圧成分の電気信号の電圧値を、陽極部材と陰極部材だ
けの場合に比べ高く設定することが出来る。
【0024】また、フローティング電極部材の電圧は、
電極材料、陽極部材に印加される直流正電圧成分値によ
り決められるため、これらを考慮して直流正電圧成分の
電気信号の電圧値を所定の値に設定すればよい。このよ
うに設定することにより、フローティング電極部材と陽
極部材との間にある水溶液に対して、フローティング電
極部材の電圧と、陽極部材の電圧との間で電気化学反応
を制御することが出来る。
【0025】つぎの発明による電気化学反応制御方法
は、さらに、前記フローティング電極部材と前記陰極部
材との間の電圧波形を計測し、前記正パルス高電圧成分
前後の直流正電圧成分のみの電気信号が印加されている
時の前記フローティング電極部材と前記陰極部材との間
の電圧を所定値となるように印加する電気信号の前記直
流正電圧成分値を可変するようにしたことを特徴とす
る。
【0026】この構成によれば、フローティング電極部
材の電圧波形を計測して、直流正電圧成分の電圧値を可
変することによって、正パルス高電圧成分前後の電圧を
所定値となるように印加する電気信号を設定することが
出来る。そのため、所定の電圧値で多く電気化学反応す
るイオンをターゲットにして、直流正電圧成分を設定す
ることによって、他のイオンに優先して目的とするイオ
ンを電気化学反応させることが出来る。たとえば、環境
ホルモンを含有する排水に対して、分解に適した活性種
を効率良く生成する電圧値に直流正電圧成分を設定する
ことによって、環境ホルモンを容易に分解除去すること
が出来るようになる。
【0027】つぎの発明による電気化学反応制御方法
は、さらに、前記フローティング電極部材と前記陰極部
材との間に印加する電圧値を設定し、前記フローティン
グ電極部材と前記陰極部材との間に設定された電圧値を
印加するようにしたことを特徴とする。
【0028】この構成によれば、前記フローティング電
極部材と前記陰極部材との間に設定された電圧値を印加
するようにしたことによって、前記フローティング電極
部材の界面近傍での電気化学反応を制御することが出来
るようになる。
【0029】つぎの発明による電気化学反応制御方法
は、さらに、電力増幅された電気信号の電流波形を計測
し、前記正パルス高電圧成分前後の前記直流正電圧成分
のみの電気信号が印加されている時の電流値をゼロに近
い値になるように印加する電気信号の前記直流正電圧成
分値を可変させていくことを特徴とする。
【0030】この構成によれば、電流値が0のところで
は電力消費がなく、たとえば、数mAなどのように0に
近い値であっても電力消費はかなり少なく抑えられ電気
化学反応のコストを低減することが出来る。
【0031】つぎの発明による電気化学反応制御方法
は、前記正パルス高電圧成分が、前記電気二重層が形成
されるパルス幅およびピーク電圧を有し、または、前記
電気二重層が形成されるのに十分な時間である100ミ
リ秒以下のパルス幅を有するようにするのが好ましい。
【0032】この構成によれば、水溶液内部に電界を発
生させて効率よく反応前駆体となるイオンを電極表面に
引き寄せ、さらに、電気二重層の静電容量分の電荷を電
極に蓄積させることが出来る。
【0033】電極に電圧が印加されてからの電気二重層
の形成は、水溶液中のイオンの移動に伴って起こるた
め、電気二重層が形成されるまでの時間は、対象とする
水溶液のpH、導電率、イオン種、濃度に依存し、マイ
クロ秒〜数十ミリ秒となることが実験で確かめられてい
る。また、この時間内では、電気二重層による電気シー
ルドが不十分であるため、水溶液内部まで電界が掛か
り、反応前駆体の物質移動を促進させることが出来る。
【0034】従って、電気二重層が形成されるまでの時
間幅であるマイクロ秒〜数十ミリ秒のパルス高電圧を印
加すれば、水溶液内部に電界を発生させ効率よく反応前
駆体となるイオンを電極表面に引き寄せ、さらに、電気
二重層の静電容量分の電荷を電極に蓄積させることが出
来る。
【0035】なお、前記直流正電圧成分は、2つの前記
正パルス高電圧成分間に印加され、電極部材と水溶液と
の界面近傍に集められた反応前駆体が、前記界面近傍か
ら水溶液中に濃度拡散によって減少するのを防止すると
共に電気化学反応するのに必要な電圧とする。また、前
記正パルス高電圧成分と前記直流正電圧成分との重ね合
わせは、各成分の関数波形同士を重ね合わせて発生させ
たり、各成分を交互に出力することによって発生させた
りするようにしてもよい。さらに、前記陽極部材の電
圧、または、前記フローティング電極部材の電圧が、前
記直流正電圧成分によって、目的とする反応生成に適し
た電気化学的電位を少なくとも有するのが好ましい。
【0036】つぎの発明による電気化学反応制御方法
は、Mgイオン、ZnイオンまたはCaイオンの少なく
とも一つを処理対象の水溶液に注入させて電気化学反応
させるようにしたことを特徴とする。
【0037】この構成によれば、Mgイオン、Znイオ
ンまたはCaイオンの少なくとも一つを処理対象の水溶
液中に共存させることが出来るため、これらのイオンに
よって反応生成が促進され、さらに生成した酸化体(酸
化活性種)も安定して維持させることが出来る。
【0038】つぎの発明による電気化学反応制御方法
は、Mg、ZnまたはCaの少なくとも一つを含有した
鉱石、またはこれらの元素を含有した化合物を反応槽内
に投入して、Mgイオン、ZnイオンまたはCaイオン
の少なくとも一つを処理対象の水溶液中に溶出させるよ
うにしたことを特徴とする。なお、鉱石としては、医王
石(学名:石英閃緑玲岩)、麦飯石(学名:石英斑
岩)、トルマリン(学名:電気石)、宙石(学名:三波
変成岩)等でよい。
【0039】この構成によれば、Mgイオン、Znイオ
ンまたはCaイオンの少なくとも一つを処理対象の水溶
液中に、溶出していくことによって共存させることが出
来るため、これらのイオンによって反応生成が促進さ
れ、さらに生成した酸化体(酸化活性種)も安定して維
持させることが出来る。
【0040】さらに、つぎの発明による電気化学反応装
置は、処理対象の水溶液を貯水する反応槽と、前記反応
槽内に設置する陽極部材と、前記反応槽内に設置する陰
極部材と、正パルス高電圧成分と直流正電圧成分とを重
ね合わせた電気信号を発生する関数発生器と、前記陽極
部材と前記陰極部材との間に、前記電気信号を電力増幅
して印加する電力増幅器と、を有し、前記正パルス高電
圧成分の電気信号の印加によって、前記陽極部材と前記
陰極部材と水溶液との界面に電気二重層を形成させてい
き、前記直流正電圧成分の電気信号の印加によって、前
記陽極部材近傍と前記陰極部材近傍の水溶液を電気化学
反応させることを特徴とする。
【0041】この構成によれば、正パルス高電圧成分の
パルス時間幅の間だけ、印加された正パルス高電圧によ
り、反応槽内の水溶液の陰イオンを陽極部材表面に引き
寄せ、水溶液との界面に電気二重層が形成され、その直
後に、直流正電圧を印加することによって引き寄せた陰
イオンが水溶液中に濃度拡散によって減少していく前
に、電気化学反応させることが出来るようになる。従っ
て、過電圧による供給電力の無駄を低減して希望する物
質生成をより効率的に行なうことが出来るようになる。
【0042】つぎの発明による電気化学反応装置は、処
理対象の水溶液を貯水する反応槽と、前記反応槽内に設
置する陽極部材と、前記反応槽内に設置する陰極部材
と、前記陽極部材と前記陰極部材との間に配置したフロ
ーティング電極部材と、正パルス高電圧成分と直流正電
圧成分とを重ね合わせた電気信号を発生する関数発生器
と、前記陽極部材と前記陰極部材との間に、前記電気信
号を電力増幅して印加する電力増幅器と、を有し、前記
正パルス高電圧成分の電気信号の印加によって、前記陽
極部材と前記陰極部材と前記フローティング電極部材と
水溶液との界面に電気二重層を形成させていき、前記直
流正電圧成分の電気信号の印加によって、前記陽極部材
界面近傍と前記陰極部材界面近傍と前記フローティング
電極部材界面近傍の水溶液が電気化学反応されることを
特徴とする。
【0043】この構成によれば、正パルス高電圧成分の
パルス幅分だけの電圧が陽極部材および陰極部材間に印
加されたときにだけ、水溶液の陰イオンを陽極部材表
面、およびフローティング電極部材の陰極部材側表面
に、水溶液中の陽イオンを陰極部材表面、およびフロー
ティング電極部材の陽極部材側表面に引き寄せ水溶液と
の界面に電気二重層を形成させ、その直後に、直流正電
圧を印加することによって、電気二重層を形成した状態
で、電気化学反応させることが出来るようになる。
【0044】特に、フローティング電極部材は陽極部材
と陰極部材との間に配置して電気的に浮遊した状態で設
置するため、正パルス高電圧成分の電気信号の印加時に
は、フローティング電極部材の両面に電気二重層が形成
され、フローティング電極部材を配置しない場合に比べ
て、回路的にみた電気二重層による静電容量が大きくな
り、蓄えられる電荷量が増大する。その結果、正パルス
高電圧成分の電気信号印加後に印加する直流正電圧成分
の電気信号の電圧値を、陽極部材と陰極部材だけの場合
に比べ高く設定することが出来る。
【0045】つぎの発明による電気化学反応装置は、さ
らに、前記フローティング電極部材と前記陰極部材との
間の電圧波形を計測する電圧波形計測器を有し、前記関
数発生器は、前記正パルス高電圧成分前後の前記直流正
電圧成分のみの電気信号が印加されている時の前記フロ
ーティング電極部材と前記陰極部材との間の電圧を所定
値となるように印加する前記直流正電圧成分値を可変さ
せて前記電気信号を発生することを特徴とする。
【0046】この構成によれば、フローティング電極部
材の電圧波形を計測して、直流正電圧成分の電圧値を可
変することによって、正パルス高電圧成分前後の電圧を
所定値となるように印加する電気信号を設定することが
出来る。そのため、所定の電圧値で多く電気化学反応す
るイオンをターゲットにして、直流正電圧成分を設定す
ることによって、他のイオンに優先して目的とするイオ
ンを電気化学反応させることが出来る。たとえば、環境
ホルモンを含有する排水に対して、分解に適した活性種
を効率良く生成する電圧値に直流正電圧成分を設定する
ことによって、環境ホルモンを容易に分解除去すること
が出来るようになる。
【0047】つぎの発明による電気化学反応装置は、さ
らに、前記フローティング電極部材と前記陰極部材との
間に印加する電圧値を設定し、前記フローティング電極
部材と前記陰極部材との間に設定された電圧値を印加す
る電圧発生器と、前記フローティング電極部材と前記電
圧発生器との間に接続した高抵抗器とを有することを特
徴とする。
【0048】この構成によれば、前記フローティング電
極部材と前記陰極部材との間に設定された電圧値を印加
するようにしたことによって、前記フローティング電極
部材の界面近傍での電気化学反応を制御することが出来
るようになる。
【0049】つぎの発明による電気化学反応装置は、電
力増幅された電気信号の電流波形を計測する電流波形計
測器を有し、前記関数発生器は、正パルス高電圧成分前
後の直流正電圧成分のみの電気信号が印加されている時
の電流値をゼロに近い値になるように直流正電圧成分値
を可変させて前記電気信号を発生することを特徴とす
る。
【0050】この構成によれば、電流値が0のところで
は電力消費がなく、電流値が少なくとも0でなくても、
たとえば、数mAなどのように0に近い値であっても電
力消費はかなり少なく抑えられ、電気化学反応のために
与える電力量を少なくすることができ、電気化学反応の
コストを低減することが出来る。
【0051】つぎの発明による電気化学反応装置は、前
記関数発生器が、電極部材と水溶液界面に電気二重層が
形成されるパルス幅およびピーク電圧を有する前記正パ
ルス高電圧成分を発生し、または、前記電気二重層が形
成されるのに十分な時間である100ミリ秒以下のパル
ス幅となる前記正パルス高電圧成分を発生するようにす
る。
【0052】この構成によれば、電気二重層が形成され
るまでの時間幅であるマイクロ秒〜数十ミリ秒の間だけ
正パルス高電圧を印加することによって、水溶液内部に
電界を発生させ効率よく反応前駆体となるイオンを電極
表面に引き寄せ、さらに、電気二重層の静電容量分の電
荷を電極に蓄積させることが出来る。その後、印加され
る直流正電圧成分によって電気化学反応が引き起こされ
る時間には、高電圧が印加されないため、電力消費を抑
えることが出来る。
【0053】つぎの発明による電気化学反応装置は、前
記陰極部材と前記フローティング電極部材との間から反
応槽内へ水溶液を流入する陰極側流入手段と、流入され
た水溶液が前記フローティング電極部材と前記陽極部材
との間を通って反応槽外へ流出する陽極側流出手段と、
を有することを特徴とする。
【0054】この構成によれば、反応場となっている陽
極部材とフローティング電極部材との間の水溶液を強制
的に循環させるため、反応効率が上がる。
【0055】つぎの発明による電気化学反応装置は、前
記陽極部材と前記フローティング電極部材との間から反
応槽内へ水溶液を流入する陽極側流入手段と、流入され
た水溶液が前記フローティング電極部材と前記陰極部材
との間を通って反応槽外へ流出する陰極側流出手段と、
を有することを特徴とする。
【0056】この構成によれば、反応場となっている陽
極部材とフローティング電極部材との間の水溶液を強制
的に循環させるため、反応効率が上がる。
【0057】つぎの発明による電気化学反応装置は、前
記フローティング電極部材が、前記陽極部材と前記陰極
部材の中間位置よりも前記陽極部材側に配置させること
を特徴とする。
【0058】この構成によれば、陽極部材とフローティ
ング電極部材間の電界強度をフローティング電極部材と
陰極部材間の電界強度より高めることが出来る。そのた
め、フローティング電極部材と陰極部材間での反応を抑
制しつつ、陽極部材とフローティング電極部材間の反応
を積極的に進めることが出来るようになる。
【0059】なお、本発明の電気化学反応装置は、前記
陽極部材と、前記陰極部材とを平板形状とし、互いを平
行に配置したり、前記陽極部材と、前記陰極部材とを筒
形状とし、前記陰極部材を中心部に配置し、前記陽極部
材を外周側に断面同心状に配置して、互いを軸対称に配
置したりしてもよい。
【0060】また、本発明の電気化学反応装置は、前記
陽極部材と、前記陰極部材と、前記フローティング電極
部材とを平板形状とし、互いを平行に配置したり、前記
陽極部材と、前記陰極部材と、前記フローティング電極
部材とを筒型形状とし、前記陰極部材を中心部に配置
し、前記陰極部材の外周側に断面同心状にフローティン
グ電極部材を配置し、さらに、前記フローティング電極
部材の外周側に断面同心状に前記陽極部材を配置して、
互いを軸対称に配置したりしてもよい。
【0061】なお、各電極部材は、平板形状に配置する
よりも、筒型形状に配置するのが好ましい。筒型形状に
することにより、外周部に位置する陽極部材とフローテ
ィング電極部材との領域体積を、フローティング電極部
材と陰極部材との領域体積に比べて大きくすることが出
来、陽極部材とフローティング電極部材との間での電気
化学反応を起こさせる領域の体積を大きくすることが出
来るからである。また、筒型形状は、断面の形状が円、
楕円などの形状でもよい。
【0062】つぎの発明による電気化学反応装置は、前
記陽極部材に液循環孔を設けたことを特徴とする。特
に、前記液循環孔は、前記陽極部材をメッシュ構造とす
るのが好ましい。
【0063】この構成によれば、反応場となっている陽
極部材とフローティング電極部材の間にある水溶液循環
を容易にすることが出来るため、反応効率が上がる。
【0064】なお、前記関数発生器は、前記関数発生器
は、2つの前記正パルス高電圧成分間に、電極部材と水
溶液との界面近傍に集められた反応前駆体が前記界面近
傍から水溶液中に濃度拡散させて減少するのを防止する
と共に電気化学反応させる電圧値を前記直流正電圧成分
として印加するのが好ましい。また、前記関数発生器
は、前記正パルス高電圧成分と前記直流正電圧成分との
関数波形同士を重ね合わせて前記電気信号を発生させた
り、前記正パルス高電圧成分と前記直流正電圧成分の各
成分を交互に出力することによって前記電気信号を発生
させたりするように、前記正パルス高電圧成分と前記直
流正電圧成分との重ね合わせるようにしてもよい。さら
に、前記関数発生器は、前記陽極部材の電圧、または、
前記フローティング電極部材の電圧が、前記直流正電圧
によって、目的とする反応生成に適した電気化学的電位
になるように前記電気信号を発生させるのが好ましい。
【0065】つぎの発明による電気化学反応装置は、さ
らに、Mgイオン、ZnイオンまたはCaイオンの少な
くとも一つを処理対象の水溶液中に注入するイオン注入
手段を有することを特徴とする。
【0066】この構成によれば、Mgイオン、Znイオ
ンまたはCaイオンの少なくとも一つを処理対象の水溶
液中に共存させることが出来るため、これらのイオンに
よって反応生成が促進され、さらに生成した酸化体(酸
化活性種)も安定して維持さることが出来る。
【0067】つぎの発明による電気化学反応装置は、さ
らに、Mg、ZnまたはCaの少なくとも一つを含有し
た鉱石、またはこれらの元素を含有した化合物を反応槽
内に投入して、Mgイオン、ZnイオンまたはCaイオ
ンの少なくとも一つを処理対象の水溶液中に溶出させる
投入手段を有することを特徴とする。なお、鉱石として
は、医王石(学名:石英閃緑玲岩)、麦飯石(学名:石
英斑岩)、トルマリン(学名:電気石)、宙石(学名:
三波変成岩)等でよい。
【0068】この構成によれば、Mgイオン、Znイオ
ンまたはCaイオンの少なくとも一つを処理対象の水溶
液中に、溶出していくことによって共存させることが出
来るため、これらのイオンによって反応生成が促進さ
れ、さらに生成した酸化体(酸化活性種)も安定して維
持させることが出来る。
【0069】また、本発明による電気化学反応装置は、
前記陽極部材および前記フローティング電極部材を白金
で形成した導体または白金めっきを施した導体とし、前
記陰極部材を銅タングステンで形成した導体としてもよ
い。また、本発明による電気化学反応装置は、前記陽極
部材を白金で形成した導体または白金めっきを施した導
体とし、前記フローティング電極部材をチタンで形成し
た導体とし、前記陰極部材を銅タングステンで形成した
導体としてもよい。
【0070】さらに、本発明による電気化学反応装置
は、前記陽極部材および前記フローティング電極部材導
体を白金で形成した導体または白金めっきを施した導体
とし、前記陰極部材をチタンで形成した導体としてもよ
い。また、本発明による電気化学反応装置は、前記陽極
部材をチタンで形成した導体とし、前記フローティング
電極部材を白金で形成した導体または白金めっきを施し
た導体とし、前記陰極部材を銅タングステンで形成した
導体としてもよい。なお、前記白金めっきは、チタン板
に施すようにしてもよい。
【0071】
【発明の実施の形態】以下、本発明につき図面を参照し
つつ詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発
明が限定されるものではない。 (実施の形態1)図1は、本発明の実施の形態1の電気
化学反応装置の概念を説明する図である。100は、電
気化学反応装置である。この電気化学反応装置100
は、反応槽1内に、処理対象の水溶液2(以下「処理
液」という。)を貯水し、この処理液2に浸るように平
板形状の陰極部材3と陽極部材4とを平行に対面配置し
た構造にしてある。また、この電気化学反応装置100
には、前記陰極部材3と前記陽極部材4との間に電圧を
印加するために、関数発生器5および電力増幅器6が設
けられている。
【0072】なお、電力増幅器6としては、入力された
電圧信号を一定倍率で増幅し、負荷に応じた電流を供給
するものと、入力された電圧信号に対し、電流のみを負
荷に応じて増幅するものがあるがどちらを使用しても良
い。ここでは、説明を正確にするために、電圧値は関数
発生器5で与えられ、電力増幅器6は、電圧値は関数発
生器5の出力値とし、電流のみを負荷に応じて増幅する
装置を使用することとして以下説明する。
【0073】前記関数発生器5は、正パルス高電圧成分
および直流正電圧成分をそれぞれ生成して互いを重ね合
わせた電気信号を前記電力増幅器6に出力する。なお、
前記正パルス高電圧成分の電圧値と直流正電圧成分の電
圧値は、電気化学反応させるのに必要な所定の値であ
り、オペレータが設定する。また、前記電力増幅器6
は、前記関数発生器5から出力される前記電気信号に対
し電流増幅し前記陰極部材3と前記陽極部材4との間に
印加させる。そのため、前記陰極部材3は、前記電力増
幅器6のマイナス端子に接続されている。前記陽極部材
4は、前記電力増幅器6のプラス端子に接続されてい
る。
【0074】図2は、正パルス高電圧成分と直流正電圧
成分との重ね合わせ電気信号波形を説明する図である。
図3は、正パルス高電圧成分のみの電気信号波形を説明
する図である。図2の(a)に示すように、正パルス高
電圧成分と直流正電圧成分とを重ね合わせた電気信号波
形は、直流正電圧成分の分だけ、図3の(a)に示す正
パルス高電圧成分のみの電気信号よりも上側に移動した
グラフとなっている。なお、正パルス高電圧成分は、所
定のパルス幅が必要である。
【0075】このパルス幅は、電気二重層が形成される
時間だけの幅があればよい。この電気二重層が形成され
る時間は、陰極部材3および陽極部材4間に電圧が印加
されているときに、処理液2中のイオンが移動していく
場合の処理液2のpH、導電率、イオン種、濃度に依存
する。具体的には、マイクロ秒〜数十ミリ秒となること
が実験で確かめられている。この時間内では、電気二重
層による電気シールドが不十分であるため、処理液2内
部まで電界が掛かり、反応前駆体としてのイオンの物質
移動を促進させることが出来る。つまり、上述したパル
ス幅であれば、処理液2内部に電界を発生させ効率よく
反応前駆体としてのイオンを電極部材表面に引き寄せ、
さらに、このとき印加された正パルス高電圧による電力
は、電気二重層の静電容量分の電荷として電極に蓄積さ
せるのに十分な時間である。
【0076】なお、正電圧パルス成分のピーク電圧は、
高くするほどイオン移動度が大きくなるため、電気二重
層形成時間を短縮出来ると共に、電気二重層を構成する
イオンを高濃度に出来るため、10[V]以上に設定する
のが好ましい。しかしながら、あまりに高い電圧値で
は、印加後に電気化学反応に寄与できないものは、水溶
液側に濃度拡散してしまい無駄になってしまうため、正
パルス高電圧成分の電気信号で引き寄せられた反応前駆
体が、直流正電圧成分の電気信号印加時に、出来るだけ
反応消費されるように、電圧値、パルス幅およびパルス
間隔を処理溶液に合わせ設定するのが望ましい。
【0077】一方、直流正電圧成分のみの電気信号のと
き、つまり、次の正パルス高電圧が印加されるまでの時
間帯では、直流電圧成分の電圧値によって目的とするイ
オンが電気化学反応するのに十分な電圧が掛けられてい
るため、電気二重層によって陽極部材4の表面側に引き
寄せられたイオンを電気化学反応させることになる。こ
のとき、直流電圧成分の電気信号は、前記正パルス高電
圧成分の電気信号で引き寄せられたイオンが、濃度拡散
により処理液2中に拡散し、電気二重層を形成していた
電極の電荷が解放されてしまうのを防止する。つまり、
回路的には、正パルス高電圧成分の電気信号の印加後に
陽極部材4と陰極部材3との間を結ぶ電源側に流れる逆
電流を阻止する直流電圧分を印加することになる。従っ
て、陽極部材4に溜まった電荷が電源側に逆電流として
流れないため、直流正電圧成分の電気信号は、処理液2
側の電気化学反応に寄与することになる。
【0078】つまり、図3の(b)に示すように、正パ
ルス高電圧成分のみの電流波形では、正パルス高電圧停
止時の電流値が負となって、逆電流が流れている。しか
し、図2の(b)に示すように、正パルス高電圧成分と
直流正電圧成分とを重ね合わせた場合の電流波形は、直
流正電圧成分によって、正パルス高電圧停止時の電流値
が0となるように制御することになる。
【0079】上記実施の形態1の電気化学反応装置によ
れば、正パルス高電圧成分のパルス幅分だけの電圧が陽
極部材および陰極部材間に印加されたときにだけ、反応
槽内の水溶液の陰イオンを陽極部材表面に引き寄せると
共に、その間の電力は電気二重層を形成することによる
電荷として蓄える。その直後に直流正電圧を印加するこ
とによって、引き寄せたイオンを陽極部材表面側で、電
気化学反応させることが出来るようになる。従って、こ
の電気化学反応装置では、正パルス高電圧成分の電気信
号の印加時に電力消費するように構成することが出来る
ため(図2の(b)に示すように、電流=0となるよう
に設定)、電気化学反応を低コストで実施することが出
来るようになる。
【0080】(実施の形態2)図4は、本発明の実施の
形態2の電気化学反応装置の概念を説明する図である。
200は、電気化学反応装置である。この電気化学反応
装置200は、反応槽1内に、処理対象の水溶液2(以
下「処理液」という。)を貯水し、この処理液2に浸る
ように平板形状の陰極部材3と陽極部材4とフローティ
ング電極部材7とを平行に対面配置した構造にしてあ
る。また、この電気化学反応装置200には、前記陰極
部材3と前記陽極部材4との間に電圧を印加するため
に、関数発生器5および電力増幅器6が設けられてい
る。
【0081】前記関数発生器5は、正パルス高電圧成分
および直流正電圧成分をそれぞれ生成して互いを重ね合
わせた電気信号を前記電力増幅器6に出力する。なお、
前記正パルス高電圧成分の電圧値と直流正電圧成分の電
圧値は、電気化学反応させるのに必要な所定の値であ
り、オペレータが設定する。また、前記電力増幅器6
は、前記関数発生器5から出力される前記電気信号に対
して電流増幅して前記陰極部材3と前記陽極部材4との
間に印加させる。そのため、前記陰極部材3は、前記電
力増幅器6のマイナス端子に接続されている。前記陽極
部材4は、前記電力増幅器6のプラス端子に接続されて
いる。
【0082】また、前記フローティング電極部材7は、
電力供給の電源側つまり電力増幅器6には接続されてお
らず、電気的に浮いた状態になっている。このフローテ
ィング電極部材7は、陽極部材4と陰極部材3間に電圧
が印加されると、両面に電気二重層を形成することにな
る。つまり、フローティング電極部材7の陽極部材4側
の面および陰極部材3側の面の両面側に電気二重層が形
成される。従って、フローティング電極部材7は、陽極
部材4との間に静電容量を有し、また、陰極部材3との
間にも静電容量を有することになる。
【0083】そして、図に示すように、陽極部材4側で
電気化学反応をさせることを目的とする場合には、フロ
ーティング電極部材7は、陽極部材4と陰極部材3の中
間位置よりも陽極部材4側に配置するのが好ましい。
【0084】このようにフローティング電極部材7を配
置させることによって、フローティング電極部材7を配
置しない前記電気化学反応装置100の場合に比べて、
回路的にみた電気二重層による静電容量を増加させるこ
とが出来、蓄えられる電荷量が増大する。その結果、正
パルス高電圧成分の電気信号印加後に印加する直流正電
圧成分の電気信号の電圧値を、陽極部材と陰極部材だけ
の場合に比べ高く設定することが出来る。
【0085】また、フローティング電極部材7の電圧
は、電極材料、陽極部材との間に印加される直流正電圧
成分値により決められるため、これらを考慮して直流正
電圧成分の電気信号の電圧値を所定の値に設定すればよ
い。このように設定することにより、フローティング電
極部材と陽極部材との間にある水溶液に対して、フロー
ティング電極部材の電圧と、陽極部材の電圧との間で電
気化学反応を制御することが出来る。
【0086】上記実施の形態2の電気化学反応装置によ
れば、正パルス高電圧成分のパルス幅分だけの電圧が陽
極部材および陰極部材間に印加されたときにだけ、反応
槽内の水溶液のイオンを陽極部材表面に引き寄せ、直流
正電圧を印加することによって引き寄せたイオンを陽極
部材表面側に集めて電気二重層を形成した状態で、電気
化学反応させることが出来るようになる。特に、フロー
ティング電極部材が、電気二重層による静電容量に蓄え
られる電荷量を増加させるため、正パルス高電圧成分の
電気信号印加後に印加する直流正電圧成分の電気信号の
電圧値を、陽極部材と陰極部材だけの場合に比べ高く設
定することができ、電気化学反応に高い電圧が必要な物
質に対しても少ない電力で反応させることが出来る。従
って、この電気化学反応装置では、正パルス高電圧成分
の電気信号の印加時に電力消費するように構成すること
が出来るため、電気化学反応を低コストで実施すること
が出来るようになる。
【0087】(実施の形態3)図5は、本発明の実施の
形態3の電気化学反応装置の概念を説明する図である。
300は、電気化学反応装置である。この電気化学反応
装置300は、反応槽11内に、処理対象の水溶液2
(以下「処理液」という。)を貯水し、この処理液2に
浸るように円筒型形状の陰極部材13と陽極部材14と
フローティング電極部材17とを同心円状に軸対象に配
置した構造にしてある。特に、フローティング電極部材
17は、反応槽11の軸上に配置した陰極部材13と、
反応槽11のすぐ内側に配置した陽極部材14との間に
配置されている。なお、図5では、電極部材を一つの円
筒型電極として図示してあるが、数分割に電極部材を分
割して設置した構造としても構わない。また、反応槽1
1は、円筒型形状の場合を図示してあるが、反応槽11
の形に関しては、円筒型に限定されるものではなく直方
型であっても構わない。
【0088】各径は、大きい順に、反応槽11、陽極部
材14、フローティング電極部材17、陰極部材13と
なっている。また、この電気化学反応装置300には、
前記陰極部材13および前記陽極部材14に電圧を印加
するために、関数発生器5および電力増幅器6が設けら
れている。
【0089】前記関数発生器5は、正パルス高電圧成分
および直流正電圧成分をそれぞれ生成して互いを重ね合
わせた電気信号を前記電力増幅器6に出力する。なお、
前記正パルス高電圧成分の電圧値と直流正電圧成分の電
圧値は、電気化学反応させるのに必要な所定の値であ
り、オペレータが設定する。また、前記電力増幅器6
は、前記関数発生器5から出力される前記電気信号に対
し電流増幅して前記陰極部材13と前記陽極部材14と
の間に印加させる。そのため、前記陰極部材13は、前
記電力増幅器6のマイナス端子に接続されている。前記
陽極部材14は、前記電力増幅器6のプラス端子に接続
されている。
【0090】また、前記フローティング電極部材17
は、電力供給の電源側つまり電力増幅器6には接続され
ておらず、電気的に浮いた状態になっている。このフロ
ーティング電極部材17は、陽極部材14と陰極部材1
3間に電圧が印加されると、両面に電気二重層を形成す
ることになる。つまり、フローティング電極部材17の
陽極部材14側の面および陰極部材13側の面の両面側
に電気二重層が形成される。従って、フローティング電
極部材17は、陽極部材14との間に静電容量を有し、
また、陰極部材13との間にも静電容量を有することに
なる。
【0091】なお、陽極部材14側で電気化学反応をさ
せることを目的とする場合には、フローティング電極部
材17の径は、陽極部材14と陰極部材13の中間位置
(径)よりも大きくして、陽極部材14側に配置するの
が好ましい。このようにフローティング電極部材17を
配置させることによって、フローティング電極部材17
を配置しない前記電気化学反応装置100の場合に比べ
て、回路的にみた電気二重層による静電容量に蓄えられ
る電荷量が増大する。その結果、正パルス高電圧成分の
電気信号印加後に印加する直流正電圧成分の電気信号の
電圧値を、陽極部材と陰極部材だけの場合に比べ高く設
定することが出来る。
【0092】また、フローティング電極部材17の電圧
は、電極材料、陽極電圧に印加される直流正電圧成分値
により決められるため、これらを考慮して直流正電圧成
分の電気信号の電圧値を所定の値に設定すればよい。こ
のように設定することにより、フローティング電極部材
と陽極部材との間にある水溶液に対して、フローティン
グ電極部材の電圧と、陽極部材の電圧との間で電気化学
反応を制御することが出来る。
【0093】また、この電気化学反応装置300では、
陰極部材13、陽極部材14、フローティング電極部材
17を円筒型形状としたため、上述した平板形状の陰極
部材3、陽極部材4、フローティング電極部材7の場合
に比べて、陽極部材とフローティング電極部材との間隔
と、フローティング電極部材と陰極部材との間隔の比が
同じ場合でも、外周部に位置する陽極部材とフローティ
ング部材との電気化学反応の起きる反応場の体積を大き
くすることが出来る。
【0094】上記実施の形態3の電気化学反応装置によ
れば、正パルス高電圧成分のパルス幅分だけの電圧が陽
極部材および陰極部材間に印加されたときにだけ、反応
槽内の水溶液のイオンを陽極部材表面に引き寄せ、直流
正電圧を印加することによって引き寄せたイオンを陽極
部材表面側に集めて電気二重層を形成した状態で、電気
化学反応させることが出来るようになる。
【0095】特に、フローティング電極部材が、電気二
重層による静電容量に蓄えられる電荷量を増加させるた
め、正パルス高電圧成分の電気信号印加後に印加する直
流正電圧成分の電気信号の電圧値を、陽極部材と陰極部
材だけの場合に比べ高く設定することができ、電気化学
反応に高い電圧が必要な物質に対しても少ない電力で反
応させることが出来る。また、各電極の形状を円筒型形
状としたため、平板形状の場合に比べて反応場の体積を
大きくすることができ、効率よく電気化学反応を行わせ
ることが出来るようになる。従って、この電気化学反応
装置では、正パルス高電圧成分の電気信号の印加時に電
力消費するように構成することが出来るため、電気化学
反応を低コストで実施することが出来るようになる。
【0096】(実施の形態4)図6は、本発明の実施の
形態4の電気化学反応装置の概念を説明する図である。
400は、電気化学反応装置である。この電気化学反応
装置400は、反応槽1内に、処理対象の水溶液2(以
下「処理液」という。)を貯水し、この処理液2に浸る
ように平板形状の陰極部材3と陽極部材4とフローティ
ング電極部材7とを平行に対面配置した構造にしてあ
る。また、この電気化学反応装置400には、前記陰極
部材3および前記陽極部材4に電圧を印加するために、
関数発生器5および電力増幅器6が設けられている。さ
らに、この電気化学反応装置400には、入力インピー
ダンスが高い電圧波形計測器8(例えばオシロスコー
プ)を設けてある。この電圧波形計測器8は、フローテ
ィング電極部材7の陰極部材3に対する電圧波形を計測
する。
【0097】前記関数発生器5は、正パルス高電圧成分
および直流正電圧成分をそれぞれ生成して互いを重ね合
わせた電気信号を前記電力増幅器6に出力する。なお、
前記正パルス高電圧成分の電圧値と直流正電圧成分の電
圧値は、電気化学反応させるのに必要な所定の値であ
り、オペレータが設定する。また、前記電力増幅器6
は、前記関数発生器5から出力される前記電気信号に対
して電流増幅して前記陰極部材3と前記陽極部材4との
間に印加させる。そのため、前記陰極部材3は、前記電
力増幅器6のマイナス端子に接続されている。前記陽極
部材4は、前記電力増幅器6のプラス端子に接続されて
いる。
【0098】また、この関数発生器5は、正電圧パルス
成分前後の直流正電圧成分のみの電気信号が印加されて
いる時のフローティング電極部材の電圧を所定値となる
ように印加する電気信号の直流正電圧成分値を可変する
可変手段を有し、パルス高電圧印加後の直流正電圧成分
のみ印加している時間帯のフローティング電極部材7の
電圧を所定値にする電気信号を発生する。
【0099】また、前記フローティング電極部材7は、
電源側つまり電力増幅器6には接続されておらず、電気
的に浮いた状態になっている。このフローティング電極
部材7は、陽極部材4と陰極部材3間に電圧が印加され
ると、両面に電気二重層を形成することになる。つま
り、フローティング電極部材7の陽極部材4側の面およ
び陰極部材3側の面の両面側に電気二重層が形成され
る。従って、フローティング電極部材7は、陽極部材4
との間に静電容量を有し、また、陰極部材3との間にも
静電容量を有することになる。
【0100】フローティング電極部材7の電圧は、電極
材料、陽極電圧に印加される直流正電圧成分値により決
められるため、これらを考慮して直流正電圧成分の電気
信号の電圧値を所定の値に設定すればよい。このように
設定することにより、フローティング電極部材7と陽極
部材4との間にある水溶液に対して、フローティング電
極部材7の電圧と、陽極部材4の電圧との間で電気化学
反応を制御することが出来る。また、電圧波形計測器8
がフローティング電極部材7の電圧波形を計測すると、
その計測結果に基づいて、関数発生器5が、直流正電圧
成分の電圧値を可変することが出来るため、正パルス高
電圧成分前後の電圧を所定値となるように印加する電気
信号を設定することが出来る。
【0101】なお、実施の形態3の円筒型電極部材構造
型に適用しても良い。つまり、フローティング電極部材
7の陰極部材3に対する電圧波形を計測する電圧波形計
測器8を設け、本実施の形態4と同様に、電圧を制御す
るようにしてもよい。
【0102】上記実施の形態4の電気化学反応装置によ
れば、正パルス高電圧成分のパルス幅分だけの電圧が陽
極部材および陰極部材間に印加されたときにだけ、反応
槽内の水溶液のイオンを陽極部材表面に引き寄せ、直流
正電圧を印加することによって引き寄せたイオンを陽極
部材表面側に集めて電気二重層を形成した状態で、電気
化学反応させることが出来るようになる。特に、フロー
ティング電極部材が、電気二重層による静電容量に蓄え
られる電荷量を増加させるため、正パルス高電圧成分の
電気信号印加後に印加する直流正電圧成分の電気信号の
電圧値を、陽極部材と陰極部材だけの場合に比べ高く設
定することができ、電気化学反応に高い電圧が必要な物
質に対しても少ない電力で反応させることが出来る。
【0103】また、フローティング電極部材7の電圧波
形に基づいて、直流正電圧成分の電圧値を可変すること
が出来るため、正パルス高電圧成分前後の電圧を所定値
となるように印加する電気信号を設定することが出来
る。そのため、所定の電圧値で多く電気化学反応するイ
オンをターゲットにして、直流正電圧成分を設定するこ
とによって、他のイオンに優先して目的とするイオンを
電気化学反応させることが出来る。たとえば、環境ホル
モンを含有する排水に対して、分解に適した活性種を効
率良く生成する電圧値に直流正電圧成分を設定すること
によって、環境ホルモンを容易に分解除去することが出
来るようになる。従って、この電気化学反応装置では、
フローティング電極部材の電位を反応に適した電位にな
るように、直流正電圧成分を設定することによって正確
に調整出来るようになる。
【0104】(実施の形態5)図7は、本発明の実施の
形態5の電気化学反応装置の概念を説明する図である。
500は、電気化学反応装置である。この電気化学反応
装置500は、反応槽1内に、処理対象の水溶液2(以
下「処理液」という。)を貯水し、この処理液2に浸る
ように平板形状の陰極部材3と陽極部材4とフローティ
ング電極部材7とを平行に配置した構造にしてある。ま
た、この電気化学反応装置500には、前記陰極部材3
および前記陽極部材4に電圧を印加するために、関数発
生器5および電力増幅器6が設けられている。さらに、
この電気化学反応装置500には、電力増幅器6から供
給される電流値の電流波形を計測する電流波形計測器9
を設けてある。
【0105】前記関数発生器5は、正パルス高電圧成分
および直流正電圧成分をそれぞれ生成して互いを重ね合
わせた電気信号を前記電力増幅器6に出力する。なお、
前記正パルス高電圧成分の電圧値と直流正電圧成分の電
圧値は、電気化学反応させるのに必要な所定の値であ
り、オペレータが設定する。また、前記電力増幅器6
は、前記関数発生器5から出力される前記電気信号に対
し電流増幅して前記陰極部材3と前記陽極部材4との間
に印加させる。
【0106】そのため、前記陰極部材3は、前記電力増
幅器6のマイナス端子に接続されている。前記陽極部材
4は、前記電力増幅器6のプラス端子に接続されてい
る。また、この関数発生器5は、正パルス高電圧成分前
後の直流正電圧成分のみの電気信号が印加されている時
の電流値を0となるように印加する電気信号の直流正電
圧成分値を可変する電流可変手段を有し、パルス高電圧
印加後の直流正電圧成分のみ印加している時間帯の回路
に流れる電流値がゼロ近傍になるようにする電気信号を
発生する。
【0107】また、フローティング電極部材7の電圧
は、電極材料、陽極部材との間に印加される直流正電圧
成分値により決められるため、これらを考慮して直流正
電圧成分の電気信号の電圧値を所定の値に設定すればよ
い。このように設定することにより、フローティング電
極部材7と陽極部材4との間にある水溶液に対して、フ
ローティング電極部材7の電圧と、陽極部材4の電圧と
の間で電気化学反応を制御することが出来る。また、電
流波形計測器9が電力増幅器6および陰極部材3間の電
流波形を計測すると、その計測結果に基づいて、関数発
生器5が、正パルス高電圧成分前後の直流正電圧成分の
みの電気信号が印加されている時の電流値を0となるよ
うに、直流正電圧成分の電気信号を発生する。このと
き、電流値が0のところでは電力消費がないため、電気
化学反応のために与える電力量を少なくすることがで
き、電気化学反応のコストを低減することが出来る。な
お、電流波形計測器9は、陰極部材3と電力増幅器6と
の間に設置した場合を説明したが、回路に流れる電流を
計測出来る個所で有るならばどこでも良く陽極部材4と
電力増幅器6との間に設置してもよい。
【0108】なお、実施の形態3の円筒型電極部材構造
型に適用しても良い。つまり、電力増幅器6から供給さ
れる電流値の電流波形を計測する電流波形計測器9を設
け、本実施の形態5と同様に、電流を制御するようにし
てもよい。
【0109】上記実施の形態5の電気化学反応装置によ
れば、正パルス高電圧成分のパルス幅分だけの電圧が陽
極部材および陰極部材間に印加されたときにだけ、反応
槽内の水溶液のイオンを陽極部材表面に引き寄せ、直流
正電圧を印加することによって引き寄せたイオンを陽極
部材表面側に集めて電気二重層を形成した状態で、電気
化学反応させることが出来るようになる。
【0110】特に、フローティング電極部材が、電気二
重層による静電容量に蓄えられる電荷量を増加させるた
め、正パルス高電圧成分の電気信号印加後に印加する直
流正電圧成分の電気信号の電圧値を、陽極部材と陰極部
材だけの場合に比べ高く設定することができ、電気化学
反応に高い電圧が必要な物質に対しても少ない電力で反
応させることが出来る。また、電流値が0のところでは
電力消費がないため、電流波形によって制御すると、電
気化学反応のために与える電力量を少なくすることがで
き、電気化学反応のコストを低減することが出来る。従
って、この電気化学反応装置では、正パルス高電圧成分
の電気信号の印加時に電力消費するように構成すること
が出来るため、電気化学反応を低コストで実施すること
が出来るようになる。
【0111】つぎに、実験例1〜4を説明する。図8
は、本発明の電気化学反応装置の実験例1を示すグラフ
である。この実験例1は、前記実施の形態2の構成にお
いて、つぎの条件下とする。反応槽1は、断面:55
[mm]×115[mm]の箱型容器とする。処理液2は、
塩化ナトリウムを添加し導電率0.3[S/m]程度にし
た水溶液とする。陰極部材3、陽極部材4およびフロー
ティング電極部材7は、100[mm]×100[mm]の
チタン板に白金めっきを施したものとする。また、陽極
部材4と陰極部材3との間は40[mm]とし、その間に
フローティング電極部材7を挿入した。
【0112】図8の(a)に、フローティング電極―陰
極間電圧/時間のグラフを示す。図8の(b)に、陽極
―フローティング電極間電圧/時間のグラフを示す。な
お、電圧40[V]の正パルス高電圧を、パルス幅を変え
て印加し、直流正電圧成分として4[V]を重畳させた場
合である。
【0113】曲線αは、パルス幅1[μsec]である。
曲線βは、パルス幅2[μsec]である。曲線γは、パ
ルス幅4[μsec]である。つまり、(a)(b)のい
ずれの場合においても、フローティング電極部材7の電
圧が、パルス幅1[μsec]以上になると平坦になる。
本計測では、電気二重層における形成時間を直接計測す
るものではないが、フローティング電極部材電位が安定
してきていることは、フローティング電極部材両面での
電気二重層が形成され、電位が安定してきた結果と推察
出来る。従って、本実験系では正パルス高電圧として
は、正パルス高電圧値が40[V]であれば、パルス幅1
[μsec]程度が好ましいことがわかる。なお、正パル
ス高電圧値が変われば必要なパルス幅も変わり、また、
電極材料、形状、および処理液の導電率、pH、イオン
種、濃度等によっても影響されるため、処理液ごとに設
定値を定めるのが好ましい。
【0114】図9は、本発明の電気化学反応装置の実験
例2を示すグラフである。このグラフは、正パルス高電
圧成分が、ピーク電圧値40[V]、パルス幅1[μse
c]、周波数50[KHz]で印加し、直流正電圧成分
が、電圧値4[V]で印加した場合の回路電流測定結果を
示す。
【0115】曲線αが示すように、直流正電圧成分とし
て4[V]を印加することにより、パルス高電圧印加以外
は、回路電流をゼロにできていることが分かる。この場
合、フローティング電極部材電圧は、図8からも分かる
ように、約2[V]である。そのため、例えば、フローテ
ィング電極部材位置を陽極部材から1[cm]、陰極部材
から3[cm]の位置に設置すれば、正パルス電圧印加以
外の時間帯における電界強度は、陽極部材―フローティ
ング電極部材間の電界強度:E=(4[V]−2[V])/
1[cm]=2[V/cm],フローティング電極部材−陰
極部材間の電界強度:E=2[V]/3[cm]=0.7
[V/cm]となる。従って、電気化学反応時における電
界強度では、フローティング電極部材−陰極部材間に比
べ、陽極部材―フローティング電極部材間を高く保持さ
せることが出来る。その結果、フローティング電極部材
−陰極部材間に比べ、陽極部材―フローティング電極部
材間では、正パルス高電圧で引き寄せられた反応前駆体
の処理液側への拡散を抑制しつつ電気化学反応を引き起
こすことが出来る。なお、フローティング電極部材を陽
極部材により近づけて配置すると、その差はさらに顕著
になる。
【0116】次に、本処理法による処理液側の反応生成
物による影響を計測した結果を説明する。図10は、本
発明の電気化学反応装置の実験例3を示すグラフであ
る。図10の(a)は、陽極部材をチタン白金めっき
板、フローティング電極部材をチタン白金めっき板、陰
極部材を銅タングステン板とし、40[V]の正パルス高
電圧をパルス幅1[μsec]、50[KHz]で印加し、
直流正電圧成分として4[V]を印加した実験結果を示す
グラフである。図10の(b)は、陽極部材をチタン白
金めっき板、フローティング電極部材をチタン板、陰極
部材を銅タングステン板とし、同じく40[V]のパルス
高電圧をパルス幅1[μsec]、50[KHz]で印加
し、直流正電圧成分として4[V]を印加した実験結果を
示すグラフである。処理液の酸化還元電位は、Ag−A
gCl型で測定した。なお、曲線αは酸化還元電位、曲
線βはpHを示す。
【0117】どちらの場合も、短時間でpHへの影響を
抑え、酸化還元電位(Ag−Cl)のみを高くすること
が出来る。すなわち、処理液中に酸化体を大量に生成す
ることが出来る。本実験では、食塩水を使用して行なっ
ているため、溶液中には塩素イオンが存在している。そ
のため、通常の直流による電気分解では陽極では、式1
の反応により塩素ガスが発生してしまうが、本実験では
塩素臭はしない。
【0118】 2Cl-=Cl2(gas)+2e- 水溶液中の標準電極電位:1.3583[V] (式1) 本実験での処理液中には、マイナスイオンとして、Cl
−イオンとOH−イオンが存在するが、この2つのイオ
ンでは水溶液中の当量イオン伝導度が下記の通り異なる
ため、正パルス高電圧が印加された場合、OH−イオン
の方が、3倍近く早く電極表面に近づくことが出来る。
【0119】 当量イオン伝導度:OH-:198.3[cm2・Ω-1] Cl-:76.3[cm2・Ω-1] 従って、本方式では、OH−イオンが関与する電気化学
反応が促進されている物と考えられ、その一つとして陽
極表面で下記反応により2[V]近傍でOHラジカルを形
成する。
【0120】 OH-=OH+e- 水溶液中の標準電極電位:1.985[V] (式2) 従って、この実験例によれば、正パルス高電圧で処理液
中のOH-イオンを他の例えばCl-イオン等よりも優先
的に陽極部材、および、フローティング電極部材の陰極
部材側に集め、陽極部材、および、フローティング電極
部材のパルス高電圧印加時以外の時間帯における電位を
OHラジカル等の酸化活性種が形成される標準電極電位
よりも高く設置することによって、選択的に反応を起す
ことが出来る。
【0121】次に、本発明の電気化学反応装置を使用し
て、環境汚染物質の分解性能を把握するために、有機塩
素化合物処理を検討していく上での模擬物質の一つであ
るジクロロフェノールを水溶液中に溶解させ、除去性能
を把握する実験を行った。
【0122】(1)実施の形態1の構造で、電極構造
は、陽極部材としてチタン白金めっき板を用い、陰極部
材として銅タングステン板を用いた。また、印加電圧
は、正パルス高電圧40[V]、パルス幅を1[μse
c]、50[KHz]とした。さらに、直流正電圧成分
は、2[V]とした。その結果、処理液中のジクロロフェ
ノールは、11.44[mg/L] → 10分処理、3.
93[mg/L]となった。
【0123】(2)実施の形態2の構造で、電極構造
は、陽極部材をチタン白金めっき板とし、フローティン
グ電極部材をチタン白金めっき板とし、陰極部材を銅タ
ングステン板とした。また、40[V]の正パルス高電圧
をパルス幅1[μsec]、50[KHz]で印加し、直流
正電圧成分として4[V]を印加した。その結果、ジクロ
ロフェノールは、15.9[mg/L] → 10分処
理:3.41[mg/L]となった。
【0124】以上から、ジクロロフェノール等の有機塩
素化合物が容易に処理出来ることがわかる。また、フロ
ーティング電極部材を用いることにより、より効率的な
処理が可能である。なお、同様に、有機物やアンモニア
等の酸化分解処理にも適用することが出来、環境ホルモ
ン処理だけでなく、有機物やアンモニアと等を含有した
排水処理、埋立て排水処理、し尿処理、家畜等の糞尿処
理、食品加工廃液、工場廃液等を対象にした排水処理方
法として使用することが出来る。
【0125】図11は、本発明の電気化学反応装置の実
験例4を示すグラフである。この実験例4は、電極材質
の相違による差異を示すものである。図11の(a)
(b)に示す場合は、pH(曲線β)への影響を抑え、
処理時間と共に、処理液の酸化還元電位(曲線α)を還
元側にすることが出来る。なお、電極構造は、(a)の
場合が、陽極部材をチタン板とし、フローティング電極
部材をチタン白金めっき板とし、陰極部材を銅タングス
テン板とした。(b)の場合は、電極構造は、陽極部材
をチタン白金めっき板とし、フローティング電極部材を
チタン白金めっき板とし、陰極部材をチタン板とした。
【0126】いずれの場合も、pHへの影響を抑え、酸
化還元電位を下げることができている。すなわち、酸化
体生成に比べ、還元体の生成を効率よく進めることが出
来る。従って、本発明の電気化学反応装置を用いれば、
電極材料を選定することにより、水溶液中のpHの変動
を抑えて、水溶液反応に必要な酸化体、および還元体を
制御よく生成することができ、各種の電気化学反応を適
用した分野に使用することが出来る。
【0127】図12は、本発明の電気化学反応装置の陽
極部材の変形例を説明する図である。(a)は変形例
1、(b)は変形例2である。なお、前記実施の形態
1,2,4,5の陽極部材4について説明する。前記実施
の形態3の筒型形状の陽極部材14を、陽極部材41や
陽極部材42と同様に孔41c,42aを設けるように
してもよい。(a)に示すように、前記陽極部材41
は、枠体41a,41bを交叉させて組み立てて、孔4
1cを設けたメッシュ構造になっている。(b)に示す
ように、前記陽極部材42は、孔42aを穿った構造に
なっている。
【0128】この変形例1,2によれば、陽極部材に孔
を設けたため、反応場となっている陽極部材とフローテ
ィング電極部材との間の水溶液を陽極部材の孔を通して
排出することが出来るため、反応場の水溶液を容易に交
換することができ、反応効率が上がる。なお、この変形
例1,2では、上記実施の形態2で説明した平板形状の
陽極部材の場合で説明したが、上記実施の形態3の円筒
型形状の陽極部材にも同様に適用することができる。た
とえば、円筒の側面をメッシュ構造にしても変形例1,
2と同様の効果を奏する。
【0129】(実施の形態6)本実施の形態6の電気化
学反応装置は、反応槽への流入液を、陰極部材とフロー
ティング電極部材間から注入し、反応槽内で陰極部材と
フローティング電極部材間を通った液が、フローティン
グ電極部材と陽極部材間へ流れ込み、反応槽外へ流出さ
せる構造とした循環処理を可能としたものである。な
お、反応槽への流入液を、陽極部材とフローティング電
極部材間から注入し、反応槽内で陽極部材とフローティ
ング電極部材間を通った液が、フローティング電極部材
と陰極部材間へ流れ込み、反応槽外へ流出させる構造と
してもよい。なお、円筒型電極構造の場合も同様に処理
液を強制的に循環させる構造とすることが出来る。以
下、図面を参照して説明する。
【0130】図13は、本発明の実施の形態6の電気化
学反応装置の概念を説明する図である。600は、電気
化学反応装置である。この電気化学反応装置600は、
反応槽1内に、処理対象の水溶液2(以下「処理液」と
いう。)を貯水し、この処理液2に浸るように平板形状
の陰極部材3と陽極部材4とフローティング電極部材7
とを平行に対面配置した構造にしてある。また、この電
気化学反応装置600には、前記陰極部材3に対し前記
陽極部材4に電圧を印加するために、関数発生器5およ
び電力増幅器6が設けられている。以上の構成および機
能は、前記実施の形態2と同様である。
【0131】さらに、反応槽1に給水する給水路61
と、反応槽1から排水する排水路62に特徴がある。給
水路61は、陽極部材4とフローティング電極部材7と
の間に給水し、排水路62は、陰極部材3とフローティ
ング電極部材7との間の処理液2を排水するようになっ
ている。また、陽極部材4とフローティング電極部材7
との間の処理液2が、陰極部材3とフローティング電極
部材7との間に向けて流入から排出まで反応槽1内を循
環して流れるようになっている。
【0132】なお、給水路と排水路とを逆にしてもよ
い。このときは、給水路は、陰極部材3とフローティン
グ電極部材7との間に給水し、排水路は、陽極部材4と
フローティング電極部材7との間の処理液2を排水し、
また、陽極部材3とフローティング電極部材7との間の
処理液2が、陽極部材4とフローティング電極部材7と
の間に向けて流入から排出まで反応槽1内を循環して流
れるようにしてもよい。
【0133】従って、上記実施の形態6の電気化学反応
装置によれば、反応場となっている陽極部材の近傍の水
溶液を強制的に循環させるため、反応効率が上がる。
【0134】(実施の形態7)この実施の形態7は、前
記実施の形態1〜6の場合に、処理液中にMgイオン、
またはZnイオン、またはCaイオンが共存した場合の
特徴を示している。ここでは、効果を確認する実験のた
めに、Mgイオンに対しては、MgCl2,Znイオン
に対しては、ZnCl2,Caイオンに対しては、Ca
Cl2を代表物質として添加した場合について示してい
る。Mgイオン、またはZnイオン、またはCaイオン
を共存させるために添加される物質は、MgCl2,Z
nCl2,CaCl2に限定される物ではなく、MgZn
またはCa元素が含有されているものであれば構わな
い。
【0135】図14は、本発明の電気化学反応装置の実
験例を示すグラフである。処理液中にMgCl2,Zn
Cl2,CaCl2を各々10[mmol]添加し、共存す
るイオンの影響を確認した。なお、電極構造は、陽極部
材をチタン白金めっき板とし、フローティング電極部材
をチタン白金めっき板とし、陰極部材を銅タングステン
板とした。また、電解は、印加電圧として正パルス高電
圧40[V]、パルス幅を1[μsec]、50[KHz]、
直流正電圧成分を4[V]で3分間処理し、その後電解を
停止して、処理液の酸化還元電位の時間変化を、処理液
を攪拌しながら計測した。
【0136】曲線αの無添加の場合よりも、曲線βのC
aCl2、曲線γのMgCl2、曲線δのZnCl2の方
が、電解停止後の酸化還元電位の落ちが小さく長時間維
持されていることが分かる。従って、処理液中にMgイ
オン、Znイオン、Caイオンを共存させることによ
り、反応生成が促進され、さらに生成した酸化体(酸化
活性種)も安定して維持させることが出来る効果を奏す
る。また、Mg、ZnまたはCaを含む鉱石やこれらの
元素を含有する化合物を処理液中に投入しておき、各イ
オンが少しずつ溶け出すようにしてもよい。
【0137】(実施の形態8)図15は、本発明の実施
の形態8の電気化学反応装置の概念を説明する図であ
る。700は、電気化学反応装置である。この電気化学
反応装置700は、反応槽1内に、処理対象の水溶液2
(以下「処理液」という。)を貯水し、この処理液2に
浸るように平板形状の陰極部材3と陽極部材4とフロー
ティング電極部材7とを平行に対面配置した構造にして
ある。また、この電気化学反応装置700には、前記陰
極部材3と前記陽極部材4との間に電圧を印加するため
に、関数発生器5および電力増幅器6が設けられてい
る。
【0138】前記関数発生器5は、正パルス高電圧成分
および直流正電圧成分をそれぞれ生成して互いを重ね合
わせた電気信号を前記電力増幅器6に出力する。なお、
前記正パルス高電圧成分の電圧値と直流正電圧成分の電
圧値は、電気化学反応させるのに必要な所定の値であ
り、オペレータが設定する。また、前記電力増幅器6
は、前記関数発生器5から出力される前記電気信号に対
して電流増幅して前記陰極部材3と前記陽極部材4との
間に印加させる。そのため、前記陰極部材3は、前記電
力増幅器6のマイナス端子に接続されている。前記陽極
部材4は、前記電力増幅器6のプラス端子に接続されて
いる。
【0139】また、前記フローティング電極部材7は、
陽極部材4と陰極部材3間に電圧が印加されると、両面
に電気二重層を形成することになる。つまり、フローテ
ィング電極部材7の陽極部材4側の面および陰極部材3
側の面の両面側に電気二重層が形成される。従って、フ
ローティング電極部材7は、陽極部材4との間に静電容
量を有し、また、陰極部材3との間にも静電容量を有す
ることになる。そして、図に示すように、陽極部材4側
で電気化学反応をさせることを目的とする場合には、フ
ローティング電極部材7は、陽極部材4と陰極部材3の
中間位置よりも陽極部材4側に配置するのが好ましい。
【0140】さらに、この電気化学反応装置700に
は、フローティング電極部材7の電圧設定を行う電圧発
生器20が設けられている。この電圧発生器20は、プ
ラス端子側に接続した高抵抗器21を介してフローティ
ング電極部材7に接続され、また、マイナス端子側に
は、陰極部材3と電力増幅器6のマイナス端子との接続
線に接続されている。この電圧発生器20は、フローテ
ィング電極部材7と陰極部材3との間に設定電圧のみを
印加する。しかし、前記電圧発生器20は、前記高抵抗
器21に接続されているため、この高抵抗器21を通じ
てフローティング電極部材7へは電流を流さず、電圧の
み設定出来る。
【0141】前記電圧発生器20では、フローティング
電極部材7の電圧を設定電圧になるように直接的に外部
から調整するため、陽極導体4に印加される直流正電圧
によってフローティング電極部材7の電圧を間接的に制
御するよりも高い精度で電圧を制御することが出来るよ
うになる。このようにフローティング電極部材7の電圧
を直接制御すれば、フローティング電極部材7の界面で
の電気化学反応は、正パルス高電圧による電気二重層の
形成時に蓄積される電荷を利用するため、正確に制御出
来るようになる。また、たとえ電極材料によるフローテ
ィング電極部材7の電圧の変動またはフローティング電
極部材7と陽極部材4との間に印加される直流正電圧成
分値によるフローティング電極部材7の電圧の変動があ
っても、外部から調整できるため、高い精度で電気化学
反応を制御することが出来る。
【0142】上記実施の形態8の電気化学反応装置によ
れば、正パルス高電圧成分のパルス幅分だけの電圧が陽
極部材および陰極部材間に印加されたときにだけ、反応
槽内の水溶液のイオンを陽極部材表面に引き寄せ、直流
正電圧を印加することによって引き寄せたイオンを陽極
部材表面側に集めて電気二重層を形成した状態で、電気
化学反応させることが出来るようになる。特に、フロー
ティング電極部材が、電気二重層による静電容量に蓄え
られる電荷量を増加させるため、正パルス高電圧成分の
電気信号印加後に印加する直流正電圧成分の電気信号の
電圧値を、陽極部材と陰極部材だけの場合に比べ高く設
定することができ、電気化学反応に高い電圧が必要な物
質に対しても少ない電力で反応させることが出来る。従
って、この電気化学反応装置では、正パルス高電圧成分
の電気信号の印加時に電力消費するように構成すること
が出来るため、電気化学反応を低コストで実施すること
が出来るようになる。
【0143】さらに、上記実施の形態8の電気化学反応
装置によれば、前記電圧発生器20によって電圧設定を
行うようにしたため、フローティング電極部材7の電圧
を外部から精度高く電圧を制御することが出来る。その
ため、上記実施の形態8の電気化学反応装置によれば、
上述の各実施の形態の場合に比べて電気化学反応の制御
が容易になる。なお、この実施の形態8では、上記実施
の形態2で説明した平板形状の陽極部材、陰極部材およ
びフローティング電極部材の場合で説明したが、上記実
施の形態3の円筒型形状の陽極部材、陰極部材およびフ
ローティング電極部材の場合にも同様に適用しても同様
の効果を奏する。
【0144】なお、上記実施の形態1で説明した電気化
学反応装置100に、上記実施の形態5の電流波形計測
器9を設け、電流値によって正パルス電圧成分前後の直
流正電圧成分のみの電気信号が印加されている時の電流
値をゼロに近い値になるように印加するようにしてもよ
い。また、上記実施の形態3で説明した電気化学反応装
置300に、上記実施の形態8で説明した電圧発生器2
0を設け、フローティング電極部材17の電圧を外部か
ら設定出来るようにしてもよい。また、上記実施の形態
1,2,3,4,5,6,8のそれぞれの電気化学反応
装置100,200,300,400,500,60
0,700に対して、実験例1〜4および実施の形態7
の実験を行っても同様の効果を奏する。
【0145】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による電気
化学反応制御方法によれば、処理対象の水溶液を貯水す
る反応槽内に設置した陽極部材と陰極部材との間に、正
パルス高電圧成分と直流正電圧成分とを重ね合わせた電
気信号を電力増幅して印加し、前記正パルス高電圧成分
の電気信号の印加によって、前記陽極部材と前記陰極部
材と水溶液との界面に電気二重層を形成させていき、前
記直流正電圧成分の電気信号の印加によって、前記陽極
部材界面近傍と前記陰極部材界面近傍の水溶液を電気化
学反応させるようにしたため、過電圧による供給電力の
無駄を低減して希望する物質生成をより効率的に行なう
ことが出来る効果を奏する。
【0146】また、つぎの発明による電気化学反応制御
方法によれば、処理対象の水溶液を貯水する反応槽内に
設置した陽極部材と陰極部材との間に、正パルス高電圧
成分と直流正電圧成分とを重ね合わせた電気信号を電力
増幅して印加し、前記正パルス高電圧成分の電気信号の
印加によって、前記陽極部材と前記陰極部材と、前記陽
極部材と前記陰極部材との間に配置したフローティング
電極部材と、水溶液との界面に電気二重層を形成させて
いき、前記直流正電圧成分の電気信号の印加によって、
前記陽極部材界面近傍と前記陰極部材界面近傍と前記フ
ローティング電極部材界面近傍の水溶液を電気化学反応
させるようにしたため、正パルス高電圧成分のパルス幅
分だけの電圧が陽極部材および陰極部材間に印加された
ときにだけ、水溶液中の陰イオンを陽極部材表面、およ
びフローティング電極部材の陰極部材側表面に、水溶液
中の陽イオンを陰極部材表面、およびフローティング電
極部材の陽極部材側表面に引き寄せ水溶液との界面に電
気二重層を形成させ、その直後に、直流正電圧を印加す
ることによって、電気二重層を形成した状態で、電気化
学反応させることが出来る効果を奏する。
【0147】特に、フローティング電極部材は陽極部材
と陰極部材との間に配置して電気的に浮遊した状態で設
置するため、正パルス高電圧成分の電気信号の印加時に
は、フローティング電極部材の両面に電気二重層が形成
されるため、フローティング電極部材を配置しない場合
に比べて、回路的にみた電気二重層による静電容量に蓄
えられる電荷量が増大する。その結果、正パルス高電圧
成分の電気信号印加後に印加する直流正電圧成分の電気
信号の電圧値を、陽極部材と陰極部材だけの場合に比べ
高く設定することが出来る効果を奏する。
【0148】つぎの発明による電気化学反応制御方法に
よれば、さらに、前記フローティング電極部材と前記陰
極部材との間の電圧波形を計測し、前記正パルス高電圧
成分前後の直流正電圧成分のみの電気信号が印加されて
いる時の前記フローティング電極部材と前記陰極部材と
の間の電圧を所定値となるように印加する電気信号の前
記直流正電圧成分値を可変するようにしたため、フロー
ティング電極部材の電圧波形を計測して、直流正電圧成
分の電圧値を可変することによって、正パルス高電圧成
分前後の電圧を所定値となるように電気信号を設定する
ことが出来る効果を奏する。そのため、所定の電圧値で
多く電気化学反応するイオンをターゲットにして、直流
正電圧成分を設定することによって、他のイオンに優先
して目的とするイオンを電気化学反応させることが出来
る効果を奏する。たとえば、環境ホルモンを含有する排
水に対して、分解に適した活性種を効率良く生成する電
圧値に直流正電圧成分を設定することによって、環境ホ
ルモンを容易に分解除去することが出来る効果を奏す
る。
【0149】つぎの発明による電気化学反応制御方法に
よれば、さらに、前記フローティング電極部材と前記陰
極部材との間に印加する電圧値を設定し、前記フローテ
ィング電極部材と前記陰極部材との間に設定された電圧
値を印加するようにしたため、前記フローティング電極
部材と前記陰極部材との間に設定された電圧値を印加す
るようにしたことによって、前記フローティング電極部
材の界面近傍での電気化学反応を制御することが出来る
効果を奏する。
【0150】つぎの発明による電気化学反応制御方法に
よれば、さらに、電力増幅された電気信号の電流波形を
計測し、前記正パルス高電圧成分前後の前記直流正電圧
成分のみの電気信号が印加されている時の電流値をゼロ
に近い値になるように印加する電気信号の前記直流正電
圧成分値を可変させていくようにしたため、電流値が0
のところでは電力消費がなく、たとえば、数mAなどの
ように0に近い値であっても電力消費はかなり少なく抑
えられ電気化学反応のコストを低減することが出来る効
果を奏する。
【0151】つぎの発明による電気化学反応制御方法に
よれば、前記正パルス高電圧成分は、前記電気二重層が
形成されるパルス幅およびピーク電圧を有し、または、
前記電気二重層が形成されるのに十分な時間である10
0ミリ秒以下のパルス幅を有するようにしたため、水溶
液内部に電界を発生させて効率よく反応前駆体となるイ
オンを電極表面に引き寄せ、さらに、電気二重層の静電
容量分の電荷を電極に蓄積させることが出来る効果を奏
する。
【0152】なお、前記直流正電圧成分は、2つの前記
正パルス高電圧成分間に印加され、電極部材と水溶液と
の界面近傍に集められた反応前駆体が、前記界面近傍か
ら水溶液中に濃度拡散によって減少するのを防止すると
共に電気化学反応するのに必要な電圧とする。また、前
記正パルス高電圧成分と前記直流正電圧成分との重ね合
わせは、各成分の関数波形同士を重ね合わせて発生させ
たり、各成分を交互に出力することによって発生させた
りするようにしてもよい。さらに、前記陽極部材の電
圧、または、前記フローティング電極部材の電圧が、前
記直流正電圧成分によって、目的とする反応生成に適し
た電気化学的電位を少なくとも有するのが好ましい。
【0153】つぎの発明による電気化学反応制御方法に
よれば、Mgイオン、ZnイオンまたはCaイオンの少
なくとも一つを処理対象の水溶液に注入させて電気化学
反応させるようにしたため、Mgイオン、Znイオンま
たはCaイオンの少なくとも一つを処理対象の水溶液中
に共存させることが出来るため、これらのイオンによっ
て反応生成が促進され、さらに生成した酸化体(酸化活
性種)も安定して維持さることが出来る効果を奏する。
【0154】つぎの発明による電気化学反応制御方法に
よれば、Mg、ZnまたはCaの少なくとも一つを含有
した鉱石、またはこれらの元素が含有している化合物を
反応槽内に投入して、Mgイオン、ZnイオンまたはC
aイオンの少なくとも一つを処理対象の水溶液中に溶出
させるようにしたため、Mgイオン、Znイオンまたは
Caイオンの少なくとも一つを処理対象の水溶液中に共
存させることが出来るため、これらのイオンによって反
応生成が促進され、さらに生成した酸化体(酸化活性
種)も安定して維持させることが出来る効果を奏する。
【0155】さらに、つぎの発明による電気化学反応装
置によれば、処理対象の水溶液を貯水する反応槽と、前
記反応槽内に設置する陽極部材と、前記反応槽内に設置
する陰極部材と、正パルス高電圧成分と直流正電圧成分
とを重ね合わせた電気信号を発生する関数発生器と、前
記陽極部材と前記陰極部材との間に、前記電気信号を電
力増幅して印加する電力増幅器と、を有し、前記正パル
ス高電圧成分の電気信号の印加によって、前記陽極部材
と前記陰極部材と水溶液との界面に電気二重層を形成さ
せていき、前記直流正電圧成分の電気信号の印加によっ
て、前記陽極部材近傍と前記陰極部材近傍の水溶液を電
気化学反応させるようにしたため、過電圧による供給電
力の無駄を低減して希望する物質生成をより効率的に行
なうことが出来る効果を奏する。
【0156】つぎの発明による電気化学反応装置によれ
ば、処理対象の水溶液を貯水する反応槽と、前記反応槽
内に設置する陽極部材と、前記反応槽内に設置する陰極
部材と、前記陽極部材と前記陰極部材との間に配置した
フローティング電極部材と、正パルス高電圧成分と直流
正電圧成分とを重ね合わせた電気信号を発生する関数発
生器と、前記陽極部材と前記陰極部材との間に、前記電
気信号を電力増幅して印加する電力増幅器と、を有し、
前記正パルス高電圧成分の電気信号の印加によって、前
記陽極部材と前記陰極部材と前記フローティング電極部
材と水溶液との界面に電気二重層を形成させていき、前
記直流正電圧成分の電気信号の印加によって、前記陽極
部材界面近傍と前記陰極部材界面近傍と前記フローティ
ング電極部材界面近傍の水溶液が電気化学反応されるよ
うにしたため、正パルス高電圧成分のパルス幅分だけの
電圧が陽極部材および陰極部材間に印加されたときにだ
け、水溶液の陰イオンを陽極部材表面、およびフローテ
ィング電極部材の陰極部材側表面に、水溶液中の陽イオ
ンを陰極部材表面、およびフローティング電極部材の陽
極部材側表面に引き寄せ水溶液との界面に電気二重層を
形成させ、その直後に、直流正電圧を印加することによ
って、電気二重層を形成した状態で、電気化学反応させ
ることが出来る効果を奏する。
【0157】特に、フローティング電極部材は陽極部材
と陰極部材との間に配置して電気的に浮遊した状態で設
置するため、正パルス高電圧成分の電気信号の印加時に
は、フローティング電極部材の両面に電気二重層が形成
され、フローティング電極部材を配置しない場合に比べ
て、回路的にみた電気二重層による静電容量が大きくな
り、蓄えられる電荷量が増大する。その結果、正パルス
高電圧成分の電気信号印加後に印加する直流正電圧成分
の電気信号の電圧値を、陽極部材と陰極部材だけの場合
に比べ高く設定することが出来る効果を奏する。
【0158】つぎの発明による電気化学反応装置によれ
ば、さらに、前記フローティング電極部材と前記陰極部
材との間の電圧波形を計測する電圧波形計測器を有し、
前記関数発生器は、前記正パルス高電圧成分前後の前記
直流正電圧成分のみの電気信号が印加されている時の前
記フローティング電極部材と前記陰極部材との間の電圧
を所定値となるように印加する前記直流正電圧成分値を
可変させて前記電気信号を発生するようにしたようにし
たため、フローティング電極部材の電圧波形を計測し
て、直流正電圧成分の電圧値を可変することによって、
正パルス高電圧成分前後の電圧を所定値となるように印
加する電気信号を設定することが出来る効果を奏する。
そのため、所定の電圧値で多く電気化学反応するイオン
をターゲットにして、直流正電圧成分を設定することに
よって、他のイオンに優先して目的とするイオンを電気
化学反応させることが出来る効果を奏する。たとえば、
環境ホルモンを含有する排水に対して、分解に適した活
性種を効率良く生成する電圧値に直流正電圧成分を設定
することによって、環境ホルモンを容易に分解除去する
ことが出来る効果を奏する。
【0159】つぎの発明による電気化学反応装置によれ
ば、さらに、前記フローティング電極部材と前記陰極部
材との間に印加する電圧値を設定し、前記フローティン
グ電極部材と前記陰極部材との間に設定された電圧値を
印加する電圧発生器と、前記フローティング電極部材と
前記電圧発生器との間に接続した高抵抗器とを有するよ
うにしたため、前記フローティング電極部材と前記陰極
部材との間に設定された電圧値を印加するようにしたこ
とによって、前記フローティング電極部材の界面近傍で
の電気化学反応を制御することが出来る効果を奏する。
【0160】つぎの発明による電気化学反応装置によれ
ば、電力増幅された電気信号の電流波形を計測する電流
波形計測器を有し、前記関数発生器は、正パルス高電圧
成分前後の直流正電圧成分のみの電気信号が印加されて
いる時の電流値をゼロに近い値になるように直流正電圧
成分値を可変させて前記電気信号を発生するようにした
ため、電流値が0のところでは電力消費がなく、電流値
が少なくとも0でなくても、たとえば、数mAなどのよ
うに0に近い値であっても電力消費はかなり少なく抑え
られ、電気化学反応のために与える電力量を少なくする
ことができ、電気化学反応のコストを低減することが出
来る効果を奏する。
【0161】つぎの発明による電気化学反応装置によれ
ば、前記関数発生器は、電極部材と水溶液界面に電気二
重層が形成されるパルス幅およびピーク電圧を有する前
記正パルス高電圧成分を発生し、または、前記電気二重
層が形成されるのに十分な時間である100ミリ秒以下
のパルス幅となる前記正パルス高電圧成分を発生するよ
うにするため、電気二重層が形成されるまでの時間幅で
あるマイクロ秒〜数十ミリ秒の間だけパルス高電圧を印
加することによって、水溶液内部に電界を発生させ効率
よく反応前駆体となるイオンを電極表面に引き寄せ、さ
らに、電気二重層の静電容量分の電荷を電極に蓄積させ
ることが出来る。その後、印加される直流正電圧成分に
よって電気化学反応が引き起こされる時間には、高電圧
が印加されないため、電力消費を抑えることが出来る効
果を奏する。
【0162】つぎの発明による電気化学反応装置によれ
ば、前記陰極部材と前記フローティング電極部材との間
から反応槽内へ水溶液を流入する陰極側流入手段と、流
入された水溶液が前記フローティング電極部材と前記陽
極部材との間を通って反応槽外へ流出する陽極側流出手
段と、を有するようにしたため、反応場となっている陽
極部材とフローティング電極部材との間の水溶液を強制
的に循環させるため、反応効率を上げる効果を奏する。
【0163】つぎの発明による電気化学反応装置によれ
ば、前記陽極部材と前記フローティング電極部材との間
から反応槽内へ水溶液を流入する陽極側流入手段と、流
入された水溶液が前記フローティング電極部材と前記陰
極部材との間を通って反応槽外へ流出する陰極側流出手
段と、を有するようにしたため、反応場となっている陽
極部材とフローティング電極部材との間の水溶液を強制
的に循環させるため、反応効率を上げる効果を奏する。
【0164】つぎの発明による電気化学反応装置によれ
ば、前記フローティング電極部材が、前記陽極部材と前
記陰極部材の中間位置よりも前記陽極部材側に配置させ
るようにしたため、陽極部材とフローティング電極部材
間の電界強度をフローティング電極部材と陰極部材間の
電界強度より高めることが出来る効果を奏する。そのた
め、フローティング電極部材と陰極部材間での反応を抑
制しつつ、陽極部材とフローティング電極部材間の反応
を積極的に進めることが出来る効果を奏する。
【0165】なお、本発明の電気化学反応装置によれ
ば、前記陽極部材と、前記陰極部材とを平板形状とし、
互いを平行に配置したり、前記陽極部材と、前記陰極部
材とを筒形状とし、前記陰極部材を中心部に配置し、前
記陽極部材を外周側に断面同心状に配置して、互いを軸
対称に配置したりしてもよい。
【0166】また、本発明の電気化学反応装置によれ
ば、前記陽極部材と、前記陰極部材と、前記フローティ
ング電極部材とを平板形状とし、互いを平行に配置した
り、前記陽極部材と、前記陰極部材と、前記フローティ
ング電極部材とを筒型形状とし、前記陰極部材を中心部
に配置し、前記陰極部材の外周側に断面同心状にフロー
ティング電極部材を配置し、さらに、前記フローティン
グ電極部材の外周側に断面同心状に前記陽極部材を配置
して、互いを軸対称に配置したりしてもよい。
【0167】なお、各電極部材は、平板形状に配置する
よりも、筒型形状に配置するのが好ましい。筒型形状に
することにより、外周部に位置する陽極部材とフローテ
ィング電極部材との領域体積を、フローティング電極部
材と陰極部材との領域体積に比べて大きくすることが出
来、陽極部材とフローティング電極部材との間での電気
化学反応を起こさせる領域の体積を大きくすることが出
来る効果を奏するからである。また、筒型形状は、断面
の形状が円、楕円などの形状でもよい。
【0168】つぎの発明による電気化学反応装置によれ
ば、前記陽極部材に液循環孔を設けたようにしたため、
反応場となっている陽極部材とフローティング電極部材
の間にある水溶液循環を容易にすることが出来る効果を
奏するため、反応効率が上がる。特に、前記液循環孔
は、前記陽極部材をメッシュ構造とするのが好ましい。
【0169】なお、前記関数発生器は、前記関数発生器
は、2つの前記正パルス高電圧成分間に、電極部材と水
溶液との界面近傍に集められた反応前駆体が前記界面近
傍から水溶液中に濃度拡散させて減少するのを防止する
と共に電気化学反応させる電圧値を前記直流正電圧成分
として印加するのが好ましい。また、前記関数発生器
は、前記正パルス高電圧成分と前記直流正電圧成分との
関数波形同士を重ね合わせて前記電気信号を発生させた
り、前記正パルス高電圧成分と前記直流正電圧成分の各
成分を交互に出力することによって前記電気信号を発生
させたりして、前記正パルス高電圧成分と前記直流正電
圧成分とを重ね合わせるようにしてもよい。さらに、前
記関数発生器は、前記陽極部材の電圧、または、前記フ
ローティング電極部材の電圧が、前記直流正電圧によっ
て、目的とする反応生成に適した電気化学的電位になる
ように前記電気信号を発生させるのが好ましい。
【0170】つぎの発明による電気化学反応装置によれ
ば、さらに、Mgイオン、ZnイオンまたはCaイオン
の少なくとも一つを処理対象の水溶液中に注入するイオ
ン注入手段を有するようにしたため、Mgイオン、Zn
イオンまたはCaイオンの少なくとも一つを処理対象の
水溶液中に共存させることが出来る効果を奏するため、
これらのイオンによって反応生成が促進され、さらに生
成した酸化体(酸化活性種)も安定して維持させること
が出来る効果を奏する。
【0171】つぎの発明による電気化学反応装置によれ
ば、さらに、Mg、ZnまたはCaの少なくとも一つを
含有した鉱石、またはこれらの元素を含有した化合物を
反応槽内に投入して、Mgイオン、ZnイオンまたはC
aイオンの少なくとも一つを処理対象の水溶液中に添加
させる投入手段を有するようにしたため、Mgイオン、
ZnイオンまたはCaイオンの少なくとも一つを処理対
象の水溶液中に、溶出していくことによって共存させる
ことが出来る効果を奏するため、これらのイオンによっ
て反応生成が促進され、さらに生成した酸化体(酸化活
性種)も安定して維持させることが出来る効果を奏す
る。
【0172】また、本発明による電気化学反応装置によ
れば、前記陽極部材および前記フローティング電極部材
を白金で形成した導体または白金めっきを施した導体と
し、前記陰極部材を銅タングステンで形成した導体とし
てもよい。また、本発明による電気化学反応装置によれ
ば、前記陽極部材を白金で形成した導体または白金めっ
きを施した導体とし、前記フローティング電極部材をチ
タンで形成した導体とし、前記陰極部材を銅タングステ
ンで形成した導体としてもよい。
【0173】さらに、本発明による電気化学反応装置に
よれば、前記陽極部材および前記フローティング電極部
材導体を白金で形成した導体または白金めっきを施した
導体とし、前記陰極部材をチタンで形成した導体として
もよい。また、本発明による電気化学反応装置によれ
ば、前記陽極部材をチタンで形成した導体とし、前記フ
ローティング電極部材を白金で形成した導体または白金
めっきを施した導体とし、前記陰極部材を銅タングステ
ンで形成した導体としてもよい。なお、前記白金めっき
は、チタン板に施すようにしてもよい。
【0174】従って、本発明によれば、目的とする生成
物だけを安価にかつ効率的に分解除去させることが可能
な電気化学反応制御方法および電気化学反応装置を提供
することが出来る効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の電気化学反応装置の概
念を説明する図である。
【図2】正パルス高電圧成分と直流正電圧成分との重ね
合わせ電気信号波形を説明する図である。
【図3】正パルス高電圧成分のみの電気信号波形を説明
する図である。
【図4】本発明の実施の形態2の電気化学反応装置の概
念を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態3の電気化学反応装置の概
念を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態4の電気化学反応装置の概
念を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態5の電気化学反応装置の概
念を説明する図である。
【図8】本発明の電気化学反応装置の実験例1を示すグ
ラフである。
【図9】本発明の電気化学反応装置の実験例2を示すグ
ラフである。
【図10】本発明の電気化学反応装置の実験例3を示す
グラフである。
【図11】本発明の電気化学反応装置の実験例4を示す
グラフである。
【図12】本発明の電気化学反応装置の陽極部材の変形
例を説明する図である。
【図13】本発明の実施の形態6の電気化学反応装置の
概念を説明する図である。
【図14】本発明の電気化学反応装置の実験例を示すグ
ラフである。
【図15】本発明の実施の形態8の電気化学反応装置の
概念を説明する図である。
【図16】一般の電気化学反応の概念を説明する図であ
る。
【図17】一般の電気化学反応の概念を説明する図であ
る。
【符号の説明】
1 反応槽 2 処理液 3 陰極部材 4 陽極部材 5 関数発生器 6 電力増幅器 7 フローティング電極部材 100,200,300,400,500,600,7
00 電気化学反応装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田畑 雅之 横浜市金沢区幸浦一丁目8番地1 三菱重 工業株式会社基盤技術研究所内 (72)発明者 永井 正彦 長崎市深堀町五丁目717番1号 三菱重工 業株式会社長崎研究所内 Fターム(参考) 4D061 DA08 DB19 DC10 EA02 EA13 EB04 EB09 EB14 EB19 EB21 EB30 EB34 EB39 GC14 GC16 4K011 AA09 AA10 AA21 AA32 CA04 CA05 DA10

Claims (40)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 処理対象の水溶液を貯水する反応槽内に
    設置した陽極部材と陰極部材との間に、正パルス高電圧
    成分と直流正電圧成分とを重ね合わせた電気信号を電力
    増幅して印加し、 前記正パルス高電圧成分の電気信号の印加によって、前
    記陽極部材と前記陰極部材と水溶液との界面に電気二重
    層を形成させていき、前記直流正電圧成分の電気信号の
    印加によって、前記陽極部材界面近傍と前記陰極部材界
    面近傍の水溶液を電気化学反応させることを特徴とする
    電気化学反応制御方法。
  2. 【請求項2】 処理対象の水溶液を貯水する反応槽内に
    設置した陽極部材と陰極部材との間に、正パルス高電圧
    成分と直流正電圧成分とを重ね合わせた電気信号を電力
    増幅して印加し、 前記正パルス高電圧成分の電気信号の印加によって、前
    記陽極部材と前記陰極部材と、前記陽極部材と前記陰極
    部材との間に配置したフローティング電極部材と、水溶
    液との界面に電気二重層を形成させていき、前記直流正
    電圧成分の電気信号の印加によって、前記陽極部材界面
    近傍と前記陰極部材界面近傍と前記フローティング電極
    部材界面近傍の水溶液を電気化学反応させることを特徴
    とする電気化学反応制御方法。
  3. 【請求項3】 さらに、前記フローティング電極部材と
    前記陰極部材との間の電圧波形を計測し、 前記正パルス高電圧成分前後の直流正電圧成分のみの電
    気信号が印加されている時の前記フローティング電極部
    材と前記陰極部材との間の電圧を所定値となるように印
    加する電気信号の前記直流正電圧成分値を可変するよう
    にしたことを特徴とする請求項2に記載の電気化学反応
    制御方法。
  4. 【請求項4】 さらに、前記フローティング電極部材と
    前記陰極部材との間に印加する電圧値を設定し、 前記フローティング電極部材と前記陰極部材との間に設
    定された電圧値を印加するようにしたことを特徴とする
    請求項2に記載の電気化学反応制御方法。
  5. 【請求項5】 さらに、電力増幅された電気信号の電流
    波形を計測し、 前記正パルス高電圧成分前後の前記直流正電圧成分のみ
    の電気信号が印加されている時の電流値をゼロに近い値
    になるように印加する電気信号の前記直流正電圧成分値
    を可変させていくことを特徴とする請求項1〜4のいず
    れか一つに記載の電気化学反応制御方法。
  6. 【請求項6】 前記正パルス高電圧成分は、前記電気二
    重層が形成されるパルス幅およびピーク電圧を有するこ
    とを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の電
    気化学反応制御方法。
  7. 【請求項7】 前記正パルス高電圧成分は、前記電気二
    重層が形成されるのに十分な時間である100ミリ秒以
    下のパルス幅を有することを特徴とする請求項1〜6の
    いずれか一つに記載の電気化学反応制御方法。
  8. 【請求項8】 前記直流正電圧成分は、2つの前記正パ
    ルス高電圧成分間に印加され、電極部材と水溶液との界
    面近傍に集められた反応前駆体が、前記界面近傍から水
    溶液中に濃度拡散によって減少するのを防止すると共に
    電気化学反応するようにしたことを特徴とする請求項1
    〜7のいずれか一つに記載の電気化学反応制御方法。
  9. 【請求項9】 前記正パルス高電圧成分と前記直流正電
    圧成分との重ね合わせは、各成分の関数波形同士を重ね
    合わせて発生させることを特徴とする請求項1〜8のい
    ずれか一つに記載の電気化学反応制御方法。
  10. 【請求項10】 前記正パルス高電圧成分と前記直流正
    電圧成分との重ね合わせは、各成分を交互に出力するこ
    とによって発生させることを特徴とする請求項1〜8の
    いずれか一つに記載の電気化学反応制御方法。
  11. 【請求項11】 前記陽極部材の電圧、または、前記フ
    ローティング電極部材の電圧が、前記直流正電圧成分に
    よって、目的とする反応生成に適した電気化学的電位を
    少なくとも有することを特徴とする請求項1〜10のい
    ずれか一つに記載の電気化学反応制御方法。
  12. 【請求項12】 Mgイオン、ZnイオンまたはCaイ
    オンの少なくとも一つを処理対象の水溶液に注入させて
    電気化学反応させるようにしたことを特徴とする請求項
    1〜11のいずれか一つに記載の電気化学反応制御方
    法。
  13. 【請求項13】 Mg、ZnまたはCaの少なくとも一
    つを含有した鉱石、またはこれらの元素を含有した化合
    物を反応槽内に投入して、Mgイオン、Znイオンまた
    はCaイオンの少なくとも一つを処理対象の水溶液中に
    溶出させるようにしたことを特徴とする請求項1〜11
    のいずれか一つに記載の電気化学反応制御方法。
  14. 【請求項14】 処理対象の水溶液を貯水する反応槽
    と、 前記反応槽内に設置する陽極部材と、 前記反応槽内に設置する陰極部材と、 正パルス高電圧成分と直流正電圧成分とを重ね合わせた
    電気信号を発生する関数発生器と、 前記陽極部材と前記陰極部材との間に、前記電気信号を
    電力増幅して印加する電力増幅器と、を有し、 前記正パルス高電圧成分の電気信号の印加によって、前
    記陽極部材と前記陰極部材と水溶液との界面に電気二重
    層を形成させていき、前記直流正電圧成分の電気信号の
    印加によって、前記陽極部材近傍と前記陰極部材近傍の
    水溶液を電気化学反応させることを特徴とする電気化学
    反応装置。
  15. 【請求項15】 処理対象の水溶液を貯水する反応槽
    と、 前記反応槽内に設置する陽極部材と、 前記反応槽内に設置する陰極部材と、 前記陽極部材と前記陰極部材との間に配置したフローテ
    ィング電極部材と、 正パルス高電圧成分と直流正電圧成分とを重ね合わせた
    電気信号を発生する関数発生器と、 前記陽極部材と前記陰極部材との間に、前記電気信号を
    電力増幅して印加する電力増幅器と、を有し、 前記正パルス高電圧成分の電気信号の印加によって、前
    記陽極部材と前記陰極部材と前記フローティング電極部
    材と水溶液との界面に電気二重層を形成させていき、前
    記直流正電圧成分の電気信号の印加によって、前記陽極
    部材界面近傍と前記陰極部材界面近傍と前記フローティ
    ング電極部材界面近傍の水溶液が電気化学反応されるこ
    とを特徴とする電気化学反応装置。
  16. 【請求項16】 さらに、前記フローティング電極部材
    と前記陰極部材との間の電圧波形を計測する電圧波形計
    測器を有し、 前記関数発生器は、前記正パルス高電圧成分前後の前記
    直流正電圧成分のみの電気信号が印加されている時の前
    記フローティング電極部材と前記陰極部材との間の電圧
    を所定値となるように印加する前記直流正電圧成分値を
    可変させて前記電気信号を発生することを特徴とする請
    求項15に記載の電気化学反応装置。
  17. 【請求項17】 さらに、前記フローティング電極部材
    と前記陰極部材との間に印加する電圧値を設定し、前記
    フローティング電極部材と前記陰極部材との間に設定さ
    れた電圧値を印加する電圧発生器と、前記フローティン
    グ電極部材と前記電圧発生器との間に接続した高抵抗器
    とを有することを特徴とする請求項15に記載の電気化
    学反応装置。
  18. 【請求項18】 さらに、電力増幅された電気信号の電
    流波形を計測する電流波形計測器を有し、 前記関数発生器は、正パルス高電圧成分前後の直流正電
    圧成分のみの電気信号が印加されている時の電流値をゼ
    ロに近い値になるように直流正電圧成分値を可変させて
    前記電気信号を発生することを特徴とする請求項14〜
    17のいずれか一つに記載の電気化学反応装置。
  19. 【請求項19】 前記関数発生器は、電極部材と水溶液
    界面に電気二重層が形成されるパルス幅およびピーク電
    圧を有する前記正パルス高電圧成分を発生することを特
    徴とする請求項14〜18のいずれか一つに記載の電気
    化学反応装置。
  20. 【請求項20】 前記関数発生器は、前記電気二重層が
    形成されるのに十分な時間である100ミリ秒以下のパ
    ルス幅となる前記正パルス高電圧成分を発生することを
    特徴とする請求項14〜19のいずれか一つに記載の電
    気化学反応装置。
  21. 【請求項21】 前記陰極部材と前記フローティング電
    極部材との間から反応槽内へ水溶液を流入する陰極側流
    入手段と、 流入された水溶液が前記フローティング電極部材と前記
    陽極部材との間を通って反応槽外へ流出する陽極側流出
    手段と、を有することを特徴とする請求項15〜20の
    いずれか一つに記載の電気化学反応装置。
  22. 【請求項22】 前記陽極部材と前記フローティング電
    極部材との間から反応槽内へ水溶液を流入する陽極側流
    入手段と、 流入された水溶液が前記フローティング電極部材と前記
    陰極部材との間を通って反応槽外へ流出する陰極側流出
    手段と、を有することを特徴とする請求項15〜20の
    いずれか一つに記載の電気化学反応装置。
  23. 【請求項23】 前記フローティング電極部材は、前記
    陽極部材と前記陰極部材の中間位置よりも前記陽極部材
    側に配置させることを特徴とする請求項15〜22のい
    ずれか一つに記載の電気化学反応装置。
  24. 【請求項24】 前記陽極部材と、前記陰極部材とを平
    板形状とし、互いを平行に配置したことを特徴とする請
    求項14〜23のいずれか一つに記載の電気化学反応装
    置。
  25. 【請求項25】 前記陽極部材と、前記陰極部材とを筒
    型形状とし、前記陰極部材を中心部に配置し、前記陽極
    部材を外周側に断面同心状に配置して、互いを軸対称に
    配置したことを特徴とする請求項14〜23のいずれか
    一つに記載の電気化学反応装置。
  26. 【請求項26】 前記陽極部材と、前記陰極部材と、前
    記フローティング電極部材とを平板形状とし、互いを平
    行に配置したことを特徴とする請求項15〜23のいず
    れか一つに記載の電気化学反応装置。
  27. 【請求項27】 前記陽極部材と、前記陰極部材と、前
    記フローティング電極部材とを筒型形状とし、前記陰極
    部材を中心部に配置し、前記陰極部材の外周側に断面同
    心状にフローティング電極部材を配置し、さらに、前記
    フローティング電極部材の外周側に断面同心状に前記陽
    極部材を配置して、互いを軸対称に配置したことを特徴
    とする請求項15〜23のいずれか一つに記載の電気化
    学反応装置。
  28. 【請求項28】 前記陽極部材に液循環孔を設けたこと
    を特徴とする請求項14〜27のいずれか一つに記載の
    電気化学反応装置。
  29. 【請求項29】 前記液循環孔は、前記陽極部材をメッ
    シュ構造とすることによって設けることを特徴とする請
    求項28に記載の電気化学反応装置。
  30. 【請求項30】 前記関数発生器は、2つの前記正パル
    ス高電圧成分間に、電極部材と水溶液との界面近傍に集
    められた反応前駆体が前記界面近傍から水溶液中に濃度
    拡散させて減少するのを防止すると共に電気化学反応さ
    せる電圧値を前記直流正電圧成分として印加することを
    特徴とする請求項14〜29のいずれか一つに記載の電
    気化学反応装置。
  31. 【請求項31】 前記関数発生器は、前記正パルス高電
    圧成分と前記直流正電圧成分との関数波形同士を重ね合
    わせて前記電気信号を発生させることを特徴とする請求
    項14〜30のいずれか一つに記載の電気化学反応装
    置。
  32. 【請求項32】 前記関数発生器は、前記正パルス高電
    圧成分と前記直流正電圧成分の各成分を交互に出力する
    ことによって前記電気信号を発生させることを特徴とす
    る請求項14〜30のいずれか一つに記載の電気化学反
    応装置。
  33. 【請求項33】 前記関数発生器は、前記陽極部材の電
    圧、または、前記フローティング電極部材の電圧が、前
    記直流正電圧によって、目的とする反応生成に適した電
    気化学的電位になるように前記電気信号を発生させるこ
    とを特徴とする請求項15〜32のいずれか一つに記載
    の電気化学反応装置。
  34. 【請求項34】 さらに、Mgイオン、Znイオンまた
    はCaイオンの少なくとも一つを処理対象の水溶液中に
    注入するイオン注入手段を有することを特徴とする請求
    項14〜33のいずれか一つに記載の電気化学反応装
    置。
  35. 【請求項35】 さらに、Mg、ZnまたはCaの少な
    くとも一つを含有した鉱石、またはこれらの元素を含有
    した化合物を反応槽内に投入して、Mgイオン、Znイ
    オンまたはCaイオンの少なくとも一つを処理対象の水
    溶液中に溶出させる投入手段を有することを特徴とする
    請求項14〜33のいずれか一つに記載の電気化学反応
    装置。
  36. 【請求項36】 前記陽極部材および前記フローティン
    グ電極部材を白金で形成した導体または白金めっきを施
    した導体とし、前記陰極部材を銅タングステンで形成し
    た導体としたことを特徴とする請求項15〜35のいず
    れか一つに記載の電気化学反応装置。
  37. 【請求項37】 前記陽極部材を白金で形成した導体ま
    たは白金めっきを施した導体とし、前記フローティング
    電極部材をチタンで形成した導体とし、前記陰極部材を
    銅タングステンで形成した導体としたことを特徴とする
    請求項15〜35のいずれか一つに記載の電気化学反応
    装置。
  38. 【請求項38】 前記陽極部材および前記フローティン
    グ電極部材を白金で形成した導体または白金めっきを施
    した導体とし、前記陰極部材をチタンで形成した導体と
    したことを特徴とする請求項15〜35のいずれか一つ
    に記載の電気化学反応装置。
  39. 【請求項39】 前記陽極部材をチタンで形成した導体
    とし、前記フローティング電極部材を白金で形成した導
    体または白金めっきを施した導体とし、前記陰極部材を
    銅タングステンで形成した導体としたことを特徴とする
    請求項15〜35のいずれか一つに記載の電気化学反応
    装置。
  40. 【請求項40】 前記白金めっきは、チタン板に施すこ
    とを特徴とする請求項36〜39のいずれか一つに記載
    の電気化学反応装置。
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