JP2003210352A - 体の洗浄用シート、体の洗浄方法および洗髪方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の課題は、病院や介護福祉施設あるいは
在宅介護において、寝床の上でも簡易かつ十分な体の洗
浄が行える体の洗浄用シート、体の洗浄方法および洗髪
方法を提供し、介護者・要介護者双方の負担を少なく
し、洗浄をされる者が衛生的かつ爽快な生活ができるよ
うにすることである。 【解決手段】横の長さが縦より長い略長方形状の吸収剤
２を有し、一つの面が防水性の素材よりなる防水シート
３で覆われていて、横方向における一端部であって防水
シート３で覆われている面に防水性の袋４が設けられて
いる洗浄用シート１により課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、体の洗浄用シート
並びにこれを用いて浴室外で体を洗う方法に関し、特に
病院や介護福祉施設あるいは自宅で体の洗浄を行う方法
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】病院で入院中の患者や介護福祉施設又は
自宅で生活する高齢者であって、自力で入浴できない者
の体を洗浄することは困難な作業であり、洗浄をする者
も洗浄される者も多大な負担を必要とする。介護用の浴
室は各種提案されているが、寝ている場所と浴室の間の
移動には負担が大きい。したがって、手足の場合は洗面
器を使って洗ったり、蒸しタオルで拭いたりしている。
しかし、洗面器で洗う場合は準備に手間がかかるととも
に周囲を水でぬらす恐れがある。また蒸しタオルで拭い
ただけでは十分な爽快感は得られない。体の洗浄の中で
も洗髪は特に多量を水を使うのでベッド上で行うのは困
難である。従来は、ケリーパードとよばれる看護用品を
使用したり、洗髪車を使用していたが、これらは準備に
時間がかかる上に、洗髪を受ける者は首の苦痛を感じ
る。また、ベッド上でも移動できない患者や人工呼吸器
等の医療機器をつけている患者に対してはこれらの方法
は使えない。ドライシャンプー等を用いた簡易な洗髪方
法もあるが、これでは十分な清潔感・爽快感は得られな
い。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、病院
や介護福祉施設あるいは在宅介護において、寝床の上で
も簡易かつ十分な体の洗浄が行える体の洗浄用シート、
体の洗浄方法および洗髪方法を提供し、介護者・要介護
者双方の負担が少なくし、洗浄をされる者が衛生的かつ
爽快な生活ができるようにすることである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
め、本発明に係る体の洗浄用シートは、横の長さが縦よ
り長い略長方形状の吸収剤を有し、一つの面が防水性の
素材よりなる防水シートで覆われていて、横方向におけ
る一端部であって防水シートで覆われている面に防水性
の袋が設けられていることを特徴とするものである。使
用前においては、防水シートで覆われている面が表にな
り、かつ防水性の袋がある側がロールの内部になるよう
に、横方向に巻いていてもよい。さらに、吸収剤として
１リットル以上２リットル以下の水を吸収できるものを
用いてもよい。また、前述の課題を解決するため、本発
明に係る体の洗浄用方法は、横の長さが縦より長い略長
方形状の吸収剤を有し、一つの面が防水性の素材よりな
る防水シートで覆われている体の洗浄用シートを寝床の
上に敷き、洗浄用シートの上で横方向における一端部付
近に要介護者の体で洗浄すべき部位をおき、当該部位に
温水を注いで洗浄を開始し、当該部位が反対側の端部側
へ向いて移動していくように洗浄用シートを横方向にず
らしながら洗浄を行うことを特徴とするものである。特
に髪を洗う場合には、体の洗浄用シートの横方向におけ
る一端部付近を洗髪される者の頭の下に敷き、頭と接す
る位置が反対側の端部へ向いて移動していくように洗浄
用シートを横方向にずらしながらシャンプーおよびすす
ぎを行うようにする。

【０００５】

【発明の実施の形態】本発明に係る体の洗浄用シートの
基本的な実施の形態を図１に示す例を用いて説明する。
体の洗浄用シート１は横の長さが縦より長い略長方形状
のシートである。体の洗浄用シート１の中央部分は上側
に略長方形状にふくらんでおり、このふくらんだ部分の
内部に水を吸収する吸収材２が納められいる。吸収剤２
は水を吸収する素材であれば何でもよいが、紙おむつや
生理用ナプキンに使われる吸収ポリマーは小さな体積で
多量の水を吸収し、逆吸収を起こさないので特に適して
いる。体の洗浄用シート１の大きさおよび吸収剤２の吸
収容量は用途により選択すればよいが、洗髪用には縦６
０ｃｍ程度、横８０ｃｍ程度で１リットル以上２リット
ル以下の水を吸収するものが適している。体の洗浄用シ
ート１の上側の面は水を通す素材で覆われており、反対
側は水を通さない防水性の素材でできたシート３で覆わ
れている。ただし、反対側の面で最も外側に出る面は寝
床の上のシーツや寝衣と接するので、シーツや寝衣との
摩擦が小さいものが望ましい。また、この面は後述の通
り、ロール状に巻かれているときは外から見える面とな
るため、快適な色や柄が印刷できる素材であることが望
ましい。図２に背面図を示すが、防水性の素材で覆われ
ている面で、横方向におけるどちらか一端にはビニール
やポリエチレン、ナイロン等の防水性の素材でできた袋
４が取付けられている。シートの中央側を向いた側に袋
の開口が向けられている。この袋４は吸収できる最大量
の水を吸収した後の洗浄用シート１が入るだけの容量を
もつ。

【０００６】体の洗浄用シート１は図１に示すように開
いた状態で流通・保管してもよいが、図４に示すように
ロール状に巻いた状態で流通させてもよい。この場合、
防水シート３で覆われている面が外側を向くように巻
き、この面には使用者の気持ちを和ませるような色や柄
を印刷するか、印刷された別のシートを防水シート３の
上に貼るようにするとよい。袋４のある端部はロールの
中に巻き込まれるようにする。

【０００７】次に、本発明に係る体の洗浄用方法の基本
的な実施の形態を図５に示す例を用いて説明する。本例
は体の洗浄のうちでも特に困難な洗髪に対して本発明に
係る体の洗浄方法を適用した例である。洗髪される者は
入院中の患者でも介護福祉施設に入所している者でも、
或いは家庭で在宅介護を受ける者でもよい。ベッドまた
は布団等寝床に寝た状態で洗髪を受ける。ベッド５は介
護用のものを用いるときは、一定の角度に傾斜させてお
いてもよい。図４に示すロール状に巻かれている状態か
ら端部をある程度引き出し、吸収剤のある部分が現れた
ら防水された面が下になるようにして体の洗浄用シート
１を寝床の上に敷く。図５（ａ）に示すように吸収剤の
ある部分の端付近に要介護者の頭をのせる。まず、この
位置で髪に温水を注ぎ、髪を湿らせた後にシャンプーを
注ぐ。シャンプーとしては少ない水と手間で洗髪できる
ためにリンスを含むものを用いる方がより好ましい。体
の洗浄用シート１の中には吸収剤が設けられているの
で、注がれた温水やシャンプーは髪からながれ落ちた
後、体の洗浄用シート１に吸収されるのでシーツや寝衣
をぬらすことはない。シャンプーを注いで髪を十分もん
だら温水を注いで一度すすぎ、頭を少し浮かせて洗浄用
シート１を引き、まだ水が吸収されていない新たな部分
が頭の下にくるようにする。この位置でさらに髪に水を
注いでシャンプーを洗い流す。一回のすすぎでシャンプ
ーが残る場合には再度洗浄用シート１をずらして新しい
部分の上で水を注ぐ。なお、リンスを含まないタイプの
シャンプーの場合は、この位置でリンスを注ぎ、さらに
洗浄用シート１をずらしてから温水を注ぎリンスを洗い
流す。体の洗浄用シート１は横方向に長くなっているの
で、頭に当たる位置を何回か変えて使用できる。このよ
うに使用することにより、中に設けられた吸収剤はまん
べんなく有効に使われる。また、頭部の汚れを含んだ水
やシャンプーが吸収されていない新たな部分の上で最後
のすすぎが行われるので清潔であるとともに快適であ
る。図５（ｂ）において洗浄用シートは左方向にずらさ
れていくが、既に使用された部分は巻き取っていく。こ
れにより、長い洗浄用シートを幅の狭いベッドでも使用
することができる。洗髪が終了するときに全てが巻き取
られるが、このときロールの中心部にあった防水性の袋
が巻き取られた洗浄用シートの最外面にくる。この袋は
洗浄用シートの中央部に向いて口が開いているが、この
口から袋を裏返していき、洗浄用シートを包み込む。こ
うして使用済みの洗浄用シートは、防水性の袋の中に収
められ、この状態で廃棄される。洗髪が終わってから廃
棄されるまでの間、防水性の袋の中に洗浄用シートはあ
るので回りをぬらすようなことはない。

【０００８】介護や看護における洗髪を繰り返し試み、
その結果を検討し、１リットル程度の水があれば多くの
場合に十分な洗髪が行えることが判明した。したがっ
て、吸収剤として１リットル以上２リットル以下の水を
吸収できるものを備えれば、洗髪において特に効果的な
洗浄用シートとなる。本例の洗髪方法により十分な洗髪
が簡便に行えるので、頭部を清潔に保ち感染症を防止で
きるとともに爽快であり、生活が快適となる。また、特
殊なドライシャンプーではなく、健常者が使う通常の市
販のシャンプーが使えるが、これらのシャンプーは多種
の製品が容易に入手できるので、各自の髪質にあったシ
ャンプーや好みの香りの香料を配合したシャンプー等が
選択できる。さらに、介護や看護を行う者の負担を軽減
する。洗髪に要する時間も短縮できるので、時間に制約
のある介護サービスにおいても短時間で質の高いサービ
スを実現することができる。

【０００９】以上、洗髪を例に本発明に係る体の洗浄用
方法の実施形態を説明したが、手足等体の他の部位を洗
浄できることはいうまでもない。また、病院における看
護や施設および在宅での介護として本洗浄方法は適用範
囲が広い。

【００１０】

【発明の効果】以上、本発明に係る体の洗浄用シート
は、吸収剤を有しているので周囲に水を漏らすことなく
水を使用した体の洗浄が行えるという効果がある。吸収
剤および洗浄シートの形状が横の長さが縦より長い略長
方形であるので吸収剤を効率的に使用して、多くの水を
吸収できる。十分な洗浄ができるので体を清潔に保つこ
とができるとともに爽快感が得られて生活が快適とな
る。また、体の洗浄作業が容易になるので、介護や看護
を行う者の負担が減少し、また高度の介護技術を有しな
い者でも十分な洗浄を施すことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の体の洗浄用シートの例を示す平面図で
ある。

【図２】同底面図である。

【図３】同右側面図である。

【図４】洗浄用シートを巻いた状態を示す斜視図であ
る。

【図５】本発明の体の洗浄方法の例を示す平面図であ
る。

【符号の説明】

１．洗浄用シート ２．吸収剤 ３．防水シート ４．袋 ５．ベッド

フロントページの続き (72)発明者 古谷 智子 愛媛県温泉郡重信町大字志津川454 愛媛 大学重信宿舎131号室 Ｆターム(参考） 2D034 AC00 3B040 AA02

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】横の長さが縦より長い略長方形状の吸収剤
   を有する体の洗浄用シートであって、一つの面が防水性
   の素材よりなる防水シートで覆われており、横方向にお
   ける一端部であって防水シートで覆われている面に防水
   性の袋が設けられていることを特徴とする体の洗浄用シ
   ート。
2. 【請求項２】防水シートで覆われている面が表になり、
   かつ防水性の袋がある側が内部になるように、横方向に
   巻かれている請求項１に記載の体の洗浄用シート。
3. 【請求項３】１リットル以上２リットル以下の水を吸収
   できる吸収材を含む請求項１又は２に記載の体の洗浄用
   シート。
4. 【請求項４】横の長さが縦より長い略長方形状の吸収剤
   を有し、一つの面が防水性の素材よりなる防水シートで
   覆われている体の洗浄用シートを寝床の上に敷き、洗浄
   用シートの上で横方向における一端部付近に要介護者の
   体で洗浄すべき部位をおき、当該部位に水を注いで洗浄
   を開始し、当該部位が反対側の端部側へ向いて移動して
   いくように洗浄用シートを横方向にずらながら洗浄を行
   うことを特徴とする体の洗浄方法。
5. 【請求項５】横の長さが縦より長い略長方形状の吸収剤
   を有し、一つの面が防水性の素材よりなる防水シートで
   覆われている体の洗浄用シートの横方向における一端部
   付近を洗髪される者の頭の下に敷き、頭と接する位置が
   反対側の端部へ向いて移動していくように洗浄用シート
   を横方向にずらしながらシャンプーおよびすすぎを行う
   洗髪方法。