JP2003207506A - 生体組織を用いたインビトロ試験方法 - Google Patents

生体組織を用いたインビトロ試験方法

Info

Publication number
JP2003207506A
JP2003207506A JP2002006347A JP2002006347A JP2003207506A JP 2003207506 A JP2003207506 A JP 2003207506A JP 2002006347 A JP2002006347 A JP 2002006347A JP 2002006347 A JP2002006347 A JP 2002006347A JP 2003207506 A JP2003207506 A JP 2003207506A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
skin
concentration
irritation
test
tissue
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002006347A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3925701B2 (ja
Inventor
Takuya Ishibashi
石橋  卓也
Kenji Sugibayashi
堅次 杉林
Tetsuya Hasegawa
哲也 長谷川
Tetsuya Watanabe
哲也 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2002006347A priority Critical patent/JP3925701B2/ja
Publication of JP2003207506A publication Critical patent/JP2003207506A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3925701B2 publication Critical patent/JP3925701B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 生体組織に対する物質の反応性を評価するイ
ンビトロ試験方法に関する。すなわち、薬物の生体への
反応性を試験する際、薬物動態学的知見から、薬物の、
生体細胞の作用場での薬物濃度を推定し、その薬物の種
々の性質を勘案して、生体中で起こる反応性、機序、作
用様式を模倣した試験方法であり、それらを総合して評
価できるインビトロ組織反応性評価試験方法を提供する
ことにある。 【解決手段】 生体組織中の作用場の局所物質濃度と物
質独自の細胞に対する反応性から、物質の生体組織に対
する反応性を評価する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体組織に対する
物質の反応性を評価するインビトロ試験方法に関する。
【0002】
【従来の技術】生体に接触するあるいは投与される物質
については、その安全性や生体への効果などの試験が行
われている。ヒトにおける安全性試験、薬物動態、代謝
試験は、最終的に効果的かつ副作用の少ない薬物治療を
行うためのものであり、薬物血中濃度推移と薬効および
副作用との関係に関する試験結果を統合されることによ
って、初めて臨床における薬効および安全性を予測する
ための有用な情報になりうる。現在、薬効および副作用
に直接関係する標的組織における薬物濃度濃度推移の測
定が困難であるため、それに代用できるものとして、非
結合型血中濃度推移を用いるという考え方で試験や評価
が行われている。標的における作用場の濃度を特定する
ことは重要と認識されているが、生体においては構成要
素が複雑であり、その測定は困難であることが起因して
いる。
【0003】本発明では、組織体を生体外に取り出すこ
とあるいは、生体外で再構築された組織によって、その
複雑な構成要素を単純化することにより、これらの問題
を克服したインビトロ試験方法を示している。
【0004】ここでは、皮膚に対する刺激性試験を例に
挙げ本発明に関して説明する。種々の化学物質は、使用
に際して、皮膚刺激性を実施し、その安全性の評価を行
う必要がある。現在、皮膚刺激性の評価には、動物やヒ
トを用いた試験結果が用いられている。動物を用いた刺
激性試験には、ドレイズ試験法が用いられており、ウサ
ギ、モルモット、ラットなどの動物が使用されている。
動物を使用する毒性試験は、時間と経費がかかるばかり
か、研究施設間の結果の再現性、など種々の問題点を有
する。動物試験の結果は、ヒトに対する結果と異なる場
合もあり、ヒトへの外挿に困難を有する。すなわち、動
物からヒトへの外挿が経験則に基づくものであり、理論
面での科学的未熟さが、動物実験に内在する不確実性の
一つとなり、外挿の問題点として提起されている。加え
て、最近動物愛護の見地より次第に動物試験法の使用が
制限されるようになってきている。
【0005】ヒトを用いた皮膚刺激性には、ヒト腕浸漬
またはその修正法や、パッチテストが行われている。ヒ
トに対する試験は、主に最終商品についてのみ行われて
おり、未知の原材料に対して刺激性を試験することは倫
理上困難である。さらに、ヒト試験においては、被験者
間の刺激感受性の個体差、並びに季節間変動よる被刺激
性の違いがあり、試験結果の再現性に問題がある。
【0006】そこで、これらの問題提起に対する回答と
して、ヒト由来細胞の培養系を毒性試験法に採用するこ
とが提唱され、種々のインビトロ試験法の研究が行われ
てきた。インビトロ法については、主に化粧品業界にお
いて近年動物実験代替法の研究が精力的に進められてき
ており、初代細胞、株化細胞を利用した単層培養方法を
はじめ、種々の方法が考案されてきた(「細胞培養技術
を使った動物実験代替法」遺伝、1993年6月号(4
7巻6号)、第14〜20頁)。それらの方法は、細胞
をシャーレなどの培養器に播種し培地中に被験物質を入
れその被験物質独自の細胞への直接的な作用を検出する
方法が行われており、特に刺激性の分野では細胞の生存
率、細胞死、細胞賦活によるサイトカインの産生などが
測定されている。これらの試験に用いられる被験物の濃
度は、ヒトに対する刺激性を予測する上では、曝露環境
における薬物濃度が、低濃度となり、被験物質のヒトへ
の実使用濃度との隔差により、検出された結果をヒトへ
外捜することが難しい。
【0007】さらに、皮膚に対する刺激性は、被験物質
の暴露様式から勘案すると、まず被験物質が皮膚最外層
の角質層に作用し、角質の破壊、分解、浸透が行われ
る。これにより、角質層の被験物質の透過および被験物
質によっては、バリア障害を生じ、その後、被験物質
は、表皮生細胞層である顆粒層、有棘層、基底層、真皮
層へと移行、蓄積し、生細胞への直接的な刺激が起こ
る。このように、皮膚に対する刺激性は、細胞に対する
毒性のみでは、反映されず、角質層を含む表皮全体の刺
激を総合して予測する必要がある。すなわち、前述した
通常の単層培養細胞を用いた細胞毒性試験を皮膚刺激性
の予測試験法として用いるときは、細胞に対する過剰暴
露による細胞死を指標としているのみであるので、動物
に対する皮膚刺激性試験での角質層透過性の少ない被験
物質に対しても有意に高い皮膚刺激性の結果をあらわ
す。以上の点から、皮膚刺激性を予測する試験法の開発
にあたって、皮膚の角質層を考慮に入れた試験法の開発
が望まれている。
【0008】最近、これら前述の欠点を補うために、ヒ
ト皮膚培養法の進歩に従い、皮膚刺激性を予測するため
に、角質層を有する3次元ヒト培養皮膚モデルを用いた
検討も行われてきており、素材として、その有用性が示
されている。ヒト皮膚モデルを用いた刺激性の測定方法
として、現在、生細胞数、テトラゾリウム塩(MT
T)、乳酸脱水素酵素(LDH)、プロスタグランジン
E2(PGE2)、インターロイキン1(IL−1)、イ
ンターロイキン8(IL−8)等の測定法が使用されて
いるが、これらはすべて、長時間被験物質を培養皮膚に
曝露させ、角質を透過した被験物質による細胞への直接
的障害を評価する方法である(特願平4−15369
2、特願平4ー37211)。特に、現在行われている
インビトロ刺激性試験法は、MTT試験法やLDH試験
法のような、細胞の生死を種々の検出法で検出すること
に集中している。
【0009】一般に、皮膚の刺激性は、急性刺激性、慢
性刺激性の2種に大きく分類され、刺激性発現の作用機
構は、種々あるが、薬物の生細胞への直接影響、薬物に
より刺激を受けた細胞から生じる2次的な炎症反応、角
質層を破壊することによって皮膚の生体向上性を撹乱し
透過性促進や炎症反応の惹起などによることが考えられ
ている。これまで、パッチテストなどによる皮膚上に生
じた紅斑等の所見を評価する方法が用いられているが、
皮膚一次刺激性を評価する場合、特に、薬物の皮膚内へ
の透過による皮膚内細胞への被験物質の直接的な刺激を
反映していることが多い。しかし、ヒトあるいは、動物
の皮膚状態の違い(健常皮膚とアトピー皮膚の違いなど)
により、同用量、同性状薬物においても、皮膚に対する
刺激性は異なった結果を生み出す場合がある。
【0010】また、これまで、培養皮膚モデルを用いた
種々の動物代替法が考案されてきたが、それらは、今ま
で行われてきた、ヒトを含む動物実験の手法や単層細胞
培養毒性試験方法と同様に、刺激物質の皮膚面に適用し
た被験物適用濃度に依存した試験がなされてきており、
その適用濃度に依存した皮膚刺激評価を行ってきた。す
なわち、濃度依存性曲線から刺激性を判断する方法(EC5
0値)では、薬剤曝露時間を一定にし、50%細胞生存率を
示す添加濃度を刺激指標としている。これは、薬剤曝露
時間による細胞生存率が変化すること、曝露時間が適切
でないと薬剤の過剰時間曝露によって過度な毒性値(皮
膚刺激性値)を示す恐れがある。また、時間依存性曲線
から刺激性を判断する方法(ET50)では、薬物添加濃度を
定め、薬剤曝露時間における50%細胞生存率を示す薬剤
曝露時間を刺激指標としている。これは、添加する薬物
の濃度によって、細胞毒性発現時間が変化すること、す
なわち適用薬剤濃度差異による各薬剤の刺激性の見誤り
が生じる。これらの方法の問題は、培養皮膚モデル等の
3次元組織物を用いた場合と同様に、ヒトや動物に対す
る試験においても生じる。
【0011】これまでの、被験物の生体外での濃度を基
準としたインビトロ測定方法では、各薬剤による透過性
の違い、角質層の破壊率、その結果生じた局所の薬物の
濃度差による刺激性の差異を十分にとらえることが出来
ず、生体(ヒト)と異なった刺激性の評価結果に陥るこ
とが多い。現在、少なくとも皮膚刺激性のインビトロ測
定法の考え方では、薬物が皮膚内に吸収される際の薬物
動態学的概念、すなわち、透過性、分配、拡散の概念が
評価手法に採りこまれていない(この様な発想は現在の
ところ本分野学会ではない)。このため、擬陽性等の生
体と異なる説明の出来ない結果が、発生する。特にエン
ドポイント方法において顕著であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】これまでの、被験物の
生体外での濃度を基準とした評価方法では、各薬剤によ
る透過性の違い、角質層の破壊率、その結果生じた局所
の薬物の濃度差による刺激性の差異を十分にとらえるこ
とが出来ず、生体と異なった刺激性の評価結果に陥るこ
とが多い。そこで、本発明の目的は、皮膚刺激性を試験
する際、薬物動態学的知見から、薬物の、生体細胞の作
用場での薬物濃度を推定し、その薬物の種々の性質を勘
案して、生体中で起こる刺激性機序、作用様式を模倣し
た試験方法であり、それらを総合して評価できるインビ
トロ皮膚刺激性試験方法を提供することにある。すなわ
ち、本発明の目的は、薬物の生体への反応性を試験する
際、薬物動態学的知見から、薬物の、生体細胞の作用場
での薬物濃度を推定し、その薬物の種々の性質を勘案し
て、生体中で起こる反応性、機序、作用様式を模倣した
試験方法であり、それらを総合して評価できるインビト
ロ組織反応性評価試験方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】一般に皮膚刺激性として
評価する際に用いるヒトあるいは動物の皮膚上の紅斑等
の所見は、皮膚刺激発現部位が皮膚最外層である角質層
ではなく、表皮層や真皮層の細胞に、刺激物質が作用す
ることによって生じる。これまで行われてきた被験物の
用量依存性等適用薬物の組織適用濃度を基準とした評価
方法では、各薬剤による透過性の違い、角質層の破壊
率、その結果生じた局所の薬物の濃度による刺激性の差
異を十分にとらえることが出来にくかった。
【0014】それは、皮膚に対する刺激性が、少なくと
も被験物が、角質層あるいはバリアを透過し、皮膚の表
皮層(生細胞層)に達し、被験物の組織濃度、曝露時間、
被験物単位濃度での毒性により生じるのであるが、これ
までの試験方法では、薬物の適用濃度と曝露時間のみの
ファクターで試験されており、生体中で起こる刺激性機
序を模倣した、勘案した試験方法ではなかった為であ
る。
【0015】繰り返すが、皮膚に対する刺激性は、薬物
が、角質層を透過し、皮膚生細胞層に達した結果、薬物
自体(固有の)の細胞毒性力によって、細胞を刺激する
ことによって発生する。そこで、この機構を分割して検
討を進めた結果、薬物の角質透過速度(分配拡散速
度)、生細胞層に入る時点での分配拡散速度、透過抵
抗、および薬物の濃度依存による毒性度合が皮膚刺激性
の発現に関係してくることがわかってきた。さらに、鋭
意検討を進めた結果、刺激発現機序から、皮膚刺激部位
における刺激物質濃度および皮膚内滞留時間が、当該部
位の刺激性発現に直接関係してくることが見出された。
【0016】この観点から、本発明の測定方法では、皮
膚刺激性を試験する際、薬物動態学的知見、すなわち透
過性、分配、拡散、透過抵抗を導き、被験物の生体細胞
の作用場での被験物質の濃度を調べて、その薬物の種々
の生体細胞に及ぼす効果(例えば細胞毒性)を加味して、
速度論解析を行うことにより、皮膚生体内で生じた刺激
性を刺激機序に促した刺激性評価できることを見出し
た。
【0017】
【発明の実施の形態】まず、本発明に用いられる組織、
皮膚組織は、ヒト、動物より採取されたもの、あるい
は、3次元的に組織再構築された組織培養物、あるいは
培養人工皮膚などが挙げられる。また、本発明の皮膚刺
激性試験に用いる培養人工皮膚とは、天然の皮膚組織に
類似したものであって、生体より単離された皮膚の細胞
から、細胞培養技術を用いて皮膚構造を再構築させたも
のであり、表皮層と真皮層からなる多細胞層の構造物、
あるいは、表皮層のみの多細胞層の構造物である。表皮
層は、表皮細胞層が積み重なった構造を有し、所定の分
化した表皮細胞群で構成され、各細胞は生存している。
表皮細胞群は、生存していることが必要であり、生存し
ていないと、表皮細胞間の結合と角質層の破壊が起こり
角質層を介した刺激性を測定する上で好ましくない。
【0018】本発明で行われる皮膚刺激性試験手法につ
いて培養人工皮膚を用いた例を用いて解説する。まず、
培養人工皮膚を例えばシャーレまたは培養プレートに入
れ、さらに栄養培地を培養皮膚底面に接触する様に加
え、皮膚表面は空気に曝露された状態で培養できるよう
にする。次いで、培養皮膚表面に被験物質を接触させ
る。本発明では、培養人工皮膚の表面に、密着する様に
被験物質を適用した後、培養器内、または、大気上で、
一定時間曝露させる。被験物質を接触させる手段として
は、ヒト皮膚パッチテスト等に用いられるフィンチャン
バー、コットンパッド、濾紙、スポンジ、ガーゼ、不織
布等にしみ込ませて接触させるか、直接、被験物を皮膚
表面に接触させても良い。ここで適用される被験物質と
は、液状、クリーム状、ゲル状、固形状すべての皮膚に
接触する物質及び製品を示す。これらには、界面活性剤
(アニオン系、カチオン系、または非イオン系)とこれら
の界面活性剤を含む製品、例えば、シャンプー、洗剤、
コンディショナー、食器洗浄液、スキンクレンザー、ク
リーニング剤およびスキンケア品目などがある。上記記
載から明らかな様に、医薬品、化学品およびこれらの原
料などの皮膚と接触する他の成分または製品を適用して
も良い。被験物質の曝露後の皮膚に対する刺激性の検出
方法としては、生細胞数、テトラゾリウム塩(MT
T)、乳酸脱水素酵素(LDH)、プロスタグランジン
E2(PGE2)、インターロイキン1(IL−1)、イ
ンターロイキン8(IL−8)等の測定法によって行
う。
【0019】本発明における重要な因子である、作用場
の局所物質濃度を測定する手法を説明する。この手法
は、拡散セルを用いて行われる。その様式は、垂直膜型
セル(シンク型)、水平膜型セル(フランツ型セル)などの
拡散セルが用いられるが、透過性を試験できる装置ある
いは器具であれば良く、特に本拡散セルに限定されるも
のではない。これらのセルに皮膚を装着後、角質層側に
被験物質を適用し、真皮側に透過してくる被験物量を測
定する。
【0020】皮膚を一枚膜と考え、薬物を適用し、薬物
が、分配係数に従って皮膚表面に分配し、レセプター側
において薬剤濃度が0であることを前提とし、Fickの第
2式の変法を解くことによって、物理化学的定数を求め
ることが出来る。得られた分配係数、拡散係数から作用
場における被験物質の濃度が推定できる。簡易的な作用
場濃度の推定法として、細胞に対する刺激度、EC50値な
どの固有の細胞毒性値(濃度で表される)から、曝露時間
等をかけ合わせることによって作用場濃度を見積もり本
評価系に使用することも可能である。この、細胞に対す
る刺激度は、細胞を用いて測定された毒性度のみに限ら
ず、例えば、タンハ゜ク質変性、膜破壊性などの化学あるい
は物理的方法によって規定された値であってもかまわな
い。
【0021】これらの因子を数学的手法を用いて、別
に、同モデルを用いて得られた刺激性値(EC50値、ET50
値等)を用いることによって、皮膚に対する刺激性を見
積もることが出来る。例えば、この式に限るものではな
いが、Hillの式に当てはめることによって刺激度の判定
が可能である。 (式) E = Emax・Cγ/(EC50γ+Cγ) E:皮膚刺激度、Emax:最大皮膚刺激度、C:反応場におけ
る薬物濃度 EC50:50%皮膚刺激度発現濃度、γ:形状因子
【0022】要約すれば、以下の工程を行うことによる
皮膚の刺激性試験法であるが、以下の記載に限られるも
のではない。 皮膚の上部に被験物を接触させ、被験物が、皮膚組
織を透過する速度を求める工程。 被験物が組織内を移動する際の分配、拡散性を求め
る工程。 、より得られた値を用いて、組織内の濃度を推
定する工程。 刺激性度と組織内濃度の関係をHill式に当てはめる
ことによって、刺激性を評価する工程。
【0023】
【実施例】本発明の内容を実施例を用いて、作用場の濃
度を知ることによって、動態学的に皮膚刺激性に関して
有効な判別が可能であることを具体的に説明する。これ
らの実施例は、本発明の一態様に過ぎず、本発明はこれ
らの例に何ら限定されるものではない。
【0024】実施例1 MTT試験法は、予め検体の薬剤暴露部位を確保するリ
ング(東洋紡社製)を表面に接着させた培養人工皮膚
(LSE:Living Skin Equivalent、東洋紡社製)また
はトランスウエルにモルモット皮膚片を入れものを6穴
の培養プレートに入れ、この6穴プレートの各ウエルの
LSE底面に接触するように、アッセイ培地(東洋紡社
製)を1.2ml加えた。各リング中央部に被験物質と
してCPC(cetylpyridinium chloride)溶液を80μl
加え、CO2インキュベーター内で24時間培養を行っ
た。培養終了後、アッセイ培地をMTT試薬が0.33
3mg/mlの濃度で含まれるMTT含有アッセイ培地
に交換し、さらに3時間CO2インキュベーター内で培
養した。その後、検体暴露部を直径8mmのバイオプシ
ーパンチでくり抜き、くり抜いた部分を0.3mlの酸
性イソプロパノール液に漬け、生成した青紫色のホルマ
ザンの抽出を2時間行った。抽出終了後、96穴マイク
ロプレートリーダーを用いて、570nmの吸光度を測
定した。
【0025】皮膚透過試験は、モルモットから得られた
皮膚組織および培養皮膚モデル(LSEhigh)をTwo-chamb
er(side by side)diffusion cellにマウントすることに
よって行った。モルモットの背部皮膚は、バリカンある
いはシェーバーで除毛した皮膚を用い、Stripped Skin
としては、粘着テープで20回角質層を剥離したものを用
いた。モルモットの場合は、5%濃度、LSEhighでは、
1%の濃度になるように生理食塩液で調製したCPC溶液
を角質層側のチャンバーに添加し、反対側の真皮部へ
は、生理食塩液を等量満たしておく。37℃下で試験を
行い、レシーバー側の溶液のCPC濃度をHPLCを用いて測
定した。
【0026】皮膚透過性実験から、培養皮膚モデルとギ
ニアピッグのCPCの累積皮膚透過時間曲線を作成した。
次に LSE-high と guinea pig 皮膚は角質層と生きた表
皮と真皮からなる 2 層膜構造と仮定し、viable epidem
is and dermis層における透過係数Pvedを 算出した.次
に各皮膚膜を介するCPCの定常状態透過速度から、Pss
求めた。さらに、RR, Kved を算出した。
【0027】MTT試験及び透過性試験から得られた結果
を、各透過係数(Ptot、Psc、Pved)、透過抵抗(R
R)、分配係数(Kved)、最大刺激度(Imax)、IC50、
γの分類で表1にまとめた。
【0028】
【表1】
【0029】これらのデータを用いて、モルモットの i
ntact skin と stripped skin に CPCを適用した時のvi
able epidemis and dermis 中の CPC 濃度に対する細胞
生存率(MTT値) 調べたところ、Hill式に適合した
濃度依存性のある曲線が描けた。このことは、作用点濃
度により刺激性(この場合はMTT値)の発現度合いが、
バリア能の有無にかかわらず評価できることが示され
た。(図1)
【0030】同様に、皮膚モデルを用いた結果を解析し
た結果、モルモットと同じく、作用点濃度により刺激性
(この場合はMTT値)の発現度合いが、バリア能の有無
にかかわらず評価できることが示された。(図2)
【0031】モルモットの結果と皮膚モデルの結果を、
CPCの皮膚に対する分配係数の違いをAUC理論を用いた補
正を両者のIC50値を用いて行うことによって、モルモッ
トの刺激性の結果と皮膚モデルの刺激性の結果が一致し
た。(図3)
【0032】各濃度の薬剤を用いて、ドレイズ試験結果
とHill式から得られた皮膚刺激度の結果の相関を調べた
結果、高い相関性(相関係数:r=0.986)が得られ
た。各濃度の薬剤の刺激性評価が、生体外において行う
実験法である本インビトロ試験方法は、動物で起こる反
応を正確に評価できた。(図4)
【0033】
【発明の効果】本発明は、生体外に取り出した生体組織
あるいは当該生体組織に近似した培養細胞組織に被験物
質を適用し、被験物質の透過性を測定することによっ
て、組織の被験物質の作用場での濃度を測定する、そし
て、被験物の細胞に対する反応性をかけ合せることによ
り、実際の組織内で起こる作用を、組織の種差あるいは
個体差などの種々の要因を平準化して評価出来る方法で
ある。本発明の方法は、 動物実験の代替法として、精
度の高い結果を得る方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】角質を剥離したモルモットの皮膚(stripped
skin)と無処理のモルモット皮膚(intact skin)の表
面にCPCを適用した後、経皮吸収結果から算出された作
用部位濃度と細胞生存率の相関性を示している。
【図2】角質を剥離した培養皮膚モデルの皮膚(stripp
ed skin)と無処理の培養皮膚モデルの皮膚(intact
skin)の表面にCPCを適用した後、経皮吸収結果から算
出された作用部位濃度と細胞生存率の相関性を示してい
る。
【図3】モルモット皮膚と皮膚モデルの皮膚を用いて得
られた結果から、CPCの分配係数の違いから補正した作
用部位濃度と細胞生存率(皮膚刺激度)の結果を示してい
る。
【図4】ドレーズ試験結果と作用部位濃度から求めた皮
膚刺激度との相関性を示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 哲也 埼玉県狭山市入間川1473−44ハイム中平野 302 Fターム(参考) 2G045 AA40 BA11 CB09 FA11 FB06 JA01 4B063 QA01 QA06 QQ02 QQ20 QR50 QR69 QR72 QS10 QS14 QS17 QX01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生体組織中の作用場の局所物質濃度と物質
    独自の細胞に対する反応性から、物質の生体組織に対す
    る反応性を評価する試験方法。
  2. 【請求項2】生体組織が、ヒト由来組織、動物由来組織
    および3次元的にインビトロ再構築された培養細胞組織
    物であることを特徴とする請求項1記載の試験方法。
  3. 【請求項3】物質の生体組織に対する反応性が、刺激
    性、毒性、増殖性、賦活性である請求項1〜2記載の方
    法。
  4. 【請求項4】局所物質濃度が、透過係数、被験物濃度、
    分配係数、拡散係数、バリア抵抗値の内、少なくとも2
    種類の値を用いて算出されることを特徴とする請求項1
    〜3記載の試験方法。
  5. 【請求項5】生体組織を生体外に取り出し試験を行うこ
    とを特徴とする請求項1〜4記載の方法。
  6. 【請求項6】生体組織が、皮膚組織、上皮組織、粘膜組
    織である請求項1〜5記載の方法。
JP2002006347A 2002-01-15 2002-01-15 生体組織を用いたインビトロ試験方法 Expired - Lifetime JP3925701B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002006347A JP3925701B2 (ja) 2002-01-15 2002-01-15 生体組織を用いたインビトロ試験方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002006347A JP3925701B2 (ja) 2002-01-15 2002-01-15 生体組織を用いたインビトロ試験方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003207506A true JP2003207506A (ja) 2003-07-25
JP3925701B2 JP3925701B2 (ja) 2007-06-06

Family

ID=27645146

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002006347A Expired - Lifetime JP3925701B2 (ja) 2002-01-15 2002-01-15 生体組織を用いたインビトロ試験方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3925701B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005088299A1 (ja) * 2004-03-10 2005-09-22 Hisamitsu Medical Co., Ltd. 皮膚トランスポーターを介した経皮薬剤の皮膚透過性の検定方法
JP2010528311A (ja) * 2007-05-29 2010-08-19 ファーマ・ダイアグノスティックス・ナムローゼ・フェンノートシャップ 新規化学物質および薬物候補のpk/adme−tox特性決定のための試薬および方法
JP2013113801A (ja) * 2011-11-30 2013-06-10 Takasago Internatl Corp 感覚刺激成分の評価方法
JP2013178114A (ja) * 2012-02-28 2013-09-09 Fancl Corp 化粧品原料または化粧品が皮膚に与える刺激性の検査方法
JP2015529817A (ja) * 2012-08-15 2015-10-08 ザ プロクター アンド ギャンブルカンパニー ヒトエックスビボ皮膚モデル及び皮膚炎症のモジュレータを特定する方法におけるその使用
JP2022134978A (ja) * 2021-03-04 2022-09-15 花王株式会社 経皮吸収量の推定方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005088299A1 (ja) * 2004-03-10 2005-09-22 Hisamitsu Medical Co., Ltd. 皮膚トランスポーターを介した経皮薬剤の皮膚透過性の検定方法
JP2010528311A (ja) * 2007-05-29 2010-08-19 ファーマ・ダイアグノスティックス・ナムローゼ・フェンノートシャップ 新規化学物質および薬物候補のpk/adme−tox特性決定のための試薬および方法
JP2013113801A (ja) * 2011-11-30 2013-06-10 Takasago Internatl Corp 感覚刺激成分の評価方法
JP2013178114A (ja) * 2012-02-28 2013-09-09 Fancl Corp 化粧品原料または化粧品が皮膚に与える刺激性の検査方法
JP2015529817A (ja) * 2012-08-15 2015-10-08 ザ プロクター アンド ギャンブルカンパニー ヒトエックスビボ皮膚モデル及び皮膚炎症のモジュレータを特定する方法におけるその使用
JP2022134978A (ja) * 2021-03-04 2022-09-15 花王株式会社 経皮吸収量の推定方法
JP7309765B2 (ja) 2021-03-04 2023-07-18 花王株式会社 経皮吸収量の推定方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3925701B2 (ja) 2007-06-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Moss et al. Quantitative structure–permeability relationships (QSPRs) for percutaneous absorption
Antonov et al. Methods for the assessment of barrier function
Bartosova et al. Transdermal drug delivery in vitro using diffusion cells
Vejnovic et al. Investigation of different formulations for drug delivery through the nail plate
Schaefer et al. Models for skin absorption and skin toxicity testing
RU2605300C2 (ru) Способ оценки косметических средств
Noël et al. Sweaty skin, background and assessments
US20190242880A1 (en) Method for evaluating the effects of dehydration on children's skin
CN104471391A (zh) 鉴别具有治疗性皮脂抑制活性的ahr受体的配体的方法以及所述配体
TWI580964B (zh) 皮膚的壓力蓄積度的評價方法
Haridass et al. Cellular metabolism and pore lifetime of human skin following microprojection array mediation
JP2003207506A (ja) 生体組織を用いたインビトロ試験方法
Kocsis et al. Characterization and ex vivo evaluation of excised skin samples as substitutes for human dermal barrier in pharmaceutical and dermatological studies
JP2012161273A (ja) 皮膚表皮内水分保持能評価法
TWI600904B (zh) 皮膚應激蓄積度的評價方法
JP4003117B2 (ja) 刺激性試験方法
US20200256853A1 (en) Models of Reconstructed Sensitive Skin
JP3596658B2 (ja) 培養細胞を用いた毒性評価方法
Hausmann et al. Optimizing skin pharmacotherapy for older patients: the future is at hand but are we ready for it?
Karan et al. Toxicologic implications of cutaneous barriers: a molecular, cellular, and anatomical overview
De Boer et al. Patch tests: Evaluation by instrumental methods
More et al. Skin Sensitivity and Irritation Testing for Transposing Transdermal Drug Delivery System
Prausnitz et al. Mechanistic studies of skin electroporation using biophysical methods
JPH10323184A (ja) 皮膚刺激性試験方法
Jayabal Identifying early changes in skin integrity using biomarkers

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041209

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060705

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20060713

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20060908

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061102

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061220

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070208

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070221

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 3

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100309

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110309

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110309

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120309

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 5

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120309

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 6

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130309