JP2003206951A - クラッチ装置 - Google Patents

クラッチ装置

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JP2003206951A
JP2003206951A JP2002007324A JP2002007324A JP2003206951A JP 2003206951 A JP2003206951 A JP 2003206951A JP 2002007324 A JP2002007324 A JP 2002007324A JP 2002007324 A JP2002007324 A JP 2002007324A JP 2003206951 A JP2003206951 A JP 2003206951A
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clutch plate
clutch
friction torque
friction
clutch device
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JP2002007324A
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English (en)
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Susumu Kurosaki
晋 黒崎
Takashi Tomizawa
隆 冨澤
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Kikuchi Co Ltd
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Kikuchi Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クラッチ板の製造が容易となるクラッチ装置
を提供すること。 【解決手段】 回転駆動側部材に連結されたクラッチド
ラム1に駆動側クラッチ板21を、回転被動側部材に連
結されたクラッチハブ2に配置された被動側クラッチ板
3と軸方向に交互に配置し、軸方向両側のクラッチ板2
1Aを除く、摩擦部材となっている2個の被動側クラッ
チ板3の間に配置される駆動側クラッチ板21を、被動
側クラッチ板3の側の面が摩擦トルク伝達面25となっ
た2個のクラッチ板部材22を含んで形成し、この駆動
側クラッチ板21を、厚さの小さいクラッチ板部材22
を部品としたクラッチ板とすることで、その製造を容易
にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クラッチ板による
摩擦トルクで回転駆動力を伝達するクラッチ装置に係
り、例えば、自動車のエンジン動力伝達系におけるエン
ジン動力の接続、断絶用のクラッチ装置等として利用で
きるものである。
【0002】
【背景技術】図7は従来のクラッチ装置100を示し、
このクラッチ装置100は、自動車のエンジン動力を車
輪へ伝達するためのエンジン動力伝達経路の一部を形成
するものとなっている。
【0003】回転駆動側の部材であるエンジン側の部材
に連結されているために駆動部材となっているクラッチ
ドラム1の内部には、回転被動部材側の部材である車輪
側の部材に連結されているために被動部材となっている
クラッチハブ2が配置され、これらのクラッチドラム1
とクラッチハブ2は、回転中心軸Nを中心に個別に回転
自在となっている。クラッチドラム1の内周面には多数
のスプライン突起1Aが円周方向に形成され、これらの
スプライン突起1Aに、複数の駆動側クラッチ板101
の外周部に多数設けられているスプライン溝102が係
合し、これにより、それぞれの駆動側クラッチ板101
はクラッチドラム1に取り付けられるとともに、エンジ
ン側の部材と一体に回転する。また、クラッチハブ2の
外周面にも多数のスプライン突起2Aが円周方向に形成
され、これらのスプライン突起2Aに、複数の被動側ク
ラッチ板3の内周部に多数設けられているスプライン溝
4が係合し、これにより、それぞれの被動側クラッチ板
3はクラッチハブ2に取り付けられるとともに、車輪側
の部材と一体に回転する。
【0004】クラッチ装置100は多板式であるため、
共に摩擦部材となっている駆動側クラッチ板101と被
動側クラッチ板3は軸方向に交互に配置され、このた
め、それぞれの被動側クラッチ板3の両側には2個の駆
動側クラッチ板101が配置されているとともに、軸方
向両端のクラッチ板101Aを除くそれぞれの駆動側ク
ラッチ101の両側にも2個の被動側クラッチ板3が配
置され、被動側クラッチ板3は、駆動側クラッチ板10
1と接触する相手側クラッチ板になっている。
【0005】そして、軸方向両端の駆動側クラッチ板1
01Aのさらに外側には、クラッチドラム1のスプライ
ン突起1Aに係止された係止部材5で軸方向移動限が規
定されたストッパ部材6と、ピストン部材7からの押圧
力を弾性部材である皿ばね8を介して受ける圧力部材9
とが、それぞれの外周部のスプライン溝10,11がク
ラッチドラム1のスプライン突起1Aに係合されて配置
されている。
【0006】クラッチドラム1がエンジン動力で回転中
心軸Nを中心に回転しているときに、ピストン部材7が
皿ばね8を介して圧力部材9を押圧すると、圧力部材
9、駆動側クラッチ板101、被動側クラッチ板3及び
ストッパ部材6は、係止部材5で止められるそれぞれの
位置までスプライン突起1A,2Aに案内されて軸方向
へ僅かにスライドし、そして軸方向に隣接している部材
同士が互いに加圧されて接触することにより、クラッチ
ドラム1からの駆動力が駆動側クラッチ板101と被動
側クラッチ板3との間の摩擦トルクによりクラッチハブ
2へ伝達される。
【0007】以上のクラッチ装置100において、被動
側クラッチ板3は金属製、具体的にはスチール製である
が、駆動側クラッチ板101は、大きな圧縮強度を有し
ていて耐熱性に優れている炭素繊維で強化された炭素含
有材料(以下、C/Cコンポジット材料という)で形成
されている。このC/Cコンポジット材料は金属よりも
せん断強度が小さいため、クラッチドラム1のスプライ
ン突起1Aと係合するスプライン溝102が形成されて
いて、このスプライン溝102にエンジン動力の伝達時
において回転方向の大きなせん断力が作用する駆動側ク
ラッチ板101は、被動側クラッチ板3よりも大きな厚
さを有している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このため、従来におい
て、駆動側クラッチ板101を量産化が可能となる加
工、例えば、打ち抜き加工で製造することは困難又は不
可能であり、それぞれの駆動側クラッチ板101を切削
加工によって製造しなければならず、したがって、その
製造に手間と時間がかかり、製造コストが高くなるとい
う問題があった。
【0009】これと同じ問題は、駆動側クラッチ板をC
/Cコンポジット材料製又は金属製とし、被動側クラッ
チ板をC/Cコンポジット材料からなるものとしたとき
にも生ずる。
【0010】また、駆動側クラッチ板と被動側クラッチ
板との両方又は一方をC/Cコンポジット材料以外の材
料、例えば、金属で形成し、例えば、伝達すべき駆動力
が大きいために、この金属製クラッチ板の厚さを大きく
したときにも、上記と同じ問題は生ずる。
【0011】本発明の目的は、クラッチ板の製造が容易
となるクラッチ装置を提供するところにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係るクラッチ装
置は、回転駆動側の部材と回転被動側の部材とのうちの
一方と一体に回転するクラッチ板と、他方と一体に回転
し、前記クラッチ板の両側に配置されている摩擦部材と
を備え、前記回転駆動側の部材からの駆動力が前記クラ
ッチ板と前記摩擦部材との間の摩擦トルクにより前記回
転被動側の部材へ伝達されるクラッチ装置において、前
記クラッチ板が、一方の面が前記摩擦トルクを伝達する
ための摩擦トルク伝達面となっていて他方の面が非摩擦
トルク伝達面となっている2個のクラッチ板部材を含ん
で形成され、軸方向に並設されるこれらのクラッチ板部
材が前記摩擦トルク伝達面を前記摩擦部材の側に向けて
配置されていることを特徴とするものである。
【0013】このクラッチ装置では、回転駆動側の部材
と回転被動側の部材とのうちの一方と一体に回転するク
ラッチ板は、一方の面が摩擦トルクを伝達するための摩
擦トルク伝達面となっていて他方の面が非摩擦トルク伝
達面となっている2個のクラッチ板部材を含んで形成さ
れ、軸方向に並設されるこれらのクラッチ板部材は、回
転駆動側の部材と回転被動側の部材とのうちの他方と一
体に回転しかつ前記クラッチ板の両側に配置されている
摩擦部材の側にそれぞれの摩擦トルク伝達面を向けて配
置されているため、クラッチ板部材の摩擦トルク面と摩
擦部材との間での摩擦トルクが発生することにより、従
来のクラッチ装置と同じく、この摩擦トルクで回転駆動
側の部材からの駆動力が回転被動側の部材へ伝達され
る。
【0014】そして、このクラッチ装置によると、クラ
ッチ板は2個のクラッチ板部材を軸方向に並設すること
により形成されているため、それぞれのクラッチ板部材
の厚さを従来のクラッチ板よりも小さくできる。このた
め、それぞれのクラッチ板部材の製造は容易となり、言
い換えると、これらのクラッチ板部材が部品となって構
成されるクラッチ板の製造は容易となる。
【0015】以上において、クラッチ板部材の材料は、
炭素繊維で強化された炭素含有材料、すなわち、C/C
コンポジット材料でもよく、スチールやステンレス等の
金属でもよく、任意である。また、クラッチ板部材を素
材から製造するための加工は、打ち抜き加工でもよく、
切削加工でよく、他の加工でもよい。切削加工でクラッ
チ板部材を製造しても、クラッチ板部材の厚さは小さい
ため、その製造は容易となる。
【0016】また、2個のクラッチ板部材を含んで形成
される前記クラッチ板の個数は、1個でもよく、複数個
でもよい。
【0017】また、前記他方と一体に回転する前記摩擦
部材は、軸方向に並設される2個のクラッチ板部材を含
んで形成される前記クラッチ板との間で駆動力伝達用の
摩擦トルクを発生させる相手側クラッチ板でもよく、こ
の相手側クラッチ板が取り付けられる部材でもよい。
【0018】また、摩擦部材が相手側クラッチ板である
場合には、この相手側クラッチ板も、一方の面が摩擦ト
ルクを伝達するための摩擦トルク伝達面となっていて他
方の面が非摩擦トルク伝達面となっている2個のクラッ
チ板部材を含んで形成されるものであって、これらのク
ラッチ板部材を軸方向に並設することにより形成したも
のとしてもよい。
【0019】また、摩擦部材が相手側クラッチ板である
場合において、この相手側クラッチ板はスチール製でも
よく、ステンレス製でもよく、C/Cコンポジット材料
によるものでもよく、材料は任意である。
【0020】さらに、以上において、軸方向に並設され
る2個のクラッチ板部材の互いに向かい合う非摩擦トル
ク伝達面同士は、接触させてもよく、あるいは、非摩擦
トルク伝達面同士の間に、これらのクラッチ板部材より
も回転方向の大きなせん断強度を有しかつ前記一方と一
体に回転する強度部材を配置してもよい。
【0021】後者によると、クラッチ板部材が回転方向
のせん断強度が小さい材料で形成されていても、必要と
される大きさのせん断強度を強度部材で確保できる。
【0022】なお、前者において、軸方向に並設される
2個のクラッチ板部材の非摩擦トルク伝達面同士は、単
に接触させるだけとしてもよく、あるいは、それぞれの
クラッチ板部材が接着剤等の結合手段で結合するのに適
正となった材料で形成されている場合には、この結合手
段で結合してもよい。
【0023】後者においても、クラッチ板部材の非摩擦
トルク伝達面と、この非摩擦トルク伝達面と対面する強
度部材の面とは、単に接触させるだけとしてもよく、あ
るいは、クラッチ板部材と強度部材が接着剤等の結合手
段で結合するのに適正となった材料で形成されている場
合には、この結合手段で結合してもよい。
【0024】また、本発明に係るクラッチ装置における
前記摩擦部材に、前記2個のクラッチ板部材のうちの一
方と接触する相手側クラッチ板があり、この相手側クラ
ッチ板に対する2個のクラッチ板部材の側とは反対側に
これらのクラッチ板部材と一体に回転するクラッチ板が
配置されている場合には、このクラッチ板を、クラッチ
板部材と同じ厚さを有するとともに、一方の面が摩擦ト
ルク伝達面となっていて他方の面が非摩擦トルク伝達面
となっているものとし、摩擦トルク伝達面を相手側クラ
ッチ板の側に向けて配置してもよい。
【0025】これによると、摩擦トルク伝達面を相手側
クラッチ板の側に向けて配置されるクラッチ板は、従来
のものより厚さが小さくなるため、その分だけクラッチ
装置の軸方向寸法を小さくでき、クラッチ装置の小型化
を図ることができる。
【0026】そして、このクラッチ板についても、厚さ
が小さくなることから、その製造が容易となる。
【0027】このクラッチ板の材料も、C/Cコンポジ
ット材料でもよく、金属でもよく、任意である。また、
クラッチ板を素材から製造するための加工は、打ち抜き
加工でもよく、切削加工でよく、他の加工でもよい。
【0028】しかし、以上の本発明において、クラッチ
板部材と、摩擦トルク伝達面を相手側クラッチ板の側に
向けて配置されるクラッチ板とを、C/Cコンポジット
材料からなるものとする場合には、C/Cコンポジット
材料からなる素材を打ち抜き加工することにより、これ
らのクラッチ板部材とクラッチ部材を製造することがよ
り好ましい。
【0029】このようにクラッチ板部材とクラッチ板と
をC/Cコンポジット材料からなる素材の打ち抜き加工
で製造するようにすると、これらのクラッチ板部材とク
ラッチ板が外周部や内周部に多数のスプライン溝が形成
される複雑な形状となっていても、切削加工等よりも簡
単かつ短時間で製造でき、また、複数個のクラッチ板部
材とクラッチ板を同じ素材からプレス機械による打ち抜
き加工で同時に製造することも可能であるため、大量生
産を達成でき、製造コストの低減を図ることができる。
【0030】また、クラッチ板部材とクラッチ板とをC
/Cコンポジット材料からなる素材の打ち抜き加工で製
造する場合には、打ち抜き加工で製造された後のクラッ
チ板部材とクラッチ板のそれぞれの一方の面に、この面
を摩擦トルク伝達面とするための研磨等の加工を行うよ
うにしてもよいが、打ち抜き加工される前の素材の一方
の面に予め研磨等の加工を行い、この後に打ち抜き加工
を行うことがより好ましい。
【0031】これよると、素材から製造されたクラッチ
板部材とクラッチ板のそれぞれに個別に研磨等の加工を
行う必要がなくなり、その分だけクラッチ板部材とクラ
ッチ板の製造を一層容易化できることになる。
【0032】以上説明した本発明に係るクラッチ装置
は、自動車におけるエンジン動力伝達系の一部を形成す
るためのクラッチ装置や、プレス機械等の産業用機械に
おける駆動力伝達系の一部又は全部を形成するためのク
ラッチ装置、その他の機械、装置における駆動力伝達系
の一部又は全部を形成するためのクラッチ装置として適
用できる。
【0033】また、本発明に係るクラッチ装置を自動車
におけるエンジン動力伝達系の一部を形成するためのク
ラッチ装置として用いる場合には、そのクラッチ装置
は、センターディファレンシャル装置やフロントディフ
ァレンシャル装置、リヤディファレンシャル装置におけ
るLSD(リミテッドスリップディファレンシャル)装
置でもよく、トランスミッションにおける発進クラッチ
装置や変速クラッチ装置、フォワードクラッチ装置、リ
バースクラッチ装置等でもよい。
【0034】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1は、図7で示した従来のクラッ
チ装置と同じ用途で用いられる第1実施形態に係るクラ
ッチ装置20を示し、図7のクラッチ装置における部材
と同じ部材には同じ符号を付してある。
【0035】多板式となっているこのクラッチ装置20
において、複数の被動側クラッチ板3と軸方向に交互に
配置されている複数の駆動側クラッチ板21のうち、軸
方向両端のクラッチ板21Aを除くクラッチ板21は、
2個のクラッチ板部材22を軸方向に並設することによ
り形成され、これらの2個で一対をなすクラッチ板部材
22は、それぞれの外周部に形成されたスプライン溝2
3がクラッチドラム1のスプライン突起1Aに係合され
ることにより、クラッチドラム1に取り付けられてい
る。また、軸方向両端のクラッチ板21Aも、外周部に
形成されたスプライン溝24がクラッチドラム1のスプ
ライン突起1Aに係合されることにより、クラッチドラ
ム1に取り付けられている。
【0036】駆動側クラッチ板21を形成している2個
のクラッチ板部材22の厚さは同じであって、この厚さ
は従来の駆動側クラッチ板の厚さの半分となっており、
したがって、2個のクラッチ板部材22の厚さを合計す
ると、従来の駆動側クラッチ板の厚さと同じになる。な
お、それぞれのクラッチ板部材22の厚さは、従来の駆
動側クラッチ板の厚さよりも小さければ、従来の駆動側
クラッチ板の厚さの半分より小さくてもよく、大きくて
もよい。
【0037】また、それぞれのクラッチ板部材22の一
方の面は、相手側クラッチ板となっている被動側クラッ
チ板3との間において摩擦トルクを伝達し、クラッチド
ラム1からの駆動力をクラッチハブ2へ伝達するための
摩擦トルク伝達面25となっており、他方の面は、この
ような機能を有しない非摩擦トルク伝達面26となって
いる。
【0038】このため、それぞれのクラッチ板部材22
は摩擦トルク伝達面25を被動側クラッチ板3の側に向
けて配置され、それぞれの非摩擦トルク伝達面26は互
いに向かい合っている。これらの非摩擦トルク伝達面2
6は接着剤等で結合されておらず、駆動力を伝達しない
ときは僅かな隙間を開けて対向するが、駆動力伝達時に
は単に接触するだけである。すなわち、1個の駆動側ク
ラッチ板21を形成するために一対をなす2個のクラッ
チ板部材22は、2個の被動側クラッチ板3の間に分離
状態で配置されている。
【0039】軸方向両端の駆動側クラッチ板21Aにお
ける一方の面も、2個のクラッチ板部材22からなる駆
動側クラッチ板21に対して相手側クラッチ板となって
いる被動側クラッチ板3との間で摩擦トルクを伝達する
ための摩擦トルク伝達面27となっており、他方の面
は、非摩擦トルク伝達面28となっている。
【0040】これらの駆動側クラッチ板21Aは、軸方
向に複数設けられている被動側クラッチ板3のうちの軸
方向端部に配置されたクラッチ板3に対して、2個のク
ラッチ板部材22からなる駆動側クラッチ板21の側と
は反対側に配置されているため、摩擦トルク伝達面27
を被動側クラッチ板3の側に向け、非摩擦トルク伝達面
28を駆動側クラッチ板21と一体に回転するストッパ
部材6、圧力部材9の側に向けて配置されている。
【0041】このため、クラッチドラム1が回転中心軸
Nを中心にエンジン動力で回転しているときに、ピスト
ン部材7が皿ばね8を介して圧力部材9を押圧すると、
駆動側クラッチ板21Aと被動側クラッチ板3との間及
び被動側クラッチ板3とクラッチ板部材22との間で摩
擦トルクが発生し、これによりクラッチドラム1からの
駆動力がクラッチハブ2へ伝達される。また、駆動側ク
ラッチ板21Aと被動側クラッチ板3との間及び被動側
クラッチ板3とクラッチ板部材22との間では、ピスト
ン部材7の押圧力の大きさや車輪側の負荷の大きさに応
じたすべりが生じ、このようなすべりが生じたときに
は、クラッチドラム1からクラッチハブ2へ駆動力の伝
達は、回転数が減少してなされる。そして、ピストン部
材7の押圧力が解除されると、駆動側クラッチ板21A
と被動側クラッチ板3との間及び被動側クラッチ板3と
クラッチ板部材22との間で僅かな隙間が生じ、クラッ
チ装置20は断絶状態となる。
【0042】以上において、駆動側クラッチ板21Aと
クラッチ板部材22の厚さは同じである。このため、こ
れらの駆動側クラッチ板21Aとクラッチ板部材22の
形状及び大きさは同じになっている。図2は、駆動側ク
ラッチ板21Aとクラッチ板部材22の全体図を示して
いる。また、被動側クラッチ板3はスチール製である
が、駆動側クラッチ板21Aとクラッチ板部材22は、
C/Cコンポジット材料で形成されている。
【0043】このため、駆動側クラッチ板21Aとクラ
ッチ板部材22は、同じ材料からなる素材に対して同じ
加工を行うことによって製造されている。図3は、この
製造方法を示している。C/Cコンポジット材料からな
る素材30は、プレス機械の上下動するスライド31に
取り付けられた上型32と、ボルスタ33に取り付けら
れた下型34との間にセットされる。上型32と下型3
4には、図2で示した駆動側クラッチ板21A、クラッ
チ板部材22の中心孔35と外周部のスプライン溝2
3,24を素材30の打ち抜きと同時に形成するための
切断刃36A,37A,36B,37Bを備えた成形部
36,37が形成されている。
【0044】このため、上型32が下降して素材30が
打ち抜き加工されると、図2で示したように、中央に中
心孔35が形成され、外周部にスプライン溝23,24
が形成されて複雑な形状となった駆動側クラッチ板21
A、クラッチ板部材22が製造される。
【0045】なお、素材30の一方の面には、打ち抜き
加工前に予めこの面を摩擦トルク面とするための研磨加
工が行われている。このため、素材30から製造された
ときの駆動側クラッチ板21A、クラッチ板部材22の
一方の面は、前述した摩擦トルク伝達面25,27とな
っており、他方の面は非摩擦トルク伝達面26,28と
なっている。
【0046】また、素材30を大面積のものとすること
により、同じ素材30から複数の駆動側クラッチ板21
A、クラッチ板部材22を製造すること、及び上型32
と下型34に設ける成形部36,37を複数とすること
により、複数の駆動側クラッチ板21A、クラッチ板部
材22を同時に製造することができる。
【0047】以上説明した実施形態によると、軸方向両
端のクラッチ板21Aを除く駆動側クラッチ板21は、
軸方向に並設された2個のクラッチ板部材22の組み合
わせで形成されているため、それぞれのクラッチ板部材
22の厚さを従来の駆動側クラッチ板より小さくでき
る。このため、軸方向両端のクラッチ板21Aを除く駆
動側クラッチ板21の製造は、その材料が圧縮強度の大
きなC/Cコンポジット材料となっていても、厚さの小
さいクラッチ板部材22を簡単かつ短時間で行える打ち
抜き加工で生産することによって行えることになり、言
い換えると、この駆動側クラッチ板21は、製造が容易
なクラッチ板部材22を部品とし、この部品の組み合わ
せで形成されていることになるため、この駆動側クラッ
チ板21の製造を容易に行えてその製造コストを低減で
き、大量生産が可能となる。
【0048】また、軸方向両端のクラッチ板21Aはク
ラッチ板部材22と同じ厚さとなっているため、このク
ラッチ板21Aとクラッチ板部材22をC/Cコンポジ
ット材料からなる同じ素材30を打ち抜き加工すること
で得られる。
【0049】そして、同じ素材30から複雑な形状とな
っている複数のクラッチ板21A及び/又は複数のクラ
ッチ板部材22を簡単かつ短時間で製造することもで
き、しかも、打抜き加工される前の素材30の一方の面
には、予めこの面を摩擦トルク伝達面とする加工が行わ
れているため、打ち抜き加工で得られたこれらのクラッ
チ板21A、クラッチ板部材22の一方の面に個別に摩
擦トルク伝達面とする加工を行う必要がない。したがっ
て、この点でも、切削加工で製造されたそれぞれの駆動
側クラッチ板の一方の面をこの製造後の研磨加工で摩擦
トルク伝達面としていた従来技術よりも、クラッチ板2
1Aを含む駆動側クラッチ板21の全体の製造を容易に
行える。
【0050】また、軸方向両側の駆動側クラッチ板21
Aの厚さはクラッチ板部材22と同じであるため、これ
らのクラッチ板21Aを含む全部の駆動側クラッチ板2
1の個数と、図7で示した従来のクラッチ装置100に
おける軸方向両端のクラッチ板101Aを含む全部の駆
動側クラッチ板101の個数とを同じとした場合には、
クラッチ板21Aを含む全部の駆動側クラッチ板21に
関する図1で示す軸方向長さL1は、従来のクラッチ装
置100における軸方向両端のクラッチ板101Aを含
む全部の駆動側クラッチ板101に関する図7で示す軸
方向長さL2よりも短くなる。したがって、この実施形
態に係るクラッチ装置20を軸方向長さが短縮されたコ
ンパクトなものとすることができる。
【0051】図4は、図1の第1実施形態と同じく、軸
方向の端部のクラッチ板21Aを除く駆動側クラッチ板
21を2個のクラッチ板部材22で形成した第2実施形
態に係るクラッチ装置40を示す。このクラッチ装置4
0は自動車のフロントディファレンシャル装置における
LSD装置として利用され、図4は、このLSD装置の
右車輪駆動部分である要部を示している。
【0052】ディファレンシャルケース45とディファ
レンシャルカバー46は、エンジン側の部材に連結され
た駆動側部材となっており、これらのディファレンシャ
ルケース45とディファレンシャルカバー46に対して
回転自在となった右駆動シャフト47及びこの右駆動シ
ャフト47に結合されたサイドギヤ48は、右車輪側の
部材に連結された被動側部材となっている。ディファレ
ンシャルケース45の内周面にはスプライン突起45A
が多数形成され、サイドギヤ48の外周部にもスプライ
ン突起48Aが多数形成され、ディファレンシャルケー
ス45のスプライン突起45Aには、2個で駆動側クラ
ッチ板21を形成するクラッチ板部材22の外周部のス
プライン溝23と、ディファレンシャルカバー46側の
軸方向の端部に配置された駆動側クラッチ板21Aの外
周部のスプライン溝24とが係合され、サイドギヤ48
のスプライン突起48Aには、駆動側クラッチ板21と
軸方向に交互に配置された被動側クラッチ板3の内周部
のスプライン溝4が係合されている。
【0053】この実施形態に係るクラッチ装置40で
は、複数の駆動側クラッチ板21のうち、サイドギヤ4
8の歯車部49側のクラッチ板21も2個のクラッチ板
部材22で形成されている。
【0054】歯車部49に噛合する図示しないピニオン
ギヤからの押圧荷重によってサイドギヤ48に図4中右
側への押圧力が作用するとともに、左右車輪に回転差が
生ずると、歯車部49とクラッチ板部材22との間及び
クラッチ板部材22と被動側クラッチ板3との間に相対
すべりが発生し、このときに生ずる摩擦トルクは、回転
数の多い方から回転数の少ない方へ伝達される。
【0055】このため、この実施形態では、複数の駆動
側クラッチ板21のうちのサイドギヤ48の歯車部49
側に配置されたクラッチ板21の軸方向の両側に配置さ
れていて、このクラッチ板21のクラッチ板部材22と
の間で摩擦トルクの伝達を行うための右車輪側の被動部
材の摩擦部材は、クラッチ板部材22と接触する歯車部
49を有するサイドギヤ48と、軸方向に複数配置され
た被動側クラッチ板3のうちの歯車部49側のクラッチ
板3とになっている。
【0056】図5は、図1のクラッチ装置20と同じ用
途で使用されるクラッチ装置であって、軸方向両側の駆
動側クラッチ板21Aを除く駆動側クラッチ21を2個
のクラッチ板部材22と1個の強度部材51とで形成し
た第3実施形態に係るクラッチ装置50を示す。
【0057】強度部材51は、2個のクラッチ板部材2
2の互いに向かい合う非摩擦トルク伝達面26の間にこ
れらのクラッチ板部材22と分離した状態で配置され、
また、この強度部材51は、それぞれのクラッチ板部材
22と同じく、外周部に形成されているスプライン溝5
2がクラッチドラム1のスプライン突起1Aに係合され
てクラッチドラム1に取り付けられている。このため、
強度部材51は、クラッチ板部材22と同じく、駆動側
の部材であるクラッチドラム1と一体に回転する。
【0058】また、強度部材51は、クラッチ板部材2
2と軸方向両側の駆動側クラッチ板21Aとの材料にな
っているC/Cコンポジット材料よりも回転方向のせん
断強度が大きい材料、例えば、スチールで形成されてい
る。
【0059】この実施形態のクラッチ装置50でも、ク
ラッチドラム1が回転中心軸Nを中心にエンジン動力で
回転しているときに、ピストン部材7が皿ばね8を介し
て圧力部材9を押圧すると、駆動側クラッチ板21Aと
被動側クラッチ板3との間及び被動側クラッチ板3とク
ラッチ板部材22との間で発生する摩擦トルクによりク
ラッチドラム1からの駆動力がクラッチハブ2へ伝達さ
れるが、軸方向両側の駆動側クラッチ板21Aを除く駆
動側クラッチ21は、2個のクラッチ板部材22の間に
回転方向のせん断強度が大きい強度部材51を組み込む
ことにより形成され、2箇所あるクラッチ板部材22と
強度部材51との当接部のそれぞれは同じ摩擦係数とな
っていて、これらの当接部は同じ大きさの押圧力を受
け、2個のクラッチ板部材22と1個の強度部材51は
一体に回転するため、クラッチドラム1からのトルクの
大部分は、強度部材51のスプライン溝52によって駆
動側クラッチ板21へ伝達される。
【0060】このため、この駆動側クラッチ板21の基
本的な材料を、圧縮強度が大きくて耐熱性に優れている
が回転方向のせん断強度が小さいC/Cコンポジット材
料としても、駆動側クラッチ板部材21の全体の回転方
向のせん断強度を強度部材51によって必要とされる大
きさにでき、クラッチ装置50を大トルク伝達のために
用いることができるようになる。
【0061】なお、この実施形態では、必ずしもクラッ
チ板部材22の外周部にクラッチドラム1のスプライン
突起1Aに係合するスプライン溝23を設ける必要はな
いが、スプライン溝23を設けておくと、トルク伝達時
にクラッチ板部材22が遊動することを阻止し、この遊
動が生じたときに発生するクラッチ板部材22の破損、
損傷等を防止できる。
【0062】図5の実施形態のクラッチ装置50と同じ
く、軸方向の端部の駆動側クラッチ板21Aを除く駆動
側クラッチ21を2個のクラッチ板部材22と1個の強
度部材51とで形成することは、図4のクラッチ装置4
0と同じ用途で用いられるクラッチ装置にも適用でき、
図6は、第4実施形態に係るこのクラッチ装置60を示
している。
【0063】
【発明の効果】本発明によると、クラッチ板の製造が容
易になるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るクラッチ装置の要
部を示す側断面図である。
【図2】図1で示されている同じ形状及び大きさとなっ
た駆動側クラッチ板とクラッチ板部材の全体を示す正面
図である。
【図3】図1で示されている駆動側クラッチ板とクラッ
チ板部材の製造方法を示す縦断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るクラッチ装置の要
部を示す側断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係るクラッチ装置の要
部を示す側断面図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係るクラッチ装置の要
部を示す側断面図である。
【図7】従来のクラッチ装置の要部を示す側断面図であ
る。
【符号の説明】
1 クラッチドラム 2 クラッチハブ 3 摩擦部材であって、相手側クラッチ板でもある被動
側クラッチ板 20,40,50,60 クラッチ装置 21,21A 駆動側クラッチ板 22 クラッチ板部材 25,27 摩擦トルク伝達面 26,28 非摩擦トルク伝達面 45 ディファレンシャルケース 47 右駆動シャフト 48 摩擦部材となっているサイドギヤ 51 強度部材 N 回転中心軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J056 AA60 AA62 BA01 BA02 BE09 CA04 CA05 CA07 CA16 EA02 EA03 EA21 FA03 GA05 GA12

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転駆動側の部材と回転被動側の部材と
    のうちの一方と一体に回転するクラッチ板と、他方と一
    体に回転し、前記クラッチ板の両側に配置されている摩
    擦部材とを備え、前記回転駆動側の部材からの駆動力が
    前記クラッチ板と前記摩擦部材との間の摩擦トルクによ
    り前記回転被動側の部材へ伝達されるクラッチ装置にお
    いて、前記クラッチ板が、一方の面が前記摩擦トルクを
    伝達するための摩擦トルク伝達面となっていて他方の面
    が非摩擦トルク伝達面となっている2個のクラッチ板部
    材を含んで形成され、軸方向に並設されるこれらのクラ
    ッチ板部材が前記摩擦トルク伝達面を前記摩擦部材の側
    に向けて配置されていることを特徴とするクラッチ装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のクラッチ装置におい
    て、前記2個のクラッチ板部材の互いに向かい合う前記
    非摩擦トルク伝達面同士が接触していることを特徴とす
    るクラッチ装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のクラッチ装置におい
    て、前記2個のクラッチ板部材の互いに向かい合う前記
    非摩擦トルク伝達面同士の間には、これらのクラッチ板
    部材よりも回転方向の大きなせん断強度を有しかつ前記
    一方と一体に回転する強度部材が配置されていることを
    特徴とするクラッチ装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のクラッ
    チ装置において、前記摩擦部材には、前記2個のクラッ
    チ板部材のうちの一方と接触する相手側クラッチ板があ
    り、この相手側クラッチ板に対する前記2個のクラッチ
    板部材の側とは反対側にこれらのクラッチ板部材と一体
    に回転するクラッチ板が配置され、このクラッチ板は、
    前記クラッチ板部材と同じ厚さを有するとともに、一方
    の面が摩擦トルク伝達面となっていて他方の面が非摩擦
    トルク伝達面となっており、摩擦トルク伝達面を前記相
    手側クラッチ板の側に向けて配置されていることを特徴
    するクラッチ装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のクラッ
    チ装置において、前記クラッチ板部材は、炭素繊維で強
    化された炭素含有材料からなることを特徴とするクラッ
    チ装置。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載のクラッチ装置におい
    て、前記摩擦トルク伝達面を前記相手側クラッチ板の側
    に向けて配置される前記クラッチ板は、炭素繊維で強化
    された炭素含有材料からなることを特徴とするクラッチ
    装置。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載のクラッチ装置におい
    て、前記クラッチ板部材は、炭素繊維で強化された炭素
    含有材料からなる素材を打ち抜き加工することによって
    製造されていることを特徴とするクラッチ装置。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載のクラッチ装置におい
    て、前記摩擦トルク伝達面を前記相手側クラッチ板の側
    に向けて配置されるクラッチ板は、炭素繊維で強化され
    た炭素含有材料からなる素材を打ち抜き加工することに
    よって製造されていることを特徴とするクラッチ装置。
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