JP2003206493A - 温間又は熱間塑性加工用水溶性潤滑剤 - Google Patents

温間又は熱間塑性加工用水溶性潤滑剤

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JP2003206493A JP2002003940A JP2002003940A JP2003206493A JP 2003206493 A JP2003206493 A JP 2003206493A JP 2002003940 A JP2002003940 A JP 2002003940A JP 2002003940 A JP2002003940 A JP 2002003940A JP 2003206493 A JP2003206493 A JP 2003206493A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 潤滑性及び離型性に優れると共に、作業環境
及び作業効率の悪化並びに金型への堆積を抑制する温間
又は熱間塑性加工用水溶性潤滑剤を提供する。 【解決手段】 本発明の温間又は熱間塑性加工用水溶性
潤滑剤は、潤滑剤100質量%中、(a)分子量が1万
〜100万のアニオン系高分子化合物のナトリウム塩
(アクリル酸−マレイン酸共重合物のナトリウム塩等)
及び/又はアンモニウム塩を1〜50質量%、並びに
(b)分子量が500〜1万未満のアニオン系高分子化
合物のナトリウム塩(イソブチレン−無水マレイン酸共
重合物のナトリウム塩等)及び/又はアンモニウム塩を
0.2〜30質量%含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、温間又は熱間領域
における金属の鍛造、押し出し、プレス及び伸線等の塑
性加工に用いられる温間又は熱間塑性加工用水溶性潤滑
剤に関し、更に詳しくは、型と被加工物との間に供給さ
れ、両者間の摩擦を軽減する潤滑性や接触時間を短くす
るための離型性に優れると共に、作業環境及び作業効率
の悪化並びに金型への堆積を抑制する温間又は熱間塑性
加工用水溶性潤滑剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から金属の塑性加工では、金属材料
と工具又は金型間の摩擦を低減し、金属の塑性変形を一
層円滑に行うと共に、工具又は金型の冷却、保護及び工
具や金型からの金属材料の離型を容易にする目的で潤滑
剤が使用されている。このような潤滑剤としては、例え
ば、黒鉛粉末を油又は水に分散した黒鉛系潤滑剤が挙げ
られる。黒鉛系潤滑剤は、潤滑性及び離型性に優れてい
ることから、従来より塑性加工分野では広く利用されて
いる。
【0003】しかし、黒鉛系潤滑剤では、塗布する際に
黒鉛粉末が飛散したり、機械に付着したりして作業環境
を悪化させるおそれがあるという問題がある。また、黒
鉛系潤滑剤では、使用回数を重なるにしたがって、黒鉛
粉末が潤滑剤を塗布するパイプやノズルに詰まり、作業
に支障をきたすと共に、これらを清掃するために余分な
作業を必要とする。その結果、塑性加工の作業効率を悪
化させるという問題もある。そこで、このような黒鉛系
潤滑剤の問題点を解決するために、黒鉛粉末を含有しな
い無黒鉛型の潤滑剤が求められている。
【0004】かかる観点から、従来より、無黒鉛型の潤
滑剤として、ガラス系潤滑剤及びカルボン酸系潤滑剤が
開発されている。上記ガラス系潤滑剤としては、例え
ば、リン酸、リン酸塩、ケイ酸及び硼酸のアルカリ金属
塩からなるガラス系潤滑剤(特開昭59−64698号
公報)が知られている。また、上記カルボン酸系潤滑剤
としては、アジピン酸塩と有機増粘剤(特開昭55−1
39498号公報)、フタル酸アルカリ金属塩と有機増
粘剤(特開昭58−84898号公報)、芳香族カルボ
ン酸のアルカリ金属塩(特開昭60−1293号公
報)、マレイン酸アルカリ金属塩と有機増粘剤(特開昭
61−103996号公報)、フマル酸アルカリ金属塩
と有機増粘剤(特公昭62−12960号公報)、カル
ボキシ基を有する芳香族多カルボン酸のアルカリ塩(特
開昭62−50396号公報)、リグニンスルホン酸の
アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩(特開昭62−
81493号公報)、及びトリメリット酸とアルカリ金
属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物とのポリカル
ボン酸反応生成物(特公平4−6051号公報)等が知
られている。
【0005】しかし、上記ガラス系潤滑剤では、加工数
の増加に伴って、金型の凹部又はコーナー部に潤滑剤の
不揮発成分や、潤滑剤の不揮発成分と金属摩耗粉との混
合固着物が堆積し易く、その結果、塑性加工後の製品に
欠肉が生じ易いという問題がある。また、上記カルボン
酸塩と有機増粘剤からなる潤滑剤は、作業環境や作業効
率の悪化及び金型への堆積は解消される反面、上記黒鉛
系潤滑剤と比較して潤滑性及び離型性がやや劣ってい
る。しかも、上記カルボン酸塩と有機増粘剤からなる潤
滑剤では、増粘剤を併用しているため、潤滑剤の粘度が
高くなり、その結果、冷却性が低下して金型温度の上昇
(即ち、連続加工における定常状態での金型温度が高く
なること)により、金型寿命を低下させるという問題が
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑
みてなされたものであり、型と被加工物との間に供給さ
れ、両者間の摩擦を軽減する潤滑性や接触時間を短くす
るための離型性に優れると共に、作業環境及び作業効率
の悪化並びに金型への堆積を抑制する温間又は熱間塑性
加工用水溶性潤滑剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】これまでの白色系潤滑剤
では、高分子化合物を主剤に用いた場合、金型への堆積
汚れによるノックアウトピンの稼動不良や金型コーナー
部へのスラッジ堆積による製品形状の不良が問題となる
ため、カルボン酸塩等を主剤に用い、高分子化合物はバ
インダーとしての役割しか求められていなかった。一
方、高分子化合物を主剤に用いた場合の上記問題を解決
するために、高分子化合物の分子量を低下させて水溶液
に流動性を持たせてスラッジを除去しやすくしたり、皮
膜形成を阻害する化合物を添加して皮膜強度を低下させ
て金型への堆積を抑制したりする方法が考えられるが、
何れの場合も一次性能である潤滑性を低下させるおそれ
があるという問題がある。
【0008】かかる点に鑑み、本発明者らは、潤滑剤の
成分と潤滑性、離型性、金型への堆積等の諸性質との関
係について鋭意研究を行なった。その結果、特定の分子
量である高分子量アニオン系高分子化合物に、特定の分
子量である低分子量アニオン系高分子化合物を併用する
ことによって、潤滑性を低下させることなく離型性に優
れると共に、型汚れが少ない温間又は熱間塑性加工用水
溶性潤滑剤が得られることを見出して、本発明を完成す
るに至った。
【0009】本発明の温間又は熱間塑性加工用水溶性潤
滑剤は、(a)分子量が1万〜100万のアニオン系高
分子化合物のアルカリ金属塩及び/又はアンモニウム塩
(以下、「(a)成分」という。)、並びに(b)分子
量が500〜1万未満のアニオン系高分子化合物のアル
カリ金属塩及び/又はアンモニウム塩(以下、「(b)
成分」という。)を含むことを特徴とする。そして、本
発明では、温間又は熱間塑性加工用水溶性潤滑剤100
質量%中、上記(a)成分の含有量は1〜50質量%、
及び上記(b)成分の含有量は0.2〜30質量%とす
ることができる。
【0010】また、本発明の上記(a)成分及び/又は
(b)成分を構成する上記アニオン系高分子化合物は、
炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸又はその誘導
体、炭素−炭素二重結合を有するスルホン酸又はその誘
導体、及びアルケニル基を有するフェノール系化合物の
うちの少なくとも1種の重合体とすることができる。そ
して、上記アニオン系高分子化合物は、α−オレフィン
と炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸又はその誘導
体との共重合体とすることができる。また、上記炭素−
炭素二重結合を有するカルボン酸又はその誘導体は、無
水マレイン酸又はその誘導体とすることができる。更
に、上記α−オレフィンはイソブチレンとすることがで
きる。
【0011】
【発明の効果】本発明の温間又は熱間塑性加工用水溶性
潤滑剤は、特定の高分子量であるアニオン系高分子化合
物と、それよりも分子量が低い特定の分子量のアニオン
系高分子化合物とを併用するという構成を備えている。
これにより、従来の黒鉛系潤滑剤と同等以上の潤滑性及
び離型性を示すと共に、かかる黒鉛系潤滑剤と異なり、
金型汚れも少なく、作業環境の悪化や作業効率の低下を
抑制することができる。従って、本発明の温間又は熱間
塑性加工用水溶性潤滑剤は、潤滑性及び離型性に優れて
いることが求められる温間又は熱間領域を対象とする塑
性加工に好適に使用することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明について更に詳細に
説明する。本発明の上記(a)成分及び/又は(b)成
分を構成する上記アニオン系高分子化合物は、水系にお
いて陰イオンを示すアニオン性基を有し、且つ、分子量
が上記範囲にある高分子化合物であれば、その構造、性
質等については特に限定はない。上記アニオン性基とし
ては、例えば、スルホン酸基又はそのイオン基(−SO
)、カルボン酸基又はそのイオン基(−CO
)、及びフェノール性水酸基又はそのオキシイオン
基等が挙げられる。また、上記アニオン系高分子化合物
は、異なる1以上の上記アニオン性基を1つの高分子化
合物中に備えていてもよいし、同種の上記アニオン性基
を2以上備えていてもよい。
【0013】また、本発明の上記アニオン系高分子化合
物は、アルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カ
リウム塩及びルビジウム塩等)やアンモニウム塩の形で
存在する。本発明では、上記アニオン系高分子化合物の
アルカリ金属塩又はアンモニウム塩のいずれか一方のみ
を含んでいてもよく、あるいは、両方を含んでいてもよ
い。尚、本発明の上記アニオン系高分子化合物のアルカ
リ金属塩及び/又はアンモニウム塩には、各々イオンの
状態であるものも含まれる。即ち、本発明の温間又は熱
間塑性加工用水溶性潤滑剤中、上記アニオン系高分子化
合物のイオンと、アルカリ金属イオン及び/又はアンモ
ニウムイオンの形とが含まれている場合でも、本発明の
上記アニオン系高分子化合物のアルカリ金属塩及び/又
はアンモニウム塩に含まれる。
【0014】上記アニオン系高分子化合物は、上記アニ
オン性基を有する単量体の単独重合若しくは共重合、又
は上記アニオン性基を有しない重合体に後工程を行って
上記アニオン性基を導入することにより得ることができ
る。そして、上記アニオン性基を有する単量体として
は、例えば、炭素−炭素二重結合を有するアニオン性基
含有化合物の重合体が挙げられる。上記炭素−炭素二重
結合を有するアニオン性基含有化合物は、化合物中、炭
素−炭素二重結合と上記アニオン性基又はその誘導体を
1以上含有している化合物であればよい。このような炭
素−炭素二重結合を有するアニオン性基含有化合物とし
ては、例えば、炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸
又はその誘導体の重合体、炭素−炭素二重結合を有する
スルホン酸又はその誘導体の重合体、及びビニル基、ア
リル基等のアルケニル基を有するフェノール系化合物又
はその誘導体等が挙げられる。これらは単独で用いても
よいし、2種以上を併用してもよい。
【0015】上記炭素−炭素二重結合を有するカルボン
酸の誘導体及びスルホン酸の誘導体としては、エステ
ル、イミド、アミド、無水物等が挙げられ、上記アルケ
ニル基を有するフェノール系化合物の誘導体としては、
エステル等が挙げられる。また、上記炭素−炭素二重結
合を有するカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸及
びウンデシレン酸等が挙げられる。特に好ましい上記炭
素−炭素二重結合を有するカルボン酸としては、マレイ
ン酸又は無水マレイン酸が挙げられる。更に、好ましい
上記炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸の誘導体と
しては、例えば、マレイン酸イミド、2−メチルマレイ
ン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノ
エチルエステル及びマレイン酸モノフェニルエステル等
の無水マレイン酸誘導体が挙げられる。これらは単独で
用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0016】また、上記アニオン系高分子化合物は、2
種以上の単量体を重合させた共重合体であってもよい。
例えば、上記二重結合を有するカルボン酸又はその誘導
体の重合体、二重結合を有するスルホン酸の重合体又は
その誘導体、及びビニル基を有するフェノール系化合物
又はその誘導体等の上記二重結合を有するアニオン性基
含有化合物又はその塩と他の単量体との共重合体とする
ことができる。上記他の単量体としては、例えば、プロ
ピレン、1-ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、1
−ドデセン及び1−テトラデセン等のα−オレフィン、
スチレン等の芳香族ビニル化合物、塩化ビニル等のハロ
ゲン化ビニル化合物、ブタジエン、イソプレン等のジエ
ン系化合物等が挙げられる。この中で、特にイソブチレ
ンを用いると、造膜性、被膜強度、被膜密着性に優れ、
また、加工時の被膜追従性も良好であることから好まし
い。また、上記α-オレフィン等の他の単量体は、単独
で用いてもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。
【0017】上記アニオン系高分子化合物の具体例とし
ては、イソブチレンと無水マレイン酸との共重合物のナ
トリウム塩又はアンモニウム塩、スチレンスルホン酸と
アクリル酸若しくはメタクリル酸との共重合物のナトリ
ウム塩又はアンモニウム塩、とアクリル酸若しくはメタ
クリル酸とマレイン酸との共重合物のナトリウム塩又は
アンモニウム塩、(メタ)ポリスチレンスルホン酸のア
ルカリ金属塩又はアンモニウム塩、ポリアクリル酸のナ
トリウム塩又はアンモニウム塩、ポリメタクリル酸のナ
トリウム塩又はアンモニウム塩、アクリル酸とアクリル
アミドの共重合体のナトリウム塩又はアンモニウム塩、
ポリアルケニルコハク酸のナトリウム塩又はアンモニウ
ム塩等が挙げられる。
【0018】本発明の上記(a)成分中の上記アニオン
系高分子化合物は、1種単独でもよく、2種以上を併用
してもよい。同様に、本発明の上記(b)成分中の上記
アニオン系高分子化合物も、1種単独でもよく、2種以
上を併用してもよい。更に、上記(a)成分及び(b)
成分中の上記アニオン系高分子化合物は、同じ種類のア
ニオン系高分子化合物でもよく、異なる種類のアニオン
系高分子化合物でもよい。
【0019】本発明の上記(a)成分の平均分子量は1
万〜100万、好ましくは2万〜50万、更に好ましく
は2万〜40万、より好ましくは3万〜30万、特に好
ましくは3万〜25万、最も好ましくは5万〜25万で
ある。この平均分子量が1万未満では、潤滑性に劣るた
め好ましくない。一方、この平均分子量が100万を超
えると、潤滑性は良好になる反面、スプレー塗布が難し
くなり、作業効率が低下するため好ましくない。
【0020】また、本発明の上記(b)成分の平均分子
量は500〜1万未満、好ましくは1000〜1万未
満、更に好ましくは1000〜9000、より好ましく
は1000〜8000、特に好ましくは2000〜80
00、最も好ましくは2000〜7000である。この
平均分子量が500未満では、皮膜強度が低下し、その
結果、潤滑性が低下するため好ましくない。一方、この
平均分子量が1万以上であると、型汚れが生じるため好
ましくない。
【0021】上記(a)成分及び(b)成分の含有量に
ついては特に限定はなく、必要に応じて種々の含有量と
することができる。通常は、本発明の温間又は熱間塑性
加工用水溶性潤滑剤100質量%中、上記(a)成分の
含有量は1〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、
更に好ましくは20〜40質量%である。上記(a)成
分の含有量を1質量%以上とすることにより、優れた潤
滑性を奏し、製品形状の悪化を抑制できるため好まし
い。また、50質量%以下とすることにより、潤滑剤の
液安定性を向上させて、使用液のスプレー塗布を容易に
行うことができるようになることから好ましい。
【0022】また、上記(b)成分の含有量は、通常、
本発明の温間又は熱間塑性加工用水溶性潤滑剤100質
量%中0.2〜30質量%、好ましくは0.5〜20質
量%、更に好ましくは1〜15質量%、より好ましくは
3〜15質量%、特に好ましくは3〜10質量%であ
る。上記(b)成分の含有量を0.2質量%以上とする
ことにより、型汚れを低減して、製品形状の悪化を抑制
できるので好ましい。また、30質量%以下とすること
により、皮膜強度を向上させて潤滑性を高めることがで
きるので好ましい。
【0023】更に、上記(a)成分及び(b)成分の合
計100質量%中の上記(b)成分の含有量は、通常1
〜70質量%、好ましくは5〜60質量%、更に好まし
くは5〜50質量%、より好ましくは10〜50質量
%、特に好ましくは20〜50質量%である。この含有
量を5質量%以上とすることにより、型汚れによる製品
形状の悪化を抑制できることから好ましく、一方、70
質量%以下とすることにより、潤滑性を向上させて、製
品形状の悪化や型寿命の低下を抑制することができるの
で好ましい。
【0024】本発明の温間又は熱間塑性加工用水溶性潤
滑剤には、通常、水が配合される。この水の配合量につ
いては特に限定はないが、通常は、本発明の温間又は熱
間塑性加工用水溶性潤滑剤100質量%中、10〜9
9.5質量%、好ましくは40〜95質量%、更に好ま
しくは60〜89質量%である。この水の含有量を10
質量%以上とすることにより、潤滑剤の粘度を低くして
作業性の悪化を抑制することができるので好ましい。ま
た、この水の含有量が99.5重量%以下とすることに
より、潤滑成分の不足による潤滑性の低下を抑制し、塑
性加工後の製品形状の悪化を防ぐことができるので好ま
しい。尚、本発明では、上記のように最初から水を配合
した潤滑剤とするだけでなく、使用時に水を加えて所定
の水系潤滑剤として使用することもできる。また、必要
に応じて、使用の際に更に水で稀釈して使用することも
できる。
【0025】本発明の温間又は熱間塑性加工用水溶性潤
滑剤は、上記(a)成分及び(b)成分を必須とする
が、その他に、通常、温間又は熱間塑性加工用水溶性潤
滑剤としての基本的性能を維持するために、本発明の目
的を阻害しない範囲で、種々の添加剤を必要に応じて適
宜添加することができる。このような添加剤としては、
例えば、防菌防黴剤、消泡剤、金属の防錆・防食剤、界
面活性剤等が挙げられる。また、その他に、一層苛酷な
加工条件で使用された場合の焼き付き防止等の性能を向
上する目的で、極圧添加剤、ステアリン酸カルシウム等
の金属セッケン、ポリエチレンワックスエマルション、
ポリエチレンワックス粉末、ポリアミド粉末、ポリイミ
ド粉末、ポリエチレンテレフタレート粉末等の有機粉体
を添加することもできる。
【0026】
【実施例】以下に本発明の実施例を示して、本発明の効
果を説明する。尚、本発明はこれらに限定されるもので
ない。 (1)温間又は熱間塑性加工用水溶性潤滑剤の調製 以下に示す各成分を表2に示す質量%の割合で常法によ
り配合することにより、実施例1〜7及び比較例1〜8
の各温間又は熱間塑性加工用水溶性潤滑剤を調製した。 高分子量イソブチレン−無水マレイン酸共重合物のナ
トリウム塩(分子量9万) アクリル酸−マレイン酸共重合物のナトリウム塩(分
子量7万) ポリスチレンスルホン酸−アクリル酸共重合物のナト
リウム塩(分子量20万) アクリル酸重合物のナトリウム塩(分子量3000) 低分子量イソブチレン−無水マレイン酸共重合物のナ
トリウム塩(分子量2万及び分子量6000) エチルセルロース(分子量6000)
【0027】(2)性能評価 上記(1)で調製した実施例1〜7及び比較例1〜8の
各温間又は熱間塑性加工用水溶性潤滑剤を水で10倍に
希釈した希釈液を調製した。そして、以下の表1に記載
の試験条件及び塗布条件で、上記希釈液を金型に塗布し
て前方押し出し試験を行うことにより、潤滑性を評価し
た。また、上記前方押し出し試験後の金型表面を目視で
観察し、型汚れの状態を評価した。その結果を上記表2
に併記する。尚、表2の最大押し出し荷重(t)は平均
値であり、押し出し長さ(mm)はフランジの厚みを引
いた長さ(図1のL)の平均値である。また、潤滑性評
価は、黒鉛系潤滑剤である比較例8と同等あるいは同等
以上の場合を「◎」、比較例8よりやや劣るが、カルボ
ン酸塩含有潤滑剤である比較例6よりも優れている場合
を「○」、比較例6と同等な場合を「△」、比較例6よ
りも劣る場合を「×」として表2に示した。更に、型汚
れの評価は、カルボン酸塩含有潤滑剤である比較例6と
同等あるいは同等以上の場合を「◎」、比較例6よりや
や劣るが、黒鉛系潤滑剤である比較例8と同等あるいは
同等以上の場合を「○」、比較例8よりも劣る場合を
「×」として表2に示した。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】(3)実施例の効果 表2より、従来より多用されている黒鉛系の塑性加工用
水溶性潤滑剤である比較例8は、潤滑性については良好
なものの、型汚れが著しいことが判る。また、無黒鉛系
の塑性加工用水溶性潤滑剤である比較例6及び7は、依
然として潤滑性及び型汚れとも不十分な結果である。こ
れに対し、本発明の範囲内である実施例1〜7の各温間
又は熱間塑性加工用水溶性潤滑剤は、いずれも最大押し
出し荷重が70〜77トンと小さく、また、押し出し長
さも22mm以上と長いことから、優れた潤滑性を示し
ていることが判る。また、実施例1〜7はいずれの試料
も型汚れが少ないことが判る。
【0031】一方、表2より、本発明の上記(b)成分
を含有しない比較例1及び上記(b)成分の分子量が本
発明の範囲外である比較例4では、潤滑性は比較的良好
であるものの、型汚れが多く実用的とは言い難い結果で
あることが判る。また、本発明の上記(a)成分を含ま
ず、上記(b)成分の分子量が本発明の範囲外である比
較例2では、潤滑性も悪く、型汚れも多いことが判る。
逆に、本発明の上記(a)成分を含有しない比較例3及
び上記(a)成分の分子量が本発明の範囲外である比較
例5では、型汚れは少ないものの、最大押し出し荷重が
88.7トン及び85.5トンと大きく、押し出し長さ
が21.3mm及び21.5mmと短いことから、潤滑
性に劣るものであることが判る。以上より、特定の高分
子量であるアニオン系高分子化合物と、それよりも分子
量が低い特定の分子量のアニオン系高分子化合物とを併
用するという本発明の構成を備えることにより、種々の
性質に優れた潤滑剤とすることができることが判る。
【0032】尚、本発明においては、前記具体的実施例
に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範
囲内で種々変更した実施例とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】前方押し出し試験における加工後のワークを表
す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10N 40:24 C10N 40:24 Z Fターム(参考) 4H104 AA01Z CB08A CB09A CG01A EA03A FA01 PA24 PA26 PA27

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)分子量が1万〜100万のアニオ
    ン系高分子化合物のアルカリ金属塩及び/又はアンモニ
    ウム塩、並びに(b)分子量が500〜1万未満のアニ
    オン系高分子化合物のアルカリ金属塩及び/又はアンモ
    ニウム塩を含むことを特徴とする温間又は熱間塑性加工
    用水溶性潤滑剤。
  2. 【請求項2】 温間又は熱間塑性加工用水溶性潤滑剤1
    00質量%中、上記(a)分子量が1万〜100万のア
    ニオン系高分子化合物のアルカリ金属塩及び/又はアン
    モニウム塩の含有量は1〜50質量%、並びに上記
    (b)分子量が500〜1万未満のアニオン系高分子化
    合物のアルカリ金属塩及び/又はアンモニウム塩の含有
    量は0.2〜30質量%である請求項1記載の温間又は
    熱間塑性加工用水溶性潤滑剤。
  3. 【請求項3】 上記(a)分子量が1万〜100万のア
    ニオン系高分子化合物のアルカリ金属塩及び/若しくは
    アンモニウム塩、並びに/又は上記(b)分子量が50
    0〜1万未満のアニオン系高分子化合物のアルカリ金属
    塩及び/若しくはアンモニウム塩を構成する上記アニオ
    ン系高分子化合物は、炭素−炭素二重結合を有するカル
    ボン酸又はその誘導体、炭素−炭素二重結合を有するス
    ルホン酸又はその誘導体、及びアルケニル基を有するフ
    ェノール系化合物又はその誘導体のうちの少なくとも1
    種の重合体である請求項1又は2記載の温間又は熱間塑
    性加工用水溶性潤滑剤。
  4. 【請求項4】 上記アニオン系高分子化合物は、α−オ
    レフィンと炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸又は
    その誘導体との共重合体である請求項3記載の温間又は
    熱間塑性加工用水溶性潤滑剤。
  5. 【請求項5】 上記炭素−炭素二重結合を有するカルボ
    ン酸又はその誘導体は、無水マレイン酸又はその誘導体
    である請求項3又は4記載の温間又は熱間塑性加工用水
    溶性潤滑剤。
  6. 【請求項6】 上記α−オレフィンがイソブチレンであ
    る請求項4記載の温間又は熱間塑性加工用水溶性潤滑
    剤。
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