JP2003206317A - ポリビニリデンフルオライド - Google Patents

ポリビニリデンフルオライド

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JP2003206317A
JP2003206317A JP2002242510A JP2002242510A JP2003206317A JP 2003206317 A JP2003206317 A JP 2003206317A JP 2002242510 A JP2002242510 A JP 2002242510A JP 2002242510 A JP2002242510 A JP 2002242510A JP 2003206317 A JP2003206317 A JP 2003206317A
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JP
Japan
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polyvinylidene fluoride
vinylidene fluoride
monomer
polymerization
fluoride
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Pending
Application number
JP2002242510A
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English (en)
Inventor
Kenji Otoi
健治 乙井
Mitsuro Tsukamoto
充郎 塚本
Hideki Nakatani
英樹 中谷
Yoshiyuki Hiraga
義之 平賀
Tomohisa Noda
知久 野田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F114/00Homopolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by a halogen
    • C08F114/18Monomers containing fluorine
    • C08F114/22Vinylidene fluoride

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、耐候性、耐薬品性といった本来の樹
脂特性を損なうことなく、生産性と流動特性に優れたポ
リビニリデンフルオライドを提供する。 【解決手段】 ビニリデンフルオライドの重合により得
られるポリビニリデンフルオライドであって、上記ポリ
ビニリデンフルオライドは、ポリマー鎖がビニリデンフ
ルオライドモノマー単位からなるものであり、上記ビニ
リデンフルオライドモノマー単位100個あたりの正常
結合数X個と、上記ビニリデンフルオライドモノマー単
位10000個あたりの分岐数Y個とが、下記式(a)
又は下記式(b)を満たすものであることを特徴とする
ポリビニリデンフルオライド。 0≦Y≦380−4.125X (80≦X≦92) (a) 0≦Y≦0.5 (92<X≦100) (b)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリビニリデンフ
ルオライドに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリビニリデンフルオライドは、耐熱
性、耐候性、耐薬品性に優れた樹脂であり、従来、外壁
用塗料や各種ライニング用途に広く用いられ、近年で
は、リチウム二次電池用バインダーにも用いられてい
る。これらの用途に応じ、熱物性や溶融特性を制御する
ために、ポリビニリデンフルオライド中の分子構造を規
制することが重要であることが知られている。規制すべ
き分子構造は、大きく分類して異常結合量と分岐量であ
る。
【0003】ポリビニリデンフルオライドは、ポリマー
中の繰り返し単位が非対称であるため、いわゆる頭尾結
合、頭頭結合又は尾尾結合の構造異性体単位が存在して
いる。頭尾結合は、一般に正常結合と呼ばれ、市販のポ
リビニリデンフルオライド樹脂では90%〜95%程度
存在している結合様式である。一方、頭頭結合と尾尾結
合は、異常結合と呼ばれ、市販のポリビニリデンフルオ
ライド樹脂中の存在量は5%〜10%である。これらの
構造異性体の存在比は重合温度に強く依存していること
が知られており(里川孝臣編、「ふっ素樹脂ハンドブッ
ク」、364〜365頁、日刊工業新聞社発行(199
0年11月30日))、重合温度が高いほど異常結合が
増え、その存在比がポリマーの熱物性や溶融特性に影響
することも知られている。
【0004】ポリビニリデンフルオライドは、さらに、
ポリマー中に活性な水素を有しているため、ラジカル種
による水素引き抜き反応を受けやすい。この反応が重合
中に生じた場合は、その引き抜かれた水素が結合してい
た炭素原子を開始点として重合反応が進行し、結果的に
分岐構造をもったポリマー鎖となる。この分岐構造は重
合温度が高くなるほど増える傾向があることが知られて
いる。
【0005】ポリビニリデンフルオライドは、異常結合
数と分岐数を少なくすることにより、規則性が高い樹脂
が得られる。規則正しい結合に富んだポリビニリデンフ
ルオライドは、融点が高く、耐熱性に優れる。特に分岐
数が少ない物については、溶融粘度が低い成形用途に適
した良流動特性を達成することができる。しかし、これ
までに、ポリマー中に分岐構造を実質的に有しないポリ
ビニリデンフルオライドに関する知見は得られていなか
った。
【0006】従来のポリビニリデンフルオライドの製造
方法は、懸濁重合や乳化重合等、水を媒体に使用してお
り、得られるポリマーは、正常結合比が95%程度、分
岐数がビニリデンフルオライドモノマー単位10000
個あたり0.7個程度であり、充分な流動特性を得るこ
とができなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑み、耐熱性、耐候性、耐薬品性といった本来の樹脂特
性を損なうことなく、生産性と流動特性に優れたポリビ
ニリデンフルオライドを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、ビニリデンフ
ルオライドの重合により得られるポリビニリデンフルオ
ライドであって、上記ポリビニリデンフルオライドは、
ポリマー鎖がビニリデンフルオライドモノマー単位から
なるものであり、上記ビニリデンフルオライドモノマー
単位100個あたりの正常結合数X個と、上記ビニリデ
ンフルオライドモノマー単位10000個あたりの分岐
数Y個とが、下記式(a)又は下記式(b)を満たすも
のであることを特徴とするポリビニリデンフルオライド
に関する。 0≦Y≦380−4.125X (80≦X≦92) (a) 0≦Y≦0.5 (92<X≦100) (b)
【0009】本発明は、ビニリデンフルオライドを重合
して得られるポリビニリデンフルオライドであって、上
記ポリビニリデンフルオライドは、ポリマー鎖がビニリ
デンフルオライドモノマー単位からなるものであり、上
記ビニリデンフルオライドモノマー単位10000個あ
たりの分岐数が0.5個以下であることを特徴とするポ
リビニリデンフルオライドである。以下に本発明を詳細
に説明する。
【0010】本発明のポリビニリデンフルオライドは、
ビニリデンフルオライド〔VdF〕の重合により得られ
るものであり、上記ポリビニリデンフルオライドは、ポ
リマー鎖がビニリデンフルオライドモノマー単位からな
るものである。
【0011】本明細書において、上記「ビニリデンフル
オライドモノマー単位」とは、ポリビニリデンフルオラ
イドの分子構造の一部分であって、モノマーとして用い
たビニリデンフルオライドに由来する部位を意味する。
上記ビニリデンフルオライドモノマー単位は、分岐して
いない場合、−(CH−CF)−、又は、−(CF
−CH)−で表される。本明細書において、上記
「正常結合」とは、上記ビニリデンフルオライドモノマ
ー単位における−CH−を頭、−CF−を尾とした
ときに、隣接する上記ビニリデンフルオライドモノマー
単位間が尾頭の順序になっている結合を意味する。本明
細書において、上記「分岐」とは、ポリビニリデンフル
オライドのポリマー鎖中において炭素鎖が枝分かれして
いる箇所を意味する。上記ビニリデンフルオライドモノ
マー単位は、分岐している場合、上記−CH−のプロ
トンが置換されている。
【0012】本発明の第1のポリビニリデンフルオライ
ドは、上記ビニリデンフルオライドモノマー単位100
個あたりの正常結合数X個と、上記ビニリデンフルオラ
イドモノマー単位10000個あたりの分岐数Y個と
が、下記式(a)又は下記式(b)を満たすものであ
る。 0≦Y≦380−4.125X (80≦X≦92) (a) 0≦Y≦0.5 (92<X≦100) (b)
【0013】本発明の第1のポリビニリデンフルオライ
ドは、上記式(a)又は上記式(b)を満たすものであ
ることから、同じ正常結合数Xであっても分岐数Yを従
来に比べて少なくすることができるので、耐熱性を維持
しながら、溶融粘度が低く流動性に優れている。本発明
の第1のポリビニリデンフルオライドは、また、同じ分
岐数Yであっても正常結合数Xを従来に比べて少なくす
ることができるので、ポリビニリテンフルオライドを従
来のものより高温で重合することが可能となり、その結
果、反応速度を増大させ、生産性を高めることができ
る。従って、本発明の第1のポリビニリデンフルオライ
ドは、耐熱性、流動性及び生産性の各性能のバランスに
優れたものである。
【0014】上記ビニリデンフルオライドモノマー単位
100個あたりの正常結合数X個と、上記ビニリデンフ
ルオライドモノマー単位10000個あたりの分岐数Y
個とは、下記式(a1)又は下記式(b)を満たすもの
であることが好ましい。 0≦Y≦334−3.625X (80≦X≦92) (a1) 0≦Y≦0.5 (92<X≦100) (b) 上記正常結合数Xと上記分岐数Yは、また、下記式(a
2)又は下記式(b)を満たすものであることがより好
ましい。 0≦Y≦311−3.375X (80≦X≦92) (a2) 0≦Y≦0.5 (92<X≦100) (b)
【0015】本発明の第2のポリビニリデンフルオライ
ドは、その分岐数が10000ビニリデンフルオライド
モノマー単位あたり0.5個以下である。ポリマー中の
分岐数が10000ビニリデンフルオライドモノマー単
位あたり0.5個を超えると、流動特性が低下する。好
ましくは、0.4個以下、より好ましくは0.3個以下
である。本発明の第2のポリビニリデンフルオライド
は、上記式(a)又は上記式(b)をみたすものであっ
てもよいし、上記式(a)と上記式(b)の何れも満た
さないものであってもよいが、上記式(a)又は上記式
(b)を満たすものが好ましい。
【0016】以下、本発明の第1のポリビニリデンフル
オライドと第2のポリビニリデンフルオライドに共通し
て、「本発明のポリビニリデンフルオライド」について
説明する。本発明のポリビニリデンフルオライドは、V
dFのホモポリマーであってもよいし、VdFのホモポ
リマーの特性を損なわない範囲で、VdFと、その他の
フルオロオレフィンモノマー及び/又は非フルオロオレ
フィンモノマーとを共重合させてなるものであってもよ
い。
【0017】上記その他のフルオロオレフィンモノマー
としては、テトラフルオロエチレン〔TFE〕、クロロ
トリフルオロエチレン〔CTFE〕、ヘキサフルオロプ
ロピレン〔HFP〕、パーフルオロ(アルキルビニルエ
ーテル)〔PAVE〕、
【0018】
【化1】
【0019】等のパーフルオロオレフィンモノマー;ト
リフルオロエチレン、フッ化ビニル、トリフルオロプロ
ピレン、ペンタフルオロプロピレン、テトラフルオロプ
ロピレン、ヘキサフルオロイソブテン等の非パーフルオ
ロオレフィンモノマーが挙げられる。PAVEとしては
パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、
パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕、
パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕
等が挙げられる。
【0020】また、官能基含有フルオロオレフィンモノ
マーも使用できる。官能基含有フルオロオレフィンとし
ては、例えば、式:
【0021】
【化2】
【0022】(式中、Yは−CHOH、−COOH、
−SOF、−SOM(Mは水素、NH基又はアル
カリ金属)、カルボン酸塩、カルボキシエステル基、エ
ポキシ基又はニトリル基、X及びXは同じか又は異な
りいずれも水素原子若しくはフッ素原子、Rは炭素数
1〜40の2価の含フッ素アルキレン基又は炭素数1〜
40のエーテル結合を含有する2価の含フッ素アルキレ
ン基を表わす)が挙げられ、具体例としては、例えば、
【0023】
【化3】
【0024】
【化4】
【0025】等が挙げられる。
【0026】また、非パーフルオロオレフィンモノマー
としては、ヨウ素含有モノマー、例えば、特公平5−6
3482号公報や特開昭62−12734号公報に記載
されているパーフルオロ(6,6−ジヒドロ−6−ヨー
ド−3−オキサ−1−ヘキセン)、パーフルオロ(5−
ヨード−3−オキサ−1−ペンテン)等のパーフルオロ
ビニルエーテルのヨウ素化物も共重合できる。
【0027】上記非フルオロオレフィンモノマーとして
は、例えば、エチレン〔ET〕、プロピレン、ブテン、
ペンテン等の炭素数2〜10のα−オレフィンモノマ
ー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プ
ロピルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテ
ル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ブチルビニルエ
ーテル等のアルキル基が炭素数1〜20のアルキルビニ
ルエーテル等が挙げられる。
【0028】共重合させるVdF以外のモノマーは、
0.01〜10モル%であることが好ましい。0.01
モル%より少ないと共重合体としての特性を発現できな
い傾向にあり、10モル%を超えると融点が低下する
等、耐熱性が低下する傾向にある。
【0029】本発明において反応場にフルオロカーボ
ン、二酸化炭素を存在させてもよい。上記フルオロカー
ボンとしては、ペンタフルオロエタン、テトラフルオロ
エタン、トリフルオロエタン、トリフルオロメタン、ジ
フルオロメタン等のヒドロフルオロカーボン類;パーフ
ルオロエタン又はパーフルオロシクロブタン等のパーフ
ルオロカーボン類等が挙げられる。これらは反応場でモ
ノマーの希釈剤として働き、反応熱の除熱を助けたり、
反応系への生成ポリマーの溶解性を調整する。本明細書
において、上記フルオロカーボンは、このように、本発
明のポリビニリデンフルオライドのモノマーとして重合
されない点で、上述のモノマーとは異なる概念である。
【0030】上記フルオロカーボンは、使用する場合
は、モノマー全量に対して1〜500重量%、好ましく
は1〜300重量%、特に好ましくは1〜200重量%
とする。多すぎると反応後に回収すべき上記フルオロカ
ーボン量が多くなり、好ましくない。なお、高分子量物
を得るという観点からは、生成したポリマーが反応系に
完全には溶解せず、分散状態であることが好ましい。
【0031】また本発明においては、さらに目的とする
ポリマーの分子量を調節するために連鎖移動剤を加えて
もよい。
【0032】連鎖移動剤としては、炭化水素類、ハロゲ
ン化炭化水素類のほか、炭化水素系のアルコール類、エ
ステル類、ケトン類、メルカプタン類等が挙げられる。
炭化水素類としては、ペンタン、ブタン、ヘキサン等の
炭素数4〜6の炭化水素が挙げられる。ハロゲン化炭化
水素類としては、例えば、テトラクロルメタン、メチレ
ンクロライド等が挙げられる。炭化水素系アルコール類
としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロ
パノール等が挙げられる。炭化水素系エステル類として
は、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プ
ロピオン酸エチル、アセト酢酸エチル、マロン酸ジメチ
ル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジ
エチル、炭酸ジエチル等が挙げられる。炭化水素系のケ
トン類としては、例えば、アセトン、アセチルアセト
ン、シクロヘキサノン等が挙げられる。メルカプタン類
としては、例えば、ドデシルメルカプタン等が挙げられ
る。これらのうち、少量の添加で分子量を大きく下げら
れる点から、ペンタン、ブタン、マロン酸ジエチル、テ
トラクロルメタン、アセトン、ドデシルメルカプタンが
好ましい。
【0033】連鎖移動剤の配合量は、目的とするポリマ
ーの分子量によって適宜決定すればよいが、通常、モノ
マー全量に対して0.01〜5重量%、特に0.1〜2
重量%とするのが好ましい。
【0034】本発明のポリビニリデンフルオライドは、
ビニリデンフルオライドを超臨界状態である反応場にお
いて重合して得られるものであることが好ましい。
【0035】本発明において反応場には、目的とするポ
リマーの精製や未反応物の回収工程を簡素化できる点
で、実質的に水を存在させない方が好ましい。水の実質
的非存在下で重合するとは、乳化重合や懸濁重合等の水
を媒体として使用する重合法以外の方法で重合すること
であり、モノマーガスを真空状態の反応系に導入して重
合する方法等が挙げられる。
【0036】本明細書において、「超臨界状態」とは、
モノマーがVdFのみの場合は、そのモノマーの臨界圧
力及び臨界温度をいずれも超えた状態を意味し、VdF
とVdF以外のモノマーとからなる混合系である場合、
混合系全体として定まる臨界圧力及び臨界温度をいずれ
も超えた状態を意味する。
【0037】なお、本発明においては、これらの超臨界
状態の反応場として、上記でいう臨界点(圧力、温度)
に近い領域の反応場を採用することが、エネルギー効率
の向上、製造設備費の低減化の観点から好ましい。
【0038】反応場が本発明でいう超臨界状態であるか
否かは、測定したい系の飽和状態及び一相域での圧力、
密度及び温度の関係を測定(PVT測定)することによ
り判定できる。しかし、実測値の入手が困難な場合、推
算値(日本化学会編、「化学便覧基礎編、改訂5版」、
6頁、丸善発行(平成7年3月15日))により代替す
ることもできる。
【0039】反応場を超臨界状態にする方法としては、
例えば、モノマー及び要すれば上述のフルオロカーボン
を耐圧重合槽に圧入し、臨界温度以上に昇温することに
より臨界圧力以上にして超臨界状態を形成する方法、槽
内部を臨界圧力以上及び臨界温度以上に調節した耐圧重
合槽にモノマー要すれば上述のフルオロカーボンを連続
的に導入して超臨界状態を形成する方法等がある。ま
た、回分式、半回分式、連続式のいずれの方法でも重合
は可能である。
【0040】なお、反応場を構成する成分が混合系の場
合、混合系となることにより臨界圧力及び/又は臨界温
度が単独の場合よりも降下又は上昇することがあるが、
本発明では実際の反応場で臨界圧力以上かつ臨界温度以
上になっていればよい。
【0041】また、本発明におけるモノマーガス臨界密
度(以下、ρ0とする)とは、臨界温度及び臨界圧力下
でのモノマーガス密度のことである。本明細書におい
て、「モノマーガス密度」とは、モノマーガスの密度を
意味する。ここでモノマーガス密度とは、モノマーが2
種以上である場合、それら全てのモノマーガス密度を合
わせたものである。上記モノマーガス臨界密度は、モノ
マーが2種以上である場合、反応場が上述の超臨界状態
であるときの上記2種以上のモノマーガスの各モノマー
ガス密度を合わせたものである。上記ρ0は、下限が
0.3g/mlであることが好ましい。上記モノマーガ
スは、超臨界状態である反応場において通常、超臨界流
体である。
【0042】本発明においては、モノマーガス密度(以
下、ρとする)と上記ρ0との比(以下、ρ/ρ0
ρとする)が反応場において1.1より大きくなるよ
うに、モノマーガスを導入することが好ましい。上記ρ
は、1.2より大きいことがより好ましい。また、ρ
の上限は、好ましくは1.8、より好ましくは1.
7、さらに好ましくは1.6である。上記ρが1.1
以下であると、重合速度が低く、生産性が著しく低下す
る傾向にある。
【0043】本発明における重合条件は超臨界状態を形
成する条件に依存し限定されないが、臨界点に近い領域
が好ましく、例えば、重合圧力を2〜40MPa、好ま
しくは4〜10MPaとする。また、重合温度は60℃
以下であることが、実用装置上適度な圧力、すなわち1
0MPa以下で適切なρが得られる点で好ましい。よ
り好ましくは、50℃以下である。この重合温度の下限
は、厳密にはVdFの臨界温度(30.15℃)である
ことが好ましい。とくに、反応場を安定的に超臨界状態
に維持できる点で、下限が31℃であることが好まし
い。さらに、モノマーの液化が起こりにくい点及び運転
操作上の点で、臨界温度よりも数℃高い方が好ましい。
重合時間は0.1〜50時間程度である。臨界点を大き
く超えて高温高圧とすると反応設備費がかかる。
【0044】本発明では、重合開始剤として有機過酸化
物又は無機過酸化物の過酸化物、アゾ化合物の存在下
に、上記ビニリデンフルオライドモノマーのラジカル重
合を行うことが好ましい。
【0045】有機過酸化物としては、イソブチルパーオ
キサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオ
キサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパ
ーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシニ
ックアシッドパーオキサイド、ビス(ω−ハイドロドデ
カフルオロヘプタノイル)パーオキサイド等のジアシル
パーオキサイド;ジノルマルプロピルパーオキシジカー
ボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、
ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカ
ーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカー
ボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボ
ネート、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネ
ート、ジエチルパーオキシジカーボネート等のパーオキ
シジカーボネート;1,1,3,3−テトラメチルブチ
ルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−
1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘ
キシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオ
キシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレ
ート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,
3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサ
ノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチ
ルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキ
シル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサ
ノエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノ
エート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエー
ト、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシ
ルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチ
ルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、
t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキ
シイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキ
シ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパ
ーオキシアセテート等のパーオキシエステル等が挙げら
れる。
【0046】無機過酸化物としては、例えば、過酸化水
素、過硫酸塩等が挙げられる。過硫酸塩としては、例え
ば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カ
リウム等が挙げられる。
【0047】また過酸化物と過硫酸塩の場合、還元剤と
組み合わせて使用することも可能である。
【0048】アゾ化合物としては、例えば、シアノ−2
−プロピルアゾホルムアミド、1,1′−アゾビス(シ
クロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾ
ビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2′−ア
ゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′−アゾ
ビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4
−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス[N
−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミ
ド]、ポリジメチルシロキサンセグメント含有マクロア
ゾ化合物、2,2′−アゾビス(2,4,4−トリメチ
ルペンタン)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−
2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4′−アゾビ
ス(4−シアノ吉草酸)、2,2′−アゾビスイソ酪酸
ジメチル、2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリ
ン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2′−アゾビ
ス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二
硫酸塩二水和物、2,2′−アゾビス[2−(2−イミ
ダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2′−アゾビス
{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチ
ル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、
2,2′−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス
(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}、
2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキ
シエチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビスイ
ソブチルアミド二水和物、2,2′−アゾビス[2−
(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等が挙げられ
る。
【0049】なかでも、蒸気圧が低いこと、及び、不安
定なポリマー末端が生成しない点から、有機過酸化物が
好ましい。さらに、超臨界ガス中に溶解しやすい点か
ら、パーオキシジカーボネートが好ましい。上記超臨界
ガスは、超臨界状態にあるものであるので、超臨界流体
である。
【0050】上記重合開始剤は、モノマー全量の0.0
01〜10重量%であることが好ましい。重合開始剤が
0.001重量%より少ないと、重合しない、あるいは
生産性が著しく低下したり、成形不良の原因となる超高
分子ポリマーが生成する傾向にあり、10重量%を超え
ると、分子量が著しく低下して目的の分子量まで上がら
ず、開始剤にかかるコストが高くなったり、成形物の強
度が低くなる傾向にある。より好ましい下限は、0.0
05重量%であり、より好ましい上限は、2重量%であ
る。
【0051】また、本発明において、反応に関与しない
かぎり、他の添加剤を加えてもよい。添加剤としては、
例えば、重合開始剤の溶剤(パーフルオロヘキサン、
2,2,3,3−テトラフルオロプロピレンアルコール
等)等が挙げられよう。
【0052】本発明のポリビニリデンフルオライドは、
上述のように、同じ正常結合数であっても分岐数が少な
いことから、溶融粘度が低く高流動性であり、射出成
形、押出成形等に用いられる成形材料、各種ライニング
等に用いられる粉体塗料の材料等として幅広い用途があ
る。例えば、均一でピンホールのない薄い膜を形成する
ことができるオルガノゾル塗料の原料粉末として好適に
用いられる。上記オルガノゾル塗料は、主に金属外装建
材の仕上げ塗料として用いられる。本発明のポリビニリ
デンフルオライドは、また、粉末塗装による化学機器等
へのライニング;押出成形によるSUS酸洗槽、クロム
メッキ槽等のシートライニング;同じく押出成形による
ラインドパイプ等の耐食ライニング;射出成形によるダ
イヤフラムバルブ等のバルブ、ポンプ等の製造等に用い
ることができ、電線被覆材、コンデンサーフィルム、圧
電・焦電フィルム、釣り糸等にも用いることができる。
【0053】
【実施例】つぎに本発明を実施例に基づいて説明する
が、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではな
い。 分岐構造の同定 溶媒としてジメチルホルムアミドを用い、ポリマー濃度
10〜20重量%、10〜15時間、温度40〜60℃
に保ちサンプルを調製した。このサンプルを使用し、13
C−NMRと19F−NMRから求めた。 測定機:Bruker社製AMX500 共鳴周波数:470.6MHz 積算回数:20000回 同定にはCClFをリファレンスシグナルとしたケミ
カルシフトをppmであらわした。
【0054】Raymond C. Ferguson
らはCClFをリファレンスにした場合の−97.8
ppm、−99.2ppm、−100.3ppm、−1
07.4ppmに相当する19Fシグナルは、末端構造か
オリゴマー種、不純物モノマーとの共重合体、あるいは
分岐構造であると述べている(J.Phys.Che
m,83,11,1979,1397−1401)。
【0055】また、George B. Butler
らは重水素置換したビニリデンフルオライドモノマーを
用いた重合体のNMR解析結果から、同じくCCl
をリファレンスにした場合の−88.4ppm、−8
9.9ppm、−93.9ppm、−94.1ppm、
−97.8ppm、−98.4ppm、−99.0pp
m、−100ppm、−106.7ppm、−107.
0ppm、−107.3ppm、−109.8ppm、
−114.1ppm、−114.3ppmの19F−NM
Rシグナルが分岐構造に由来したものである可能性が高
いことを示した。
【0056】しかし、これらの文献ではどのピークが分
岐構造に由来するものかは同定されておらず、重合条件
との対比もなされていない。
【0057】そこで、種々の条件で合成したポリビニリ
デンフルオライドの19F−NMRシグナル解析を精密に
行い、13C−NMRの解析と比較することで、ポリビニ
リデンフルオライドの分岐構造を示す19Fシグナルを同
定した。
【0058】一般的に、ポリビニリデンフルオライドを
重合すると、重合温度が高くなるほど分岐構造に富むポ
リマーが得られることが知られている。
【0059】種々の重合温度で乳化重合したポリビニリ
デンフルオライドの19F−NMRシグナルを比較する
と、−99.0ppmと−100.0ppmのシグナル
強度は、重合温度が高い程大きくなることがわかった。
これらのシグナルは末端構造にも由来しないものである
ことは確認した。この2つの13Cシグナルのカーボン級
数をDEPT法で求めたところ、両者はメチンカーボン
(3級カーボン)であった。
【0060】したがって、19Fシグナルで−99.0p
pm、−100.0ppmの2つのシグナルは、両方と
も分岐構造に由来したものであるとして、分岐構造を同
定した。
【0061】分岐数の算出 ポリビニリデンフルオライドのポリマー鎖中においてビ
ニリデンフルオライドモノマー単位10000個あたり
の分岐数は、下記式により計算した。 ビニリデンフルオライドモノマー単位10000個あた
りの分岐数(個)=10000×〔(−98.2〜−1
00.4ppmの積分値)/(全ての積分値)〕÷3 ここで、3で除しているのは、上記NMRピークに分岐
数1個あたりにビニリデンフルオライドモノマー単位3
個分が重なって現れるためである。上記全ての積分値
は、−65〜−130ppmである。
【0062】正常結合数の測定と算出 ポリビニリデンフルオライドの正常結合数については、
ポリビニリデンフルオライドのジメチルホルムアミド溶
液の19F−NMRシグナルにおいて、CClFをリ
ファレンスシグナルとしたケミカルシフト値が−85.
0〜−98.0ppmにあるシグナルは、頭尾結合連鎖
内の−CF−基の吸収であり、−113.0〜−12
0.0ppmにあるシグナルは、頭頭結合連鎖内又は尾
尾結合連鎖内の−CF−基の吸収である。よって、ポ
リビニリデンフルオライドのポリマー鎖中においてビニ
リデンフルオライドモノマー単位100個あたりの正常
結合数は次の式で算出することができる。
【0063】ビニリデンフルオライドモノマー単位10
0個あたりの正常結合数=100×シグナル強度(−8
5.0〜−98.0ppm)/[シグナル強度(−8
5.0〜−98.0ppm)+シグナル強度(−11
3.0〜−120.0ppm)]
【0064】シグナルが−85.0〜−98.0ppm
に現れる基としては、頭尾結合連鎖内の−CF−基の
ほかに、分岐構造によるものや開始剤末端および連載移
動末端などの末端付近の−CF−基が挙げられるが、
全シグナル強度から比較すると寄与は小さく、正常結合
数を算出するためには無視することができる。
【0065】メルトフローレート(MFR)の測定 ASTM D−2116に準じ、230℃、10kg荷
重の方法で測定した。
【0066】実施例1 1083mlの内容積のステンレススチール製オートク
レーブを充分窒素置換したのち、真空状態で高圧プラン
ジャーポンプによりビニリデンフルオライド(VdF、
ρ0=0.417g/ml)を542g仕込み、モノマ
ーガス密度を0.5g/mlとした。系内温度(反応温
度)を40℃に上げたところ、系内圧力が5.72MP
aとなった。ついで有機過酸化物系のラジカル重合開始
剤としてジノルマルプロピルパーオキシジカーボネート
50%メタノール希釈溶液(パーロイルNPP、日本油
脂社製)2.4gを系内に窒素により圧入した。電磁式
攪拌機にて内部を攪拌し、1時間反応させた。重合反応
場の圧力は5.72MPa、温度は40℃であった。こ
の圧力温度条件はVdFのPc(4.430MPa)を
超えかつTc(30.15℃)を超えていることから、
本発明でいう超臨界状態の反応場を形成している。反応
終了後、残存モノマーを大気放出し、得られた固形の生
成物を60℃の真空中で15時間乾燥させ、白色ポリマ
ーを15.0g得た。
【0067】得られたポリマー中の10000ビニリデ
ンフルオライドモノマー単位あたりの分岐数は、0.3
個であった。得られたポリマー中の100ビニリデンフ
ルオライドモノマー単位あたりの頭尾結合量は、91.
3個であった。MFRの測定結果を表1に、19F−NM
Rチャートを図1に示す。なお、チャート中の四角で囲
まれた数値はそれぞれのシグナルの積分値であり、上部
の数値は、化学シフトである。
【0068】比較例1 1083mlの内容積のステンレススチール製オートク
レーブにイオン交換水0.49L、メチルセルロース
0.16g及びアセトン3.25gを入れ、充分窒素置
換したのち、真空状態で高圧プランジャーポンプにより
ビニリデンフルオライド(VdF、ρ0=0.417g
/ml)を214g仕込んだ。系内温度(反応温度)を
25℃に上げたところ、系内圧力が4.03MPaとな
った。ついで有機過酸化物系のラジカル重合開始剤とし
てジノルマルプロピルパーオキシジカーボネート50%
メタノール希釈溶液(パーロイルNPP、日本油脂社
製)2.17gを系内に窒素により圧入した。電磁式攪
拌機にて内部を攪拌し、20時間反応させた。反応終了
後、残存モノマーを大気放出し、得られた固形の生成物
をイオン交換水で洗浄濾過した。ついで、60℃の真空
中で15時間乾燥させ、白色ポリマーを130g得た。
【0069】得られたポリマー中の10000ビニリデ
ンフルオライドモノマー単位あたりの分岐数は、1.1
個であった。得られたポリマー中の100ビニリデンフ
ルオライドモノマー単位あたりの頭尾結合量は、92.
3個であった。MFRの測定結果を表1に示す。
【0070】比較例2 呉羽化学社製ポリビニリデンフルオライド(KF130
0)について、同様に評価した。得られたポリマー中の
10000ビニリデンフルオライドモノマー単位あたり
の分岐数は、0.67個であった。得られたポリマー中
の100ビニリデンフルオライドモノマー単位あたりの
頭尾結合量は、92.1個であった。MFRの測定結果
を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】実施例1のポリマーは、比較例1及び2と
同等の分子量であるにもかかわらず、MFRが高い、つ
まり流動特性に優れている。
【0073】実施例2 1083mlの内容積のステンレススチール製オートク
レーブを充分窒素置換したのち、真空状態で高圧プラン
ジャーポンプによりビニリデンフルオライド(VdF、
ρ0=0.417g/ml)を108g仕込み、モノマ
ーガス密度を0.1g/mlとした。系内温度(反応温
度)を115℃に上げたところ、系内圧力が5.80M
Paとなった。ついで有機過酸化物系のラジカル重合開
始剤としてt−ブチルパーオキシアセテートシェルゾー
ル希釈溶液(パーブチルA、日本油脂社製)2.8gを
系内に窒素により圧入した。電磁式攪拌機にて内部を攪
拌し、1時間反応させた。重合反応場の圧力は5.80
MPa、温度は115℃であった。この圧力温度条件は
VdFのPc(4.430MPa)を超えかつTc(3
0.15℃)を超えていることから、本発明でいう超臨
界状態の反応場を形成していた。反応終了後、残存モノ
マーを大気放出し、得られた固形の生成物を60℃の真
空中で15時間乾燥させ、白色ポリマーを12.6g得
た。
【0074】得られたポリマー中の10000ビニリデ
ンフルオライドモノマー単位あたりの分岐数は、5.6
個であった。得られたポリマー中の100ビニリデンフ
ルオライドモノマー単位あたりの頭尾結合量は、89.
5個であった。
【0075】比較例3 1083mlの内容積のステンレススチール製オートク
レーブにイオン交換水500gを入れ、乳化剤アンモニ
ウムパーフルオロオクタノエート(DS101、ダイキ
ン工業社製)2.5gを入れ、充分窒素置換したのち真
空状態で高圧プランジャーポンプによりビニリデンフル
オライド(VdF、ρ0=0.417g/ml)を4
7.5g仕込んだ。系内温度(反応温度)を72℃に上
げたところ、系内圧力が2.4MPaとなった。ついで
ラジカル重合開始剤として過硫酸アンモニウム10%水
溶液5gを系内に窒素により圧入した。電磁式攪拌機に
て内部を攪拌し、2.5時間反応させた。反応終了後、
残存モノマーを大気放出し、得られた乳化液を7%塩酸
水溶液1500gに入れてポリマーを凝固させた。得ら
れた固形の生成物を60℃の真空中で15時間乾燥さ
せ、白色ポリマーを43g得た。
【0076】得られたポリマー中の10000ビニリデ
ンフルオライドモノマー単位あたりの分岐数は、8.7
個であった。得られたポリマー中の100ビニリデンフ
ルオライドモノマー単位あたりの頭尾結合量は、91.
0個であった。
【0077】比較例4 1083mlの内容積のステンレススチール製オートク
レーブにイオン交換水500gを入れ、乳化剤アンモニ
ウムパーフルオロオクタノエート(DS101、ダイキ
ン工業社製)2.5gを入れ、充分窒素置換したのち真
空状態で高圧プランジャーポンプによりビニリデンフル
オライド(VdF、ρ0=0.417g/ml)を35
g仕込んだ。系内温度(反応温度)を115℃に上げた
ところ、系内圧力が2.6MPaとなった。ついでラジ
カル重合開始剤として過硫酸アンモニウム10%水溶液
5gを系内に窒素により圧入した。電磁式攪拌機にて内
部を攪拌し、1時間反応させた。反応終了後、残存モノ
マーを大気放出し、得られた乳化液を7%塩酸水溶液1
500gに入れてポリマーを凝固させた。得られた固形
の生成物を60℃の真空中で15時間乾燥させ、白色ポ
リマーを32g得た。
【0078】得られたポリマー中の10000ビニリデ
ンフルオライドモノマー単位あたりの分岐数は、16.
3個であった。得られたポリマー中の100ビニリデン
フルオライドモノマー単位あたりの頭尾結合量は、8
8.7個であった。
【0079】
【発明の効果】本発明のポリビニリデンフルオライド
は、正常結合数と分岐数とが上述の式をみたすものであ
るので、生産性、流動性及び耐熱性に優れ、また、分岐
数が上記範囲内であるので、耐熱性、耐候性、耐薬品性
といった本来の樹脂特性を損なうことなく、流動特性に
優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1により得られたポリビニリデ
ンフルオライドの19F−NMRチャートである。
フロントページの続き (72)発明者 中谷 英樹 大阪府摂津市西一津屋1番1号 ダイキン 工業株式会社淀川製作所内 (72)発明者 平賀 義之 大阪府摂津市西一津屋1番1号 ダイキン 工業株式会社淀川製作所内 (72)発明者 野田 知久 大阪府摂津市西一津屋1番1号 ダイキン 工業株式会社淀川製作所内 Fターム(参考) 4J100 AC24P AC25Q AC26Q AC27Q AC28Q AC31Q AE39Q CA01 CA04 DA09 DA19 FA27

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニリデンフルオライドの重合により得
    られるポリビニリデンフルオライドであって、前記ポリ
    ビニリデンフルオライドは、ポリマー鎖がビニリデンフ
    ルオライドモノマー単位からなるものであり、前記ビニ
    リデンフルオライドモノマー単位100個あたりの正常
    結合数X個と、前記ビニリデンフルオライドモノマー単
    位10000個あたりの分岐数Y個とが、下記式(a)
    又は下記式(b)を満たすものであることを特徴とする
    ポリビニリデンフルオライド。 0≦Y≦380−4.125X (80≦X≦92) (a) 0≦Y≦0.5 (92<X≦100) (b)
  2. 【請求項2】 ビニリデンフルオライドを重合して得ら
    れるポリビニリデンフルオライドであって、前記ポリビ
    ニリデンフルオライドは、ポリマー鎖がビニリデンフル
    オライドモノマー単位からなるものであり、前記ビニリ
    デンフルオライドモノマー単位10000個あたりの分
    岐数が0.5個以下であることを特徴とするポリビニリ
    デンフルオライド。
  3. 【請求項3】 ビニリデンフルオライドの重合は、超臨
    界状態である反応場において、水の実質的非存在下に行
    うものである請求項1又は2記載のポリビニリデンフル
    オライド。
  4. 【請求項4】 ビニリデンフルオライドの重合は、重合
    開始剤として過酸化物を用い、60℃以下の温度でラジ
    カル重合を行うものである請求項1、2又は3記載のポ
    リビニリデンフルオライド。
  5. 【請求項5】 過酸化物は、パーオキシジカーボネート
    である請求項4記載のポリビニリデンフルオライド。
  6. 【請求項6】 ビニリデンフルオライドの重合は、モノ
    マーガスを導入して行うものであり、前記モノマーガス
    は、モノマーガス密度〔ρ〕とモノマーガス臨界密度
    〔ρ0〕との比〔ρ/ρ0〕が反応場において1.1以
    上である請求項3、4又は5記載のポリビニリデンフル
    オライド。
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