JP2003204090A - 圧電トランス、並びに、圧電トランスを備える昇圧回路および冷陰極管発光装置 - Google Patents

圧電トランス、並びに、圧電トランスを備える昇圧回路および冷陰極管発光装置

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JP2003204090A
JP2003204090A JP2002273152A JP2002273152A JP2003204090A JP 2003204090 A JP2003204090 A JP 2003204090A JP 2002273152 A JP2002273152 A JP 2002273152A JP 2002273152 A JP2002273152 A JP 2002273152A JP 2003204090 A JP2003204090 A JP 2003204090A
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Katsu Takeda
克 武田
Hiroshi Nakatsuka
宏 中塚
Takeshi Yamaguchi
健 山口
Kojiro Okuyama
浩二郎 奥山
Katsunori Moritoki
克典 守時
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大きな電力を扱う用途で圧電トランスの小型
化を図ると、歪みの増加による発熱により、特性に悪影
響を及ぼし、高効率化が困難である。 【解決手段】 高次モードの振動を用い、かつ一次側電
極を複数の電極で形成して実効的電気機械結合係数を大
きくすることで、小型で大出力の圧電トランスを実現す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電セラミック等
の圧電体の圧電効果により交流電圧の振幅値を変換する
圧電トランスに関する。
【0002】
【従来の技術】高圧電源用の昇圧トランスとして開発が
進められた圧電トランスは、当初、圧電セラミック材料
の破壊強度等の材料的制約により、製品化が進められて
いなかった。しかし、最近の高強度圧電セラミック材料
開発の進展、及び、ノート型パーソナルコンピュータや
携帯端末等の携帯用情報機器の小型化、薄型化の需要の
高まりにより、圧電トランスは、これらの機器に搭載さ
れている液晶バックライトのインバータ電源用昇圧トラ
ンスとして再び注目されている。
【0003】例えば、液晶バックライト用インバータ
は、バックライト光源として使用される冷陰極蛍光管の
点灯電源として使用されており、電池等による3Vから
12V程度の直流電圧から、電圧として点灯開始時の1
kVrms、定常点灯時の500Vrms程度、周波数
として60kHzから80kHz程度の高周波高電圧へ
の変換が要求される。現在、バックライト用インバータ
に使用されている電磁方式巻き線トランスは、特殊形状
のコアによる横型構造のトランスを用いることにより薄
型化に対応しているが、数kVrmsという高電圧に対
する絶縁耐圧確保のため、小型化、及び薄型化には限界
がある。また、高昇圧のために巻き線数を稼ぐ細い銅線
を使用するので、巻き線損失が大きくなり、変換効率が
下がる。更に、コアの材質による損失という欠点もあ
る。
【0004】これに対して、圧電トランスは、チタン酸
ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミック材料、また
は、ニオブ酸リチウム等の圧電結晶材料に、一次側(入
力側)、及び二次側(出力側)の電極を形成したもので
ある。この一次側電極に、周波数が圧電トランスの共振
周波数近傍の交流電圧を印加して、圧電トランスを機械
的に振動させると、この機械的振動が圧電効果によって
電圧に変換されて、一次側電極に対する二次側電極のイ
ンピーダンス比に応じて、二次側電極から高電圧として
取り出すことができる。圧電トランスは、電磁トランス
よりも小型化、薄型化が可能であり、高い変換効率を実
現できる。
【0005】以下に、図面を参照しながら従来の圧電ト
ランスについて説明する。まず、図31は従来の圧電ト
ランス100の斜視図である。圧電トランス100は、
圧電材料から成る矩形板102において、厚さ方向に垂
直な主面のほぼ左半分に、相対する一次側(入力側)電
極である電極104、電極106が形成され、長さ方向
の一方の端面に、二次側(出力側)電極である電極10
8が形成される。矩形板102の材質がチタン酸ジルコ
ン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックである場合には、
矩形板102は、図31に矢印で示すように、電極10
4、及び電極106を利用して、左半分であらかじめ厚
さ方向に分極されており、電極104、電極106、及
び電極108を利用して、右半分であらかじめ長さ方向
に分極されている。ここで、電極106を共通電極とし
て、電極104、電極106間に、周波数が矩形板10
2の長さ方向に伸縮する機械的振動を励振する圧電トラ
ンス100の共振周波数近傍の交流電圧を印加すると、
圧電トランス100は長さ方向に伸縮する機械的振動を
励振し、この機械的振動が圧電効果により電圧に変換さ
れ、一次側電極である電極104と電極106で求める
ことができるインピーダンスに対する、二次側電極であ
る電極108と電極106で求めることができるインピ
ーダンスの比に応じて、高電圧として二次側電極である
電極108と電極106との間で取り出すことができ
る。
【0006】図32の(1)は図31に示した圧電トラ
ンス100の側面図である。図32の(1)の矢印は、
矩形板102があらかじめ分極された向きを示す。図3
2の(2)は、圧電トランス100が、長さ方向に1/
2波長の伸縮振動をしている時のある時点での長さ方向
の変位分布を示す。ここで、横軸は、圧電トランス10
0の長さ方向の位置を示す。縦軸は、ある瞬間の圧電ト
ランス100の機械的振動による長さ方向の変位を示
し、+の方向には圧電トランス100長さ方向右側への
変位を示し、−の方向には長さ方向左側への変位を示
す。更に、圧電トランス100が図32の(2)に示す
変位分布である時の矩形板102の内部応力分布を図3
2の(3)に、振動により誘起される電荷分布を図32
の(4)にそれぞれ示す。図32の(3)において、横
軸は、圧電トランス100の長さ方向の位置を示す。縦
軸は、長さ方向への圧縮、伸張方向の内部応力の大きさ
を示す。更に、図32の(4)において、横軸は、圧電
トランス100の長さ方向の位置を示す。縦軸は、振動
により誘起される電荷の正負の極性と電荷量を示す。図
32の(3)、及び(4)より、矩形板の中央部分、つ
まり、振動の変位が0の部分において、矩形板内部の応
力が最大となり、誘起される電荷量も最大となることが
示される。図32の(2)に示した変位分布のように、
2分の1波長の機械的振動を励振させる圧電トランス
は、一般に、λ/2振動モード(λは1波長を示す)の
圧電トランスと呼ばれる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】圧電トランスは、一般
に、機械的振動による歪みが極端に大きくなると、破断
する可能性が高くなり、信頼性の低下につながる。よっ
て、圧電トランスの機械的振動の振幅はできるだけ抑制
する必要がある。ここで、圧電トランスの厚さや幅を大
きくすると、大きな電力を扱う場合でも圧電トランスの
機械的振動の振幅を小さくすることができる。しかし、
圧電トランスを導入するシステムや機器で圧電トランス
が使用できる空間が制限されると、形状だけによる弾性
歪みの抑制には限界が生じる。
【0008】また、圧電トランスで扱う電力が数W程度
の小電力であっても、携帯用機器等のシステムに導入す
るためには、圧電トランスのさらなる小型化、薄型化、
及び低背化を実現しなければならず、その場合には、圧
電トランスの単位体積当たりに扱う電力は大きくなる。
よって、大きな電力を扱う場合と同様に、機械的強度の
点から、信頼性が高い小型、及び薄型の圧電トランスを
実現することができないという課題がある。
【0009】また、圧電トランスを構成する矩形板の材
質が圧電セラミックである場合、分極方向が不連続な部
分は、分極の際に発生する歪みの影響により、分極方向
が連続な部分に比べて機械的な強度が弱い。しかし、図
31、図32の(1)に示すような従来のλ/2振動モ
ードの圧電トランス100では、矩形板102におい
て、通常の動作時に大きな応力が発生する部分(図32
における点P)と、分極が不連続な部分(矩形板102
において、電極104及び電極106で挟まれた部分で
あって、電極108側の端部近傍)とがほぼ一致する。
よって、圧電トランスの扱う電力が大きくなって機械的
振動の振幅が増大すると、大きな応力が、分極方向が不
連続な部分に発生し、割れが生じやすくなるという課題
がある。
【0010】また、矩形板102に、分極処理を必要と
しない圧電単結晶を用いた場合(この場合、図31、及
び図32の(1)における矢印はc軸配向の向きを示
す)であっても、この構造の圧電トランスを実現するた
めには、c軸の向きが異なる素子の張り合わせ、及び、
圧電セラミックの分極処理に相当する方法でc軸の向き
を変えることを行わなければならないので、圧電セラミ
ックの場合と同様に、圧電単結晶においてc軸方向の向
きが不連続な部分の機械的強度は、連続的な部分に比べ
て弱くなっている。よって、圧電トランスの扱う電力が
大きくなって機械的振動の振幅が増大すると、大きな応
力が、c軸方向の向きが不連続な部分に発生し、割れが
生じやすくなるという課題がある。
【0011】次に、従来の別の圧電トランスとして、特
開平9−74236号公報等に示されている圧電トラン
スを説明する。この圧電トランスは、図31に示す圧電
トランス100と異なり、機械的振動による応力が最大
となる部分と、分極の向きが不連続な部分とが一致しな
いような構造となっている。
【0012】図33に、機械的振動による応力が最大と
なる部分と、分極の向きが不連続な部分とが一致しない
λ/2振動モードの圧電トランス120の斜視図を示
す。圧電セラミック材料から成る矩形板122におい
て、一次側(入力側)電極である電極124、及び電極
126が、矩形板122の厚さ方向に垂直な2つの主面
の中央部に、厚さ方向に相対するように形成され、二次
側(出力側)電極である電極128、及び電極130
は、矩形板122の長さ方向の2つの端面に、長さ方向
に相対するように形成される。図33に矢印で示される
ように、矩形板122は、一次側電極である電極12
4、電極126間で厚さ方向に分極されており、一次側
電極と二次側電極との間で長さ方向に分極されている。
【0013】図34の(1)は、図33に示した圧電ト
ランス120の側面図である。図34の(2)、図34
の(3)、及び図34の(4)は、それぞれ圧電トラン
ス120が長さ方向に1/2波長の伸縮振動をしている
時のある時点での長さ方向の変位分布、圧電トランス1
20が図34の(2)に示す変位分布である時の矩形板
122の内部応力分布、及び振動により矩形板122に
誘起される電荷分布を示す。図34の(1)の矢印は、
図33に示した場合と同様に分極方向を示す。図34の
(2)において、横軸は、圧電トランス120の長さ方
向の位置を示す。縦軸は、ある瞬間の圧電トランス12
0の機械的振動による長さ方向の変位を示し、+の方向
には圧電トランス120の長さ方向右側への変位を示
し、−の方向には長さ方向左側への変位をそれぞれ示し
ている。図34の(3)において、横軸は、圧電トラン
ス120の長さ方向の位置を示す。縦軸は、長さ方向へ
の圧縮、伸張方向の内部応力の大きさを示す。更に、図
34の(4)において、横軸は、圧電トランス120の
長さ方向の位置を示す。縦軸は、振動により誘起される
電荷の正負の極性と電荷量を示す。
【0014】圧電トランス120は、図31に示す圧電
トランス100と同様に、λ/2振動モードを励振す
る。圧電トランス120の電極126を共通電極とし
て、一次側電極である電極124と電極126との間
に、周波数が矩形板122の長さ方向に伸縮する機械的
振動を励振する共振周波数近傍の交流電圧を印加する
と、圧電トランス120は、図34の(2)に示すよう
な変位分布をもつ長さ方向に伸縮する機械的振動を励振
し、この機械的振動が圧電効果により電圧に変換され
る。変換された電圧は、一次側電極と二次側電極とのイ
ンピーダンス比に応じた高電圧として、電極126と電
極128との間、電極126と電極130との間で取り
出すことができる。
【0015】図34に示すように、圧電トランス120
では、機械的振動による応力が最大となる部分(図34
の(3)における点P)と、分極の向きが不連続な部分
(矩形板122において、電極124及び電極126で
挟まれる部分であって、電極128側の端部近傍や、電
極124及び電極126で挟まれる部分であって、電極
130側の端部近傍)とが一致しない。よって、圧電ト
ランス120は、大きな電力を扱うために優れた構造で
ある。
【0016】しかし、図34に示す圧電トランス120
は、図31で示す圧電トランス100と同様に、λ/2
振動モードを用いているので、単位体積当たりに扱う電
力が大きくなると機械的振動の振幅が大きくなって弾性
歪みも増加する。また、圧電トランスを導入するシステ
ムや機器において、圧電トランスが使用できる空間が制
限されると、形状による弾性歪みの抑制に限界が生じ
る。
【0017】また、特許第2850216号公報等にお
いて、3λ/2振動モードを用いる方法が提案されてい
る。これにより、機械的振動振幅を小さくして弾性歪み
を抑制し、かつ駆動周波数が高くなることから、一度の
振動で扱う電力は小さくして、振動回数が増えることに
より、圧電トランスが大きな電力を扱えるようにしてい
る。
【0018】以下に、特許第2850216号公報等に
示されている圧電トランスを説明する。図35は、3λ
/2振動モードの圧電トランス140の斜視図である。
圧電セラミック材料等から成る矩形板142において、
一次側(入力側)電極である電極143、電極144、
電極145、電極146、電極147、及び電極148
は、厚さ方向に垂直な2つの主面に形成され、二次側
(出力側)電極である電極154は、長さ方向の一方の
端面に形成される。電極143と電極144、電極14
5と電極146、及び電極147と電極148は、それ
ぞれ矩形板142の厚さ方向に相対するように形成され
る。図35に矢印で示されているように、矩形板142
は、一次側電極間において、一次側電極を利用してあら
かじめ厚さ方向に分極されており、また、一次側電極電
極である電極147、電極148と二次側電極である電
極154との間で、電極154を利用してあらかじめ長
さ方向に分極されている。
【0019】図36の(1)は、図35に示した圧電ト
ランス140の側面図である。図36の(1)の矢印
は、図35に示した場合と同様に分極方向を示す。図3
6の(2)、図36の(3)、及び図36の(4)は、
それぞれ圧電トランス140が長さ方向に3/2波長の
伸縮振動をしている時のある時点での長さ方向の変位分
布、圧電トランス140が図36の(2)に示す変位分
布である時の矩形板142の内部応力分布、及び振動に
より矩形板142に誘起される電荷分布を示す。図36
の(2)において、横軸は、圧電トランス140の長さ
方向の位置を示す。縦軸は、ある瞬間の圧電トランス1
40の機械的振動による長さ方向の変位を示し、+の方
向には圧電トランス140の長さ方向右側への変位を示
し、−の方向には長さ方向左側への変位をそれぞれ示し
ている。図36の(3)において、横軸は、圧電トラン
ス140の長さ方向の位置を示す。縦軸は、長さ方向へ
の圧縮、伸張方向の内部応力の大きさを示す。更に、図
36の(4)において、横軸は、圧電トランス140の
長さ方向の位置を示す。縦軸は、振動により誘起される
電荷の正負の極性と電荷量を示す。
【0020】圧電トランス140において、電極14
4、電極145、及び電極148は電気的に接続されて
一次側電極として、電極143、電極146、及び電極
147は電気的に接続されて共通電極として、それぞれ
構成されている。圧電トランス140の一次側電極と共
通電極との間に、周波数として、矩形板142の長さ方
向に伸縮する機械的振動を励振する共振周波数近傍の交
流電圧を印加すると、圧電トランス140は、図36の
(2)に示すような変位分布をもつ長さ方向に伸縮する
機械的振動を励振する。励起された機械的振動は、圧電
効果によって電圧に変換され、一次側電極と二次側電極
とのインピーダンス比に応じた高電圧として、二次側電
極である電極154と共通電極との間で取り出すことが
できる。
【0021】この圧電トランス140は、3λ/2振動
モードを用いているので、圧電トランスの機械的振動の
振幅を小さくして弾性歪みを抑制し、かつ駆動周波数が
高くなることから、一度の振動で扱う電力は小さくし
て、振動回数が増えることによって、大きな電力を扱え
る。
【0022】しかし、この3λ/2振動モードの圧電ト
ランス140では、λ/2振動モードの圧電トランス1
00と同様に、図36の(3)に示すように、機械的振
動による応力が最大となる部分(図36の(3)におけ
る点P)と、分極の向きが不連続な部分(矩形板140
において、電極147及び電極148で挟まれた部分で
あって、電極154側の端部近傍)とがほぼ一致し、矩
形板142の機械的強度が弱い分極方向が不連続な部分
に大きな応力が発生するので、割れが生じやすくなると
いう課題がある。
【0023】以上のような課題に対して、機械的振動に
よる応力が最大となる部分と、分極の向きが不連続な部
分が一致しないλ/2振動モードの圧電トランス120
(図33)の構造で、3λ/2振動モードを励振させる
場合について考える。図37の(1)は、図33に示し
た圧電トランス120の側面図である。図37の(2)
は、圧電トランス120に3λ/2振動モードを励振し
た場合にある時点で矩形板122に誘起される電荷分布
を示し、図37の(3)は、矩形板122に図37の
(2)に示す電荷分布が誘起される時に圧電トランス1
20に励振される機械的振動の長さ方向の変位分布を示
している。図37の(2)において、横軸は、圧電トラ
ンス120の長さ方向の位置を示す。縦軸は、振動によ
り誘起される電荷の正負の極性と電荷量を示す。図37
の(3)において、横軸は、圧電トランス120の長さ
方向の位置を示す。縦軸は、圧電トランス120の機械
的振動による長さ方向の変位を示し、+の方向には圧電
トランス120の長さ方向右側への変位を示し、−の方
向には長さ方向左側への変位をそれぞれ示している。
【0024】この場合において、圧電トランス120
は、3λ/2振動モードを用いているので、圧電トラン
スの機械的振動の振幅を小さくし、弾性歪みを抑制でき
る。更に、機械的振動による応力が最大となる部分と、
分極の向きが不連続な部分とが一致せず、割れが生じや
すいという課題が解決される。
【0025】しかし、この場合の圧電トランスにも、以
下のような課題がある。一般に、圧電トランスは、一次
側電極に入力した電気エネルギーを機械エネルギーに変
換し、更に、その機械エネルギーを二次側電極から電気
エネルギーとして取り出すものである。一次側電極にお
ける圧電体の電気エネルギーと機械エネルギーとの変換
できる割合を示す実効的な電気機械結合係数keff
大きければ、電気エネルギーを、高い割合で機械エネル
ギーに変換することができ、圧電トランスにおいて同じ
体積当たりに大きな電力を扱える。λ/2振動モードの
場合、圧電トランスの一次側電極の実効的電気機械結合
係数keffは、矩形板の厚さと幅が同じであれば、一
次側電極の長さが長い方が大きい。
【0026】しかし、図37の(1)に示すような3λ
/2振動モードの圧電トランス120において、一次側
電極である電極124、及び電極126のそれぞれの長
さを、矩形板122に3λ/2振動モードを励振させた
場合に誘起される電荷の極性が変わる点を越えるほど長
く設定すると、一次側電極の長さが、誘起される電荷の
極性が変わる点を越えない場合の振幅(図37の(3)
に一点鎖線で示す振幅)の最大値に比べて、電荷が打ち
消し合う分(図37の(2)に示す斜線部分)だけ、図
37の(3)に実線で示すように、圧電トランス120
の振幅の最大値は小さくなる。これは、一次側電極にお
ける電気エネルギーが機械エネルギーに変換される割合
である、実効的電気機械結合係数keffが小さくなる
ことに相当する。よって、圧電トランスが扱える電力が
小さくなるという課題が生じる。
【0027】一方、振動により誘起される電荷が打ち消
し合わないように、圧電トランス120の一次側電極で
ある電極124、電極126を、図38の(1)に示す
ように、上記振動により誘起される電荷の極性が変わる
点を越えない長さにすると、図38の(2)に示すよう
に、電荷の打ち消し合いはなく、図38の(3)に示す
ように、圧電トランス120の機械的振動の振幅の最大
値も、図37の(3)に実線で示す振幅の最大値よりも
大きくなる。しかしながら、一次側電極である電極12
4、電極126のそれぞれの長さが、矩形板122に励
振する2分の3波長相当の弾性波に対して2分の1波長
相当長さに制限され、一次側電極における実効的電気機
械結合係数keffが大きくできないことに相当するこ
とから、圧電トランス120が扱える電力が制限される
という課題が生じる。
【0028】また、圧電トランスに接続する冷陰極間等
の負荷への電流供給能力を大きく取れるように、出力イ
ンピーダンスが小さい圧電トランスが望まれる。更に、
昇圧比を高く設定することができる圧電トランスが望ま
れる。更に、駆動効率の高い圧電トランスが実現できる
ことが望まれる。更に、小さな歪みで大きな電力を扱う
ことができる圧電トランスが望まれる。更に、圧電トラ
ンスの製造に関して、その製造工程数を削減し、製造に
要する時間を短縮できることが望まれる。更に、圧電ト
ランスの振動を阻害せずに圧電トランスを支持固定し、
圧電トランスの入出力側それぞれの電極と、支持台端子
等を介して外部と確実に電気的に接続できる支持台を提
供できることが望まれる。
【0029】本発明の目的は、大きな電力を扱える信頼
性の高い圧電トランスを提供することである。
【0030】本発明の他の目的は、一次側電極の電気機
械結合係数keffが大きい圧電トランスを提供するこ
とである。
【0031】本発明の他の目的は、昇圧比を高く設定す
ることができる圧電トランスを提供することである。
【0032】本発明の他の目的は、圧電トランスの製造
工程数を削減し、製造に要する時間を短縮することであ
る。
【0033】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明における第1の圧電トランスは、圧電材料か
ら成る矩形板と、矩形板上に形成された一次側電極、及
び二次側電極とを備え、一次側電極に交流電圧を印加し
て、矩形板に、矩形板の長さ方向に伸縮する2分の3波
長相当の機械的振動を励振し、二次側電極から電圧を出
力させる圧電トランスであって、一次側電極は、矩形板
の厚さ方向に垂直な2つの主面に矩形板を挟むように相
対して形成された複数の電極対から成り、二次側電極
は、複数の電極から成るように構成する。
【0034】好ましくは、前記の圧電トランスにおい
て、一次側電極は、矩形板の長さ方向を基準として中央
部に形成される第1の電極対と、矩形板の長さ方向を基
準として第1の電極対に対して両側に、かつ第1の電極
対と隣接して形成される第2、及び第3の電極対とから
成る。
【0035】好ましくは、前記の圧電トランスにおい
て、矩形板は、圧電セラミック、または圧電単結晶から
成り、矩形板において、第2、及び第3の電極対によっ
て挟まれる領域における圧電セラミックの分極方向、ま
たは圧電単結晶のc軸方向は、矩形板の第1の電極対に
よって挟まれる領域における分極方向、またはc軸方向
と異なる。
【0036】好ましくは、前記の圧電トランスにおい
て、矩形板は、圧電セラミック、または圧電単結晶から
成り、矩形板において、第1、第2、及び第3の電極対
によって挟まれる領域における圧電セラミックの分極方
向、または圧電単結晶のc軸方向は全て等しい。
【0037】好ましくは、前記の圧電トランスにおい
て、二次側電極は、矩形板の長さ方向の2つの端部近傍
に形成される。
【0038】本発明における第2の圧電トランスは、圧
電材料から成る矩形板と、矩形板上に形成された一次側
電極、及び二次側電極とを備え、一次側電極に交流電圧
を印加して、矩形板に、矩形板の長さ方向に伸縮する2
分の3波長相当の機械的振動を励振し、二次側電極から
電圧を出力させる圧電トランスであって、矩形板は、厚
さ方向に積み重ねられた複数の圧電体層から成り、一次
側電極は、複数の圧電体層と複数の電極層とが、矩形板
の厚さ方向に積み重ねられて形成され、かつ長さ方向に
複数の電極群から成り、二次側電極は、矩形板の長さ方
向の2つの端部近傍に形成される。
【0039】前記の圧電トランスにおいて、一次側電極
は、矩形板の長さ方向を基準として中央部に形成される
第1の電極群と、矩形板の長さ方向を基準として第1の
電極群に対して両側に、かつ第1の電極群と隣接して形
成される第2、及び第3の電極群とから成る。
【0040】好ましくは、前記の圧電トランスにおい
て、矩形板内部の電極層の端部は、矩形板の幅方向の端
面に露出し、矩形板内部の電極層は、その端面で電気的
に接続される。
【0041】好ましくは、前記の圧電トランスにおい
て、矩形板内部の電極層の端部は、矩形板の幅方向の一
方の端面のみに露出し、矩形板内部の電極層は、その一
方の端面のみで電気的に接続される。
【0042】好ましくは、前記の圧電トランスにおい
て、一次側電極のうち矩形板の厚さ方向に垂直な2つの
主面上に形成される電極は、その主面上から矩形板の幅
方向の一方の端面上まで形成される。
【0043】好ましくは、前記の圧電トランスにおい
て、二次側電極は、矩形板の長さ方向の2つの端部近傍
に形成される。また、前記の矩形板の長さ方向におい
て、第1の電極対、または電極群における電極の長さ
は、矩形板の3分の1以下の長さである。
【0044】好ましくは、前記の圧電トランスにおい
て、前記の第1、第2、及び第3の電極対、または前記
の第1、第2、及び第3の電極群は、前記の矩形板の長
さ方向に垂直、かつ、前記の矩形板を長さ方向に2等分
する中心線に関して、対称に形成される。
【0045】好ましくは、前記の圧電トランスにおい
て、前記の第2、及び第3の電極対における電極の面積
は、それぞれ、前記の第1の電極対における電極の面積
よりも小さい。同様に、前記の第2、及び第3の電極群
における電極の面積は、それぞれ、前記の第1の電極群
における電極の面積よりも小さい。
【0046】好ましくは、前記の矩形板の幅方向におい
て、前記の第2、及び第3の電極対における電極の長さ
は、それぞれ、前記の第1の電極対における電極の長さ
と等しい。同様に、前記の矩形板の幅方向において、前
記の第2、及び第3の電極群における電極の長さは、そ
れぞれ、前記の第1の電極群における電極の長さと等し
い。また、前記の矩形板の長さ方向において、前記の第
2、及び第3の電極対における電極の長さは、それぞ
れ、前記の第1の電極対における電極の長さの10%以
上、かつ、100%未満である。同様に、前記の矩形板
の長さ方向において、前記の第2、及び第3の電極群に
おける電極の長さは、それぞれ、前記の第1の電極群に
おける電極の長さの10%以上、かつ、100%未満で
ある。
【0047】好ましくは、前記の圧電トランスにおい
て、二次側電極は、矩形板の長さ方向の2つの端部近傍
に形成される。また、矩形板は、圧電セラミック、また
は圧電単結晶から成り、矩形板の二次側電極近傍におい
て、圧電セラミックの分極方向、または圧電単結晶のc
軸方向は、矩形板の長さ方向に等しい。
【0048】好ましくは、前記の圧電トランスにおい
て、二次側電極は、一次側電極が形成された同じ面上に
形成される。
【0049】好ましくは、前記の圧電トランスにおい
て、二次側電極は、矩形板の長さ方向の2つの端部近傍
に形成される。また、圧電トランスの機械的振動の節部
において、圧電トランスを固定し、かつ、電極に接触す
る導電性材料から成る支持部を備える。
【0050】本発明における昇圧回路は、前記の圧電ト
ランスと、前記の圧電トランスに入力電圧を供給する入
力回路と、前記の圧電トランスの出力電圧を取り出す出
力回路とを備える。
【0051】本発明における冷陰極管発光装置は、前記
の圧電トランスと、前記の圧電トランスに入力電圧を供
給する入力回路と、前記の圧電トランスの出力電圧を取
り出す出力回路とを備え、前記の出力回路は冷陰極管を
含む。
【0052】好ましくは、前記の昇圧回路、または冷陰
極管発光装置において、圧電トランスにおいて矩形板の
厚さ方向に垂直な2つの主面上に矩形板を挟んで対向す
るように形成された複数の一次側電極対に印加される交
流電圧の位相は、一次側電極対によって異なる。
【0053】好ましくは、前記の昇圧回路、または冷陰
極管発光装置において、一次側電極対は、矩形板の長さ
方向を基準として中央部に形成される第1の電極対と、
矩形板の長さ方向を基準として第1の電極対に対して両
側に、かつ第1の電極対と隣接して形成される第2、及
び第3の電極対とから成る。また、第1の電極対に印加
される交流電圧の位相は、第2、及び第3の電極対に印
加される交流電圧の位相と180度異なる。
【0054】本発明における液晶パネルは、前記の冷陰
極管発光装置を組み込む。
【0055】本発明における機器は、前記の液晶パネル
を組み込む。
【0056】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて、図面を参照して説明する。 (実施の形態1)図1は、本発明の実施の形態1におけ
る3λ/2振動モードの圧電トランスの斜視図であり、
図2の(1)は、図1に示した圧電トランスの側面図で
ある。図1、及び図2の(1)において、圧電トランス
200は、圧電材料から成る矩形板202で構成され
る。まず最初に、図1に示された直交座標系を用いて、
矩形板202における方向を定義する。矩形板202の
長さ方向、幅方向、及び厚さ方向とは、それぞれ、図1
の直交座標系において、x軸方向、y軸方向、及びz軸
方向を指すものとする。これは、以後述べられる全ての
圧電トランスに適用される。また、以後の説明におい
て、単に長さとは、矩形板の長さ方向における長さを示
す。矩形板の幅方向における長さ、および、矩形板の厚
さ方向における長さは、それぞれ、矩形板の幅および厚
さを意味する。図1および図2の(1)において、矩形
板202の厚さ方向に垂直な面である2つの主面には、
一次側(入力側)電極が形成される。この2つの主面の
うち、一方の主面上に電極203、電極205、及び電
極207から成る一次側電極が形成され、もう一方の主
面上に電極204、電極206、及び電極208から成
る一次側電極が形成される。ここで、同じ主面上に形成
された一次側電極を構成する電極間の間隔は、例えば、
矩形板の厚さの1倍から1.5倍の範囲であることが好
ましい。また、電極203、及び電極204のそれぞれ
の中心線は、矩形板202の中心線219と実質的に一
致するように形成されている。電極203と電極20
4、電極205と電極206、及び電極207と電極2
08は、それぞれ矩形板202の厚さ方向に互いに対向
して形成されている。矩形板202の長さ方向の2つの
端面には、二次側(出力側)電極として、電極216と
電極217が形成されている。電極203、電極20
4、電極205、電極206、電極207、電極20
8、電極216、及び電極217は、銀、ニッケル、ま
たは金等の金属等から成り、蒸着、スパッタ、印刷、ま
たはメッキ等の工法により形成される。
【0057】また、図1、及び図2の(1)において、
矩形板202上に示した矢印は、矩形板202の材質が
チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックの
場合は、分極の向きを示し、圧電性結晶の場合は、c軸
配向の向きを示す。矩形板202が圧電セラミックの場
合、電極203と電極204との間、電極205と電極
206との間、及び電極207と電極208との間に、
矩形板202の厚さ方向に適切な直流高電圧を印加し
て、分極処理を行う。また、電極205、電極206と
電極216との間、及び電極207、電極208と電極
217との間に、矩形板202の長さ方向に適切な直流
高電圧を印加して分極処理を行う。
【0058】続いて、圧電トランス200の動作につい
て説明する。図2の(1)において、一方の一次側電極
である電極203、電極205、及び電極207は、電
気的に接続されて端子Aに接続される。また、もう一方
の一次側電極である電極204、電極206、及び電極
208は、電気的に接続され共通電極として端子B、及
び端子Dに接続される。更に、二次側電極である電極2
16、及び電極217は、電気的に接続されて端子Cに
接続される。ここで、端子Aと端子Bとの間に、周波数
が矩形板202の長さ方向に伸縮する機械的振動を起こ
す共振周波数近傍の交流電圧(入力電圧)を印加する
と、圧電トランス200は長さ方向に伸縮する機械的振
動を励振する。励振された機械的振動は、圧電効果によ
って電圧に変換され、一次側電極と二次側電極とのイン
ピーダンス比に応じた高電圧を、出力電圧として端子C
D間で取り出すことができる。
【0059】図2の(2)は、圧電トランス200が、
長さ方向に3/2波長の伸縮振動をしている時のある時
点での長さ方向の変位分布を示す。ここで、横軸は、圧
電トランス200の長さ方向の位置を示す。縦軸は、あ
る瞬間の圧電トランス200の機械的振動による長さ方
向の変位を示し、+の方向には長さ方向右側への変位を
示し、−の方向には長さ方向左側への変位を示す。更
に、圧電トランス200が図2の(2)に示す変位分布
である時の矩形板202の内部応力分布を図2の(3)
に、振動により誘起される電荷分布を図2の(4)にそ
れぞれ示す。図2の(3)において、横軸は、圧電トラ
ンス200の長さ方向の位置を示す。縦軸は、長さ方向
への圧縮、伸張方向の内部応力の大きさを示す。更に、
図2の(4)において、横軸は、圧電トランス200の
長さ方向の位置を示す。縦軸は、振動により誘起される
電荷の正負の極性と電荷量を示す。
【0060】本実施の形態による圧電トランス200
は、3λ/2振動モードを用いることで、機械的振動の
振幅を小さくして弾性歪みを抑制し、かつ駆動周波数を
高くすることで、一度の振動で扱う電力を小さくして振
動回数を増やすことで大きな電力を扱うことができる。
【0061】また、本実施の形態による圧電トランス2
00において、図2の(2)に示す3λ/2振動モード
では、図2の(3)に示すように、大きな応力が発生す
る部分(点P1,P2,P3)と、分極の向きが不連続
な部分(矩形板202において、電極203及び電極2
04で挟まれた部分と電極205及び電極206で挟ま
れた部分との間、電極203及び電極204で挟まれた
部分と電極207及び電極208で挟まれた部分との
間、電極205及び電極206で挟まれた部分であっ
て、電極216側の端部近傍、電極207及び電極20
8で挟まれた部分であって、電極217側の端部近傍)
とは一致しない。つまり、通常の動作時に、機械的強度
が弱い分極が不連続な部分には、大きな応力や歪みがか
からない。従って、本実施の形態による圧電トランスは
大きな電力を扱うことができ、信頼性の高い圧電トラン
スを実現できる。
【0062】更に、図1、及び図2の(1)に示すよう
に、本実施の形態による圧電トランス200では、電極
203、電極204間の厚さ方向の分極方向と、電極2
05、電極206間、及び電極207、電極208間の
厚さ方向の分極方向とが異なるので、電極203、電極
204間、電極205、電極206間、及び電極20
7、電極208間に同じ位相の交流電圧を印加しても、
振動により誘起される電荷の極性が同じであるため打ち
消し合いは生じない。その上、一次側電極の長さは、そ
れぞれ矩形板202の主面上において、ほぼ3つの電極
を足し合わせたものとみなせるので、本実施の形態で
は、電荷の打ち消し合いを生じさせることなく、一次側
電極の長さを従来の圧電トランスよりも長く設定でき
る。従って、一次側電極の実効的電気機械結合係数k
effを従来の圧電トランスよりも大きくすることがで
き、圧電トランスが単位体積当たりに扱える電力を大き
くすることができる。ここで、電極205、電極20
6、電極207、及び電極208の長さは、それぞれ、
効果的な実効的電気機械結合係数keffを得るため
に、電極203、または電極204の長さの10分の1
以上であることが好ましい。一般的に、電極203と電
極204、電極205と電極206、及び電極207と
電極208は、それぞれ、電極の長さが等しいので、電
極203、及び電極204の長さを、それぞれ、L
電極205、及び電極206の長さを、それぞれ、
、電極207、及び電極208の長さを、それぞ
れ、Lとすると(図2の(1)参照)、L<L
10、かつL<L/10が成り立つ。このとき、分
極の向きが不連続な部分(矩形板202において、電極
205及び電極206で挟まれた部分であって、電極2
16側の端部近傍や、電極207及び電極208で挟ま
れた部分であって、電極217側の端部近傍)が、大き
な応力が発生する部分(例えば、図2の(3)における
点P1及び点P3)と一致しないように、電極205、
電極206、電極207、及び電極208のそれぞれの
長さ(配置)を定める必要がある。
【0063】以下で、本実施の形態による圧電トランス
の一次側電極の実効的電気機械結合係数keffと、図
33に示した従来の圧電トランス120の一次側電極の
実効的電気機械結合係数keffとを比較する。一般
に、λ/2振動モードの圧電トランスは、3λ/2振動
モードの圧電トランスと比較して一次側電極の実効的電
気機械結合係数keffが大きい。本実施の形態による
圧電トランス200は、3λ/2振動モードを使用して
いるが、一次側電極の実効的電気的結合係数k
ffは、λ/2振動モードの圧電トランスと同程度ま
で大きくできる。以下に、図3と図4を用いて具体的に
説明する。
【0064】まず、図3の(1)は、図33に示した圧
電トランス120の斜視図である。図33と同様に、圧
電トランス120は、圧電材料から成る矩形板122、
一次側(入力側)電極である電極124、電極126、
二次側(出力側)電極である電極128、及び電極13
0とから成る。矩形板122の長さをL、一次側電極で
ある電極124、電極126の長さを、それぞれL
する。電極124、電極126、電極128、及び電極
130の厚さは、矩形板の厚さに対して十分薄い。図3
の(1)における矢印は、矩形板122の分極方向(材
質が圧電セラミックの場合)を示す。
【0065】図3の(2)は、矩形板122の長さLで
規格化した矩形板122の幅と厚さが、それぞれ、0.
15Lと0.02Lで、かつ矩形板の長さ方向に伸縮す
る振動の電気機械結合係数k31が0.36である圧電
セラミックを用いた場合の、一次側電極である電極12
4、電極126のそれぞれの長さLに対する圧電トラ
ンス120の一次側電極の実効的電気機械結合係数k
effを示す。横軸は、矩形板122の長さLで規格化
した一次側電極である電極124、電極126のそれぞ
れの長さLを示し、縦軸は、実効的電気機械結合係数
effを示す。また、図3の(2)における実線は、
圧電トランス120がλ/2振動モードで振動した場合
の一次側電極の実効的電気機械結合係数keffを示
し、破線は、圧電トランス120が3λ/2振動モード
で振動した場合の一次側電極の実効的電気機械結合係数
effを示す。図3の(2)の実線について、一次側
電極の実効的電気機械結合係数keffは、一次側電極
である電極124、電極126のそれぞれの長さL
が、1.0に近づくと、0.36に漸近している。これ
は、矩形板122の厚さ方向に垂直な2つの主面上全面
に電極を形成し、長さ方向の振動を励振した場合の電気
機械結合係数k31に相当する。また、図3の(2)に
おける点A、点Bは、共に、一次側電極である電極12
4、電極126のそれぞれの長さLが0.32Lであ
る場合の一次側電極の実効的電気機械結合係数k eff
を示し、λ/2振動モードでは0.29(点A)、3λ
/2振動モードでは0.17(点B)である。
【0066】一方、図4の(1)は、本実施の形態によ
る圧電トランス200の斜視図である。矩形板202の
長さをL、一次側電極である電極203、電極204の
それぞれの長さをL11、電極205、電極206、電
極207、及び電極208のそれぞれの長さをL12
する。電極203と電極205との間、電極203と電
極207との間、電極204と電極206との間、及び
電極204と電極208との間には、L11より十分小
さな間隔がある。電極203、電極204、電極20
5、電極206、電極207、電極208、電極21
6、及び電極217の厚さは、矩形板202の厚さに対
して十分薄い。また、図4の(1)における矢印は、矩
形板202における分極方向(材質が圧電セラミックの
場合)を示す。
【0067】図4の(2)は、図3の(2)と同様に、
矩形板202の長さLで規格化した矩形板202の幅と
厚さが、それぞれ0.15L、0.02Lで、かつ矩形板
の長さ方向に伸縮する振動の電気機械結合係数k31
0.36である圧電セラミックを用いた場合の、一次側
電極である電極205、電極206、電極207、及び
電極208の長さL12に対する圧電トランス200の
一次側電極の実効的電気機械結合係数keffを示す。
横軸は、矩形板202の長さLで規格化した一次側電極
である電極205、電極206、電極207、及び電極
208のそれぞれの長さL12を示し、縦軸は、実効的
電気機械結合係数keffを示す。尚、一次側電極であ
る電極203、及び電極204のそれぞれの長さL11
が0.24Lの場合である。
【0068】図4の(2)により、一次側電極である電
極205、電極206、電極207、及び電極208の
それぞれの長さL12が0.3Lの時、一次側電極の実
効的電気機械結合係数keffは、ほぼ0.3である。
これは、図3の(2)に示した点Aの一次側電極の実効
的電気機械結合係数keffとほぼ等しい。従って、本
実施の形態における3λ/2振動モードの圧電トランス
200は、λ/2振動モードの圧電トランス120と同
程度の一次側電極の実効的電気機械結合係数k eff
値を実現できるということができる。
【0069】更に、本実施の形態の圧電トランスによっ
て、二次側電極の容量が大きく、出力インピーダンスの
小さい、二次側電極から従来の圧電トランスよりも多く
の電流を流すことができる圧電トランスを実現すること
ができる。以下に、3λ/2振動モードを用いた従来の
圧電トランス140(図35、図36)と比較して説明
する。
【0070】図5は、本実施の形態における圧電トラン
ス200と、従来の圧電トランス140の側面図であ
る。ここで、図5の(1)、及び図5の(2)の圧電ト
ランスは、それぞれ図2の(1)、及び図36の(1)
の圧電トランスと同様に一次側電極と二次側電極を電気
的に接続して入出力を構成する。また、簡単のために、
圧電トランス200の一次側電極を構成する各電極の長
さ方向の隙間と、圧電トランス140の一次側電極を構
成する各電極の長さ方向の隙間は、省略して示してい
る。
【0071】圧電トランス200を構成する矩形板20
2と、圧電トランス140を構成する矩形板142が、
同じ材質、同じ体積で、幅や厚さも等しいとすると、圧
電トランス200と圧電トランス140との一次側電極
の容量C0の違いは、一次側電極の長さで決まり、圧
電トランス200と圧電トランス140との二次側電極
の容量C0の違いは、一次側電極端部から二次側電極
までの長さで決まる。まず、矩形板202と矩形板14
2の長さを共にLとすると、圧電トランス200と圧電
トランス140との一次側電極の容量C0を一致させ
るために、圧電トランス200において、一次側電極を
構成する電極203、及び電極204のそれぞれの長さ
をL/3とし、電極205、電極206、電極207、
及び電極208のそれぞれの長さをL/4とする。ま
た、圧電トランス140において、一次側電極を構成す
る電極143、電極144、電極145、及び電極14
6のそれぞれの長さをL/3とし、電極147、及び電
極148のそれぞれの長さをL/6とする。この場合、
圧電トランス200と圧電トランス140の一次側電極
の長さは、5L/6で一致する。つまり、圧電トランス
200と圧電トランス140との一次側電極の容量C0
はそれぞれ等しくなる。
【0072】次に、上記場合の二次側電極の容量C0
について説明する。圧電トランス140において、二次
側電極である電極154から電極147、及び電極14
8までの長さはL/6となり、圧電トランス200にお
いて、二次側電極である電極216から電極205、及
び電極206までの長さと、二次側電極である電極21
7から電極207、及び電極208までの長さは共に、
L/12となる。よって、圧電トランス200における
2つの二次側電極の容量C0は、それぞれ圧電トラン
ス140の二次側電極の容量C0の2倍であり、更
に、これらの容量が並列に接続されているので、圧電ト
ランス200の二次側電極の容量C0は、圧電トラン
ス140の二次側電極の容量の4倍となる。
【0073】以上のことから、同じ材質で、同じ形状の
矩形板で、一次側電極の容量が同じ場合、本実施の形態
の圧電トランス200は、従来の圧電トランス140と
比較して二次側電極の容量が大きく、二次側のインピー
ダンス(出力インピーダンス)を小さくできるので、よ
り多くの電流を流すことができる構造である。
【0074】尚、図1、及び図2の(1)に示した矩形
板202の分極方向は、図示したものに限らない。電極
205と電極206との間と、電極207と電極208
との間の分極方向が、矩形板202の厚さ方向に同じ
で、電極203と電極204との間の分極方向と異なっ
ていればよく、二次側電極である電極216、及び電極
217近傍の分極方向も、矩形板202の長さ方向に互
いに異なる方向であればよい。このような場合において
も、以上説明した内容と同様の効果を得ることができ
る。
【0075】また、図2の(1)において、一次側電極
である電極204、電極206、及び電極208を共通
電極として説明したが、一次側電極である電極203、
電極205、及び電極207を共通電極としても、以上
説明した内容と同様の効果を得ることができる。
【0076】また、図1、及び図2の(1)に示した圧
電トランス200において、電極203、電極205、
及び電極207と、電極204、電極206、及び電極
208とはそれぞれ別の手段で電気的に接続するように
図示しているが、矩形板202の分極方向が、本実施の
形態で示した関係を満たしていれば、電極203、電極
205、及び電極207と、電極204、電極206、
及び電極208とを、それぞれ1つの電極として構成し
ても、以上説明した内容と同様の効果を得ることができ
る。
【0077】更に、本実施の形態では、矩形板の材質と
して圧電セラミックを用いて説明したが、ニオブ酸リチ
ウム等の圧電性結晶を用いて、分極の方向をc軸の方向
として構成すれば、圧電セラミックの場合と同様の効果
を得ることができる。
【0078】(実施の形態2)図6は、本発明の実施の
形態2における3λ/2振動モードの圧電トランスの斜
視図であり、図7の(1)は、図6に示した圧電トラン
スの側面図である。図6、及び図7の(1)において、
圧電トランス220は、圧電材料から成る矩形板222
で構成される。矩形板222の厚さ方向に垂直な面であ
る2つの主面には一次側(入力側)電極が形成される。
この2つの主面のうち、一方の主面上に電極223、電
極225、及び電極227から成る一次側電極が形成さ
れ、もう一方の主面上に電極224、電極226、及び
電極228から成る一次側電極が形成される。また、電
極223、及び電極224のそれぞれの中心線は、矩形
板222の中心線239と実質的に一致するように形成
されている。電極223と電極224、電極225と電
極226、及び電極227と電極228は、それぞれ矩
形板222の厚さ方向に互いに対向して形成されてい
る。矩形板222の長さ方向の2つの端面には、二次側
(出力側)電極として、電極236と電極237が形成
されている。電極223、電極224、電極225、電
極226、電極227、電極228、電極236、及び
電極237は、銀、ニッケル、または金等の金属等から
成り、蒸着、スパッタ、印刷、またはメッキ等の工法に
より形成される。
【0079】また、図6、及び図7の(1)において、
矩形板222上に示した矢印は、矩形板222の材質が
チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックの
場合は、分極の向きを示し、圧電性結晶の場合は、c軸
配向の向きを示す。矩形板222が圧電セラミックの場
合、電極223と電極224の間、電極225と電極2
26との間、及び電極227と電極228との間に、矩
形板222の厚さ方向に適切な直流高電圧を印加して、
分極処理を行う。また、電極225、電極226と電極
236との間、及び電極227、電極228と電極23
7との間に、矩形板222の長さ方向に適切な直流高電
圧を印加して分極処理を行う。
【0080】次に、圧電トランス220の動作について
説明する。図7の(1)において、一方の一次側電極で
ある電極223、電極226、及び電極228は、電気
的に接続されて端子Aに接続される。また、もう一方の
一次側電極である電極224、電極225、及び電極2
27は、電気的に接続され共通電極として端子B、及び
端子Dに接続される。更に、二次側電極である電極23
6、及び電極237は、電気的に接続されて端子Cに接
続される。ここで、端子Aと端子Bとの間に、周波数が
矩形板222の長さ方向に伸縮する機械的振動を起こす
共振周波数近傍の交流電圧(入力電圧)を印加すると、
圧電トランス220は長さ方向に伸縮する機械的振動を
励振する。励振された機械的振動は、圧電効果によって
電圧に変換され、一次側電極と二次側電極とのインピー
ダンス比に応じた高電圧を、出力電圧として端子CD間
で取り出すことができる。
【0081】図7の(2)は、圧電トランス220が、
長さ方向に3/2波長の伸縮振動をしている時のある時
点での長さ方向の変位分布を示す。ここで、横軸は、圧
電トランス220の長さ方向の位置を示す。縦軸は、あ
る瞬間の圧電トランス220の機械的振動による長さ方
向の変位を示し、+の方向には圧電トランス220の長
さ方向右側への変位を示し、−の方向には長さ方向左側
への変位を示す。更に、圧電トランス220が図7の
(2)に示す変位分布である時の矩形板222の内部応
力分布を図7の(3)に、振動により誘起される電荷分
布を図7の(4)にそれぞれ示す。図7の(3)におい
て、横軸は、圧電トランス220の長さ方向の位置を示
す。縦軸は、長さ方向への圧縮、伸張方向の内部応力の
大きさを示す。更に、図7の(4)において、横軸は、
圧電トランス220の長さ方向の位置を示す。縦軸は、
振動により誘起される電荷の正負の極性と電荷量を示
す。
【0082】本実施の形態の圧電トランス220は、一
次側電極の分極方向が矩形板222の厚さ方向に揃って
いるので、本発明の実施の形態1における圧電トランス
200のように、分極作業時に、一次側電極の長さ方向
の隙間(電極223、電極224と電極225、電極2
26との間、及び電極223、電極224と電極22
7、電極228との間)に、矩形板222の厚さ方向に
対して逆方向に高電界をかけることにより発生する内部
歪みによる割れの発生を抑制できる。その上、本発明の
実施の形態1における圧電トランス220に比べて、上
記電極間の隙間には分極後の残留歪みが少なく、かつ分
極の向きが不連続な部分が少ないので、機械的強度が高
い圧電トランスを実現することができる。
【0083】更に、近接した電極間で電界方向を逆にし
て分極作業を行うと、電極の境界近傍では十分に分極さ
れずに、実効的電気機械結合係数keffの低下につな
がる場合があるが、本実施の形態における圧電トランス
においてはその影響もない。
【0084】また、本実施の形態による圧電トランス2
20において、図7の(2)に示す3λ/2振動モード
では、図7の(3)に示すように、大きな応力が発生す
る部分(点P1,P2,P3)と、分極の向きが不連続
な部分(矩形板222において、電極225及び電極2
26で挟まれた部分であって、電極236側の端部近
傍、電極225及び電極226で挟まれた部分であっ
て、電極237側の端部近傍)とは一致しない。つま
り、本発明の実施の形態1と同様に、通常の動作時に、
機械的強度が弱い分極が不連続な部分には、大きな応力
や歪みがかからない。従って、本実施の形態による圧電
トランスは大きな電力を扱うことができ、信頼性の高い
圧電トランスを実現できる。
【0085】更に、図6、及び図7の(1)に示すよう
に、本実施の形態による圧電トランス220では、矩形
板222において、電極223、電極224間、電極2
25、電極226間、及び電極227、電極228間の
厚さ方向の分極方向は等しいが、一方の一次側電極が電
極223、電極226、及び電極228で構成され、他
方の一次側電極が電極224、電極225、及び電極2
27で構成され、電極223、電極224間に印加する
交流電圧の位相と、電極225、電極226間、及び電
極227、電極228間に印加する交流電圧の位相が1
80度異なるので、図7の(4)に示すように、振動に
より誘起される電荷の極性が同じであるため打ち消し合
いは生じない。その上、一次側電極の長さは、それぞれ
矩形板222の主面上において、ほぼ3つの電極を足し
合わせたものとみなせるので、本実施の形態では、一次
側電極の長さを比較的長く設定できる。よって、一次側
電極の実効的電気機械結合係数keffを従来の圧電ト
ランスよりも大きくすることができ、圧電トランスが単
位体積当たりに扱うことができる電力を大きくすること
ができる。
【0086】また、本実施の形態の圧電トランス220
は、3λ/2振動モードを用いることで、機械的振動の
振幅を小さくして弾性歪みを抑制し、かつ駆動周波数を
高くすることで、一度の振動で扱う電力を小さくして振
動回数を増やすことで大きな電力を扱うことができる。
【0087】更に、本実施の形態の圧電トランス220
は、一次側電極、及び二次側電極を、本発明の実施の形
態1の圧電トランス200と同様に形成しているので、
二次側のインピーダンス(出力インピーダンス)を小さ
くでき、より多くの電流を流すことができる構造であ
る。
【0088】尚、図6、及び図7の(1)に示した圧電
トランス220の分極方向は、図示したものに限られな
い。一次側電極である電極223、電極224間、電極
225、電極226間、及び電極227、電極228間
の分極方向が、矩形板222の厚さ方向に同じであれば
よく、二次側電極である電極236、電極237近傍の
分極方向も、矩形板222の長さ方向に互いに異なる方
向であれば、以上説明した内容と同様の効果を得ること
ができる。
【0089】また、図7の(1)において、一次側電極
である電極224、電極225、及び電極227を共通
電極として説明したが、一次側電極である電極223、
電極226、及び電極228を共通電極としても、以上
説明した内容と同様の効果を得ることができる。
【0090】更に、本実施の形態では、矩形板の材質と
して圧電セラミックを用いて説明したが、ニオブ酸リチ
ウム等の圧電性結晶を用いて、分極の方向をc軸の方向
として構成すれば、圧電セラミックの場合と同様の効果
を得ることができる。
【0091】(実施の形態3)図8は、本発明の実施の
形態3における3λ/2振動モードの圧電トランスの斜
視図であり、図9の(1)は、図8に示した圧電トラン
スの側面図である。図8、及び図9の(1)において、
圧電トランス240は、圧電材料から成る矩形板242
で構成される。矩形板242の長さ方向の中央付近に
は、矩形板242の長さ方向と厚さ方向に複数の電極か
ら成る一次側(入力側)電極が形成されている。これ
は、矩形板242の厚さ方向に、圧電セラミック等の圧
電材料から成る圧電体層と金属材料等から成る内部電極
層とが交互に重ね合わされた積層構造である。
【0092】図9の(1)において、矩形板242の厚
さ方向に垂直な面である2つの主面に対向する一次側電
極間には、5つの圧電体層と4つの電極層が存在する。
矩形板242の厚さ方向に垂直な面である一方の主面上
には、電極300、電極310、及び電極320がそれ
ぞれ形成され、矩形板242のもう一方の主面上には電
極301、電極311、及び電極321がそれぞれ形成
される。更に、矩形板242の内部には電極302、電
極303、電極304、電極305、電極312、電極
313、電極314、電極315、電極322、電極3
23、電極324、及び電極325が形成される。電極
300、電極301、電極302、電極303、電極3
04、及び電極305は、矩形板242の厚さ方向に互
いに対向する。同様に、電極310、電極311、電極
312、電極313、電極314、及び電極315も、
矩形板242の厚さ方向に互いに対向する。また、電極
320、電極321、電極322、電極323、電極3
24、及び電極325も、矩形板242の厚さ方向に互
いに対向する。電極300、電極302、及び電極30
4は、電気的に接続されて電極243を構成し、電極3
01、電極303、及び電極305は、電気的に接続さ
れて電極244を構成する。同様に、電極310、電極
312、及び電極314は、電気的に接続されて電極2
45を構成し、電極311、電極313、及び電極31
5は、電気的に接続されて電極246を構成する。ま
た、電極320、電極322、及び電極324は、電気
的に接続されて電極247を構成し、電極321、電極
323、及び電極325は、電気的に接続されて電極2
48を構成する。電極243、及び電極244を構成す
る各電極の中心線は、矩形板242の中心線259と実
質的に一致するように形成されている。矩形板242の
長さ方向の2つの端面には、二次側(出力側)電極とし
て、電極256、及び電極257が形成されている。電
極300、電極301、電極310、電極311、電極
320、電極321、電極256、及び電極257は、
銀、ニッケル、または金等の金属等から成り、蒸着、ス
パッタ、印刷、またはメッキ等の工法により形成され
る。
【0093】また、図9の(1)において、矩形板24
2に示した矢印は、圧電材料の分極の向きを示してい
る。電極300から電極301までの電極に挟まれた各
圧電体層間、電極310から電極311までの電極に挟
まれた各圧電体層間、及び電極320から電極321ま
での電極に挟まれた各圧電体層間の矩形板242におい
て、分極方向は、矩形板242の厚さ方向であり、矩形
板242の厚さ方向、及び長さ方向に隣り合う各電極間
で反対方向である。電極245、246と電極256と
の間、及び電極247、248と電極257との間は、
矩形板242の長さ方向に分極され、それらの分極の向
きは互いに反対である。分極処理は、それぞれの領域
に、適切な直流高電圧を印加することによってなされ
る。
【0094】続いて、圧電トランス240の動作につい
て説明する。図9の(1)において、一方の一次側電極
である電極243、電極245、及び電極247は、電
気的に接続されて端子Aに接続される。また、もう一方
の一次側電極である電極244、電極246、及び電極
248は、電気的に接続され共通電極として端子B、及
び端子Dに接続される。更に、二次側電極である電極2
56、及び電極257は、電気的に接続されて端子Cに
接続される。ここで、端子Aと端子Bとの間に、入力電
圧として、周波数が矩形板242の長さ方向に伸縮する
機械的振動を起こす共振周波数近傍の交流電圧を印加す
ると、圧電トランス240は長さ方向に伸縮する機械的
振動を励振する。励振された機械的振動は、圧電効果に
よって電圧に変換され、一次側電極と二次側電極とのイ
ンピーダンス比に応じた高電圧を、出力電圧として端子
CD間で取り出すことができる。
【0095】図9の(2)は、圧電トランス240が、
長さ方向に3/2波長の伸縮振動をしている時のある時
点での長さ方向の変位分布を示す。ここで、横軸は、圧
電トランス240の長さ方向の位置を示す。縦軸は、あ
る瞬間の圧電トランス240の機械的振動による長さ方
向の変位を示し、+の方向には長さ方向右側への変位を
示し、−の方向には長さ方向左側への変位を示す。更
に、圧電トランス240が図9の(2)に示す変位分布
である時の矩形板242の内部応力分布を図9の(3)
に、振動により誘起される電荷分布を図9の(4)にそ
れぞれ示す。図9の(3)において、横軸は、圧電トラ
ンス240の長さ方向の位置を示す。縦軸は、長さ方向
への圧縮、伸張方向の内部応力の大きさを示す。更に、
図9の(4)において、横軸は、圧電トランス240の
長さ方向の位置を示す。縦軸は、振動により誘起される
電荷の正負の極性と電荷量を示す。
【0096】本実施の形態による圧電トランス240に
おいて、一次側電極の分極方向は、矩形板242の厚さ
方向であり、矩形板242の厚さ方向、及び長さ方向に
隣り合う圧電体層間で反対方向であるので、本発明の実
施の形態1、あるいは実施の形態2における圧電トラン
スに比べて、一次側電極の容量値を大きくすることがで
きる。
【0097】一次側電極の容量をC0、二次側電極の
容量をC0、一次側電極に入力する電圧をVin、二
次側電極から出力する電圧をVoutとすると、一次側
電力Winは(式1)で、二次側電力Woutは(式
2)で表される。簡単のために、電力の損失がないと仮
定すれば、入力電圧Vinに対する出力電圧Vout
比である昇圧比γは、(式3)で表されるように、C0
/C0の平方根に比例する。従って、本実施の形態
における圧電トランス240は、本発明の実施の形態
1、あるいは実施の形態2における圧電トランスに比べ
て、一次側電極の容量C0が大きくとれるので、大き
な昇圧比γを得ることができる。 Win=C0(Vin/2 (1) Wout=C0(Vout/2 (2) γ=Vout/Vin=(C0/C01/2 (3)
【0098】また、本実施の形態の圧電トランス240
は、3λ/2振動モードを用いることで、機械的振動の
振幅を小さくして弾性歪みを抑制し、かつ駆動周波数を
高くすることで、一度の振動で扱う電力を小さくして振
動回数を増やすことで大きな電力を扱うことができる。
【0099】また、本実施の形態による圧電トランス2
40において、図9の(2)に示す3λ/2振動モード
では、図9の(3)に示すように、大きな応力が発生す
る部分(点P1,P2,P3)と、分極の向きが不連続
な部分(矩形板242において、電極243及び電極2
44で挟まれた部分と電極245及び電極246で挟ま
れた部分との間、電極243及び電極244で挟まれた
部分と電極247及び電極248で挟まれた部分との
間、電極245及び電極246で挟まれた部分であっ
て、電極256側の端部近傍、電極247及び電極24
8で挟まれた部分であって、電極257側の端部近傍)
とは一致しない。つまり、本発明の実施の形態1、及び
実施の形態2と同様に、通常の動作時に、機械的強度が
弱い分極が不連続な部分には、大きな応力や歪みがかか
らない。従って、本実施の形態による圧電トランスは大
きな電力を扱うことができ、信頼性の高い圧電トランス
を実現できる。
【0100】更に、図9の(1)に示すように、本実施
の形態による圧電トランス240において、電極243
と電極244を構成する各電極間の分極方向と、電極2
45と電極246を構成する各電極間の分極方向、及び
電極247と電極248を構成する各電極間の分極方向
とが、矩形板242の長さ方向に隣り合う各電極間でそ
れぞれ厚さ方向に異なる。よって、図9の(4)に示す
ように、電極243、電極244間、電極245、電極
246間、及び電極247、電極248間に同じ位相の
交流電圧を印加しても、振動により誘起される電荷の極
性が同じであるため打ち消し合いは生じない。その上、
一次側電極の長さは、矩形板242の長さ方向に並んだ
電極の長さを足し合わせたものとみなせるので、本実施
の形態では、一次側電極の長さを比較的長く設定でき
る。よって、一次側電極の実効的電気機械結合係数k
effを従来の圧電トランスよりも大きくすることがで
き、圧電トランスが単位体積当たりに扱うことができる
電力を大きくすることができる。
【0101】尚、図9の(1)に示した圧電トランス2
40の分極方向は、図示したものに限られない。一次側
電極である電極243、電極244、電極245、電極
246、及び電極247、電極248を構成する各電極
間の分極方向が、矩形板242の厚さ方向と長さ方向に
隣り合う各電極間で、互いに矩形板242の厚さ方向に
異なっていればよく、二次側電極である電極256、電
極257近傍の分極方向も、矩形板242の長さ方向に
互いに異なる方向であれば、以上説明した内容と同様の
効果を得ることができる。
【0102】また、図9の(1)において、一次側電極
である電極244、電極246、及び電極248を共通
電極として説明したが、一次側電極である電極243、
電極245、及び電極247を共通電極としても、以上
説明した内容と同様の効果を得ることができる。
【0103】更に、図9の(1)において、圧電体層数
は5層であるが、これに限られない。圧電体層数を変化
させても、一次側電極の容量が変化するだけであり、得
られる効果は本実施の形態と同様である。
【0104】更に、本実施の形態では、矩形板の材質と
して圧電セラミックを用いて説明したが、ニオブ酸リチ
ウム等の圧電性結晶を用いて、分極の方向をc軸の方向
として構成すれば、圧電セラミックの場合と同様の効果
を得ることができる。
【0105】(実施の形態4)図10は、本発明の実施
の形態4における3λ/2振動モードの圧電トランスの
斜視図であり、図11の(1)は、図10に示した圧電
トランスの側面図である。図10、及び図11の(1)
において、圧電トランス260は、圧電材料から成る矩
形板262で構成される。矩形板262の長さ方向の中
央付近には、矩形板262の長さ方向と厚さ方向に複数
の電極から成る一次側(入力側)電極が形成されてい
る。これは、矩形板262の厚さ方向に、圧電セラミッ
ク等の圧電材料から成る圧電体層と、金属材料から成る
内部電極層とが交互に重ね合わされた積層構造である。
【0106】図11の(1)において、矩形板262の
厚さ方向に垂直な面である2つの主面に対向する一次側
電極間には、5つの圧電体層と4つの電極層が存在す
る。矩形板262の厚さ方向に垂直な面である一方の主
面上には、電極330、電極340、及び電極350が
それぞれ形成され、矩形板262のもう一方の主面上に
は電極331、電極341、及び電極351がそれぞれ
形成される。更に、矩形板262の内部には、電極33
2、電極333、電極334、電極335、電極34
2、電極343、電極344、電極345、電極35
2、電極353、電極354、及び電極355が形成さ
れる。電極330、電極331、電極332、電極33
3、電極334、及び電極335は、矩形板262の厚
さ方向に互いに対向する。同様に、電極340、電極3
41、電極342、電極343、電極344、及び電極
345も、矩形板262の厚さ方向に互いに対向する。
また、電極350、電極351、電極352、電極35
3、電極354、及び電極355も、矩形板262の厚
さ方向に互いに対向する。電極330、電極332、及
び電極334は、電気的に接続されて電極263を構成
し、電極331、電極333、及び電極335は、電気
的に接続されて電極264を構成する。同様に、電極3
40、電極342、及び電極344は、電気的に接続さ
れて電極265を構成し、電極341、電極343、及
び電極345は、電気的に接続されて電極266を構成
する。また、電極350、電極352、及び電極354
は、電気的に接続されて電極267を構成し、電極35
1、電極353、及び電極355は、電気的に接続され
て電極268を構成する。電極263、及び電極264
を構成する各電極の中心線は、矩形板262の中心線2
79と実質的に一致するように形成されている。矩形板
262の長さ方向の2つの端面には、二次側(出力側)
電極として、電極276、及び電極277が形成されて
いる。電極330、電極331、電極340、電極34
1、電極350、電極351、電極276、及び電極2
77は、銀、ニッケル、または金等の金属等から成り、
蒸着、スパッタ、印刷、またはメッキ等の工法により形
成される。
【0107】また、図11の(1)において、矩形板2
62に示した矢印は、圧電材料の分極の向きを示してい
る。電極330から電極331までの電極に挟まれた各
圧電体層間、電極340から電極341までの電極に挟
まれた各圧電体層間、及び電極350から電極351ま
での電極に挟まれた各圧電体層間の矩形板262におい
て、分極方向は矩形板262の厚さ方向であり、矩形板
262の厚さ方向に隣り合う各電極間で反対方向であ
る。
【0108】更に、本発明の実施の形態3と異なる点と
して、矩形板262の長さ方向に隣り合う各電極間で分
極方向が、矩形板262の厚さ方向に同じである。電極
265、電極266と電極276との間、及び電極26
7、電極268と電極277との間は、矩形板262の
長さ方向に分極され、それらの分極の向きは互いに反対
方向である。分極処理は、それぞれの領域に、適切な直
流高電圧を印加することによってなされる。
【0109】続いて、圧電トランス260の動作につい
て説明する。図11の(1)において、一方の一次側電
極である電極263、電極266、及び電極268は、
電気的に接続されて端子Aに接続される。また、もう一
方の一次側電極である電極264、電極265、及び電
極267は、電気的に接続され共通電極として端子B、
及び端子Dに接続される。更に、二次側電極である電極
276、及び電極277は、電気的に接続されて端子C
に接続される。ここで、端子Aと端子Bとの間に、入力
電圧として、周波数が矩形板262の長さ方向に伸縮す
る機械的共振振動を起こす共振周波数近傍の交流電圧を
印加すると、圧電トランス260は長さ方向に伸縮する
機械的振動を励振する。励振された機械的振動は、圧電
効果によって電圧に変換され、一次側電極と二次側電極
とのインピーダンス比に応じた高電圧を、出力電圧とし
て端子CD間で取り出すことができる。
【0110】図11の(2)は、圧電トランス260
が、長さ方向に3/2波長の伸縮振動をしている時のあ
る時点での長さ方向の変位分布を示す。ここで、横軸
は、圧電トランス260の長さ方向の位置を示す。縦軸
は、ある瞬間の圧電トランス260の機械的振動による
長さ方向の変位を示し、+の方向には圧電トランス26
0の長さ方向右側への変位を示し、−の方向には長さ方
向左側への変位を示す。更に、圧電トランス260が図
11の(2)に示す変位分布である時の矩形板262の
内部応力分布を図11の(3)に、振動により誘起され
る電荷分布を、図11の(4)にそれぞれ示す。図11
の(3)において、横軸は、圧電トランス260の長さ
方向の位置を示す。縦軸は、長さ方向への圧縮、伸張方
向の内部応力の大きさを示す。更に、図11の(4)に
おいて、横軸は、圧電トランス260の長さ方向の位置
を示す。縦軸は、振動により誘起される電荷の正負の極
性と電荷量を示す。
【0111】本実施の形態の圧電トランス260は、一
次側電極の分極方向が矩形板262の長さ方向に隣り合
う各電極間で、矩形板262の厚さ方向に同じなので、
分極作業時に、一次側電極の長さ方向の隙間(電極26
3、電極264と電極265、電極266との間、及び
電極263、電極264と電極267、電極268との
間)において、矩形板262の厚さ方向に対して逆方向
に高電界をかけることにより発生する内部歪みによる割
れの発生を抑制できる。また、本発明の実施の形態3に
おける圧電トランス240に比べて、上記電極間の隙間
には分極後の残留歪みが小さく、かつ分極の向きが不連
続な部分が少ないので、機械的強度が高い圧電トランス
を実現することができる。
【0112】更に、図11の(1)に示すように、本実
施の形態による圧電トランス260では、一次側電極を
構成する電極223、電極224間、電極225、電極
226間、及び電極227、電極228間において、矩
形板262の長さ方向に隣り合う各電極間で、分極方向
が厚さ方向に同じ方向であるが、一方の一次側電極が電
極264、電極265、及び電極267で構成され、他
方の一次側電極が電極263、電極266、及び電極2
68で構成され、電極263、電極264間に印加する
交流電圧の位相と、電極265、電極266間、及び電
極267、電極268間に印加する交流電圧の位相が1
80度異なるので、図11の(4)に示すように、振動
により誘起される電荷の極性が同じであるため打ち消し
合いは生じない。その上、一次側電極の長さは、矩形板
262の長さ方向に並んだ電極の長さを足し合わせたも
のとほぼみなせるので、本実施の形態では、一次側電極
の長さを比較的長く設定できる。よって、一次側電極の
実効的電気機械結合係数k effを従来の圧電トランス
よりも大きくすることができ、圧電トランスが単位体積
当たりに扱うことができる電力を大きくすることができ
る。
【0113】また、本実施の形態の圧電トランス260
は、3λ/2振動モードを用いることで、機械的振動の
振幅を小さくして弾性歪みを抑制し、かつ駆動周波数を
高くすることで、一度の振動で扱う電力を小さくして振
動回数を増やすことで大きな電力を扱うことができる。
【0114】また、本実施の形態による圧電トランス2
60において、図11の(2)に示す3λ/2振動モー
ドでは、図11の(3)に示すように、大きな応力が発
生する部分(点P1,P2,P3)と、分極の向きが不
連続な部分(矩形板262において、電極263及び電
極264で挟まれた部分と電極265及び電極266で
挟まれた部分との間、電極263及び電極264で挟ま
れた部分と電極267及び電極268で挟まれた部分と
の間、電極265及び電極266で挟まれた部分であっ
て、電極276側の端部近傍、電極267及び電極26
8で挟まれた部分であって、電極277側の端部近傍)
とは一致しない。つまり、本発明の実施の形態1、実施
の形態2、及び実施の形態3と同様に、通常の動作時
に、機械的強度が弱い分極が不連続な部分には、大きな
応力や歪みがかからない。従って、本実施の形態による
圧電トランスは大きな電力を扱うことができ、信頼性の
高い圧電トランスを実現できる。
【0115】本実施の形態による圧電トランス260に
おいて、一次側電極は、以上説明したような積層構造で
あるので、本発明の実施の形態1、あるいは実施の形態
2における圧電トランスに比べて、一次側電極の容量値
を大きくすることができる。従って、本実施の形態にお
ける圧電トランス260は、本発明の実施の形態3の圧
電トランス240と同様に、本発明の実施の形態1、あ
るいは実施の形態2における圧電トランスに比べて、一
次側電極の容量C0が大きくとれるので、大きな昇圧
比γを得ることができる。
【0116】尚、図11の(1)に示した圧電トランス
260の分極方向は、図示したものに限られない。一次
側電極である電極263、電極264、電極265、電
極266、電極267、及び電極268を構成する各電
極間の分極方向が、矩形板262の厚さ方向に隣り合う
各電極間で、互いに矩形板262の厚さ方向に異なって
おり、矩形板262の長さ方向に隣り合う各電極間で、
互いに矩形板262の厚さ方向に同じ方向であればよ
い。二次側電極である電極276、電極277近傍の分
極方向も、矩形板262の長さ方向に互いに異なる方向
であれば、以上説明した内容と同様の効果を得ることが
できる。
【0117】また、図11の(1)において、一次側電
極である電極264、電極265、及び電極267を共
通電極として説明したが、一次側電極である電極26
3、電極266、及び電極268を共通電極としても、
以上説明した内容と同様の効果を得ることができる。
【0118】図11の(1)において、圧電体層数は5
層であるが、これに限られない。圧電体層数を変化させ
ても、一次側電極の容量が変化するだけであり、得られ
る効果は本実施の形態と同様である。
【0119】更に、本実施の形態では、矩形板の材質と
して圧電セラミックを用いて説明したが、ニオブ酸リチ
ウム等の圧電性結晶を用いて、分極の方向をc軸の方向
として構成すれば、圧電セラミックの場合と同様の効果
を得ることができる。
【0120】(実施の形態5)図12の(1)は、本発
明の実施の形態5における3λ/2振動モードの圧電ト
ランスの斜視図である。また、図12の(2)は、図1
2の(1)に示した圧電トランス280の中心線299
における断面図を示す。更に、図13、及び図14は、
それぞれ圧電トランス280の側面図である。図12の
(3)は、圧電トランス280の変形例を示し、図12
の(2)と同様に中心線299で切断した場合の断面図
を示す。
【0121】図12の(1)、図13、及び図14にお
いて、圧電トランス280は、圧電材料から成る矩形板
282で構成される。矩形板282の長さ方向の中央付
近には、矩形板282の長さ方向と厚さ方向に複数の電
極から成る一次側(入力側)電極が形成されている。こ
れは、矩形板282の厚さ方向に、圧電セラミック等の
圧電材料から成る圧電体層と金属材料等から成る内部電
極層とが交互に重ね合わされた積層構造である。図12
の(2)、図13、及び図14において、矩形板282
の厚さ方向に垂直な面である2つの主面に対向する一次
側電極間には、5つの圧電体層と4つの電極層が存在す
る。
【0122】図12の(1)において、矩形板282の
厚さ方向に垂直な面である一方の主面上には、電極36
0、電極370、及び電極380がそれぞれ形成され、
矩形板282のもう一方の主面上には電極361、電極
371、及び電極381がそれぞれ形成される。更に、
矩形板282の内部には、電極362、電極363、電
極364、電極365、電極372、電極373、電極
374、電極375、電極382、電極383、電極3
84、及び電極385が形成される。電極360、電極
361、電極362、電極363、電極364、及び電
極365は、矩形板282の厚さ方向に互いに対向す
る。同様に、電極370、電極371、電極372、電
極373、電極374、及び電極375も、矩形板28
2の厚さ方向に互いに対向する。また、電極380、電
極381、電極382、電極383、電極384、及び
電極385も、矩形板282の厚さ方向に互いに対向す
る。図12の(2)に示すように、電極360、電極3
62、及び電極364は、電気的に接続されて電極28
3を構成し、電極361、電極363、及び電極365
は、電気的に接続されて電極284を構成する。同様
に、電極370、電極372、及び電極374は、電気
的に接続されて電極285を構成し、電極371、電極
373、及び電極375は、電気的に接続されて電極2
86を構成する。また、電極380、電極382、及び
電極384は、電気的に接続されて電極287を構成
し、電極381、電極383、及び電極385は、電気
的に接続されて電極288を構成する。電極283、及
び電極284を構成する各電極の中心線は、矩形板28
2の中心線299と実質的に一致するように形成されて
いる。矩形板282の長さ方向の2つの端面には、二次
側(出力側)電極として、電極296、及び電極297
が形成されている。電極360、電極361、電極37
0、電極371、電極380、電極381、電極296
及び電極297は、銀、ニッケル、または金等の金属等
から成り、蒸着、スパッタ、印刷、またはメッキ等の工
法により形成される。
【0123】本実施の形態の圧電トランス280におい
て、矩形板282の厚さ方向における積層構造は、例え
ば、電極360、電極361間において、図12の
(2)に示される。矩形板282の内部電極である電極
362、電極364は、矩形板282の幅方向の一方の
端面に露出し、内部電極である電極363、電極365
は、矩形板282の幅方向の他方の端面に露出してい
る。図12の(2)に示すように、電極360をL字型
形状にすることにより、電極360、電極362、及び
電極364が接続され、同様に、電極361をL字型形
状にすることにより、電極361、電極363、及び電
極365が接続される。
【0124】図12の(2)、図13、及び図14にお
いて、矩形板282に示した矢印は、圧電材料の分極の
向きを示している。電極360から電極361までの電
極に挟まれた各圧電体層間、電極370から電極371
までの電極に挟まれた各圧電体層間、及び電極380か
ら電極381までの電極に挟まれた各圧電体層間の矩形
板282において、分極方向は矩形板282の厚さ方向
であり、矩形板282の厚さ方向に隣り合う各電極間で
反対方向である。更に、図13においては、矩形板28
2の長さ方向に隣り合う各電極間で分極方向が、矩形板
282の厚さ方向に異なり、図14においては、矩形板
282の長さ方向に隣り合う各電極間で分極方向が、矩
形板282の厚さ方向に同じである。電極285、電極
286と電極296との間、及び電極287、電極28
8と電極297との間は、矩形板282の長さ方向に分
極され、それらの分極の向きは互いに反対方向である。
分極処理は、それぞれの領域に、適切な直流高電圧を印
加することによってなされる。
【0125】続いて、圧電トランス280の動作につい
て説明する。図13において、一方の一次側電極である
電極283、電極285、及び電極287は、電気的に
接続されて端子Aに接続される。また、もう一方の一次
側電極である電極284、電極286、及び電極288
は、電気的に接続され共通電極として端子B、及び端子
Dに接続される。一方、図14において、一方の一次側
電極である電極283、電極286、及び電極288
は、電気的に接続されて端子Aに接続される。また、も
う一方の一次側電極である電極284、電極285、及
び電極287は、電気的に接続され共通電極として端子
B、及び端子Dに接続される。更に、図13、及び図1
4において、二次側電極である電極296と電極297
は、電気的に接続されて端子Cに接続される。
【0126】ここで、図13、及び図14において、端
子Aと端子Bとの間に、入力電圧として、周波数が矩形
板282の長さ方向に伸縮する機械的振動を起こす共振
周波数近傍の交流電圧を印加すると、圧電トランス28
0は長さ方向に伸縮する機械的振動を励振する。励振さ
れた機械的振動は、圧電効果によって電圧に変換され、
一次側電極と二次側電極とのインピーダンス比に応じた
高電圧を、出力電圧として端子CD間で取り出すことが
できる。図13の場合と図14の場合とでは、電極28
3、電極284、電極285、電極286、電極28
7、及び電極288の接続の組合せが異なるだけで、交
流電圧を印加した時の振る舞いは同じである。
【0127】本実施の形態の圧電トランス280におい
て、矩形板282の内部に構成されている電極は、矩形
板282の幅方向の端面に露出している。従って、矩形
板282の内部電極と矩形板282の厚さ方向に垂直な
主面上に構成された電極との電気的接続が容易に実現で
きる。
【0128】図12の(3)は、圧電トランス280に
おいて、矩形板282の主面上に電極を形成しない場合
の、中心線299における断面図である。圧電トランス
280において、矩形板282の奇数番目の内部電極
(例えば、電極365や電極363)を矩形板282の
幅方向の一方の端面に露出させ、矩形板282の偶数番
目の内部電極(例えば、電極362や電極364)を矩
形板282の幅方向の他方の端面に露出させれば、矩形
板282の主面上に電極を形成せずに、矩形板282の
内部電極のみを互いに接続することが可能である。図1
2の(3)において、電極360および電極361は、
L字型形状ではなく、平板状に形成され、圧電トランス
の幅方向の端面のみに設けられている。また、積層構造
の最上層および最下層である圧電体層には分極が存在し
ない。これらは、電極370と電極371、及び電極3
80と電極381のそれぞれに関しても適用される。以
上のように、その主面上に電極を設けない矩形板282
を配置すれば、圧電トランスの主面を電気的に絶縁させ
ることができる。尚、本実施の形態による一次側電極
は、圧電体層と電極層とが積層された積層構造である
が、図12の(2)および図12の(3)に示されるよ
うに、圧電体層間は電極層によって完全に分離されるわ
けではなく、隣り合う圧電体層の端部間に結合が存在す
る。つまり、任意の隣り合う2つの圧電体層は、U字型
構造をしている。これは、圧電トランスの製造工程にお
いて、圧電体層と電極層とを積層して圧着する際に、隣
合う圧電体層が融着するからである。
【0129】本実施の形態の圧電トランス280は、一
次側電極が、以上説明したような積層構造であるので、
本発明の実施の形態3、及び実施の形態4における圧電
トランスと同様に、本発明の実施の形態1、あるいは実
施の形態2における圧電トランスに比べて、一次側電極
の容量値を大きくすることができる。従って、本実施の
形態における圧電トランス280は、本発明の実施の形
態1、あるいは実施の形態2における圧電トランスに比
べて、一次側電極の容量C0が大きくとれるで、大き
な昇圧比γを得ることができる。
【0130】また、本実施の形態の圧電トランス280
において、3λ/2振動モードを用いることで、機械的
振動の振幅を小さくして弾性歪みを抑制し、かつ駆動周
波数を高くすることで、一度の振動で扱う電力を小さく
して振動回数を増やすことで大きな電力を扱うことがで
きる。また、本発明の実施の形態3、及び実施の形態4
における圧電トランスと同様に、大きな応力が発生する
部分と、分極の向きが不連続な部分とは一致しない。つ
まり、通常の動作時に、機械的強度が弱い分極が不連続
な部分には、大きな応力や歪みがかからない。従って、
本実施の形態による圧電トランスは大きな電力を扱うこ
とができ、信頼性の高い圧電トランスを実現できる。
【0131】更に、本実施の形態の圧電トランス280
において、本発明の実施の形態1、実施の形態2、実施
の形態3、及び実施の形態4における圧電トランスと同
様に、一次側電極の長さを比較的長く設定でき、また、
振動により誘起される電荷の極性が同じであるため打ち
消し合いは生じないので、一次側電極の実効的電気機械
結合係数keffを従来の圧電トランスよりも大きくす
ることができ、圧電トランスが単位体積当たりに扱うこ
とができる電力を大きくすることができる。
【0132】尚、図13、及び図14に示した圧電トラ
ンス280の分極方向は、それぞれ図示したものに限ら
れない。一次側電極を構成する各電極間については、図
13では、矩形板282の厚さ方向と長さ方向とで隣り
合う電極間で互いに異なる方向であればよく、図14で
は、矩形板282の厚さ方向で隣り合う電極間で互いに
異なる方向であり、長さ方向で隣り合う電極間で互いに
同じ方向であればよい。また、二次側電極である電極2
96、電極297近傍の分極方向も、矩形板282の長
さ方向に互いに異なる方向であれば、以上説明した内容
と同様の効果を得ることができる。
【0133】また、図13において、一次側電極である
電極284、電極286、及び電極288を共通電極と
して説明したが、一次側電極である電極283、電極2
85、及び電極287を共通電極としても、以上説明し
た内容と同様の効果を得ることができる。
【0134】図13、及び図14において、圧電体層数
は5層であるが、これに限られない。圧電体層数を変化
させても、一次側電極の容量が変化するだけであり、得
られる効果は本実施の形態と同様である。
【0135】更に、本実施の形態では、矩形板の材質と
して圧電セラミックを用いて説明したが、ニオブ酸リチ
ウム等の圧電性結晶を用いて、分極の方向をc軸の方向
として構成すれば、圧電セラミックの場合と同様の効果
を得ることができる。
【0136】(実施の形態6)図15、及び図16は、
本発明の実施の形態6における3λ/2振動モードの圧
電トランスの斜視図である。また、図17は、図16に
示した圧電トランス400の分解図を示す。更に、図1
7において、図16の直線420における断面構造も示
している。
【0137】図15において、圧電トランス388は、
圧電材料から成る矩形板389で構成される。矩形板3
89の厚さ方向に垂直な面である2つの主面には、一次
側(入力側)電極が形成される。この2つの主面のう
ち、一方の主面上に電極390、電極392、及び電極
394から成る一次側電極が形成され、もう一方の主面
上に電極391、電極393、及び電極395から成る
一次側電極がそれぞれ形成される。電極390、及び電
極391のそれぞれの中心線は、矩形板389の中心線
398と実質的に一致するように形成されている。電極
390と電極391、電極392と電極393、及び電
極394と電極395は、それぞれ矩形板389の厚さ
方向に互いに対向して形成されている。矩形板389の
長さ方向の2つの端面には、二次側(出力側)電極とし
て、電極396、及び電極397が形成されている。電
極390、電極391、電極392、電極393、電極
394、電極395、電極396、及び電極397は、
銀、ニッケル、または金等の金属等から成り、蒸着、ス
パッタ、印刷、またはメッキ等の工法により形成され
る。
【0138】図16、及び図17において、圧電トラン
ス400は、圧電材料から成る矩形板402で構成され
る。矩形板402の長さ方向の中央付近には、矩形板4
02の長さ方向と厚さ方向に複数の電極から成る一次側
(入力側)電極が形成されている。これは、矩形板40
2の厚さ方向に、圧電セラミック等の圧電材料から成る
圧電体層と金属材料等から成る内部電極層とが交互に重
ね合わされた積層構造である。図16において、矩形板
402の厚さ方向に垂直な面である一方の主面上には、
電極500、電極510、及び電極520がそれぞれ形
成され、矩形板402のもう一方の主面上には電極50
1、電極511、及び電極521がそれぞれ形成され
る。図17に示しているように、矩形板402の厚さ方
向に垂直な面である2つの主面に対向する一次側電極間
には、5つの圧電体層と4つの電極層が存在する。更
に、矩形板402の内部には、電極502、電極50
3、電極504、電極505、電極512、電極51
3、電極514、電極515、電極522、電極52
3、電極524、及び電極525が形成される。電極5
00、電極501、電極502、電極503、電極50
4、及び電極505は、矩形板402の厚さ方向に互い
に対向する。同様に、電極510、電極511、電極5
12、電極513、電極514、及び電極515も、矩
形板402の厚さ方向に互いに対向する。また、電極5
20、電極521、電極522、電極523、電極52
4、及び電極525も、矩形板402の厚さ方向に互い
に対向する。電極500、及び電極501のそれぞれの
中心線は、矩形板402の中心線419と実質的に一致
するように形成されている。矩形402の長さ方向の2
つの端面には、二次側(出力側)電極として、電極41
6、及び電極417が形成されている。電極500、電
極501、電極510、電極511、電極520、電極
521、電極416、及び電極417は、銀、ニッケ
ル、または金等の金属等から成り、蒸着、スパッタ、印
刷、またはメッキ等の工法により形成される。
【0139】図17に示すように、本実施の形態の圧電
トランス400において、矩形板402の内部電極は、
それぞれその一部が矩形板402の幅方向の一方の端面
に露出する。また、電極502と電極504、電極50
3と電極505、電極512と電極514、電極513
と電極515、電極522と電極524、及び電極52
3と電極525は、それぞれの一部が、矩形板402の
幅方向の端面に、矩形板402の長さ方向に異なる領域
に露出する。従って、電極500、電極501、電極5
02、電極503、電極504、及び電極505が、矩
形板402の厚さ方向に対向して形成されていても、電
極500と電極501の形状を、図17に示すように、
矩形板402の幅方向の端面まで延びた形状にすること
により、矩形板402の表面に形成された電極500と
内部電極である電極502と電極504とを電気的に接
続し、更に、それと独立して同一端面上で、矩形板40
2の表面に形成された電極501と内部電極である電極
503と電極505とを電気的に接続できる。同様に、
電極510、電極512、及び電極514が電気的に接
続され、同一端面上で、電極511、電極513、及び
電極515が電気的に接続される。また、電極520、
電極522、及び電極524が電気的に接続され、同一
端面上で、電極521、電極523、及び電極525が
電気的に接続される。
【0140】本実施の形態の圧電トランス388、及び
圧電トランス400において、矩形板389、及び矩形
板402の幅方向の一方の端面だけに、一次側電極の両
極が形成されるので、外部と圧電トランスの一次側電極
との電気的接続が容易に実現できる。例えば、圧電トラ
ンスの製造工程において、一次側電極の電極取り出しを
リード線で行う場合、圧電トランスを回転させて2面で
接続するといった工程が不要になり、製造時間を短縮で
きる。
【0141】更に、本実施の形態の圧電トランス400
において、矩形板402の表面に形成された電極と矩形
板402の内部電極とは、矩形板402の幅方向の1つ
の端面だけで、電気的に接続できる。図17に示すよう
に、複数の圧電体層と電極層とから構成される積層構造
を有する場合には、矩形板402の内部の電極のうち接
続したい電極について、その電極の一部を幅方向の一方
の端面から露出させる構造にすると、矩形板402の表
面に形成された電極と矩形板402の内部にある電極と
の接続も1つの面だけでできる。
【0142】なお、実施の形態5で説明したように、本
実施の形態の圧電トランス388において、矩形板38
9の内部電極を矩形板388の幅方向の端面に露出させ
れば、矩形板388の主面上に電極を形成せずに、矩形
板389の内部電極のみを互いに接続することも可能で
ある。その場合であっても、外部と圧電トランスの一次
側電極との電気的接続が容易に実現できるといった効果
が得られる。
【0143】また、本実施の形態の圧電トランス388
において矩形板389の表面に形成される電極390、
電極391、電極392、電極393、電極394、及
び電極395の形状は、本発明の実施の形態1、及び実
施の形態2における圧電トランスの一次側電極の形状に
適用できる。その場合には、本実施の形態と同様に、矩
形板の幅方向の一方の端面に、一次側電極の両極が形成
されるので、外部と圧電トランスの一次側電極との電気
的接続が容易に実現できる。また、その場合には、それ
ぞれの実施の形態の圧電トランスにおける効果を保持し
つつ、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0144】本実施の形態で述べられたような矩形板4
02の表面に形成される電極と矩形板402の内部電極
との接続は、矩形板の表面に形成される電極の形状を変
化させ、矩形板の内部電極を矩形板の一方の端面に露出
させることで、本発明の実施の形態3、及び実施の形態
4の圧電トランスに適用できる。また、その場合には、
それぞれの実施の形態の圧電トランスにおける効果を保
持しつつ、本実施の形態と同様の効果を得ることができ
る。
【0145】(実施の形態7)図18の(1)は、本発
明の実施の形態7における3λ/2振動モードの圧電ト
ランスの側面図である。圧電トランス440は、圧電材
料から成る矩形板442で構成される。矩形板442の
厚さ方向に垂直な面である2つの主面には、一次側(入
力側)電極が形成される。この2つの主面のうち、一方
の主面上に電極443、電極445、及び電極447か
ら成る一次側電極が形成され、もう一方の主面上に電極
444、電極446、及び電極448から成る一次側電
極が形成される。また、電極443、及び電極444の
それぞれの中心線は、矩形板442の中心線と実質的に
一致するように形成されている。電極443と電極44
4、電極445と電極446、及び電極447と電極4
48は、それぞれ矩形板442の厚さ方向に互いに対向
して形成されている。矩形板442の長さ方向の2つの
端面には、二次側(出力側)電極として、電極456と
電極457が形成されている。電極443、電極44
4、電極445、電極446、電極447、電極44
8、電極456、及び電極457は、銀、ニッケル、ま
たは金等の金属等から成り、蒸着、スパッタ、印刷、ま
たはメッキ等の工法により形成される。
【0146】本実施の形態では、図18の(1)に示さ
れるように、矩形板442の長さ方向において、電極4
43、電極444のそれぞれの長さ(L)は、矩形板
442の長さ(L)の1/3である(L=L/3)。
また、電極445と電極446、及び電極447と電極
448は、矩形板442の長さ方向の中心に関して対称
に形成される。また、電極445、及び電極446の長
さを、それぞれL、電極447、及び電極448の長
さを、それぞれLとすると、L=Lが成り立つ。
【0147】更に、図18の(1)において、矩形板4
42上に示した矢印は、矩形板442の材質がチタン酸
ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックの場合は、
分極の向きを示し、圧電性結晶の場合は、c軸配向の向
きを示す。矩形板442が圧電セラミックの場合、電極
443と電極444との間、電極445と電極446と
の間、及び電極447と電極448との間は、矩形板4
42の厚さ方向に分極され、電極443、電極444間
の厚さ方向の分極方向と、電極445、電極446間、
及び電極447、電極448間の厚さ方向の分極方向と
が異なる。また、電極445、電極446と電極456
との間、及び電極447、電極448と電極457との
間は、矩形板442の長さ方向に分極され、それらの分
極の向きは、矩形板442の長さ方向に異なる。分極処
理は、それぞれの領域に、適切な直流高電圧を印加する
ことによってなされる。
【0148】次に、圧電トランス440の動作について
説明する。図18の(1)において、一方の一次側電極
である電極443、電極445、及び電極447は、電
気的に接続されて端子Aに接続される。また、もう一方
の一次側電極である電極444、電極446、及び電極
448は、電気的に接続され共通電極として端子B、及
び端子Dに接続される。更に、二次側電極である電極4
56、及び電極457は、電気的に接続されて端子Cに
接続される。ここで、端子Aと端子Bとの間に、周波数
が矩形板442の長さ方向に伸縮する機械的振動を起こ
す共振周波数近傍の交流電圧(入力電圧)を印加する
と、圧電トランス440は長さ方向に伸縮する機械的振
動を励振する。励振された機械的振動は、圧電効果によ
って電圧に変換され、一次側電極と二次側電極とのイン
ピーダンス比に応じた高電圧を、出力電圧として端子C
D間で取り出すことができる。
【0149】図18の(2)は、圧電トランス440
が、長さ方向に3/2波長の伸縮振動をしている時のあ
る時点での長さ方向の変位分布を示す。ここで、横軸
は、圧電トランス440の長さ方向の位置を示す。縦軸
は、ある瞬間の圧電トランス440の機械的振動による
長さ方向の変位を示し、+の方向には圧電トランス44
0の長さ方向右側への変位を示し、−の方向には長さ方
向左側への変位を示す。更に、圧電トランス440が図
18の(2)に示す変位分布である時の振動により矩形
板442に誘起される電荷分布を、図18の(3)に示
す。図18の(3)において、横軸は、圧電トランス4
40の長さ方向の位置を示す。縦軸は、振動により誘起
される電荷の正負の極性と電荷量を示す。
【0150】圧電トランス440は、矩形板442の長
さ方向に3/2波長の振動を励振するため、一次側電極
を構成する矩形板442の中央部の電極443、電極4
44のそれぞれの長さを長くしすぎると、駆動効率が低
下する。図19の(1)は、電極443、電極444の
それぞれの長さが、矩形板442の長さの1/3より長
い場合の圧電トランス440の側面図である。図19の
(2)は、振動により誘起される電荷分布を示す。図1
9の(2)において、横軸は、圧電トランス440の長
さ方向の位置を示し、縦軸は、振動により矩形板442
に誘起される電荷の正負の極性と電荷量を示す。図19
の(3)は、矩形板442に図19の(2)に示す電荷
分布が誘起される時に圧電トランス440に励振される
機械的振動の長さ方向の変位分布を示している。図19
の(3)において、横軸は、圧電トランス440の長さ
方向の位置を示す。縦軸は、圧電トランス440の機械
的振動による長さ方向の変位を示し、+の方向には圧電
トランス440の長さ方向右側への変位を示し、−の方
向には長さ方向左側への変位をそれぞれ示している。こ
の場合には、電極443、電極444のそれぞれの長さ
が、誘起される電荷の極性が変わる点を越える。よっ
て、図19の(2)に示すように、電極443、電極4
44間の二次側電極側には、中央部とは極性が逆の電荷
が発生することで電荷の打ち消し合いが起こり、図19
の(3)に示すように、励振により誘起された電荷が打
ち消し合った分だけ振動による変位が小さくなる。
【0151】一方、図18に示すように電極443、電
極444のそれぞれの長さを、矩形板442の長さの1
/3以下に設定すれば、図18の(3)に示すように、
電極443、電極444間には同じ極性の電荷しか発生
しない。つまり、圧電トランス440の一次側電極が、
図19の(1)に示す構成よりも、図18の(1)に示
す構成の方が、同じ電力を入力した場合に変位が小さく
ならないので、圧電トランスの駆動効率が高くなる。
【0152】また、矩形板442の長さ方向に3/2波
長の振動モードを励振させた時に誘起される電荷の極性
が、一次側電極の中央部にある電極である電極443、
電極444が、電極445と電極446、及び電極44
7と電極448に対して逆になる位置に設置され、か
つ、矩形板442の分極方向が、電極443、電極44
4間に対して、電極445、電極446間、及び電極4
47、電極448間では、矩形板442の厚さ方向で異
なる方向に分極されているので、等価的に一次側電極の
面積が大きくとれる。よって、一次側電極の実効的電気
機械結合係数k ffを従来の圧電トランスよりも大き
くすることができ、圧電トランスが単位体積当たりに扱
うことができる電力を大きくすることができる。
【0153】また、本実施の形態の圧電トランス440
において、電極445、電極446、電極447、及び
電極448のそれぞれの長さを等しくすることにより、
一次側電極のインピーダンスを矩形板442の中心に関
して対称に設定できる。よって、二次側電極である電極
456、電極457の容量、及びインピーダンスを等し
くできる。この場合、二次側(出力側)の端子C、及び
端子Dに接続した冷陰極管等の負荷に対して、2つの二
次側電極である電極456、電極457に同じ割合で負
荷がかかるので、安定した圧電トランスの駆動ができ、
駆動効率の劣化を抑制できる。
【0154】尚、図18において、矩形板442におけ
る一次側電極を構成する電極443、電極444間の分
極方向と、電極445、電極446間、及び電極44
7、電極448間の分極方向が、矩形板442の厚さ方
向で異なる場合について説明したが、分極方向が同じ場
合でも、電極443、電極446、及び電極448を電
気的に接続し、電極444、電極445、及び電極44
7を電気的に接続して、一次側電極を構成すれば同様の
効果を得ることができる。また、二次側電極近傍におけ
る分極の向きは、図18に示した方向に限らない。矩形
板440の長さ方向の分極の向きが互いに異なれば、以
上説明した内容と同様の効果を得ることができる。
【0155】また、図18の(1)において、一次側電
極である電極444、電極446、及び電極448を共
通電極として説明したが、一次側電極である電極44
3、電極445、及び電極447を共通電極としても、
以上説明した内容と同様の効果を得ることができる。
【0156】本実施の形態は、一次側電極について、矩
形板の厚さ方向に垂直な2つの主面の中央部に形成され
る電極、及びその2つの電極で厚さ方向に挟まれている
内部電極のそれぞれの長さを、矩形板の長さの1/3以
下に設定し、その矩形板の中央部に形成された電極に対
して、矩形板の長さ方向に隣接した電極を、矩形板の長
さ方向の中心に関して対称に形成することによって、一
次側電極が圧電体層と電極層とから成る積層構造である
場合にも適用できる。よって、本発明の実施の形態3、
及び実施の形態4の圧電トランスにも適用しても、それ
ぞれの実施の形態の圧電トランスにおける効果を保持し
つつ、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0157】また、本実施の形態は、矩形板における一
次側電極を構成する電極について、中央の電極のそれぞ
れの長さが1/3以下であって、中央の電極に矩形板の
長さ方向に隣接する電極が、矩形板の長さ方向の中心に
関して対称であればよく、一次側電極の形状によらな
い。よって、本発明の実施の形態5、及び実施の形態6
の圧電トランスに適用しても、それぞれの実施の形態の
圧電トランスにおける効果を保持しつつ、本実施の形態
と同様の効果を得ることができる。
【0158】(実施の形態8)図20は、本発明の実施
の形態8における3λ/2振動モードの圧電トランスの
斜視図である。図20において、圧電トランス460
は、圧電材料から成る矩形板462で構成される。矩形
板462の厚さ方向に垂直な面である2つの主面には、
一次側(入力側)電極が形成される。この2つの主面の
うち、一方の主面上には電極463、電極465、及び
電極467から成る一次側電極が形成され、もう一方の
主面上には電極464、電極466、及び電極468か
ら成る一次側電極がそれぞれ形成される。電極463、
及び電極464のそれぞれの中心線は、矩形板462の
中心線479と実質的に一致するように形成されてい
る。電極463と電極464、電極465と電極46
6、及び電極467と電極468は、それぞれ矩形板4
62の厚さ方向に互いに対向して形成される。
【0159】本実施の形態において、二次側(出力側)
電極は、電極476、及び電極477として、矩形板4
62の長さ方向の2つの端面近傍で、矩形板462の厚
さ方向に垂直な面である主面のうちの一方の主面上に形
成されている。電極463、電極464、電極465、
電極466、電極467、電極468、電極476及び
電極477は、銀、ニッケル、または金等の金属等から
成り、蒸着、スパッタ、印刷、またはメッキ等の工法に
より形成される。
【0160】本実施の形態の圧電トランス480におい
て、二次側電極は、一次側電極が形成される一方の面と
同一平面上に形成される。よって、圧電トランスの製造
時に、2度の工程で一次側電極と二次側電極とを形成で
きる。つまり、二次側電極を一次側電極と同一平面上に
形成することにより、製造工程を削減し、所要時間の短
縮を図ることができる。
【0161】尚、図20において、二次側電極は、一次
側電極を構成する電極463等と同一面上に形成してい
るが、一次側電極を構成する電極464等と同一面上に
形成しても、同様の効果を得ることができる。
【0162】本実施の形態の二次側電極の構造は、二次
側電極を、一次側電極が形成される一方の主面と同一平
面上に形成することにより、これまで述べたそれぞれの
実施の形態における圧電トランスに適用できる。また、
その場合には、それぞれの実施の形態の圧電トランスに
おける効果を保持しつつ、本実施の形態と同様の効果を
得ることができる。
【0163】(実施の形態9)図21は、本発明の実施
の形態9における3λ/2振動モードの圧電トランスの
斜視図である。図21において、圧電トランス480
は、圧電材料から成る矩形板482で構成される。矩形
板482の厚さ方向に垂直な面である2つの主面には、
一次側(入力側)電極が形成される。この2つの主面の
うち、一方の主面上には電極483、電極485、及び
電極487から成る一次側電極が形成され、もう一方の
主面上には電極484、電極486、及び電極488か
ら成る一次側電極がそれぞれ形成される。電極483、
及び電極484のそれぞれの中心線は、矩形板482の
中心線499と実質的に一致するように形成されてい
る。電極483と電極484、電極485と電極48
6、及び電極487と電極488は、それぞれ矩形板4
82の厚さ方向に互いに対向して形成されている。矩形
板482の長さ方向の2つの端面には、二次側(出力
側)電極として、電極496、及び電極497が形成さ
れている。電極483、電極484、電極485、電極
486、電極487、電極488、電極496、及び電
極497は、銀、ニッケル、または金等の金属等から成
り、蒸着、スパッタ、印刷、またはメッキ等の工法によ
り形成される。
【0164】更に、本実施の形態においては、圧電トラ
ンス480を支持する支持台600が提供される。この
支持台600は、1つの主面上に支持部602、60
4、及び606を備えている。
【0165】図22の(1)は、本実施の形態の圧電ト
ランス480と支持台600の側面図である。例えば、
図22の(1)において、矩形板482を矢印で示され
る方向に分極し、一方の一次側電極である電極483、
電極485、及び電極487を、電気的に接続して端子
Aに接続し、もう一方の一次側電極である電極484、
電極486、及び電極488を、電気的に接続して共通
電極として端子B、及び端子Dに接続する。更に、二次
側電極である電極496、及び電極497は、電気的に
接続して端子Cに接続する。ここで、端子Aと端子Bと
の間に、周波数が矩形板482の長さ方向に伸縮する機
械的振動を起こす共振周波数近傍の交流電圧(入力電
圧)を印加すると、圧電トランス480は長さ方向に伸
縮する機械的振動を励振する。
【0166】図22の(2)は、圧電トランス480
が、長さ方向に3/2波長の伸縮振動をしている時のあ
る時点での長さ方向の変位分布を示す。ここで、横軸
は、圧電トランス480の長さ方向の位置を示す。縦軸
は、ある瞬間の圧電トランス480の機械的振動による
長さ方向の変位を示し、+の方向には圧電トランス48
0の長さ方向右側への変位を示し、−の方向には長さ方
向左側への変位を示す。
【0167】本実施の形態において、支持台600上に
構成されている3つの支持部は、図22の(1)に示す
ように、矩形板480に励振する3λ/2振動モードの
節部で圧電トランス480を支持している。よって、支
持台600は、振動を阻害することなく圧電トランスの
支持固定を行うことができる。更に、3つの支持部を電
気的に導通がとれるように設定すれば、圧電トランスの
一次側電極との接続が実現され、一次側電極に電力を供
給することができる。
【0168】尚、図22の(1)に示した分極方向しか
本発明の実施の形態による効果が表れないわけではな
く、矩形板482における厚さ方向の分極方向が、矩形
板482の厚さ方向に全て同じであってもよい。その場
合には、電極483、電極486、及び電極488を電
気的に接続して一方の一次側電極を構成し、電極48
4、電極485、及び電極487を電気的に接続しても
う一方の一次側電極を構成すれば、同様の効果を得るこ
とができる。
【0169】本実施の形態は、振動の節部で圧電トラン
スを支持し、かつ一次側電極に接触できれば、これまで
述べたそれぞれの実施の形態における圧電トランスに適
用できる。また、その場合には、それぞれの実施の形態
の圧電トランスにおける効果を保持しつつ、本実施の形
態と同様の効果を得ることができる。
【0170】(実施の形態10)図23は、本発明の実
施の形態10における3λ/2振動モードの圧電トラン
スの斜視図である。図24は、図23に示した圧電トラ
ンスの側面図であり、図25は圧電トランスの二次側に
冷陰極管を接続した場合を示す図である。また、図26
は本発明の実施の形態10におけるもう1つの実施例で
ある圧電トランスの斜視図、図27は図26に示した圧
電トランスの側面図である。
【0171】図23から図27において、圧電トランス
700は、圧電材料から成る矩形板702で構成され
る。矩形板702の厚さ方向に垂直な面である2つの主
面には、一次側(入力側)電極が形成される。この2つ
の主面のうち、一方の主面上には電極703、電極70
5、及び電極707から成る一次側電極が形成され、も
う一方の主面上には電極704、電極706、及び電極
708から成る一次側電極がそれぞれ形成される。ま
た、電極703、及び電極704のそれぞれの中心線
は、矩形板702の中心線719と実質的に一致するよ
うに形成されている。電極703と電極704、電極7
05と電極706、及び電極707と電極708は、そ
れぞれ矩形板702の厚さ方向に互いに対向して形成さ
れている。矩形板702の長さ方向の2つの端面には、
二次側(出力側)電極として、電極716、及び電極7
17が形成されている。電極703、電極704、電極
705、電極706、電極707、電極708、電極7
16、及び電極717は、銀、ニッケル、または金等の
金属等から成り、蒸着、スパッタ、印刷、またはメッキ
等の工法により形成される。
【0172】更に、図23から図27において、矩形板
702に示した矢印は、矩形板702の材質がチタン酸
ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックである場合
には、あらかじめ分極された向きを示し、圧電性結晶で
ある場合には、c軸配向の向きを示す。図23から図2
7において、矩形板702の材質が圧電セラミックの場
合、電極703と電極704との間、電極705と電極
706との間、及び電極707と電極708との間で
は、矩形板702の厚さ方向に分極される。そして、一
次側電極を構成する各電極間における矩形板702の厚
さ方向の分極の向きは、図23から図25において、電
極703、電極704間の厚さ方向の分極の向きと、電
極705、電極706間、及び電極707、電極708
間の厚さ方向の分極の向きとでは異なる。一方、図2
6、及び図27において、電極703、電極704間、
電極705、電極706間、及び電極707、電極70
8間の厚さ方向の分極の向きは等しい。
【0173】本実施の形態における圧電トランス700
において、電極705、電極706と電極716との
間、及び電極707、電極708と電極717との間の
分極方向は、矩形板702の長さ方向に分極され、その
向きは矩形板702の長さ方向に同じである。
【0174】次に、圧電トランス700の動作について
説明する。図24は、図23に示した圧電トランスの側
面図である。図24において、一方の一次側電極である
電極703、電極705、及び電極707は、電気的に
接続されて端子Aに接続される。また、もう一方の一次
側電極である電極704、電極706、及び電極708
は、電気的に接続され共通電極として端子Bに接続され
る。更に、二次側電極である電極716は、電気的に接
続されて端子Dに、電極717は、電気的に接続されて
端子Cに接続される。ここで、端子Aと端子Bとの間
に、周波数が矩形板702の長さ方向に伸縮する機械的
振動を起こす共振周波数近傍の交流電圧(入力電圧)を
印加すると、圧電トランス700は長さ方向に伸縮する
機械的振動を励振する。励振された機械的振動は、圧電
効果によって電圧に変換され、一次側電極と二次側電極
とのインピーダンス比に応じた高電圧を、出力電圧とし
て端子CD間で取り出すことができる。
【0175】本実施の形態の圧電トランス700におい
て、二次側電極近傍の分極方向は、矩形板702の長さ
方向に同じ向きに設定している。これにより、二次側電
極近傍の分極の割合が等しく、インピーダンスが等しい
とき、二次側電極である電極716、及び電極717か
らの出力電圧は、振幅が等しく、位相が180度異な
る。
【0176】従って、圧電トランス700の出力側であ
る端子C、端子D間に負荷を接続すると、本発明の実施
の形態1における圧電トランス200等のように、二次
側電極近傍の分極方向を矩形板の長さ方向に異なる向き
に設定し、かつ二次側電極を電気的に接続した場合に比
べて、接続した負荷に供給する電力が同じ場合、圧電ト
ランス700にかかる機械的な負担は、圧電トランス2
00等と同じであるが、圧電トランス700の2つの二
次側電極それぞれからの出力電圧の振幅は1/2倍に、
出力電流の振幅は2倍となる。
【0177】例えば、図25に示すように、二次側電極
に2つの冷陰極管800を直列に接続した場合、接続し
た2つの冷陰極管800の両端の電位差Voutに対し
て、電極716と電極717の出力電圧の位相は互いに
180度異なり、振幅はそれぞれVout/2となる。
従って、圧電トランス700の二次側電極と、冷陰極管
との接続に関わる配線、端子等の耐電圧レベルを小さく
設定することができ、また高電圧の配線と他の部分との
距離により発生する絶縁破壊に対しても、電圧の振幅が
小さい分だけ、近接させることができる。
【0178】図23から図25において、圧電トランス
700の一次側電極を構成する電極703、電極704
間の分極方向と、一次側電極を構成する他の電極間の分
極方向が、矩形板702の厚さ方向に異なる場合につい
て説明したが、図26、及び図27に示すように、圧電
トランス700の一次側電極を構成する各電極間で、分
極方向が矩形板702の厚さ方向にすべて同じ場合で
も、電極703、電極706、及び電極708を電気的
に接続し、電極704、電極705、及び電極707を
電気的に接続して構成すれば同様の効果を得ることがで
きる。また、圧電トランス700の二次側電極近傍の分
極の向きは、図23から図27に示すような方向に限ら
ない。二次側電極近傍の分極の向きが、矩形板の長さ方
向に等しければ、圧電トランス700における分極の向
きと反対であっても、本実施の形態と同様の効果を得る
ことができる。
【0179】本実施の形態における圧電トランスは、二
次側電極近傍の分極の向きを矩形板の長さ方向に同じ向
きに設定することにより、2つの二次側電極から、同じ
振幅で位相が180度互いに異なる電圧を出力すること
ができる。その場合、それぞれの実施の形態の圧電トラ
ンスにおける効果を保持しつつ、本実施の形態と同様の
効果を得ることができる。
【0180】(実施の形態11)図28は、本発明によ
る圧電トランスを用いた昇圧回路の構成の一例を示すブ
ロック図である。昇圧回路は、可変発振回路902、駆
動回路904、スイッチング回路906、圧電トランス
908、負荷910、信号検出回路912、及び制御回
路914から成る。可変発振回路902により周波数信
号を発生させ、駆動回路904とスイッチング回路90
6とにより、圧電トランス908の駆動信号を作る。圧
電トランス908の二次側(出力側)電極に接続した負
荷910に対する電圧変化に応じて、圧電トランス90
8を安定して駆動できるように、信号検出回路912に
よって検出された信号に応じて、制御回路914によ
り、可変発振回路902、駆動回路904を介して、圧
電トランス908が制御される。
【0181】圧電トランスを昇圧用インバータ回路に用
いると、従来の電磁方式のトランスに比べて、圧電方式
のトランスは駆動効率が高いことから、電磁方式のトラ
ンスを用いた昇圧回路に比べて回路効率の高い回路を実
現できる。また、圧電方式のトランスは、電磁方式のト
ランスよりも単位体積当たりに扱うことができる電気エ
ネルギーが大きいので体積が小さく、更に、圧電トラン
スが矩形板の長さ振動を用いているため、その形状から
昇圧回路の薄型化にも有利である。その上、本発明によ
る圧電トランスでは、3λ/2振動モードを用いている
ので、従来のλ/2振動モードや、λ振動モードを用い
た同形状の圧電トランスよりも内部応力や歪みの最大値
が小さくて、大きな電力を扱うことができる。
【0182】(実施の形態12)図29は、本発明によ
る圧電トランスを用いた冷陰極管発光装置の構成の一例
を示すブロック図である。冷陰極管発光装置は、可変発
振回路922、駆動回路924、スイッチング回路92
6、圧電トランス928、冷陰極管930、信号検出回
路932、及び制御回路934から成る。可変発振回路
922により周波数信号を発生させ、駆動回路924と
スイッチング回路926とにより、圧電トランス928
の駆動信号を作る。圧電トランス928の二次側(出力
側)電極に接続した冷陰極管930に流れる電流変化に
応じて、圧電トランス928を安定して駆動できるよう
に、信号検出回路912によって検出された電流に応じ
て、制御回路934により、可変発振回路922、駆動
回路924を介して、圧電トランス928が制御され
る。
【0183】(実施の形態13)図30は、図29に示
す冷陰極管発光装置を組み込んだ液晶パネルの模式図で
ある。液晶パネル940は、圧電トランスインバータ回
路942と冷陰極管944とから成る冷陰極管発光装置
によって、液晶パネル用発光装置を構成できる。
【0184】従来の電磁方式のトランスでは、冷陰極管
の点灯開始時の高電圧を常に出力しておかなければなら
ない。しかし、本発明による圧電トランスを用いること
により、冷陰極管の点灯開始時と点灯時の負荷変動に応
じて、圧電トランスの出力電圧が変化するため、液晶デ
ィスプレイや液晶モニタに存在する別の回路系への悪影
響が少ない。また、圧電トランスから冷陰極管への出力
電圧がほぼ正弦波であるため、冷陰極管の点灯に寄与し
ない不要な周波数成分も少ない。
【0185】また、圧電方式のトランスは、電磁方式の
トランスよりも単位体積当たりに扱うことができる電気
エネルギーが大きいので体積が小さく、更に、圧電方式
のトランスが矩形板の長さ振動を用いているため、その
形状から薄型化にも有利である。よって、液晶ディスプ
レイや、液晶モニタの縁部等の狭い場所にも搭載でき
る。その上、本発明による圧電トランスでは、3λ/2
振動モードを用いているので、従来のλ/2振動モード
や、λ振動モードを用いた同形状の圧電トランスよりも
内部応力や歪みの最大値が小さくて、大きな電力を扱う
ことができる。
【0186】
【発明の効果】本発明によれば、圧電トランスに励振す
る振動により発生する内部応力や歪みが大きい部分と、
分極の向きが不連続な部分とがずれていることによっ
て、機械的な強度が弱い部分に、通常の動作時には大き
な応力や歪みはかからず、大きな電力を扱うことができ
る。また、3λ/2振動モードを用いることで、機械的
振動振幅を小さくして弾性歪みを抑制し、かつ駆動周波
数を高くすることで、一度の振動で扱う電力は小さくし
て振動回数を増やすことで大きな電力を扱うことができ
る。更に、二次側のインピーダンスが低いので電流を流
しやすい構造である。
【0187】また、本発明によれば、分極の向きが不連
続な部分が少なく、機械的強度が高く信頼性を向上させ
ることができるので、大きな電力を扱うことができる。
【0188】また、本発明によれば、一次側電極が圧電
体層と電極層から成る積層構造であるため、一次側電極
の容量を大きくとることができるので、昇圧比を大きく
とることができる。
【0189】また、本発明によれば、一次側電極を構成
する矩形板内部の電極が、矩形板の幅方向の一方の端面
にのみ露出していることで、矩形板の厚さ方向に垂直な
2つの主面上に構成された電極と、内部に構成された電
極との電気的接続を容易に実現することができる。
【0190】また、本発明によれば、一次側電極と外部
端子との接続を、矩形板の幅方向の一つの面だけで行う
ことができるので、製造工程数を削減し、所要時間を短
縮することができる。
【0191】また、本発明によれば、一次側電極を構成
する電極について、矩形板の中央部に設置される電極を
長さ方向に挟む2つの電極の長さを等しくすることで、
一次側電極のインピーダンスを矩形板の中心から対称に
設定することができる上に、二次側電極のインピーダン
スを等しくできることから、2つの二次側電極に同じ割
合で負荷がかかるため、安定した駆動ができ、駆動効率
の劣化を抑制することができる。
【0192】また、本発明によれば、矩形板の主面上に
一次側電極と二次側電極を構成することにより、製造工
程、所要時間の短縮を図ることができる。
【0193】また、本発明によれば、圧電トランスに励
振する3λ/2振動モードの節部で支持固定を行い、か
つ支持固定と、一次側電極と外部端子との電気的な接続
とを兼ねていることで、振動阻害が少なく確実に支持固
定と、一次側電極と外部端子との電気的な接続をするこ
とができる。
【0194】また、本発明によれば、二次側電極近傍の
分極方向を矩形板の長さ方向に同じ向きに設定すること
で、2つの二次側電極から同じ振幅で、位相が180度
異なる電圧を出力することができる。
【0195】また、本発明によれば、従来の電磁方式の
トランスを用いた昇圧回路に比べて、小型、薄型で回路
効率の高い昇圧回路を実現することができる。
【0196】また、本発明によれば、別の回路系への悪
影響が少なく、冷陰極管の点灯に寄与しない不要な周波
数成分も少ない液晶パネル、及び液晶パネルを搭載した
機器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による実施の形態1の圧電トランスの
斜視図。
【図2】 図1の圧電トランスの(1)側面図、(2)
変位分布図、(3)応力分布図、(4)電荷分布図。
【図3】 従来の圧電トランスと、一次側電極の長さに
対する実効的電気機械結合係数の変化を示す図。
【図4】 本発明による実施の形態1の圧電トランス
と、一次側電極の長さに対する実効的電気機械結合係数
の変化を示す図。
【図5】 本発明による第1の実施の形態の圧電トラン
スと、従来の圧電トランスとのインピーダンスを比較し
た図。
【図6】 本発明による実施の形態2の圧電トランスの
斜視図。
【図7】 図6の圧電トランスの(1)側面図、(2)
変位分布図、(3)応力分布図、(4)電荷分布図。
【図8】 本発明による実施の形態3の圧電トランスの
斜視図。
【図9】 図8の圧電トランスの(1)側面図、(2)
変位分布図、(3)応力分布図、(4)電荷分布図。
【図10】 本発明による実施の形態4の圧電トランス
の斜視図。
【図11】 図10の圧電トランスの(1)側面図、
(2)変位分布図、(3)応力分布図、(4)電荷分布
図。
【図12】 本発明による実施の形態5の圧電トランス
の(1)斜視図、(2)幅方向断面図、(3)本発明に
よる実施の形態5の圧電トランスの変形例の幅方向断面
図。
【図13】 図12の(1)の圧電トランスの側面図。
【図14】 図12の(1)の圧電トランスの他の実施
例を示す側面図。
【図15】 本発明による実施の形態6の圧電トランス
の斜視図。
【図16】 本発明による実施の形態6の圧電トランス
のもう1つの実施例を示す斜視図。
【図17】 図16の圧電トランスの電極接続を示す斜
視図。
【図18】 本発明による実施の形態7の圧電トランス
の(1)側面図、(2)変位分布図、(3)電荷分布
図。
【図19】 本発明による実施の形態7の別の例である
圧電トランスの(1)側面図、(2)電荷分布図、
(3)変位分布図。
【図20】 本発明による実施の形態8の圧電トランス
の斜視図。
【図21】 本発明による実施の形態9の圧電トランス
の斜視図。
【図22】 図21の圧電トランスの(1)側面図、
(2)変位分布図。
【図23】 本発明による実施の形態10の圧電トラン
スの斜視図。
【図24】 図23の圧電トランスの側面図。
【図25】 本発明による実施の形態10の圧電トラン
スに冷陰極管を接続した側面図。
【図26】 本発明による実施の形態10の圧電トラン
スのもう1つの例を示す斜視図。
【図27】 図26の圧電トランスの側面図。
【図28】 本発明による圧電トランスを用いた昇圧回
路の構成を示すブロック図。
【図29】 本発明による圧電トランスを用いた冷陰極
管発光装置の構成を示すブロック図。
【図30】 図29の冷陰極管発光装置を用いた液晶パ
ネルを示す図。
【図31】 従来の一出力のλ/2振動モードの圧電ト
ランスの斜視図。
【図32】 図31の圧電トランスの(1)側面図、
(2)変位分布図、(3)応力分布図、(4)電荷分布
図。
【図33】 従来の二出力のλ/2振動モードの圧電ト
ランスの斜視図。
【図34】 図33の圧電トランスの(1)側面図、
(2)変位分布図、(3)応力分布図、(4)電荷分布
図。
【図35】 従来の一出力の3λ/2振動モードの圧電
トランスの斜視図。
【図36】 図35の圧電トランスの(1)側面図、
(2)変位分布図、(3)応力分布図、(4)電荷分布
図。
【図37】 図33の圧電トランスを3λ/2振動モー
ドで励振させた場合の(1)側面図、(2)電荷分布
図、(3)変位分布図。
【図38】 図37の圧電トランスにおいて、中央の電
極の長さを短くした場合の(1)側面図、(2)電荷分
布図、(3)変位分布図。
【符号の説明】
200、240 圧電トランス 202、242 矩形板 203、204、205、206、207、208、2
43、244、245、246、247、248 一次
側電極 216、217、256、257 二次側電極
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // H01J 61/56 H01L 41/08 A (72)発明者 山口 健 神奈川県横浜市港北区綱島東四丁目3番1 号 松下通信工業株式会社内 (72)発明者 奥山 浩二郎 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 守時 克典 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 3K072 AB03 AC02 AC11 BC05 CA16 DE02 DE04 5C039 BB17 BB25 5H007 AA06 BB03 CB02 CC32 HA01 5H730 AA14 AS11 BB21 BB61 ZZ16

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電材料から成る矩形板と、 前記矩形板上に形成された一次側電極、及び二次側電極
    とを備え、 前記一次側電極に交流電圧を印加して、前記矩形板に、
    前記矩形板の長さ方向に伸縮する2分の3波長相当の機
    械的振動を励振し、前記二次側電極から電圧を出力させ
    る圧電トランスであって、 前記一次側電極は、前記矩形板の厚さ方向に垂直な2つ
    の主面に前記矩形板を挟むように相対して形成された複
    数の電極対から成り、 前記二次側電極は、複数の電極から成ることを特徴とす
    る圧電トランス。
  2. 【請求項2】 前記一次側電極が、 前記矩形板の長さ方向を基準として中央部に形成される
    第1の電極対と、 前記矩形板の長さ方向を基準として前記第1の電極対に
    対して両側に、かつ、前記第1の電極対と隣接して形成
    される第2、及び第3の電極対とから成る請求項1に記
    載の圧電トランス。
  3. 【請求項3】 前記矩形板が圧電セラミック、または圧
    電単結晶から成り、前記矩形板において、前記第2、及
    び第3の電極対によって挟まれる領域における圧電セラ
    ミックの分極方向、または圧電単結晶のc軸方向が、前
    記矩形板の前記第1の電極対によって挟まれる領域にお
    ける分極方向、またはc軸方向と異なることを特徴とす
    る請求項2に記載の圧電トランス。
  4. 【請求項4】 前記矩形板が圧電セラミック、または圧
    電単結晶から成り、前記矩形板において、前記第1、第
    2、及び第3の電極対によって挟まれる領域における圧
    電セラミックの分極方向、または圧電単結晶のc軸方向
    が全て等しいことを特徴とする請求項2に記載の圧電ト
    ランス。
  5. 【請求項5】 前記二次側電極が、前記矩形板の長さ方
    向の2つの端部近傍に形成されることを特徴とする請求
    項1から請求項4のいずれかに記載の圧電トランス。
  6. 【請求項6】 圧電材料から成る矩形板と、 前記矩形板上に形成された一次側電極、及び二次側電極
    とを備え、 前記一次側電極に交流電圧を印加して、前記矩形板に、
    前記矩形板の長さ方向に伸縮する2分の3波長相当の機
    械的振動を励振し、前記二次側電極から電圧を出力させ
    る圧電トランスであって、 前記矩形板は、厚さ方向に積み重ねられた複数の圧電体
    層から成り、 前記一次側電極は、前記複数の圧電体層と複数の電極層
    とが、前記矩形板の厚さ方向に積み重ねられて形成さ
    れ、かつ長さ方向に複数の電極群から成り、 前記二次側電極は、前記矩形板の長さ方向の2つの端部
    近傍に形成されることを特徴とする圧電トランス。
  7. 【請求項7】 前記一次側電極が、 前記矩形板の長さ方向を基準として中央部に形成される
    第1の電極群と、 前記矩形板の長さ方向を基準として前記第1の電極群に
    対して両側に、かつ前記第1の電極群と隣接して形成さ
    れる第2、及び第3の電極群とから成る請求項6に記載
    の圧電トランス。
  8. 【請求項8】 前記矩形板内部の電極層の端部が、前記
    矩形板の幅方向の端面に露出し、前記矩形板内部の電極
    層が前記端面で電気的に接続されることを特徴とする請
    求項6、または請求項7に記載の圧電トランス。
  9. 【請求項9】 前記矩形板内部の電極層の端部が、前記
    矩形板の幅方向の一方の端面のみに露出し、前記矩形板
    内部の電極層が前記一方の端面のみで電気的に接続され
    ることを特徴とする請求項6、または請求項7に記載の
    圧電トランス。
  10. 【請求項10】 前記一次側電極のうち前記矩形板の厚
    さ方向に垂直な2つの主面上に形成される電極が、前記
    主面上から前記矩形板の幅方向の一方の端面上まで形成
    されることを特徴とする請求項1から請求項5、請求項
    8、及び請求項9のいずれかに記載の圧電トランス。
  11. 【請求項11】 前記二次側電極が、前記矩形板の長さ
    方向の2つの端部近傍に形成され、 前記矩形板の長さ方向において、前記第1の電極対、ま
    たは電極群における電極の長さが、前記矩形板の3分の
    1以下の長さであることを特徴とする請求項2から請求
    項5のいずれか、または、請求項7から請求項10のい
    ずれかに記載の圧電トランス。
  12. 【請求項12】 前記第1、第2、及び第3の電極対、
    または前記第1、第2、及び第3の電極群が、前記矩形
    板の長さ方向に垂直、かつ、前記の矩形板を長さ方向に
    2等分する中心線に関して、対称に形成されることを特
    徴とする請求項2から請求項5のいずれか、または、請
    求項7から請求項11のいずれかに記載の圧電トラン
    ス。
  13. 【請求項13】 前記第2、及び第3の電極対における
    電極の面積が、それぞれ、前記第1の電極対における電
    極の面積よりも小さく、前記第2、及び第3の電極群に
    おける電極の面積が、それぞれ、前記第1の電極群にお
    ける電極の面積よりも小さいことを特徴とする請求項2
    から請求項5のいずれか、または、請求項7から請求項
    12のいずれかに記載の圧電トランス。
  14. 【請求項14】 前記矩形板の幅方向において、前記第
    2、及び第3の電極対における電極の長さが、それぞ
    れ、前記第1の電極対における電極の長さと等しく、前
    記矩形板の幅方向において、前記第2、及び第3の電極
    群における電極の長さが、それぞれ、前記第1の電極群
    における電極の長さと等しく、 前記矩形板の長さ方向において、前記第2、及び第3の
    電極対における電極の長さが、それぞれ、前記第1の電
    極対における電極の長さの10%以上、かつ、100%
    未満であり、前記矩形板の長さ方向において、前記第
    2、及び第3の電極群における電極の長さが、それぞ
    れ、前記第1の電極群における電極の長さの10%以
    上、かつ、100%未満であることを特徴とする請求項
    13に記載の圧電トランス。
  15. 【請求項15】 前記二次側電極が、前記矩形板の長さ
    方向の2つの端部近傍に形成され、 前記矩形板が、圧電セラミック、または圧電単結晶から
    成り、 前記矩形板の前記二次側電極近傍において、圧電セラミ
    ックの分極方向、または圧電単結晶のc軸方向が、前記
    矩形板の長さ方向に等しいことを特徴とする請求項1か
    ら請求項14のいずれかに記載の圧電トランス。
  16. 【請求項16】 前記二次側電極が、前記一次側電極が
    形成された同じ面上に形成されることを特徴とする請求
    項1から請求項15のいずれかに記載の圧電トランス。
  17. 【請求項17】 前記二次側電極は、前記矩形板の長さ
    方向の2つの端部近傍に形成され、 前記圧電トランスの機械的振動の節部において、前記圧
    電トランスを固定し、かつ、電極に接触する導電性材料
    から成る支持部を備えた請求項1から請求項16のいず
    れかに記載の圧電トランス。
  18. 【請求項18】 請求項1から請求項17のいずれかに
    記載の圧電トランスと、 前記圧電トランスに入力電圧を供給する入力回路と、 前記圧電トランスの出力電圧を取り出す出力回路とを備
    える昇圧回路。
  19. 【請求項19】 請求項1から請求項17のいずれかに
    記載の圧電トランスと、 前記圧電トランスに入力電圧を供給する入力回路と、 前記圧電トランスの出力電圧を取り出す出力回路とを備
    え、 前記出力回路が冷陰極管を含むことを特徴とする冷陰極
    管発光装置。
  20. 【請求項20】 前記圧電トランスにおいて、矩形板の
    厚さ方向に垂直な2つの主面上に前記矩形板を挟んで対
    向するように形成された複数の一次側電極対に印加され
    る交流電圧の位相が、前記一次側電極対によって異なる
    ことを特徴とする請求項18に記載の昇圧回路。
  21. 【請求項21】 前記圧電トランスにおいて、矩形板の
    厚さ方向に垂直な2つの主面上に前記矩形板を挟んで対
    向するように形成された複数の一次側電極対に印加され
    る交流電圧の位相が、前記一次側電極対によって異なる
    ことを特徴とする請求項19に記載の冷陰極管発光装
    置。
  22. 【請求項22】 前記一次側電極対が、 前記矩形板の長さ方向を基準として中央部に形成される
    第1の電極対と、 前記矩形板の長さ方向を基準として前記第1の電極対に
    対して両側に、かつ、前記第1の電極対と隣接して形成
    される第2、及び第3の電極対とから成り、 前記第1の電極対に印加される交流電圧の位相が、前記
    第2、及び第3の電極対に印加される交流電圧の位相と
    180度異なることを特徴とする請求項20に記載の昇
    圧回路。
  23. 【請求項23】 前記一次側電極対が、 前記矩形板の長さ方向を基準として中央部に形成される
    第1の電極対と、 前記矩形板の長さ方向を基準として前記第1の電極対に
    対して両側に、かつ、前記第1の電極対と隣接して形成
    される第2、及び第3の電極対とから成り、 前記第1の電極対に印加される交流電圧の位相が、前記
    第2、及び第3の電極対に印加される交流電圧の位相と
    180度異なることを特徴とする請求項21に記載の冷
    陰極管発光装置。
  24. 【請求項24】 請求項19、請求項21、及び請求項
    23のいずれかに記載の冷陰極管発光装置を組み込んだ
    液晶パネル。
  25. 【請求項25】 請求項24に記載の液晶パネルを組み
    込んだ機器。
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