JP2003202357A - 絶縁監視方法および装置 - Google Patents

絶縁監視方法および装置

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JP2003202357A
JP2003202357A JP2002232870A JP2002232870A JP2003202357A JP 2003202357 A JP2003202357 A JP 2003202357A JP 2002232870 A JP2002232870 A JP 2002232870A JP 2002232870 A JP2002232870 A JP 2002232870A JP 2003202357 A JP2003202357 A JP 2003202357A
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insulation
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JP2002232870A
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Hiroyuki Maehara
宏之 前原
Toshihiro Fukami
敏浩 深海
Akio Takeda
昭夫 竹多
Hitoshi Kanewa
均 金輪
Noriyoshi Suga
紀善 須賀
Satoshi Shinoda
諭 篠田
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 注入用トランスのような付帯設備を必要とせ
ず、零相電流の計測のみで漏洩電流成分を精度よく抽出
して高い検出精度を実現する。 【解決手段】 絶縁監視を開始した初期状態において計
測した零相電流から、電源電圧を基準量として零相電流
の初期ベクトル量I01を算出し(初期状態の計測S1
01)、初期ベクトル量I01を記憶する(初期状態の
記憶S102)。初期状態を過ぎた後の通常状態におい
て計測した零相電流から、電源電圧を基準量として零相
電流の監視ベクトル量I02を算出する(通常状態の計
測S103)。監視ベクトル量I02と初期ベクトル量
I01の差ベクトル量I021を算出し、「差ベクトル量
I021の絶対値が絶縁不良検出値Ikより大きい」とい
うベクトル量判定条件に基づき絶縁不良の判定を行い
(絶縁不良の判定S104)、ベクトル量判定条件が成
立する場合に絶縁不良と判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自家用受変電設備
等の電気工作物に対する絶縁監視方法および装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、自家用受変電設備等の電気工作物
の低圧回路に対する絶縁監視方式としては、大きな分類
としてI0方式とIgr方式の2つの方式が適用されて
いる。このうち、I0方式とは、変圧器の接地線に設置
した零相変流器により零相電流I0のみを計測しこのI
0の大きさのみによって絶縁不良発生の有無を判定する
ものである。また、Igr方式とは、変圧器の接地線に
設置した注入用トランスにより、系統側周波数と異なる
周波数成分の監視用信号を系統側に印加し、変圧器の接
地線に設置された零相変流器により前記監視用信号成分
を計測することによって絶縁不良発生の有無を判定する
ものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、電気設備に
おける零相電流は、理想的には絶縁不良を含む地絡現象
が生じない限りは流れないが、実際には電気設備の対地
容量による容量成分の電流、あるいは各相間の不平衡に
起因する残留電流成分が還流している。図8はこのよう
な電気設備における零相電流の状態を説明するグラフで
ある。
【0004】この図8に示すように、正常状態における
零相電流は、容量成分であるI0C1と漏洩電流成分であ
るI0R1で構成される零相電流I01であるが、容量成
分I0C1が支配的となっている。これに対し、絶縁不良
が生じてくると漏洩電流成分が増大してくるため、容量
成分の電流に変動がないと仮定すれば、絶縁不良発生時
における零相電流は、容量成分I0C1と漏洩電流成分I
R2で構成される零相電流I02となる。
【0005】図8からも判るとおり、絶縁不良発生時に
は漏洩電流成分が増大しているにも関わらず、容量成分
が存在しているために、大きさのみに着目した場合、絶
縁不良発生時における零相電流I02の大きさは絶縁不
良が発生する前の零相電流I01の大きさと大差がな
い。これは、零相電流I0の大きさのみによって絶縁不
良発生の有無を判定するI0方式では、特に容量成分の
電流が大きい場合には絶縁不良の現象を正確に把握する
ことが困難であることを示している。
【0006】これに対し、Igr方式では、系統側に印
加した監視用信号成分を計測し、実際に印加した信号と
同相成分、すなわち漏洩電流成分のみを抽出して絶縁不
良の判定を行うため、容量成分の電流の影響を受けず、
正確に絶縁不良の判定を実施することができる。したが
って、近年では、絶縁監視方式としてIgr方式が採用
されるのが一般的となっている。
【0007】しかしながら、Igr方式を実現するため
には、監視用信号を系統側に印加する必要があり、この
ために注入用トランス等の専用設備を必要とする。その
結果、I0方式に比べコスト高になり、また、停電を伴
う大掛かりな設置工事が必要である。さらに、Igr方
式は、系統側に監視用信号を印加するため、この信号の
影響によりFAX等電気設備の誤作動を引き起こすとい
う事例も発生している。
【0008】本発明は、上記のようなI0方式、Igr
方式の問題点を解消するために提案されたものであり、
その目的は、注入用トランスのような付帯設備を必要と
せず、零相電流の計測のみで漏洩電流成分を精度よく抽
出可能な絶縁監視方法および装置を提供することであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、零相電流をベクトル量として計測し、初
期ベクトル量との差分を取ることにより、注入用トラン
スのような付帯設備を必要とせず、零相電流の計測のみ
で漏洩電流成分を精度よく抽出できるようにしたもので
ある。
【0010】請求項1の発明は、電気設備を構成する変
圧器の接地線に結合した零相変流器により零相電流を計
測し、計測された零相電流から前記電気設備の絶縁不良
を検出する絶縁監視方法において、初期状態計測ステッ
プ、初期状態記憶ステップ、通常状態計測ステップ、お
よび不良判定ステップ、を含むことを特徴としている。
ここで、初期状態計測ステップは、絶縁監視を開始した
初期状態における零相電流を計測し、計測された零相電
流から前記電気設備の電源電圧を基準量として初期ベク
トル量I01を求めるステップである。そして、初期状
態記憶ステップは、前記初期状態における前記初期ベク
トル量I01を記憶するステップである。また、通常状
態計測ステップは、前記初期状態を過ぎた後の通常状態
における零相電流を計測し、計測された零相電流から前
記電気設備の電源電圧を基準量として監視ベクトル量I
2を求めるステップである。さらに、不良判定ステッ
プは、前記監視ベクトル量I02と前記初期ベクトル量
I01の差ベクトル量I021を算出し、差ベクトル量I
21の絶対値と予め設定された絶縁不良検出値Ikとを
比較して、「差ベクトル量I021の絶対値が絶縁不良検
出値Ikより大きい」というベクトル量判定条件が成立
する場合に絶縁不良と判定するステップである。
【0011】請求項6の発明は、請求項1の発明を装置
の観点から把握したものであり、電気設備を構成する変
圧器の接地線に結合した零相変流器により零相電流を計
測し、計測された零相電流から前記電気設備の絶縁不良
を検出する絶縁監視装置において、アナログ入力手段、
初期状態計測手段、初期状態記憶手段、通常状態計測手
段、および不良判定手段、を備えたことを特徴としてい
る。ここで、アナログ入力手段は、前記零相変流器によ
り計測された零相電流を入力してディジタルデータに変
換する手段である。また、初期状態計測手段、初期状態
記憶手段、通常状態計測手段、および不良判定手段は、
請求項1の発明における各ステップに対応する機能を持
つ手段であり、初期状態計測手段と通常状態計測手段
は、アナログ入力手段によってディジタルデータに変換
された零相電流からベクトル量を求めるようになってい
る。
【0012】この発明によれば、電源電圧を基準量とし
て絶縁監視を開始した初期状態における零相電流と運用
開始後の通常状態における零相電流をベクトル量として
計測し、その差分を取ることで、初期状態に対する漏洩
電流成分の増加分を抽出することができる。つまり、初
期状態と通常状態とのベクトル量の差分を絶縁監視の判
定量とすることで、精度の良い絶縁監視を実現すること
ができる。このため、Igr方式における注入用トラン
スのような付帯設備を必要とせず、零相電流の計測のみ
で漏洩電流成分を精度よく抽出可能な絶縁監視方法や装
置を提供することができる。
【0013】請求項2の発明は、請求項1の絶縁監視方
法の初期状態計測ステップにおいて、予め設定された期
間に計測した零相電流のベクトル量の平均値を前記初期
ベクトル量I01とすることを特徴としている。
【0014】請求項7の発明は、請求項2の発明を装置
の観点から把握したものであり、請求項6の絶縁監視装
置において、初期状態計測手段が、予め設定された期間
に計測した零相電流のベクトル量の平均値を前記初期ベ
クトル量I01とするように構成されたことを特徴とし
ている。
【0015】この発明によれば、零相電流の初期ベクト
ル量を一定期間の平均値として捉えることで、初期状態
における容量成分電流の時間的な変動の影響を軽減する
ことができるため、より高い検出精度を実現可能な方法
や装置を提供することができる。
【0016】請求項3の発明は、請求項1の絶縁監視方
法において、各ステップがさらに次のような特徴を有す
るものである。すなわち、初期状態計測ステップにおい
ては、予め設定された期間に予め設定された時間間隔で
各時刻iの零相電流を計測して各時刻iの前記初期ベク
トル量I01iを求める。そして、初期状態記憶ステップ
においては、前記各時刻iの初期ベクトル量I01iを記
憶する。また、通常状態計測ステップにおいては、前記
期間と同じ長さの各期間毎に前記時間間隔で各時刻iの
零相電流を計測して各時刻iの前記監視ベクトル量I0
2iを求める。さらに、不良判定ステップにおいては、前
記時刻iの監視ベクトル量I02iとその時刻iと同一時
刻iの前記初期ベクトル量I01iの差ベクトル量I0
21iを算出し、差ベクトル量I021iの絶対値と前記絶縁
不良検出値Ikとを比較して、「差ベクトル量I021i
の絶対値が絶縁不良検出値Ikより大きい」という時刻
付のベクトル量判定条件が成立する場合に絶縁不良と判
定する。
【0017】請求項8の発明は、請求項3の発明を装置
の観点から把握したものであり、請求項6の絶縁監視装
置において、各手段が、請求項3の発明における各ステ
ップに対応する機能を有することを特徴としている。
【0018】この発明によれば、零相電流が一定周期の
パターンを繰り返すことを利用して、パターン中の同一
時刻に記録された初期ベクトル量との差分を取ること
で、初期状態における容量成分電流の時間的な変動の影
響を軽減することができるため、より高い検出精度を実
現可能な方法や装置を提供することができる。
【0019】請求項4の発明は、請求項1から3までの
いずれか1項の絶縁監視方法において、不良判定ステッ
プが次のような特徴を有するものである。すなわち、不
良判定ステップにおいては、判定条件としてさらに、
「前記電気設備の電源電圧Vが予め設定された電圧変化
検出値Vkより小さい」という電源電圧判定条件と、
「前記通常状態における零相電流の大きさが予め設定さ
れた絶縁不良検出値Ik´より大きい」というスカラ量
判定条件とを使用する。そして、電源電圧判定条件とス
カラ量判定条件とが成立する場合、および、電源電圧判
定条件の否定条件とベクトル量判定条件とが成立する場
合に絶縁不良と判定する。
【0020】請求項9の発明は、請求項4の発明を装置
の観点から把握したものであり、請求項6から8までの
いずれか1項の絶縁監視装置において、不良判定手段
が、請求項4の発明における不良判定ステップに対応す
る機能を有することを特徴としている。
【0021】この発明によれば、電源電圧判定条件を使
用して電源電圧の異常を検出し、異常時には零相電流を
スカラ量として捉え、スカラ量判定条件を使用して絶縁
不良の有無を判定すると共に、電源電圧に異常がない場
合は、前述したようなベクトル量判定条件により絶縁不
良の有無を判定することにより、地絡あるいは短絡事故
発生時でも誤判定することのない、信頼性の高い方法や
装置を提供することができる。
【0022】請求項5の発明は、請求項1から3までの
いずれか1項の絶縁監視方法において、不良判定ステッ
プが次のような特徴を有するものである。すなわち、不
良判定ステップにおいては、判定条件としてさらに、
「前記初期状態における零相電流と電源電圧の位相差を
θ1、前記通常状態における零相電流と電源電圧の位相
差をθ2とした場合に、θ1とθ2との差が予め設定され
た位相変化検出値θkより大きい」という位相差判定条
件と、「前記通常状態における零相電流の大きさが予め
設定された絶縁不良検出値Ik´より大きい」というス
カラ量判定条件とを使用する。そして、位相差判定条件
とスカラ量判定条件とが成立する場合、および、位相差
判定条件の否定条件とベクトル量判定条件とが成立する
場合に絶縁不良と判定する。
【0023】請求項10の発明は、請求項5の発明を装
置の観点から把握したものであり、請求項6から8まで
のいずれか1項の絶縁監視装置において、不良判定手段
が、請求項5の発明における不良判定ステップに対応す
る機能を有することを特徴としている。
【0024】この発明によれば、位相差判定条件を使用
して零相電流と電源電圧との位相差の異常を検出し、異
常時には零相電流をスカラ量として捉え、スカラ量判定
条件を使用して絶縁不良の有無を判定すると共に、零相
電流と電源電圧との位相差に異常がない場合は、前述し
たようなベクトル量判定条件により絶縁不良の有無を判
定することにより、地絡あるいは短絡事故発生時でも誤
判定することのない、信頼性の高い方法や装置を提供す
ることができる。
【0025】請求項11の発明は、請求項6から10ま
でのいずれか1項の絶縁監視装置において、再起動の指
令時に、初期状態計測手段に初期状態の計測を改めて行
わせる再起動手段を備えたことを特徴としている。
【0026】この発明によれば、再起動の指令が入力さ
れた場合に、初期状態における零相電流のベクトル量の
計測を改めて行い、計測したベクトル量を改めて記憶す
ることにより、負荷設備を含めた電気設備の構成に変更
があった場合でも初期状態を再設定可能であるため、設
備の実態に合った絶縁不良判定を行うことができ、柔軟
な運用が可能である。
【0027】請求項12の発明は、電気設備を構成する
変圧器の接地線に結合した零相変流器により零相電流を
計測し、計測された零相電流から前記電気設備の絶縁不
良を検出する絶縁監視方法において、初期状態計測ステ
ップ、初期状態記憶ステップ、通常状態計測ステップ、
および不良判定ステップ、を含むことを特徴としてい
る。ここで、初期状態計測ステップ、初期状態記憶ステ
ップ、および通常状態計測ステップは、請求項1の発明
における同名の各ステップと同様のステップであるが、
不良判定ステップは、請求項1の発明における不良判定
ステップと異なる。すなわち、請求項12の発明におけ
る不良判定ステップは、前記監視ベクトル量I02と前
記初期ベクトル量I01の差ベクトル量I021を算出
し、差ベクトル量I021と前記初期ベクトル量I01
のベクトル演算により、差ベクトル量I021の初期ベク
トル量I01に対する直交成分に比例したスカラ量I0X
を算出し、このスカラ量I0Xの絶対値と予め設定され
た絶縁不良検出値Ikとを比較して、「スカラ量I0X
の絶対値が絶縁不良検出値Ikより大きい」というベク
トル成分判定条件が成立する場合に絶縁不良と判定する
ステップである。
【0028】請求項14の発明は、請求項12の発明を
装置の観点から把握したものであり、電気設備を構成す
る変圧器の接地線に結合した零相変流器により零相電流
を計測し、計測された零相電流から前記電気設備の絶縁
不良を検出する絶縁監視装置において、アナログ入力手
段、初期状態計測手段、初期状態記憶手段、通常状態計
測手段、および不良判定手段、を備えたことを特徴とし
ている。ここで、アナログ入力手段は、前記零相変流器
により計測された零相電流を入力してディジタルデータ
に変換する手段である。また、初期状態計測手段、初期
状態記憶手段、通常状態計測手段、および不良判定手段
は、請求項12の発明における各ステップに対応する機
能を持つ手段であり、初期状態計測手段と通常状態計測
手段は、アナログ入力手段によってディジタルデータに
変換された零相電流からベクトル量を求めるようになっ
ている。
【0029】この発明によれば、電源電圧を基準量とし
て絶縁監視を開始した初期状態における零相電流と運用
開始後の通常状態における零相電流をベクトル量として
計測し、その差分を取ることで、初期状態に対する漏洩
電流成分の増加分を抽出することができる。また、差ベ
クトル量と初期ベクトル量とのベクトル演算により、差
ベクトル量の初期ベクトル量に対する直交成分に比例し
たスカラ量を求め、このスカラ量を絶縁監視の判定量と
することで、初期ベクトル量と同相成分の変化の影響が
ない、精度の良い絶縁監視を実現することができる。こ
のため、Igr方式における注入用トランスのような付
帯設備を必要とせず、零相電流の計測のみで漏洩電流成
分を精度よく抽出可能な絶縁監視方法や装置を提供する
ことができる。
【0030】請求項13の発明は、請求項12の絶縁監
視方法の初期状態計測ステップにおいて、予め設定され
た期間に計測した零相電流のベクトル量の平均値を前記
初期ベクトル量I01とすることを特徴としている。こ
の発明によれば、零相電流の初期ベクトル量を一定期間
の平均値として捉えることで、初期状態における容量成
分電流の時間的な変動の影響を軽減することができるた
め、より高い検出精度を実現可能な方法や装置を提供す
ることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下には、本発明による絶縁監視
方式を適用した実施の形態を、図面に沿って具体的に説
明する。
【0032】[1.第1の実施形態] [1−1.絶縁監視方式]図1は、本発明を適用した第
1の実施形態に係る絶縁監視装置を電気設備に設置した
状態を示す回路図である。降圧トランス(変圧器)1
は、高圧受電した電気を降圧し、ケーブル2を経由して
負荷設備へ配分するようになっている。降圧トランス1
の接地線3には、零相変流器(以下には、ZCTと略称
する)4が取り付けられている。本発明に係る絶縁監視
装置10は、ZCT4から零相電流を取り込み、ケーブ
ル2の受電電力から電源電圧の供給を受けるように構成
される。この絶縁監視装置10は、一般的には、受電設
備であるキュービクル等の設備内に設置される。
【0033】図2は、図1に示す絶縁監視装置10によ
る絶縁監視方法の概要を示すフローチャートである。こ
の図2に示すように、絶縁監視を開始した初期状態にお
いて、零相電流をベクトル量として計測する(初期状態
の計測S101)。すなわち、絶縁監視装置10を設置
して電源を投入し、その直後に絶縁監視を開始した初期
状態において、降圧トランス1の接地線3に取り付けら
れたZCT4により計測した零相電流から、電源電圧を
基準量として零相電流の初期ベクトル量I01を算出す
る。次に、初期状態の計測S101で算出された初期状
態における初期ベクトル量I01を記憶(メモリ)する
(初期状態の記憶S102)。
【0034】また、初期状態を過ぎた後の通常状態にお
いて、降圧トランス1の接地線3に取り付けられたZC
T4により計測した零相電流から、電源電圧を基準量と
して零相電流の監視ベクトル量I02を算出する(通常
状態の計測S103)。そして、通常状態の計測S10
3にて算出された監視ベクトル量I02と初期状態の記
憶S102で記憶された初期ベクトル量I01とを使っ
て、絶縁不良の判定を行う(絶縁不良の判定S10
4)。
【0035】すなわち、監視ベクトル量I02と初期ベ
クトル量I01の差ベクトル量I021を算出し、差ベク
トル量I021の絶対値と予め設定された絶縁不良検出値
Ikとを比較して、「差ベクトル量I021の絶対値が絶
縁不良検出値Ikより大きい」というベクトル量判定条
件が成立する場合に絶縁不良と判定する。このベクトル
量判定条件は、例えば、次の判定式(1)によって表現
される。
【数1】|I02−I01| > Ik … (1) この判定式(1)が成立すれば絶縁不良あり、非成立で
あれば絶縁不良なしと判定される。なお、通常状態にお
いては、通常状態の計測S103、絶縁不良の判定S1
04が繰り返し実施されることになる。
【0036】[1−2.作用効果]以上説明したよう
な、本実施形態に係る絶縁監視方式によれば、電源電圧
を基準量として絶縁監視を開始した初期状態における零
相電流と運用開始後の通常状態における零相電流をベク
トル量として計測し、その差分を取ることで、初期状態
に対する漏洩電流成分の増加分を抽出することができ
る。この点について以下に説明する。
【0037】まず、電気設備における零相電流は、図8
に示すように、絶縁不良が発生していない初期状態で
は、容量成分であるI0C1と漏洩電流成分であるI0R1
で構成される零相電流I01となっているが、絶縁不良
が生じてくると、漏洩電流成分が増大してI0R2とな
る。この場合、容量成分の電流に変動がないと仮定すれ
ば、零相電流は、容量成分I0C1と漏洩電流成分I0R2
で構成される零相電流I0 2となる。
【0038】つまり、容量成分の電流が一定の値I0C1
であると仮定すると、初期状態(絶縁不良が発生してい
ない状態)の零相電流I01と通常状態において絶縁不
良が発生した場合の零相電流I02は、次の式によって
それぞれ表現される。
【数2】I01 = I0R1+I0C1 I02 = I0R2+I0C1
【0039】これらの式より、前述した判定式(1)の
左辺は、次の式(a)によって導かれる。
【数3】
【0040】この式(a)は、通常状態の零相電流から
初期状態の零相電流の差分を取ったものは、容量成分電
流の影響を消去し、漏洩電流成分の変動(増加)分のみ
抽出していることを表している。これは、通常状態の零
相電流から初期状態の零相電流の差分を取ることによ
り、正確に絶縁不良の判定が行えることを意味してい
る。
【0041】また、本実施形態に係る絶縁監視方式は、
Igr方式のように監視対象設備に監視用信号を印加す
ることなく、零相電流の計測のみでIgr方式と同等の
監視精度を実現するものであるため、監視用信号注入用
のトランス設置が不要となる。そのため、絶縁監視装置
10を設置するに当たっては、図1に示すとおり、降圧
トランス1の接地線3へのZCT4の敷設および電源取
得用のケーブル配線を行うのみでよく、Igr方式に比
べ設置工事がかなり簡便になる。
【0042】したがって、本実施形態によれば、初期状
態と通常状態とのベクトル量の差分を絶縁監視の判定量
とすることで、精度の良い絶縁監視を実現することがで
きる。このため、Igr方式における注入用トランスの
ような付帯設備を必要とせず、零相電流の計測のみで漏
洩電流成分を精度よく抽出することができる。
【0043】[1−3.変形例]なお、第1の実施形態
の変形例として、初期状態における零相電流の初期ベク
トル量I01をある一定期間の平均値として計測するこ
とも可能である。すなわち、零相電流は、零相電流は漏
洩電流成分と容量成分の電流で構成されるものであり、
絶縁不良が発生していない状態においては、容量成分の
電流が支配的となっているが、この容量成分の電流は負
荷設備の運転状態等によって時間的に変動するものであ
る。そのため、初期状態における零相電流のベクトル量
をある一定期間の平均値として捉えることで、初期状態
における容量成分電流の時間的な変動の影響を軽減する
ことができる。したがって、より高い検出精度を実現す
ることができる。
【0044】また、別の変形例として、初期状態におけ
る零相電流をある一定期間にある一定時間間隔で計測し
て各時刻iの初期ベクトル量I01iを求め、通常状態に
おける零相電流をその一定期間と同じ長さの各期間毎に
同じ一定時間間隔で計測して各時刻iの監視ベクトル量
I02iを求め、同一時刻iのベクトル量の差分を取るこ
とも可能である。
【0045】この場合には、時刻iの監視ベクトル量I
2iとその時刻iと同一時刻iの初期ベクトル量I01i
の差ベクトル量I021iを算出し、差ベクトル量I021i
の絶対値と絶縁不良検出値Ikとを比較して、「差ベク
トル量I021iの絶対値が絶縁不良検出値Ikより大き
い」という時刻付のベクトル量判定条件が成立する場合
に絶縁不良と判定する。この時刻付のベクトル量判定条
件は、例えば、次の判定式(2)によって表現され、判
定式(2)が成立すれば絶縁不良あり、非成立であれば
絶縁不良なしと判定される。
【数4】|I02i−I01i| > Ik … (2)
【0046】すなわち、一般的に、負荷設備にはある特
定の運転パターンがあるものと考えられるため、初期状
態と通常状態における零相電流のベクトル量をそのよう
な運転パターンに応じた一定期間を単位として計測し、
各一定期間中における同一時刻のベクトル量の差分を取
ることにより、初期状態における容量成分電流の時間的
な変動の影響を軽減することができる。したがって、よ
り高い検出精度を実現することができる。
【0047】[2.第2の実施形態] [2−1.絶縁不良の判定処理]図3は、本発明を適用
した第2の実施形態として、図2に示す絶縁監視方法に
おいて、絶縁不良の判定S104を行うための別の処理
の一例を示すフローチャートである。この絶縁不良の判
定処理は、事故発生時等に電源電圧を喪失した場合の誤
判定防止を図ったものである。
【0048】この図3に示すように、まず、本格的な短
絡、地絡を伴う事故による電源電圧喪失の有無を判定す
る(S1041)。すなわち、「電源電圧Vが予め設定
された電圧変化検出値Vkより小さい」という電源電圧
判定条件の成立の可否により、電源電圧喪失の有無を判
定する(S1041)。この電源電圧判定条件は、例え
ば、次の判定式(3)によって表現される。
【数5】|V| < Vk … (3)
【0049】ここで、電源電圧判定条件が成立し、電源
電圧喪失と判定した場合(S1041のYES)には、
ベクトル量による判定ができないので、零相電流の大き
さのみ(スカラ量)による絶縁不良の判定を行う(S1
042)。すなわち、「通常状態における零相電流の大
きさが予め設定された絶縁不良検出値Ik´より大き
い」というスカラ量判定条件の成立の可否を判定する。
【0050】そして、零相電流が絶縁不良検出値Ik´
より大きい場合、すなわち、前記スカラ量判定条件が成
立する場合(S1042のYES)には、絶縁不良あり
と判定し(S1043)、零相電流が絶縁不良検出値I
k´より小さい場合、すなわち、前記スカラ量判定条件
の否定条件が成立する場合(S1042のNO)には、
絶縁不良なしと判定する(S1044)。ここで、スカ
ラ量判定条件は、例えば、次の判定式(4)によって表
現される。
【数6】|I02| > Ik´ … (4)
【0051】また、電源電圧判定条件の否定条件が成立
し、電源電圧が喪失していないと判定した場合(S10
41のNO)には、ベクトル量による判定をそのまま行
うことができる(S1045)。すなわち、「監視ベク
トル量I02と初期ベクトル量I01の差ベクトル量I0
21の絶対値が絶縁不良検出値Ikより大きい」というベ
クトル量判定条件の成立の可否を判定する。
【0052】そして、差ベクトル量I021の絶対値が絶
縁不良検出値Ikより大きい場合、すなわち、前記ベク
トル量判定条件が成立する場合(S1045のYES)
には、絶縁不良ありと判定し(S1043)、差ベクト
ル量I021の絶対値が絶縁不良検出値Ikより小さい場
合、すなわち、前記ベクトル量判定条件の否定条件が成
立する場合(S1042のNO)には、絶縁不良なしと
判定する(S1046)。ここで、ベクトル量判定条件
は、例えば、前述した判定式(1)によって表現され
る。
【0053】[2−2.作用効果]以上説明したような
本実施形態によれば、電源電圧喪失の有無を判定し、電
源電圧を喪失した場合には零相電流のベクトル量に代え
てスカラ量による絶縁不良判定を行い、電源電圧を喪失
していない場合にのみベクトル量の差分による絶縁不良
判定を行うことにより、電源電圧が喪失した場合でも、
誤判定を防止することができる。この点について以下に
説明する。
【0054】まず、本発明で提案している絶縁監視方式
は、変圧器の接地線に取り付けられた零相変流器にて計
測される零相電流を、電源電圧を基準量としたベクトル
量として捉える点に特徴を有するものである。この場
合、軽微な不良現象の場合には、不良の発生前後で電圧
量と零相電流の相対的な位相関係に殆ど変化がないもの
と考えられるが、本格的な短絡、地絡を伴う事故が発生
した場合には、電源電圧そのものが喪失したり、電圧量
と零相電流の相対的な位相関係に変動を生じたりするこ
とが考えられる。このような場合には、通常状態におけ
る零相電流を初期状態と同等に扱えるベクトル量として
正確に計測できなくなり、誤判定を招く可能性がある。
【0055】これに対して、本実施形態によれば、電源
電圧を喪失した場合には零相電流のベクトル量に代えて
スカラ量による絶縁不良判定を行い、電源電圧を喪失し
ていない場合にのみベクトル量の差分による絶縁不良判
定を行うことができる。したがって、短絡、地絡を伴う
事故が発生し、電源電圧が喪失した場合でも、誤判定を
防止し、従来のI0方式に相当する判定精度で絶縁不良
の判定を行うことができる。
【0056】[2−3.変形例]なお、第2の実施形態
の変形例として、電源電圧の喪失の有無を判定する代わ
りに、電圧量と零相電流の相対的な位相関係の変動を判
定することも可能である。すなわち、容量成分の電流
は、漏洩電流成分に対し90°進みの状態にあるので、
絶縁不良の発生前後における零相電流の位相差は必ず9
0°以内に入ることになる。つまり、通常状態と初期状
態の電源電圧を基準とした零相電流の位相の差分は必ず
90°以内となる。
【0057】この傾向を利用して、「初期状態における
零相電流と電源電圧の位相差をθ1、通常状態における
零相電流と電源電圧の位相差をθ2とした場合に、θ1
θ2との差が予め設定された位相変化検出値θkより大
きい」という位相差判定条件の成立の可否により、電圧
量と零相電流の相対的な位相関係の異常の有無を判定す
る。この位相差判定条件は、例えば、次の判定式(5)
によって表現される。
【数7】θ1−θ2 > θk … (5)
【0058】この判定式(5)におけるθkを90°に
設定すれば、(5)式が成立している状態は位相関係が
異常になっている、すなわち、事故等による電源電圧の
位相変化、あるいは電源電圧喪失による位相関係異常が
生じている、と判断することができる。したがって、第
2の実施形態と同様に、短絡、地絡を伴う事故が発生
し、電源電圧が喪失した場合でも、誤判定を防止し、従
来のI0方式に相当する判定精度で絶縁不良の判定を行
うことができる。
【0059】[3.第3の実施形態] [3−1.装置の機能構成]図4は、本発明を適用した
第3の実施形態として、図1に示す絶縁監視装置10の
機能構成の一例を示すブロック図である。この図4に示
すように、絶縁監視装置10は、アナログ入力手段1
1、初期状態計測手段12、初期状態記憶手段13、通
常状態計測手段14、不良判定手段15、警報出力手段
16、波形記憶手段17、および検出値設定手段18、
を備えている。各部の機能は次の通りである。
【0060】アナログ入力手段11は、降圧トランス1
の接地線3に取り付けられたZCT4から取込まれた零
相電流I0および電源電圧Vを入力し、ディジタル量に
変換する機能を持つ。初期状態計測手段12は、図2に
示す初期状態の計測S101に対応する機能、すなわ
ち、絶縁監視装置10を設置して電源を投入し、その直
後に絶縁監視を開始した初期状態において、アナログ入
力手段11にてディジタル量に変換された零相電流I0
および電源電圧Vを入力量として、零相電流I0から電
源電圧Vを基準とした初期ベクトル量I01を算出する
機能を持つ。初期状態記憶手段13は、図2に示す初期
状態の記憶S102に対応する機能、すなわち、算出さ
れた初期ベクトル量I01を記憶する機能を持つ。
【0061】通常状態計測手段14は、図2に示す通常
状態の計測S103に対応する機能、すなわち、初期状
態を過ぎた後の通常状態において、アナログ入力手段1
1にてディジタル量に変換された零相電流I0および電
源電圧Vを入力量として、零相電流I0から電源電圧V
を基準とした監視ベクトル量I02を算出する機能を持
つ。不良判定手段15は、図2に示す絶縁不良の判定S
104に対応する機能、すなわち、初期状態記憶手段1
3に記憶されている初期状態における零相電流の初期ベ
クトル量I01と通常状態計測手段14で計測された通
常状態における零相電流の監視ベクトル量I02を使っ
て、前述したベクトル量判定条件に基づく絶縁不良の判
定を行う機能を持つ。
【0062】警報出力手段16は、不良判定手段15に
よって絶縁不良ありと判定された場合に、外部に警報を
出力する機能を持ち、波形記憶手段17は、その絶縁不
良判定時に、絶縁不良検出前後の零相電流の波形を記憶
する機能を持つ。また、検出値設定手段18は、不良判
定手段15で判定の際に使用される絶縁不良検出値Ik
等の検出値を設定する手段である。
【0063】[3−2.作用効果]以上のような構成を
有する本実施形態の絶縁監視装置10によれば、第1の
実施形態と同様の作用効果が得られることに加えて、さ
らに、絶縁不良を判定した場合に、外部に警報を出力し
たり、絶縁不良検出前後の波形を記憶したりすることが
できる。そのため、絶縁不良の発生を関係者に迅速に通
知することができると共に、絶縁不良検出前後の波形デ
ータを蓄積して絶縁不良の分析や絶縁不良検出値の再設
定等に利用することができる。
【0064】[3−3.変形例]なお、第3の実施形態
の変形例として、図5に示すように、アナログ入力手段
11に入力するのは零相電流I0のみとし、初期状態計
測手段12あるいは通常状態計測手段14に電源電圧V
の位相情報を抽出する機能を設ける構成とすることも可
能である。この理由は、本発明の絶縁監視装置におい
て、電源電圧Vは、零相電流I0をベクトル量として計
測する際の基準量としてのみ使用するため、位相情報の
み取り出せればよく、敢えてディジタル量に変換する必
要性はないからである。
【0065】また、警報出力手段16の具体的な出力方
式は適宜選択可能であり、例えば、接点出力としても良
いし、通信手段を介して外部のサーバあるいはパソコン
のような端末へ警報の通知を送信する構成としてもよ
い。あるいは、実際に設備管理を行う担当者が携帯する
ポケットベル(登録商標)あるいは携帯電話等の通信手
段に直接通知してもよい。また、これらの手段を組み合
わせて適用することも可能である。
【0066】一方、検出レベル設定手段18の具体的な
構成も適宜選択可能であり、例えば、絶縁監視装置10
の本体にロータリースイッチやテンキーによる数値設定
機構を設けることで構成してもよいし、通信手段を介し
て外部のサーバあるいはパソコンのような端末から設定
を行わせるように構成してもよい。
【0067】また、第1の実施形態における変形例と同
様に、図4あるいは図5の初期状態計測手段12によ
り、初期状態における零相電流の初期ベクトル量I01
をある一定期間の平均値として計測することも可能であ
る。
【0068】さらに、第1の実施形態における別の変形
例と同様に、図4あるいは図5の初期状態計測手段12
により、初期状態における零相電流をある一定期間にあ
る一定時間間隔で計測して各時刻iの初期ベクトル量I
1iを求め、通常状態計測手段14により、通常状態に
おける零相電流をその一定期間と同じ長さの各期間毎に
同じ一定時間間隔で計測して各時刻iの監視ベクトル量
I02iを求め、不良判定手段15により、同一時刻iの
ベクトル量の差分を取ることも可能である。
【0069】[4.第4の実施形態] [4−1.装置の機能構成]図6は、本発明を適用した
第4の実施形態として、図4に示す絶縁監視装置10に
おいて、再起動手段19を追加した機能構成の一例を示
すブロック図である。ここで、再起動手段19は、再起
動の指令時に、初期状態計測手段12に初期状態の計測
を改めて行わせる機能を持つ。これ以外の機能構成につ
いては、図4に示す絶縁監視装置10と同様であるた
め、説明を省略する。
【0070】[4−2.作用効果]このような構成を有
する本実施形態の絶縁監視装置10によれば、第3の実
施形態と同様の作用効果が得られることに加えて、さら
に次のような作用効果が得られる。すなわち、再起動手
段19に外部から再起動の指令が与えられた場合には、
初期状態計測手段12にその指令を伝えて初期状態の計
測を改めて行い、計測したベクトル量を初期状態記憶手
段13に改めて記憶する。これにより、負荷設備を含め
た電気設備の構成に変化があった場合でも、初期状態の
再設定を行い、設備の実体に合った絶縁不良判定を行う
ことができる。この点について以下に説明する。
【0071】まず、零相電流が容量成分の電流と漏洩電
流成分で構成されることは前述したとおりであるが、こ
のうち容量成分の電流は、監視対象となる電気設備の構
成が変わることで変動する可能性がある。これはベクト
ル量としての零相電流自身の状態が変化することを意味
する。したがって、設備変更等があった場合に、設備変
更前と同様の初期状態の計測量をそのまま使用したので
は、最新の設備状態に即した判定を実施していることに
はならず、絶縁不良判定の精度を劣化させる要因とな
る。これに対して、本実施形態によれば、負荷設備を含
めた電気設備の構成に変更があった場合でも、それに応
じて初期状態を再計測し、再設定することができるた
め、設備の実態に合った絶縁不良の判定を行うことがで
き、柔軟な運用が可能となる。
【0072】[4−3.変形例]なお、本実施形態にお
いて、再起動手段19への再起動指令の具体的な入力方
式は適宜選択可能であり、例えば、絶縁監視装置10本
体にスイッチ等の設定入力手段を設けることで入力でき
るように構成してもよいし、外部から伝送系を介して入
力できるように構成してもよい。
【0073】[5.第5の実施形態] [5−1.不良判定手段の構成]図7は、本発明を適用
した第5の実施形態として、図4〜6に示す絶縁監視装
置10における不良判定手段15の判定方法の一例を示
す論理図であり、図3に示す絶縁不良の判定処理に対応
するものであり、ブロック151〜156から構成され
ている。
【0074】この図7において、ブロック151では、
ベクトル量として計測された初期状態、通常状態の零相
電流を入力量として、前記ベクトル量判定条件に基づく
絶縁不良の判定を実施する。ブロック152では、電源
電圧Vを入力量として前記電源電圧判定条件に基づき、
電源電圧異常を検出する判定を実施する。ブロック15
3では、零相電流を入力量として前記スカラ量判定条件
に基づき、零相電流の大きさのみに着目した絶縁不良の
判定を実施する。
【0075】ブロック154では、ブロック151とブ
ロック152の否定条件のAND(論理積)をとり、ブ
ロック155では、ブロック152とブロック153の
AND(論理積)をとる。さらに、ブロック156で
は、ブロック154とブロック155の出力のOR(論
理和)を取る。ブロック156の出力が絶縁不良判定の
結果であり、‘1’が出力された場合には絶縁不良あ
り、‘0’が出力された場合には絶縁不良なし、と判定
されることになる。
【0076】[5−2.作用効果]以上のような構成を
有する本実施形態によれば、絶縁監視装置の不良判定手
段15の構成により、第2の実施形態と同様の作用効果
が得られる。
【0077】[5−3.変形例]なお、本実施形態の変
形例としては、第2の実施形態における変形例と同様
に、ブロック152の入力量を、初期状態および通常状
態における電源電圧と零相電流の位相差θ1、θ2とし、
前記位相差判定条件に基づく判定を実施するように構成
することも可能である。
【0078】[6.第6の実施形態] [6−1.絶縁不良の判定処理]以下には、本発明を適
用した第6の実施形態として、図2に示す絶縁監視方法
において、絶縁不良の判定S104を行うための別の処
理の一例を説明する。
【0079】本実施形態における絶縁不良の判定処理に
おいてはまず、監視ベクトル量I0 2と初期ベクトル量
I01の差ベクトル量I021を算出し、次に、差ベクト
ル量I021と初期ベクトル量I01とのベクトル演算に
より、差ベクトル量I021の初期ベクトル量I01に対
する直交成分に比例したスカラ量I0Xを算出する。そ
して、スカラ量I0Xの絶対値と予め設定された絶縁不
良検出値Ikとを比較して、「スカラ量I0Xの絶対値
が絶縁不良検出値Ikより大きい」というベクトル成分
判定条件が成立する場合に絶縁不良と判定する。
【0080】ここで、差ベクトル量I021の初期ベクト
ル量I01に対する直交成分に比例したスカラ量I0
Xは、例えば、次の式により計算することができる。
【数8】 I0X = |I021XI01|/|I01| … (b) ここで、Xは外積計算、||はベクトルの大きさであ
る。
【0081】この式(b)は、以下の式(b’)と等価
であるので、スカラ量I0Xが、差ベクトル量I021
初期ベクトル量I01に対する直交成分であることは明
らかである。
【数9】 I0X = ||I021|sinΘ| … (b’) ここで、Θは、ベクトルI021がベクトルI01となす
角(狭角)である。
【0082】したがって、上記のベクトル成分判定条件
は、例えば、次の判定式(6)によって表現される。
【数10】I0X > Ik … (6) この判定式(6)が成立すれば絶縁不良あり、非成立で
あれば絶縁不良なしと判定される。
【0083】[6−2.作用効果]以上説明したような
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、零相電
流をベクトル量として計測し、初期ベクトル量との差分
を取ることにより、初期状態に対する漏洩電流成分の増
加分を抽出できることに加えて、さらに、差ベクトル量
の初期ベクトル量に対する直交成分に比例したスカラ量
を絶縁監視の判定量とすることで、初期ベクトル量と同
相成分の変化の影響をなくすことができる。
【0084】すなわち、本実施形態によれば、差ベクト
ル量と初期ベクトル量とのベクトル演算により、差ベク
トル量の初期ベクトル量に対する直交成分に比例したス
カラ量を求め、このスカラ量を絶縁監視の判定量とする
ことで、初期ベクトル量と同相成分の変化の影響がな
い、精度の良い絶縁監視を実現することができる。この
点について以下に説明する。
【0085】まず、電気設備における零相電流は、図9
に示すように、絶縁不良が発生していない初期状態で
は、容量成分であるI0C1と漏洩電流成分であるI0R1
で構成される零相電流I01となっている。図9では、
一例として、初期状態の漏洩電流成分I0R1が、容量成
分I0C1に比べて格段に小さく、実質的に存在しないの
と同程度である場合を示している。このような初期状態
から、絶縁不良が生じてくると、漏洩電流成分が増大し
てI0R2となる。このとき容量成分の電流が何らかの要
因で、I0C2に変動しているとすると、零相電流は、容
量成分I0C2と漏洩電流成分I0R2で構成される零相電
流I02となる。
【0086】つまり、初期状態(絶縁不良が発生してい
ない状態)の零相電流I01と通常状態において絶縁不
良が発生した場合の零相電流I02は、次の式によって
それぞれ表現される。
【数11】I01 = I0R1+I0C1 I02 = I0R2+I0C2
【0087】これらの式より、通常状態の零相電流と初
期状態の零相電流との差分、すなわち、監視ベクトル量
I02と初期ベクトル量I01の差ベクトル量I021は、
次の式(c)によって表現される。
【数12】 I021 = I02−I01 =(I0R2+I0C2)−(I0R1+I0C1) =(I0R2−I0R1)+(I0C2−I0C1) … (c)
【0088】この式(c)の右辺第1項は漏洩電流成分
の変動(増加)分であり、第2項は容量成分電流の変動
分である。漏洩電流と容量成分電流は、図9に示すよう
に、位相が90度異なっており、ベクトル的に直交す
る。
【0089】また、図9に示すように、差ベクトル量I
21の初期ベクトル量I01に対する直交成分に比例し
たスカラ量I0Xは、例えば、前述した式(b’)で計
算される。そして、初期状態における零相電流の漏洩電
流成分I0R1が容量成分I0 C1より十分に小さく、初期
ベクトル量I01が容量成分I0C1にほぼ等しくなる場
合には、式(b’)は式(c)の右辺第1項を求めるこ
とを意味する。
【0090】以上のことから、次の式(d)が成立す
る。
【数13】 I0X ≒ |I0R2−I0R1| … (d)
【0091】この式(d)に示すように、初期状態にお
ける零相電流の漏洩電流成分I0R1が容量成分I0C1
り十分に小さい場合には、差ベクトル量I021の初期ベ
クトル量I01に対する直交成分に比例したスカラ量I
Xは、漏洩電流成分の変動(増加)分の絶対値にほぼ
等しくなるため、前述した判定式(6)により、正確に
絶縁不良の判定が行える。
【0092】したがって、本実施形態によれば、差ベク
トル量と初期ベクトル量とのベクトル演算で得られたス
カラ量、すなわち、差ベクトル量の初期ベクトル量に対
する直交成分に比例したスカラ量、を絶縁監視の判定量
とすることで、初期ベクトル量と同相成分の変化の影響
がない、精度の良い絶縁監視を実現することができる。
このため、Igr方式における注入用トランスのような
付帯設備を必要とせず、零相電流の計測のみで漏洩電流
成分を精度よく抽出することができる。
【0093】[7.他の実施形態]なお、本発明は、前
述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範
囲内で他にも多種多様な形態が実施可能である。まず、
前記実施形態で示した絶縁監視方法のフローチャートは
一例に過ぎず、具体的な処理手順は自由に選択可能であ
る。また、絶縁監視装置の構成についても、機能面から
把握した場合の一例にすぎず、具体的な構成は自由に選
択可能である。
【0094】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
零相電流をベクトル量として計測し、初期ベクトル量と
の差分を取ることにより、注入用トランスのような付帯
設備を必要とせず、零相電流の計測のみで漏洩電流成分
を精度よく抽出可能な絶縁監視方法および装置を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1の実施形態に係る絶縁監
視装置を電気設備に設置した状態を示す回路図。
【図2】図1に示す絶縁監視装置による絶縁監視方法の
概要を示すフローチャート。
【図3】本発明を適用した第2の実施形態として、図2
に示す絶縁監視方法において、絶縁不良の判定を行うた
めの別の処理の一例を示すフローチャート。
【図4】本発明を適用した第3の実施形態として、図1
に示す絶縁監視装置の機能構成の一例を示すブロック
図。
【図5】図4に示す絶縁監視装置の変形例を示すブロッ
ク図。
【図6】本発明を適用した第4の実施形態として、図4
に示す絶縁監視装置に再起動手段を追加した機能構成の
一例を示すブロック図。
【図7】本発明を適用した第5の実施形態として、図4
〜6に示す絶縁監視装置における不良判定手段の判定方
法の一例を示す論理図。
【図8】電気設備における零相電流の状態の一例を説明
するグラフ。
【図9】電気設備における零相電流の状態の別の一例を
説明するグラフ。
【符号の説明】
1…降圧トランス(変圧器) 2…ケーブル 3…接地線 4…零相変流器(ZCT) 10…絶縁監視装置 S101…初期状態の計測 S102…初期状態の記憶 S103…通常状態の計測 S104…絶縁不良の計測 11…アナログ入力手段 12…初期状態計測手段 13…初期状態記憶手段 14…通常状態計測手段 15…不良判定手段 16…警報出力手段 17…波形記憶手段 18…検出値設定手段 19…再起動手段
フロントページの続き (72)発明者 竹多 昭夫 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中事業所内 (72)発明者 金輪 均 東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会社 東芝本社事務所内 (72)発明者 須賀 紀善 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中事業所内 (72)発明者 篠田 諭 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中事業所内 Fターム(参考) 2G014 AA16 AB30 AC19 2G028 AA01 BF03 CG03 DH05 FK02 FK09 HN16 LR03 LR06 MS05 5G058 BB02 BC11

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気設備を構成する変圧器の接地線に結
    合した零相変流器により零相電流を計測し、計測された
    零相電流から前記電気設備の絶縁不良を検出する絶縁監
    視方法において、 絶縁監視を開始した初期状態における零相電流を計測
    し、計測された零相電流から前記電気設備の電源電圧を
    基準量として初期ベクトル量I01を求める初期状態計
    測ステップと、 前記初期状態における前記初期ベクトル量I01を記憶
    する初期状態記憶ステップと、 前記初期状態を過ぎた後の通常状態における零相電流を
    計測し、計測された零相電流から前記電気設備の電源電
    圧を基準量として監視ベクトル量I02を求める通常状
    態計測ステップと、 前記監視ベクトル量I02と前記初期ベクトル量I01
    差ベクトル量I021を算出し、差ベクトル量I021の絶
    対値と予め設定された絶縁不良検出値Ikとを比較し
    て、「差ベクトル量I021の絶対値が絶縁不良検出値I
    kより大きい」というベクトル量判定条件が成立する場
    合に絶縁不良と判定する不良判定ステップと、を含むこ
    とを特徴とする絶縁監視方法。
  2. 【請求項2】 前記初期状態計測ステップにおいては、
    予め設定された期間に計測した零相電流のベクトル量の
    平均値を前記初期ベクトル量I01とする、ことを特徴
    とする請求項1に記載の絶縁監視方法。
  3. 【請求項3】 前記初期状態計測ステップにおいては、
    予め設定された期間に予め設定された時間間隔で各時刻
    iの零相電流を計測して各時刻iの前記初期ベクトル量
    I01iを求め、 前記初期状態記憶ステップにおいては、前記各時刻iの
    初期ベクトル量I01iを記憶し、 前記通常状態計測ステップにおいては、前記期間と同じ
    長さの各期間毎に前記時間間隔で各時刻iの零相電流を
    計測して各時刻iの前記監視ベクトル量I02iを求め、 前記不良判定ステップにおいては、前記時刻iの監視ベ
    クトル量I02iとその時刻iと同一時刻iの前記初期ベ
    クトル量I01iの差ベクトル量I021iを算出し、差ベ
    クトル量I021iの絶対値と前記絶縁不良検出値Ikと
    を比較して、「差ベクトル量I021iの絶対値が絶縁不
    良検出値Ikより大きい」という時刻付のベクトル量判
    定条件が成立する場合に絶縁不良と判定する、ことを特
    徴とする請求項1に記載の絶縁監視方法。
  4. 【請求項4】 前記不良判定ステップにおいては、 「前記電気設備の電源電圧Vが予め設定された電圧変化
    検出値Vkより小さい」という電源電圧判定条件と、 「前記通常状態における零相電流の大きさが予め設定さ
    れた絶縁不良検出値Ik´より大きい」というスカラ量
    判定条件とを使用して、 前記電源電圧判定条件と前記スカラ量判定条件とが成立
    する場合、および、電源電圧判定条件の否定条件と前記
    ベクトル量判定条件とが成立する場合に絶縁不良と判定
    する、ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか
    1項に記載の絶縁監視方法。
  5. 【請求項5】 前記不良判定ステップにおいては、 「前記初期状態における零相電流と電源電圧の位相差を
    θ1、前記通常状態における零相電流と電源電圧の位相
    差をθ2とした場合に、θ1とθ2との差が予め設定され
    た位相変化検出値θkより大きい」という位相差判定条
    件と、 「前記通常状態における零相電流の大きさが予め設定さ
    れた絶縁不良検出値Ik´より大きい」というスカラ量
    判定条件とを使用して、 前記位相差判定条件と前記スカラ量判定条件とが成立す
    る場合、および、位相差判定条件の否定条件と前記ベク
    トル量判定条件とが成立する場合に絶縁不良と判定す
    る、ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1
    項に記載の絶縁監視方法。
  6. 【請求項6】 電気設備を構成する変圧器の接地線に結
    合した零相変流器により零相電流を計測し、計測された
    零相電流から前記電気設備の絶縁不良を検出する絶縁監
    視装置において、 前記零相変流器により計測された零相電流を入力してデ
    ィジタルデータに変換するアナログ入力手段と、 起動して絶縁監視を開始した初期状態において、前記デ
    ィジタルデータに変換された零相電流から前記電気設備
    の電源電圧を基準量として初期ベクトル量I0 1を求め
    る初期状態計測手段と、 前記初期状態における前記初期ベクトル量I01を記憶
    する初期状態記憶手段と、 前記初期状態を過ぎた後の通常状態において、前記ディ
    ジタルデータに変換された零相電流から前記電気設備の
    電源電圧を基準量として監視ベクトル量I02を求める
    通常状態計測手段と、 前記監視ベクトル量I02と前記初期ベクトル量I01
    差ベクトル量I021を算出し、差ベクトル量I021の絶
    対値と予め設定された絶縁不良検出値Ikとを比較し
    て、「差ベクトル量I021の絶対値が絶縁不良検出値I
    kより大きい」というベクトル量判定条件が成立する場
    合に絶縁不良と判定する不良判定手段と、を備えたこと
    を特徴とする絶縁監視装置。
  7. 【請求項7】 前記初期状態計測手段は、予め設定され
    た期間に計測した零相電流のベクトル量の平均値を前記
    初期ベクトル量I01とするように構成された、ことを
    特徴とする請求項6に記載の絶縁監視装置。
  8. 【請求項8】 前記初期状態計測手段は、予め設定され
    た期間に予め設定された時間間隔で各時刻iの零相電流
    を計測して各時刻iの前記初期ベクトル量I01iを求め
    るように構成され、 前記初期状態記憶手段は、前記各時刻iの初期ベクトル
    量I01iを記憶するように構成され、 前記通常状態計測手段は、前記期間と同じ長さの各期間
    毎に前記時間間隔で各時刻iの零相電流を計測して各時
    刻iの前記監視ベクトル量I02iを求めるように構成さ
    れ、 前記不良判定手段は、前記時刻iの監視ベクトル量I0
    2iとその時刻iと同一時刻iの前記初期ベクトル量I0
    1iの差ベクトル量I021iを算出し、差ベクトル量I0
    21iの絶対値と前記絶縁不良検出値Ikとを比較して、
    「差ベクトル量I021iの絶対値が絶縁不良検出値Ik
    より大きい」という時刻付のベクトル量判定条件が成立
    する場合に絶縁不良と判定するように構成された、こと
    を特徴とする請求項6に記載の絶縁監視装置。
  9. 【請求項9】 前記不良判定手段は、 「前記電気設備の電源電圧Vが予め設定された電圧変化
    検出値Vkより小さい」という電源電圧判定条件と、 「前記通常状態における零相電流の大きさが予め設定さ
    れた絶縁不良検出値Ik´より大きい」というスカラ量
    判定条件とを使用して、 前記電源電圧判定条件と前記スカラ量判定条件とが成立
    する場合、および、電源電圧判定条件の否定条件と前記
    ベクトル量判定条件とが成立する場合に絶縁不良と判定
    するように構成された、ことを特徴とする請求項6から
    8までのいずれか1項に記載の絶縁監視装置。
  10. 【請求項10】 前記不良判定手段は、 「前記初期状態における零相電流と電源電圧の位相差を
    θ1、前記通常状態における零相電流と電源電圧の位相
    差をθ2とした場合に、θ1とθ2との差が予め設定され
    た位相変化検出値θkより大きい」という位相差判定条
    件と、 「前記通常状態における零相電流の大きさが予め設定さ
    れた絶縁不良検出値Ik´より大きい」というスカラ量
    判定条件とを使用して、 前記位相差判定条件と前記スカラ量判定条件とが成立す
    る場合、および、位相差判定条件の否定条件と前記ベク
    トル量判定条件とが成立する場合に絶縁不良と判定する
    ように構成された、ことを特徴とする請求項6から8ま
    でのいずれか1項に記載の絶縁監視装置。
  11. 【請求項11】 再起動の指令時において、前記初期状
    態計測手段に初期状態の計測を改めて行わせる再起動手
    段を備えたことを特徴とする請求項6から10までのい
    ずれか1項に記載の絶縁監視装置。
  12. 【請求項12】 電気設備を構成する変圧器の接地線に
    結合した零相変流器により零相電流を計測し、計測され
    た零相電流から前記電気設備の絶縁不良を検出する絶縁
    監視方法において、 絶縁監視を開始した初期状態における零相電流を計測
    し、計測された零相電流から前記電気設備の電源電圧を
    基準量として初期ベクトル量I01を求める初期状態計
    測ステップと、 前記初期状態における前記初期ベクトル量I01を記憶
    する初期状態記憶ステップと、 前記初期状態を過ぎた後の通常状態における零相電流を
    計測し、計測された零相電流から前記電気設備の電源電
    圧を基準量として監視ベクトル量I02を求める通常状
    態計測ステップと、 前記監視ベクトル量I02と前記初期ベクトル量I01
    差ベクトル量I021を算出し、差ベクトル量I021と前
    記初期ベクトル量I01とのベクトル演算により、差ベ
    クトル量I021の初期ベクトル量I01に対する直交成
    分に比例したスカラ量I0Xを算出し、このスカラ量I
    Xの絶対値と予め設定された絶縁不良検出値Ikとを
    比較して、「スカラ量I0Xの絶対値が絶縁不良検出値
    Ikより大きい」というベクトル成分判定条件が成立す
    る場合に絶縁不良と判定する不良判定ステップと、を含
    むことを特徴とする絶縁監視方法。
  13. 【請求項13】 前記初期状態計測ステップにおいて
    は、予め設定された期間に計測した零相電流のベクトル
    量の平均値を前記初期ベクトル量I01とすることを特
    徴とする請求項12に記載の絶縁監視方法。
  14. 【請求項14】 電気設備を構成する変圧器の接地線に
    結合した零相変流器により零相電流を計測し、計測され
    た零相電流から前記電気設備の絶縁不良を検出する絶縁
    監視装置において、 前記零相変流器により計測された零相電流を入力してデ
    ィジタルデータに変換するアナログ入力手段と、 起動して絶縁監視を開始した初期状態において、前記デ
    ィジタルデータに変換された零相電流から前記電気設備
    の電源電圧を基準量として初期ベクトル量I0 1を求め
    る初期状態計測手段と、 前記初期状態における前記初期ベクトル量I01を記憶
    する初期状態記憶手段と、 前記初期状態を過ぎた後の通常状態において、前記ディ
    ジタルデータに変換された零相電流から前記電気設備の
    電源電圧を基準量として監視ベクトル量I02を求める
    通常状態計測手段と、 前記監視ベクトル量I02と前記初期ベクトル量I01
    差ベクトル量I021を算出し、差ベクトル量I021と前
    記初期ベクトル量I01とのベクトル演算により、差ベ
    クトル量I021の初期ベクトル量I01に対する直交成
    分に比例したスカラ量I0Xを算出し、このスカラ量I
    Xの絶対値と予め設定された絶縁不良検出値Ikとを
    比較して、「スカラ量I0Xの絶対値が絶縁不良検出値
    Ikより大きい」というベクトル成分判定条件が成立す
    る場合に絶縁不良と判定する不良判定手段と、を備えた
    ことを特徴とする絶縁監視装置。
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