JP2003202305A - 密度不均一多層膜解析方法ならびにその装置およびシステム - Google Patents

密度不均一多層膜解析方法ならびにその装置およびシステム

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JP2003202305A
JP2003202305A JP2002165365A JP2002165365A JP2003202305A JP 2003202305 A JP2003202305 A JP 2003202305A JP 2002165365 A JP2002165365 A JP 2002165365A JP 2002165365 A JP2002165365 A JP 2002165365A JP 2003202305 A JP2003202305 A JP 2003202305A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 密度不均一多層膜内の粒子状物の分布状態な
らびに界面状態を簡易に、且つ高精度で解析することの
できる、新しい密度不均一多層膜解析方法を提供する。 【解決手段】 粒子状物の分布状態を示すフィッティン
グパラメータに従ってX線散乱曲線を表す散乱関数を用
いることにより、実測X線散乱曲線の測定条件と同じ条
件にてシミュレートX線散乱曲線を算出するステップ
と、フィッティングパラメータを変更しながらシミュレ
ートX線散乱曲線と実測X線散乱曲線とのフィッティン
グを行うステップとを有し、シミュレートX線散乱曲線
と実測X線散乱曲線が一致したときのフィッティングパ
ラメータの値を密度不均一多層膜内の粒子状物の分布状
態とすることにより、密度不均一多層膜内の粒子状物の
分布状態を解析する密度不均一多層膜解析方法におい
て、散乱関数として、界面での散乱のない多層膜の厳密
解を始状態および終状態とした遷移確率を導入した関数
を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、密度不均
一多層膜解析方法ならびにその装置およびシステムに関
するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、
密度不均一多層膜内の粒子状物の分布状態ならびに界面
状態を簡易に、且つ高精度で解析することのできる、新
しい密度不均一多層膜解析方法、密度不均一多層膜解析
装置、および密度不均一多層膜解析システムに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】微粒子や空孔等の粒子状物が散在したポ
ーラス膜などの密度不均一試料の密度不均一性を解析・
評価する技術として、密度不均一試料内の粒径分布をX
線を用いて解析する新しい方法が、この出願の発明の発
明者等により既に提案されている(特願2001−08
8656参照)。この解析方法は、X線の散漫散乱強度
を測定し、その測定値に基づいて粒径分布を解析するも
のであり、優れた解析能力を実現している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに優れた解析方法にあっても、この出願の発明の発明
者等によるさらなる研究・開発によって、さらに改良す
べき点が残されていることが判明した。
【0004】それと言うのも、特願2001−0886
56に記載の密度不均一試料解析方法では、単層膜内で
の散漫散乱現象を考慮した密度不均一性解析を行ってい
るため、これを多層膜試料に適用すると、各層毎の散漫
散乱の影響が考慮されず、解析精度が落ちてしまう場合
が生じる恐れがある。また、表面や界面における反射効
果は1回のみしか考慮せず、多重反射は考慮していない
ため、さらなる精度向上を図る余地もある。
【0005】そこで、この出願の発明は、以上のとおり
の事情に鑑み、密度不均一多層膜内の粒子状物の分布状
態を簡易に、且つ高精度で解析することのできる、新し
い密度不均一多層膜解析方法、密度不均一多層膜解析装
置、および密度不均一多層膜解析システムを提供するこ
とを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、第1には、粒子状物の分
布状態を示すフィッティングパラメータに従ってX線散
乱曲線を表す散乱関数を用いることにより、実測X線散
乱曲線の測定条件と同じ条件にてシミュレートX線散乱
曲線を算出するステップと、フィッティングパラメータ
を変更しながらシミュレートX線散乱曲線と実測X線散
乱曲線とのフィッティングを行うステップとを有し、シ
ミュレートX線散乱曲線と実測X線散乱曲線が一致した
ときのフィッティングパラメータの値を密度不均一多層
膜内の粒子状物の分布状態とすることにより、密度不均
一多層膜内の粒子状物の分布状態を解析する密度不均一
多層膜解析方法であって、散乱関数として、多層膜の厳
密解を始状態および終状態とした遷移確率を導入した関
数を用いることを特徴とする密度不均一多層膜解析方
法、第2には、粒子状物の分布状態を示すフィッティン
グパラメータに従って粒子線散乱曲線を表す散乱関数を
用いることにより、実測粒子線散乱曲線の測定条件と同
じ条件にてシミュレート粒子線散乱曲線を算出するステ
ップと、フィッティングパラメータを変更しながらシミ
ュレート粒子線散乱曲線と実測粒子線散乱曲線とのフィ
ッティングを行うステップとを有し、シミュレート粒子
線散乱曲線と実測粒子線散乱曲線が一致したときのフィ
ッティングパラメータの値を密度不均一多層膜内の粒子
状物の分布状態とすることにより、密度不均一多層膜内
の粒子状物の分布状態を解析する密度不均一多層膜解析
方法であって、散乱関数として、多層膜の厳密解を始状
態および終状態とした遷移確率を導入した関数を用いる
ことを特徴とする密度不均一多層膜解析方法を提供し、
第3には、散乱関数として、界面状態を示すフィッティ
ングパラメータをさらに導入した前記遷移確率導入の関
数を用いることを特徴とする密度不均一多層膜解析方法
をも提供する。
【0007】また、この出願の発明は、第4には、粒子
状物の分布状態を示すフィッティングパラメータに従っ
てX線散乱曲線を表す散乱関数を記憶する関数記憶手段
と、関数記憶手段からの散乱関数を用いることにより実
測X線散乱曲線の測定条件と同じ条件にてシミュレート
X線散乱曲線を算出するシミュレート手段と、フィッテ
ィングパラメータを変更しながらシミュレートX線散乱
曲線と実測X線散乱曲線とのフィッティングを行うフィ
ッティング手段とを有し、シミュレートX線散乱曲線と
実測X線散乱曲線とが一致したときのフィッティングパ
ラメータの値を密度不均一多層膜内の粒子状物の分布状
態とすることにより、密度不均一多層膜内の粒子状物の
分布状態を解析する密度不均一多層膜解析装置であっ
て、散乱関数が、多層膜の厳密解を始状態および終状態
とした遷移確率を導入した関数であることを特徴とする
密度不均一多層膜解析装置、第5には、粒子状物の分布
状態を示すフィッティングパラメータに従って粒子線散
乱曲線を表す散乱関数を記憶する関数記憶手段と、関数
記憶手段からの散乱関数を用いることにより実測粒子線
散乱曲線の測定条件と同じ条件にてシミュレート粒子線
散乱曲線を算出するシミュレート手段と、フィッティン
グパラメータを変更しながらシミュレート粒子線散乱曲
線と実測粒子線散乱曲線とのフィッティングを行うフィ
ッティング手段とを有し、シミュレート粒子線散乱曲線
と実測粒子線散乱曲線とが一致したときのフィッティン
グパラメータの値を密度不均一多層膜内の粒子状物の分
布状態とすることにより、密度不均一多層膜内の粒子状
物の分布状態を解析する密度不均一多層膜解析装置であ
って、散乱関数が、多層膜の厳密解を始状態および終状
態とした遷移確率を導入した関数であることを特徴とす
る密度不均一多層膜解析装置を提供し、第6には、散乱
関数が、界面状態を示すフィッティングパラメータをさ
らに導入した前記遷移確率導入の関数であることを特徴
とする密度不均一多層膜解析装置をも提供する。
【0008】またさらに、この出願の発明は、密度不均
一多層膜内の粒子状物の分布状態を解析するための密度
不均一多層膜解析システムであって、密度不均一多層膜
の実測X線散乱曲線を測定するX線測定装置または密度
不均一多層膜の実測粒子線散乱曲線を測定する粒子線測
定装置と、上記の密度不均一多層膜解析装置とを備えて
いることを特徴とする密度不均一多層膜解析システムを
も提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】この出願の発明は、基板上に1層
以上の密度不均一膜が積層されている、つまり基板を含
めて2層以上からなる密度不均一多層膜に対する密度不
均一性の高精度解析を実現すべく、特願20001−0
88656に記載の解析方法における、粒子状物の分布
状態を示すフィッティングパラメータに従ってX線散乱
曲線を表す散乱関数として、多層膜の厳密解を始状態お
よび終状態とした遷移確率を導入した関数を用いたもの
である。
【0010】遷移確率の考えは歪曲波ボルン近似(=D
WBA:Distorted Wave Born Approximation)の理論
で既に構築されており、この出願の発明は、このDWB
Aにおける遷移確率の始状態および終状態として、密度
不均一による散乱のない理想的な多層膜の厳密解を用い
たことにその最大の特徴があり、この厳密解において、
多層膜における多重反射現象を考慮している。
【0011】より具体的には、まず、たとえば図1に例
示したように、N層の多層膜に対するX線・粒子線の照
射において、試料表面へ入射角θ0で入射した波T0
試料表面にてθ1で屈折して次層に向かい、続いてこの
T1は次層との界面にθ1で入射し、θ2で屈折し、後
は同じ現象が各層・各界面で続く。すなわち、入射波は
各界面で屈折を繰り返しながら各層を進んでいく(T0
T1→・・・→TlTl+1→・・・→TN-1
TN)。また、入射波は各界面にて屈折するだけでなく
反射して上層へ戻っていく場合もあるので、下層との界
面にて反射した波がさらに上層へと進んでいく現象も生
じている(RN-1→・・・→Rl+1Rl→・・・→R
1R0)。そして、入射波に対するこれらの屈折現
象および反射現象は、各々、次式で表すことができる。
なお、ここでは、「界面」は各膜層間の界面だけでなく
表面層の表面つまり「外部(空気層等)と表面層との界
面」をも含む意味で用い、特に表面層の表面のみを示す
場合には「試料表面」と呼んでいる。
【0012】
【数1】
【0013】この屈折現象式においては上層→下層に進
む度にtlとφlが各層毎にかかり、反射現象式において
は反射後に下層→上層に進む度にtlとφlが各層毎にか
かるとともにさらにRlとφlがかかっている。
【0014】他方、たとえば図2に例示したように、入
射波が層内を進行中に粒子状物で散乱して上層へ向か
い、試料表面から出射する場合においては、図1の場合
と全く逆に、各層・各界面にて屈折および反射を繰り返
しながら、TN *TN-1 *→・・・→Tl+1 *Tl *
・・・→T1 *T0 *と進んでいき、また、R0R1
→・・・→RlRl+1→・・・→RN-1と戻ってい
く。すなわち、出るX線の現象は入るX線の現象の裏返
しであり、基板側から見れば入る現象と同じ現象と考え
られるのである。なお、上記Eは全て、付記していない
が時間反転を意味する「〜」チルダ付きであり、上付き
の「*」は複素共役を表しており、複素共役をとって時
間反転して、入るX線の現象の裏返しであることを示し
ている。そして、この出射波に対する屈折現象および反
射現象は、各々、次式で表すことができる。
【0015】
【数2】
【0016】この屈折現象式においては上層→下層に進
む度にtlとφlが各層毎にかかり、反射現象式において
は反射後に下層→上層に進む度にtlとφlが各層毎にか
かるとともにさらにRlとφlがかかっている。
【0017】この出願の発明では、以上のとおりに多層
膜における散漫散乱現象を考慮した入射波および出射波
についての遷移確率を散乱関数に導入することで、多層
膜の密度不均一性を精度良く解析することができるが、
さらに、図3(a)〜(d)に例示した多重反射を含む
各種現象をも同時に考慮することで、さらなる精度向上
を実現している。図3(a)はl番目の層内における粒
子状物によって入射波が散乱する現象、図3(b)は粒
子状物によって散乱した入射波がさらに界面にて反射す
る現象、図3(c)は界面にて反射した入射波がさらに
粒子状物によって散乱する現象、図3(d)は界面にて
反射した入射波がさらに粒子状物によって散乱した後に
さらに界面にて反射する多重反射現象を示しており、こ
れらの各現象における上述の多層膜散漫散乱現象を考慮
した遷移確率を構築する。次式は、この場合の遷移確率
の一例を示したものである。
【0018】
【数3】
【0019】上記の遷移確率において、右辺の第1項
(I)が図3(a)の場合の遷移確率、第2項(II)が
図3(b)の場合の遷移確率、第3項(III)が図3
(c)の場合の遷移確率、第4項(IV)が図3(d)の
場合の遷移確率を表し、それぞれが足し合わされてい
る。もちろん、上記右辺の各項毎に別々に遷移確率を設
け、図3(a)〜(d)に場合分けしてもよいことは言
うまでもない。
【0020】以上の遷移確率が、多層膜の厳密解を始状
態および終状態、つまり入射波および出射波とした遷移
確率であり、多層膜での散漫散乱現象および多重反射を
取り入れたものとなっており、そして、この出願の発明
では、以上の遷移確率を導入した散乱関数を用いて解析
を行うのである。
【0021】たとえば下記の式I〜IVは、膜中l内の図
3(a)〜(d)に場合分けした場合の遷移確率と散乱
関数との関係を示したものである。
【0022】
【数4】
【0023】この式において、
【0024】
【数5】
【0025】が散乱関数であり、これに以下に説明する
散乱関数Il(θin,θout)(=Il(q),A・Il(q)・Sl(q)な
ど)を代入し、代入後の散乱関数Il(θin,θout)におけ
る各種フィッティングパラメータ値を選択することによ
って実測散乱曲線と一致するシミュレート散乱曲線を算
出する。両曲線が一致したときのフィッティングパラメ
ータ値が密度不均一多層膜内の粒子状物の分布状態を表
したものであり、これにより、密度不均一多層膜内での
散漫散乱現象および多重反射を的確に考慮した、粒子状
物の分布状態、つまり密度不均一性を簡易に、且つ高精
度で解析することができるのである。
【0026】以下に、各解析処理ステップについてより
具体的に説明する。図4はそのフローチャートである。
なお、ここではX線を用いた場合を主として説明する。
【0027】<ステップs1,s2>この出願の発明で
は、粒子状物の分布状態を示すフィッティングパラメー
タに従ってX線散乱曲線を表す散乱関数を用いたシミュ
レーションおよびフィッティングを行うのであるが、そ
れにおいては、X線反射率曲線やX線散乱曲線、および
その曲線から導出される各種値を必要とするので、まず
前処理として、粒子状物が分布した密度不均一試料のX
線反射率曲線およびX線散乱曲線の測定を行う。
【0028】<ステップs1>X線反射率曲線は、X線
入射角θin=X線出射角θoutの条件(つまり鏡面
反射)にて測定する。ここで、X線入射角θinとは試
料表面に対するX線入射角度、X線出射角θoutとは
試料表面に対するX線出射角度である。
【0029】<ステップs2>X線散乱曲線は、たとえ
ば、X線入射角θin=X線出射角θout−オフセッ
トΔωの条件、もしくはX線入射角θin=X線出射角
θout+オフセットΔωの条件、またはそれら両条件
にて測定する(以下、これらの条件を総称してθin=
θout±Δωと呼ぶ)。ここで、オフセットΔωとは
θinとθoutとの差角度である。Δω=0°の場合
はθin=θoutであり、鏡面反射となってX線反射
率の測定と同じこととなる。X線散乱曲線の測定は、こ
のΔωが0°から僅かにズレた(オフセットした)条件
において行う。Δωは、0°になるべく近く、且つΔω
=0°時の強い鏡面反射の影響がなるべく少なくなる数
値が望ましい。
【0030】θin=θout±ΔωでのX線散乱曲線
の測定は散漫散乱の測定にほかならず、この散漫散乱は
粒子状物の存在に起因するもの、つまり密度不均一試料
の密度不均一性によるものであるため、この実測X線散
乱曲線と後述の各種関数により算出されるシミュレーシ
ョン散乱曲線とのフィッティングを行うことで、密度不
均一試料の密度不均一性を的確に解析することができ
る。
【0031】また、X線散乱曲線は、X線入射角θin
を一定にしてX線出射角θoutをスキャンする条件、
あるいはその逆にX線出射角θoutを一定にしてX線
入射角θinをスキャンする条件にて測定してもよい。
この場合でも、高精度なシミュレーションおよびフィッ
ティングに必要な散漫散乱の測定を的確に行うことがで
きる。
【0032】<ステップs3>後述の散乱関数では膜中
l内の密度不均一試料の屈折率nl(屈折角αl,ζl
を用いるので、測定したX線反射率曲線から屈折率nl
(屈折角αl,ζl)を求めておく。X線反射率曲線から
の屈折率nl(屈折角αl,ζ l)の決定は公知の方法で
行うことができる。具体的には、X線反射率曲線におい
て反射率(反射X線強度)が急激に低下する角度が臨界
角θcとなる。臨界角θclと数値δlと屈折率nlとの
間にはθcl=√(2δl)、nl=1−δlの関係があ
る。
【0033】一方、それぞれの層において構成する元素
が分かれば、δlからそれぞれの層の平均密度ρlを決め
ることもできる。より具体的には、構成元素jlの組成
比cjl、質量数Mjl、原子散乱因子fjlが分かれ
ば、次式により、それぞれの層の平均密度ρが求まる。
もちろん、密度不均一層の密度も知ることができる。
【0034】
【数6】
【0035】算出に必要な各数値は密度不均一試料の作
製時に予測することができる。この密度不均一試料の平
均密度ρは、後述するように求められる密度不均一試料
内の粒子状物の粒径や分布広がりなどの分布状態ととも
に、密度不均一試料の評価・作製において極めて有効な
情報である。
【0036】<ステップs4>さて、以上のようにシミ
ュレーションおよびフィッティングの前準備を終えた
後、この出願の発明では、粒子状物の分布状態を示すフ
ィッティングパラメータに従ってX線散乱曲線を表す散
乱関数を用いることにより、フィッティングパラメータ
の数値を任意に選択し、散乱曲線の測定条件と同じ条件
(θin=θout±Δω、θin一定・θoutスキ
ャン、あるいはθout一定・θinスキャン)にてシ
ミュレートX線散乱曲線の算出を行う。
【0037】より具体的には、まず下記の数7は散乱関
数の一例を示したものであり、鏡面反射θin=θou
tを除くすべてのθin、θoutにおけるX線散乱曲
線を表したものとなっている。
【0038】
【数7】
【0039】この数7で与えられる散乱関数において
は、密度不均一散乱形状因子がX線散乱曲線を表す重要
要素となっている。密度不均一散乱形状因子とは、密度
不均一試料内の粒子状物の形状をある特定の形状モデル
で表し、その形状モデルが試料内にてある状態で分布し
ていることを表すものであり、この因子に従って、粒子
状物の分布による影響を的確にとらえたX線散乱曲線を
自由度高く、且つ高精度でシミュレートできるのであ
る。なお、密度不均一分布関数を決める{p}は、いく
つかの分布関数を決めるパラメータの組があっても良い
ことを表している。
【0040】粒子状物の形状モデルとしては、たとえば
図5(a)に例示した球型モデルおよび図5(b)に例
示した円筒型モデルが考えられ、それらを解析対象に応
じて任意に選択することで、あらゆる粒子状物の形状を
モデル化できる。
【0041】まず、球型モデルを用いた散乱関数I
(q)は、たとえば下記の数8で与えられ、そのうちの
粒径分布を表す粒径分布関数は数9、粒子形状を表す粒
子形状因子は数10で与えられる。なお数8は、数9お
よび数10を用いてたとえば下記の数11のように展開
できる。この場合、球型モデルでモデル化した粒子状物
の平均粒径および分布広がりを示すパラメータ[Ro,
M]が、粒子状物の分布状態を示すフィッティングパラ
メータであり、数8または数11の散乱関数I(q)
は、これらフィッティングパラメータに従って、つまり
[Ro,M]の数値を任意に選択することで、様々な分
布状態を表すことができ、その分布状態により影響を受
ける様々なX線散乱曲線を表す関数となっている。
【0042】
【数8】
【0043】
【数9】
【0044】
【数10】
【0045】
【数11】
【0046】上記数9の式は粒径分布としてのガンマ分
布を表した場合のものであるが、もちろん、ガンマ分布
以外の粒径分布(たとえばガウス分布など)を表す粒径
分布関数を用いてもよいことは言うまでもなく、シミュ
レート散乱曲線と実測散乱曲線との高精度フィッティン
グが実現されるように、任意に選択することが好まし
い。
【0047】次に、円筒型モデルを用いた散乱関数I
(q)であるが、これはたとえば下記の数12で与えら
れる。この場合、円筒型モデルでモデル化した粒子状物
の直径およびアスペクト比を示すパラメータ[D,a]
が、分布広がりパラメータ[M]とともに、粒子状物の
分布状態を示すフィッティングパラメータとなってお
り、数12の散乱関数I(q)は、[D,a,M]の数
値を任意に選択することで、様々な分布状態により影響
を受けるX線散乱曲線を表す関数となっている。
【0048】
【数12】
【0049】また、上記各式において用いられている散
乱ベクトルqは、下記数13で示した粒子状物による屈
折効果を考慮したものを用いる必要がある。薄膜状態の
試料においては表面における入射X線の屈折効果が測定
散乱曲線に重要な影響を及ぼしており、この屈折効果を
考慮したシミュレーションを行うことが高精度な密度不
均一解析の実現に必要となる。そこでこの出願の発明で
は、数4で与えられるような屈折効果を的確に考慮した
下記数13の散乱ベクトルqを用いて、シミュレーショ
ンに最適な散乱関数としている。
【0050】
【数13】
【0051】X線反射曲線から取得した屈折率nlおよ
び屈折角αl,ζlは、この散乱ベクトルqにおいて利用
される。
【0052】以上のように、数8〜数11あるいは数1
2を任意に選択して用いる散乱関数は、精密に粒子状物
による影響を考慮して、フィッティングパラメータとし
ての平均粒径パラメータRo、分布広がりパラメータ
M、直径パラメータD、アスペクト比パラメータaに従
った様々な散乱曲線をシミュレートするものとなってい
る。したがって、後述するように各パラメータ[Ro,
M]または[D,a,M]の数値を最適化することで、
実測散乱曲線に極めて一致するシミュレート散乱曲線を
算出できる。
【0053】なお、数7において、粒子状物を構成する
原子の構造因子を考慮することは当然である。また、数
7〜数12においては、厳密には散乱ベクトルqではな
く、その大きさ|q|が用いられている。これは、一般
的にはベクトルqで扱うのだが、上記各式では、粒子状
物がランダムな方位を持つとして、等方性(方向に依存
しない)を仮定したためである。
【0054】上記散乱関数によるシミュレートX線散乱
曲線の算出についてさらに説明すると、まず、実際の散
乱曲線の測定時と同じ条件に設定して、球型モデルによ
る散乱関数(数8〜数11)を選択した場合には平均粒
径パラメータRo、分布広がりパラメータMの数値、円
筒型モデルによる散乱関数(数12)を選択した場合に
は直径パラメータD、アスペクト比パラメータa、分布
広がりパラメータMの数値を任意に選択する。そして、
数13を適用することにより、θin=θout±Δ
ω、θin一定・θoutスキャン、またはθout一
定・θinスキャンの条件における選択値[Ro,M]
または[D,a,M]のときのX線散乱曲線が得られ
る。
【0055】より具体的には、この算出に必要な各種パ
ラメータは、上記数7〜数12でわかるように、Ro,
M,D,a,q,θin,θout,δ、λ,ρoであ
る。これらパラメータのうち、δ,ρoは反射率曲線か
ら得られ、qはθin,θout,δ,λから算出で
き、Ro,M,D,aはフィッティングパラメータであ
る。したがって、シミュレーションにおいては、反射率
曲線を測定するだけで、後は散乱関数を計算すれば、簡
単に短時間で、シミュレートX線散乱曲線を得ることが
できる。
【0056】ところで、粒子状物の分布は密度不均一試
料から得られる散乱曲線に多大な影響を及ぼすため、数
7の散乱関数は散乱ベクトルや密度不均一散乱形状因子
などによってその影響を考慮したものとされ、高精度な
シミュレート散乱曲線の取得を実現している。また、試
料内に入射したX線の照射面積や粒子状物相互の相関状
態も散乱曲線に影響を及ぼす一要因である。
【0057】そこで、この出願の発明では、密度不均一
試料によるこれら様々な影響を考慮することで、より精
密なフィッティングを実現し、解析精度をより一層向上
させるべく、たとえば上述した散乱関数に「照射面積補
正」や「粒子状物相関関数」を導入したものを用いるよ
うにしてもよい。この場合の散乱関数は、たとえば次式
のように与えられる。
【0058】
【数14】
【0059】この散乱関数において、Aが照射面積補正
であり、S(q)が粒子状物相関関数である。もちろん
この場合においてもI(q)として上述した球型モデル
および円筒型モデルによるものを任意に選択することが
できる。
【0060】照射面積補正Aは、たとえば次式で与えら
れる。
【0061】
【数15】
【0062】また粒子状物相関関数S(q)は、粒子状
物相互の相関を表す関数であり、たとえば次式で与えら
れる。
【0063】
【数16】
【0064】実際のシミュレーションでは、数16で与
えられる粒子状物相関関数S(q)においては、粒子状
物の密度分布関数n(r)として、分布状態を表し得る
ある適当な具体的モデルを用いる必要がある。
【0065】たとえば、具体的モデルの一例として粒子
状物が相互に最近接距離Lおよび相関係数ηで分布して
いる場合を想定し、これらLおよびηをフィッティング
パラメータとする。この場合の粒子状物相関関数S
(q)は、たとえば次式のように与えられる。
【0066】
【数17】
【0067】この数17の粒子状物相関関数を組み込ん
だ数14の散乱関数の場合では、シミュレートX線散乱
曲線の算出に必要な各種パラメータは、Ro,M,a,
M,q(θin,θout,λ,δ),ρo,μ,d,
L,ηである。前述の数7の場合から増えたパラメータ
はμ,d,L,ηであるが、μおよびdは測定に用いる
密度不均一多層膜から決定できる。Lおよびηは、R
o,M,D,aと同様に、シミュレート散乱曲線と実測
散乱曲線とのフィッティングを行うためのフィッティン
グパラメータであって、粒子状物相互の最近接距離およ
び相関係数を示したものである。したがって、X線反射
率曲線を測定し、平均粒径パラメータRo、分布広がり
パラメータM、直径パラメータD,アスペクト比パラメ
ータa、粒子間最近接距離パラメータL,粒子間相関係
数パラメータηそれぞれの数値を調整して、散乱関数を
計算するだけで、より多種のX線散乱曲線を簡易にシミ
ュレートできるのである。
【0068】なお、上述した散乱関数、密度不均一散乱
形状因子、粒径分布関数、照射面積補正項、および粒子
状物相関関数などの導出過程はそれぞれ多ステップに及
ぶのでここでは省略するが、この出願の発明の一特徴
は、各種フィッティングパラメータに従ってX線散乱曲
線をシミュレートする散乱関数を用いることにあり、た
とえば上記の各数式を計算すれば、密度不均一性解析に
必要なシミュレーションX線散乱曲線を得ることができ
るのである。
【0069】基本的には上記各数式(数7〜数17)
は、下記の数18で与えられる公知の基本散乱関数を、
粒子状物の不均一分布を考慮した数19および数20を
用いて展開していくことで得ることができる。
【0070】
【数18】
【0071】
【数19】
【0072】
【数20】
【0073】数20におけるN(粒子状物の個数)は、
密度不均一多層膜の解析対象面積から、たとえば次式の
ように求めることができる。
【0074】
【数21】
【0075】もちろん上記各数式は一例であって、用い
られている変数名や並びなどが上記のものに限定されな
いことは言うまでもない。
【0076】たとえば、数8、数12および数14・数
17の散乱関数は、フィッティングパラメータとして
[Ro,M]、[D,a、M]、[L,η]を用いたも
のとなっているが、この他にも、たとえば、粒子状物の
含有率および相関距離を示したフィッティングパラメー
タに従ってX線散乱曲線を表す散乱関数を用いることが
できる。この場合の散乱関数は、たとえば下記の数22
および数23で与えられる。
【0077】
【数22】
【0078】
【数23】
【0079】密度不均一試料がポーラス膜であり、粒子
状物がそのポーラス膜を形成する微粒子あるいは空孔で
ある場合では、数23におけるΔρとは微粒子あるいは
空孔とポーラス膜を構成するその他の物質(基板ではな
く、膜自体を構成するもの)との密度差であり、Pとは
微粒子率あるいは空孔率、ξとは微粒子あるいは空孔の
相関距離となる。
【0080】この散乱関数を用いる場合、フィッティン
グパラメータとしてのPおよびξを変更させながらシミ
ュレートX線散乱曲線と実測X線散乱曲線とのフィッテ
ィングを行う。
【0081】さらにまた、次のような散乱関数を用いる
こともできる。通常のX線回折計では、測角方向=ゴニ
オメータの回転方向については平行度良く測定できる
が、それと直交する方向については大きな発散を持つ。
これが小角散乱のプロファイルに影響を与えるため、ス
リット長補正が必要となる。このスリット長補正を考慮
した場合、スリット関数をW(s)とすると、散乱関数
I(q)に対して、測定される散乱関数Iobs(q)
は、次式で与えられる。
【0082】
【数24】
【0083】したがって、上記の各散乱関数I(q)を
数31の散乱関数Iobs(q)で置き換えればよい。図
6は、スリット関数W(s)の一例を示した図である。
もちろんこれは一例であって、スリット関数W(s)は
適宜にX線回折計に合わせたものとする。
【0084】さて、以上のI(θin,θout)(=I(q),A・I
(q)・S(q)など)が、粒子状物の分布状態を示すフィッ
ティングパラメータに従ってX線散乱曲線を表す散乱関
数の基本形であるが、この出願の発明では、密度不均一
試料として密度不均一多層膜を解析対象としているた
め、多層膜での散漫散乱現象および多重反射現象を考慮
することにより解析精度のさらなる向上を図るべく、前
述したように、数4における散乱関数F(q)に上記散乱関
数I(θin,θout)(=I(q),A・I(q)・S(I)など)を代入
することで、多層膜での散漫散乱現象および多重反射現
象を取り入れた、多層膜の厳密解を始状態および終状態
とした遷移確率を導入した散乱関数を構築し、それを最
終的に用いるようにしている。
【0085】この場合の散乱関数では、フィッティング
パラメータは上述の各I(θin,θout)におけるもののま
まであるが、数4にて用いられる数1〜数3において既
知値と付記されている数値はシミュレートX線散乱曲線
の算出にさらに必要となるものである。これらの数値は
解析対象となる密度不均一多層膜の作製時に予測決定す
ることができるため、フィッティングパラメータ以外は
全て既知数となる。
【0086】ところで、密度不均一多層膜に入射し多層
膜内を進むX線は、試料表面だけでなく、各膜間の界面
(基板と膜との間の界面を含む)においても散乱する。
この界面散乱は多層になればなるほどその影響が重畳さ
れていく。このため、上述のように構築した遷移確率導
入の散乱関数に対して界面散乱をも考慮することは、さ
らに一層高精度なシミュレート散乱曲線の取得を可能な
らしめ、密度不均一多層膜解析のさらなる精度向上をも
たらすことになる。
【0087】そこで、この出願の発明では、表面状態に
起因した表面散乱および界面状態に起因した界面散乱の
両方の影響を、遷移確率導入の散乱関数にさらに導入す
ることを考える。S.K.Sinha, E.B.Sirota, and S.Garof
f, "X-ray and neutron scattering from rough surfac
es," Physical Review B, vol.38, no.4, pp.2297-231
1, August 1988には表面散乱については記載されている
が、多層膜試料における界面散乱については全く記載も
示唆もされておらず、この出願の発明の発明者等による
研究・開発によって初めて、以下に説明するような表面
・界面散乱を同時に考慮した散乱関数によるシミュレー
ションが実現されることとなった。なお、この出願の発
明では、「界面(界面粗さ・界面散乱)」は「各膜間の
界面」および表面層の表面つまり「試料外部と表面層と
の界面」の両者を意味するものとし、特に表面層の表面
のみを示す場合には「試料表面」と呼ぶこととする。
【0088】図7(a)(b)は、各々、N層の多層構
造を持つ薄膜内の電場の様子を示したものであり、図1
および図2とほぼ同じものであるが、入射波の入射角を
α、散乱波の出射角をβと表している。ここでTlR
lはそれぞれl層内における進行波と反射波を表して
いる。これらの値は、各層の屈折率nl、厚さdlおよび
X線入射角α0が与えられれば、Fresnelの公式に基づい
て計算することができる。
【0089】散乱波については、膜内で生成して試料表
面から出射角β0で出て行く波について考える必要があ
る。そのような条件を満たす多層膜内の電場を表す波動
方程式の解としては、通常の解を時間反転したものがあ
る。これは、通常の解の複素共役をとり、さらにt→−
t(k→−k)とすることによって得られる。それを
「〜」チルダ付きおよび「*」複素共役付きのTlR
lで表す。ただし、このとき試料表面から出射してく
る波は「〜」「*」付きのT0である。
【0090】まず、入射波(図7(a)参照)による電
TlRlは、具体的には次式のように書ける。
【0091】
【数25】
【0092】また、散乱波(図7(b)参照)による電
場「〜」「*」付きTlRlについても、同様に次式
のように書ける。
【0093】
【数26】
【0094】これら数25および数26は、入射角、出
射角および膜構造のパラメータnl,dlが与えられれば
計算することができる。
【0095】これらを用いて、界面l-1でのラフネスつ
まり界面粗さによるポテンシャルWlで計算される入射
波から散乱波への遷移確率は、下記数27・数28のよ
うに書ける。
【0096】
【数27】
【0097】
【数28】
【0098】そして、数28の絶対値の二乗が散乱強度
になる。数28の絶対値の二乗を計算すると各散乱過程
のクロスタームの項が出てくるがここではその影響は少
ないと考え、前述の膜内粒子状物による散乱のとき(数
3参照)と同じように各界面散乱の絶対値の二乗の和を
とることにする。
【0099】下記数29(a)〜(d)は、各々、図8
(a)〜(d)に示した各界面散乱の絶対値の二乗を表
したものである。図8(a)は任意の一界面l-1にて散
乱する状態、図8(b)は上層の界面l-1にて散乱した
波が下層の界面lに到達する状態、図8(c)は下層の
界面lで反射した波が上層の界面l-1にて散乱する状態、
図8(d)は下層の界面lで反射した波が上層の界面l-1
に散乱し、その後再び下層の界面lで反射する状態を示
している。
【0100】
【数29】
【0101】この数29においてPl(q)はポテンシ
ャルWlを作る形状因子である。
【0102】数28および数29から散乱強度は次式の
ようになる。
【0103】
【数30】
【0104】この数30においてσl,ξl,hlはそれ
ぞれ界面l-1での粗さ(ラフネス)パラメータ、面内相
関距離パラメータ、ハースト(Hurst)パラメータであ
る。また、J0は0次のベッセル関数である。
【0105】以上のように構築された数30が界面散乱
を考慮した遷移確率導入の散乱関数の一例であり、粗さ
パラメータσ、面内相関距離パラメータξ、およびハー
ストパラメータhがフィッティングパラメ−タとなる。
そして、以上の数30に代表されるような、界面散乱を
生む界面状態を自由度高く且つ的確に示すことのできる
フィッティングパラメータをさらに導入した遷移確率導
入の散乱関数を用いることで、各層の界面散乱現象をも
考慮した密度不均一多層膜のシミュレート散乱曲線をよ
り一層高い精度で算出でき、粒子状物の分布状態ととも
に界面状態をも簡易に、且つ高精度で解析できるように
なる。
【0106】<ステップs5>以上の遷移確率導入の散
乱関数を用いてシミュレートX線散乱曲線を算出した後
は、シミュレートX線散乱曲線と実測X線散乱曲線との
フィッティングを行う。このフィッティングでは、両曲
線の一致度(あるいは両曲線の差)を検討する。たとえ
ば、両曲線の差は、
【0107】
【数31】
【0108】で求められる。
【0109】<ステップs6>そして、その一致度(あ
るいは差)が所定値または所定範囲内であれば両極線は
一致すると判断し、そうでなければ両曲線は一致しない
と判断する。
【0110】<ステップs6No→ステップs4→ステ
ップs5> 両極線が一致しないと判断した場合は、散
乱関数における粒子状物の分布状態を表すフィッティン
グパラメータを変更して、再度、シミュレートX線散乱
曲線を算出し、実測X線散乱曲線との一致を判断する。
これを、両曲線が一致するまでフィッティングパラメー
タの数値を調整・変更しながら繰り返す。数4における
F(q)を数8あるいは数12で与えられるI(q)とした場合
には[Ro,M]あるいは[D,a]、数17の粒子状
物相関関数S(q)を組み込んだ数14で与えられるI(θi
n,θout)をF(q)とした場合には[Ro,M]あるいは
[D,a]に加えて[L,η]、数22で与えられるI
(θin,θout)をF(q)とした場合には[P,ξ]の値を変
更する。また、数30の場合には[σ,ξ,h]がフィ
ッティング対象となる。
【0111】<ステップs6Yes→ステップs7>
そして、シミュレートX線散乱曲線と実測X線散乱曲線
とが一致したときのフィッティングパラメータの選択値
が、解析対象である密度不均一多層膜内の粒子状物の分
布状態を示す値となる。[Ro,M]の数値が粒子状物
の平均粒径および分布広がり、[D,a,M]の数値が
粒子状物の直径およびアスペクト比および分布広がり、
[L,η]の数値が粒子状物相互の最近接距離および相
関係数、[P,ξ]の数値が粒子状物の含有率および相
関距離、[σ,ξ,h]の数値が界面(試料表面を含
む)の粗さ、面内相関距離およびハーストパラメータ値
となる。
【0112】なお、このフィッティングにおいては、た
とえば非線形最小二乗法を用いることにより、効率的に
各フィッティングパラメータの最適値を求めることがで
きる。
【0113】上述したように多層膜における密度不均一
性を考慮した遷移確率導入の散乱関数を用いていること
で、シミュレートX線散乱曲線は実測X線散乱曲線との
一致度が極めて高いものとなり、各フィッティングパラ
メータも実際の多層膜における粒子状物の分布状態を極
めて正確に表し、よって、多層膜の密度不均一性を極め
て高精度で実現できるのである。
【0114】また、密度不均一多層膜に対する測定は反
射率測定および散乱曲線測定だけなので、従来のガス吸
着法のように、測定時間が長くなったり、ガスが薄膜内
に侵入できるか否かというような薄膜種類の限定もな
く、また従来の小角散乱法のように、基板上に形成され
た薄膜に対しては基板から剥がすなどといった必要もな
い。したがって、様々な密度不均一多層膜に対して、非
破壊、且つ短時間で密度不均一性解析を実現することが
できる。
【0115】なお、以上は主にX線を用いた場合につい
ての説明であるが、X線の場合と同様にして、中性子線
や電子線等の粒子線を用いても密度不均一多層膜内の粒
子状物の分布状態や密度不均一多層膜の平均密度を解析
することができることは言うまでもない。前記の散乱関
数も粒子線の反射率曲線・散乱曲線に対してそのまま適
用可能であり(「X線」を「粒子線」に置き換えて読め
ばよい)、シミュレート粒子線散乱曲線と実測粒子線散
乱曲線との極めて正確な一致を実現し、密度不均一性の
高精度解析を実現できる。
【0116】以上のこの出願の発明の密度不均一多層膜
解析方法において、シミュレーションやフィッティング
などの計算ステップは、汎用コンピュータや解析専用コ
ンピュータなどの計算機を用いて実行される。
【0117】図9は、この密度不均一多層膜解析方法を
実行する密度不均一多層膜解析装置および解析システム
の一形態を例示した機能ブロック図である。この図9に
例示した密度不均一多層膜解析システム(1)は、X線
を用いる場合のものであり、X線測定装置(2)および
密度不均一多層膜解析装置(3)を備えている。
【0118】X線測定装置(2)は、密度不均一多層膜
のX線反射率曲線およびX線散乱曲線を測定するもので
あり、ゴニオメータなどを用いることができる。この場
合、X線入射角θin、X線出射角θout、散乱角2
θ=θin+θoutを設定・スキャンすることにより
測定する。前述と同様に(解析方法のステップs1&s
2参照)、反射率曲線の測定はθin=θout、散乱
曲線の測定はθin=θout±Δω、θin一定・θ
outスキャン、またはθout一定・θinスキャン
の条件で行なわれる。
【0119】密度不均一多層膜解析装置(3)は、臨界
角取得手段(31)、関数記憶手段(32)、シミュレ
ート手段(33)、フィッティング手段(34)を有し
ている。
【0120】臨界角取得手段(31)は、X線測定装置
(2)による測定X線反射率曲線および実測X線散乱曲
線から、前述と同様にして(ステップs3参照)臨界角
θcを導出する。また、この臨界角θcからδを算出で
きるように構築されていてもよい。
【0121】関数記憶手段(32)は、基本的には前述
した各散乱関数を記憶している。各散乱関数に用いられ
る前述したその他の式ももちろん記憶されている。
【0122】シミュレート手段(33)は、関数記憶手
段(32)からの散乱関数(必要なその他の関数を含
む)、さらには臨界角取得手段(31)からのθc(も
しくはδ)を用いて、前述と同様にして(ステップs4
参照)、各種フィッティングパラメータの値を選択し、
シミュレートX線散乱曲線を算出する。
【0123】フィッティング手段(34)は、前述と同
様にして(ステップs5参照)、シミュレート手段(3
3)からのシミュレートX線散乱曲線とX線測定装置
(2)からの実測X線散乱曲線とをフィッティングす
る。
【0124】測定X線反射率・散乱曲線やθin・θo
ut、数1〜数2における既知数などのシミュレーショ
ンおよびフィッティングに必要なデータは、たとえば、
X線測定装置(2)から密度不均一多層膜解析装置
(3)へ、より具体的には各データに対応させて臨界角
取得手段(31)、シミュレート手段(33)、フィッ
ティング手段(34)へ自動送出されるようになってい
ることが好ましい。もちろん手動入力も可能である。
【0125】前述したように、シミュレートX線散乱曲
線の算出に前記各数式を用いる場合、シミュレート手段
(33)は、θc(もしくはδ)の他にも、θin,θ
out,λ,μ,d,ρo、さらには数1〜数2におけ
る既知数などが必要となる。たとえば、θin,θou
t(もしくは2θ)はX線測定装置(2)から自動送出
により与え、またλ,μ,d,ρo、数1〜数2におけ
る既知数は手動入力したり、予め記憶されていたり、別
途算出されたりして与えることができる。密度不均一多
層膜解析システム(1)あるいは密度不均一多層膜解析
装置(3)には、このための入力手段、記憶手段、計算
手段などが必要であり、これら各種手段とシミュレート
手段(33)とがデータ送受可能に構築されることは言
うまでもない。
【0126】そして、密度不均一多層膜解析装置(3)
は、前述と同様に(ステップs6&s7参照)、フィッ
ティング手段(34)によってシミュレートX線散乱曲
線と実測X線散乱曲線とが一致すると判断されるまで、
シミュレート手段(33)によって各種フィッティング
パラメータを変更しながらシミュレートX線散乱曲線の
算出を繰り返す。両曲線が一致すると、フィッティング
パラメータの数値が実際の粒子状物の分布状態として解
析される。
【0127】図9の例では、密度不均一多層膜解析装置
(3)自体に出力手段(35)が、あるいは密度不均一
多層膜解析システム(1)に出力手段(36)が備えら
れており、ディスプレイ、プリンタ、内蔵/別体記憶手
段などのこれら出力手段(35)(36)を介して解析
結果が出力されるようになっている。また、この密度不
均一多層膜解析システム(1)または密度不均一多層膜
解析装置(3)による解析結果を多層膜作製などに反映
させるようにする場合には、多層膜作製装置やその制御
装置などに直接解析結果を送信可能な態様となっていて
もよい。
【0128】以上の密度不均一多層膜解析装置(3)
は、たとえば、汎用コンピュータあるいは解析専用コン
ピュータにて記憶・起動可能なソフトウェア形態とする
ことができ、その場合では、上記各手段はそれぞれの機
能を実行するプログラムとして実現される。また、密度
不均一多層膜解析システム(1)において、密度不均一
多層膜解析装置(3)はX線測定装置(2)との間で双
方向あるいは一方向のデータ・信号送受可能に構築され
ることが好ましい。なお、シミュレート手段(33)に
よるフィッティングパラメータの最適値の選択では、シ
ミュレート曲線と実測曲線との一致度が高くなるように
(たとえば所定値に近づくように)、最小二乗法等を用
いて自動的に選択する機能を付加することで、コンピュ
ータ等により完全自動で解析を行うことができる。もち
ろん、任意に手動入力可能となっていてもよい。
【0129】この出願の発明は、以上のとおりの特徴を
持つものであるが、以下に実施例を示し、さらに詳しく
この出願の発明の実施の形態について説明する。
【0130】
【実施例】[実施例1]一実施例として、Si基板上に
ポーラス膜を積層してなる密度不均一多層膜試料の空孔
分布状態の解析を行ったので、以下に説明する。
【0131】多層膜試料の膜厚は600nm、空孔密度
は0.95g/cm2としている。シミュレートX線散
乱曲線の算出には、数4におけるF(q)として数12のI
(q)を組み込んだ遷移確率導入の散乱関数を用いた。
【0132】図10は、得られたシミュレートX線散乱
曲線および実測X線散乱曲線を重ねて表示したものであ
る。この図10から明らかなように、両曲線は極めて高
い一致を示している。このときの直径パラメータDおよ
び分布広がりパラメータMの最適値はD=1.4nmお
よびM=2.6であった。したがって、これらの各値
が、本実施例1の解析対象である多層膜試料の空孔の平
均直径サイズおよび分布広がりであるとみることができ
る。図11は、このようにして得られた空孔サイズの分
布を示したものである。
【0133】[実施例2]別の一実施例として、Si基
板上にLow-kポーラス膜を積層してなる密度不均一多層
膜試料の解析を行ったので、以下に説明する。
【0134】本実施例では、X線散乱曲線の測定を2θ
/(θ+Δθ)オフセットスキャンおよび2θ固定の試
料回転軸θスキャン(ロッキングスキャン)で行い、そ
れぞれの場合のX線入射角度、出射角度、強度データに
対して数4におけるF(q)として数11のI(q)を組み込ん
だ遷移確率導入の散乱関数ならびに数30の界面状態を
示すフィッティングパラメータを導入した遷移確率導入
の散乱関数を用いたプロファイルフィッティングを行
い、多層膜試料の空孔分布状態の解析と同時に、試料各
層の界面状態の解析を実行している。
【0135】図12は、2θ/(θ+Δθ)オフセット
スキャン時の、実測X線散乱曲線(図中「実測」)、数
4・数11によるシミュレートX線散乱曲線と数30に
よるシミュレートX線散乱曲線とを足し合わせたシミュ
レートX線散乱曲線(図中「計算」)、数4・数11に
よるシミュレートX線散乱曲線(図中「空孔」)、数3
0によるシミュレートX線散乱曲線(図中「界面」)、
およびバックグランド散乱曲線(図中「バックグラン
ド」)を示したものである。
【0136】図13〜図18は、各々、2θ=0.6
°,0.8°,1.0°,1.2°,1.5°,2.0
°固定のロッキングスキャン時の、実測X線散乱曲線
(図中「実測」)、数4・数11によるシミュレートX
線散乱曲線と数30によるシミュレートX線散乱曲線と
を足し合わせたシミュレートX線散乱曲線(図中「計
算」)、数4・数11によるシミュレートX線散乱曲線
(図中「空孔」)、数30によるシミュレートX線散乱
曲線(図中「界面」)、およびバックグランド散乱曲線
(図中「バックグランド」)を示したものである。
【0137】これら図12〜図18において、図中「空
孔」と付されたシミュレートX線散乱曲線は数4・数1
2を用いて算出された散乱曲線であってフィッティング
パラメータ[R,M]の値に従って空孔分布状態の影響
を考慮したものであり、図中「界面」と付されたシミュ
レートX線散乱曲線は数30を用いて算出された散乱曲
線であってフィッティングパラメータ[σ,ξ,h]の
値に従って界面状態の影響を考慮したものであり、図中
「計算」と付されたシミュレートX線散乱曲線はそれら
両方の散乱曲線を足し合わせたものであって空孔分布状
態および界面状態の両方を同時に考慮したものとなって
いる。
【0138】以上のいずれの図においても、空孔分布状
態および界面状態の両方を考慮することで、実測X線散
乱曲線に対して一致度の極めて高いシミュレートX線散
乱曲線が得られていることがわかる。このときの数4・
数11および数30における各フィッティングパラメー
タ[R,M][σ,ξ,h]の最適値は、それぞれ下記
表1および表2のとおりであった。したがって、これら
の各値が、本実施例2の解析対象である多層膜試料の平
均空孔直径・空孔分布広がりならびに界面粗さ・面内相
関距離・ハーストパラメータであるとみることができ
る。
【0139】
【表1】
【0140】
【表2】
【0141】図19は、上記各パラメータ値にて得られ
た空孔サイズ分布を示したものである。この図19から
明らかなように、空孔分布状態と界面状態の両方を考慮
した場合(図中「空孔&分布」)および空孔分布状態の
みを考慮した場合(図中「空孔」)の間には空孔サイズ
分布に差があるが、前者の方がより正確な空孔サイズ分
布となっている。表1中の最大分布空孔直径は前者グラ
フのピーク値である。
【0142】また、本実施例2からも明らかなように、
この出願の発明によれば、界面状態に起因する散乱現象
のみを解析したり、界面状態および空孔分布状態のX線
散乱への影響度合いを比較検討したりすることも可能で
あり、密度不均一多層膜解析をより高精度でより自由度
高く実現できるようになる。
【0143】もちろん、この出願の発明は添付した図面
の例に限定されるものではなく、細部については様々な
態様が可能である。
【0144】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の
発明の密度不均一多層膜解析方法、密度不均一多層膜解
析装置、および密度不均一多層膜解析システムによっ
て、基板上に1層以上の密度不均一膜が積層されている
密度不均一多層膜内の粒子状物の分布状態ならびに界面
状態を簡易に、且つ高精度で解析することができ、多層
膜試料の密度不均一性の高精度な評価を実現し、多層膜
設計製造等の発展に大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】N層の多層構造を持つ密度不均一多層膜内の電
場の様子を説明するための模式図である。
【図2】N層の多層構造を持つ密度不均一多層膜内の電
場の様子を説明するための模式図である.
【図3】(a)〜(d)は、各々、各種の多重現象を説
明するための模式図である。
【図4】この出願の発明の密度不均一多層膜解析方法を
例示したフローチャートである。
【図5】(a)(b)は、各々、密度不均一形状因子に
おける球型モデルおよび円筒型モデルを例示した図であ
る。
【図6】スリット関数の一例を示した図である。
【図7】(a)(b)は、各々、N層の多層構造を持つ
密度不均一多層膜内の電場の様子を説明するための模式
図である。
【図8】(a)〜(d)は、各々、各種の界面散乱現象
を説明するための模式図である。
【図9】この出願の発明の密度不均一多層膜解析装置お
よびシステムを例示した機能ブロック図である。
【図10】この出願の発明の一実施例として多層膜試料
のX線散乱曲線の計算・実測結果を示した図である。
【図11】この出願の発明の一実施例として多層膜試料
の空孔サイズ分布の解析結果を示した図である。
【図12】この出願の発明の別の一実施例として多層膜
試料のX線散乱曲線の計算・実測結果(オフセットスキ
ャン)を示した図である。
【図13】この出願の発明の別の一実施例として多層膜
試料のX線散乱曲線の計算・実測結果(ロッキングスキ
ャン@2θ=0.6°)を示した図である。
【図14】この出願の発明の別の一実施例として多層膜
試料のX線散乱曲線の計算・実測結果(ロッキングスキ
ャン@2θ=0.8°)を示した図である。
【図15】この出願の発明の別の一実施例として多層膜
試料のX線散乱曲線の計算・実測結果(ロッキングスキ
ャン@2θ=1.0°)を示した図である。
【図16】この出願の発明の別の一実施例として多層膜
試料のX線散乱曲線の計算・実測結果(ロッキングスキ
ャン@2θ=1.2°)を示した図である。
【図17】この出願の発明の別の一実施例として多層膜
試料のX線散乱曲線の計算・実測結果(ロッキングスキ
ャン@2θ=1.5°)を示した図である。
【図18】この出願の発明の別の一実施例として多層膜
試料のX線散乱曲線の計算・実測結果(ロッキングスキ
ャン@2θ=2.0°)を示した図である。
【図19】この出願の発明の別の一実施例として多層膜
試料の空孔サイズ分布の解析結果を示した図である。
【符号の説明】
1 密度不均一多層膜解析システム 2 X線測定装置 3 密度不均一多層膜解析装置 31 臨界角取得手段 32 関数記憶手段 33 シミュレート手段 34 フィッティング手段 35,36 出力手段

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒子状物の分布状態を示すフィッティン
    グパラメータに従ってX線散乱曲線を表す散乱関数を用
    いることにより、実測X線散乱曲線の測定条件と同じ条
    件にてシミュレートX線散乱曲線を算出するステップ
    と、フィッティングパラメータを変更しながらシミュレ
    ートX線散乱曲線と実測X線散乱曲線とのフィッティン
    グを行うステップとを有し、シミュレートX線散乱曲線
    と実測X線散乱曲線が一致したときのフィッティングパ
    ラメータの値を密度不均一多層膜内の粒子状物の分布状
    態とすることにより、密度不均一多層膜内の粒子状物の
    分布状態を解析する密度不均一多層膜解析方法であっ
    て、 散乱関数として、多層膜の厳密解を始状態および終状態
    とした遷移確率を導入した関数を用いることを特徴とす
    る密度不均一多層膜解析方法。
  2. 【請求項2】 粒子状物の分布状態を示すフィッティン
    グパラメータに従って粒子線散乱曲線を表す散乱関数を
    用いることにより、実測粒子線散乱曲線の測定条件と同
    じ条件にてシミュレート粒子線散乱曲線を算出するステ
    ップと、フィッティングパラメータを変更しながらシミ
    ュレート粒子線散乱曲線と実測粒子線散乱曲線とのフィ
    ッティングを行うステップとを有し、シミュレート粒子
    線散乱曲線と実測粒子線散乱曲線が一致したときのフィ
    ッティングパラメータの値を密度不均一多層膜内の粒子
    状物の分布状態とすることにより、密度不均一多層膜内
    の粒子状物の分布状態を解析する密度不均一多層膜解析
    方法であって、 散乱関数として、多層膜の厳密解を始状態および終状態
    とした遷移確率を導入した関数を用いることを特徴とす
    る密度不均一多層膜解析方法。
  3. 【請求項3】 散乱関数として、界面状態を示すフィッ
    ティングパラメータをさらに導入した前記遷移確率導入
    の関数を用いることを特徴とする請求項1または2記載
    の密度不均一多層膜解析方法。
  4. 【請求項4】 粒子状物の分布状態を示すフィッティン
    グパラメータに従ってX線散乱曲線を表す散乱関数を記
    憶する関数記憶手段と、関数記憶手段からの散乱関数を
    用いることにより実測X線散乱曲線の測定条件と同じ条
    件にてシミュレートX線散乱曲線を算出するシミュレー
    ト手段と、フィッティングパラメータを変更しながらシ
    ミュレートX線散乱曲線と実測X線散乱曲線とのフィッ
    ティングを行うフィッティング手段とを有し、シミュレ
    ートX線散乱曲線と実測X線散乱曲線とが一致したとき
    のフィッティングパラメータの値を密度不均一多層膜内
    の粒子状物の分布状態とすることにより、密度不均一多
    層膜内の粒子状物の分布状態を解析する密度不均一多層
    膜解析装置であって、 散乱関数が、多層膜の厳密解を始状態および終状態とし
    た遷移確率を導入した関数であることを特徴とする密度
    不均一多層膜解析装置。
  5. 【請求項5】 粒子状物の分布状態を示すフィッティン
    グパラメータに従って粒子線散乱曲線を表す散乱関数を
    記憶する関数記憶手段と、関数記憶手段からの散乱関数
    を用いることにより実測粒子線散乱曲線の測定条件と同
    じ条件にてシミュレート粒子線散乱曲線を算出するシミ
    ュレート手段と、フィッティングパラメータを変更しな
    がらシミュレート粒子線散乱曲線と実測粒子線散乱曲線
    とのフィッティングを行うフィッティング手段とを有
    し、シミュレート粒子線散乱曲線と実測粒子線散乱曲線
    とが一致したときのフィッティングパラメータの値を密
    度不均一多層膜内の粒子状物の分布状態とすることによ
    り、密度不均一多層膜内の粒子状物の分布状態を解析す
    る密度不均一多層膜解析装置であって、 散乱関数が、多層膜の厳密解を始状態および終状態とし
    た遷移確率を導入した関数であることを特徴とする密度
    不均一多層膜解析装置。
  6. 【請求項6】 散乱関数が、界面状態を示すフィッティ
    ングパラメータをさらに導入した前記遷移確率導入の関
    数であることを特徴とする請求項4または5記載の密度
    不均一多層膜解析装置。
  7. 【請求項7】 密度不均一多層膜内の粒子状物の分布状
    態を解析するための密度不均一多層膜解析システムであ
    って、密度不均一多層膜の実測X線散乱曲線を測定する
    X線測定装置と、請求項4または6の密度不均一多層膜
    解析装置とを備えていることを特徴とする密度不均一多
    層膜解析システム。
  8. 【請求項8】 密度不均一多層膜内の粒子状物の分布状
    態を解析するための密度不均一多層膜解析システムであ
    って、密度不均一多層膜の実測粒子線散乱曲線を測定す
    る粒子線測定装置と、請求項5または6の密度不均一多
    層膜解析装置とを備えていることを特徴とする密度不均
    一多層膜解析システム。
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