JP2003202145A

JP2003202145A - 排煙換気システム

Info

Publication number: JP2003202145A
Application number: JP2002000188A
Authority: JP
Inventors: Takahiro Okazaki; 崎貴博岡; Katsuko Danjo; 上かつこ檀
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 2002-01-04
Filing date: 2002-01-04
Publication date: 2003-07-18

Abstract

(57)【要約】【課題】油分とともに臭気を含む空気から、油分、臭
気を除き清澄な空気にして外部に放出させる排煙換気シ
ステムを提供する。【解決手段】フード、グリスフィルタ、水スプレー装
置、消臭フィルタ、および排気ファンからなり、排気フ
ァンによりフードから吸入した空気を、グリスフィルタ
を通し、該グリスフィルタの上部でスプレー装置からの
スプレー水と、好ましくは２段で水と接触させ、次いで
消臭フィルタを経た後排出することからなっており、消
臭フィルタの好ましい形態は、金属フタロシアニン誘導
体を担持したゼオライトの充填層である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、排煙処理フー
ド、詳しくは油分および臭気の外部放出を抑えることが
できる排煙処理フードに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】厨房からの油煙、化学、食品加工、汚泥
処理などの工場から出る臭気は、排気ファンによって排
煙フードに集められ、ダクトを経て室外へ排気させる。
このとき、特に厨房などの排煙換気システムは、フー
ド、ダクト、ファンなどに油分が付着して激しく汚れ、
また油汚れがあると火災の原因ともなりうるので油分の
付着がないようにすることが重要である。

【０００３】排煙換気システムにおける油汚れを抑え、
あるいは付着した油分を取り除き易くする提案は、例え
ば、フードで集められた空気の流れに泡を送り込んで油
分を泡に吸着させて油分が装置壁に付着することなく室
外へ排出する方法〔特開平５−７１７８２号公報、特開
平５−７１７８３号公報、特開平６−７４５０８号公
報〕、排煙フードに捕集管を並べて設置してそこに油分
を付着させ、調理が終了した後に捕集管を加温して付着
した油分を流れ出させ回収する方法〔特開平６−１５４
５３２号公報〕などがある。これらの方法は、設備が複
雑で多額の経費を要し、かつ細かな維持管理が必要であ
り、特に家庭、レストランなど小規模作業場では実質採
用できるものではなかった。この他、金網を使用した油
分捕集フィルタも上市されているが、油分で空気の通過
が悪くなり、換気能力が低くなるという問題があった。

【０００４】一方、臭気を除く方法には、活性炭による
吸着、無機酸化物による分解、オゾンなどによる酸化分
解などの方法があるが、活性炭による方法は活性炭を頻
繁に取替える必要があり、無機酸化物による分解、オゾ
ンなどによる酸化分解の方法は設備が大きくなり小規模
の排煙換気システムに採用するには実用的なものではな
い。

【０００５】上記のようにこれ迄の排煙換気システムに
おける提案は、油分に対する対策が中心であり、排気中
の臭気についてはほとんど考慮されておらず、とにかく
外に出してしまえばよいという考え方であった。しか
し、今日、特に人口が密集する地域や集合住宅では、洗
濯物への油分による汚れ、悪臭による不快感など排煙換
気装置から出る油分、臭気に悩まされることも多くなっ
てきた。このような事情から、油分とともに臭気を除く
ことができる排煙換気システムの必要性が高くなってい
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記問題を解決すべ
く、本発明の目的は、油分とともに臭気を含む空気か
ら、油分、臭気を除き清澄な空気にして外部に放出させ
る排煙換気システムを提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明はかかる課題を解
決すべくなされたものであり、請求項１に係る発明は排
煙換気システムであり、フード、グリスフィルタ、水ス
プレー装置、消臭フィルタ、および排気ファンからな
り、排気ファンによりフードから吸入した空気を、グリ
スフィルタを通し、該グリスフィルタの上部でスプレー
装置からのスプレー水と接触させ、次いで消臭フィルタ
を経た後排出することを特徴としている。

【０００８】請求項２の発明は請求項１記載の排煙換気
システムであり、水スプレーは、２段に行うことを特徴
としている。

【０００９】請求項３の発明は請求項１記載の排煙換気
システムであり、消臭フィルタは、一般式（Ｉ）〔式
中、Ｒ^１、Ｒ^２、Ｒ^３、Ｒ^４は、それぞれ独立に、水
素、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン基、ニトロ
基、アミノ基、カルボキシル基、カルボキシルアミド
基、ニトリル基、水酸基、アルコキシル基、フェノキシ
ル基、スルホン酸基、スルホンアミド基であり、Ｍは、
鉄（Ｆｅ）、コバルト（Ｃｏ）、マンガン（Ｍｎ）、チ
タン（Ｔｉ）、バナジウム（Ｖ）、ニッケル（Ｎｉ）、
銅（Ｃｕ）、亜鉛（Ｚｎ）、モリブデン（Ｍｏ）、タン
グステン（Ｗ）から選ばれる金属である〕で示される金
属フタロシアニン誘導体を担持した通気性構造体からな
ることを特徴としている。

【化２】

【００１０】請求項４の発明は請求項３記載の排煙換気
システムであり、金属フタロシアニン誘導体の金属は、
鉄（Ｆｅ）および／あるいはコバルト（Ｃｏ）であるこ
とを特徴としている。

【００１１】請求項５の発明は請求項３記載の排煙換気
システムであり、通気性構造体は、ゼオライトであるこ
とを特徴としている。

【００１２】

【発明の実施の形態】本発明の実施態様の一例を、図面
を参照して説明する。図１は本発明の排煙換気システム
の模式図、図２は本発明の排煙換気システムの一部であ
る水スプレー部の模式図である。本発明の排煙換気シス
テムは、通常の排煙換気システムにあるフード、ダク
ト、排気ファンに加え、フードの上部にグリスフィル
タ、水スプレー、消臭フィルタを備えてなっており、排
気ファンによりフードからダクトを通り排出口への空気
の流れができるようになっており、途中でグリスフィル
タ、水スプレー、消臭フィルタを通って油煙、臭気を除
く構造である。

【００１３】そこで、本発明の排煙換気システムを詳細
に説明すると、排出口１３の近くに設置された排気ファ
ン１２によって、油煙、臭気などを含んだ空気がフード
１に集められる。フード１に入った空気は、グルスフィ
ルタ２のスリットを通って、グルスフィルタ２の上部に
あるスプレー装置からのスプレー水と接触して冷却され
る。水のスプレーは、スプレーを２段（第１スプレー、
第２スプレー）で行うのが好ましいが、状況によっては
１段だけでもよい。ここで油分の多くは液化し、水とと
もに水受け部に流される。また、臭気の種類にもよるが
臭気の一部も水に溶解して除かれる。

【００１４】第１スプレー装置は、第１スプレー管３に
複数個の孔５を設け、孔５から水を吹出させシャワー状
に降らせる。これに加えさらにスプレー管３中央部に噴
霧ノズル４を１〜２個設けて水を霧状にスプレーするの
がよい。スプレーされた水はグリスフィルタ２の壁に当
たり、その下に設けられた水受け部６に集められる。水
受け部６に落ちた水は排水されるが、必要により別途設
置した水槽（図示してない）に流し、ここで油水分離し
た後、一部の水をポンプ（図示してない）にてスプレー
水に戻すこともできる。スプレーする水量は、通常２〜
３Ｌ／分程度である。

【００１５】スプレー水と接触して大部分の油分が除か
れた空気は、エルボ部に置いた第２スプレー管７からの
スプレー水でさらに水洗される。第２スプレーの水は、
第１スプレーの上にかぶるように設置し、水受け部６を
共通にするのが便利である。第２スプレーは必須条件で
なく、処理される空気の汚れの程度、第１スプレーでの
除去程度で判断すべきである。

【００１６】第１スプレーの上部、第２スプレーの手前
には、ファイアーダンパーが設置されることがある。フ
ァイアーダンパーは本発明の機能とは直接関係ないが、
空気換気システムとして設置が必要とされているもので
ある。

【００１７】第２スプレー部を出た空気は、水平なダク
ト部を通り、ここでフィルタ９、１０を通過し、さらな
る油分の除去を行う。フィルタ９、１０は、通常金属の
メッシュタイプのものが使われる。このフィルタは、本
発明において必須要件でなく状況により設置されるが、
２〜３枚程度設置するのがよい。（図では２枚描いてあ
る）。

【００１８】この後空気は消臭フィルタ１１に入り、こ
こで空気中の臭気が除かれる。消臭フィルタ１１は、臭
気成分と接触して分解あるいは中和させるもの、あるい
は臭気成分を吸着するものであり、臭気成分を分解する
タイプのものが好ましく選ばれる。

【００１９】消臭フィルタ１１は、消臭の目的を達せら
れるものであればよいが、本発明の好ましい実施の形態
は、消臭機能をもつ化合物を担持した通気性構造体の塊
を充填してフィルター構造にしたものである。ここで、
通気性構造体は、空気が流通する構造体であり、多孔性
材料、発泡体、、繊維集合体などがあり、好ましくは連
続気泡のものである。具体的な例を挙げると、ゼオライ
ト、発泡ポリウレタン、繊維集合体を樹脂で固めたもの
などである。通気性構造体その形態は特に限定するもの
ではないが、空気抵抗を少なくし、かつ空気との接触を
よくするために直径が２〜１０ｃｍ程度の塊状のものと
し、その外形は不揃いの方がよい。

【００２０】消臭機能をもつ化合物の最も好ましい実施
の形態は、金属フタロシアニン誘導体であり、一般式
（Ｉ）に示される化学構造式である。式中、Ｒ^１、
Ｒ^２、Ｒ^３、Ｒ^４は、それぞれ独立に、水素、アルキル
基、置換アルキル基、ハロゲン基、ニトロ基、アミノ
基、カルボキシル基、カルボキシルアミド基、ニトリル
基、水酸基、アルコキシル基、フェノキシル基、スルホ
ン酸基、スルホンアミド基であり、好ましくは、Ｒ^１、
Ｒ^２、Ｒ^３、Ｒ^４のうち２つ以上がカルボキシル基で、
残りが水素であるフタロシアニンカルボン酸の金属錯体
類である。

【００２１】また、式中のＭは、鉄（Ｆｅ）、コバルト
（Ｃｏ）、マンガン（Ｍｎ）、チタン（Ｔｉ）、バナジ
ウム（Ｖ）、ニッケル（Ｎｉ）、銅（Ｃｕ）、亜鉛（Ｚ
ｎ）、モリブデン（Ｍｏ）、タングステン（Ｗ）から選
ばれる金属であり、好ましくは、鉄（Ｆｅ）、コバルト
（Ｃｏ）のいずれかの金属である。

【００２２】本発明に用いる金属フタロシアニン誘導体
の製造方法は、この分野においてすでに知られているの
で、詳細な説明は省略するが、鉄フタロシアニンテトラ
カルボン酸を例にとって説明すると、トリメリット酸無
水物、尿素、モリブデン酸アンモニウム、塩化第二鉄無
水物とを有機溶媒中で加熱して反応させ、次いで加水分
解して鉄フタロシアニンテトラカルボン酸とする〔特開
平５―５８８９７号公報等参照〕。同様にしてトリメリ
ット酸無水物の代わりにピロメリット酸無水物無水物を
用いることにより鉄フタロシアニンオクタカルボン酸を
得ることができる。

【００２３】通気性構造体に消臭機能をもつ化合物を担
持させる方法は、例えば通気性構造体を、該消臭機能を
もつ化合物の溶液に浸漬した後、乾燥することによって
達成される。また、アクリルバインダーなど各種バイン
ダーを用いて通気性構造体に消臭機能をもつ化合物を担
持させてもよい。

【００２４】担持量は多い程有利であるが、金属フタロ
シアニン誘導体含の場合では、通常通気性構造体１ｋｇ
に対し金属フタロシアニン誘導体の０．１〜０．３重量
％水溶液５００ｍｌを加えて調製するので、担持量は、
０．０５〜０．１５重量％程度となる。

【００２５】消臭フィルタは、前記金属フタロシアニン
誘導体など消臭機能をもつ化合物を担持した通気性構造
体を充填したもので、そのフィルタ部の厚さは、空気中
の臭気分の量、消臭フィルタの消臭能力など状況により
決められるが、通常１００ｍｍ程度である。

【００２６】消臭フィルタの消臭活性成分は臭気成分と
接触すること、および空気中の汚れにより次第に活性が
落ちてくる。従って、所定期間使用した後で一部あるい
は全部を取り換える必要がある。取り換えの頻度は、消
臭活性成分の種類、消臭活性成分形態、空気の汚れ程
度、使用状況などにより大きく異なるが、４〜８ヶ月が
一応の目安である。

【００２７】上記フィルタ、消臭フィルタは、使用に伴
う汚れを洗浄する必要があり、さらに消臭フィルタにお
いては消臭機能を回復すべく取り換えを行うので、洗
浄、取り換え作業を容易にするためにはそれぞれをカセ
ットにして取り外し自由にしておくのが便利である。

【００２８】消臭フィルターを出た後の空気は清澄とな
って、排出口１３より外に放出される。排気ファン１２
は本発明のシステムに空気の流れを作るものであり、外
部に別な空気吸引設備がある場合にはこれと接続するこ
とにより代替することができる。

【００２９】このようにして構成された本発明の排煙換
気システムは、風速を遅くしてスプレー水との接触、消
臭フィルタとの接触をよくすれば油分、臭気はよく除か
れることになる。実行上の風速は、設置場所における空
気中の油分、臭気の量、さらに油分、臭気の除去効率か
ら決められるべきものである。通常、ダクト内の風速は
１〜３ｍ／秒程度である。

【００３０】

【実施例】本発明の排煙換気システムを用い排出口から
出る空気の臭気を測定した。比較として、消臭フィルタ
を取外して同じ位置の臭気を測定した。消臭機能をもつ化合物を担持した通気性構造体：直径が
５〜８ｃｍのゼオライト粒〔ダイワボウレーヨン（株）
製〕１ｋｇをコバルトフタロシアニンスルホン酸ナトリ
ウム０．２５重量％水溶液５００ｍｌ中に浸漬、含浸さ
せて乾燥した。担持量：０．１２５重量％。消臭フィルタ：上記コバルトフタロシアニンスルホン酸
ナトリウムを担持したゼオライト５ｋｇを、排煙換気シ
ステムのダクト部に厚さ１０ｃｍとなるように充填して
消臭フィルタとした。消臭フィルタでの風速：２ｍ／秒。臭気物質：調理下水に溜まったヘドロ状汚泥。臭気の測定方法：臭覚検査員の判定による三点比較式臭
袋法による臭覚試験を行った。

【００３１】臭気試験結果を表１に示す。

【表１】この結果から、本発明の排煙換気システムにより臭気が
大幅に少なくなることが認められた。

【００３２】

【発明の効果】本発明により、厨房、各種工場で発生す
る油分、臭気を含む空気を清澄にして、排出口付近でも
油分、臭気を感じない程度にすることができる。これに
より付近住民からの苦情もなくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施の形態の例を示す模式図である。

【図２】図１における第１スプレー部の模式図である。

【符号の説明】

１：フード２：グリスフィルタ３：第１スプレー管４：噴霧ノズル５：水噴出孔６：水受け部７：第２スプレー管８：フランジ９：フィルタ（１）１０：フィルタ（２）１１：消臭フィルタ１２：排気ファン１３：排出口

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩテーマコート゛(参考）Ｂ０１Ｄ 53/34 ＺＡＢＢ０１Ｊ 20/22 Ａ４Ｇ０６６ 53/38 Ｆ２４Ｆ 7/00 53/75 Ｂ０１Ｄ 53/34 １１６Ｂ 53/81 ＺＡＢＢ０１Ｊ 20/22 １１６ＥＦ２４Ｆ 7/00 Ｆターム(参考） 3L058 BH00 BK04 BK05 BK06 4C080 AA05 BB02 CC14 HH05 JJ06 KK08 LL10 MM19 NN04 QQ17 4D002 AB02 AC10 BA01 BA04 BA16 CA01 CA07 CA13 DA21 DA22 DA23 DA24 DA45 DA70 EA02 4D032 AC01 BA05 4D058 JA12 QA01 QA03 QA05 QA13 QA15 QA21 TA02 TA07 UA25 4G066 AA61C AB10B AB12B AB24B AD01B AD06B AD10B AD13B AD20B BA36 CA02 DA02 FA12

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】フード、グリスフィルタ、水スプレー装
置、消臭フィルタ、および排気ファンからなり、排気フ
ァンによりフードから吸入した空気を、グリスフィルタ
を通し、該グリスフィルタの上部でスプレー装置からの
スプレー水と接触させ、次いで消臭フィルタを経た後排
出することを特徴とする排煙換気システム。
【請求項２】水スプレーは、２段に行うことを特徴と
する請求項１記載の排煙換気システム。
【請求項３】消臭フィルタは、一般式（Ｉ）〔式中、
Ｒ^１、Ｒ^２、Ｒ^３、Ｒ^４は、それぞれ独立に、水素、ア
ルキル基、置換アルキル基、ハロゲン基、ニトロ基、ア
ミノ基、カルボキシル基、カルボキシルアミド基、ニト
リル基、水酸基、アルコキシル基、フェノキシル基、ス
ルホン酸基、スルホンアミド基であり、Ｍは、鉄（Ｆ
ｅ）、コバルト（Ｃｏ）、マンガン（Ｍｎ）、チタン
（Ｔｉ）、バナジウム（Ｖ）、ニッケル（Ｎｉ）、銅
（Ｃｕ）、亜鉛（Ｚｎ）、モリブデン（Ｍｏ）、タング
ステン（Ｗ）から選ばれる金属である〕で示される金属
フタロシアニン誘導体を担持した通気性構造体からなる
ことを特徴とする請求項１記載の排煙換気システム。【化１】
【請求項４】金属フタロシアニン誘導体の金属は、鉄
（Ｆｅ）および／あるいはコバルト（Ｃｏ）であること
を特徴とする請求項３記載の排煙換気システム。
【請求項５】通気性構造体は、ゼオライトであること
を特徴とする請求項３記載の排煙換気システム。