JP2003201935A - 燃料噴射ポンプ - Google Patents

燃料噴射ポンプ

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JP2003201935A JP2002001429A JP2002001429A JP2003201935A JP 2003201935 A JP2003201935 A JP 2003201935A JP 2002001429 A JP2002001429 A JP 2002001429A JP 2002001429 A JP2002001429 A JP 2002001429A JP 2003201935 A JP2003201935 A JP 2003201935A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 設計の自由度が高く、収容室へ流入する燃料
の流れを利用して摺動部における焼き付きを低減し、摺
動部の寿命が延長される燃料噴射ポンプを提供する。 【解決手段】 フィードポンプで加圧された燃料は、連
通路53を経由して収容室40へ供給される。連通路5
3の収容室40側の端部53aは、カム21が一回転す
る間に、少なくとも一度カム21の外壁21aとブッシ
ュ23の内壁23aとから形成される摺動部と対向す
る。連通路53を流れる燃料はオリフィス56で流量が
制限されるため、連通路53の収容室40側の端部53
aから摺動部へ向けて噴射される。これにより、摺動部
には連通路53から噴射された燃料が吹き付けられ、燃
料は摺動部へ強制的に供給される。したがって、フィー
ドポンプから収容室40へ流入する燃料の流れを利用し
て摺動に燃料を供給することができ、摺動部における焼
き付きを低減することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関(以下、
内燃機関を「エンジン」という。)の燃料噴射ポンプに
関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、ディーゼルエンジンなどの燃料
噴射ポンプとして、プランジャをシリンダの内部で往復
駆動し加圧室に吸入された燃料を加圧するものが用いら
れている。このような燃料噴射ポンプの場合、プランジ
ャとカムとの間にはカムリングが設けられている。エン
ジンにより駆動される駆動軸の回転運動は、カムおよび
カムリングにより往復運動に変換されプランジャに伝達
される。これにより、プランジャはシリンダの内部で往
復駆動される。近年、エンジンの出力および燃費の向
上、ならびにエンジンからのNOxや黒煙などの排出を
低減するため、燃焼室へ噴射される燃料の圧力は高めら
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】燃料の圧力を高めるた
めには、燃料噴射ポンプによる燃料の加圧圧力を高め、
燃料噴射ポンプから吐出される燃料の高圧化を図る必要
がある。一方、燃料の加圧圧力を高めると、燃料噴射ポ
ンプの負荷は増大する。例えば、カムの外壁面とカムリ
ングの内壁面との間などに形成される摺動部には大きな
力が加わる。そのため、従来の燃料噴射ポンプではカム
とカムリングとの間にブッシュを設け、カムとカムリン
グとの間に形成される摺動部の焼き付きおよび摩耗の低
減を図っている。
【0004】しかしながら、上記のように燃料の高圧化
にともない、摺動部に加わる力は増大する。そのため、
ブッシュに加わる負荷は増大し、ブッシュの寿命の短縮
を招いたり、ブッシュとカムとの間に焼き付きを招くお
それがある。一方、ブッシュを大型化することにより、
摺動面積を増大させて摺動部における面圧の低減を図る
ことも考えられる。しかし、ブッシュの大型化にともな
いカムリングひいては燃料噴射ポンプの体格の大型化を
招き、小型化および軽量化が要求される現状に沿わな
い。
【0005】また、例えばエンジンのクランクシャフト
の軸受け部などのように、クランクシャフトと摺動する
メタルブッシュの内壁に油溝を形成することも考えられ
る。メタルブッシュの内壁に油溝を形成することによ
り、摺動部への潤滑油の供給が促進される。摺動部には
供給された燃料により油膜が形成され、摺動部の焼き付
きの低減、ならびに寿命の延長が図られる。しかし、こ
の場合、摺動部を形成するブッシュの内壁またはカムの
外壁に溝を形成する必要があるため、溝部の形成が可能
な範囲に限界があり、設計の自由度が低いという問題が
ある。
【0006】そこで、本発明の目的は、設計の自由度が
高く、収容室へ流入する燃料の流れを利用して摺動部に
おける焼き付きを低減し、摺動部の寿命が延長される燃
料噴射ポンプを提供することにある。また、本発明の他
の目的は、設計の自由度が高く、摺動部への燃料の導入
が促進され、摺動部における焼き付きを低減し、摺動部
の寿命が延長される燃料噴射ポンプを提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
燃料噴射ポンプによると、連通路はフィードポンプの燃
料出口側と収容室とを連通している。連通路の収容室側
の端部は、カムがある回転位置にあるとき、カムとブッ
シュとの間に形成される摺動部と対向する位置に開口し
ている。すなわち、カムの回転位置がいずれかにあると
き、連通路の収容室側の端部と摺動部とは正対する。そ
のため、連通路を経由して収容室へ流れる燃料は、連通
路から摺動部へ流入する。これにより、摺動部には連通
路から流出した燃料が導入される。その結果、摺動部へ
の燃料の導入が促進され、摺動部における油膜の形成が
促進される。また、カムやブッシュは形状に制限がな
い。したがって、摺動部を構成するカムやブッシュの設
計の自由度が高く、収容室へ流入する燃料の流れを利用
して摺動部における焼き付きを低減することができ、摺
動部の寿命を延長することができる。
【0008】本発明の請求項2記載の燃料噴射ポンプに
よると、カムリングの外周部には溝部が形成されてい
る。溝部の連通路側の端部は、カムがある回転位置にあ
るとき、連通路の収容室側の端部と対向する。すなわ
ち、カムの回転位置がいずれかにあるとき、連通路の収
容室側の端部と溝部の収容室側の端部とは正対する。そ
のため、連通路を経由して収容室へ流れる燃料は、連通
路から溝部へ流入する。また、カムリングは溝部から摺
動部へ燃料を導入する導入路を有している。そのため、
連通路から溝部へ流入した燃料は、導入路を経由して摺
動部へ導入される。これにより、摺動部には連通路から
溝部および導入路を経由して燃料が導入される。その結
果、摺動部への燃料の導入が促進され、摺動部における
油膜の形成が促進される。また、カムやブッシュは形状
に制限がない。したがって、摺動部を構成するカムやブ
ッシュの設計の自由度が高く、収容室へ流入する燃料の
流れを利用して摺動部における焼き付きを低減すること
ができ、摺動部の寿命を延長することができる。
【0009】本発明の請求項3記載の燃料噴射ポンプに
よると、溝部はカムリングの軸方向の途中まで形成され
ている。そのため、溝部の反連通路側の端部は閉塞され
ている。これにより、連通路から溝部へ流出した燃料は
溝部の反連通路側の端部で流れが遮られる。したがっ
て、燃料は導入路へ効率よく流入し、摺動部における油
膜の形成を促進することができる。
【0010】本発明の請求項4または7記載の燃料噴射
ポンプによると、導入路はカムリングの軸方向中央部付
近の摺動部に連通している。通常、摺動部にはカムリン
グの軸方向両端部から燃料が侵入するため、軸方向の中
央部付近は燃料の供給が不十分であり、十分な油膜を形
成することが困難である。そこで、導入路の燃料を摺動
部の中央部付近に導入することにより、摺動部にはカム
リングの軸方向へ均一な油膜を形成することができる。
したがって、摺動部における局所的な焼き付きなどを低
減することができる。
【0011】本発明の請求項5記載の燃料噴射ポンプに
よると、カムリングは外周部に窪み部を有している。窪
み部には、収容室を満たしている燃料が流入する。窪み
部には摺動部へ連通する導入路が連通しているため、窪
み部に流入した燃料は導入路を経由して摺動部へ導入さ
れる。その結果、摺動部への燃料の導入が促進され、摺
動部における油膜の形成が促進される。また、カムやブ
ッシュに形状の制限はない。したがって、摺動部を構成
するカムやブッシュの設計の自由度が高く、摺動部への
燃料の導入が促進され、摺動部における焼き付きを低減
することができ、摺動部の寿命を延長することができ
る。
【0012】本発明の請求項6記載の燃料噴射ポンプに
よると、連通路の収容室側の端部は、カムがある回転位
置にあるとき、カムとブッシュとの間に形成される摺動
部と対向する位置に開口している。すなわち、カムの回
転位置がいずれかにあるとき、連通路の収容室側の端部
と摺動部とは正対する。これにより、摺動部には連通路
から流出した燃料が導入される。その結果、摺動部には
導入路からの燃料、ならびに連通路からの燃料が導入さ
れる。その結果、カムリングの回転位置にかかわらず常
に摺動部には燃料が導入され、摺動部における油膜の形
成が促進される。したがって、摺動部における焼き付き
を低減することができ、摺動部の寿命を延長することが
できる。
【0013】本発明の請求項8記載の燃料噴射ポンプに
よると、連通路の収容室側の端部にはオリフィスが形成
されている。そのため、吐出ポートから連通路に流入し
た燃料はオリフィスで流路が絞られ増圧される。これに
より、燃料は連通路から収容室へ流出する燃料は噴流を
形成する。例えば連通路の収容室側の端部と摺動部とが
正対するとき、噴流を形成する燃料は自身の流速により
摺動部へ流入する。その結果、摺動部へ燃料が確実に流
入し、油膜の形成を促進することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を示す
複数の実施例を図面に基づいて説明する。 (第1実施例)本発明の第1実施例による燃料噴射ポン
プを図2、図3および図4に示す。燃料噴射ポンプは、
図2に示すコモンレール式の燃料噴射システム1に適用
される。
【0015】図3に示すように、燃料噴射ポンプ2のハ
ウジング10は、ハウジング本体11とシリンダヘッド
12、13とを有する。図2に示す場合、二点鎖線で囲
まれた部分は燃料噴射ポンプ2に該当し、破線で囲まれ
た部分がハウジング10に該当する。
【0016】ハウジング本体11はアルミ製である。シ
リンダヘッド12、13は鉄製であり、内部に形成され
ているシリンダ12a、13aにプランジャ20を往復
移動可能に支持している。シリンダヘッド12a、13
aの内周面と、逆止弁14の端面と、プランジャ20の
端面とにより加圧室30が形成されている。本実施例で
は、シリンダヘッド12とシリンダヘッド13とはほぼ
同一形状に形成されているものの、ねじ穴や燃料通路な
どの形成位置が異なっている。これに対し、ねじ穴や燃
料通路などの形成位置を同一にし、シリンダヘッド12
およびシリンダヘッド13の形状を同一にすることも可
能である。
【0017】駆動軸15はジャーナル16を介してハウ
ジング10に回転可能に支持されている。ハウジング1
0と駆動軸15との間はオイルシール17によりシール
されている。図4に示すように、断面が円形状のカム2
1は駆動軸15に対して偏心して一体に形成されてい
る。プランジャ20は、駆動軸15を挟んで配置されて
いる。カムリング22は外形が四角形状に形成されてお
り、カムリング22とカム21との間にブッシュ23が
設けられている。プランジャ20と対向するカムリング
22の外周面とプランジャ20の端面とは平面状に形成
され互いに接触している。カムリング22の内周側には
ブッシュ23が固定されており、ブッシュ23の内周側
にはカム21が回転可能に支持されている。
【0018】プランジャ20、ならびに駆動軸15、カ
ム21およびカムリング22などの駆動部は、ハウジン
グ本体11、シリンダヘッド12およびシリンダヘッド
13から形成される収容室40に収容されている。収容
室40は燃料である軽油により満たされている。
【0019】プランジャ20は、駆動軸15の回転にと
もないカムリング22を介してカム21により往復駆動
され、燃料流入通路18から逆止弁14を通り加圧室3
0に吸入した燃料を加圧する。逆止弁14は弁部材14
1を有し、加圧室30から燃料流入通路18へ燃料が逆
流することを防止する。
【0020】スプリング24はカムリング22方向へプ
ランジャ20を付勢している。カムリング22は、カム
21の回転にともないカム21と摺動しながら自転する
ことなく公転する。これにより、カムリング22とプラ
ンジャ20とは、図4の左右方向へ往復移動しながら摺
動する。
【0021】燃料吐出通路31は、シリンダヘッド12
およびシリンダヘッド13にそれぞれ直線状に形成され
ており、加圧室30と連通している。シリンダヘッド1
2、13にそれぞれ形成した燃料吐出通路31の下流側
には燃料吐出通路31よりも通路面積の大きな長孔状の
燃料室32が形成されており、燃料室32に逆止弁33
が収容されている。燃料室32の燃料下流側に燃料室3
2よりも通路面積の大きな収容孔34が形成されてい
る。図2に示す燃料配管51を燃料噴射ポンプ2に接続
するための図3に示す接続部材35は収容孔34にねじ
止めなどにより収容されている。接続部材35の内部に
燃料通路36が形成されており、燃料通路36は燃料室
32と連通している。燃料通路36は燃料吐出通路31
とほぼ同一直線上に形成されている。
【0022】燃料吐出通路31の燃料下流側に配設され
ている逆止弁33は、逆止弁33の燃料下流側である燃
料室32および燃料通路36から燃料吐出通路31を経
由して加圧室30に燃料が逆流することを防止する。接
続部材35は、図2に示す燃料配管51によりコモンレ
ール4と接続されており、燃料噴射ポンプ2で加圧され
た燃料は接続部材35に形成されている燃料通路36お
よび燃料配管51を経由してコモンレール4へ供給され
る。コモンレール4では、燃料噴射ポンプ2から吐出さ
れた燃料が蓄圧状態で蓄えられる。コモンレール4には
図示しないエンジンの各気筒に設置されているインジェ
クタ5が接続されており、コモンレール4に蓄えられて
いる高圧の燃料はインジェクタ5へ供給される。インジ
ェクタ5はECU3からの指令にしたがって、所定の時
期に所定の期間、コモンレール4から供給された燃料を
エンジンの各気筒へ噴射する。
【0023】燃料噴射ポンプ2は、図3に示すように駆
動軸15の端部にフィードポンプ60を備えている。フ
ィードポンプ60は、駆動軸15により駆動されるトロ
コイドポンプである。フィードポンプ60はインナロー
タ61およびアウタロータ62を有している。インナロ
ータ61は駆動軸15に取り付けられ駆動軸15ととも
に回転する。駆動軸15の回転にともなって、インナロ
ータ61とアウタロータ62とが相対的に回転すること
により、フィードポンプ60は図2に示す燃料タンク6
に蓄えられた常圧の燃料を汲み上げ加圧する。
【0024】フィードポンプ60から吐出された燃料
は、図2に示すように燃料供給路52を経由して調量弁
7へ供給される。調量弁7は例えばECU3から供給さ
れる電力によって燃料通路の開口面積が変化するスプー
ル弁を有しており、フィードポンプ60から加圧室30
へ供給される燃料の流量を調整する。調量弁7により加
圧室30へ供給される燃料の流量を調整することによ
り、燃料噴射ポンプ2からコモンレール4へ吐出される
燃料の流量が調整され、コモンレール4内の燃料の圧力
が一定に保持される。
【0025】図5に示すように、フィードポンプ60は
吸入ポート63および吐出ポート64を有している。吸
入ポート63は図2に示す燃料タンク6に連通してお
り、燃料タンク6からフィードポンプ60へ吸入される
燃料が流れる。吐出ポート64は、フィードポンプ60
で加圧された燃料が流れる。フィードポンプ60の燃料
出口側すなわち吐出ポート64から流出した燃料は、図
2に示すように燃料供給路52と連通路53とに分配さ
れる。連通路53からは、さらにリターン流路54が分
岐している。リターン流路54には逆止弁55が設置さ
れており、燃料供給路52内の燃料の圧力が所定の圧力
よりも高くなると、逆止弁55が開弁し余剰の燃料はフ
ィードポンプ60の入口側へ還流される。
【0026】連通路53はフィードポンプ60の吐出ポ
ート64と収容室40とを連通している。これにより、
フィードポンプ60から吐出された燃料は加圧室30だ
けでなく連通路53を経由して収容室40へ供給され
る。連通路53の途中にはオリフィス56が設置されて
おり、オリフィス56によりフィードポンプ60から収
容室40へ流れる燃料の流量は制限される。上記の燃料
供給路52、連通路53およびリターン流路54はハウ
ジング10の内部を貫いて形成されている。
【0027】収容室40には燃料排出路57が連通して
いる。燃料排出路57は、収容室40で余剰となった燃
料が排出される。燃料排出路57の反収容室側の端部
は、還流路58に連通している。還流路58には燃料排
出路57だけでなくコモンレール4およびインジェクタ
5などが連通しており、燃料噴射システム1の各部で余
剰となった燃料は還流路58へ排出され、還流路58か
ら燃料タンク6へ排出される。
【0028】次に、カム21などの可動部と連通路53
との関係について説明する。図1(A)に示すように、
連通路53はフィードポンプ60の吐出ポート64から
ハウジング本体11を貫いて収容室40に連通してい
る。連通路53の途中には、オリフィス56が形成され
ている。カム21とハウジング本体11との間には、カ
ム21とハウジング本体11とが接触することによる摩
耗を低減するため、ワッシャ部材41が設置されてい
る。ワッシャ部材41は、ハウジング本体11に形成さ
れている凹部11aに固定されている。ワッシャ部材4
1は、連通路53の収容室40側の端部53aに対応す
る位置に開口部42が形成されている。図5に示すよう
に、連通路53の反収容室側の端部は吐出ポート64に
連通している。そのため、連通路53の吐出ポート64
側の端部は吐出ポート64が形成されているD1とD2
との間に形成することができる。
【0029】図1(B)に示すように、カム21とカム
リング22との間に設置されているブッシュ23はカム
リング22の内周側に固定されており、図4に示すよう
にブッシュ23の内壁23aはカム21の外壁21aと
摺動する。すなわち、ブッシュ23の内壁23aとカム
21の外壁21aとは摺動部を形成する。カム21は駆
動軸15と一体に形成されており、駆動軸15の回転に
ともなって回転する。そのため、カム21の外周側に設
置されているカムリング22は、自転することなく公転
し、図1(B)の上下左右方向へ移動する。
【0030】一方、図1(A)および図1(B)に示す
ように、連通路53の収容室40側の端部53aは、カ
ム21がある回転角度にあるとき、例えばカム21があ
る角度回転し図1(B)に示す位置にあるとき、摺動部
と対向する位置に開口している。すなわち、カム21が
駆動軸15とともに一回転する間に、連通路53の収容
室40側の端部53aと摺動部のいずれかの位置とは少
なくとも一度対向する。なお、図1(B)では、連通路
53の収容室40側の端部53aと摺動部との位置関係
を明確にするため、連通路53を拡大して記載してい
る。
【0031】フィードポンプ60の吐出ポート64から
吐出され連通路53へ流入した燃料は、オリフィス56
により絞られるため加圧され流速が高まる。そして、オ
リフィス56を通過した燃料は連通路53の収容室40
側の端部53aから収容室40へ向けて噴射される。上
述のように、カム21の外壁21aとブッシュ23の内
壁23aとの間に形成されている摺動部は、カム21が
駆動軸15とともに一回転する間に、少なくとも一度は
連通路53の収容室40側の端部53aと対向する。そ
のため、連通路53の収容室40側の端部53aと摺動
部とが対向するとき、連通路53の収容室40側の端部
53aから噴射された燃料は摺動部に吹き付けられる。
その結果、吹き付けられた燃料は、摺動部の連通路53
側の端部から反連通路側の端部へ向けて摺動部へ流入す
る。すなわち、摺動部には潤滑のための燃料が強制的に
送り込まれる。これにより、カム21の外壁21aとブ
ッシュ23の内壁23aとの間に形成される摺動部には
潤滑のための燃料が供給され、摺動部における油膜の形
成が促進される。
【0032】次に、本実施例の燃料噴射ポンプ2の作動
について説明する。駆動軸15の回転にともなってフィ
ードポンプ60のインナロータ61が回転し、インナロ
ータ61とアウタロータ62とが相対的に回転する。こ
れにより、フィードポンプ60は燃料タンク6から燃料
を汲み上げる。汲み上げられた燃料は、フィードポンプ
60により加圧され吐出される。フィードポンプ60か
ら吐出された燃料は、燃料供給路52を経由して調量弁
7へ供給される。
【0033】また、駆動軸15の回転にともなってカム
21が回転し、カム21の回転にともなってカムリング
22が自転することなく公転する。このカムリング22
の公転にともなってカムリング22がプランジャ20と
摺動し、プランジャ20がシリンダ12a、13a内で
往復駆動される。
【0034】カムリング22の公転にともなって上死点
にあるプランジャ20が駆動軸15方向へ下降すると、
フィードポンプ60から吐出され調量弁7によって流量
が調整された燃料は燃料流入通路18から逆止弁14を
経由して加圧室30に吸入される。
【0035】下死点に達したプランジャ20が再び上死
点へ向けて上昇すると、逆止弁14が閉塞され加圧室3
0の燃料の圧力が上昇する。加圧室30の燃料の圧力が
燃料通路36の圧力よりも大きくなると、逆止弁33が
開弁し加圧室30で加圧された燃料が燃料通路36へ吐
出される。
【0036】加圧室30から吐出された燃料は、燃料吐
出通路31、逆止弁33および燃料室32を通って燃料
通路36へ送出される。燃料通路36へ送出された燃料
は燃料配管51を経由してコモンレール4へ供給され
る。コモンレール4では燃料噴射ポンプ2から吐出され
た圧力変動のある燃料が蓄圧され一定圧に保持される。
コモンレール4に蓄えられている燃料は、インジェクタ
5へ供給される。インジェクタ5はECU3からの指示
により開閉され、燃料をエンジンの各燃焼室へ噴射す
る。
【0037】以上、説明したように、本発明の第1実施
例による燃料噴射ポンプ2によると、燃料はフィードポ
ンプ60から収容室40へ連通路53を経由して供給さ
れる。収容室40へ供給される燃料はフィードポンプ6
0で加圧されているため、燃料は連通路53の収容室4
0側の端部53aから収容室40へ噴射される。ブッシ
ュ23の内壁23aとカム21の外壁21aとから形成
される摺動部は、カム21が一回転する間に、少なくと
も一度は連通路53の収容室40側の端部53aと対向
する。そのため、連通路53から収容室40へ噴射され
た燃料は摺動部へ吹き付けられ、吹き付けられた燃料は
摺動部へ強制的に送り込まれる。したがって、摺動部に
おける油膜の形成が促進され、摺動部における焼き付き
を低減することができ、摺動部の寿命を延長することが
できる。また、摺動部への燃料の供給を促進するために
カム21またはカムリング22に溝部などを形成する必
要がない。そのため、カム21およびカムリング22の
形状に制限がない。したがって、設計の自由度を向上す
ることができる。
【0038】(第2実施例)本発明の第2実施例による
燃料噴射ポンプを図6に示す。第1実施例と実質的に同
一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第2実施例では、図6に示すようにカムリング70に溝
部71が形成されている。溝部71は、カムリング70
の外壁から内周側へ凹状に形成されている。また、溝部
71は、カムリング70の連通路53と対向する面側か
ら軸方向へ途中まで形成されている。そのため、溝部7
1の一方の端部すなわち連通路53と対向する側の端部
は開口している。溝部71の開口は、カム21がある回
転位置にあるとき、連通路53の収容室40側の端部5
3aと対向する。すなわち、連通路53の収容室40側
の端部53aと溝部71の開口とは、カム21が一回転
する間に、少なくとも一度対向する。これにより、溝部
71の開口と連通路53の端部53aとが対向したと
き、連通路53の端部53aから収容室40に噴射され
た燃料は溝部71に流入する。
【0039】カムリング70には、カム21の外壁21
aとブッシュ23の内壁23aとの間に形成される摺動
部へ連通する導入路72が形成されている。すなわち、
導入路72は溝部71と摺動部とを連通している。これ
により、溝部71に流入した燃料は導入路72を経由し
て摺動部へ導入される。
【0040】また、導入路72の摺動部側の端部は、カ
ムリング70の軸方向中央部付近すなわちカムリング7
0の連通路53側の端部と反連通路側の端部との中間付
近に連通している。導入路72の摺動部側の端部をカム
リング70の軸方向中央部付近に連通させることによ
り、油膜の形成が不十分になりやすい軸方向中央部付近
に積極的に燃料を供給することができる。
【0041】第2実施例では、カム21がある回転位置
にあるとき、連通路53から収容室40へ流入した燃料
は溝部71へ流入する。溝部71に流入した燃料は導入
路72を経由して摺動部へ供給される。そのため、収容
室40へ流入した燃料を摺動部へ供給することができ、
摺動部における油膜の形成を促進することができる。し
たがって、摺動部の焼き付きを低減することができ、摺
動部の寿命を延長することができる。
【0042】また、燃料は、導入路72を経由して油膜
の形成が不十分になりやすい摺動部の中央部付近に供給
される。そのため、摺動部の全体に均一に油膜を形成す
ることができる。したがって、摺動部の局所的な焼き付
きおよび摩耗を低減することができる。
【0043】(第3実施例)本発明の第3実施例による
燃料噴射ポンプを図7に示す。第1実施例と実質的に同
一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第3実施例では、図7に示すようにカムリング80に窪
み部81が形成されている。窪み部81は、カムリング
80の側部にカムリング80の軸を中心として点対称な
位置に形成されている。窪み部81は、カムリング80
の外壁から内周側へ凹状に形成されている。
【0044】カムリング80には、カム21の外壁21
aとブッシュ23の内壁23aとの間に形成される摺動
部へ連通する導入路82が形成されている。すなわち、
導入路82は窪み部81と摺動部とを連通している。導
入路82の窪み部81側の端部は窪み部81の底81a
に開口しており、窪み部81に流入した燃料は導入路8
2を経由して摺動部へ導入される。導入路82の摺動部
側の端部は、第2実施例と同様に摺動部の中央部付近に
連通している。そのため、油膜の形成が不十分となりや
すい部位に積極的に燃料を供給することができる。
【0045】第3実施例では、カムリング80の公転に
より窪み部81に燃料を吸入し、窪み部81に吸入され
た燃料を摺動部へ供給している。これにより、図7
(B)に示すように、連通路59の収容室40側の端部
59aが例えばカムリング80の外周側に開口している
場合でも、摺動部へ燃料を積極的に供給することができ
る。そのため、摺動部における油膜の形成が促進され、
摺動部の焼き付きなどを低減することができる。また、
窪み部81はカムリング80の軸を中心に点対称な位置
および形状に形成されているため、カムリング80の公
転にともなって燃料は少なくとも一方の窪み部81へ流
入する。したがって、摺動部へ燃料を常時供給すること
ができる。
【0046】(第4実施例)本発明の第4実施例を図8
に示す。第4実施例は第3実施例の変形であり、第3実
施例と実質的に同一の構成部位については説明を省略す
る。第4実施例は、図8に示すように第1実施例と第3
実施例とを組み合わせたものである。すなわち、構成は
第3実施例とほぼ同一であるものの、連通路53の位置
が第3実施例と異なる。連通路53の収容室40側の端
部53aは、第1実施例と同様に、カム21がある回転
位置にあるとき、摺動部と対向する位置に開口してい
る。すなわち、カム21が駆動軸15とともに一回転す
る間に、連通路53の収容室40側の端部53aと摺動
部のいずれかの位置とは少なくとも一度対向する。
【0047】以上のように、第4実施例では、カムリン
グ80の公転にともなう窪み部81への燃料の導入によ
る摺動部への燃料の導入と、連通路53から収容室40
へ噴射される燃料による摺動部への燃料の導入とを併用
している。したがって、摺動部における焼き付きをより
低減することができ、摺動部の寿命を延長することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による燃料噴射ポンプを示
す模式図であって、(A)はカム付近を拡大した断面図
であり、(B)は(A)の矢印B方向からカム付近を見
た矢視図である。
【図2】本発明の第1実施例による燃料噴射ポンプを適
用した燃料噴射システムを示す模式図である。
【図3】本発明の第1実施例による燃料噴射ポンプを示
す模式的な断面図である。
【図4】図3のIV−IV線で切断した断面図である。
【図5】図3の矢印V方向から見た矢視図であって、フ
ィードポンプおよびハウジング本体を示す図である。
【図6】本発明の第2実施例による燃料噴射ポンプを示
す模式図であって、(A)はカム付近を拡大した断面図
であり、(B)は(A)の矢印B方向からカム付近を見
た矢視図である。
【図7】本発明の第3実施例による燃料噴射ポンプを示
す模式図であって、(A)はカム付近を拡大した断面図
であり、(B)は(A)の矢印B方向からカム付近を見
た矢視図である。
【図8】本発明の第4実施例による燃料噴射ポンプを示
す模式図であって、(A)はカム付近を拡大した断面図
であり、(B)は(A)の矢印B方向からカム付近を見
た矢視図である。
【符号の説明】
2 燃料噴射ポンプ 10 ハウジング 11 ハウジング本体 12、13 シリンダヘッド 12a、13a シリンダ 15 駆動軸 20 プランジャ 21 カム 21a 外壁 22 カムリング 23 ブッシュ 23a 内壁 30 加圧室 40 収容室 53、59 連通路 53a、59a 端部 56 オリフィス 60 フィードポンプ 70 カムリング 71 溝部 72 導入路 80 カムリング 81 窪み部 82 導入路

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加圧室に吸入された燃料を加圧するプラ
    ンジャと、 カムが偏心して一体に形成されている駆動軸と、 前記カムの外周側に設けられ、前記駆動軸の回転にとも
    なって自転することなく公転し、前記駆動軸から前記プ
    ランジャへ駆動力を伝達するカムリングと、 前記カムリングと前記駆動軸との間に設けられ、前記カ
    ムとの間に摺動部を形成するブッシュと、 前記駆動軸の回転にともなって前記加圧室へ燃料を供給
    するフィードポンプと、 前記プランジャを軸方向へ往復移動可能に支持し、前記
    プランジャとともに前記加圧室を形成するシリンダ、前
    記カムおよび前記カムリングが収容される収容室、前記
    フィードポンプの燃料出口側と前記収容室とを連通する
    連通路を有するハウジングとを備え、 前記連通路の前記収容室側の端部は、前記カムがある回
    転位置にあるとき、前記摺動部と対向する位置に開口し
    ていることを特徴とする燃料噴射ポンプ。
  2. 【請求項2】 加圧室に吸入された燃料を加圧するプラ
    ンジャと、 カムが偏心して一体に形成されている駆動軸と、 前記カムの外周側に設けられ、前記駆動軸の回転にとも
    なって自転することなく公転し、前記駆動軸から前記プ
    ランジャへ駆動力を伝達するカムリングと、 前記カムリングと前記駆動軸との間に設けられ、前記カ
    ムとの間に摺動部を形成するブッシュと、 前記駆動軸の回転にともなって前記加圧室へ燃料を供給
    するフィードポンプと、 前記プランジャを軸方向へ往復移動可能に支持し、前記
    プランジャとともに前記加圧室を形成するシリンダ、前
    記カムおよび前記カムリングが収容される収容室、前記
    フィードポンプの燃料出口側と前記収容室とを連通する
    連通路を有するハウジングとを備え、 前記カムリングは、外周部に軸方向に形成されている溝
    部と、前記溝部から前記摺動部へ燃料を導入する導入路
    とを有し、前記カムがある回転位置にあるとき、前記溝
    部の前記連通路側の端部は前記連通路の前記収容室側の
    端部と対向することを特徴とする燃料噴射ポンプ。
  3. 【請求項3】 前記溝部は、前記カムリングの軸方向の
    途中まで形成されていることを特徴とする請求項2記載
    の燃料噴射ポンプ。
  4. 【請求項4】 前記導入路は、前記摺動部の前記カムリ
    ングの軸方向中央部近傍に連通していることを特徴とす
    る請求項2または3記載の燃料噴射ポンプ。
  5. 【請求項5】 加圧室に吸入された燃料を加圧するプラ
    ンジャと、カムが偏心して一体に形成されている駆動軸
    と、 前記カムの外周側に設けられ、前記駆動軸の回転にとも
    なって自転することなく公転し、前記駆動軸から前記プ
    ランジャへ駆動力を伝達するカムリングと、 前記カムリングと前記駆動軸との間に設けられ、前記カ
    ムとの間に摺動部を形成するブッシュと、 前記駆動軸の回転にともなって前記加圧室へ燃料を供給
    するフィードポンプと、 前記プランジャを軸方向へ往復移動可能に支持し、前記
    プランジャとともに前記加圧室を形成するシリンダ、前
    記カムおよび前記カムリングが収容される収容室、前記
    フィードポンプと前記収容室とを連通する連通路を有す
    るハウジングとを備え、 前記カムリングは、外周部に径方向内側へ窪んで形成さ
    れる窪み部と、前記窪み部から前記摺動部へ燃料を導入
    する導入路とを有することを特徴とする燃料噴射ポン
    プ。
  6. 【請求項6】 前記連通路の前記収容室側の端部は、前
    記カムがある回転位置にあるとき、前記摺動部と対向す
    る位置に開口していることを特徴とする請求項5記載の
    燃料噴射ポンプ。
  7. 【請求項7】 前記導入路は、前記摺動部の前記カムリ
    ングの軸方向中央部近傍に連通していることを特徴とす
    る請求項5または6記載の燃料噴射ポンプ。
  8. 【請求項8】 前記連通路は、オリフィスが形成されて
    いることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記
    載の燃料噴射ポンプ。
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